漢文文法・句法辞典 › 漢詩・思想・文学史
大学受験難関大
ひとことで言うと
諸子百家は、春秋・戦国時代に「国をどう治めるか」を説いた思想家たちです。儒家(孔子・孟子=性善説・荀子=性悪説)は徳と礼、道家(老子・荘子)は無為自然、法家(韓非・李斯)は法と賞罰、墨家(墨子)は兼愛を説きました。
このページのポイント
- 諸子百家=春秋・戦国時代の思想家たち
- 儒家:孔子(仁・礼)・孟子(性善説)・荀子(性悪説)
- 道家:老子・荘子=無為自然、仁義を批判
- 法家:商鞅・韓非・李斯=法治・信賞必罰
- 墨家=兼愛・非攻、兵家=孫子、縦横家=合従(蘇秦)・連衡(張儀)
はじめて(やさしく)
諸子百家(しょしひゃっか)とは、中国の春秋・戦国時代(紀元前8世紀〜前3世紀)に現れた、たくさんの思想家とその学派のことです。「諸子」は「多くの先生」、「百家」は「多くの学派」という意味です。周の王の力が弱まり、国どうしが争った時代に、「国をどう治めればよいか」「人はどう生きればよいか」を、それぞれの先生が王たちに説いて回りました。
漢文の授業や入試で読む『論語』『孟子』『荀子』『老子』『荘子』『韓非子』『孫子』などは、みな諸子百家の本です。そして「矛盾」「五十歩百歩」「胡蝶の夢」など、今も使う故事成語の多くが、ここから生まれました。
諸子百家の一覧(学派・人物・キーワード)
| 学派 | 代表的な人物 | キーワード | 本 | ここから出た言葉 |
|---|---|---|---|---|
| 儒家 | 孔子・孟子・荀子 | 仁・礼・徳治・性善説(孟子)・性悪説(荀子) | 『論語』『孟子』『荀子』 | 温故知新・五十歩百歩・青は藍より出でて藍より青し |
| 道家 | 老子・荘子 | 道・無為自然・柔弱 | 『老子』『荘子』 | 上善は水の如し・胡蝶の夢・朝三暮四 |
| 法家 | 商鞅・韓非・李斯 | 法治・信賞必罰 | 『韓非子』『商君書』 | 矛盾・株を守る・逆鱗に触れる |
| 墨家 | 墨子 | 兼愛(へだてない愛)・非攻(侵略反対) | 『墨子』 | 墨守(守りがかたいこと) |
| 兵家 | 孫子(孫武) | 戦わずして勝つ | 『孫子』 | 彼を知り己を知れば百戦殆うからず・呉越同舟 |
| 縦横家 | 蘇秦・張儀 | 合従・連衡(外交の策) | 『戦国策』『史記』 | 鶏口牛後・漁夫の利 |
| 名家 | 公孫竜・恵施 | 名(ことば)と実(もの)・論理 | 『公孫竜子』 | 白馬は馬に非ず |
| 陰陽家 | 鄒衍 | 陰陽・五行(木火土金水) | (まとまった本は残らない) | 陰陽五行説 |
| 農家 | 許行 | 君主も民と一緒に耕すべき | (『孟子』に登場) | — |
まずは、いちばん有名な孔子の言葉から読んでみましょう。孔子とその弟子たちの言葉を集めた本が『論語』です。丸の数字が読む順番です。
儒家:孔子(温故知新)
白文子曰、温故而知新、可以為師矣。
書き下し文子曰はく、故きを温めて新しきを知れば、以て師と為るべし。
(『論語』為政)
現代語訳先生がおっしゃった。「古いことを学び直して、そこから新しい知識や考えを得られる人なら、人の先生になることができる。」
うかるくん
「百家」って、本当に100人もいたんですか?
ミスターT先生
「百」は「たくさん」という意味で、ちょうど100ではないんだ。漢の時代の本の目録『漢書』芸文志では、儒・道・陰陽・法・名・墨・縦横・雑・農の9つを「九流」、小説家を足して「十家」とまとめている。
サクラちゃん
入試では、どれがいちばん大事ですか?
