古文の助動詞 全28語を完全攻略|一覧表・意味・接続・活用と覚え方、識別のコツ

この記事の結論

  • 古文の助動詞は、動詞などの下に付いて「過去・完了・推量・打消」などの意味を加える言葉です。教科書ではおよそ28語(数え方で少し変わります)を覚えます
  • 覚えるのは「接続(上の語の形)」「意味」「活用」の3つ。とくに接続は、未然形・連用形・終止形・連体形(体言)・サ未四已の5グループに分けると一気に整理できます
  • 入試では「なり」「ぬ」「る」「なむ」の見分け方(識別)がよく出ます。どれも「すぐ上の語の形」を見れば解けます

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助動詞「む」6つの活用形(接続の土台)動詞の活用古文文法辞典(表紙)

古文の文法でいちばんの山場が助動詞です。「けり」「ぬ」「べし」「なり」……。似た形の言葉がたくさんあって、最初はこんがらがります。でも、助動詞は「上にどんな形が来るか(接続)」で5つのグループに分けられます。この記事では、古文の助動詞の一覧表(接続・意味・活用の型)から、主な助動詞の活用表、「もしもしかめよ」の節で覚える方法、そして入試で必ず問われる識別(見分け方)まで、図を使ってまとめました。例文は百人一首や徒然草など、有名な作品からとっています。

そもそも「古文」と「古典」はどう違うのかは、古典と古文の違いとは?で解説しています。単語から始めたい人は古文単語の覚え方もどうぞ。

古文の助動詞とは?

助動詞は、活用する付属語です。それだけでは意味のまとまりにならず(付属語)、下に来る言葉によって形が変わります(活用)。たとえば百人一首2番、持統天皇(じとうてんのう)の歌を見てみましょう。

春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山

「夏来(き)にけらし」の「に」は完了の助動詞「ぬ」の連用形、「けらし」は「けるらし」がつまった形(過去の「けり」+推定の「らし」)とされます。「夏が来たらしい」という意味になります。このように、動詞「来」に助動詞がいくつも重なって、細かい気持ちを表しているのです。助動詞が読めると、和歌の気持ちが正確にわかるようになります。

助動詞を覚えるときは、次の3つをセットにします。

  • 接続:上の語が何形になるか(未然形・連用形など)
  • 意味:過去・完了・推量・打消など(1つの語に意味が複数あることも多い)
  • 活用:その助動詞自身がどう形を変えるか(動詞型・形容詞型・形容動詞型・特殊型など)

古文の助動詞一覧表(接続・意味・活用の型)

まずは全体の地図を見てください。助動詞は、すぐ上の語の活用形で5つのグループに分かれます。

古文の助動詞の地図:上の語の「形」で5つに分かれる未然形るらるすさすしむずじむむずましまほし受身・使役・打消・推量など「まだ起きていないこと」連用形きけりつぬたりけむたし過去・完了など「すでに起きたこと」が中心終止形(ラ変型は連体形)らむべしらしめりなりまじ推量・推定の仲間(なり=推定・伝聞)連体形・体言なりたりごとし断定・比況(たり=断定は体言だけ)サ変未然・四段已然り完了・存続(さみしいリカちゃん)「ごとし」は連体形のほか助詞「が」「の」にも付く
図1 古文の助動詞を接続で分けた地図。グループごとに意味の傾向もある

次の表が、教科書で習う助動詞の一覧です。意味は、学校で使う文法書の一般的な分け方にそろえました。

未然形に接続する助動詞

助動詞主な意味活用の型メモ
る・らる受身・尊敬・自発・可能下二段型「る」は四段・ナ変・ラ変の未然形、「らる」はそれ以外に付く
す・さす・しむ使役・尊敬下二段型「す」は四段・ナ変・ラ変、「さす」はそれ以外。「しむ」は漢文訓読に多い
ず打消特殊型ず・ざら・ざり…と2系列の活用
じ打消推量・打消意志無変化型「む」の打消版
む(ん)推量・意志・適当・勧誘・婉曲・仮定四段型覚え方「スイカテカエン」
むず(んず)推量・意志・適当・勧誘・婉曲・仮定サ変型「むとす」がつまった形。意味は「む」と同じ
まし反実仮想・ためらいの意志・実現不可能な希望特殊型「ましかば〜まし」=もし〜だったら…だろうに
まほし希望形容詞シク活用型現代語の「〜たい」

