巧言令色(こうげんれいしょく)の意味と由来|論語「鮮なし仁」の原文・書き下し文・現代語訳とイラスト【故事成語】

巧言令色(こうげんれいしょく)の意味と由来|論語「鮮なし仁」の原文・書き下し文・現代語訳とイラスト【故事成語】

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巧言令色こうげんれいしょく

ひとことで言うと

ことばを飾り、顔つきをつくろって人に気に入られようとすること。孔子の「巧言令色、鮮なし仁」(そういう人にはまごころが少ない)から。

読み方こうげんれいしょく
意味ことばをたくみに飾り、顔つきを愛想よく取りつくろって、人に気に入られようとすること。
出典『論語』学而第一「巧言令色、鮮矣仁」(陽貨第十七にも同じ句)
お話出来事の話ではなく、孔子の言葉。「ことばがうまく、顔つきのよい人には、仁(まごころ)が少ない」
似た言葉美辞麗句・阿諛追従・口先だけ
反対の言葉剛毅木訥・質実剛健・不言実行
漢文の句法倒置(鮮矣仁)・置き字(矣)・レ点(近仁)

このページのポイント

  • 「巧言令色」はことばを飾り、顔つきをつくろって人にこびること。悪い意味の言葉です
  • 出典は『論語』学而篇「巧言令色、鮮なし仁」。陽貨篇にも同じ句があり、子路篇の「剛毅木訥、仁に近し」と対になります
  • 「鮮なし仁」は「鮮」を前に出した倒置。「鮮」は「すくなし(少ない)」と読みます

「巧言令色」の意味と読み方

「巧言令色」はこうげんれいしょくと読みます。意味は「ことばをたくみに飾り、顔つきを愛想よく取りつくろって、人に気に入られようとすること」です。口先ばかりうまくて、心がこもっていない人や態度を、悪く言うときに使います。

もとは『論語(ろんご)』にある孔子の言葉「巧言令色、鮮(すく)なし仁(じん)」です。「ことばがうまく、顔つきのよい人には、仁(思いやりの心・まごころ)が少ない」という意味で、ことわざのように「巧言令色鮮なし仁」とひと続きでも使われます。四字熟語としては四字熟語の一覧の「巧言令色」にものっています。

「巧言令色」を1字ずつ読むと巧こうたくみな言げんことば令れいよいりっぱな色しょく顔色顔つき巧言=飾ったことば口先だけうまい令色=つくった顔つき愛想よく取りつくろう
「巧言」はたくみに飾ったことば、「令色」は取りつくろった顔つき。「令」は「よい」という意味です
うかるくん

うかるくん

話がうまくて、いつもにこにこしてる人って、いい人じゃないんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

いいところを聞くね。孔子が言ったのは、話がうまいこと・笑顔そのものが悪い、ということじゃないんだ。人に気に入られるために、ことばや顔つきを「つくる」こと。そういう人は、相手のためでなく自分の得のために動いていることが多いから、まごころ(仁)が少ないと言ったんだよ。

ふだんの言い方では、たとえば次のように使います。

  • ○あの営業マンは巧言令色で、言うことが信用できない。
  • ○巧言令色の人より、口べたでも約束を守る人を選びたい。
  • ○「巧言令色鮮なし仁」と言うように、ほめ言葉ばかりの人には気をつけよう。

絵で読む「巧言令色」のお話

「巧言令色」は、矛盾や蛇足のような出来事のお話から生まれた言葉ではありません。『論語』に残る孔子の短い言葉です。そこで、1こま目と4こま目は孔子が弟子に語る場面を想像して描き、2・3こま目は「巧言令色」と、その反対の人がらを、たとえの場面にしています。4こま目の「剛毅木訥(ごうきぼくとつ)、仁に近し」は、同じ『論語』の子路篇にある、もう一つの孔子の言葉です。

絵で読む「巧言令色」(4こま。1・4こま目は想像の場面、2・3こま目はたとえ)

