終助詞「ばや・なむ・もがな」の意味と見分け方|「なむ」の識別・禁止「な〜そ」・練習問題【大学受験】

終助詞「ばや・なむ・もがな」の意味と見分け方|「なむ」の識別・禁止「な〜そ」・練習問題【大学受験】

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大学受験難関大

ひとことで言うと

終助詞は文末について気持ちを表す助詞。ばや(〜したい)となむ(〜してほしい)はどちらも未然形につく願望、な・な〜そは禁止、かなは詠嘆です。「なむ」は上が未然形なら願望、連用形なら「ぬ+む」、体言なら係助詞と見分けます。

このページのポイント

  • 終助詞は文末につき、願望・禁止・詠嘆を表す
  • ばや=自己の願望、なむ=他への願望(どちらも未然形接続)
  • てしが・にしがは連用形、もがなは体言など、禁止のなは終止形
  • な+連用形+そはやわらかい禁止(「な」は副詞)
  • 「なむ」の識別:未然形→願望/連用形→ぬ+む/体言など→係助詞/死な・往な→ナ変+む

はじめて(やさしく)

終助詞(しゅうじょし)は、文の終わりについて、話し手の気持ちをそえる助詞です。現代語でも「行こうよ」「きれいだなあ」「さわるな」のように、文の最後の一語で気持ちが変わりますね。古文の終助詞も同じで、大きく願望(〜したい・〜してほしい)、禁止(〜するな)、詠嘆(〜だなあ)の3つに分けられます。助詞全体の中での位置は助詞の種類で確かめられます。

終助詞=文の終わりで気持ちを表す願望ばや・なむ・もがな〜したい・〜してほしい禁止な・な〜そ〜するな・〜しないで詠嘆かな・かし・な〜だなあ・〜よ文の最後を見れば、話し手の気持ちがわかる
終助詞は文の終わりについて、願望・禁止・詠嘆の気持ちを表す
うかるくん

うかるくん

「ばや」と「なむ」は、どっちも「〜したい」じゃないの?

合格先生

合格先生

そこがいちばん大事なところ。「ばや」は自分が〜したい、「なむ」は相手に〜してほしい。願いの向きが反対なんだ。

サクラちゃん

サクラちゃん

「花見ばや」は「私は花を見たい」、「花咲かなむ」は「花よ、咲いてほしい」ってことだね!

ばや私自分が〜したい花見ばや(私は)花を見たいなむ私相手相手に〜してほしい花咲かなむ花が咲いてほしいばや=自分の願い、なむ=他への願いどちらも未然形につく
「ばや」は自分の願い、「なむ」は相手(人・もの)への願い

見せばやな雄島のあまの袖だにも濡れにぞ濡れし色は変はらず

(百人一首90番・殷富門院大輔(見せばやな))

現代語訳(涙で色の変わった私の袖を)お見せしたいものですよ。雄島の漁師の袖でさえ、濡れに濡れても色は変わらないのに。

ここがポイント「見せ」は下二段「見す」の未然形。「ばや」は自分の願望「〜したい」。下の「な」は詠嘆の終助詞で、「見せたいものだなあ」と気持ちを重ねています。
百人一首90番 殷富門院大輔の絵札(見せばやな 終助詞 ばや)
百人一首90番・殷富門院大輔の絵札。「見せばやな」は、自分の願望の終助詞「ばや」に、詠嘆の「な」がついた形です。画像:絵札「Hyakuninisshu 090」(パブリックドメイン、Wikimedia Commons)
ひらめいたうかるくん

うかるくん

「ばや」はぼくの願い、「なむ」はなにか・だれかへの願い。「ば=ぼく」「な=なにか」って覚えよう!

