漢文の願望の句法|願・請・幸・庶幾・欲の読み方と「〜ん」「〜せよ」の読み分け(自分の願望・相手への願望)

漢文の願望の句法|願・請・幸・庶幾・欲の読み方と「〜ん」「〜せよ」の読み分け(自分の願望・相手への願望)

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ひとことで言うと

漢文の願望は、文頭の願(ねがはくは)・請(こふ)・幸/庶幾(こひねがはくは)で表し、自分の願望は「〜ん」、相手への願望は「〜せよ(命令形)」で結びます(例:請ふ剣を以て舞はん/願はくは大王急ぎ渡れ)。

このページのポイント

  • 願望の字は願・請・幸・庶幾・冀(文頭に置く)
  • 自分の願望=未然形+「ん」(どうか〜させてほしい)
  • 相手への願望=命令形(どうか〜してください)
  • 読み分けの決め手は動作の主語(臣・吾か、王・君か)
  • 「欲」は人なら〜したい、ものなら今にも〜しそう

はじめて(やさしく)

願望(がんぼう)の句法とは、「どうか〜したい」「どうか〜してください」というねがいを表す言い方です。日本語でも「お願い、ぼくに行かせて!」(自分がしたい)と「お願い、早く来て!」(相手にしてほしい)の2つがありますね。漢文の願望も、まさにこの2種類に分かれます。

  • 自分の願望:「どうか〜させてほしい」→ 書き下し文の最後は「〜ん」(意志)
  • 相手への願望:「どうか〜してください」→ 書き下し文の最後は「〜せよ」(命令形)
願望は「自分」か「相手」か自分の願望相手への願望〜ん(意志)で結ぶ〜せよ(命令形)で結ぶどうか〜させてほしいどうか〜してください請ふ剣を以て舞はん願はくは大王急ぎ渡れ主語は私(臣・吾)主語は相手(王・君)文末の「ん」と「命令形」が見分けの目印
自分の願望は「〜ん」、相手への願望は「〜せよ(命令形)」で結ぶ

願望の句形(公式の一覧)

文の頭に「願」「請」などの字を置き、文末の形で「自分」か「相手」かを読み分けます。A は動詞などの述語です。

句形読み意味(訳し方)
願AねがはクハAセンどうかAさせてほしい(自分)
願AねがはクハAセヨどうかAしてください(相手)
請AこフAセンどうかAさせてください(自分)
請AこフAセヨどうかAしてください(相手)
幸AこひねがはクハAセン/セヨどうか(できれば)Aしたい/してほしい
庶幾A・冀AこひねがはクハAセン/セヨどうかAしたい/してほしい
欲AAセント欲スAしたい(人が主語)
欲AAセント欲ス今にもAしそうだ(ものが主語)
うかるくん

うかるくん

同じ「願はくは」なのに、最後が「ん」になったり「せよ」になったりするんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

そう。決め手はだれがその動作をするかだ。「私が舞いたい」なら「舞はん」、「王様に渡ってほしい」なら「渡れ」。だから願望の文では、まず主語をさがすんだよ。

サクラちゃん

サクラちゃん

「自分ならん、相手なら命令形」。これが合言葉ですね!

願望を表す字願ねがはくはいちばん多い文頭に置く請こふお願いする会話に多い幸こひねがはくはさいわいにまれに出る庶幾こひねがはくは2字で1語冀も同じ読み冀こひねがはくは1字で庶幾と同じ欲〜んとほつす〜したい今にも〜しそう
願望を表す字。「願」と「請」がいちばんよく出る

実際の文で見てみましょう。『史記』の「鴻門の会」で、項羽の部下の項荘(こうそう)が、宴会の席で言った言葉です。剣の舞を見せるふりをして、沛公(劉邦)をねらおうとしています。

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請〜ん(こふ〜ん)=自分の願望

白文請以剣舞。

書き下し文請こふ剣を以て舞はん。

(『史記』項羽本紀)

現代語訳どうか剣を持って舞わせてください。

ここがポイント舞うのは項荘自身なので、自分の願望。文末は「舞はん」(意志の「ん」)。「請ふ」は「お願いする」で、ていねいに許しを求める言い方です。この場面から「項荘剣を舞わす」(ほかにねらいがあること)という故事成語が生まれました。

次は、相手への願望です。垓下の戦いに敗れた項羽が烏江(うこう)までのがれてきたとき、渡し場の長(亭長)が舟を用意してすすめた言葉です。

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願〜せよ(ねがはくは〜せよ)=相手への願望

書き下し文願はくは大王急ぎ渡れ。

(『史記』項羽本紀)

