古文の助動詞「まほし・たし」の意味と接続|活用表・訳し方・あらまほし・ばや/なむとの違い・練習問題【大学受験】

古文の助動詞「まほし・たし」の意味と接続|活用表・訳し方・あらまほし・ばや/なむとの違い・練習問題【大学受験】

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大学受験

ひとことで言うと

「まほし」と「たし」は希望の助動詞で、「〜たい」「〜てほしい」と訳します。「まほし」は未然形についてシク活用型、「たし」は連用形についてク活用型に活用し、平安時代は「まほし」、中世以降は「たし」が多く使われました。

このページのポイント

  • 意味は希望:自分なら「〜たい」、自分以外なら「〜てほしい」
  • まほし=未然形接続(行かまほし)、たし=連用形接続(行きたし)
  • 活用は形容詞型:まほし=シク活用型、たし=ク活用型(どちらも補助活用あり・命令形なし)
  • 平安時代は「まほし」、中世以降は「たし」。今の「〜たい」は「たし」から
  • 難関大はあらまほし(理想的だ)、ばや・なむ・てしがな(終助詞)との区別、めでたし等の識別

はじめて(やさしく)

「まほし」と「たし」は、どちらも「〜たい」「〜てほしい」という願い(希望)を表す助動詞です。文法の本では「希望の助動詞」とよばれます。

現代語の「見たい」「行きたい」の「たい」は、古文の「たし」が変化したものです。いっぽう「まほし」は今の話しことばには残っていませんが、平安時代の物語や日記では「たし」よりずっとよく使われました。つまり、古い時代は「まほし」、新しい時代は「たし」という関係です。

「まほし」も「たし」も「〜たい」平安時代まほし見まほし鎌倉時代〜たし見たしいまたい見たい「まほし」は平安時代の文章に多い「たし」は中世以降に広まり、今の「たい」へ(時代の分け方はおおよその目安)
平安時代の文章は「まほし」が中心。中世から「たし」が広まり、今の「たい」になった
うかるくん

うかるくん

「見まほし」って、「見ま」と「ほし」に分かれるの? 「ほし」は「欲しい」っぽいね。

合格先生

合格先生

するどいね。「まほし」は、もとは「見まく(見ること)が欲し」という言い方がつまってできた、と説明されることが多いんだ。だから「見まほし」=「見ることが欲しい」=「見たい」。

サクラちゃん

サクラちゃん

それなら覚えやすい! 「たし」は「行きたし」で、もう今の「行きたい」とほとんど同じだね。

ただし、ひとつ注意があります。「まほし・たし」は、自分が「〜したい」ときだけでなく、ほかの人や物に「〜であってほしい」と願うときにも使います。たとえば「春のままあらまほし」(自作)は「春のままであってほしい」。春に「そうなってほしい」と願っているのですね。

だれの願いかで訳が変わる自分が〜したい月を見まほし→ 月を見たい自分の希望相手に〜してほしい春のままあらまほし→ 春のままでいてほしいほかへの希望主語(だれが・何が)を補って訳し分ける
自分のことなら「〜たい」、ほかの人や物のことなら「〜てほしい」
ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

「まほし・たし」は「〜たい」が基本。でも、主語が自分以外なら「〜てほしい」に切りかえる。だれの願いかをまず考えるんだね!

わからないところは、受験掲示板「100点BBS」の〈古典文法のお勉強〉で質問できます。

ここまでのまとめ

  • 「まほし・たし」=希望の助動詞。「〜たい」「〜てほしい」
  • 平安時代はまほし、中世以降はたしが多い。今の「たい」は「たし」から
  • 自分の願いなら「〜たい」、ほかへの願いなら「〜てほしい」

しっかり(大学受験の基礎〜標準)

