使役の句法|使・令・教・遣「AヲシテBセしむ」の読み方と書き下し、命・遣など使役を表す動詞【漢文】

使役の句法|使・令・教・遣「AヲシテBセしむ」の読み方と書き下し、命・遣など使役を表す動詞【漢文】

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ひとことで言うと

漢文の使役は「使・令・教・遣」を「しむ」と読み、「AをしてBしむ(AにBさせる)」の形になります。する人Aに送り仮名「ヲシテ」、動作Bは未然形にし、書き下し文では「しむ」をひらがなで書きます(例:天帝我をして百獣に長たらしむ)。

このページのポイント

  • 使役の字は使・令・教・遣の4つ、読みはどれもしむ
  • 形はAをしてBしむ=AにBさせる
  • する人にヲシテ、しむの上は未然形、しむはひらがな
  • 命・遣・召・説のあとは使役の字がなくても「〜しむ」と読む
  • 下に人+動詞がなければ使役ではない(使=つかふ・つかひ)

はじめて(やさしく)

使役(しえき)とは、「だれかに〜させる」という言い方です。漢文では「使」「令」「教」「遣」の4字で表し、どれも「しむ」と読みます。形は「AヲシテBセしむ(AにBさせる)」です。まずは公式の表を見てください。

使役の句形の公式(一覧表)

句形読み(書き下し)意味
使 A BAをしてBしむAにBさせる
令 A BAをしてBしむAにBさせる(使と同じ)
教 A BAをしてBしむAにBさせる(漢詩に多い)
遣 A BAをしてBしむ/Aを遣はしてBしむAにBさせる・Aを行かせてBさせる
命 A BAに命じてBしむAに命令してBさせる
使 BBしむ(Aを省く)(だれかに)Bさせる
使 A B, CAをしてBしめば、CもしAにBさせたら、C(仮定)

使役は、日本語の「〜させる」にあたります。「先生が生徒に本を読ませる」という文には、させる人(先生)、する人(生徒)、動作(本を読む)の3つが出てきますね。漢文でもこの3つが、「させる人+使+する人+動作」の順に並びます。

使役=だれかに「〜させる」させる人(王・先生)命令する人(家来・生徒)動作(行く・読む)王 使 臣 行使=「しむ」 臣=「臣をして」王臣をして行かしむ=王は家来を行かせる
使役は「させる人・する人・動作」の3つで考える。する人に「をして」、使は「しむ」

読み方のきまりは3つだけです。1つめ、する人(A)には送り仮名「ヲシテ」をつけます。2つめ、「使」は最後に返って「しむ」と読みます。3つめ、「しむ」の上の動詞は未然形(「ず」がつく形。行か・読ま・長たら など)にします。書き下し文では「しむ」は助動詞なのでひらがなで書きます(書き下し文のきまり(助詞・助動詞はひらがな))。

うかるくん

うかるくん

「をして」って、ふだんの日本語では使わないよね。どういう意味?

ミスターT先生

ミスターT先生

そう、「をして」は漢文を読むときに特によく使われてきた言い方なんだ。今の言葉にすれば「〜に」。「我をして行かしむ」は「私に行かせる」だね。する人の印だと思えばいい。

サクラちゃん

サクラちゃん

「をして」が見えたら、その人が動作をする人。最後の「しむ」で「させる」になるんですね!

では、有名な故事成語「虎の威を借る狐」のもとになった話で確かめましょう。トラにつかまったキツネが、「私を食べてはいけない。天の神さまが私を百獣の長にしたのだから」とうそをつく場面です。丸の数字が読む順番です。

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使(AをしてBしむ)

白文天帝使我長百獣。

書き下し文天帝我をして百獣に長ちやうたらしむ。

(『戦国策』楚策)

現代語訳天帝(天の神)は私を百獣の長(かしら)にならせた。

ここがポイントする人「我」にヲシテ、動作「百獣に長たら」は未然形、最後に「使」へ返って「しむ」。「使」には三点がつくので、一点・二点を読んだあとで最後に読みます(返り点(一二点・三点)の読む順番)。
天帝使我長百獣の読む順番天1帝2使三7我ヲシテ3長タラ二6百4獣ニ一5①天②帝③我をして④百⑤獣に⑥長たら⑦しむ使は最後に読む天帝我をして百獣に長たらしむ
「使」は三点。我をして→百獣に→長たら→しむ の順に読む
人差し指を立てて説明するミスターT先生