禁止の「な」は、今の「さわるな」とほぼ同じです。古文にはもう一つ、「な〜そ」と動詞をはさむ、やわらかい禁止の言い方もあります。わからないところは、受験掲示板「100点BBS」の〈古典文法のお勉強〉で質問できます。

ここまでのまとめ

  • 終助詞は文の終わりにつき、願望・禁止・詠嘆を表す
  • 「ばや」=自分が〜したい、「なむ」=相手に〜してほしい(どちらも未然形につく)
  • 「もがな」=〜があればなあ、「な」「な〜そ」=〜するな

しっかり(大学受験の基礎〜標準)

終助詞の一覧(意味・接続・訳し方)

終助詞意味接続訳し方例
ばや自己の願望未然形〜したい行かばや
なむ(なん)他への願望(あつらえ)未然形〜してほしい咲かなむ
てしが・にしが(てしがな・にしがな)自己の願望連用形〜したいものだ見てしがな
もがな(もが・もがも・がな)願望体言・形容詞の連用形・助詞など〜があればなあ・〜であればいいなあよしもがな
な禁止終止形(ラ変型は連体形)〜するなすな
な〜そ禁止(やわらかい)間に連用形(カ変・サ変は未然形)〜しないでくれな焼きそ
かな(かも)詠嘆体言・連体形〜だなあわが涙かな
な・は(文末)詠嘆文末の語〜なあ・〜よ移りにけりな
かし念押し文末(終止形・命令形など)〜よ・〜ね〜ぞかし

「かし」は文末で相手に念を押すことばで、「〜ぞかし」(〜なのだよ)の形がよく出ます。現代語の「さぞかし」にも名残があります。「かも」は奈良時代の詠嘆で、平安時代には「かな」がふつうになったと説明されます。

終助詞は「何形につくか」で決まる未然形ばや・なむ行かばや・行かなむ連用形てしが・にしが(+な)見てしがな(見たいなあ)終止形な(禁止)行くな(ラ変型は連体形)はさむな+連用形+そな行きそ(カ変・サ変は未然形)体言などもがな・かな体言・助詞など(かなは連体形にも)「なむ」は未然形、「てしが」は連用形。上の形を確かめる
終助詞の接続。「ばや・なむ」は未然形、「てしが・にしが」は連用形、禁止の「な」は終止形

願望の終助詞:ばや・なむ・てしが・もがな

いかでこのかぐや姫を得てしがな、見てしがな

(竹取物語・貴公子たちの求婚)

現代語訳なんとかしてこのかぐや姫を手に入れたいものだ、妻にしたいものだ。

ここがポイント「てしがな」は連用形(得・見)につく自己の願望。「いかで(なんとかして)」と組になることが多い形です。「見る」はここでは「妻にする・結婚する」の意味(現代語と意味がちがう古語)。

小倉山峰のもみぢ葉心あらば今ひとたびのみゆき待たなむ

(百人一首26番・貞信公(小倉山))

現代語訳小倉山の峰のもみじ葉よ、もしおまえに心があるなら、もう一度の行幸(天皇のおでまし)まで、散らずに待っていてほしい。

ここがポイント四段「待つ」の未然形「待た」+「なむ」なので他への願望。願う相手は「もみぢ葉」です。
百人一首26番 貞信公(藤原忠平)の絵札(待たなむ 願望の終助詞 なむ)
百人一首26番・貞信公の絵札。「みゆき待たなむ」は、もみじ葉に「待っていてほしい」と呼びかける、他への願望の「なむ」です。画像:絵札「Hyakuninisshu 026」(パブリックドメイン、Wikimedia Commons)

名にし負はば逢坂山のさねかづら人に知られでくるよしもがな

(百人一首25番・三条右大臣(藤原定方)「名にし負はば」)

現代語訳「逢って寝る」という名を持っているのなら、逢坂山のさねかずらよ、そのつるをたぐるように、人に知られずにあなたのもとへ来る方法があればいいのになあ。

ここがポイント体言「よし(方法)」+「もがな」で「〜があればなあ」。百人一首には「命ともがな」(54番)、「逢ふこともがな」(56番)、「長くもがなと」(50番)、「言ふよしもがな」(63番)と、「もがな」の歌がたくさんあります。

「もがな」は、奈良時代の「もが」「もがも」から生まれた形と説明されます。百人一首93番「世の中は常にもがもな」(世の中は)は、「もがも」に詠嘆の「な」がついた古い形です。中世には「も」が落ちた「がな」も使われます。