「まほし・たし」の接続:まほし=未然形、たし=連用形

意味は同じでも、接続がちがうのが最大のポイントです。「まほし」は未然形、「たし」は連用形につきます。四段動詞「行く」なら「行かまほし」「行きたし」、サ変「す」なら「せまほし」「したし」、ラ変「あり」なら「あらまほし」「ありたし」となります。未然形と連用形の見分けは活用形のページで確かめましょう。

接続:まほし=未然形、たし=連用形未然形につくまほし(シク活用型)行かまほし見まほしせまほしあらまほし連用形につくたし(ク活用型)行きたし見たししたしありたし「行く」なら 行か+まほし/行き+たし
「まほし」は未然形、「たし」は連用形につく。「行く」なら 行かまほし/行きたし

「まほし」が未然形につくのは、もとになった「む」(「まく」)が未然形接続だからです。「む」「ず」「す・さす」「る・らる」などと同じ未然形接続のグループに入ります。「たし」は「き・けり」「つ・ぬ」「けむ」「たり(完了)」と同じ連用形接続のグループです。助動詞ごとの接続は助動詞の接続のページにまとめてあります。

「まほし・たし」の活用表(形容詞型)

「まほし」は形容詞のシク活用、「たし」はク活用と同じ形に活用します。どちらも補助活用(カリ活用)をもち、下に助動詞が続くときは「まほしから・まほしかり・まほしかる」「たから・たかり・たかる」を使います。

語未然形連用形終止形連体形已然形命令形活用の型
まほし(本活用)まほしくまほしくまほしまほしきまほしけれ○形容詞シク活用型
まほし(補助活用)まほしからまほしかり○まほしかる○○カリ活用
たし(本活用)たくたくたしたきたけれ○形容詞ク活用型
たし(補助活用)たからたかり○たかる○○カリ活用

本活用の未然形「まほしく」「たく」は「まほしくは」「たくは(〜したいならば)」の形で使われ、かっこに入れる本もあります。命令形はありません。「まほしから+ず」「たかり+けり」「まほしかる+べし」のように、下に助動詞が来ると補助活用の形になります。

意味と訳し方

意味訳し方見分ける手がかり
自己の希望〜たい願っているのが自分(一人称)。「見まほし」「帰りたし」
他への希望(あつらえ)〜てほしい・〜であってほしい願う相手が自分以外の人・物。「あらまほし」「ありたし」に多い

意味は「希望」の1つとまとめる本が多く、上のように「自己の希望」と「他への希望」に分けて説明する本もあります。どちらにしても、訳すときは主語を補って「〜たい」か「〜てほしい」かを決めます。主語の補い方は主語の補い方のページで練習できます。

「まほし・たし」を見つけたらだれの願い?(主語を補う)自分(一人称)〜たい自分以外(人・物)〜てほしい迷ったら両方の訳を当てて文脈で決める「あらまほし」=理想的だ・好ましい、とも訳す古文では主語が書かれていないことが多い
「まほし・たし」の訳し分け。主語が自分なら「〜たい」、自分以外なら「〜てほしい」

例文で確かめる

限りとて別るる道の悲しきにいかまほしきは命なりけり

(源氏物語・桐壺)

現代語訳これが最後と(あなたと)別れて行く死出の道が悲しいにつけても、(私が)行きたいのは(死の道ではなく)生きる道、命なのでした。

ここがポイント桐壺の更衣が死の前に帝によんだ歌。「いか」は「行か」と「生か」の掛詞で、どちらも四段動詞の未然形。「まほしき」は「まほし」の連体形で、願っているのは作者自身なので自己の希望「〜たい」です。

少しのことにも、先達はあらまほしき事なり。

(徒然草・第五十二段(仁和寺にある法師))

現代語訳ちょっとしたことにも、案内者はあってほしいものである。

ここがポイント石清水八幡宮に一人で参詣し、山上の本社を拝まずに帰ってきた法師の話をしめくくる一文。「あら」はラ変「あり」の未然形。「あってほしい」のは「先達(案内者)」なので他への希望。「あらまほし」の代表例です。

ありたき事は、まことしき文の道、作文、和歌、管絃の道。

(徒然草・第一段)

