漢文の勉強法【高校受験・共通テスト・二次】何をどの順で?句法の覚え方・1日の時間・時間配分

漢文の勉強法【高校受験・共通テスト・二次】何をどの順で?句法の覚え方・1日の時間・時間配分

漢文文法・句法辞典 › 入門

高校受験大学受験難関大

ひとことで言うと

漢文は「訓読のしくみ→返り点・書き下し文→置き字・再読文字・返読文字→句法→重要語→実戦」の順に勉強します。句法は例文ごと声に出して覚え、毎日短い時間でくり返すのがいちばんの近道です。

このページのポイント

  • 勉強の順番は しくみ→返り点・書き下し→特別な字→句法→重要語→実戦
  • 句法は型・書き下し・訳を1組にして、例文ごと声に出して覚える
  • 時間の目安:中学生は1日10〜15分、大学受験生は1日20〜30分(あくまで目安。毎日続けることが大事)
  • 共通テストは設問を先に見る・自分の時間配分を模試で決める
  • 二次は書き下し・現代語訳・説明の記述を、採点ポイントを意識して練習する

はじめての人の漢文勉強法(高校受験・入門)

結論:漢文は「しくみ→返り点→特別な字→句法」の順

漢文の勉強は、順番がすべてです。いきなり句法の一覧を丸暗記しようとしても、返り点や書き下し文のきまりがあやふやだと、例文が読めずに挫折します。おすすめの順番は次の6段です。

漢文の勉強ロードマップ(この順で)1しくみ白文・訓読文・書き下し文2読む順番返り点・書き下し文のきまり3特別な字置き字・再読文字・返読文字4句法否定・疑問・反語・使役など5重要語与・以・為などの読みと意味6実戦漢詩・故事成語・問題演習①〜③が土台。ここを飛ばすと句法が覚えられない
漢文の勉強ロードマップ。①〜③の土台を固めてから、④句法・⑤重要語・⑥実戦へ
  1. しくみ:漢文は昔の中国の文章を日本語として読む「訓読」だと知る。白文・訓読文・書き下し文の3段を区別する(漢文とは(白文・訓読文・書き下し文))。
  2. 読む順番:レ点・一二点・上下点で読む順番がわかり、書き下し文が書けるようにする(返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方・書き下し文のきまり・送り仮名と訓読のことば)。
  3. 特別な字:読まない字、2回読む字、かならず返る字を覚える(置き字(而・於・矣)・再読文字(未・将・当・応)の一覧・返読文字(有・無・不・難))。
  4. 句法:否定・疑問・反語・使役・受身・比較・仮定・限定・抑揚・詠嘆などの「型」を、例文ごと覚える。
  5. 重要語:「与・以・為・自・而・則・乃」など、読み方と意味がいくつもある字を覚える。
  6. 実戦:漢詩・故事成語・思想の話などの文章を読み、問題を解く。

漢文は、古文にくらべて覚える量が少なめだとよく言われます。日本語の文法を一から覚える古文とちがい、漢文は「返り点のきまり」と「句法の型」がわかれば、読める文がぐんと増えるからです。そのぶん、土台(①〜③)を飛ばすと何も読めないのが漢文の特徴でもあります。中国語の文の組み立て(主語・述語・目的語)を知っておくと、②〜④が楽になります(漢文の語順(主語・述語・目的語・補語))。

高校受験(中学生)の漢文の勉強法

高校入試の国語では、漢文は古典の問題の一部として出ることが多く、返り点(レ点・一二点)と書き下し文、故事成語、漢詩の形式(絶句・律詩、押韻・対句)、論語が中心です。次の順で進めましょう。