ミスターT先生
圧倒的に儒家(孔子・孟子・荀子)と道家(老子・荘子)。それに法家の韓非子。「孟子は性善説、荀子は性悪説」は、まず覚えておこう。
同じ儒家でも、孟子は「人は生まれつき善い心を持っている(性善説)」と考え、荀子は「人は生まれつき欲が強く、放っておくと争う(性悪説)」と考えました。ただし荀子も、人は悪のままでよいと言ったのではなく、「だから礼と学問で自分を正そう」と説いたのです。「悪」は「わるもの」というより、「欲のままで、まだ整っていない」というイメージです。

ミスターT先生
諸子百家は「だれが・何派で・キーワードは何か」の3点セットで覚える。孔子=儒家=仁、老子=道家=無為自然、韓非子=法家=法治、墨子=墨家=兼愛。これだけで文学史・思想の問題の半分は解けるよ。
ここまでのまとめ
- 諸子百家=春秋・戦国時代の思想家たち(「百」はたくさんの意味)
- 儒家(孔子・孟子・荀子)、道家(老子・荘子)、法家(韓非 など)が特に大事
- 孟子=性善説、荀子=性悪説
しっかり(共通テスト)
年表で見る諸子百家
諸子百家の時代は、春秋時代(前770〜前403年)と戦国時代(前403〜前221年)にまたがります。孔子は春秋時代の終わりごろの人で、孟子・荘子・荀子・韓非は戦国時代の人です。前221年に秦の始皇帝が中国を統一すると、法家の李斯が丞相(宰相)として政治を動かしました。
| 人物 | 生没年(おおよそ) | 学派 | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 孔子(名は丘) | 前551ごろ〜前479年 | 儒家 | 魯の人。仁と礼を説き、多くの弟子を育てた |
| 老子 | 不明(伝説では孔子と同じころ) | 道家 | 実在や年代に諸説。『老子』(道徳経)の作者とされる |
| 墨子(名は翟) | 前5世紀〜前4世紀はじめごろ | 墨家 | 兼愛・非攻。城を守る技術集団も率いたと伝えられる |
| 孟子(名は軻) | 前4世紀〜前3世紀はじめ(諸説) | 儒家 | 性善説・王道政治。孔子の孫の子思の門人に学んだ |
| 荘子(名は周) | 前4世紀ごろ(諸説) | 道家 | たとえ話(寓話)で自由な生き方を説く |
| 荀子(名は況) | 前4世紀末〜前3世紀(諸説) | 儒家 | 性悪説・礼による教育。韓非と李斯の先生 |
| 商鞅 | ?〜前338年 | 法家 | 秦で法による改革(変法)を行う |
| 韓非 | ?〜前233年 | 法家 | 法家を集大成。『韓非子』 |
| 李斯 | ?〜前208年 | 法家 | 秦の始皇帝の丞相 |
儒家:孔子・孟子・荀子
孔子は、思いやりの心である仁と、社会のきまりや作法である礼を重んじ、上に立つ人が徳を身につけて手本を示せば、人々は自然に従うと考えました(徳治主義)。次の言葉は、法と刑罰による政治と、徳と礼による政治をくらべたものです。
儒家の徳治(法と刑罰だけでは足りない)
書き下し文之を道くに政を以てし、之を斉ふるに刑を以てすれば、民免れて恥無し。
(『論語』為政)
現代語訳人々を法令で導き、刑罰でそろえようとすれば、人々は刑罰をうまくのがれても、恥じる心を持たなくなる。
孟子は、人には生まれつき「惻隠の心(あわれむ心)」「羞悪の心(悪をはじる心)」「辞譲の心(ゆずる心)」「是非の心(善悪を見分ける心)」の4つの芽(四端)があり、これを育てれば仁・義・礼・智になると説きました。また、武力で従わせる覇道ではなく、徳で治める王道をすすめました(「王道」と「覇道」の意味と違い(孟子))。
孟子の性善説
書き下し文人性の善なるや、猶ほ水の下きに就くがごときなり。
(『孟子』告子上)