現代語訳身につけていたいことは、本格的な学問の道、漢詩を作ること、和歌、音楽の道である。

ここがポイント「あり」はラ変の連用形、「たき」は「たし」の連体形で、下に体言「事」が続きます。鎌倉時代の徒然草には、このように「たし」も「まほし」も出てきます。

家にありたき木は、松・桜。

(徒然草・第百三十九段)

現代語訳家にあってほしい木は、松と桜である。

ここがポイント「あってほしい」のは「木」なので他への希望。同じ「ありたき」でも、上の第一段は「(自分が)身につけていたい」とも訳せます。主語・願う相手を補うことで訳が決まります。

「まほし」「たし」の見分け方の手順

  1. 「まほし」なら上が未然形、「たし」なら上が連用形であることを確かめる(「めでたし」「いたし」のような一語の形容詞でないか)。
  2. 活用形を確かめる。下に助動詞があれば補助活用(まほしから・たかり など)。
  3. 主語・願う相手を補う:自分→「〜たい」、自分以外→「〜てほしい」。
  4. 「あらまほし」は「あってほしい」、さらに「理想的だ・好ましい」と訳すことも多い。
  5. 最後に、訳を当てはめて文脈に合うか確かめる。

もっと深く(難関大・上級者)

1. 「あらまほし」は一語の形容詞にもなる

「あら(あり の未然形)+まほし」は、使われるうちに「理想的だ・好ましい・望ましい」という意味の形容詞「あらまほし」としても辞書にのっています。「あらまほしき人」は「あってほしい人」よりも「理想的な人」と訳すほうが自然なことが多いのです。文法の問題で「あらまほし」を品詞分解させるときは、ラ変「あり」の未然形+助動詞「まほし」と分けるのが一般的ですが、辞書によっては一語の形容詞として立てています。

人は、かたち・ありさまのすぐれたらんこそ、あらまほしかるべけれ。

(徒然草・第一段)

現代語訳人は、顔かたちや姿が人よりすぐれているようなのが、きっと望ましいことだろう。

ここがポイント「まほしかる」は補助活用の連体形。下に助動詞「べし」が続くので補助活用になり、「べし」はラ変型の連体形に接続しています。「べけれ」は係助詞「こそ」の結びで已然形(係り結び)。「すぐれたらん」の「ん」は婉曲の「む」です。

2. 願いを表すほかの言い方とのちがい

古文で「願い」を表す言い方は、「まほし・たし」だけではありません。終助詞の「ばや」「なむ」「もがな」「てしがな」(くわしくは 終助詞「ばや・なむ・もがな・な・そ」)や、助動詞「まし」の「実現しない願い」も入試でよく比べられます。

「願い」を表す言い方いろいろまほし・たし助動詞接続:未然形/連用形〜たい・〜てほしいばや終助詞接続:未然形(自分が)〜したいなむ終助詞接続:未然形(相手に)〜してほしいもがな終助詞接続:体言など〜があればなあまし助動詞接続:未然形〜ならよいのに(かなわぬ願い)未然形+なむ=願望/連用形+なむ=ぬ+む
願いを表す言い方。ばや=自分の願い、なむ=相手への願い、もがな=〜があればなあ、まし=かなわぬ願い

とくに大事なのが「なむ」の見分けです。未然形+なむは相手への願い(〜してほしい)、連用形+なむは完了「ぬ」の未然形「な」+推量・意志「む」(きっと〜だろう・きっと〜しよう)。「まほし」が未然形、「たし」が連用形という接続の感覚が、ここでも役に立ちます。

小倉山峰のもみぢ葉心あらば今ひとたびのみゆき待たなむ

(百人一首26番・貞信公(藤原忠平)「小倉山」)

現代語訳小倉山の峰のもみじ葉よ、もしおまえに心があるならば、もう一度の(天皇の)行幸まで、散らずに待っていてほしい。

ここがポイント「待た」は四段「待つ」の未然形なので、この「なむ」は相手(もみじ葉)への願いの終助詞。「まほし」で言いかえれば「待たまほし(待ってほしい)」に近い気持ちです。

