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ひとことで言うと
古今異義語は、今も使うことばと同じ形なのに古文では意味がちがう語です。「うつくし=かわいらしい」「ありがたし=めったにない」のように、今の意味で読むとまちがうので注意します。
このページのポイント
- 古今異義語=形は今と同じ・意味がちがう古語(今の意味がわなになる)
- 代表:うつくし(かわいらしい)・ありがたし(めったにない)・おどろく(目をさます・気づく)・やがて(すぐに)
- 意味の動き方はせまくなる・ひろがる・時間がずれる・向きが変わる
- 覚え方は今の意味とセット+例文・百人一首+由来
はじめて(やさしく)
古文には、今も使うことばと同じ形なのに、意味がちがうことばがあります。たとえば「うつくし」は、今なら「きれい」ですが、古文では「かわいらしい」という意味です。このようなことばを古今異義語(古今異義語)といいます。「昔(古)と今で、意味(義)が異なることば」という意味です。
古文のことばは、大きく3つのグループに分けられます。①今と同じ意味のことば、②形は同じなのに意味がちがうことば、③今は使わないことば。いちばん気をつけたいのは②です。③は「知らないことば」だとすぐ気づけますが、②は知っていると思いこんで、今の意味のまま読んでしまうからです。
まなぶくん
「うつくし」が「かわいい」なの? 「美しい」と同じじゃないんだ。
合格先生
竹取物語で、竹の中から見つかった小さなかぐや姫のことを「いとうつくしうてゐたり」と書いているんだ。手のひらに乗るくらいの赤ちゃんだから、「とてもかわいらしい様子ですわっていた」と読むんだよ。
ハルちゃん
赤ちゃんに「きれい」より「かわいい」のほうがぴったり!
合格先生
そう。古文の「うつくし」は、小さいものをかわいいと思う気持ちなんだ。

ほかにも、「ありがたし」は「めったにない」、「おどろく」は「目をさます・はっと気づく」という意味です。今の「ありがたい(感謝したい)」「おどろく(びっくりする)」とはちがいます。

ハルちゃん
「知ってることば」ほど、あぶないんだね。知ってると思ったら、古文の意味を思い出すくせをつけよう!
中学受験・高校受験でも、「うつくし」「をかし」「あはれ」などの意味を選ぶ問題がよく出ます。単語をたくさん覚えたい人は、記事「古文単語 絶対覚えておきたい50語」で、意味と覚え方をまとめて確かめられます。
しっかり(大学受験の基礎〜標準)
古今異義語とは:代表的な語の一覧(現代語との比較表)
入試でよくねらわれる古今異義語を、現代語の意味とくらべてまとめます。「古文での主な意味」はいちばんよく出る意味で、文脈によってほかの意味になることもあります。
| 古語 | 古文での主な意味 | 現代語の意味(わな) |
|---|---|---|
| あはれ(なり) | しみじみと心が動く・しみじみとした趣がある | かわいそう |
| をかし | 趣がある・興味深い・かわいらしい | こっけいだ・変だ |
| うつくし | かわいらしい・いとしい | きれいだ |
| ありがたし | めったにない・(めったにないほど)すぐれている | 感謝したい |
| めでたし | すばらしい・立派だ | 祝うべきだ |
| おどろく | 目をさます・はっと気づく | びっくりする |
| ののしる | 大声で騒ぐ・評判になる | 悪口を言う |
| やがて | そのまま・すぐに | まもなく・そのうち |
| なかなか(に) | かえって・中途半端に | かなり・容易には(〜ない) |
| すさまじ | 興ざめだ・不調和でおもしろくない | ものすごい |
| さうざうし | もの足りない・さびしい | (「騒々しい」とは別の語) |
| いたづらなり | むなしい・むだだ | いたずら(悪ふざけ) |
| ながむ | もの思いにふける(ぼんやり見る) | 眺める |
| にほふ | 色が美しく映える・つややかに美しい | においがする |
| こころにくし | 奥ゆかしい・心ひかれる | 憎らしい |
| かなし(愛し) | いとしい・かわいい | 悲しい |
| あさまし | 驚きあきれる・意外だ | いやしい・なさけない |
| おとなし | 大人びている・思慮深い | 静かでおだやかだ |