連用形に接続する助動詞

助動詞主な意味活用の型メモ
き過去(直接経験した過去)特殊型カ変・サ変には特別な付き方(こし・せし など)
けり過去(伝え聞いた過去)・詠嘆ラ変型和歌・会話文では詠嘆「〜だなあ」が多い
つ完了・強意・並列下二段型「〜つ〜つ」で並列(〜たり〜たり)
ぬ完了・強意・並列ナ変型「てむ」「なむ」「つべし」「ぬべし」は強意
たり完了・存続ラ変型「てあり」がつまった形
けむ(けん)過去推量・過去の原因推量・過去の伝聞・婉曲四段型「〜ただろう」
たし希望形容詞ク活用型「まほし」とほぼ同じ意味

終止形(ラ変型には連体形)に接続する助動詞

助動詞主な意味活用の型メモ
らむ(らん)現在推量・現在の原因推量・現在の伝聞・婉曲四段型「今ごろ〜しているだろう」
べし推量・意志・可能・当然・命令・適当形容詞ク活用型覚え方「スイカトメテ」
らし推定無変化型根拠のある推定。和歌に多い
めり推定・婉曲ラ変型目で見て「〜ようだ」
なり推定・伝聞ラ変型耳で聞いて「〜ようだ・〜そうだ」
まじ打消推量・打消意志・不可能・打消当然・禁止・不適当形容詞シク活用型「べし」の打消版

連体形・体言に接続する助動詞

助動詞主な意味活用の型メモ
なり断定・存在形容動詞ナリ活用型「〜である」「〜にある」
たり断定形容動詞タリ活用型体言にだけ付く。「とあり」から
ごとし比況(〜のようだ)・例示形容詞ク活用型連体形のほか、助詞「が」「の」にも付く

サ変の未然形・四段の已然形に接続する助動詞

助動詞主な意味活用の型メモ
り完了・存続ラ変型四段に付く形を「命令形」とする説もある。覚え方「さみしいリカちゃん」

表を見ると、未然形グループには「まだ起きていないこと(推量・打消・希望)」、連用形グループには「すでに起きたこと(過去・完了)」が集まっているのがわかります。「未然」は「いまだ然らず(まだそうなっていない)」、つまりまだ起きていない形という意味なので、意味と接続がちゃんとつながっているのです。

うかるくん

うかるくん

28個もあるなんて……。全部いっぺんに覚えるのは無理ですよ!

合格先生

合格先生

いきなり全部じゃなくていい。まずは接続の5グループだけを歌で覚えよう。グループがわかれば、意味の見当もつく。そのあと「ず・き・けり・ぬ・む・べし・なり」など、よく出る順に活用を覚えればいいよ。

サクラちゃん

サクラちゃん

連用形グループは「過去・完了」の仲間、って決めておけば迷いにくそうですね。

主な助動詞の活用表

よく出る助動詞の活用表です。「○」はその形がないことを、( )はあまり使われない形を表します。活用の型(何と同じ変わり方か)を知っておくと、ひとつずつ丸暗記しなくてすみます。たとえば「けり」はラ変動詞「あり」、「ぬ」はナ変動詞「死ぬ」、「べし」は形容詞と同じ変わり方です。

助動詞未然形連用形終止形連体形已然形命令形
ずず/ざらず/ざりずぬ/ざるね/ざれ○/ざれ
き(せ)○きししか○
けり(けら)○けりけるけれ○
つててつつるつれてよ
ぬなにぬぬるぬれね
む(ん)(ま)○む(ん)む(ん)め○
べしべく/べからべく/べかりべしべき/べかるべけれ○
なり(断定)ならなり/になりなるなれなれ
なり(推定・伝聞)○(なり)なりなるなれ○

