矛盾(むじゅん)の意味と由来|韓非子の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読むお話【故事成語】

矛盾(むじゅん)の意味と由来|韓非子の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読むお話【故事成語】

故事成語の一覧 › 『韓非子』

高校受験大学受験

矛盾むじゅん

ひとことで言うと

つじつまが合わないこと。どんな盾も突き通す矛と、どんな矛も防ぐ盾を、同じ人が自慢して答えにつまった話から。

読み方むじゅん
意味つじつまが合わないこと。前後で言うことが食い違うこと。2つのことが同時には成り立たないこと。
出典『韓非子』難一(同じ話が難勢にも)。原文の表記は「矛楯」
お話楚の国の商人が、矛も盾も「いちばん強い」と自慢し、「その矛でその盾を突いたら?」と聞かれて答えられなかった
似た言葉自家撞着・つじつまが合わない・食い違い
反対の言葉首尾一貫・終始一貫・言行一致
漢文の句法否定(莫・弗)・二重否定(無不)・疑問(何如)

このページのポイント

  • 「矛盾」はつじつまが合わないこと。2つのことが両方は成り立たないときに使います
  • 出典は『韓非子』。矛と盾を両方「最強」と自慢した楚の商人の話を、4こまのイラストで読めます
  • 原文には否定・二重否定・疑問・不可能の句法が全部入っていて、漢文の入門にぴったりです

「矛盾」の意味と読み方

「矛盾」はむじゅんと読みます。意味は「つじつまが合わないこと」「前に言ったこととあとで言ったこと(言うこととすること)が食い違うこと」です。2つのことが、同時には成り立たないときに使います。

「矛(ほこ)」は、長い柄の先にとがった刃をつけて相手を突く武器です。「盾(たて)」は、手に持って相手の攻撃を防ぐ防具です。攻める道具と守る道具という、役目が正反対の2つの字を組み合わせた言葉です。

矛と盾は、役目が正反対の道具矛(ほこ)突き通す=攻める盾(たて)防ぐ=守る※絵は分かりやすく描いたもの
矛は「攻める」道具、盾は「守る」道具。正反対の2つが、この言葉の中に入っています
うかるくん

うかるくん

「矛盾」って、ふだんもよく聞くけど、なんで「ほこ」と「たて」なんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

いいところに気がついたね。これは中国の昔の本『韓非子(かんぴし)』にある、矛と盾を売る商人の話から生まれた言葉なんだ。話を知ると、なぜ「つじつまが合わない」という意味になるのかが、すぐに分かるよ。

ふだんの言い方では、たとえば次のように使います。

  • ○彼の言うことは、昨日の話と矛盾している。
  • ○「早く寝なさい」と言いながら夜中までテレビを見るのは矛盾だ。
  • ○証言の矛盾を突かれて、犯人は言葉につまった。
その矛で、その盾を突いたらどうなる?突き通せた!「どんな矛も防ぐ盾」ではなかった盾の自慢がうそ突き通せない!「どんな盾も突き通す矛」ではなかった矛の自慢がうそどちらにしても、2つの自慢は両方は成り立たない=矛盾
「その矛でその盾を突いたら?」の答えは2通り。どちらでも、どちらかの自慢がうそになります

上の図のように、商人の2つの自慢はどちらか一方しか本当になりえません。「最強の矛」と「最強の盾」は、同じ世の中に両方は存在できないのです。この「両方は成り立たない」というところが、「矛盾」という言葉の中心の意味です。

曲がった細長い刃に金の線で模様が入った、緑色にさびた青銅の武器の刃
この話の時代(戦国時代)の青銅の武器。写真は「戈(か)」という、柄に横向きにつけて引っかける武器の刃で、金の模様が入っています。「矛」は、刃を柄の先にまっすぐつけて突く武器です。画像:「Dagger-axe blade (ge)」(中国・戦国時代、紀元前3世紀ごろ、メトロポリタン美術館蔵、パブリックドメイン)