見せばやな雄島のあまの袖だにも濡れにぞ濡れし色は変はらず

(百人一首90番・殷富門院大輔(見せばやな))

現代語訳(涙で色の変わった私の袖を)あなたにお見せしたいものです。雄島の漁師の袖でさえ、濡れに濡れても色は変わらないのに。

ここがポイント「見せ」は下二段「見す」の未然形。「ばや」は自分の願いの終助詞で、「見せまほし」とほぼ同じ意味になります。「な」は詠嘆の終助詞。
百人一首56番 和泉式部の絵札
百人一首56番・和泉式部の絵札。「あらざらむこの世のほかの思ひ出に今ひとたびの逢ふこともがな」。「もがな」は「〜があればなあ」という願いの終助詞です。画像:絵札「Hyakuninisshu 056」(パブリックドメイン、Wikimedia Commons)

あらざらむこの世のほかの思ひ出に今ひとたびの逢ふこともがな

(百人一首56番・和泉式部(あらざらむ))

現代語訳(私はもうすぐ)死んでしまうでしょうから、あの世への思い出に、せめてもう一度あなたにお会いすることができればなあ。

ここがポイント体言「逢ふこと」に終助詞「もがな」がついて「〜があればなあ」。百人一首には「まほし・たし」の歌は見当たりませんが、「もがな」は25番「名にし負はば」(くるよしもがな)・54番「忘れじの」(命ともがな)・63番「今はただ」(言ふよしもがな)にもあり、93番「世の中は」には古い形の「もがも」が出てきます。73番「高砂の」の「立たずもあらなむ」は、未然形+「なむ」の相手への願いです。
竹取の翁と妻が、竹の中から見つけた小さな子を見守る場面の絵
竹の中から見つかったかぐや姫。美しく育った姫のうわさを聞いて、世の男たちは「いかでこのかぐや姫を得てしがな、見てしがな」と願いました。画像:「The Tale of the Bamboo Cutter - Discovery of Princess Kaguya.jpg」(作者不明、17世紀、パブリックドメイン、Wikimedia Commons)

世界の男、貴なるも賤しきも、いかでこのかぐや姫を得てしがな、見てしがなと、音に聞きめでて惑ふ。

(竹取物語・貴公子たちの求婚)

現代語訳世の中の男は、身分の高い者も低い者も、なんとかしてこのかぐや姫を手に入れたいものだ、妻にしたいものだと、うわさに聞いて心ひかれ、思い乱れる。

ここがポイント「てしがな」は連用形について自分の願いを表す終助詞(「て」を完了「つ」の連用形と分けて、「しがな」を終助詞とする説明もあります)。「得まほし」「見まほし」と言いかえられる気持ちですが、品詞は終助詞なので、「まほし」とはっきり区別しましょう。
サクラちゃん

サクラちゃん

「ばや」「なむ」「てしがな」……願いの言い方がこんなにあるなんて! ぜんぶ「〜たい」でいいの?

合格先生

合格先生

訳はだいたい「〜たい」「〜てほしい」でいい。でも入試では品詞とだれの願いかを問われる。ばや・てしがな=自分、なむ=相手、まほし・たし=両方ありうる。ここを整理しておこう。

3. 「まほし」「たし」の成り立ちと時代差

「まほし」は、推量「む」の古い名詞化の形(ク語法)「まく」に形容詞「欲し」がついた「まくほし」(「見まく欲し」=見ることが欲しい)が縮まってできた、と説明されるのが一般的です。「む」のページで紹介した「見まく欲し」と同じ形ですね。いっぽう「たし」は、程度がはなはだしいことを表す形容詞「いたし」の「い」が落ちてできた、とする説明が多く見られます(語源には諸説あります)。