ポイントは3つです。

  • 「ず」の連体形は「ぬ」、已然形は「ね」。完了の「ぬ」とまぎらわしいので、あとの識別でくわしく見ます。百人一首23番、大江千里(おおえのちさと)の「月見れば千々に物こそ悲しけれわが身ひとつの秋にはあらねど」の「あらねど」は、ラ変動詞「あり」の未然形「あら」+打消「ず」の已然形「ね」+接続助詞「ど」で、「(私ひとりの秋)ではないけれど」という意味です。直前の「秋には」の「に」は断定「なり」の連用形です(「〜にはあらず」=〜ではない)。この歌については中秋の名月と百人一首23番「月見れば」でくわしく読めます。
  • 「き」の連体形は「し」、已然形は「しか」。百人一首9番、小野小町の「花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに」では、「ながめせしまに」の「せ」がサ変「す」の未然形、「し」が過去「き」の連体形です。「き」はサ変には未然形「せ」に付いて「せし・せしか」となる特別な付き方をします。同じ歌の「移りにけりな」は、完了「ぬ」の連用形+「けり」です。
  • 「なり」は2種類。断定の「なり」は連用形に「に」があり、推定・伝聞の「なり」は連用形がほとんど使われません。

助動詞の覚え方:「もしもしかめよ」の歌で接続を覚える

助動詞の接続は、昔から童謡「うさぎとかめ」(もしもし かめよ かめさんよ)の節に合わせて歌って覚える方法がよく知られています。歌うのは、図1の順番どおりに助動詞を並べたものです。

  • (未然形)る・らる・す・さす・しむ・ず・じ・む・むず・まし・まほし
  • (連用形)き・けり・つ・ぬ・たり・けむ・たし
  • (終止形)らむ・べし・らし・めり・なり・まじ
  • (連体形)なり・たり・ごとし

グループの終わりに「未然形」「連用形」などとグループ名を入れて歌います。区切り方や言葉の入れ方は、学校や参考書によって少しずつちがいます。自分が覚えやすいリズムで、声に出して何度も歌うのがいちばんです。最後の「り」だけは歌に入れず、次の語呂(ごろ)で覚える人が多いです。

語呂覚えること
さみしいリカちゃん「り」はサ変の未然形・四段の已然形に付く(サ・未・四・已+り)
スイカトメテ「べし」の意味=スイ量・イ志・カ能・トウ然・メイ令・テキ当
スイカテカエン「む」の意味=スイ量・イ志・カン誘・テキ当・カ定・エン曲
「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

歌で覚えたら、次は「意味の見分け方」。「る・らる」は、下に打消があれば可能、心の動きを表す動詞(思ふ・しのぶ など)なら自発、身分の高い人が主語なら尊敬、「〜に」と相手があれば受身、が目安だよ。平安時代の「る・らる」の可能は、打消といっしょに使われることが多いんだ。

「む」の意味も、文のどこにあるかで見当がつきます。文末で主語が1人称(私)なら意志、2人称(あなた)なら適当・勧誘、3人称なら推量。文の途中で、下に体言(名詞)や助詞が続くなら仮定・婉曲(えんきょく)です。たとえば百人一首16番、在原行平(ありわらのゆきひら)の「立ち別れいなばの山の峰に生ふるまつとし聞かば今帰り来む」の「帰り来(こ)む」は、作者自身が「帰って来よう」と言っているので意志。3番、柿本人麻呂の「あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」の「寝(ね)む」は、疑問の「か」とともに「寝るのだろうか」という推量の意味で読むのがふつうです。

「らむ」は、目の前にないことを想像する現在推量のほか、目の前のことについて「なぜ〜のだろう」と理由を考える原因推量があります。33番、紀友則の「久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ」は、のどかな春の日に「どうして桜は落ち着いた心もなく散っているのだろう」と理由を思いやる歌です。

助動詞の見分け方(識別):なり・ぬ・る・なむ

入試で最もよく出るのが識別問題です。同じ「なり」「ぬ」でも、意味や品詞がちがうものを見分けます。コツはひとつ、「すぐ上の語が何形か」を確かめることです。

「なり」の識別:断定か、推定・伝聞か

「なり」の見分け方:すぐ上の語の形を見る「なり」のすぐ上は?意味体言(名詞)の下例:月なり・秋にはあらねど断定・存在〜である/〜にある連体形の下例:するなり(サ変の連体形)断定・存在〜である/〜にある終止形の下例:すなり(サ変の終止形)推定・伝聞〜ようだ/〜そうだ撥音便の下あ(ん)なり・ざ(ん)なり・な(ん)なり推定・伝聞ラ変型の連体形が音便に形が同じ(四段など)「音・声・うわさ」が手がかり文脈で判断耳で聞いた→推定・伝聞ほかに注意:「静かなり」は形容動詞の一部、「大人になりぬ」は動詞「なる」
図2 「なり」の見分け方。体言・連体形の下は断定、終止形の下は推定・伝聞