  1. 返り点:レ点と一二点の読み方を、読む順番の番号を書きこみながら練習する。
  2. 書き下し文:「不」を「ず」にするなど、ひらがなにする字と、歴史的仮名遣いに注意して書く練習。
  3. 故事成語:矛盾・蛇足・漁夫の利・五十歩百歩・推敲などを、もとの話といっしょに覚える(故事成語の一覧(意味・由来・出典))。
  4. 漢詩:五言・七言、絶句(4句)・律詩(8句)の区別、押韻(句の終わりの字の響きをそろえる)と対句を確かめる。
  5. 教科書の漢文:教科書に出た論語や漢詩は、書き下し文を声に出して覚えるくらい読む。

中学生なら、漢文だけで1日10〜15分、2〜4週間ほど続ければ、教科書レベルの返り点と書き下し文はひととおり身につくはずです(あくまで目安です。学校の進み方や得意・不得意で変わります)。古文といっしょに勉強するなら、古文文法辞典の高校受験の古文の勉強法も参考にしてください。

1日の勉強時間の目安

漢文は、長い時間を1回より、短い時間を毎日のほうが身につきます。句法は「見たことがある」だけでは使えず、何度も声に出して口がおぼえるまで続けることが大事だからです。大学受験生なら、まずは1日20〜30分を目安に、次のようなメニューを回してみましょう。

1日30分のメニュー例(目安)5分10分5分10分音読昨日の例文を声に出す(5分)新しく覚える句法か重要語を1〜2個(10分)書き下す例文をノートに書き下す(5分)確かめる練習問題・答え合わせ(10分)中学生・忙しい日は半分の15分でもよい
1日30分のメニュー例。時間は目安で、忙しい日は半分でもよい。毎日続けることがいちばん大事

勉強のはじめに漢文をする意味を、孔子はこう言っています。

高校受験

白文学而時習之、不亦説乎。

書き下し文学びて時に之を習ふ、亦また説よろこばしからずや。

(『論語』学而)

現代語訳学んだことを、機会があるたびにくり返し習って身につける。なんとうれしいことではないか。

ここがポイント『論語』のいちばん最初の言葉。「時に」は「機会あるごとに」。一度覚えたことをくり返して自分のものにするのが勉強の喜びだ、という意味で、漢文の句法の覚え方そのものです。「不亦〜乎」(なんと〜ではないか)は詠嘆の句法。読む順番は返り点のページでくわしく説明しています。
まなぶくん

まなぶくん

漢文って、漢字ばっかりで何が書いてあるのか全然わからないです…。何から始めればいいですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

まずは返り点だ。レ点と一二点の2つがわかれば、教科書の漢文はほとんど読める。字の横に読む順番の番号を書きこんで、声に出して読んでごらん。

ハルちゃん

ハルちゃん

声に出すんですか? 黙って読むのじゃだめ?

ミスターT先生

ミスターT先生

漢文の書き下し文には「〜ずや」「〜んや」のような決まったリズムがある。声に出すと、耳と口でリズムを覚えられるんだ。昔の子どもも、意味より先に声で覚える「素読(そどく)」で漢文を学んだと伝えられているよ。

親指を立てるミスターT先生

ミスターT先生

まず返り点→書き下し文。ここまでなら中学生でも2〜4週間が目安だ。焦らず、毎日10分から始めよう。

ここまでのまとめ

  • 勉強の順番は「しくみ→返り点・書き下し→置き字・再読文字・返読文字→句法→重要語→実戦」
  • 高校受験は返り点・書き下し文・故事成語・漢詩の形式・論語が中心
  • 1日短い時間を毎日。時間はあくまで目安で、続けることがいちばん大事

共通テストの漢文勉強法

受験別の勉強の順番

高校受験・共通テスト・国公立二次では、必要な力が少しずつちがいます。ただし左の列が右の列の土台になっているので、上の学年の目標でも、順番は同じです。

受験別:勉強の順番高校受験返り点書き下し文故事成語漢詩の形式論語共通テスト返り点・書き下し置き字・再読文字句法重要語過去問・演習国公立二次共通テストの範囲白文の音読書き下し記述現代語訳記述説明記述上から順に。左の列は右の列の土台になる
受験別の勉強の順番。高校受験の内容が共通テストの土台、共通テストの内容が二次の土台になる

