漢文 句法一覧【印刷用・A4】句形のまとめ表|否定・反語・使役・受身・再読文字・置き字まで121行

漢文 句法一覧【印刷用・A4】句形のまとめ表|否定・反語・使役・受身・再読文字・置き字まで121行

漢文文法・句法辞典 › 句法

大学受験難関大

ひとことで言うと

漢文の句法は、「使AB=AをしてBしむ(AにBさせる)」のような公式で覚えられます。このページの一覧表に、否定・疑問・反語・使役・受身など19の句法と、再読文字・置き字・返読文字の句形・読み・意味をまとめました。目印の字の位置(文頭・述語の前・文末)で表を引くのがコツです。

このページのポイント

  • 句法19+再読文字・置き字・返読文字を1つの表に(A4で印刷できる)
  • 句法は7つの仲間(打ち消す・問いかける・人を動かす・もしも・くらべる・範囲・できる)で整理
  • 表は目印の字の位置(文頭・述語の前・文末)で引く
  • 如・若・為・安・無・使・寧・且は複数の句法にまたがる
  • 文末の読み(か・んや・かな・をや・のみ)で句法がわかる

漢文 句法 一覧表(句形のまとめ)

共通テスト・国公立二次・高校の定期テストに出る漢文の句法(句形)を、1つの表にまとめました。否定・二重否定・部分否定・疑問・反語・使役・受身・仮定・比較・選択・限定・累加・抑揚・願望・詠嘆・禁止・比況・可能・逆接と、土台になる再読文字・置き字・返読文字まで、全121行です。A・Bには語句が入ります。左の列の句法名を押すと、例文と練習問題つきのくわしいページへ進めます。

 印刷すると、表だけが出ます(A4で数枚)。

表の中へ:再読文字・否定・二重否定・部分否定と全部否定・疑問・反語・使役・受身・仮定・比較・選択・限定・累加・抑揚・願望・詠嘆・禁止・比況・可能・不可能・逆接・条件・置き字・返読文字