「なり」の識別でいちばん有名な例が、紀貫之(きのつらゆき)の『土佐日記』の書き出しです。

男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。

  • 「すなる」:サ変動詞「す」の終止形「す」に付いているので伝聞の「なり」(の連体形)。「男も書くと聞いている日記というものを」。
  • 「するなり」:サ変動詞の連体形「する」に付いているので断定の「なり」。「女の私も書いてみようと思って書くのである」。
  • 途中の「してみむ」の「む」は、自分がすることなので意志です。

サ変動詞は終止形「す」と連体形「する」の形がちがうので、ひと目で見分けられます。でも四段動詞のように終止形と連体形が同じ形のときは、文脈で考えます。音・声・うわさなど、耳で聞いた手がかりがあれば推定・伝聞です。また「あんなり」「あなり」(<あるなり)のように撥音便(はつおんびん)や、その「ん」を書かない形に付く「なり」は、推定・伝聞と決まっています。ちなみに『土佐日記』は、旅立つ人を見送る「馬のはなむけ」という言葉が出てくる作品でもあります。「はなむけ」の意味と語源も読んでみてください。

「ぬ」「ね」の識別:完了の「ぬ」か、打消「ず」か

「ぬ」「ね」は打消?完了? 上の語の形で決まる「ぬ」「ね」のすぐ上は?未然形 → 打消「ず」ぬ=連体形下に体言・係り結びね=已然形下に「ど・ども・ば」、こそ〜ね例:知る も知らぬも(10番)例:秋にはあらねど(23番)例:来(こ)ぬ人を(97番)連用形 → 完了「ぬ」ぬ=終止形文がそこで終わる・「と」で受けるね=命令形「〜してしまえ」と命じる例:けふ九重ににほひぬるかな (61番・連体形ぬる)例:秋来(き)ぬと(古今集)「来ぬ」はどっち? 読みで決まるきぬ(連用形+ぬ)=完了 / こぬ(未然形+ぬ)=打消
図3 「ぬ」「ね」の見分け方。未然形の下は打消「ず」、連用形の下は完了「ぬ」

百人一首10番、蝉丸(せみまる)の「これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関」の「知らぬ」は、四段動詞「知る」の未然形「知ら」に付いているので打消「ず」の連体形です。一方、61番、伊勢大輔(いせのたいふ)の「いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほひぬるかな」の「にほひぬる」は、連用形「にほひ」に付いているので完了「ぬ」の連体形です。

上一段・下二段などの動詞は、未然形と連用形が同じ形なので、上を見ただけでは決まりません。そのときは下を見ます。「ぬ」の下に体言(名詞)があれば連体形なので打消、文がそこで終わっていれば終止形なので完了です(ただし係り結びで文末が連体形になっていないかに注意)。「ね」は、下に「ど・ども・ば」があるか「こそ」の結びなら打消の已然形、命令の意味なら完了の命令形です。

おもしろいのが「来ぬ」です。立秋の歌として有名な藤原敏行(ふじわらのとしゆき)の「秋来(き)ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる」(古今和歌集)の「来ぬ」は、カ変の連用形「き」+完了「ぬ」で「秋が来た」。反対に、百人一首97番、藤原定家の「来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ」の「来ぬ」は、未然形「こ」+打消「ず」の連体形で「来ない人」です。同じ「来ぬ」でも、読み方で意味が反対になるのです。敏行の歌は立秋(りっしゅう)とは?でも紹介しています。

「る」「れ」の識別:受身などの「る」か、完了「り」か

「る」「れ」もまぎらわしい組み合わせです。四段動詞に付くときは、上の音の段で見分けられます。

すぐ上正体例
ア段の音(四段の未然形)受身・尊敬・自発・可能の「る」人に知らる(知ら=ア段)
エ段の音(四段の已然形・サ変の未然形)完了・存続の「り」の連体形「る」・已然形/命令形「れ」花の咲ける里(咲け=エ段)