このうち「あはれ」「をかし」は、平安時代の文学を語るときのかぎになることばです。「あはれ」は心の奥がしみじみと動く感動、「をかし」は明るく知的に「おもしろい・趣がある」と感じる気持ちで、枕草子は「をかし」の文学、源氏物語は「もののあはれ」の文学と説明されることがよくあります(本居宣長が源氏物語の本質を「もののあはれ」と論じたことで知られます)。
意味が変わった理由:4つのパターン
ことばの意味の動き方は、次の4つに分けると整理しやすくなります。
- せまくなる:「あはれ」は、うれしい・悲しい・美しいなど、しみじみ心が動くこと全体を表しました。今は「かわいそう」という同情の意味が中心です。
- ひろがる:「はなむけ」は、旅立つ人に贈る品物や宴のことでした。今は門出に贈る言葉にも使います。
- 時間がずれる:「やがて」は「そのまま・すぐに」と、間をおかないことを表しました。今の「やがて」は「しばらくして・まもなく」と、少し時間がたつ意味です。
- 向きが変わる:「ののしる」は「大声で騒ぐ」で、悪い意味とは限りませんでした(「評判になる」という意味もあります)。今は「悪口を言う」と、相手を責める意味になっています。
「はなむけ」は、旅立つ人の乗る馬の鼻を行き先の方へ向けて見送ったことから生まれたことばと説明されます。土佐日記には、船の旅なのに「馬のはなむけ」をした、という楽しい書き方があります。くわしくは記事「「はなむけ」の意味」で読めます。
例文で確かめる
三寸ばかりなる人、いとうつくしうてゐたり。
(竹取物語・冒頭)
現代語訳三寸(約9センチ)ほどの人が、とてもかわいらしい様子ですわっていた。
なにもなにも、小さきものはみなうつくし。
(枕草子・うつくしきもの)
現代語訳なんでもかんでも、小さいものはみなかわいらしい。
ありがたきもの。舅にほめらるる婿。
(枕草子・ありがたきもの)
現代語訳めったにないもの。妻の父にほめられる婿。
すさまじきもの。昼ほゆる犬。春の網代。
(枕草子・すさまじきもの)
現代語訳興ざめなもの。昼にほえる犬。春の網代(冬に魚をとるしかけが、春まで残っているもの)。
秋来ぬと目にはさやかに見えねども風の音にぞおどろかれぬる
(古今和歌集・秋上・藤原敏行)
現代語訳秋が来たと目にははっきりと見えないけれど、風の音に(秋が来たと)はっと気づかされたことだ。
日しきりにとかくしつつののしるうちに、夜更けぬ。
(土佐日記・十二月二十一日)
現代語訳一日じゅう、あれこれしながら大声で騒いでいるうちに、夜が更けてしまった。
藤原のときざね、船路なれど、馬のはなむけす。
(土佐日記・十二月二十二日)
現代語訳藤原のときざねが、船の旅なのに、馬のはなむけ(送別の宴)をする。
百人一首の歌の中の古語
百人一首にも古今異義語が多く、一語の読みちがいで歌全体の意味が変わります。
花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに
(百人一首9番・小野小町(花の色は))
現代語訳桜の花の色はむなしくあせてしまったなあ。長雨が降り続く間、私がこの世で過ごしながらもの思いにふけっていたうちに。

逢ふことの絶えてしなくはなかなかに人をも身をも恨みざらまし
(百人一首44番・中納言朝忠(逢ふことの))
現代語訳逢うということがまったくないのなら、かえって、あの人のことも自分のことも恨んだりしないだろうに。
いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほひぬるかな
(百人一首61番・伊勢大輔(いにしへの))
現代語訳昔の奈良の都の八重桜が、今日はこの九重(宮中)で美しく咲きほこっていることよ。
歌の意味や作者の話は、百人一首 全百首のページで一首ずつ確かめられます。45番「あはれともいふべき人は思ほえで身のいたづらになりぬべきかな」にも、「あはれ」(気の毒だ・かわいそうだ)と「いたづらになる」(むなしくなる=死ぬ)が出てきます。
もっと深く(難関大・上級者)
1. 古今異義語と「現代語にない古語」のちがい
古文単語は、古今異義語(形は今と同じ・意味がちがう)と、現代語にない古語(いと・つとめて・げに・むべ・あまた・いみじ・ゆかし など)に分けて考えると勉強しやすくなります。後者は見た瞬間に「知らない語だ」とわかるので、覚えてしまえば迷いません。前者は、知っていると思いこむこと自体がわなです。入試の選択肢では、古今異義語の現代語の意味がそのまま「まちがいの選択肢」として置かれることがよくあります。