1孔子が弟子に語る巧言令色、鮮なし仁孔子弟子たち
1孔子が弟子たちに語ります。「ことばをたくみに飾り、顔つきを愛想よくつくろう人には、思いやりの心(仁)が少ないものだ」(孔子の言葉をもとにした想像の場面)。
2口のうまい人(たとえ)ほめておけば得をするぞあなたさまは天下一のお方です!口のうまい人えらい人
2ここからはたとえの場面。口のうまい人が、えらい人を「天下一のお方です!」とほめちぎります。でも心の中は「ほめておけば得をする」。これが巧言令色です。
3口べたな人(たとえ)あ、あの……手伝います口べたな人お年寄り
3こちらは口べたな人。うまく話せませんが、困っているお年寄りの荷物を、だまって運んであげます。
4孔子のもう一つの言葉剛毅木訥、仁に近し口先だけ飾らない心仁が少ない仁に近い
4孔子はもう一つの言葉も残しています。「意志が強く、飾り気がなく、口の重い人は、仁に近い」。うわべより中身が大事なのです。

2こま目の人は、ことばも笑顔もりっぱです。でも、その目的は相手のためではなく、自分が得をするためです。3こま目の人は、ことばはたどたどしくても、相手のことを思って体を動かしています。孔子が「仁」と呼んだのは、この3こま目の人の心のほうです。

考えるミスターT先生

ミスターT先生

「仁」は孔子がいちばん大切にした心で、人を思いやる、まごころのことだ。孔子は「仁がない」と言い切らずに「鮮なし(少ない)」と言っている。口のうまい人がみんな悪いわけではないけれど、うわべを飾るほど、中身はうすくなりやすい、という見方なんだね。

孔子がくらべた2つの人がら巧言令色ことばがたくみ顔つきを飾る人に気に入られたい(うわべ)鮮なし仁学而篇・陽貨篇剛毅木訥意志が強いくじけない飾り気がない口が重い仁に近し子路篇うわべのうまさより、まごころ(仁)があるかどうか
「巧言令色」は仁が少なく、「剛毅木訥」は仁に近い。孔子は、うわべより中身を見るように教えました

「巧言令色」の原文・書き下し文・現代語訳

出典は『論語』の学而(がくじ)第一。「学びて時に之を習ふ」で始まる、いちばん初めの篇の第三章です。同じ句は陽貨(ようか)第十七にもう一度出てきます。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方でくわしく説明しています。

白文(新字体)子曰、「巧言令色、鮮矣仁。」
『論語』学而第一・陽貨第十七の本文(維基文庫。どちらも同じ)子曰:「巧言令色,鮮矣仁。」

原文:巧言令色、鮮なし仁

書き下し文子し曰いはく、「巧こう言げん令れい色しょく、鮮すくなし仁じん。」

(『論語』学而第一(陽貨第十七にも同じ句))

現代語訳先生(孔子)がおっしゃった。「ことばをたくみに飾り、顔つきを愛想よくつくろう人には、仁(まごころ・思いやり)が少ないものだ。」

ここがポイント「鮮(すく)なし」は「少ない」という意味で、「あざやか」ではありません。ふつうなら「仁鮮矣(仁鮮し)」の順になるところを、「鮮」を前に出して強めた形です(漢文の語順(倒置・強調))。「矣」は読まない置き字で、言い切りを強めます。
「鮮矣仁」は、語順を入れかえて強めるふつうの順仁鮮矣仁(主語)→ 鮮(述語)=仁が少ない論語の順鮮矣仁鮮(述語)を前に出して強める書き下し文は「鮮なし仁」「矣」は読まない置き字
ふつうは「仁鮮矣」。「鮮」を前に出すと「少ないのだ、仁は」と強い言い方になります

この章は、学而篇の第二章(有子の「孝弟は仁の本か」という言葉)のすぐあとに置かれています。仁のもとは家族を大切にすることだ、という話の次に、うわべを飾る人には仁が少ないという話が続くので、二つを組にして読むと、孔子の考える「仁」の姿がよく分かります。