句法句形読み(書き下し)意味(訳し方)
再読文字
未・将・当・応・宜・須・猶・盍
未A未だAずまだAしない
将A・且A将に(且に)Aんとす今にもAしようとする
当A当にAべし当然Aすべきだ
応A応にAべしきっとAだろう
宜A宜しくAべしAするのがよい
須A須らくAべしぜひAする必要がある
猶A猶ほAのごとしちょうどAのようだ
盍A盍ぞAざるどうしてAしないのか(Aすればよい)
否定の句法
不・弗・無・莫・非・未
不A・弗AAずAしない
無A・莫AA無し・A莫しAがない
非AAに非ずAではない
未A未だAずまだAしない
二重否定
無不・非不・不可不
無不A・莫不AAざる(は)無しAしないものはない(みなAする)
無非A・莫非AAに非ざる(は)無しAでないものはない(すべてAだ)
無A不BAとしてBざる(は)無しどんなAでもBする
非不AAざるに非ずAしないのではない
非無AA無きに非ずAがないのではない(Aはある)
不可不AAざるべからずAしなければならない
不得不AAざるを得ずAしないわけにはいかない
不敢不A敢へてAずんばあらず決してAしないことはない
未嘗不A未だ嘗てAずんばあらずAしなかったことは一度もない
部分否定と全部否定
不常・常不・不必
不常A常にはAずいつもAするとはかぎらない(部分否定)
常不A常にAずいつもAしない(全部否定)
不倶A倶にはAず両方ともAするわけではない(部分否定)
不必A必ずしもAず必ずAするとはかぎらない(部分否定)
必不A必ずAず決してAしない(全部否定)
不復A復たAず二度とはAしない(部分否定)
不甚A甚だしくはAずそれほどAではない(部分否定)
疑問の句法
何・誰・孰・安・乎
何A何をかAする/何ぞAする何をAするのか/どうしてAするのか
誰A誰かAするだれがAするのか
孰A孰れかAなるどちらがAか
安A安くにかAする/安くんぞAするどこにAするのか/どうしてAするのか
A乎Aか・AやAか
何以A何を以てAするどうやって(なぜ)Aするのか
何為A何為れぞAするどうしてAするのか
A何如Aは何如Aはどうであるか(状態・是非)
如A何Aを如何せんAをどうしたらよいか(方法)
反語の句法
豈・安・何・誰〜乎
豈A哉豈にAんやどうしてAだろうか、いやAない
安A乎・焉A乎安くんぞAんやどうしてAだろうか、いやAない
何A乎何ぞAんやどうしてAだろうか、いやAない
誰A乎誰かAんやだれがAだろうか、いやだれもAない
独A哉独りAんやどうしてAだろうか、いやAない
敢不A乎敢へてAざらんやどうしてAしないことがあろうか、いや必ずAする
何A之有何のAか之れ有らんどんなAがあろうか、いや何もない
使役の句法
使・令・教・遣
使AB・令AB・教ABAをしてBしむAにBさせる
遣ABAを遣はしてBしむAを行かせてBさせる
命ABAに命じてBしむAに命令してBさせる
使AB、CAをしてBしめば、CもしAにBさせたら、C(仮定)
受身の句法
見・被・為〜所〜・於
見A・被AAる・AらるAされる
為A所BAのBする所と為るAにBされる
B於AAにBる・BらるAにBされる(於は置き字)
見B於AAにBる・BらるAにBされる
仮定の句法
如・若・苟・縦・雖
如A・若A如し(若し)AばもしAならば
苟A苟くもAばかりにもAならば
縦A縦ひAともたとえAでも
雖AAと雖もたとえAでも/Aだけれども
微AA微かりせばもしAがなかったら
比較の句法
於・不如・莫若
A+形容詞+於BAはBよりも〜AはBよりも〜だ
A不如B・A不若BAはBに如かずAはBに及ばない(Bの方がよい)
莫如B・莫若BBに如くは莫しBがいちばんよい
莫A於B・無A於BBよりAなるは莫しBがいちばん〜だ(最上級)
A孰与BAはBに孰与ぞAはBとくらべてどうか
選択の句法
寧〜無〜・与其〜寧〜
寧A、無B寧ろAすとも、Bする無かれたとえAしても、Bはするな
寧A、不B寧ろAすとも、BせずたとえAしても、Bはしない
与其A、寧B其のAせんよりは、寧ろBせよAするよりはむしろBせよ
与其A、不若B其のAせんよりは、Bするに若かずAするよりはBするほうがよい
A与B孰〜AとBと孰れか〜なるAとBとではどちらが〜か
限定の句法
唯・独・耳・而已
唯A・惟A・但A唯だA(のみ)ただAだけ
独A独りA(のみ)ただAだけが
A耳・A已・A爾AのみAだけだ
A而已(矣)AのみAだけだ
不過AAに過ぎずAにすぎない
累加の句法
不唯・豈唯
不唯A、B唯だにAのみならず、BただAだけでなく、Bも
非唯A唯だにAのみに非ずただAだけでなく
不独A・非独A独りAのみならずただAだけでなく
豈唯A哉豈に唯だにAのみならんやどうしてただAだけであろうか
何独A乎何ぞ独りAのみならんやどうしてただAだけであろうか
抑揚の句法
且〜況〜乎
A且B、況C乎Aすら且つB、況んやCをやAでさえBだ、ましてCはなおさらだ
A猶B、況C乎Aすら猶ほB、況んやCをやAでさえBだ、ましてCはなおさらだ
況C乎況んやCをやましてCはなおさらだ
況於C乎況んやCに於いてをやましてCについてはなおさらだ
A且B、安C哉Aすら且つB、安くんぞCせんやAでさえBだ、どうしてCしようか
願望の句法
願・請・庶幾・欲
願A願はくはAせん/AせよどうかAさせてほしい/Aしてください
請A請ふAせん/AせよどうかAさせてください/Aしてください
庶幾A・冀A・幸A庶幾はくはAせん/AせよどうかAしたい/Aしてほしい
欲AAせんと欲すAしたい/今にもAしそうだ
詠嘆の句法
嗚呼・哉・不亦〜乎
嗚呼・噫・嗟乎ああああ
A哉・A夫・A矣乎AかなAだなあ
不亦A乎亦たAずやなんとAではないか
豈不A哉豈にAずやなんとAではないか
何A也何ぞAやなんとAなことか
禁止の句法
勿・毋・無・莫
勿A・毋A・無A・莫AAすること勿かれAするな
不可AAすべからずAしてはならない
請勿A請ふAすること勿かれどうかAしないでください
比況の句法
如・若・猶
A如B・A若BAはBのごとしAはBのようだ
猶B・由B猶ほBのごとしちょうどBのようだ
如此・若是此くのごとしこのようだ
譬如B譬へばBのごとしたとえばBのようなものだ
A似BAはBに似たりAはBに似ている
可能・不可能
可・能・得・足
可AAすべしAできる・Aしてよい
能A能くAすAできる
得AAするを得Aできる
足AAするに足るAできる・Aする値打ちがある
不能AAする(こと)能はずAできない
不得AAするを得ずAできない
不足AAするに足らずAする値打ちがない
不可勝A勝げてAすべからずAしきれない
逆接・条件
雖・而・則
雖A、BAと雖も、BAだけれども、B
A而BAどもB/AてBAだけれどもB(逆接)/AしてB(順接)
然B然れども(然るに)Bしかし(それなのに)B
A則BAば則ちBAならばB・AするとB
A即BA即ちBAはつまりB/すぐにB
A乃BA乃ちBそこでB・なんとB
置き字
而・於・于・乎・矣・焉
而読まない(前の字にテ・ドモ)順接(そして)・逆接(けれども)
於・于・乎(文中)読まない(下の語にニ・ヲ・ヨリ・ヨリモ)場所・対象・起点・比較・受身
矣・焉(文末)読まない断定・強調
返読文字
有・無・不・非・多・少・難・易
有・無・莫・非あり・なし・あらず下の語から返って読む
不・弗ず(ひらがなで書く)否定
多・少・難・易おほし・すくなし・かたし・やすし下の語から返って読む形容詞
可・足・能・得べし・たる・あたふ・う可能(〜できる)
所・与・自・使・見ところ・と・より・しむ・る返読する助字(〜する所・Aと・Aより)