「まほし」「たし」の成り立ち(一説)まく+ほしむ(ク語法)+欲しまくほしつながるまほし縮まるいたしはなはだしいたし「い」が落ちるたいいまの「たい」同じしくみ:めで+いたし → めでたし(とされる)※語源には諸説あります
「まほし」は「まく+欲し」、「たし」は「いたし」から、と説明されることが多い(語源には諸説ある)

使われた時代にも差があります。平安時代の和文(源氏物語・枕草子など)では「まほし」が中心で、「たし」は平安時代の終わりごろから見え、鎌倉時代以降の文章で広く使われるようになったと説明されることが多い語です。徒然草(鎌倉時代末)には両方が出てきますし、軍記物語や中世の話しことばでは「たし」がふつうになります。「たし」はやがて連体形「たき」のイ音便「たい」の形が終止形にも使われるようになり、現代語の「〜たい」につながりました。

4. 音便の形:「まほしう」「たう」「たい」

形容詞と同じく、連用形「まほしく」「たく」はウ音便で「まほしう」「たう」になります(「見まほしう思す」「参りたう候ふ」など)。中世の文章では、連体形「たき」のイ音便「たい」も見られます。音便のしくみは音便のページで確かめましょう。「〜たう候ふ」は「〜たく候ふ」と同じで、「〜したいのです」と訳します。

5. 「たし」の識別:一語の形容詞とまちがえない

「〜たし」の形の形容詞はたくさんあります。「めでたし(すばらしい)」「いたし(はなはだしい)」「かたし(むずかしい)」「うたてし」など、上が動詞の連用形でなければ助動詞「たし」ではありません。なお「めでたし」は、動詞「めづ(愛づ)」の連用形「めで」に「いたし」がついた「めでいたし」がつまった形、と説明されることがあります。助動詞「たし」の成り立ちとよく似ていて、おもしろいところです。

「たし」があっても助動詞とは限らない行きたし連用形+たし助動詞「たし」〜したいめでたし一語の形容詞形容詞「めでたし」すばらしい・りっぱだいたし一語の形容詞形容詞「いたし」はなはだしい・すばらしいかたし一語の形容詞形容詞「かたし(難し)」むずかしい決め手は「たし」の上が連用形かどうか
「たし」の字があっても、上が連用形でなければ助動詞「たし」ではない

同じように、「ほし」だけが出てきたら、多くは形容詞「欲し」です(「水ほし」=水がほしい)。「まほし」は「未然形+まほし」の5文字で1つの助動詞と考えます。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

識別の決め手は上の語の活用形。「まほし」の上は未然形、「たし」の上は連用形。上が動詞でなければ、形容詞の一部を疑おう!

よくあるまちがい

まちがい1:何でも「〜たい」と訳す

「まほし・たし」は、自分以外の人や物への願いなら「〜てほしい」。「先達はあらまほしき事なり」を「先達はありたいことだ」と訳すと意味が通りません。主語・願う相手を補いましょう。