絵で読む「矛盾」のお話

まずは話の流れを、4つの場面で見てみましょう。登場するのは、楚(そ)の国の商人と、それを見ていたある人だけです。とても短い話ですが、最後の一言で商人がだまってしまうところが見どころです。

絵で読む「矛盾」のお話(4こま)

矛と盾1盾を自慢するわたしの盾はかたくて突き通せるものはない!
1楚の国の市場で、矛と盾を売る商人が、まず盾を自慢します。「わたしの盾はかたくて、突き通せるものはない!」
矛と盾2矛を自慢するわたしの矛はするどくて、突き通せないものはない!
2次に矛を持ち上げて自慢します。「わたしの矛はするどくて、どんな物でも突き通せないものはない!」
3ある人がたずねるでは、あなたの矛であなたの盾を突いたらどうなりますか?
3見ていたある人がたずねます。「では、あなたの矛であなたの盾を突いたら、どうなりますか?」
4答えられない……あはは!其の人応ふる能はざるなり
4商人は答えられませんでした。2つの自慢は、両方本当ということはありえないからです。

商人は、売り物をよく見せようとして、盾も矛も「いちばん強い」と言ってしまいました。ひとつずつ聞けばよくある宣伝文句ですが、2つを並べたとたん、話がおかしくなることに気づいていなかったのです。

人差し指を立てて説明するミスターT先生

ミスターT先生

この話のポイントは、商人がうそをついたことより、「両方は本当になりえない」ことを言ってしまったところだ。だから「矛盾」は、「うそ」ではなく「つじつまが合わない」という意味になるんだね。

楚は、中国の戦国時代(紀元前5世紀〜紀元前3世紀)に南の長江流域にあった大きな国です。『韓非子』には楚の人が出てくる話がいくつかあり、「株を守る」(宋の人)のように、ある国の人の少しおかしな行動を例え話にするのが、この本の得意な書き方です。

「矛盾」の原文・書き下し文・現代語訳

中学・高校の教科書や問題集では、次の形で読むことが多いです(書き下し文は代表的な読み方の一例です)。1文ずつ、返り点と送り仮名をつけた訓読文で見ていきましょう。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方でくわしく説明しています。

白文(教科書で多い形)楚人有鬻盾与矛者。誉之曰、「吾盾之堅、莫能陥也。」又誉其矛曰、「吾矛之利、於物無不陥也。」或曰、「以子之矛、陥子之盾、何如。」其人弗能応也。

1文目:矛と盾を売る人がいた

書き下し文楚そ人ひとに盾たてと矛ほことを鬻ひさぐ者もの有り。

(『韓非子』難一(教科書で多い形))

現代語訳楚の国の人で、盾と矛とを売る者がいた。

ここがポイント「鬻ぐ(ひさぐ)」は「売る」という意味。「与(と)」は「AとBと」の「と」で、ひらがなで書き下します。上下点・一二点・レ点が全部出てくるので、返り点の練習にぴったりの1文です。

2文目:盾の自慢

書き下し文之これを誉ほめて曰いはく、「吾わが盾たての堅かたきこと、能よく陥とほすもの莫なきなり。」

(『韓非子』難一(教科書で多い形))

現代語訳その盾をほめて言うには、「わたしの盾のかたいことといったら、突き通せるものはない。」

ここがポイント「莫(な)し」は「〜ものはない」という否定の句法。「能く(よく)」は「〜できる」で、可能の句法の字です。「之(これ)」は、ここでは盾を指す代名詞。

3文目:矛の自慢

書き下し文又また其その矛ほこを誉ほめて曰いはく、「吾わが矛ほこの利ときこと、物に於おいて陥とほさざる無きなり。」

(『韓非子』難一(教科書で多い形))

現代語訳また、その矛をほめて言うには、「わたしの矛のするどいことといったら、どんな物でも突き通さないものはない。」

ここがポイント「無不〜(〜ざる無し)」は、打ち消しを2つ重ねて強い肯定にする二重否定の句法。「どんな物でも必ず突き通す」という意味になります。「利(と)し」は「するどい」。「於」の読み方は「於」の読み方と働きへ。