期間の目安:いつまでに何をするか

大学受験の漢文:期間の目安高1〜高2授業の復習で、しくみ・返り点・句法を一通り高3 春〜夏句法と重要語を仕上げ、問題集を1冊高3 秋共通テストの過去問・予想問題高3 冬時間を計って演習・二次の記述あくまで目安。遅れても、短期間で追いつきやすい
大学受験の漢文の期間の目安。早く始めるほど楽だが、遅れても短期間で追いつきやすい

共通テストの漢文は、句法と重要語の知識で解ける問題が多いのが特徴です。目安として、高3の夏までに句法をひととおり終え、秋から過去問・予想問題で時間内に解く練習をするとよいでしょう。句法を一通り覚えるのにかかる時間は人によってちがいますが、1日20〜30分なら1〜2か月がひとつの目安です。苦手な人ほど、問題集を何冊も手を出すより、1冊の句法の例文をくり返すほうが効果が出ます。

句法の覚え方:声に出す・例文ごと

句法(くほう)は、漢文の「決まった言い方」です。たとえば「不亦〜乎」は「亦た〜ずや(なんと〜ではないか)」、「未〜」は「未だ〜ず(まだ〜ない)」。英語の熟語やイディオムに近いものです。覚え方のコツは3つです。

  1. 型と訳をセットで覚える:「不亦〜乎=亦た〜ずや=なんと〜ではないか」のように、白文の型・書き下し・訳の3つを1組にする。
  2. 例文ごと覚える:型だけでなく、短い有名な例文を1つ選び、その例文で思い出せるようにする。
  3. 声に出して覚える:書き下し文を3回音読する。「〜ずや」「〜んや」「〜ざるべけんや」のリズムは、目より口のほうが早く覚える。
句法は「例文ごと」くり返す1つの句法を4日でまわす①声に出す例文を3回音読②型を書く「不A不B」など③書き下す白文から自力で④次の日に確認言えなければ①へ
句法は「声に出す→型を書く→書き下す→次の日に確認」の4ステップでくり返す

たとえば、次の『論語』の一節は「〜不如…(〜は…に及ばない)」という比較の句法の例文として、そのまま覚えてしまうのがおすすめです。

大学受験

比較「不如」

書き下し文之を知る者は之を好む者に如しかず、之を好む者は之を楽しむ者に如しかず。

(『論語』雍也)

現代語訳あることを知っている人は、それを好きな人にはかなわない。それを好きな人は、それを楽しんでいる人にはかなわない。

ここがポイント「A不如B」で「AはBに如かず(AはBに及ばない)」。勉強も「楽しむ」のがいちばん強い、という言葉です。ことわざ「好きこそものの上手なれ」との関係は記事「「好きこそものの上手なれ」と論語「楽しむ者に如かず」」で読めます。
大学受験

勉強のしかたの言葉

書き下し文学びて思はざれば則すなはち罔くらし、思ひて学ばざれば則すなはち殆あやふし。

(『論語』為政)

現代語訳学んでも自分で考えなければ、(知識が)はっきりせず身につかない。考えるだけで学ばなければ、(独りよがりで)危なっかしい。

ここがポイント「〜ざれば則ち…」は「〜しなければ…」という仮定の形。覚える(学ぶ)だけでも、考えるだけでもだめという教えで、句法の暗記と問題演習を組み合わせる勉強法にそのまま当てはまります。「而」は置き字なので書き下し文に書きません。
大学受験

再読文字「猶」

書き下し文過ぎたるは猶なほ及ばざるがごとし。

(『論語』先進)

