この記事の結論

  • 「好きこそものの上手なれ」=好きなことには自然と熱中できるから、上達が早いという意味のことわざ(デジタル大辞泉の説明による)
  • 出典ははっきりしない。似た考えが『論語』の「之を好む者は之を楽しむ者に如かず」にある。英語では「What one likes, one will do well.」のように言いかえられる(決まった英訳ではない)
  • 受験勉強も同じ。楽しむ → 好きになる → 上手になるの順番で、まず「楽しむ」から始めよう
受験の格言・名言

『好きこそものの上手なれ』

読み方:すきこそもののじょうずなれ(「好きこそ物の上手なれ」とも書く)

受験生によく贈ることわざ・格言の一つです。この記事では、意味・文法・由来・英語・似たことわざをまとめ、最後に「どうすれば勉強が好きになるか」を考えます。ほかの格言は⇒受験の格言・名言まとめ

好きこそものの上手なれの意味

「好きこそものの上手なれ」は、好きなことは、だれに言われなくても熱心にやるので、自然と上手になるという意味です。辞書(小学館『デジタル大辞泉』)でも、好きなことにはおのずと熱中できるので上達が早い、という意味で説明されています。

たとえば、サッカーが好きな人は、言われなくても毎日ボールをけります。ゲームが好きな人は、攻略のしかたを自分で調べます。「好き」は、上手になるためのいちばんのエンジンなのです。

楽しむ やってみると面白い 好きになる もっとやりたい たくさんやる 時間を忘れて練習 上手になる できるとうれしい 好きこそ ものの上手なれ
楽しむ → 好きになる → たくさんやる → 上手になる → もっと楽しい、の好循環

上の図のように、「好き」と「上手」はぐるぐる回ってお互いを強くします。上手になるとうれしいので、もっと好きになる。もっと好きになると、もっとやるので、さらに上手になる。この好循環(よいくり返し)に入れるかどうかが、上達の分かれ目です。

人差し指を立てて説明する合格先生

合格先生

「好き」は、努力を努力と感じさせない力だよ。好きなことなら、何時間やっても「がんばった」とは思わないよね。

「もの」と「上手」の意味

「もの」は「物事」のこと、「上手」は「うまい人・名人」のことです。「ものの上手」で「その物事に上手な人」。全体を今の言葉にすると「好きであることこそが、その道の上手(名人)をつくる」となります。

「上手なれ」はなぜ「なれ」?古文の係り結び

「上手なり」ではなく「上手なれ」で終わるのは、古文の係り結びのためです。係助詞「こそ」があると、文の終わりが已然形(いぜんけい)になるきまりがあります。

係り結び:「こそ」→ 文末は已然形 好き 名詞 好むこと こそ 係助詞 強め もの 名詞 物事 の 格助詞 上手 名詞 うまい人 なれ 助動詞「なり」 已然形 「こそ」がなければ「好き、ものの上手なり」と終止形で終わる
「こそ」を受けて、断定の助動詞「なり」が已然形「なれ」になる
部分品詞意味
好き名詞好むこと・好きであること
こそ係助詞強め。「〜こそが」
もの名詞物事
の格助詞「〜の」
上手名詞うまい人・名人
なれ断定の助動詞「なり」の已然形「〜である」

「こそ」→已然形のほかに、「ぞ・なむ・や・か」→連体形という係り結びもあります。古文の問題でよく出るので、くわしくは古文文法辞典の係り結びと断定の助動詞「なり」を見てください。ことわざを1つ覚えると、古文の文法も1つ覚えられて一石二鳥です。古文・漢文の全体像は古典と古文の違い、国語の記事の入口は国語まとめにあります。

好きこそものの上手なれの由来・出典

「好きこそものの上手なれ」が、いつ・だれの言葉から始まったのかは、はっきりしていません。昔から日本で言いならわされてきたことわざ、とされています。

ただし、よく似た考えは、2500年ほど前の中国の思想家・孔子(こうし)の言葉を弟子たちがまとめた『論語(ろんご)』の雍也篇(ようやへん)にあります。

論語・雍也篇の言葉
白文子曰、知之者不如好之者。好之者不如樂之者。
書き下し文子曰はく、之を知る者は之を好む者に如かず。之を好む者は之を楽しむ者に如かず。
現代語訳先生(孔子)は言った。知っている人は、好きな人にはかなわない。好きな人は、楽しんでいる人にはかなわない。