4文目:ある人の問い

書き下し文或あるひと曰いはく、「子しの矛ほこを以もつて、子しの盾たてを陥とほさば、何如いかん。」

(『韓非子』難一(教科書で多い形))

現代語訳ある人が言うには、「あなたの矛で、あなたの盾を突いたら、どうなるか。」

ここがポイント「子(し)」は「あなた」。「以(もつ)て」は「〜で(〜を使って)」。「何如(いかん)」は「どうであるか」と状態や結果をたずねる疑問の句法です。「如何(いかん)」は「どうしようか」と方法をたずねる言い方で、字の順番が逆なので入試でよく問われます。

5文目:答えられない

書き下し文其その人ひと応こたふる能あたはざるなり。

(『韓非子』難一(教科書で多い形))

現代語訳その人は答えることができなかった。

ここがポイント「弗(ず)」は「不」と同じ打ち消しの字。「能はず(あたはず)」で「〜できない」という不可能を表します。レ点が2つ続くので、下から順に「応ふる→能は→ざる」と返ります。
「矛盾」で覚える句法4つ莫能陥能く陥すもの莫し突き通せるものはない否定無不陥陥さざる無し突き通せないものはない二重否定何如何如(いかん)どうなるか疑問弗能応応ふる能はず答えられない否定+可能
「矛盾」の5文に出てくる句法は4つ。この話1つで、否定・二重否定・疑問・不可能が練習できます

原典(『韓非子』難一)の本文では

教科書の形は、読みやすいように少し整えられています。維基文庫(中国語のウィキソース)で見られる『韓非子』難一の本文では、次のような違いがあります。

『韓非子』難一の本文(句読点を補ったもの)楚人有鬻楯與矛者、譽之曰、吾楯之堅、物莫能陷也。又譽其矛曰、吾矛之利、於物無不陷也。或曰、以子之矛陷子之楯、何如。其人弗能應也。夫不可陷之楯與無不陷之矛、不可同世而立。
  • 「盾」が「楯」:原文は木へんの「楯(たて)」です。意味は同じです。
  • 「物莫能陷也」:盾の自慢に「物」が入り、「物の能く陥すもの莫きなり」(どんな物も突き通せない)と、矛の自慢とそろった形になっています。
  • 話の続き:教科書は「其の人応ふる能はざるなり」で終わることが多いですが、原文はこのあと「夫れ陥すべからざるの楯と、陥さざる無きの矛とは、世を同じくして立つべからず」(突き通せない楯と、何でも突き通す矛とは、同じ世に並び立つことはできない)と続きます。この一文が話のまとめです。

話のまとめの一文(原文の続き)

書き下し文夫それ陥とほすべからざるの盾たてと陥とほさざる無きの矛ほことは、世を同おなじくして立たつべからず。

(『韓非子』難一(原文は「楯」。ここでは「盾」で表示))

現代語訳そもそも、突き通すことのできない盾と、突き通さないものはない矛とは、同じ世の中に並び立つことはできない。

ここがポイント「不可〜(〜べからず)」は「〜できない」。「而」は読まない置き字で、ここでは「〜して」の送り仮名の働きをしています。
サクラちゃん

サクラちゃん

原文には「矛盾」っていう2字の言葉は出てこないんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

いい質問だ。難一の段の最後に「矛楯の説なり」(矛と楯の話と同じだ)という言い方が出てくる。この「矛楯」が、のちに「矛盾」と書かれるようになったんだ。日本でいつから「矛盾」と書くようになったかは、はっきりした資料が見つからなかったので、ここでは書かないでおくね。

出典『韓非子』と話の背景

「矛盾」の出典は『韓非子(かんぴし)』です。中国の戦国時代の終わりごろ、韓非(かんぴ)という思想家の考えをまとめた本です。韓非は、法律と賞罰で国を治めるべきだと考える「法家(ほうか)」の代表的な人物で、のちに中国を統一する秦の始皇帝も、その文章に感心したと伝えられています。法家と、孔子・孟子の儒家とのちがいは、諸子百家(儒家・道家・法家)の考え方で図にしています。