現代語訳やりすぎは、足りないのと同じようなものだ。

ここがポイント「猶」は再読文字で、「猶ほ〜(の・が)ごとし」と2回読みます(再読文字の一覧)。番号が2つつくのがしるし。故事成語の過ぎたるは猶及ばざるが如しのもとの言葉です。勉強も、徹夜のしすぎは逆効果ですね。

白文の音読と、故事成語・漢詩で慣れる

句法を覚えたら、まとまった文章を読む練習に進みます。いきなり入試の長い文章ではなく、故事成語のもとの話や有名な漢詩から始めると、話の筋を知っているぶん読みやすく、楽しく続けられます。故事成語は150語を故事成語の一覧(意味・由来・出典)に、四字熟語は四字熟語の一覧にまとめています。

大学受験

故事成語「虎穴に入らずんば虎子を得ず」

書き下し文虎穴に入らずんば、虎子を得ず。

(『後漢書』班超伝)

現代語訳虎のすむ穴に入らなければ、虎の子を手に入れることはできない。

ここがポイント前後の句が同じ形(レ点+一二点)。故事成語は「意味」だけでなくもとの漢文の書き下しまで覚えておくと、句法の例文にもなって一石二鳥です。
高校受験

漢詩で慣れる

書き下し文春眠暁を覚えず、処処啼鳥を聞く。

(孟浩然「春暁」)

現代語訳春の眠りは心地よく、夜が明けたのにも気づかない。あちこちで鳥のさえずる声が聞こえる。

ここがポイント中学でも習う五言絶句の最初の2句。有名な漢詩は暗唱できるまで音読すると、レ点が続く形(暁→覚→不)や一二点が自然に身につきます。漢詩は句の数(絶句は4句・律詩は8句)と、押韻・対句もあわせて確かめましょう。

共通テストの漢文:時間配分の考え方

2025年度からの共通テストの国語は、試験時間が90分で、漢文はそのうちの大問1題です(配点や大問の構成は、受験する年度の大学入試センターの発表で必ず確かめてください)。漢文は文章が短く、句法の知識で解ける問題が多いので、時間をかけすぎないことが大切です。

共通テストの漢文:時間の使い方の例さっと設問をざっと見る何が問われるか(語・書き下し・内容)さっとリード文・注を読む登場人物と場面をつかむじっくり本文を読む句法に印をつけながらじっくり設問を解く書き下し×解釈は消去法もさっと見直し迷った問題だけ本文を読む・設問を解くに時間をかける実際の分数は模試・過去問で自分に合わせて決める
共通テストの漢文の時間の使い方の例。分数は決めつけず、模試・過去問で自分の配分を作る
  • 何分かけるかは自分で決める:目安として15〜20分ほどで解く人が多いようですが、現代文や古文の得意・不得意で変わります。模試や過去問で何度か計って、自分の配分を決めておきましょう。
  • 解く順番を決めておく:漢文を先に解いて時間を残す人も、最後に回す人もいます。どちらでもよいので、本番で迷わないように事前に決めます。
  • 設問から先に見る:「書き下し文と解釈の組み合わせ」「語の意味」「返り点のつけ方」など、何が問われるかを先に知ると、本文を読みながら答えの見当がつきます。
  • 書き下し×解釈の問題は消去法も:再読文字や反語の読み方がまちがっている選択肢を先に消すと、速く正確に選べます。
  • 複数の文章・漢詩:漢詩や、2つの文章を読みくらべる問題も出ます。漢詩は対句・押韻の知識、複数の文章は「何が同じで何がちがうか」に注目します。

共通テスト全体の計画の立て方は「共通テストの勉強法(高1・高2・高3の計画)」、古文は古文文法辞典の共通テストの古文の勉強法も参考になります。

うかるくん

うかるくん

共通テストの漢文、句法を覚えたのに、時間が足りなくなるんです。

ミスターT先生

ミスターT先生

本文を全部わかってから設問に行こうとしていないかな? 設問を先に見て、問われている所に印をつけながら読むと速くなる。それと、句法を見た瞬間に書き下しと訳が口から出るまで音読しておくことだ。