合格大作戦 漢文文法・句法辞典「漢文 句法 一覧表(句形のまとめ)」 5ka9.com/kanbun/kuhouichiran (読みは高校の教科書で一般的な読み方による)

はじめて(やさしく)

句法(くほう)とは、漢文の中で決まった字の組み合わせが、決まった読み方と意味になる形のことです。「句形(くけい)」「句法形」とも呼びます。たとえば「使AB」と出てきたら「AをしてBしむ(AにBさせる)」と読む、というように、公式として覚えられます。上の一覧表は、その公式を全部並べたものです。

句法は数が多く見えますが、ばらばらに覚える必要はありません。働きの似たものを7つの仲間にまとめると、頭の中で整理しやすくなります。「打ち消す仲間」「問いかける仲間」「人を動かす仲間」……という具合です。そして、すべての句法の土台になるのが、再読文字・置き字・返読文字です。

句法は7つの仲間に分けて覚える打ち消す否定・二重否定・部分否定・禁止問いかける疑問・反語・詠嘆人を動かす使役・受身・願望もしも・けれども仮定・逆接・条件くらべる・たとえる比較・選択・比況しぼる・広げる限定・累加・抑揚できる・できない可能・不可能+土台:再読文字・置き字・返読文字
句法は7つの仲間に分けて覚える。土台は再読文字・置き字・返読文字
サクラちゃん

サクラちゃん

表が長くて、どこから覚えればいいのかわかりません……。

ミスターT先生

ミスターT先生

最初から全部は覚えなくていい。まずは否定・疑問・反語・使役・受身の5つ。共通テストでいちばんよく出る仲間だ。表の「句法」の名前を押せば、くわしいページで例文といっしょに練習できるよ。