なお、どの語をどちらに入れるかは、参考書によって少しゆれがあります。大切なのは分類よりも、今の感覚で読まないことです。
2. 一つの語に意味がいくつもある(多義語)
古今異義語の多くは、古文の中でも意味が一つではありません。「あはれ」はしみじみとした感動にも、悲しみ・同情にも、愛情にも使います。「をかし」は趣がある・かわいらしい・こっけいだ、のどれにもなり得ます(こっけいの意味もあるので、今の「おかしい」がいつもまちがいというわけではありません)。「なかなか」は副詞「かえって」のほか、形容動詞「なかなかなり」で「中途半端だ」の意味にもなります(品詞は品詞の見分け方)。最後は、主語・場面・登場人物の気持ちに合う意味を選びます。
3. 時代によって意味が動く
同じ古文でも、時代で意味がちがうことがあります。「うつくし」は、平安時代には「かわいらしい・いとしい」が中心でしたが、中世ごろから今と同じ「きれいだ」の意味でも使われるようになったと説明されます。「やがて」も、「そのまま・すぐに」から、近世以降に今の「まもなく」の意味が広まったとされます。作品の時代も、意味を決めるヒントになります。
4. 漢語の古今異義語
和語だけでなく、漢語にも古今異義語があります。難関大ではここもねらわれます。
| 漢語 | 古文での主な意味 | 現代語の意味 |
|---|---|---|
| 消息(せうそこ) | 手紙・便り・訪問して取り次ぎを頼むこと | 近況・ようす |
| 案内 | 事情・内容・取り次ぎを頼むこと | 道や場所を教えること |
| 心地 | 気分・病気・考え | (「〜心地」の形で)感じ |
| 念ず | がまんする・祈る | (念じる)心に強く思う |
| 世の中 | 男女の仲・世間 | 社会 |
「消息」の読みは歴史的仮名遣いで「せうそこ」と書かれます(読み方は歴史的仮名遣い)。
うかるくん
「ののしる」が昔はほめ言葉みたいに使われることもあったなんて、意外だなあ。
サクラちゃん
「世にののしる」で「世間で評判になる」だもんね。今の感覚で読んだら、悪口を言われてると思っちゃう。
合格先生
その「意外だ!」という気持ちが大事。ことばの意味がどう動いたかまで知ると、単語は忘れにくくなるよ。

合格先生
覚え方のコツは3つ。①今の意味とセットで覚える(うつくし=×きれい→○かわいい)、②例文や百人一首の歌ごと覚える、③由来(有り+難し、馬の鼻向け)を知る。大量に覚えるのは単語の記事、考え方はこのページで!
よくあるまちがい
まちがい1:知っている語を、今の意味のまま訳す
「ありがたし」を「感謝したい」、「おどろく」を「びっくりする」と訳すのが典型です。知っている語ほど一度立ち止まるのがコツです。
まちがい2:「さうざうし」を「騒がしい」と読む
「さうざうし」はもの足りない・さびしい。今の「騒々しい」とは別の語で、意味はほぼ反対です。
まちがい3:「にほふ」をいつも「におい」と読む
古文の「にほふ」は、色が美しく映えるという目で見る美しさにも使います。花の色や人の美しさの場面では、まず視覚の意味を考えます。
まちがい4:古文の意味を一つだけ丸暗記する
「あはれ」「をかし」などは意味がいくつもあります。中心の意味+場面で選ぶ、という順で考えましょう。
わからないことばがあれば、受験掲示板「100点BBS」の〈古典文法のお勉強〉や〈古文単語スレ〉で質問できます。
練習問題
やさしい
- 古文の「うつくし」の意味として正しいものを選びなさい。
ア きれいだ イ かわいらしい ウ おそろしい エ さびしい答えと解説を見る
イ(かわいらしい)。アの「きれいだ」は今の意味で、古文ではわなになります。
- 次の古語と、古文での意味を線で結びなさい。
① ありがたし ② おどろく ③ やがて
ア そのまま・すぐに イ めったにない ウ 目をさます・はっと気づく答えと解説を見る
①-イ、②-ウ、③-ア。どれも今の意味(感謝したい・びっくりする・まもなく)とはちがいます。
ふつう
- 「夜もすがら人々ののしりて、つひに眠らず。」(自作)を現代語に訳しなさい。
答えと解説を見る
「一晩じゅう人々が大声で騒いで、とうとう眠らなかった。」「ののしる」を「悪口を言う」と訳すのはまちがいです。
- 「文を見て、やがて返り事書きつ。」(自作)の「やがて」の意味を答え、今の「やがて」とのちがいを説明しなさい。
答えと解説を見る
古文の「やがて」はすぐに・そのまま(手紙を見て、すぐに返事を書いた)。今の「やがて」は「しばらくして・まもなく」で、少し時間がたつ意味です。