ガラスケースに展示された、開いた古い和とじの本と説明の札
博物館に展示された『韓非子』の本。清の光緒年間に出版されたもので、右のページに出版のいきさつが書かれています。画像:Huangdan2060 撮影「Hanfeizi or Han Feizi, Qing dynasty, Hunan Museum」(湖南省博物館、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)

韓非は、戦国七雄の一つ韓(かん)の国の王族の生まれで、儒家の荀子(じゅんし)に学んだと伝えられています。同じく荀子に学んだ李斯(りし)は、のちに秦の宰相になりました。韓非は話すことは苦手でしたが、文章は鋭かったと言われます。秦に使いとして行ったあと、そこで命を落としました。人の性質を「放っておくと悪くなる」と見た荀子の考え(性悪説)を受けつぎ、人の善意にたよらず、きまり(法)で国を治める考えを深めたのが韓非です。

『韓非子』には、たとえ話がたくさん出てきます。「株を守る」(切り株にうさぎがぶつかるのを待ち続けた農夫の話)や「逆鱗に触れる」なども、この本から生まれた言葉です。

韓非は何を言うために「矛と楯」を持ち出したのか

矛盾の話は、ただの笑い話ではありません。難一という篇の中で、儒家の考えに反論するための例えとして出てきます。

儒家の人々は、古代の聖人である堯(ぎょう)と舜(しゅん)を、どちらも理想の王としてほめました。ところが話の中で、舜は農民や漁師、焼き物の職人たちの争いや悪い品物を、一つずつ正して回ったことになっています。韓非の側は、ここに目をつけます。舜が正して回る必要があったのなら、そのとき天子だった堯の政治には、足りない所があったことになる。堯の政治がかんぺきだったと言うなら、舜が正す必要はなかったはずです。

韓非が「矛と盾」でたとえたこと堯(ぎょう)天子としてよく国を治めた舜(しゅん)人々の争いを正して回った+舜が正して回る必要があったのなら…堯の政治に足りない所があったことになる両方を同時にほめるのは矛と楯を両方自慢するのと同じ「矛楯の説」=両方は成り立たない
韓非は、堯と舜を両方ほめる儒家の言い方を、矛と楯を両方自慢する商人にたとえました

つまり、「堯もすばらしい」「舜もすばらしい」と両方をほめるのは、「この矛は何でも突き通す」「この楯は何も通さない」と両方を自慢するのと同じで、両方は成り立たないというわけです。難一の段は「今、堯・舜の両つながら誉むべからざるは、矛楯の説なり」とまとめています。さらにその先で、一人のすぐれた人が回って正すより、賞罰のきまりを作ったほうが早く国が治まるという、法家らしい主張へ進みます。

同じ形の話は、『韓非子』の難勢という篇にも出てきます。こちらでは「楚人」ではなく、ただ「人」として登場します。

「矛盾」の使い方と例文・似た言葉

「矛盾」は、名詞として「矛盾がある」「矛盾を感じる」、動詞として「矛盾する」の形でよく使います。2つのもの(言葉と言葉、言葉と行動、考えと考え)がぶつかって、両方は成り立たないときに使うのがポイントです。

  • ○犯人の言い分には、いくつもの矛盾がある。(話の中の食い違い)
  • ○「勉強は大事だ」と言いながら勉強しないのは矛盾している。(言葉と行動の食い違い)
  • ○便利さと自然を守ることの間で、矛盾に悩む。(2つの願いがぶつかる)
  • ○前の発言と矛盾しないように説明する。(打ち消しの形)
  • ○数学の証明で、仮定から矛盾が導かれたので、仮定はまちがいである。(背理法とは(数学用語))
  • ×宿題が多くて矛盾している。(「困っている」「大変だ」の意味では使わない)

数学の背理法は、「もし〜でないとすると、矛盾が起きる。だから〜である」と証明する方法です。「両方は成り立たない」という矛盾の考え方そのものを、証明に使っているのです。