「如かず(しかず)」は「及ばない・かなわない」という意味です。動詞「如く(しく)」に、打消の助動詞「ず」がついた形です。漢文では「AはBに如かず」で「AはBに及ばない(Bのほうがよい)」という比較の形として、よく出てきます。

論語(雍也篇)の3つの段階 之を知る者 知る 知っている 之を好む者 好む 好きでやっている 之を楽しむ者 楽しむ 楽しんでいる いちばん強い 上の段ほど強い
論語の3つの段階:知る < 好む < 楽しむ

論語では、「好き」のさらに上に「楽しむ」があると言っています。日本のことわざ「好きこそものの上手なれ」は「好き」までですが、論語はもう一歩先、「楽しんでいる人がいちばん強い」まで言っているのです。

京大の体育の授業で教わったこと(カズの体験)

京大で学んでいたころ、体育の授業(D群)でバドミントンの授業を受けていました。

『どうしたらバドミントンが上手くなりますか?』と質問したところ、バドミントンの女性の先生が孔子の論語を引き合いに出して言いました。

『これを知るものはこれを好むにしかず。これを好むものはこれを楽しむにしかず。』

しかず=如かず(及ばない、かなわない)

バドミントンについていくら知っていても、バドミントンを好きでやっている人にはかないません。

バドミントンをいくら好きでもバドミントンを楽しんでいる人にはかないません。

要するに彼女がわれわれに伝えたかったことは

『バドミントンを楽しみなさい』

そうすれば『バドミントンを好きになります』

そうすれば『バドミントンが上手になります』

『どうすればバドミントンが上手になりますか?』という質問に、『バドミントンを楽しみなさい』という答えで返してくれたのです。当時なるほどと感心したものです。

「どうしたら上手くなりますか?」への答え バドミントン 楽しむ好きになる上手になる 勉強 楽しむ好きになる上手になる ▼ 勉強も同じ ▼ 順番は「楽しむ → 好き → 上手」
バドミントンも勉強も、順番は「楽しむ → 好き → 上手」

受験生に『どうすれば勉強ができるようになりますか?』と聞かれると、

『勉強を楽しみなさい』

と答えます。もちろん孔子の論語と京大のバドミントンの先生を引き合いに出して。

京大というと「頭のいい人が、がまんして勉強している」と思われがちです。でも実際には、数学が好きで問題を解くのが楽しい、本が好きで読むのが楽しい、という人がたくさんいました。京大の入試は数学も国語も「考えること」を楽しめる人に向いた問題が多く、楽しめる人ほど伸びる試験だと思います。京大の受験生の声は、受験掲示板「100点BBS」の京都大学の掲示板でも読めます。

好きこそものの上手なれを英語で言うと

英語には、ぴったり同じ形のことわざはなく、辞書で決まった訳(定訳)も確かめられませんでした。ここでは、英語での言いかえの一例を挙げます。

英語意味
What one likes, one will do well.人は好きなことを上手にやる(英訳の一例)
Love makes labour light.好きなら苦労も軽くなる(似た考えを表す英語の言い方の一例)
If you love what you do, you will get better at it.自分のやっていることが好きなら、上手になっていく(ふつうの文で言う場合)

よく似た英語に「Practice makes perfect.(練習を重ねれば完ぺきになる)」があります。こちらは「好き」ではなく「練習」が上達の元だという言葉です。「好きこそものの上手なれ」と組み合わせると、好きだからたくさん練習する → だから上手になる、と一つの流れになります。

似たことわざ・反対のことわざ(対義語)

好きこそ ものの上手なれ ◎ 似た言い方の例 好きは上手の元 道は好む所によって 易し × 反対の意味 下手の横好き 下手なのに好きで 熱心にやること 英語での言いかえの例 What one likes, one will do well. Love makes labour light.
好きこそものの上手なれの仲間:似た言い方の例・反対の意味・英語での言いかえの例