現代語訳人の本性が善であるのは、ちょうど水が低い方へ流れていくようなもの(自然なこと)だ。
四端の説
書き下し文惻隠の心は、仁の端なり。
(『孟子』公孫丑上)
現代語訳人をあわれみいたむ心は、仁の芽生え(いとぐち)である。
荀子は、人の性は欲が強く、放っておけば争いになると考え、礼と学問で人を正すことを重んじました(礼治主義)。『荀子』の最初の篇は「勧学(学問のすすめ)」です。
荀子の性悪説
書き下し文人の性は悪にして、其の善なる者は偽なり。
(『荀子』性悪)
現代語訳人の本性は悪であって、人が善であるのは、人の手による(努力の)結果である。
荀子:学問のすすめ
書き下し文学は以て已むべからず。
(『荀子』勧学)
現代語訳学問は途中でやめてはならない。
道家:老子・荘子
道家は、宇宙のおおもとである道(タオ)に従い、人の手を加えない無為自然を理想としました。儒家が大切にする仁義や礼を、「道が失われたから必要になったもの」と批判します。老子と荘子を合わせて「老荘思想」と言います。
道家:儒家への批判
書き下し文大道廃れて、仁義有り。智慧出でて、大偽有り。
(『老子』第十八章)
現代語訳大いなる道がすたれたから、仁義(を説く必要)が生まれた。人のさかしい知恵が現れたから、大きないつわりが生まれた。
無為(何もしないのに、すべてをなしとげる)
書き下し文道は常に無為にして為さざる無し。
(『老子』第三十七章)
現代語訳道はいつも何もしないでいるのに、なしとげないことは何もない。
荘子:胡蝶の夢
書き下し文昔者荘周夢に胡蝶と為る。
(『荘子』斉物論)
現代語訳むかし、荘周(荘子)は夢の中で蝶になった。
法家:商鞅・韓非・李斯
法家は、人は利益を求めて動くものだと考え、はっきりした法と、手がらには賞、罪には罰を必ず与える信賞必罰で国を治めるべきだと説きました(法治主義)。秦の商鞅が改革で国を強くし、韓非がその考えを集大成し、李斯が始皇帝のもとで実行しました。『韓非子』には、たとえ話の形で儒家などを批判する話が多く、故事成語の宝庫です。
法家:矛盾
書き下し文子の矛を以て、子の盾を陥さば、何如。
(『韓非子』難一)
現代語訳あなたの矛で、あなたの盾を突いたら、どうなるのか。
法家:株を守る(守株)
書き下し文因りて其の耒を釈てて株を守り、復た兎を得んことを冀ふ。
(『韓非子』五蠹)
現代語訳そこで(その農民は)すきを捨てて切り株を見張り、また兎が手に入ることを願った。
墨家・兵家・縦横家ほか
墨子は、自分の家族も他人も区別なく愛する兼愛と、侵略戦争に反対する非攻を説きました。儒家の「仁」は身近な人ほど深く愛する(差別のある愛)として批判し、また、儒家が重んじるぜいたくな葬式や音楽にも反対しました(節葬・非楽)。墨家は戦国時代には儒家と並ぶ大きな集団でしたが、秦・漢以後はほとんど絶えました。
墨家:兼愛
書き下し文天下兼ねて相愛すれば則ち治まり、交相悪めば則ち乱る。
(『墨子』兼愛上)
現代語訳世の中の人々がへだてなくたがいに愛し合えば世は治まり、たがいに憎み合えば世は乱れる。
兵家の孫子(孫武)は、戦いに勝つ方法を説きましたが、その中心は「戦わずして人の兵を屈する」こと、つまりなるべく戦わずに勝つことでした(孫子の兵法の原文・書き下し・意味)。
兵家:孫子
書き下し文彼を知り己を知れば、百戦殆ふからず。
(『孫子』謀攻)
現代語訳敵の実情を知り、自分の実情を知っていれば、百回戦っても危ういことはない。
縦横家は、弁舌で各国の王に外交策を説いた人々です。蘇秦は六国が同盟して秦に対抗する合従を、張儀は六国が個別に秦と結ぶ連衡を説いたとされます。蘇秦が韓の王を説いたときの言葉が「鶏口牛後」です。
縦横家:鶏口牛後
書き下し文寧ろ鶏口と為るも、牛後と為る無かれ。
(『史記』蘇秦列伝)