矛盾似た言葉自家撞着つじつまが合わない食い違い自己矛盾少しちがう二律背反パラドックス反対の言葉首尾一貫終始一貫筋が通っている
似た言葉・反対の言葉。「二律背反」と「パラドックス」は、似ているけれど使い方が少しちがいます

似た言葉

  • 自家撞着(じかどうちゃく):自分の言うことやすることが、前とあとで食い違うこと。「自分の中の矛盾」に近い言葉です。
  • つじつまが合わない・食い違う:ふだんの言い方での「矛盾している」。
  • 二律背反(にりつはいはん):どちらも正しそうな2つの考えが、ぶつかり合うこと。「矛盾」が片方がまちがいになる場面でも使うのに対し、二律背反は両方に理由があるときに使います。
  • パラドックス(逆説):正しそうな理屈から、おかしな結論が出てくること。また、「急がば回れ」のように、一見おかしいけれど本当のことを言い当てた言葉。英語では、矛盾は contradiction、つじつまの合わなさは inconsistency と言います。

反対の言葉

  • 首尾一貫(しゅびいっかん):始めから終わりまで、考えや態度が変わらず筋が通っていること。
  • 終始一貫(しゅうしいっかん):始めから終わりまで、同じ態度をつらぬくこと。
  • 言行一致(げんこういっち):言うこととすることが同じであること。「言うこととすることの矛盾」の反対です。

「矛盾」のよくあるまちがい

「矛盾」の「盾」を書きまちがえない盾たて(部首:目)矛盾・後ろ盾○ これ循じゅん循環・悪循環× 矛循楯たて(きへん)原文の字・人名△ 昔の字今の日本語では「矛盾」と書きます
「盾」と形の似た「循」は別の字。原文の「楯」は「盾」と同じ意味の字です
  • 「盾」を「循」と書く:「循」は循環の「じゅん」で、ぎょうにんべんがつきます。「矛盾」の「盾」は部首が「目」の字です。字の形は「盾」の読み方・書き順・部首、「矛」の読み方・書き順・部首で確かめましょう。「循」の読み方・書き順・部首のページでも、右側が「盾」の形になっていることが分かります。
  • 「矛」を「予」と書く:「矛」は5画で、最後に左へはらう画があります。「予」とは別の字です。
  • 「うそ」という意味だと思う:矛盾は「2つが両方は成り立たない」ことです。1つのうそだけでは矛盾とは言いません。
  • 「困る」「大変」の意味で使う:「忙しくて矛盾している」は誤り。「忙しいのにひまだと言うのは矛盾している」のように、食い違う2つが必要です。
  • 漢文で「何如」と「如何」をまちがえる:「何如(いかん)」は「どうであるか」(状態・結果)、「如何(いかん)」は「どうしようか」(方法)。矛盾の話は「どうなるか」とたずねているので「何如」です。くわしくは疑問の句法(何・誰・安・何如・如何)へ。
うかるくん

うかるくん

「莫能陥」と「無不陥」、どっちが盾でどっちが矛か、こんがらがっちゃいます…。

ミスターT先生

ミスターT先生

盾は「突き通せるものは無い」(莫能陥)、矛は「突き通せないものは無い」(無不陥)。打ち消しが1つなら盾、2つなら矛、と覚えよう。二重否定は「必ず〜する」という強い言い方だから、何でも突き通す矛にぴったりなんだ。

入試ではこう出る

「矛盾」は、中学受験から大学受験まで、それぞれ形を変えて出てきます。

  • 中学受験:故事成語の意味を選ぶ問題、「むじゅん」を漢字で書く問題、「この話から生まれた言葉は何か」を答える問題。物語文や説明文の中の「矛盾した気持ち」の意味を問う問題にも出ます。
  • 高校受験:中学の教科書の漢文の入門で読むことの多い話なので、返り点をつける・書き下し文に直す・「何如」の意味・商人が答えられなかった理由を問う問題が中心です。高校受験の漢文の出方は高校受験の漢文(返り点・書き下し文の対策)にまとめています。
  • 大学受験:原文の「於物無不陥」のような二重否定、「弗能応」の不可能を訳す問題。評論文では「近代化の矛盾」「自己矛盾」のように抽象的な意味で出てきます。共通テストでの漢文の出方は共通テストの漢文(配点・時間配分)へ。
ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

商人が答えられなかった理由を書く問題は、「矛で盾を突き通せても、突き通せなくても、どちらかの自慢がうそになるから」と、2通りとも書くのがコツですね!