反対の言葉「剛毅木訥、仁に近し」

『論語』の子路(しろ)第十三には、巧言令色と正反対の人がらをほめた言葉があります。巧言令色とセットで覚えると、入試でも説明しやすくなります。

剛毅木訥、仁に近し

書き下し文子し曰いはく、「剛ごう毅き木ぼく訥とつは、仁じんに近ちかし。」

(『論語』子路第十三)

現代語訳先生がおっしゃった。「意志が強く、くじけず、飾り気がなく、口の重い人は、仁に近い。」

ここがポイント「剛」は意志が強い、「毅」はくじけない、「木」は飾り気がない(木のように素朴)、「訥」は口が重い・口べた。書き下し文は「剛毅木訥、仁に近し」とも書きます。「近し」は下の「仁」から返って読むので、レ点がつきます。

『論語』のほかの場所の「巧言」

孔子は、口先のうまさについて、ほかにもくり返し語っています。

巧言・令色・足恭は、恥づべきこと

書き下し文巧こう言げん令れい色しょく足すう恭きょうは、左さ丘きゅう明めい之これを恥はづ、丘きゅうも亦また之これを恥はづ。

(『論語』公冶長第五)

現代語訳ことばを飾り、顔つきをつくり、度をこしてうやうやしくふるまうことを、左丘明は恥とした。わたし(丘)もまた、それを恥とする。

ここがポイント「足恭(すうきょう)」は、必要以上にへりくだって、うやうやしくすること。「丘(きゅう)」は孔子の名で、自分のことを名で呼んでいます。「亦(ま)た」は「〜もまた」。この章は、このあと「怨みを隠して、その人と友だちづきあいをする」ことも恥だと続きます。左丘明がどんな人かは、『春秋左氏伝』の作者と伝えられる人と同じかどうかを含め、説が分かれます。

巧言は徳を乱る

書き下し文巧こう言げんは徳とくを乱みだる。

(『論語』衛霊公第十五)

現代語訳たくみに飾ったことばは、(人の)徳をみだす。

ここがポイントこの章は「小を忍ばざれば、則ち大謀を乱る」(小さなことをがまんできないと、大きな計画をだめにする)と続きます。「則(すなは)ち」は「〜すると、そのときは」と前後をつなぐ字です。打ち消しの「不」の読み方は否定の句法(不・無・非・莫)へ。
『論語』の中の「口先のうまさ」学而第一巧言令色、鮮なし仁公冶長第五巧言・令色・足恭は恥子路第十三剛毅木訥、仁に近し衛霊公第十五巧言は徳を乱る陽貨第十七巧言令色、鮮なし仁(再び)
『論語』では、学而・公冶長・子路・衛霊公・陽貨の5か所で、口先のうまさとまごころの関係が語られます
サクラちゃん

サクラちゃん

同じ言葉が学而篇と陽貨篇の2か所に出てくるのは、まちがいなんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

まちがいではないよ。『論語』は、孔子が亡くなったあと、弟子やその弟子たちがそれぞれ覚えていた言葉を集めてまとめた本だ。だから、同じ言葉が別の篇にもう一度入っていることがある。それだけ弟子たちの心に残った言葉だった、と考えることもできるね。陽貨篇には「利口(口のうまい人)の国を覆す者を悪む」という言葉もあるよ。

出典『論語』と言葉の背景

『論語』は、孔子(こうし)と弟子たちの言葉や問答を、孔子の死後にまとめた本です。全20篇で、「学而第一」「為政第二」のように、それぞれの篇の最初の2字が篇の名前になっています。孔子は紀元前6〜5世紀ごろ、中国の春秋時代の魯(ろ)の国の人です。孔子の考え方が、のちに「儒家(じゅか)」と呼ばれるようになりました。儒家・道家・法家のちがいは、諸子百家(儒家・道家・法家)の考え方で図にしています。

孔子がいちばん大切にした「仁」

『論語』の中心にあるのが「仁(じん)」です。一言では言い表しにくい言葉ですが、人を思いやる心、まごころのことだと考えるとよいでしょう。孔子は弟子にたずねられるたびに、相手に合わせて仁をいろいろなことばで説明しました。「己の欲せざる所は人に施すこと勿れ」(自分がされたくないことを、人にしてはいけない)も、仁を説明した言葉の一つです。