むずかしい
- 「宴果てて、人々みな帰りぬれば、いとさうざうし。」(自作)の「さうざうし」の意味を答え、「騒々しい」と読んではいけない理由を、文脈にふれて説明しなさい。
答えと解説を見る
意味はもの足りない・さびしい。宴が終わって人々が帰ったあとの場面なので、にぎやかさがなくなってさびしいと読むのが自然です。「騒々しい」と読むと、人がいなくなった場面と合いません。
- 百人一首44番「逢ふことの絶えてしなくはなかなかに人をも身をも恨みざらまし」の「なかなかに」を、今の「なかなか」の意味で訳すとどうおかしくなるか説明しなさい。
答えと解説を見る
古文の「なかなかに」はかえって。「逢うことがまったくないなら、かえって恨まないだろうに」と読みます。今の「なかなか(かなり・容易には)」で読むと、「かなり恨まない」のようになり、歌の気持ち(逢えたからこそ恨みが生まれる)がつながりません。
関連ページ
- 歴史的仮名遣い:「あはれ」「をかし」「さうざうし」などの読み方
- 品詞の見分け方:「なかなか」は副詞か形容動詞か
- 主語の補い方:意味を場面で決めるときの手がかり
- 活用形とは:「うつくしう」「ありがたき」の形を確かめる
- 係り結び:「風の音にぞおどろかれぬる」の「ぞ〜ぬる」
- 動詞の活用の種類と見分け方:「おどろく」「ののしる」は四段活用
- 古文常識(準備中)
- 古文文法辞典の目次
単語をまとめて覚えるなら、記事「古文単語 絶対覚えておきたい50語」へ。
読みもの(合格大作戦の記事)
- 古文単語の覚え方
入試に出る古文単語を、意味のつながりで覚える - 「はなむけ」の意味
土佐日記にも出てくる古語 - 百人一首 全百首
全首の現代語訳・品詞・修辞 - 枕草子「春はあけぼの」
冒頭の段を品詞から読む - 古典と古文のちがい
ことばの意味の整理 - 和歌の修辞
枕詞・序詞・掛詞・縁語・本歌取り
受験掲示板「100点BBS」で質問・相談しよう
- 古典文法のお勉強(スレ)(文法のわからない所を質問・答え合わせ)
- 古文単語スレ(古文単語の意味・覚え方)
- 中学受験掲示板(中学受験の国語・古文の相談)
- 高校受験掲示板(高校受験の国語・古文の相談)
- 国語の勉強掲示板(古文・漢文・現代文の勉強の相談)
よくある質問
古今異義語とは何ですか?
今も使うことばと同じ形なのに、古文では意味がちがう語です。「うつくし(かわいらしい)」「ありがたし(めったにない)」などがあります。
古今異義語の代表的な例は?
あはれ・をかし・うつくし・ありがたし・めでたし・おどろく・ののしる・やがて・なかなか・すさまじ・さうざうし・いたづらなり・ながむ・にほふなどです。
「さうざうし」は「騒々しい」という意味ですか?
ちがいます。古文の「さうざうし」は「もの足りない・さびしい」という意味で、「騒々しい」とは別の語です。
古今異義語はどう覚えればよいですか?
今の意味とセットで覚え、例文や百人一首の歌ごと覚え、由来(ありがたし=有り+難し など)も知ると忘れにくくなります。
中学受験や高校受験にも出ますか?
出ます。「うつくし」「ありがたし」「をかし」「あはれ」などの意味を選ぶ問題がよく出ます。
あわせて読みたい
出典・参考
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」国語、「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
- 例文の本文:竹取物語(冒頭)、枕草子(うつくしきもの・ありがたきもの・すさまじきもの)、古今和歌集(秋上・藤原敏行)、土佐日記(十二月二十一日・二十二日)、百人一首(9・44・45・61番)。表記は読みやすいように一部改めています。「自作」とした文は練習用の作例です
- 語の意味は高校の古語辞典・古典文法の標準的な説明にもとづいて作成。語源(ありがたし・はなむけ)は一般的な説明で、諸説があります
- 画像:「The Tale of the Bamboo Cutter - Discovery of Princess Kaguya」(17世紀、作者不明、パブリックドメイン、Wikimedia Commons)
- 画像:百人一首の絵札「Hyakuninisshu 009」(パブリックドメイン、Wikimedia Commons)
最終更新:2026年10月15日/作成:大学受験合格大作戦