練習問題

やさしい

  1. 「矛盾」の意味として正しいものを選びましょう。
    ア とても困っていること イ つじつまが合わないこと ウ 強い武器を持つこと エ うそをつくこと
    答えと解説を見るイ。2つのことが両方は成り立たず、つじつまが合わないことです。エの「うそ」は、1つだけでは矛盾とは言いません。
  2. 「ほこ」「たて」を漢字で書きましょう。また、「たて」と形の似た「じゅん(循環のじゅん)」とのちがいを言いましょう。
    答えと解説を見る矛・盾。「循」はぎょうにんべんがつく別の字で、矛盾には使いません。

ふつう

  1. 「以子之矛、陥子之盾、何如。」を書き下し文に直しましょう。
    答えと解説を見る子の矛を以て、子の盾を陥さば、何如。「子」は「あなた」、「何如(いかん)」は「どうであるか」。
  2. 「其人弗能応也」とありますが、商人はなぜ答えられなかったのですか。
    答えと解説を見る矛で盾を突き通せたと答えれば盾の自慢が、突き通せないと答えれば矛の自慢が、うそになってしまうから。どちらに答えても、2つの自慢が両方は成り立たないことを認めることになるからです。

むずかしい

  1. 「吾矛之利、於物無不陥也」の「無不陥」は何という句法ですか。句法の名前と、文全体の現代語訳を答えましょう。
    答えと解説を見る二重否定(〜ざる無し=必ず〜する)。訳は「わたしの矛のするどいことといったら、どんな物でも突き通さないものはない(どんな物でも突き通す)」。
  2. 『韓非子』難一で、韓非の側はこの話を何のたとえとして使っていますか。
    答えと解説を見る儒家が、堯と舜を両方とも理想の王としてほめることのたとえです。舜が世の中を正して回ったのなら堯の政治に欠けた所があったことになり、両方をほめるのは矛と楯を両方自慢するのと同じで成り立たない、という議論です。

「矛盾」とあわせて覚えたい関連ページ

『韓非子』から生まれた故事成語(絵で読む)

次の語:蛇足の意味と由来 →

読みもの(合格大作戦の記事)

受験掲示板「100点BBS」で質問・相談しよう

よくある質問

矛盾の意味を簡単に言うと何ですか?

つじつまが合わないことです。前に言ったこととあとで言ったこと、言うこととすることのように、2つのことが同時には成り立たないときに使います。

矛盾の由来となった話はどんな話ですか?

『韓非子』にある話です。楚の国の商人が、どんな物も突き通す矛と、どんな物も防ぐ盾を同時に自慢し、「その矛でその盾を突いたらどうなるか」と聞かれて答えられませんでした。

矛盾の出典は何ですか?

中国の戦国時代の思想家・韓非の考えをまとめた『韓非子』です。難一という篇にあり、同じ形の話が難勢という篇にも出てきます。原文では「矛楯」と書かれています。

矛盾の書き下し文で「何如」は何と読みますか?

「いかん」と読み、「どうであるか」と状態や結果をたずねる意味です。「子の矛を以て、子の盾を陥さば、何如」は「あなたの矛であなたの盾を突いたらどうなるか」という意味になります。

矛盾の反対の言葉は何ですか?

首尾一貫・終始一貫・言行一致などです。どれも、考えや言うこと・することが、始めから終わりまで食い違わないことを表します。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 原文:『韓非子』難一・難勢(維基文庫の本文で確認。教科書で多い形は、読みやすいように字や句読点を整えたもの)
  • 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(教科書で多い読み方をもとにした一例)
  • 写真:メトロポリタン美術館(Open Access、パブリックドメイン)、Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
  • お話の絵・図:合格大作戦

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