現代語訳たとえ小さくても鶏のくちばし(小国の長)になる方がよい。大きな牛のしり(大国の家来)にはなるな。
思想の文章の読み方の手順
- だれの言葉かを確かめる:「子曰」は孔子、「孟子曰」は孟子。出典(『論語』『老子』など)もヒントになります。
- キーワードをさがす:仁・礼・徳(儒家)、道・無為・自然(道家)、法・賞罰(法家)、兼愛(墨家)。
- たとえ話の「たとえる物」と「たとえられる物」を分ける:矛と盾=儒家の主張、株を守る農民=昔のやり方にこだわる人。
- だれを批判しているかを読む:道家・法家・墨家の文章の多くは、儒家への批判をふくみます。
- 筆者の主張を一文にまとめる:「〜ではなく、〜すべきだ」の形にすると、記述問題に答えやすくなります。
サクラちゃん
儒家と道家って、どっちが正しいんですか?
ミスターT先生
入試ではどちらが正しいかは聞かれない。聞かれるのは「この文章の筆者はどの立場で、何を批判しているか」だ。道家の文章に「仁義」が出てきたら、たいていは批判の対象だよ。
うかるくん
「矛盾」も、ただのおもしろい話じゃなくて、儒家への皮肉だったんですね!
もっと深く(難関大・上級者)
1. 師弟と思想のつながり
『史記』によると、孟子は孔子の孫である子思の門人に学びました。子思は孔子の弟子曾子に学んだと伝えられ、この「孔子→曾子→子思→孟子」の流れは、のちに朱子学で儒学の正統とされました。いっぽう荀子は孟子の性善説を批判し、その荀子のもとから、法家の韓非と李斯が出ています。儒家の先生から法家の大成者が出たことは、「礼で外から人を正す」荀子の考えが、「法で外から人を従わせる」法家につながったと説明されます。
『史記』老子韓非列伝は、老子・荘子・申不害・韓非を1つの伝にまとめています。司馬遷は、韓非の考えは「黄老(黄帝・老子の道家)」にもとづくと述べており、法家と道家の「人の手を加えない」「君主は表に出ない」という考えのつながりを示しています。
2. 合従と連衡
戦国時代の後半、西の強国秦に対して、東の六国(燕・趙・斉・魏・韓・楚)がどう生き残るかが大問題でした。『史記』では、蘇秦が六国の同盟(合従)をまとめ、のちに張儀がそれをくずして各国を秦と結ばせた(連衡)と書かれています。ただし、1973年に馬王堆漢墓から出た帛書(絹に書いた本)の『戦国縦横家書』などから、蘇秦は張儀より後の時代の人だったとする説が有力になっています。『史記』の記事が、そのまま歴史の事実とは限らない例として知っておくとよいでしょう。今の日本語の「合従連衡」は、その時々の利害で手を組んだり離れたりすることを言います。
3. 「性善」「性悪」と「偽」の読み
荀子の「其の善なる者は偽なり」の「偽」は、「人+為」=人為のことで、荀子自身が、生まれつきの「性」に対して、学んでできるようになり、努力して身につくものを「偽」と呼んで区別しています。記述問題で「偽」を「いつわり」と訳すのは誤りです。また、孟子の性善説も「人はみな善人だ」という意味ではなく、「善になる芽を生まれつき持っている」という意味です。両者は「人は学び努力すべきだ」という点では一致しており、ちがうのは善の出どころ(内にあるか、外から身につけるか)です。

4. 新しく見つかった竹簡と諸子の本
20世紀後半から、古い墓から竹簡・帛書が次々に見つかり、諸子の本の研究が大きく進みました。1972年には山東省の銀雀山漢墓から『孫子』と、長く失われていた『孫臏兵法』の竹簡が出て、孫武と孫臏(孫武の子孫とされる兵法家)が別人で、それぞれに兵法書があったことがはっきりしました。1993年には湖北省の郭店楚墓から、今の『老子』の一部にあたる竹簡が見つかり、『老子』の成り立ちについての議論が進んでいます。教科書の本文は、こうした研究をふまえつつ、伝わってきた本(伝世本)によっています。