うかるくん

うかるくん

AとかBって、数学の公式みたいだね。

ミスターT先生

ミスターT先生

そのとおり。目印の字を見つけて、AとBに当てはまる語を決めれば、読みと訳が決まる。句法は漢文の「公式」なんだ。

公式の読み方を、使役の「使AB」で確かめましょう。「使」が目印の字、Aがさせる相手、Bがさせる動作です。書き下すと「AをしてBしむ」。Aには送り仮名「ヲシテ」、Bは未然形にし、「使」は助動詞なのでひらがなの「しむ」で書きます。

句形の公式の読み方(使役の例)使目印の字Aさせる相手B動作AをしてBしむA=「〜ヲシテ」、B=未然形、使=「しむ」訳:AにBさせる
「使AB」=「AをしてBしむ」。目印の字とA・Bの役割を見る

次の論語の一節は、禁止の句法「勿A(Aすること勿かれ)」の代表例です。丸の数字が読む順番です。

大学受験

禁止(勿A=Aすること勿かれ)

白文己所不欲、勿施於人。

書き下し文己の欲せざる所は、人に施すこと勿かれ。

(『論語』衛霊公)

現代語訳自分がしてほしくないことは、人にしてはならない。

ここがポイント「勿」は「なかれ(〜するな)」と読む禁止の字で、下の「施於人」から返って「人に施すこと勿かれ」。「不欲」は否定、「所」は返読文字で「欲せざる所」。1つの文に禁止・否定・返読が入っています。故事成語「己の欲せざる所は人に施すこと勿れ」として知られます(禁止の句法(勿・毋・無・莫))。
大学受験

使役(使AB=AをしてBしむ)

書き下し文天帝我をして百獣に長ちやうたらしむ。

(『戦国策』楚策)

現代語訳天の神は、わたしを百獣の王にさせた。

ここがポイント「虎の威を借る狐」の話で、狐が虎に言った言葉です。A=「我」、B=「長たら(長となる)」。公式どおり「AをしてBしむ」と読みます(使役の句法(使・令・教・遣))。
大きな屋根の下の掲示の前に、役人の服を着た大勢の人々や馬が集まっている中国の絵
科挙(中国の官吏登用試験)の合格発表の掲示に集まる人々を描いたと伝えられる絵の一部。科挙の受験生は、四書五経の本文を丸ごと覚えて試験にのぞみました。句法の一覧表も、くり返し見て覚えるのが近道です。画像:仇英の作と伝える「観榜図」部分(明代・16世紀、台北・国立故宮博物院蔵、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)

ここまでのまとめ

  • 句法=決まった字の組み合わせ→決まった読みと意味になる公式
  • 7つの仲間(打ち消す・問いかける・人を動かす・もしも・くらべる・範囲・できる)で整理
  • まず否定・疑問・反語・使役・受身から。表の句法名からくわしいページへ

しっかり(共通テスト)

一覧表の使い方:目印の字から引く

共通テストでは、傍線部の書き下し文や解釈を選ぶ問題で、句法の知識が直接問われます。問題文の中で句法を見つけるには、目印の字が文のどこにあるかを見るのが早道です。文頭にあるのか、述語(動詞・形容詞)の前にあるのか、文末にあるのかで、候補の句法がしぼれます。

目印の字は「どこにあるか」で引く文頭使・令(使役)/如・若・苟・縦(仮定)豈・安(反語)/唯・独(限定)願・請(願望)/況(抑揚)述語の前不・無・非(否定)/見・被(受身)可・能・得・足(可能)勿・毋(禁止)文末乎・哉・也(疑問・反語・詠嘆)耳・而已(限定)矣・焉(置き字)位置を見て、一覧表の行をしぼりこむ
目印の字は、文頭・述語の前・文末のどこにあるかで引く
  1. 目印の字をさがす:不・無・非・豈・安・何・使・令・見・被・為・所・如・若・雖・唯・耳・況 など。
  2. 位置を確かめる:文頭・述語の前・文末のどこにあるかで、一覧表の行をしぼる。
  3. A・Bに当たる語を決める:返り点がどこまでかかるかを見て、句形の公式に当てはめる。
  4. 読みと訳を公式どおりに作る:反語なら「いや〜ない」まで、二重否定なら肯定に言いかえて訳す。
大学受験