現代語訳どうか大王さま、急いで(川を)お渡りください。

ここがポイント渡るのは相手(大王=項羽)なので、相手への願望。文末は「渡れ」と命令形になります。「願はくは」は文の頭で「どうか」と訳します。項羽はこのすすめを断り、「天の我を亡ぼすに、我何ぞ渡ることを為さん」と答えます(反語)。
人差し指を立てて説明するミスターT先生

ミスターT先生

願望の文は主語さがしから。「臣・吾」など自分なら「〜ん」、「王・君」など相手なら「〜せよ」。この1つのルールで、願望の書き下しと訳はほぼ決まるよ。

ここまでのまとめ

  • 願望は「どうか〜したい」「どうか〜してください」を表す
  • 自分の願望は「〜ん」(意志)で結ぶ
  • 相手への願望は「〜せよ」(命令形)で結ぶ
  • 読み分けの決め手は動作の主語

しっかり(共通テスト)

願望の字と読み方の一覧

字読み意味結び注意
願ねがはくはどうか〜ん/命令形下に名詞なら「〜を願ふ」(動詞)
請こふどうか・お願いする〜ん/命令形「〜を請ふ」(求める)もある
幸こひねがはくはどうか・できれば〜ん/命令形ふつうは「さいはひ」と読む字
庶幾こひねがはくはどうか〜ん/命令形「ちかし(ほとんど)」の意味もある
冀こひねがはくはどうか〜ん/命令形「庶幾」と同じ
欲ほつす〜したい・今にも〜しそう〜んと欲す主語が人かものかで訳し分け

「こひねがはくは」は、「こひ(請ひ)」+「ねがはくは(願はくは)」が1つになった語で、「ぜひとも」「なんとか」という強い気持ちがこもります。現代語の「こいねがう(希う)」と同じ語です。

「〜ん」と「〜せよ」の読み分け

  1. 願望の字をさがす。文頭の願・請・幸・庶幾・冀。
  2. 動作の主語を決める。書かれていればそれを、なければ会話の場面(だれがだれに言っているか)から補う。
  3. 自分なら未然形+「ん」(〜させてほしい)、相手なら命令形(〜してください)で結ぶ。
  4. 訳を確かめる。「どうか〜させてください」「どうか〜してください」で前後と意味が通るか。
「〜ん」か「〜せよ」か:主語で決める動作をするのはだれ?自分(話し手)未然形+ん〜させてほしい臣・吾・僕・妾相手(聞き手)命令形〜してください王・君・子・公・卿主語が省略されていたら、場面から補う
動作をするのが自分なら「〜ん」、相手なら命令形

例文で確かめる

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請〜ん(自分の願望)

書き下し文臣請こふ璧を完うして趙に帰らん。

(『史記』廉頗藺相如列伝)

現代語訳私がどうか、璧(宝玉)を無事に守りとおして趙に持ち帰りましょう(持ち帰らせてください)。

ここがポイント趙の藺相如(りんしょうじょ)が、秦へ使いに行くことを申し出た言葉。主語が「臣(わたくし)」なので自分の願望で、文末は「帰らん」。この話から「完璧」(傷のない玉=欠点がないこと)という言葉が生まれました。
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願はくは〜ん(自分の願望)

書き下し文天に在りては願はくは比翼の鳥と作り、地に在りては願はくは連理の枝と為らん。

(白居易「長恨歌」)

現代語訳天にいるなら、どうか比翼の鳥(翼をならべて飛ぶ鳥)となりたい。地にいるなら、どうか連理の枝(2本の木の枝がつながったもの)となりたい。

ここがポイント唐の玄宗皇帝と楊貴妃が、永遠の愛をちかった言葉として詩の終わり近くに出てきます。願うのは2人自身なので、自分の願望の「為らん」。「比翼連理」は今でも夫婦の仲のよさのたとえに使われます。
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幸〜せよ(相手への願望)

書き下し文幸こひねがはくは之を赦せ。

(自作)

現代語訳どうか(できることなら)この者をお許しください。

ここがポイント許すのは相手なので、命令形「赦せ」。「幸」はふつう「さいはひ(しあわせ)」と読む字ですが、文頭で願望を表すときは「こひねがはくは」と読みます。
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庶幾〜せよ(相手への願望)