自分の願望は助動詞「まほし・たし」でも表せますが、こちらは活用するので「行かまほしき所」のように文中でも使えます。

禁止の終助詞:な・な〜そ

あやまちすな。心して降りよ。

(徒然草・第百九段(高名の木登り))

現代語訳しくじるな。気をつけて降りよ。

ここがポイントサ変「す」の終止形+「な」で禁止。木登りの名人のことばです。

武蔵野は今日はな焼きそ若草のつまもこもれりわれもこもれり

(伊勢物語・第十二段)

現代語訳武蔵野は今日は焼かないでおくれ。(若草のような)いとしい妻もかくれているし、私もかくれているのだから。

ここがポイント「な+連用形(焼き)+そ」の禁止。やわらかく頼む言い方です。
禁止の言い方は2つ① 終止形+な(強い禁止)今日は野を焼くな=焼くな!終止形② な+連用形+そ(やわらかい禁止)武蔵野は今日はな焼きそ連用形「焼かないでおくれ」と頼む(伊勢物語)「な」と「そ」で動詞をはさむ
禁止は「終止形+な」と「な+連用形+そ」の2つ

「な〜そ」の間に入るのはふつう連用形ですが、カ変・サ変は未然形が入り、「なこそ」(来ないで)「なせそ」(しないで)となります。敬語の動詞をはさんで「な〜たまひそ」となることもあります。文法上は、「な」を副詞、「そ」を終助詞とするのが一般的な説明です。

詠嘆の終助詞:かな・な・かし

花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに

(百人一首9番・小野小町(花の色は))

現代語訳桜の花の色は、むなしく色あせてしまったなあ。長雨が降り続いていた間に。(私の容姿も、もの思いをしていた間に衰えてしまったなあ。)

ここがポイント「けり」の終止形+「な」で詠嘆。文末の「な」が終止形の下にあっても、禁止(〜するな)では意味が通らないので詠嘆と決めます。

「かな」は百人一首に特に多く、「待ち出でつるかな」(21番)、「わが涙かな」(86番)、「月を見しかな」(59番)など、歌の最後でしみじみとした気持ちをまとめます。体言か連体形につくので、「つる」「し」はそれぞれ「つ」「き」の連体形です。和歌の表現は記事「和歌の修辞」も参考になります。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

終助詞は接続がいのち。「ばや・なむ」は未然形、「てしが」は連用形、禁止の「な」は終止形。上の語の形を見るクセをつけよう!

もっと深く(難関大・上級者)

1. 「なむ」の識別(4種類)

入試で最もねらわれるのが「なむ」の識別です。同じ「なむ」でも、すぐ上の語の形によって、まったく別のものになります。基本は助動詞「む」のページでも紹介していますが、ここでは終助詞の側から、まぎらわしい場合まで掘り下げます。

種類すぐ上の語意味・訳例
① 願望の終助詞未然形〜してほしい(他への願望)待たなむ(26番)・あらなむ(73番)
② 完了「ぬ」の未然形+推量・意志「む」連用形きっと〜だろう・〜してしまおう絶えなむ(63番)・朽ちなむ(65番)
③ 強意の係助詞体言・助詞・連用形など訳さない。文末は連体形(結び)竹なむ一筋ありける(竹取物語)
④ ナ変動詞の未然形の一部+「む」「死な」「往な(去な)」死のう・行こう(去ろう)いざ、往なむ(自作)
「なむ」を見たら、すぐ上の語を見る上が未然形?(行か・あら・咲か)はい願望の終助詞〜してほしいいいえ上が連用形?(行き・絶え・朽ち)はいぬ+むきっと〜だろういいえ上が体言・助詞など?(取っても文が通る)はい係助詞文末は連体形いいえ「死な・往な」+む?(ナ変の未然形)はいナ変+む死のう・行こう未然形=連用形の語は、文脈と位置で決める
「なむ」は、すぐ上の語の形で4つに分かれる

高砂の尾の上の桜咲きにけり外山の霞立たずもあらなむ

(百人一首73番・権中納言匡房(大江匡房)「高砂の」)