国公立二次・難関私大の漢文勉強法

二次の漢文は「記述」で差がつく

国公立大学の二次試験や難関私大では、書き下し文・現代語訳・説明(内容・理由)を自分の言葉で書く記述問題が中心になります。選択肢を選ぶ共通テストとちがい、あいまいな理解では点にならないのが特徴です。共通テストの範囲(句法・重要語)を確実にしたうえで、次の3つを練習します。

二次の記述:3種類の採点ポイント書き下し返り点どおりの順・歴史的仮名遣いひらがなにする字・置き字は書かない現代語訳句法を型どおりに訳す(反語など)省かれた主語・目的語を補う説明本文の語句を使う・対句や比喩を言いかえ理由は「〜から」で結ぶ答えを書いたら、採点者の目で1つずつチェック
記述の3種類の採点ポイント。書いた答案を、採点者の目でチェックする習慣をつける

1. 書き下し文の記述

書き下しは、知識があれば満点がとれる問題です。次の点で減点されないようにします(書き下し文のきまり(ひらがなにする字))。

  • 返り点どおりの順番(とくに一レ点・上下点)
  • 歴史的仮名遣い(思ふ・言ふ・答へて など)
  • 助詞・助動詞にあたる字はひらがな(不→ず、也→なり、之→の、与→と、可→べし、使→しむ など)
  • 置き字は書かない、再読文字は2回目をひらがなで書く
  • 送り仮名が省かれた白文では、文法的に正しい送り仮名を自分で補う
難関大

置き字に注意

書き下し文三人行けば、必ず我が師有り。

(『論語』述而)

現代語訳三人で行動すれば、(その中に)かならず自分の手本となる人がいる。

ここがポイント文末の「焉」は置き字で、書き下し文には書きません。「有」は下から返って読む返読文字。「三人行へば」と読む本もあります。二次では、こうした書かない字・返る字の扱いがそのまま採点ポイントになります。

2. 現代語訳の記述

現代語訳では、句法を正しく訳せているかが最大のポイントです。反語なら「どうして〜か、いや〜ない」、使役なら「〜に…させる」、受身なら「〜に…される」と、型どおりの訳を入れます。そのうえで、漢文で省かれている主語や目的語を補い、日本語として自然な文に整えます。まず逐語訳(1語ずつ訳す)を作ってから、自然な日本語に直すと、句法の訳もれがなくなります。

3. 説明の記述(内容・理由)

説明問題では、本文のどの部分が答えの根拠かを探し、その語句を使って答えます。漢文は対句やたとえ話で主張を述べることが多いので、「何を何にたとえているか」「対句の前半と後半で何が対立しているか」を言いかえると、答案の骨組みができます。理由を問われたら文末を「〜から」「〜ため」で結びます。

4. 白文の音読と、白文に返り点をつける練習

二次では、白文(返り点のない文)を読ませたり、白文に返り点をつけさせたりする問題もあります。ふだんから次の3段階で音読すると、白文に強くなります。

白文の音読:3段階で1段目訓読文を見て音読返り点・送り仮名どおりに2段目書き下し文を音読リズムを体に入れる3段目白文を見て音読返り点なしで読めるか白文がすらすら読めれば、二次の訓読問題に強くなる
白文の音読は「訓読文→書き下し文→白文」の3段階。最後は返り点なしで読めるかを試す

白文に返り点をつけるときは、まず読む順番の番号を字の横にふり、1字だけ戻るところにレ点、2字以上戻るところに一二点、とつけていきます(返り点のつけ方の手順)。「不・無・有・使・為・於」など、下から返って読むことが多い字に目をつけるのが近道です。

難関大

白文から読む練習

白文温故而知新、可以為師矣。

書き下し文故きを温めて新しきを知れば、以もつて師と為なるべし。

(『論語』為政)