ミスターT先生

使役の文は「Aをして」と「しむ」がセット。「をして」の人が動作をして、文の主語の人は「させる」側だよ。だれがだれに何をさせたのか、3つを線で結んでから訳すと、まずまちがえない。

ここまでのまとめ

  • 使役=「〜させる」。字は使・令・教・遣、読みはどれも「しむ」
  • する人Aに送り仮名「ヲシテ」、動作Bは未然形+しむ
  • 書き下し文では「しむ」はひらがな(例:天帝我をして百獣に長たらしむ)

しっかり(共通テスト)

使役の4字と使役を表す動詞

使役の字は「使・令・教・遣」の4つです。読みはすべて「しむ」で、意味もほぼ同じです。違いはよく出てくる場所で、「使」がいちばん多く、「令」は歴史書や思想書に、「教」は唐詩などの漢詩によく出ます。「遣」は「遣(つか)はす(行かせる・派遣する)」という動詞として読むことも多い字です。

使役の字は4つ。読みはどれも「しむ」使しむいちばん多い令しむ使と同じ教しむ詩に多い遣しむつかはす使 A B = AをしてBせしむA=する人(送り仮名ヲシテ)B=させる動作(未然形+しむ)
使・令・教・遣はどれも「しむ」。公式は「使AB=AをしてBせしむ」
字読み使役以外の主な読み見分けのポイント
使しむつかふ(使う)・つかひ(使者)下に「人+動詞」があれば使役
令しむれい(命令・長官)・よし(よい)「令色」の令は「よい」
教しむをしふ(教える)漢詩の「教」は使役が多い
遣しむつかはす(派遣する)・やる「遣はして〜しむ」とも読む

また、「命(命ず)」「召(召す)」「説(説く)」「遣(遣はす)」「勧(勧む)」のような、命令する・呼びよせる・説得するという意味の動詞のあとでは、使役の字がなくても、下の動詞に「しむ」をつけて読むのが一般的です。このときの「しむ」は、送り仮名として下の動詞の右につけます(例:作ラシム)。

使役の字がなくても「せしむ」と読む形命AにBを命ずAに命じてBせしむ遣Aを遣はすAを遣はしてBせしむ召Aを召すAを召してBせしむ説Aに説くAに説きてBせしむ送り仮名「シム」が動詞の側につく
命・遣・召・説のあとは、使役の字がなくても「せしむ」と読む

書き下しの手順

  1. 使役の字(使・令・教・遣)を見つける。下に「人+動詞」の形があるか確かめる。
  2. する人(A)を決めて「ヲシテ」をつける。Aは使役の字のすぐ下にあることが多い。
  3. 動作(B)を読む。目的語などがあれば先に読み、動詞は未然形にする。
  4. 最後に使役の字へ返り、「しむ」と読む。文の続き方に合わせて「しめ・しむる・しむれ」と活用させる。
  5. 書き下し文では、使役の字をひらがな「しむ」で書く。

例文で確かめる

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使(子路をして津を問はしむ)

書き下し文孔子之を過ぎ、子路をして津を問はしむ。

(『論語』微子)

現代語訳孔子はそこを通りかかり、子路に渡し場(の場所)をたずねさせた。

ここがポイント畑をたがやす隠者のそばを孔子が通りかかった場面です。「津」は川の渡し場。「問」は「津」を読んでからレ点で返り、さらに一点があるので「使」の二点へ返ります。文末の「焉」は読まない置き字です。
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使(する人を省いた形)

書き下し文民は之に由らしむべし、之を知らしむべからず。

(『論語』泰伯)

現代語訳人民には(政治の方針に)従わせることはできるが、その理由まで知らせることはできない。

ここがポイント「使」の下に「民をして」が書かれていません。する人が文の主語(民)と同じなので省かれているのです。「しむ」の下に「べし」がつくので、しむは終止形のままです。この句は「知らせる必要はない」と読む説と、「知らせることはむずかしい」と読む説があり、解釈が分かれる有名な一節です。
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教(漢詩の使役)