敏行の歌の「おどろかれぬる」は、四段動詞「おどろく」の未然形「おどろか」(ア段)に付いているので「る」の連用形です。「風の音に、はっと自然と気づかされた」という自発の意味になります。後ろの「ぬる」は完了「ぬ」の連体形で、係助詞「ぞ」の結びです。

「なむ」の識別:4種類を見分ける

「なむ」は4種類:上の形と文末で見分ける未然形+なむ願望の終助詞〜してほしい例:みゆき待たなむ(26番)連用形+な+む完了(強意)ぬ+推量むきっと〜だろう・〜してしまおう例:花散りなむ(自作)体言・連体形など+なむ強意の係助詞取っても文が成り立つ例:〜となむいひける(竹取物語)死・往(去)+なむナ変動詞の一部+む「死な」「往な」は未然形例:死なむ(=死のう)係助詞「なむ」がある文は、文末が連体形になる(係り結び)
図4 「なむ」の見分け方。未然形の下は願望、連用形の下は「な+む」
  • 未然形+なむ=願望の終助詞(〜してほしい)。百人一首26番、貞信公(ていしんこう)の「小倉山峰のもみぢ葉心あらば今ひとたびのみゆき待たなむ」の「待たなむ」は、四段「待つ」の未然形に付いているので「(もみじよ、天皇のお出かけを)待っていてほしい」。
  • 連用形+な+む=完了(強意)「ぬ」の未然形+推量「む」(きっと〜だろう・〜してしまおう)。例:「花散りなむ」(連用形「散り」+な+む)=花はきっと散ってしまうだろう。
  • 強意の係助詞「なむ」:いろいろな語に付き、取り去っても文が成り立ちます。文末は連体形で結びます。『竹取物語』の「名をば、さぬきの造(みやつこ)となむいひける」(本によっては「さかきの造」)では、「なむ」を受けて文末が「けり」の連体形「ける」になっています。
  • ナ変動詞の一部+む:「死なむ」「往(い)なむ」は、ナ変動詞「死ぬ」「往ぬ」の未然形「死な」「往な」+「む」です。
サクラちゃん

サクラちゃん

「待たなむ」と「散りなむ」って、見た目はそっくりなのに、意味が全然ちがうんですね!

合格先生

合格先生

そう。だから識別は「上が未然形か連用形か」を確かめるのが第一歩なんだ。「ぬ」も「なむ」も同じ考え方で解ける。上の動詞の活用の種類がすぐ言えるように、動詞の活用も復習しておこう。

徒然草で助動詞を読んでみよう

最後に、兼好法師(けんこうほうし)の『徒然草』第52段「仁和寺にある法師」から、短い部分を読んでみます。石清水八幡宮(いわしみずはちまんぐう)にお参りしたつもりの法師が、ふもとの寺社だけを拝んで帰ってきてしまう話です。

本文助動詞意味
かばかりと心得て帰りにけり「に」=ぬ(連用形)/「けり」=けり(終止形)完了/過去(帰ってしまった)
年ごろ思ひつること、果たし侍りぬ「つる」=つ(連体形)/「ぬ」=ぬ(終止形)完了(長年思っていたことを果たしました)
聞きしにも過ぎて「し」=き(連体形)過去(聞いていた以上に)
先達はあらまほしきことなり「まほしき」=まほし(連体形)/「なり」=断定希望/断定(案内役はあってほしいものだ)

「あらまほし」は、辞書によっては「理想的だ」という意味の1語の形容詞としてあつかわれることもあります。徒然草のほかの段は徒然草188段の現代語訳や、大晦日(おおつごもり)と古文の時間で読めます。助動詞が見えてくると、古文の文章がぐっと「読める」ようになります。

入試問題の例(自作の例題)

共通テストでは、本文の解釈を問う選択肢の中で、助動詞の意味や識別がさりげなく問われることが多いです。国公立大学の二次試験では、助動詞の意味を正確に反映した現代語訳がよく求められます。私立大学では、「なり」「ぬ」「なむ」などの識別問題や、空欄に入る助動詞を正しい活用形で答える問題もよく見られます。次の自作の例題で確かめてみましょう。