書き下し文庶幾こひねがはくは君之を察せよ。

(自作)

現代語訳どうか、あなたにこのことを察していただきたい。

ここがポイント「庶幾」は2字で「こひねがはくは」。主語「君(あなた)」が相手なので命令形「察せよ」で結びます。
「請」の3つの使い方請〜ん自分請ふ〜んどうか〜させてください請〜相手請ふ〜せよどうか〜してください請A動詞Aを請ふAをお願いする・求める
「請」は自分の願望・相手への願望・「〜を請ふ」(動詞)の3通り
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請〜せよ(相手への願望・禁止)

書き下し文請こふ疑ふこと勿なかれ。

(自作)

現代語訳どうか疑わないでください。

ここがポイント「請ふ」+禁止の「〜こと勿かれ」で、「どうか〜しないでください」。相手への願望は、命令形のほかに禁止の形で結ぶこともあります。

「欲」:〜したい/今にも〜しそうだ

「欲」は「〜んと欲す」と読み、人が主語なら「〜したい」(願望)、ものが主語なら「今にも〜しそうだ」(近い未来)と訳します。「欲」は下から返って読む字なので、必ず返り点がつきます(返読文字)。

「欲」の2つの意味欲人が主語〜したい(願望)心の欲する所に従ふ欲ものが主語今にも〜しそうだ花然えんと欲す読みはどちらも「〜んと欲す」主語が人かものかで訳し分ける
「欲」は主語が人なら「〜したい」、ものなら「今にも〜しそうだ」
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欲(ほつす)=〜したい

書き下し文己の欲ほつせざる所ところは、人に施すこと勿なかれ。

(『論語』衛霊公)

現代語訳自分がしてほしくないことは、人にしてはいけない。

ここがポイント弟子の子貢に「一生守るべき一言は」と聞かれた孔子が「其れ恕か(それは思いやりだろう)」と答えたあとの言葉。「欲せざる所」は「望まないこと」。レ点が2つ続き、「欲せ→ざる→所」と下から返ります。故事成語「己の欲せざる所は人に施すこと勿れ」のもとです。
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心の欲する所

書き下し文七十にして心の欲する所に従へども、矩を踰えず。

(『論語』為政)

現代語訳七十歳になって、心の思うままにふるまっても、人の道をはずれることがなくなった。

ここがポイント「吾十有五にして学に志す」で始まる、孔子が自分の一生をふり返った章の最後。「所」に一レがついているので、「欲する」→レ点で「所」→一二点で「従へども」と返ります。この章から「四十にして惑わず」(不惑)などの言葉が生まれました。
サクラちゃん

サクラちゃん

「花然えんと欲す」って、花が燃えたいと思っているんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

はっはっは、花には気持ちはないからね。ものが主語のときの「欲」は「今にも〜しそうだ」。「花が今にも燃え出しそうなほど赤い」という意味だ。再読文字の「将に〜んとす」に近い使い方だよ。

うかるくん

うかるくん

主語が人か、ものか。これも主語さがしなんだ!

もっと深く(難関大・上級者)

1. 杜甫の詩の「欲」

唐詩では、「欲」が「今にも〜しそうだ」の意味でよく使われます。杜甫の有名な2つの詩で確かめましょう。

難関大

欲=今にも〜しそうだ

書き下し文山青くして花然えんと欲ほつす。

(杜甫「絶句」)

現代語訳山は青々として、花は今にも燃え出しそうなほど赤い。

ここがポイント「江碧にして鳥逾よ白く」と対になる句。主語「花」はものなので、「〜したい」ではなく「今にも〜しそうだ」。「然」はここでは「燃」と同じ意味で「もゆ」と読みます。
難関大

欲+不(〜ざらんと欲す)

書き下し文白頭掻けば更に短く、渾すべて簪に勝たへざらんと欲ほつす。

(杜甫「春望」)

現代語訳白髪頭をかくと、髪はますます短くなり、まったく冠をとめるかんざしも挿せなくなりそうだ。

ここがポイント「国破れて山河在り」で始まる五言律詩の最後の2句。「欲」の主語は髪の毛(ものに近い)で、「今にも〜しそうだ」。レ点が3つ続き、「簪に→勝へ→ざらんと→欲す」と下から順に返ります。

2. 返り点の多い願望文:「願はくは〜を言へ」

難関大では、願望の字の下に長い文が続き、命令形の動詞が最後に来る形が出ます。鴻門之会の前夜、沛公(劉邦)が項伯にたのんだ言葉です。

難関大

願はくは〜せよ(長い文)