書き下し文但ただ龍城の飛将をして在らしめば、胡馬をして陰山を度わたらしめず。

(王昌齢「出塞」)

現代語訳ただ龍城の飛将軍がここにいてくれさえしたら、胡の騎馬兵に陰山を越えさせはしないのに。

ここがポイント後半の「教」が使役で、「胡馬をして陰山を度らしめず」。「不」がつくので「しむ」は未然形「しめ」になります。前半の「使」は「もし〜させたら」という仮定の使役で、「しめば」と読みます(仮定の句法(如・若・苟・縦・雖・使))。「飛将」は漢の名将・李広を指すと考えるのが一般的です。「龍城」を「盧城」とする本もあります。
「しむ」は下二段型に活用する未然しめしめず連用しめしめて終止しむしむ。連体しむるしむる者已然しむれしむれば命令しめよしめよ不教胡馬度陰山→ 陰山を度らしめず(未然形+ず)
「しむ」は下二段型に活用する。打消「ず」の上では「しめ」
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令(史記の使役)

書き下し文将軍をして臣と郤げき有らしむ。

(『史記』項羽本紀(鴻門の会))

現代語訳(つまらない者の告げ口が)将軍(項羽)と私との間に仲たがいを生じさせたのです。

ここがポイント鴻門の会で、劉邦が項羽にわびる言葉です。「令」も「使」と同じく「しむ」。「与」は「臣と」の「と」と読む返読文字、「郤」は「すきま・仲たがい」。上下点の中にレ点と一二点の役目が入った形で、「将軍をして→臣と→郤→有ら→しむ」と読みます。
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遣(しむ)

書き下し文王使者をして賢人を求めしむ。

(自作)

現代語訳王は使者にすぐれた人物をさがし求めさせた。

ここがポイント「遣」を「しむ」と読む例です。同じ文を「王使者を遣はして賢人を求めしむ」と、「遣」を動詞「遣はす(派遣する)」として読む教科書もあります。どちらも意味は「〜させる」です。
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命(使役を表す動詞)

書き下し文王臣に命じて詩を作らしむ。

(自作)

現代語訳王は家来に命じて詩を作らせた。

ここがポイント使役の字はありませんが、「命」があるので下の「作」に送り仮名「ラシム」をつけて「作らしむ」と読みます。命令の相手には「ヲシテ」ではなく「ニ」をつけ「臣に命じて」とするのがふつうです。
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説(説得して〜させる)

書き下し文客王に説ときて燕を伐たしむ。

(自作)

現代語訳遊説家は王を説得して燕を攻めさせた。

ここがポイント「説」は「説く(説得する)」。戦国時代には、各国の王に策を説いてまわる「遊説家」が多くいました。説得の結果として王が動くので、「伐たしむ」と使役で読みます。
サクラちゃん

サクラちゃん

「臣に命じて」は「に」で、「我をして」は「をして」。どっちを使えばいいか迷います……。

ミスターT先生

ミスターT先生

使役の字(使・令・教・遣)の下の人には「をして」。命ず・説くのような動詞の相手には、その動詞に合う「に」。日本語でも「王に説く」「臣に命じる」と言うよね。それと同じだよ。

うかるくん

うかるくん

なるほど! 字なら「をして」、動詞なら「に」だね。

もっと深く(難関大・上級者)

1. 「使」がいつも使役とはかぎらない

白文(返り点も送り仮名もない漢文)で「使」を見たら、まず使役かどうかを決めます。「使」は、動詞「使(つか)ふ(人を使う・働かせる)」、名詞「使(つか)ひ(使者)」としてもよく使われます。見分けのポイントは、下に「人+動詞」が続くかです。

「使」の読み方の見分け方「使」の下に人+動詞がある?はいいいえ使役「しむ」Aをして〜しむ「使」の下が名詞だけ→ つかふ(使う)文の頭で、下に後の句が続く?→ 仮定「もし〜しめば」も考える名詞なら「使ひ(使者)」と読むこともある
「使」の下に人と動詞があれば使役。名詞だけなら「つかふ」
難関大

使=つかふ(使役ではない)

書き下し文用を節せつして人を愛し、民を使ふに時を以てす。

(『論語』学而)