問1 次の傍線部「なり」の文法的説明として正しいものを選びなさい。「笛の音すなり」
ア 断定の助動詞 イ 推定の助動詞 ウ 形容動詞の活用語尾

答えを見る

イ。サ変「す」の終止形に付いており、「笛の音」という耳で聞いた手がかりもあるので推定(「笛の音がするようだ」)。

問2 次の「ぬ」のうち、打消の助動詞はどれか。
ア 夜も明けぬ。 イ 見えぬ人。 ウ 秋来(き)ぬ。

答えを見る

イ。下に体言「人」があるので連体形、つまり打消「ず」の連体形。アは文末の終止形で完了、ウは連用形「き」に付いた完了。

問3 次の傍線部「なむ」の文法的説明を答えなさい。「花咲かなむ」

答えを見る

四段「咲く」の未然形「咲か」に付いているので、願望の終助詞「なむ」(花が咲いてほしい)。

和歌に出てくる助動詞は、掛詞や縁語などの修辞といっしょに問われることもあります。和歌の修辞(枕詞・掛詞・縁語)もあわせて読んでおきましょう。また、古文では敬語と助動詞「る・らる」「す・さす」の尊敬がいっしょに出てきます(「せたまふ」など)。

まとめ:助動詞は「接続→意味→識別」の順に

  • 助動詞は接続で5グループ:未然形/連用形/終止形(ラ変型は連体形)/連体形・体言/サ未四已の「り」。
  • 覚え方は「もしもしかめよ」の節で接続を歌う。「り」はさみしいリカちゃん、「べし」はスイカトメテ、「む」はスイカテカエン。
  • 識別はすぐ上の語の形から。「なり」は体言・連体形→断定、終止形→推定・伝聞。「ぬ」は未然形→打消、連用形→完了。「なむ」は未然形→願望、連用形→な+む。

百人一首は、助動詞の生きた例文の宝庫です。百人一首 全百首の一覧で歌を読みながら、「この『ぬ』はどっち?」と考えてみてください。百人一首クイズで歌を覚えるのもおすすめです。古文の季節の言葉は旧暦の月の名前や二十四節気の一覧、清少納言の文章は枕草子「春はあけぼの」で読めます。国語の勉強法は国語のまとめからどうぞ。わからないところは、受験掲示板「100点BBS」でほかの受験生と話してみるのもいいでしょう。

よくある質問

古文の助動詞はいくつありますか?

学校の文法書ではおよそ28語を扱うのが一般的です。「なり」「たり」を2つずつ数えるかどうかなどで、数え方が少し変わります。

助動詞の接続の覚え方は?

童謡「うさぎとかめ」(もしもしかめよ)の節に合わせて、未然形・連用形・終止形・連体形の順に助動詞を並べて歌う方法がよく知られています。

「り」の接続は何形ですか?

サ変動詞の未然形と四段動詞の已然形です(「さみしいリカちゃん」)。四段に付く形を命令形とする説もあります。

「べし」の意味は?

推量・意志・可能・当然・命令・適当の6つで、頭文字をとって「スイカトメテ」と覚えます。

断定の「なり」と推定・伝聞の「なり」の見分け方は?

体言や連体形に付けば断定、終止形に付けば推定・伝聞です。撥音便(あんなり・あなり)に付く「なり」は推定・伝聞です。

「ぬ」が打消か完了かはどう見分けますか?

上が未然形なら打消「ず」の連体形、連用形なら完了「ぬ」の終止形です。同じ形のときは、下に体言があれば打消と考えます。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 助動詞の意味・接続・活用の型は、高校の古典文法の一般的な分類にしたがっています(文法書により意味の名前や数がやや異なります)
  • 百人一首の本文は当サイトの百人一首ページの表記にそろえています
  • 紀貫之『土佐日記』冒頭/『竹取物語』冒頭(「さぬきの造」は本により「さかきの造」)/兼好法師『徒然草』第52段
  • 藤原敏行「秋来ぬと…」は『古今和歌集』秋上
  • 「もしもしかめよ」の節で覚える方法や語呂合わせは、広く使われている学習法を紹介したもので、区切り方などには学校・参考書による違いがあります

最終更新:2026年10月14日/作成:大学受験合格大作戦

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