その仁から遠い例としてあげられたのが「巧言令色」、近い例としてあげられたのが「剛毅木訥」です。孔子は、ことばや見た目と、心の中身とが食いちがうことを、とてもきらいました。『論語』の里仁篇にも、君子はことばには慎重で、行いにはすばやくありたい、という意味の言葉があります。

話がうまいことは悪いことなのか

では、孔子は話のうまい人をきらったのでしょうか。じつは孔子の弟子には、弁の立つ人もいました。たとえば子貢(しこう)は、話がうまく、外交でも活やくしたと伝えられる弟子です(「切磋琢磨」のページでは、子貢が孔子にほめられた問答を読めます)。孔子が問題にしたのは、ことばの上手さそのものではなく、心がこもっていないのに、人に気に入られるためにことばや顔つきを飾ることでした。

「令」の字は、今は「命令」の「令」として使うことが多いですが、もとは「よい・りっぱな」という意味もあります。相手の娘を敬って言う「令嬢」、よい評判の「令名」、そして元号の「令和」の「令」も、この「よい」の意味です。「令色」は、よい顔つき=愛想のよい顔つきのことです。

日本での「巧言令色」

日本でも『論語』は古くから読まれ、「巧言令色鮮なし仁」は、口のうまい人を戒めることわざとして広く知られています。反対の「剛毅木訥」も、まじめで飾らない人がらをほめる言葉として使われます。

自分のこととして読むと

「巧言令色」は、ほかの人を悪く言うための言葉と思われがちです。でも『論語』の多くの章は、弟子が自分をふり返るための言葉として残されています。たとえば、先生や友だちに気に入られたくて、思ってもいないことを言ったり、本当は分かっていないのに分かったような顔をしたりした経験は、だれにでもあるでしょう。孔子の言葉は、そういうときに「そのことばに、まごころはこもっているか」と自分に問いかけるきっかけになります。

反対に、口べたなことを気にしすぎる必要もありません。孔子は「剛毅木訥、仁に近し」と言って、うまく話せなくても、まっすぐな心と行いがあれば、それは仁に近いと認めています。大切なのは、話のうまい・へたではなく、ことばと心と行いが一致しているかどうかなのです。

面接や作文で使うときの注意

受験の面接や作文で「巧言令色」を使うときは、人を批判する言葉であることに気をつけましょう。「わたしは巧言令色な人にはなりたくない。ことばより行動で信頼される人になりたい」のように、自分の目標として使うと、相手に失礼にならず、意味も正しく伝わります。「剛毅木訥」や「言行一致」とセットで書くと、何を大切にしたいのかがはっきりします。

「巧言令色」の使い方と例文・似た言葉

「巧言令色」は、「巧言令色の人」「巧言令色をきらう」「巧言令色にまどわされる」のように、名詞として使います。ことばや愛想のよさが「人に気に入られるための飾り」で、心がこもっていないときに使うのがポイントです。悪い意味の言葉なので、目の前の人に向かって使うのは失礼になります。

  • ○選挙のときだけ愛想がいい政治家は、巧言令色と言われても仕方がない。(うわべだけの愛想)
  • ○店員の巧言令色にのせられて、いらない物まで買ってしまった。(口先にまどわされる)
  • ○祖父は「巧言令色鮮なし仁」が口ぐせで、口べたでも誠実な人を信用した。(ことわざとして)
  • ○面接では巧言令色より、自分のことばで正直に話すことが大切だ。
  • ×彼女のスピーチは巧言令色で、聞いている人がみな感動した。(ほめ言葉としては使わない)
  • ×先生、いつも巧言令色なお話をありがとうございます。(目上の人に、よい意味で使うのはとても失礼)

×の2つは、「巧(たくみ)」「令(よい)」という字の感じから、ほめ言葉だと思ってしまうまちがいです。巧言令色は、心がこもっていないことを悪く言う言葉です。話のうまさをほめたいときは「話し上手」「弁が立つ」などを使いましょう。