書き下し文願はくは伯具つぶさに臣の敢あへて徳に倍そむかざるを言へ。

(『史記』項羽本紀)

現代語訳どうか項伯どの、私(沛公)が決して(項王の)恩にそむくようなことはしないということを、くわしく(項王に)伝えてください。

ここがポイント伝えるのは相手(伯=項伯)なので、文末の「言」は命令形「言へ」。「臣の〜ざる」が「言へ」の目的語なので、「言」には三の点がつき、最後に読みます。「不敢〜(敢へて〜ず)」は「決して〜しない」という強い否定です。
「願」は位置で読みが変わる文頭の願副詞ねがはくはどうか(願望の句法)願+名詞動詞〜を願ふ〜を望む〜之願名詞〜の願ひ望み・願いごと
「願」は文頭なら「ねがはくは」、下に名詞なら「〜を願ふ」、名詞なら「願ひ」
大きな芭蕉の葉の上にすわる白い衣の人物と、そばの台に置かれたハスの花や器
白居易(白楽天、772〜846)を描いた絵。「天に在りては願はくは比翼の鳥と作り、地に在りては願はくは連理の枝と為らん」は白居易の「長恨歌」の一節です。画像:陳洪綬「白居易の生涯の四場面」より(17世紀、リートベルク美術館蔵、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)

3. 「ん」は意志、命令形は「お願い」

自分の願望の結び「ん(む)」は、古文の助動詞「む」の意志の用法です。「舞はん」は、もとは「舞おう」という意志で、文頭の「請ふ」「願はくは」と組んで「どうか舞わせてください」という願いになります。一方、相手への願望の命令形は、命令といっても「〜しろ」ときつく言うのではなく、「どうか〜してください」とていねいに頼む気持ちです。訳では命令口調にしないのがポイントです。古文の助動詞「む(ん)」の意味や、願望の終助詞「ばや・なむ」とくらべると、日本語の願望の言い方の広がりがわかります。

4. 「庶幾」のもう1つの意味

「庶幾」は、願望の「こひねがはくは」のほかに、「ちかし(ほとんど〜に近い)」という意味で使われることもあります。「庶」にも「ちかし」の意味があり、「庶幾からん(ほぼ理想に近いだろう)」のように、述語として使われていたら願望ではありません。文頭にあって、下に「〜ん」「命令形」で結ぶ文が続くかで判断します。

動作の主語を見つける手がかり臣しん家来の自称→ 自分吾・我われ私→ 自分僕・妾ぼく・せふへりくだった私→ 自分王・君わう・きみ相手の王→ 相手子・公し・こうあなた→ 相手卿・足下けい・そくかあなた(敬称)→ 相手自分なら「ん」、相手なら「命令形」
主語が「臣・吾」など自分なら「〜ん」、「王・君・子」など相手なら命令形

5. 主語が書かれていないとき

会話文では主語が省かれることがよくあります。そのときは、だれがだれに話しているかを確かめて補います。家来が主君に「請ふ〜ん」と言えば家来自身の願い、目上の人に「願はくは〜せよ」と言えば相手への願いです。共通テストでは、願望の文の主語を問う設問も出ます。人物関係の図を余白にかいておくと、まちがいが減ります。

ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

「願・請」を見たら主語さがし。自分なら「ん」、相手なら命令形。「欲」は人なら「〜したい」、ものなら「今にも〜しそう」。これで願望はばっちりです!

よくあるまちがい

まちがい1:相手への願望を「〜ん」で結ぶ

「願はくは大王急ぎ渡らん」は誤り。渡るのは相手(大王)なので命令形「渡れ」です。「渡らん」だと「私が渡りたい」という意味になってしまいます。

まちがい2:命令形をきつい命令口調で訳す

「願はくは大王急ぎ渡れ」を「大王、急いで渡れ」と訳すと、願望の気持ちが消えます。「どうか急いでお渡りください」とていねいに訳しましょう。

まちがい3:ものが主語の「欲」を「〜したい」と訳す

「花然えんと欲す」を「花が燃えたがっている」と訳すのは誤り。ものが主語なら「今にも〜しそうだ」です。

まちがい4:「幸」をいつも「さいはひ」と読む

文頭で、下に「〜ん」「命令形」で結ぶ文が続く「幸」は「こひねがはくは」。「幸ひに〜」(運よく〜)と読む場合とは意味がちがいます。

まちがい5:「請」の下の名詞を見落とす

「救ひを請ふ」のように、下に名詞(目的語)が来る「請」は、「〜を請ふ(求める)」というふつうの動詞です。文頭の「請ふ〜ん/せよ」の願望とは区別しましょう。

練習問題

やさしい

  1. 次の文は「自分の願望」か「相手への願望」か答えなさい。
    (1)請ふ剣を以て舞はん。 (2)願はくは大王急ぎ渡れ。
    答えと解説を見る

    (1)自分の願望(文末が意志の「ん」。どうか舞わせてください) (2)相手への願望(文末が命令形「渡れ」。どうかお渡りください)