現代語訳高い山の峰の桜が咲いたことだ。手前の山の霞よ、どうか立たないでいてほしい(桜が見えなくなるから)。

ここがポイントラ変「あり」の未然形「あら」+「なむ」なので願望の終助詞。霞にあつらえ望んでいます。

今はただ思ひ絶えなむとばかりを人づてならで言ふよしもがな

(百人一首63番・左京大夫道雅(藤原道雅)「今はただ」)

現代語訳今となってはただ「あなたへの思いをきっぱり断ち切ってしまおう」ということだけを、人づてではなく直接言う方法があればいいのに。

ここがポイント「絶え」は下二段「絶ゆ」で、未然形も連用形も「絶え」。形では決まりません。思いを断つのは話し手自身なので、他への願望ではなく、完了「ぬ」の未然形「な」+意志「む」と判断します。

2. 未然形と連用形が同じ形のとき

四段・ラ変・ナ変は未然形(行か・あら・死な)と連用形(行き・あり・死に)の形がちがうので、すぐ決まります。ところが上一段・上二段・下一段・下二段は未然形と連用形が同じ形(見・起き・蹴・絶え)なので、「見なむ」「絶えなむ」だけでは決まりません。動詞の活用の種類を確かめたうえで、次の手がかりを使います。

形で決まらないときの4つの手がかり1下に体言が続く → ぬ+む恋に朽ちなむ名こそ(百人一首65番)2自分の行動 → ぬ+む(意志)今はただ思ひ絶えなむ(百人一首63番)3「なむや」 → ぬ+む(勧誘)とく帰りなむや(自作)4他にあつらえる → 願望外山の霞立たずもあらなむ(73番)願望の終助詞「なむ」は、文末で他への願い
形で決まらないときは、位置・主語・「なむや」・願う相手で判断する
  • 位置:願望の終助詞は文末にしか来ません。「恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ」(百人一首65番)は、下に体言「名」が続くので、「む」は連体形(婉曲・推量)で、全体は「ぬ+む」。「きっと朽ちてしまうであろう(私の)評判」です。
  • 主語・願う相手:終助詞「なむ」は他にあつらえ望むことば。話し手自身の行動なら「ぬ+む」の意志、人やものに向けた願いなら終助詞です。
  • 「なむや」:「なむや」「てむや」は「〜してくれないか」という勧誘・依頼で、「ぬ+む+や」と考えます(助動詞「む」)。

カ変・サ変は未然形と連用形がちがうので、「こなむ(来てほしい)/きなむ(きっと来るだろう)」「せなむ(してほしい)/しなむ(きっとするだろう)」と見分けられます。

3. 連用形の下でも係助詞になる「なむ」

「連用形の下なら ぬ+む」は、動詞の連用形に完了「ぬ」がつく場合の話です。次のような形は、上が連用形でも係助詞です。

  • 形容詞の「く」+なむ:「ぬ」は形容詞には補助活用(〜かり)からつくので、「よくなむありける」の「なむ」は係助詞。形容詞なら「よからなむ」(未然形=願望)、「よかりなむ」(連用形=ぬ+む)、「よくなむ」(係助詞)と、3つに分かれます(形容詞)。
  • 打消「ず」+なむ:「知らずなむありける」の「なむ」は係助詞。打消に完了をつけるときは「ざりぬ」の形になります(助動詞「ず」)。
  • 断定「なり」の連用形「に」+なむ:「〜になむありける」は「〜であった」で、係助詞(断定の「なり」)。
  • 接続助詞「て」+なむ:「泣きてなむ帰りける」(自作)のように、「て」の下の「なむ」も係助詞です。

確かめ方は、「なむ」を取り除いても文が成り立つか。成り立てば係助詞で、文末が連体形で結ばれているはずです(係り結び)。

名をば、さぬきの造となむいひける。

(竹取物語・冒頭)

現代語訳名前を、さぬきの造といった。

ここがポイント格助詞「と」の下の「なむ」は係助詞。結びは過去「けり」の連体形「ける」。「なむ」を取っても「さぬきの造といひけり」と文が通ります。

かばかりになりては、飛び降るるとも降りなん。

(徒然草・第百九段(高名の木登り))