巧言令色似た言葉美辞麗句阿諛追従口先だけおべっか少しちがう八方美人慇懃無礼反対の言葉剛毅木訥質実剛健不言実行言行一致
似た言葉と反対の言葉。「剛毅木訥」「不言実行」は、口より中身を大事にする言葉です

似た言葉

  • 美辞麗句(びじれいく):うわべだけを美しく飾ったことば。中身がないことを悪く言うときに使います。
  • 阿諛追従(あゆついしょう):相手に気に入られようとして、こびへつらうこと。
  • 口先だけ・おべっか:ふだんの言い方での巧言令色です。
  • 八方美人(はっぽうびじん):だれにでもよく思われようとふるまう人。巧言令色に近いですが、「口先」より「だれにでもいい顔をする」ところに重点があります。
  • 慇懃無礼(いんぎんぶれい):ていねいすぎて、かえって失礼なこと。公冶長篇の「足恭(度をこしたうやうやしさ)」に近い言葉です。

反対の言葉

  • 剛毅木訥(ごうきぼくとつ):意志が強く、飾り気がなく、口が重いこと。孔子が「仁に近し」とほめた人がらです。
  • 質実剛健(しつじつごうけん):飾り気がなくまじめで、心も体も強いこと。
  • 不言実行(ふげんじっこう):あれこれ言わずに、だまって行うこと。
  • 言行一致(げんこういっち):言うこととすることが同じであること。

「巧言令色」のよくあるまちがい

「巧言令色」を書きまちがえない巧言令色巧=たくみ○ これ功言令色「功」はてがら×巧言冷色「冷」はつめたい×「令」は「よい」という意味。令和・令嬢・令名の「令」と同じです
「巧」を「功」、「令」を「冷」と書くのはまちがい。「令」は「よい」の意味です
  • 「功言令色」「好言令色」と書く:「功」はてがら、「好」はこのむ。「たくみ」の意味の「巧」が正しい字です。字の形は「巧」の読み方・書き順・部首、「令」の読み方・書き順・部首で確かめましょう。
  • 「巧言冷色」「巧言麗色」と書く:「令」は「よい」の意味。冷たい顔つきでも、うるわしい顔つきでもありません。
  • 「こうごんれいしょく」「こうげんれいしき」と読む:「巧言」は「こうげん」、「令色」は「れいしょく」です。
  • ほめ言葉として使う:「ことばがたくみ」「顔つきがよい」から、よい意味だと思ってしまうまちがい。心がこもっていないことを悪く言う言葉です。
  • 「鮮なし仁」を「仁があざやか」と読む:「鮮(すく)なし」は「少ない」。「鮮」の読み方・書き順・部首のページでも、「すくない」の読みが確かめられます。
  • 「仁がまったくない」と訳す:「鮮なし」は「少ない」で、「無し」とは言っていません。訳では「仁が少ない」とします。
うかるくん

うかるくん

「鮮なし仁」って、なんで「仁」が最後なんですか?「仁鮮なし」のほうが自然な気がします。

ミスターT先生

ミスターT先生

そこが入試のねらい目だ! ふつうの語順は「仁鮮矣」なんだけど、孔子は「鮮」を前に出して「少ないんだよ、仁は」と強めた。日本語でも「すごいね、この絵は」と言うと、「この絵はすごいね」より気持ちがこもるだろう? 倒置で強めると覚えておこう。

入試ではこう出る

「巧言令色」は、中学受験から大学受験まで、四字熟語としても、『論語』の漢文としても出てきます。

  • 中学受験:四字熟語の意味を選ぶ問題、「こうげんれいしょく」を漢字で書く問題(「巧」と「功」の区別)、反対の意味の言葉を選ぶ問題(剛毅木訥・不言実行など)。
  • 高校受験:『論語』の学習で学而篇を読むことが多く、「鮮」の読み・意味、「仁」の意味、書き下し文がよく問われます。高校受験の漢文の出方は高校受験の漢文(返り点・書き下し文の対策)にまとめています。
  • 大学受験:「鮮矣仁」の倒置(述語が前に出た強調)の説明、「矣」が置き字であること、剛毅木訥との対比がよく問われます。共通テストの漢文の出方は共通テストの漢文(配点・時間配分)へ。
ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

「巧言令色」の意味を書く問題は、「ことばを飾る」「顔つきをつくろう」「人に気に入られようとする(心がこもっていない)」の3つを入れると、まちがいなく伝わりますね!