まちがい2:「行きまほし」「行かたし」と接続をまちがえる

「まほし」は未然形(行かまほし)、「たし」は連用形(行きたし)。意味が同じなので混ざりやすいところです。接続を問う問題でよくねらわれます。

まちがい3:「めでたし」を「めで+たし(愛でたい)」と分ける

「めでたし」は一語の形容詞で「すばらしい・りっぱだ」。「愛でたい」と訳すのはまちがいです。「〜たし」を見たら、上が動詞の連用形かどうかを確かめましょう。

まちがい4:「ばや」「なむ」を助動詞と答える

「ばや」「なむ(未然形+)」「もがな」「てしがな」は終助詞。願いの意味は「まほし・たし」と似ていますが、品詞がちがいます。

練習問題

やさしい

  1. 助動詞「まほし」と「たし」の意味と接続を答えなさい。
    答えと解説を見る

    意味:どちらも希望(〜たい・〜てほしい)。接続:「まほし」は未然形、「たし」は連用形。

  2. 「京へ帰りたし。」(自作)を現代語に訳しなさい。
    答えと解説を見る

    「(私は)京へ帰りたい」。願っているのは自分なので自己の希望。「帰り」は四段「帰る」の連用形。

ふつう

  1. 次の空らんに「書く」を正しい形にして入れなさい。①「文(  )まほし。」②「文(  )たし。」(自作)
    答えと解説を見る

    ①書か(未然形)②書き(連用形)。どちらも「手紙を書きたい」。

  2. 「この花、いつまでも散らであらまほし。」(自作)を現代語に訳し、「まほし」の意味を答えなさい。
    答えと解説を見る

    「この花は、いつまでも散らないであってほしい」。願う相手は「花」(自分以外)なので他への希望(〜てほしい)。「で」は打消の接続助詞、「あら」はラ変「あり」の未然形。

むずかしい

  1. 「人に知られまほしからず。」(自作)を品詞分解して文法的に説明し、訳しなさい。
    答えと解説を見る

    知ら(四段「知る」の未然形)/れ(受身「る」の未然形)/まほしから(希望「まほし」の補助活用の未然形)/ず(打消「ず」の終止形)。下に助動詞「ず」が続くので補助活用になる。訳:「人に知られたくない」。

  2. 次の①〜③の傍線部を文法的に説明しなさい。①「ゆかしければ、見まほし。」②「いとめでたし。」③「花見に行かなむ。」(すべて自作)
    答えと解説を見る

    ①希望の助動詞「まほし」の終止形(上の「見」は上一段の未然形)。「見たい」。②形容詞「めでたし」(ク活用)の終止形。一語の形容詞で「すばらしい」。③「行か」は四段の未然形なので、相手への願いを表す終助詞「なむ」。「花見に行ってほしい」。連用形+「なむ」(完了ぬ+む)ではない。

関連ページ

助動詞全体の流れは、記事「古文の助動詞一覧」でも読めます。徒然草の文章に親しむなら「徒然草 第百八十八段」もどうぞ。

読みもの(合格大作戦の記事)

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よくある質問

助動詞「まほし」「たし」の意味は何ですか?

希望です。自分の願いなら「〜たい」、自分以外の人や物への願いなら「〜てほしい」と訳します。

「まほし」と「たし」の違いは?

接続と活用と時代がちがいます。「まほし」は未然形接続・シク活用型で平安時代に多く、「たし」は連用形接続・ク活用型で中世以降に多く使われました。

「あらまほし」とはどういう意味ですか?

ラ変「あり」の未然形+「まほし」で「あってほしい」。そこから「理想的だ・好ましい」という意味の形容詞としても使われます。

「まほし」と終助詞「ばや」「なむ」の違いは?

「まほし」は助動詞で、自分の願いにもほかへの願いにも使います。「ばや」は終助詞で自分の願い(〜したい)、未然形につく「なむ」は終助詞で相手への願い(〜してほしい)です。

「めでたし」の「たし」は助動詞ですか?

ちがいます。「めでたし」は一語の形容詞で「すばらしい」という意味です。助動詞「たし」は動詞などの連用形につきます。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
  • 例文の本文:源氏物語(桐壺)、徒然草(第一段・第五十二段・第百三十九段)、竹取物語(貴公子たちの求婚)、百人一首(25・26・54・56・63・73・90・93番)。表記は読みやすいように一部改めています
  • 高校の古典文法の標準的な説明(「まほし・たし」の意味・接続・活用)にもとづいて作成。意味の分け方(希望を一つとするか、自己の希望・他への希望に分けるか)、語源、使われた時代については説明が分かれるところがあり、本文中に記した
  • 画像:百人一首の絵札(パブリックドメイン、Wikimedia Commons)、「The Tale of the Bamboo Cutter - Discovery of Princess Kaguya.jpg」(作者不明、17世紀、パブリックドメイン、Wikimedia Commons)

最終更新:2026年10月21日/作成:大学受験合格大作戦