現代語訳これくらい(の高さ)になったら、飛び降りてもきっと降りられるだろう。

ここがポイント「降り」は上二段「降る」の連用形(未然形と同じ形)。話し手が「きっと〜だろう」と推量しているので、「ぬ」の未然形「な」+推量「む(ん)」。他への願望ではありません。「なむ」が「なん」と書かれることもあります。

文末が「〜となむ。」で切れている場合は、係助詞の結びの省略(下に「言ふ」「聞く」などが略される)を考えます。

4. 「ばや」の識別:未然形+ば+や

「ばや」も、いつも終助詞とは限りません。文末にあって「〜したい」なら終助詞ですが、文中で、仮定の接続助詞「ば」+係助詞「や」のこともあります。百人一首29番「心あてに折らばや折らむ」(心あてに)は、「折らば(もし折るなら)」+「や(係助詞)」で、結びは「折らむ」(「む」の連体形)。「折りたい」ではなく「折るならば折ってみようか」です(接続助詞「ば」)。また、已然形+ば+や(「〜ので…か」)もあります。

終助詞「ばや」は、接続助詞「ば」と係助詞「や」が一つになって生まれた(「〜ば、や(よからむ)」のような言い方の後半が略された)と説明されることが多く、そのため接続が「ば」と同じ未然形になっています。成り立ちについては説が分かれます。

5. 「な」の識別と「そ」だけの禁止

「な」は、形と位置で4つに分けるあやまちすな終止形+な(文末)禁止の終助詞〜するなな焼きそな+連用形+そ禁止(な〜そ)〜しないでおくれ移りにけりな文末で感動詠嘆の終助詞〜なあ・〜よ寝なまし連用形+な+助動詞完了「ぬ」の未然形きっと〜・〜てしまう「な〜そ」の「な」は副詞、「そ」が終助詞
「な」は、禁止・な〜そ・詠嘆・完了「ぬ」の未然形に分かれる

「見せばやな」(90番)や「もがもな」(93番)は、終助詞の下にさらについた詠嘆の「な」です。また、平安時代の終わりごろからは、「な」を省いて「そ」だけで禁止を表す言い方も見られる、と説明されます。

サクラちゃん

サクラちゃん

「なむ」って、上の形を見ても決まらないことがあるんだね……。

合格先生

合格先生

だから入試でねらわれるんだ。①上の形 → ②文末かどうか → ③だれの行動かの順で考えれば、ほとんど解ける。取っても文が通るなら係助詞、も忘れずに。

うかるくん

うかるくん

「朽ちなむ名」は下に「名」があるから、終助詞じゃない。もう迷わないぞ!

よくあるまちがい

まちがい1:「なむ」をいつも「〜してほしい」と訳す

「〜してほしい」は未然形の下の終助詞だけ。連用形の下は「きっと〜だろう」(ぬ+む)、体言・助詞の下は係助詞です。

まちがい2:「ばや」と「なむ」の主語を取りちがえる

「ばや」は自分が〜したい、「なむ」は相手・ものに〜してほしい。訳に「私は」「〜よ」を補うと区別がはっきりします。

まちがい3:「な〜そ」の「な」を禁止の終助詞と答える

「な〜そ」は、「な」が副詞、「そ」が終助詞と説明するのが一般的です。間に入る動詞は連用形(カ変・サ変は未然形)。

まちがい4:文末の「な」をすべて禁止にする

「移りにけりな」のように、禁止では意味が通らない文末の「な」は詠嘆。

練習問題

やさしい

  1. 次の2つを訳し分けなさい(自作)。
    ① 月を見ばや。 ② 月出でなむ。
    答えと解説を見る

    ① 「(私は)月を見たい」。「ばや」は自己の願望。
    ② 「月が出てほしい」。下二段「出づ」の未然形「出で」+「なむ」で他への願望(月にあつらえ望む)。

  2. ( )に入る語を答えなさい(自作)。
    「この文、人に( )見せ( )。」(=この手紙を人に見せないでおくれ)
    答えと解説を見る

    「な」と「そ」。「な見せそ」で、な+連用形(見せ)+そ の禁止です。

ふつう

  1. 次の「なむ」を文法的に説明しなさい(自作)。
    ① 桜、とく咲かなむ。 ② 桜、やがて散りなむ。 ③ 桜なむ散りける。 ④ 我は今は死なむ。
    答えと解説を見る