練習問題

やさしい

  1. 「巧言令色」の意味として正しいものを選びましょう。
    ア 話し方がとても上手で、人を感動させること イ ことばを飾り顔つきをつくろって、人に気に入られようとすること ウ 顔色が悪く、元気がないこと エ 命令をすばやく伝えること
    答えと解説を見るイ。アのような「ほめる」意味はありません。「令」は「よい」の意味で、命令ではありません。
  2. 「巧言令色」の反対の意味を表す、『論語』子路篇の四字の言葉を書きましょう。
    答えと解説を見る剛毅木訥(ごうきぼくとつ)。「剛毅木訥、仁に近し」で、意志が強く飾り気がなく口の重い人は仁に近い、という意味です。

ふつう

  1. 「巧言令色、鮮矣仁。」を書き下し文に直し、現代語に訳しましょう。
    答えと解説を見る書き下し文は「巧言令色、鮮なし仁。」。訳は「ことばをたくみに飾り、顔つきをつくろう人には、仁(まごころ)が少ない」。「矣」は置き字なので読みません。
  2. 「鮮矣仁」の「鮮」の読み方と意味を答えましょう。
    答えと解説を見るすくなしと読み、「少ない」という意味。「あざやか」の意味ではありません。

むずかしい

  1. 「鮮矣仁」は、ふつうの語順とどうちがいますか。また、なぜそのような語順になっているのか説明しましょう。
    答えと解説を見るふつうは主語が先で「仁鮮矣(仁鮮し)」となるところを、述語の「鮮」を前に出している(倒置)。「少ないのだ、仁は」と、仁が少ないことを強めるためです。
  2. 孔子は話のうまい人をすべて否定したのですか。『論語』の言葉をもとに説明しましょう。
    答えと解説を見る否定していません。孔子が問題にしたのは、心がこもっていないのに、人に気に入られるためにことばや顔つきを飾ることです。だから「仁が無い」ではなく「鮮なし(少ない)」と言い、反対に、飾り気がなく口の重い「剛毅木訥」の人を「仁に近し」とほめました。

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よくある質問

巧言令色の意味を簡単に言うと何ですか?

ことばをたくみに飾り、顔つきを愛想よくつくろって、人に気に入られようとすることです。口先ばかりで心がこもっていない人や態度を悪く言うときに使います。

巧言令色の出典は何ですか?

『論語』学而第一の孔子の言葉「巧言令色、鮮矣仁(巧言令色、鮮なし仁)」です。同じ句が陽貨第十七にも出てきます。

「鮮なし仁」はどういう意味ですか?

「(そういう人には)仁が少ない」という意味です。「鮮」は「すくなし」と読み、少ないという意味です。ふつうの語順「仁鮮矣」の「鮮」を前に出して強めています。

巧言令色の反対の言葉は何ですか?

『論語』子路篇の「剛毅木訥(ごうきぼくとつ)、仁に近し」の剛毅木訥がよく知られています。意志が強く、飾り気がなく、口の重い人のことです。ほかに質実剛健・不言実行なども反対の意味の言葉です。

巧言令色をほめ言葉として使ってもよいですか?

使えません。「巧」「令」の字からよい意味に思えますが、心がこもっていないことを悪く言う言葉です。話のうまさをほめるときは「話し上手」などを使います。

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出典・参考

  • 原文:『論語』学而第一・陽貨第十七・子路第十三・公冶長第五・衛霊公第十五(維基文庫の本文で確認。白文は新字体に改めたもの)
  • 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(教科書で多い読み方をもとにした一例)
  • お話の絵・図:合格大作戦

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