現代語訳費用をひかえて人々を大切にし、人民を(土木工事などに)使うときは、農作業のひまな時期を選ぶ。

ここがポイント「使民」は「民を使ふ」。下の「民」のあとに動詞がなく、「以時(時を以てす)」は使い方の説明です。「民をして〜しむ」とは読めないので、動詞「使ふ」と判断します。

2. する人が書かれない使役

する人(A)が文の主語と同じとき、または「人々」「だれか」のように言わなくてもわかるときは、Aが省かれます。上の論語「民可使由之」がその例で、「使」のすぐ下が動詞「由」になっています。白文では「使+動詞」の形を見たら、だれにさせるのかを文脈から補って訳すのが記述問題のポイントです。

3. 使役の字が仮定を表すとき

「使」「令」が文の初めにあり、あとに結果を表す句が続くときは、「もし〜させたら」という仮定の意味になります。読みは「しむ」の未然形に「ば」をつけた「しめば」です。上の王昌齢「出塞」の「但使龍城飛将在」がこれで、「いてくれさえしたら」という強い願いをこめた仮定です。くわしくは仮定の句法(如・若・苟・縦・雖・使)で扱います。

4. 「令」「教」「遣」の使役以外の読み

  • 令:「巧言令色」の「令」は「よい(よく見せる)」の意味です(巧言令色)。「県令」「令尹」など役職名の「令」もあります。
  • 教:下に「人+動詞」がなく、「〜を教ふ」と目的語をとるときは「をしふ」です。漢詩の「教」は使役が多いので、詩では「しむ」をまず考えます。
  • 遣:「使者を遣はす」のように、下が人だけなら「つかはす」。「遣はして〜しむ」と、使役の動詞と読む流れになることもあります。

5. 「をして」と「しむ」:訓読の言葉としての使役

使役の助動詞「しむ」は、奈良・平安時代の和文にもありますが、平安時代の物語では「す・さす」が多く使われ、「しむ」は漢文訓読の文章で多く使われたと説明されます。古文の使役との比べ方は、古文の助動詞「す・さす・しむ」(使役と尊敬)でくわしく読めます。古文では「しむ」が尊敬(「〜なさる」)の意味になることもありますが、漢文訓読の「使・令」は使役と考えてよいでしょう。

また、する人につける「をして」は、格助詞「を」とサ変動詞「す」の連用形「し」と接続助詞「て」が一語のように固まった言い方で、訓読の文章に特有の言い回しとされます。明治時代の文語文(漢文訓読の文体で書かれた文章)にもよく出てきます(京大国語 文語文(明治擬古文)の勉強法)。

振り返るように座る一頭の虎を、毛の一本一本まで細かく描いた日本画
円山応挙が描いた虎。使役の例文「天帝我をして百獣に長たらしむ」は、狐が虎をだます「虎の威を借る狐」の話の一節です。画像:円山応挙「虎図」(1777年、ミネアポリス美術館蔵、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)

6. 使役の文を訳すときの注意(記述問題)

難関大の記述問題では、使役の文の訳で「だれが」「だれに」「何をさせたか」の3つがそろっているかが見られます。「王使人求之」なら「王は人に之をさがし求めさせた」で、「王は人をさがした」や「人が之をさがした」では使役の意味が落ちて減点になります。省かれたAを補うときは、( )に入れて「(家来に)〜させた」のように書くと、補ったことがはっきりします。

ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

白文の「使」は、下に人+動詞があるかをチェック! あれば使役「しむ」、名詞だけなら「つかふ」、文の頭で後ろに結果が続けば仮定「しめば」なんですね。

よくあるまちがい

まちがい1:書き下し文で「使む」と漢字で書く

「我をして行か使む」は誤り。使役の「使・令・教・遣」は助動詞「しむ」にあたるので、書き下し文ではひらがなで「我をして行かしむ」と書きます。

まちがい2:「をして」をつけ忘れる

「臣行かしむ」では、だれが行くのかがぼやけます。使役の字の下のする人には必ず「をして」をつけ、「臣をして行かしむ」とします。

まちがい3:「しむ」の上を終止形にする

「行くしむ」「読むしむ」は誤り。「しむ」の上は未然形なので、「行かしむ」「読ましむ」「長たらしむ」です。サ変は「せしむ」になります。

まちがい4:させる人とする人を取りちがえる

「天帝使我長百獣」を「私が天帝を百獣の長にした」と訳すのは誤り。主語(天帝)がさせる人、「をして」のつく我がする人です。

まちがい5:「使」をいつも使役と思いこむ

「使民以時」の「使」は動詞「つかふ」です。下に人+動詞がない「使」、名詞の「使(つかひ)」もあります。

練習問題

やさしい

  1. 使役の字を4つ答え、その読み方を答えなさい。
    答えと解説を見る

    使・令・教・遣。読みはどれも「しむ」。形は「AをしてBしむ」(AにBさせる)。

  2. 次の訓読文を書き下し文にしなさい。(自作)
    答えと解説を見る

    師弟子をして書を読ましむ。(師弟子をして書を読ましむ。)意味は「先生は弟子に本を読ませた」。「使」はひらがなで「しむ」と書く。

ふつう

  1. 次の文を書き下し文にし、現代語に訳しなさい。(自作)
    答えと解説を見る

    書き下し文:父子をして家を守らしむ。 訳:父は子に家を守らせた。「令」は「使」と同じ使役の字。「守」は未然形「守ら」にして「しむ」に続ける。

  2. 「王命臣作詩」(自作)を書き下し文にしなさい。また、この文に使役の字がないのに「〜させる」と訳せる理由を答えなさい。
    答えと解説を見る

    書き下し文:王臣に命じて詩を作らしむ。 理由:「命(命ず)」は命令するという意味の動詞で、そのあとの動作は命令された人がするものだから。このような動詞のあとでは、下の動詞に送り仮名「シム」をつけて使役で読む。

むずかしい

  1. 次の白文の「使」は使役か。読み方と理由を答えなさい。(自作)
    「臣使於斉」
    答えと解説を見る

    使役ではない。「使」の下に「人+動詞」がなく、「於斉(斉に)」が続くので、「使」は「使者として行く」という動詞で、「臣斉に使ひす」(家来が使者として斉へ行った)と読む。「使ひす」は「使者として行く」という意味のサ変動詞。

  2. 「不教胡馬度陰山」(王昌齢「出塞」)を書き下し文にし、「教」の読みが「しめ」になる理由を説明しなさい。
    答えと解説を見る

    書き下し文:胡馬をして陰山を度らしめず。 理由:「教」は使役の助動詞「しむ」にあたり、下二段型に活用する。すぐあとに打消の助動詞「ず」(不)が続くので、未然形「しめ」になる。

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古文の使役「す・さす・しむ」とくらべると、使役の形がまとめて身につきます。古文の助動詞「す・さす・しむ」もあわせて読んでください。「虎の威を借る狐」などの話は故事成語の一覧(意味・由来・出典)で読めます。

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よくある質問

漢文の使役の形は?

「使AB」で「AをしてBしむ」と読み、「AにBさせる」と訳します。使のほか令・教・遣も同じく「しむ」と読みます。

「をして」とは何ですか?

使役の文で、動作をする人につける送り仮名です。今の言葉では「〜に」にあたり、「我をして行かしむ」は「私に行かせる」という意味です。

「しむ」の上は何形ですか?

未然形です。行かしむ・読ましむ・長たらしむ のようになり、サ変動詞は「せしむ」になります。

使役の字がないのに「〜しむ」と読むのはどんなときですか?

命(命ず)・遣(遣はす)・召(召す)・説(説く)など、命令や説得を表す動詞のあとです。下の動詞に送り仮名「シム」をつけて読みます。

「使」がいつも使役になりますか?

なりません。下に「人+動詞」が続かないときは、動詞「使ふ(つかう)」や名詞「使ひ(使者)」のことがあります。文の初めで後に結果が続くときは仮定「しめば」になります。

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出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
  • 例文の本文:『戦国策』楚策、『論語』(微子・泰伯・学而)、王昌齢「出塞」、『史記』項羽本紀。訓読は高校の教科書で一般的な読み方による
  • 高校の漢文句法の標準的な説明(使役の句形・送り仮名「ヲシテ」・使役を表す動詞)にもとづいて作成。読みが分かれる所は本文中に記した
  • 画像:円山応挙「虎図」(1777年、ミネアポリス美術館蔵、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)

最終更新:2026年10月28日/作成:大学受験合格大作戦