反語(安A哉=安くんぞAんや)

書き下し文燕雀安いづくんぞ鴻鵠の志を知らんや。

(『史記』陳渉世家)

現代語訳ツバメやスズメのような小さな鳥に、どうして大きな鳥の志がわかろうか(いや、わからない)。

ここがポイント文頭近くの「安」と文末の「哉」がセットで反語。「知らんや」と未然形+「ん(や)」で結びます。故事成語「燕雀安んぞ鴻鵠の志を知らんや」として有名です(反語の句法(豈・安・何・誰〜乎))。
大学受験

受身(為A所B)・条件(A則B)

書き下し文先さきんずれば即すなはち人を制し、後おくるれば則すなはち人の制する所ところと為なる。

(『史記』項羽本紀)

現代語訳先手をとれば人をおさえつけられるが、おくれをとれば人におさえつけられる。

ここがポイント後半の「為A所B」は「AのBする所と為る(AにBされる)」という受身の公式。「則」は「〜ば則ち」と条件を表します。故事成語「先んずれば人を制す」のもとです(受身の句法(見・被・為〜所〜)・逆接・条件(雖・則・而))。
大学受験

比較(A不如B=AはBに如かず)

書き下し文百聞は一見に如しかず。

(『漢書』趙充国伝)

現代語訳百回話を聞くことは、一回自分の目で見ることに及ばない。

ここがポイント「不如」は「如かず(及ばない)」。下のBの方が上です。故事成語「百聞は一見に如かず」(比較の句法(於・不如・莫若))。

1字でいくつもの句法にまたがる字

一覧表を見ると、同じ字が別の句法の行にも出てくることに気づきます。「如」は仮定(もし)・比較(しく)・比況(ごとし)の3か所、「無・莫」は否定と禁止と比較、「安」は疑問と反語です。共通テストでは、こうした字をどの句法で読むかが選択肢の分かれ目になります。

1字でいくつもの句法にまたがる字如仮定(もし)・比較(しく)・比況(ごとし)若仮定(もし)・比較(しく)・比況・なんぢ為受身(為る)・なす・ため・たり安疑問(いづくにか)・反語(いづくんぞ)無・莫否定(なし)・禁止(なかれ)・比較使使役(しむ)・仮定(しめば)寧選択(むしろ)・反語(いづくんぞ)且再読(まさに)・抑揚(かつ)
如・若・為・安・無・使・寧・且は、いくつもの句法にまたがる
大学受験

仮定(未然形+ば)

書き下し文虎穴に入らずんば、虎子を得ず。

(『後漢書』班超伝)

現代語訳虎の穴に入らなければ、虎の子は手に入らない。

ここがポイント仮定を表す字がなくても、「ずんば(〜しなければ)」と送り仮名で仮定を表す形です。故事成語「虎穴に入らずんば虎子を得ず」(仮定の句法(如・若・苟・縦・雖))。
うかるくん

うかるくん

「如」って、表の3か所に出てくる! どうやって見分けるの?

ミスターT先生

ミスターT先生

前後の字を見るんだ。上に「不・莫」があれば比較の「しく」、文の頭で下に「〜ば」が続けば仮定の「もし」、「〜の如し」と文末で受ければ比況の「ごとし」。一覧表の句形の欄に、その前後の字が書いてあるよ。

サクラちゃん

サクラちゃん

句形の欄は、見分けるためのヒントでもあるんですね!