現代語訳昔のことを学び直して、そこから新しいことを知るならば、人の師となることができる。

ここがポイントまず白文「温故而知新可以為師矣」だけを見て読めるか試し、次に訓読文で確かめましょう。「可以〜」は「以て〜べし(〜できる)」という言い方で、一二三点の練習にもなります。四字熟語「温故知新」のもと。白文から読む力は、二次の訓読問題にそのまま生きます。

5. 漢詩・思想・古文とのつながり

難関大では、漢詩(絶句・律詩の形式、押韻・対句)や、儒家(孔子・孟子)・道家(老子・荘子)などの思想の考え方を知っていると、本文の主張が読みやすくなる問題が出ます。また、書き下し文は古文の文法(歴史的仮名遣い・助動詞)で書くので、古文の文法の力が漢文の記述の力になります(古文文法辞典(動詞・助動詞・係り結び・敬語))。京大のように、漢文訓読の文体で書かれた明治の文語文を出す大学もあります(京大国語 文語文(明治擬古文)の勉強法)。

江戸時代の絵師が描いた孔子の肖像画。冠をかぶり、白い衣を着た孔子が、ひじかけのある椅子の前に立っている
江戸時代の絵師・狩野典信(かのう・みちのぶ)が描いた孔子像(1784年)。『論語』は孔子とその弟子たちの言葉を集めた本で、日本でも長く学問の基本の書として読まれてきました。画像:狩野典信「孔子像」(1784年、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)
サクラちゃん

サクラちゃん

二次の現代語訳、なんとなく意味はわかるのに、点数がもらえないんです。

ミスターT先生

ミスターT先生

採点者が見ているのは句法の訳が入っているかと省略された主語・目的語を補ったかだ。「なんとなく」の訳は、反語を疑問で訳したり、使役の「させる」が抜けたりしがち。まず逐語訳を作ってから整えてごらん。

サクラちゃん

サクラちゃん

逐語訳→自然な日本語、の2段階ですね。やってみます!

本を開いて説明するミスターT先生

ミスターT先生

二次の漢文は知識×記述。句法の型を確実にして、答案を採点者の目で見直す習慣をつければ、得点源にできるよ。

漢文の勉強でよくある失敗

失敗1:返り点・書き下しを飛ばして句法の暗記から始める

句法の例文が読めないので、覚えてもすぐ忘れます。まず返り点と書き下し文のきまりを固めましょう。

失敗2:句法を「型」だけで覚え、例文で覚えない

「不亦〜乎=詠嘆」と記号のように覚えても、本文の中で気づけません。短い例文ごと、声に出して覚えます。

失敗3:目で読むだけで、音読しない

書き下し文のリズム(〜ずや・〜んや・〜ざらんや)は、声に出すと早く身につきます。1日5分でも音読を入れましょう。

失敗4:共通テストで漢文に時間をかけすぎる

本文を完全に理解してから設問へ、と考えると時間が足りません。設問を先に見る、自分の時間配分を模試で決めておくことが大切です。

失敗5:二次の記述で、歴史的仮名遣いや置き字のミスをする

知識はあるのに減点される、いちばんもったいない失敗です。書いたあと「仮名遣い・ひらがなにする字・置き字・再読文字」の4点を必ず見直します。

練習問題

やさしい

  1. 次の訓読文を書き下し文にしなさい(自作)。
    答えと解説を見る

    「毎日漢文を読む。」二点の「読」はとばし、一点の「文」まで読んでから「読」へ返る。

  2. 漢文の勉強の順番として正しくなるように、次のア〜ウを並べなさい。
    ア 句法(否定・反語など) イ 返り点と書き下し文 ウ 置き字・再読文字
    答えと解説を見る