似た意味の言葉として、次のようなものが挙げられることもあります(辞書で確かめられたものではありません)。

ことわざ読み方意味
好きは上手の元すきはじょうずのもと好きであることが上手になるもと。似た意味の言葉として挙げられることがある
道は好む所によって易しみちはこのむところによってやすし好きな道なら苦しく感じず、やりやすい。似た意味の言葉と言われることもある
下手の横好き(反対)へたのよこずき下手なのに、そのことが好きで熱心にやること

「下手の横好き」は、「好きなのに上手ではない」という意味で、「好きこそものの上手なれ」の反対の例としてよく挙げられます。つまり、好きなだけでは上手になれないこともあるということです。好きでも、やり方がまちがっていたり、練習の量が足りなかったりすると、なかなか伸びません。

努力を続けることの大切さは「継続は力なり」、本気で取り組むほど楽しくなるという話は「本気でするから悔しいを知ることができる」にもあります。合わせて読むと、「好き」「続ける」「本気」の3つがつながります。

使い方と例文

「好きこそものの上手なれ」は、好きなことで上達した人をほめるときや、好きなことを続けるようにはげますときに使います。

  • 毎日、絵ばかり描いていた弟が、コンクールで賞をとった。好きこそものの上手なれだね。
  • 歴史マンガが好きで読んでいたら、日本史のテストがいちばん得意になった。まさに好きこそものの上手なれだ。
  • 好きこそものの上手なれというから、まずは英語の歌や映画から英語を好きになってみよう。

反対に、「好きなのに下手だね」と人をからかうときに使うのは、相手に失礼になることがあるので気をつけましょう(そういうときは「下手の横好き」と自分のことに使うのがふつうです)。

うかるくん

うかるくん

先生、ぼくは数学が好きじゃありません。好きじゃない科目は、上手にならないんですか?

合格先生

合格先生

心配いらないよ。ことわざは「好きなら上手になりやすい」と言っているだけで、「嫌いなら絶対に上手にならない」とは言っていないんだ。

うかるくん

うかるくん

じゃあ、嫌いな科目はどうすれば……

合格先生

合格先生

「上手になると好きになる」という逆の道もあるんだ。小さな問題が解けた、点が少し上がった。その「できた」を積み重ねると、だんだん楽しくなってくるよ。

勉強を好きになる方法|受験生への5つのコツ

「勉強を楽しみなさい」と言われても、「そんなの無理」と思う人もいるでしょう。そこで、科目を「好き・嫌い」と「上手・下手」で4つの部屋に分けて考えてみます。

好き 嫌い 下手の横好き 好きなのに伸びない → やり方を見直す いちばん強い! 好きこそものの上手なれ → 難しい問題へ進む 苦手科目 → 小さな「できた」から → 基本の1冊を1周 義務でできる科目 → 点の伸びを楽しむ → 得点源にする 下手 上手
好き・嫌い × 上手・下手 の4つの部屋。どの部屋にいるかで、やることが変わる

自分の科目が、どの部屋にあるかを考えてみてください。右上の「いちばん強い」部屋に入れる科目を、1つずつ増やしていくのが目標です。

コツ1:小さな「できた」を毎日つくる

嫌いな科目は、たいてい「わからない」から嫌いになっています。いきなり難しい問題に取り組まず、確実に解ける基本の問題から始めましょう。「できた」という気持ちが、「好き」の種になります。

コツ2:「知る」で止まらず「使う」

論語の言うとおり、知っているだけの人は好きな人にかないません。公式や単語を覚えたら、すぐに問題で使ってみましょう。使えると面白くなります。数学なら算数・数学公式辞典で公式の意味(なぜそうなるか)を知ると、ただの暗記がぐっと楽しくなります。

コツ3:好きなものとつなげる

歴史が好きなら古文の時代背景から、音楽が好きなら英語の歌詞から、スポーツが好きなら物理の運動から。すでに好きなものと勉強をつなげると、入り口が楽になります。

コツ4:伸びを目に見えるようにする

模試や小テストの点数、解いた問題の数を記録して、グラフにしてみましょう。伸びが見えると、勉強はゲームのように楽しくなります。上手になると好きになる、という逆の道です。