5. 諸子の思想のその後
秦は法家の政治で中国を統一しましたが、李斯の進言で焚書(医学・占い・農業以外の書物を焼く、前213年)が行われ、翌年には学者を穴埋めにした坑儒が起こったと伝えられます。秦が短く滅びたあと、漢の武帝のころには儒学が国の学問とされ、五経(詩・書・易・礼・春秋)を教える博士が置かれました。魏晋の時代には老荘思想が流行し、宋の朱熹は『論語』『孟子』『大学』『中庸』を四書として重んじる朱子学を大成しました。日本では江戸幕府が朱子学を重んじ、寺子屋や藩校で『論語』が読まれました。日本の漢文訓読の伝統も、こうした儒学の学習の中で育ってきたものです(漢文の文学史(四書五経・史記・唐詩))。
6. 入試で問われる「思想の比較」
| テーマ | 儒家 | 道家 | 法家 |
|---|---|---|---|
| 理想の政治 | 徳治(徳・礼)・王道 | 無為・小国寡民 | 法治・信賞必罰 |
| 人間の見方 | 孟子:性善/荀子:性悪 | 人の知恵・欲がわざわいのもと | 人は利益で動く |
| 仁義・礼 | 最も大切 | 道が失われた結果 | 役に立たない(法で足りる) |
| よく使う表現 | 「君子」「小人」 | 「道」「自然」「柔弱」 | 「法」「術」「勢」 |
| 有名な故事 | 助長・五十歩百歩 | 朝三暮四・井の中の蛙 | 矛盾・和氏の璧 |
難関大の問題では、たとえば「この寓話は、どの立場の人のどんな考え方を批判しているか」「孟子と荀子は人の本性をどうとらえたか、くらべて説明せよ」のように、2つの立場を対比させて説明させる問いがよく見られます。上の表の「人間の見方」と「理想の政治」を、自分の言葉で1〜2文にまとめる練習をしておきましょう。

サクラちゃん
儒家=徳と礼、道家=無為自然、法家=法と賞罰、墨家=兼愛。孟子は性善で「芽を育てる」、荀子は性悪で「礼と学問で矯める」。「偽」は人為!
よくあるまちがい
まちがい1:孟子を性悪説、荀子を性善説と逆に覚える
孟子=性善説、荀子=性悪説。「孟子の母(孟母三遷)は子の善い芽を育てた」と結びつけると覚えやすくなります。
まちがい2:荀子の「偽」を「うそ・いつわり」と訳す
荀子の「偽」は人為(人の努力・はたらきかけ)です。「善は人の努力によるものだ」という意味になります。
まちがい3:韓非を儒家に入れる
韓非は儒家の荀子に学びましたが、法家の大成者です。李斯も法家です。
まちがい4:「無為」を「何もしない怠け者」と考える
老子の「無為」は、人のさかしらな手を加えず、自然のままにまかせることです。「無為にして為さざる無し」のように、むしろすべてがうまくいくと考えます。
まちがい5:「百家」を百人の思想家と考える
「百」はたくさんの意味です。『漢書』芸文志では九流十家に分けています。
練習問題
やさしい
- 次の人物を、儒家・道家・法家に分けなさい。
孔子・老子・韓非・孟子・荘子・荀子・李斯答えと解説を見る
儒家:孔子・孟子・荀子/道家:老子・荘子/法家:韓非・李斯
- 次の訓読文を書き下し文にしなさい。(『孫子』謀攻)知リレ彼ヲ知レバレ己ヲ
答えと解説を見る
彼を知り己を知れば(彼を知り己を知れば)。レ点で「彼を→知り」「己を→知れば」と1字返ります。
ふつう
- 孟子の性善説と荀子の性悪説のちがいを、それぞれ1文で説明しなさい。
答えと解説を見る
孟子は、人は生まれつき善の芽(四端)を持ち、それを育てれば善になると考えた。荀子は、人は生まれつき欲が強く争うものなので、礼と学問によって正す必要があると考えた。
- 次の白文を書き下し文にしなさい。(自作)