    イ→ウ→ア。返り点と書き下し文で「読む順番」を身につけ、次に置き字・再読文字などの特別な字、そのあとで句法へ進む。

ふつう

  1. 次の訓読文を書き下し文にしなさい。
    答えと解説を見る

    「過ぎたるは猶ほ及ばざるがごとし。」(『論語』先進)。「猶」は再読文字で、1回目は「猶ほ」、2回目は「ごとし」(ひらがな)。

  2. 「三人行、必有我師焉。」(『論語』述而)の中から置き字を1つ選び、書き下し文での扱いを答えなさい。
    答えと解説を見る

    置き字は「焉」。読まないので、書き下し文「三人行けば、必ず我が師有り。」には書かない。

むずかしい

  1. 「学而不思則罔」(『論語』為政)を、句法がわかるように現代語訳しなさい。
    答えと解説を見る

    例:「学んでも自分で考えなければ、(知識が)はっきりせず身につかない。」「不〜則…」(〜しなければ…)の仮定が訳に入っていることが採点のポイント。「罔」は「はっきりしない・道理がわからない」の意。

  2. 白文「知之者不如好之者」に、「之を知る者は之を好む者に如かず」と読めるように返り点をつけなさい。
    答えと解説を見る

    読む順は「之・知・者・之・好・者・如・不」。「知」「好」へは1字返るのでレ点。「如」へは「好之者」をこえて返るので二点、返る直前の「者」に一点。「不」へは「如」から1字返るのでレ点。答え:知レ之者不レ如二好レ之者一。

関連ページ

この漢文文法・句法辞典の入門のページを、勉強の順番に並べました。上から順に読めば、漢文の土台が完成します。

故事成語・四字熟語は故事成語の一覧(意味・由来・出典)と四字熟語の一覧(読み・意味・受験別)、国語全体は国語のまとめ(漢字・古文・漢文)からどうぞ。

読みもの(合格大作戦の記事)

受験掲示板「100点BBS」で質問・相談しよう

よくある質問

漢文は何から勉強すればいいですか?

返り点と書き下し文のきまりから始めます。そのあと置き字・再読文字・返読文字を覚え、句法(否定・疑問・反語・使役・受身など)、重要語、漢詩や故事成語の文章へと進むのが効率的です。

漢文の勉強時間は1日どれくらい必要ですか?

目安として、中学生は1日10〜15分、大学受験生は1日20〜30分ほどです。長い時間を1回やるより、短い時間を毎日続けるほうが句法は身につきます。時間は人によってちがうので、あくまで目安です。

漢文の句法はどうやって覚えればいいですか?

白文の型・書き下し文・現代語訳を1組にして、短い例文ごと声に出して覚えます。次の日に言えるか確かめ、言えなければもう一度音読する、をくり返します。

共通テストの漢文は何分で解けばいいですか?

人によってちがいます。目安として15〜20分ほどで解く人が多いようですが、模試や過去問で何度か時間を計り、自分に合う配分を決めておくのがいちばんです。試験時間や配点は、その年度の大学入試センターの発表で確かめてください。

国公立二次の漢文はどう対策すればいいですか?

共通テストの範囲の句法と重要語を確実にしたうえで、書き下し文・現代語訳・説明の記述を練習します。書いた答案を、句法の訳・省略の補い・歴史的仮名遣い・置き字などの採点ポイントで見直す習慣が大切です。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」国語、「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
  • 独立行政法人大学入試センター「大学入学共通テスト」の出題教科・科目、試験時間についての公表資料(2025年度以降の国語)。最新の情報は大学入試センターの発表で確認してください
  • 例文の本文:『論語』(学而・雍也・為政・先進・述而)、『後漢書』班超伝。訓読は高校の教科書で一般的な読み方による。「自作」とした例文・問題は合格大作戦の作例
  • 勉強時間・期間は一般的な目安で、個人差がある
  • 画像:狩野典信「孔子像」(1784年、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)

最終更新:2026年10月28日/作成:大学受験合格大作戦