コツ5:苦手に向き合う言葉を持つ

「自分はこの科目に向いていない」と思ったら、「向き不向きより前向き」という言葉を思い出してください。向いているかどうかより、前向きに取り組むかどうかが大切です。最初からやる気が出ないときは「やれるかどうかは関係ない、やるか、やらないかだ」も読んでみてください。

サクラちゃん

サクラちゃん

先生、楽しめって言われても、受験勉強はやっぱりつらいときがあります……。

合格先生

合格先生

それでいいんだよ。いつも楽しい人なんていない。つらいときは「完ぺきでなくていいから、今日の分を終わらせる」と考えてごらん。

サクラちゃん

サクラちゃん

終わらせると、ちょっとうれしいです!

合格先生

合格先生

その「ちょっとうれしい」が、楽しむことの始まりなんだ。

「好き」だけでは足りないときもある

ここで一つ注意があります。「好きこそものの上手なれ」は、「好きなら何もしなくても上手になる」という意味ではありません。好きだからたくさん練習する、好きだから工夫して調べる。その行動があってはじめて上手になるのです。

受験勉強でいえば、好きな科目ばかり解いて、嫌いな科目を後回しにするのは危険です。入試は合計点で決まるので、得意科目で稼ぎながら、苦手科目を「合格に必要な点」まで上げる必要があります。好きな科目は伸ばすための武器、嫌いな科目は小さな「できた」で少しずつ好きに近づける相手、と考えるとバランスがとれます。

また、好きな科目でも「わかったつもり」で止まると、テストで点になりません。時間を計って解く、まちがえた問題を解き直す、といった正しい練習を組み合わせてこそ、好きが本当の力になります。

完ぺきをめざして手が止まる人には「完璧を目指すよりまず終わらせろ」がおすすめです。また、京大のような難しい大学をめざす人は、自分の好きな科目・得意な科目をどう生かすかが作戦の中心になります。くわしくは「京大合格作戦の立て方」を見てください。

ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

まずは「楽しむ」から! 好きな科目を1つ、得意な科目に育ててみます。

まとめ:楽しむ人がいちばん強い

ポイント内容
意味好きなことは熱中できるので、上達が早い
文法「こそ」+已然形「なれ」の係り結び
由来出典ははっきりしない。論語・雍也篇に似た考え(知る < 好む < 楽しむ)
英語What one likes, one will do well. など(言いかえの一例)
似た言い方好きは上手の元、道は好む所によって易し(と言われることもある)
反対のことわざ下手の横好き
受験への生かし方楽しむ → 好き → 上手。小さな「できた」を積み重ねる

「どうすれば上手になりますか?」という質問に「楽しみなさい」と答えた京大のバドミントンの先生の言葉は、今の受験生にもそのまま通じます。勉強のことで悩んだら、受験の質問・相談ページから気軽に聞いてください。

漢文の文法をくわしく(漢文文法・句法辞典)

論語「之を知る者は之を好む者に如かず」の「不如(如かず)」は、下から返って読む返読文字です。

よくある質問

好きこそものの上手なれの意味は?

好きなことには自然と熱中できるので、上達が早いという意味のことわざです。

好きこそものの上手なれの由来・出典は?

いつ・だれの言葉から始まったかは、はっきりしていません。よく似た考えが『論語』雍也篇の「之を好む者は之を楽しむ者に如かず」にあります。

好きこそものの上手なれを英語で言うと?

決まった英訳はありません。「What one likes, one will do well.」(人は好きなことを上手にやる)のように言いかえられます。

好きこそものの上手なれの反対の意味のことわざは?

「下手の横好き」です。下手なのに、そのことが好きで熱心にやることをいいます。

なぜ「上手なり」ではなく「上手なれ」なのですか?

係助詞「こそ」があると文末が已然形になる「係り結び」のためです。「なれ」は断定の助動詞「なり」の已然形です。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 意味:小学館『デジタル大辞泉』「好きこそ物の上手なれ」
  • 『論語』雍也篇「子曰、知之者不如好之者。好之者不如樂之者。」
  • 写真:合格大作戦

最終更新:2026年10月27日/作成:大学受験合格大作戦

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