  2. 次の訓読文を書き下し文にし、現代語に訳しなさい。(自作)
    答えと解説を見る

    願はくは其の説を聞かん。(願はくは其の説を聞かん。)訳:どうかその考えを聞かせてください。聞くのは自分なので、意志の「ん」で結ぶ。

ふつう

  1. 次の白文を、( )の条件で書き下し文にしなさい。(自作)
    「願王察之」(王が察する、という意味で)
    答えと解説を見る

    願はくは王之を察せよ。察するのは相手(王)なので命令形「察せよ」で結ぶ。訳:どうか王さま、このことをお察しください。

  2. 「雨欲来」を書き下し文にし、現代語に訳しなさい。(自作)
    答えと解説を見る

    書き下し文:雨来たらんと欲す。訳:今にも雨が降り出しそうだ。主語の「雨」はものなので、「欲」は願望(〜したい)ではなく「今にも〜しそうだ」と訳す。

むずかしい

  1. 次の文の主語を補って、2通りに書き下し、それぞれ訳しなさい。(自作)
    「請入」(入=いる、中に入る)
    答えと解説を見る

    (1)自分が入る場合:請ふ入らん(どうか中に入らせてください)。(2)相手が入る場合:請ふ入れ(どうかお入りください)。白文だけでは決まらないので、だれがだれに言っているかという場面から主語を補って読み分ける。

  2. 「願はくは〜ん」の「ん」と、反語の「何ぞ〜ん」の「ん」は、同じ語か。古文の文法を使って説明しなさい。
    答えと解説を見る

    どちらも古文の助動詞「む(ん)」。願望の「ん」は意志の用法(〜しよう)で、「願はくは」と組んで「どうか〜させてほしい」となる。反語の「ん」は推量の用法(〜だろう)で、「何ぞ〜ん」と組んで「どうして〜だろうか、いや〜ない」となる。同じ「む」の、意志と推量という別の意味が使われている。

関連ページ

「完璧」「項荘剣を舞わす」「己の欲せざる所は人に施すこと勿れ」などの由来は故事成語の一覧(意味・由来・出典)で読めます。「比翼連理」など四字熟語は四字熟語の一覧(読み・意味・受験別)もどうぞ。

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よくある質問

漢文の願望の句法には何がありますか?

文頭の願(ねがはくは)・請(こふ)・幸/庶幾/冀(こひねがはくは)を使う形と、「〜んと欲す」と読む欲の形があります。

「〜ん」と「〜せよ」はどう読み分けますか?

動作をするのが自分(臣・吾など)なら未然形+「ん」で「どうか〜させてほしい」、相手(王・君など)なら命令形で「どうか〜してください」と読みます。

「請ふ」と「願はくは」に意味のちがいはありますか?

どちらも「どうか」と訳し、結び方も同じです。「請ふ」は相手に許しを求める、会話でよく使われる言い方です。

「欲」はいつも「〜したい」と訳しますか?

人が主語なら「〜したい」ですが、花や雨などものが主語なら「今にも〜しそうだ」と訳します(例:花然えんと欲す)。

相手への願望の命令形は、どう訳せばよいですか?

「〜しろ」という命令口調ではなく、「どうか〜してください」とていねいに頼む訳にします。

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出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
  • 例文の本文:『史記』(項羽本紀・廉頗藺相如列伝)、『論語』(衛霊公・為政)、白居易「長恨歌」、杜甫「絶句」「春望」。訓読は高校の教科書で一般的な読み方による
  • 高校の漢文句法の標準的な説明(願望の字の読み・自分の願望と相手への願望の結び方)にもとづいて作成
  • 画像:陳洪綬「白居易の生涯の四場面」より(17世紀、リートベルク美術館蔵、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)

最終更新:2026年10月28日/作成:大学受験合格大作戦