    ① 未然形「咲か」の下で願望の終助詞(早く咲いてほしい)。② 連用形「散り」の下で完了「ぬ」の未然形+推量「む」(すぐにきっと散るだろう)。③ 体言「桜」の下で係助詞、結びは「ける」(連体形)。④ ナ変「死ぬ」の未然形「死な」の一部+意志「む」(死のう)。

  2. 「行く」を使って、①「行きたい」②「行ってほしい」③「行くな」を古文で表しなさい。
    答えと解説を見る

    ① 行かばや(未然形+ばや) ② 行かなむ(未然形+なむ) ③ 行くな(終止形+な)/な行きそ(やわらかい禁止)。

むずかしい

  1. 百人一首65番「恋に朽ちなむ名こそ惜しけれ」の「なむ」が願望の終助詞ではない理由を、2つの点から説明しなさい。
    答えと解説を見る

    ① 「朽ち」は上二段「朽つ」で未然形と連用形が同じ形なので、形だけでは決まらないが、「なむ」の下に体言「名」が続いている。終助詞は文末にしか来ないので、ここは「む」の連体形(婉曲・推量)。② 自分の評判が朽ちることを「〜してほしい」と願う内容でもない。よって完了「ぬ」の未然形「な」+推量「む」で、「きっと朽ちてしまうであろう評判」。

  2. 「心あてに折らばや折らむ」(百人一首29番)の「ばや」が終助詞でないことを、文の形から説明しなさい。
    答えと解説を見る

    「ばや」は文中にあり、文末が「む」の連体形「折らむ」で結ばれている。よって、未然形「折ら」+仮定の接続助詞「ば」+係助詞「や」(疑問)で、「(もし)折るならば折ってみようか」。終助詞「ばや」(〜したい)なら文末に来て、係り結びは起こらない。

関連ページ

願望の助動詞もふくめた全体の流れは、記事「古文の助動詞一覧」で、百人一首の歌は「百人一首 全百首」でまとめて読めます。

読みもの(合格大作戦の記事)

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よくある質問

「ばや」と「なむ」の違いは何ですか?

どちらも未然形につく願望の終助詞ですが、「ばや」は自分が「〜したい」、「なむ」は相手や物に「〜してほしい」という他への願望です。

「なむ」の識別はどうすればよいですか?

すぐ上の語を見ます。未然形なら願望の終助詞、連用形なら完了「ぬ」の未然形+「む」、体言や助詞などなら係助詞、「死な・往な」ならナ変動詞の一部+「む」です。

未然形と連用形が同じ形のとき、「なむ」はどう見分けますか?

願望の終助詞は文末にしか来ず、他への願望を表します。下に体言が続く、話し手自身の行動である、「なむや」の形である、といった場合は「ぬ+む」と考えます。

「な〜そ」とは何ですか?

「な+動詞の連用形+そ」で「〜しないでくれ」とやわらかく禁止する言い方です。カ変・サ変は未然形を入れ「なこそ」「なせそ」となります。

「もがな」の意味と接続は?

「〜があればなあ・〜であればいいなあ」という願望で、体言・形容詞の連用形・助詞などにつきます。百人一首の「くるよしもがな」「命ともがな」が有名です。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
  • 例文の本文:竹取物語(冒頭・貴公子たちの求婚)、徒然草(第百九段)、伊勢物語(第十二段)、百人一首(9・21・25・26・29・50・54・56・59・63・65・73・86・90・93番)。表記は読みやすいように一部改めています
  • 高校の古典文法の標準的な説明(終助詞の意味・接続、「なむ」の識別)にもとづいて作成。「ばや」の成り立ち、「な〜そ」の品詞、「そ」単独の禁止などは説明が分かれるため、本文中に「〜と説明される」と記した
  • 画像:百人一首の絵札「Hyakuninisshu 026」「Hyakuninisshu 090」(パブリックドメイン、Wikimedia Commons)

最終更新:2026年10月21日/作成:大学受験合格大作戦