「民不可使知之」(ヒント:「使」は使役、「不可」は「べからず」)答えと解説を見る
書き下し文:民は之を知らしむべからず。 「使A〜」の使役で「Aをして〜しむ」ですが、ここでは「民」が文頭に出ているので「民は之を知らしむべからず」と読みます(使役の句法(使・令・教・遣))。『論語』泰伯の「民は之に由らしむべし、之を知らしむべからず」をもとにした問題です。
むずかしい
- 『韓非子』の「矛盾」の話は、もともと何を批判するために使われたか。説明しなさい。
答えと解説を見る
伝説の聖人である堯と舜の両方を聖人としてほめる儒家の考えを批判するため。堯が完全な聖人なら舜が世を正す必要はなく、舜が世を正したなら堯は完全ではない。両方をほめるのは、どんな盾も通す矛と、どんな矛も防ぐ盾を同時に売るのと同じで、つじつまが合わない、という論法。
- 『老子』の「大道廃れて、仁義有り」は、儒家に対するどのような批判をふくんでいるか。説明しなさい。
答えと解説を見る
儒家が最も大切にする仁義は、本来の大いなる道が失われたからこそ必要になったものにすぎず、仁義を説くこと自体が世の中が乱れているしるしである、という批判。仁義を高い価値とする儒家の考えを、逆の方向から見直している。
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諸子の本から生まれた言葉は故事成語の一覧(意味・由来・出典)で、孟子の話は五十歩百歩の意味と由来(孟子の白文・書き下し文)でも読めます。論語の「楽しむ者に如かず」は「好きこそものの上手なれ」と論語で紹介しています。
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よくある質問
諸子百家とは何ですか?
中国の春秋・戦国時代に現れた多くの思想家と学派のことです。儒家・道家・法家・墨家・兵家・縦横家・名家・陰陽家・農家などがあり、「百」はたくさんという意味です。
性善説と性悪説のちがいは?
孟子の性善説は、人は生まれつき善の芽(四端)を持つという考えです。荀子の性悪説は、人は生まれつき欲が強く争うので、礼と学問で正すべきだという考えです。
儒家と道家と法家のちがいは?
儒家は徳と礼による政治(徳治)、道家は人の手を加えない無為自然、法家は法と賞罰による政治(法治)を説きました。道家と法家は儒家を批判しました。
荀子の「偽」はどういう意味ですか?
「うそ」ではなく「人為」、つまり人の努力やはたらきかけのことです。「其の善なる者は偽なり」は、人の善は努力によるものだという意味です。
韓非子と荀子の関係は?
『史記』によると、韓非と李斯はともに荀子に学びました。荀子は儒家ですが、韓非は法家を集大成しました。
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出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
- 例文の本文:『論語』為政、『孟子』(告子上・公孫丑上)、『荀子』(性悪・勧学)、『老子』(第十八章・第三十七章)、『荘子』斉物論、『韓非子』(難一・五蠹)、『墨子』兼愛上、『孫子』謀攻、『史記』(蘇秦列伝・孟子荀卿列伝・老子韓非列伝・李斯列伝)、『漢書』芸文志。訓読は高校の教科書で一般的な読み方による
- 人物の生没年は諸説あるものを「ごろ」「諸説」と記した。蘇秦と張儀の年代については馬王堆帛書『戦国縦横家書』による説を紹介した
- 画像:「孔子見老子」画像石の拓本(漢代、作者不明、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)
最終更新:2026年10月28日/作成:大学受験合格大作戦