人差し指を立てて説明するミスターT先生

ミスターT先生

一覧表は目印の字の位置で引き、前後の字で行を決める。印刷して机の前にはっておくと、問題を解きながらすぐに確かめられるよ。

もっと深く(難関大・上級者)

1. 文末の読みで句法を見分ける

難関大の白文の訓読では、文末の読み方がそのまま句法の答えになります。同じ「乎」「哉」でも、疑問なら「〜か・〜や」、反語なら「〜んや」、詠嘆なら「〜かな」「〜ずや」、抑揚なら「〜をや」と読み分けます。記述では、反語は「未然形+んや」、詠嘆の「不亦〜乎」は「〜ずや」と、活用まで正確に書けるかが問われます。

文末の読みで句法がわかる疑問〜か・〜や例:何ぞ去るや反語〜んや(未然形+ん)例:豈に去らんや詠嘆〜かな・〜ずや例:亦た楽しからずや抑揚〜をや例:況んや人をや限定〜のみ例:心を尽くすのみ「乎・哉」は句法によって読みが変わる
文末の読みで、疑問・反語・詠嘆・抑揚・限定を見分ける
難関大

抑揚(A且B、況C乎)

書き下し文死馬すら且かつ之これを買ふ、況いはんや生ける者をや。

(『十八史略』春秋戦国)

現代語訳死んだ馬でさえ買うのだ。まして生きている(名馬)ならなおさらだ。

ここがポイント「Aすら且つB、況んやCをや」の抑揚の公式。文末の「乎」は「をや」と読みます。郭隗が燕の昭王に、まず自分を重く用いるよう説いた話で、「隗より始めよ」のもとです(抑揚の句法(且〜況〜乎))。
難関大

詠嘆(不亦A乎=亦たAずや)

書き下し文学びて時に之を習ふ、亦また説よろこばしからずや。

(『論語』学而)

現代語訳学んで、機会があるたびにくり返し習って身につける。なんとうれしいことではないか。

ここがポイント「不亦A乎」は「亦たAずや(なんとAではないか)」と読む詠嘆の形。形は反語に似ていますが、「〜ないことがあろうか」ではなく感動を表します。「而」は読まない置き字です(詠嘆の句法(嗚呼・哉・不亦〜乎))。

2. 否定の字の位置:部分否定と全部否定

否定の句法で難関大がもっとも好むのが、部分否定と全部否定の区別です。「不常A(常にはAず)」と「常不A(常にAず)」は、字の順番が入れかわっただけで意味が大きく変わります。「不」が上なら部分否定(「は」を入れて読む)、副詞が上なら全部否定です。

否定の字と副詞の順番で意味が変わる不+常=部分否定不常A常にはAずいつもAするとはかぎらない常+不=全部否定常不A常にAずいつもAしない「不」が上=一部だけ打ち消す(「は」を入れて読む)「不」が下=全部打ち消す
「不常A」は部分否定、「常不A」は全部否定
難関大

部分否定(不常A=常にはAず)

書き下し文千里の馬は常に有れども、伯楽は常つねには有らず。

(韓愈「雑説」)

現代語訳一日に千里を走る名馬はいつの世にもいるが、それを見ぬく伯楽はいつもいるとはかぎらない。

ここがポイント前半の「常に有り」は肯定、後半の「不常有」は「常には有らず」で部分否定です。「いつもいない」と訳すと全部否定になってしまいます。「千里の馬も伯楽に会わざれば」の話のもとです(部分否定と全部否定(不常・常不))。

3. 句法が重なる文と、読みの流派

実際の文章では、句法は1つずつではなく重なって出てきます。「豈不〜哉(豈に〜ずや)」は反語の字「豈」と否定「不」が重なって詠嘆に、「不唯〜(唯だに〜のみならず)」は否定と限定が重なって累加に、「況〜乎」は反語の気持ちをふくむ抑揚になります。一覧表でどの句法とどの句法の組み合わせかを考えると、長い文でも読みの順番が見えてきます。

なお、句法の読み方には、教科書や参考書によって少しずつ違いがあります。たとえば「何為」は「なんすれぞ(どうして)」と2字まとめて読むのがふつうですが、「為」が動詞のときは「何をか為さん(何をしようか)」と読みます。「孰与」は「いづれぞ」と2字まとめて読むほか「〜と孰れぞ」と読む本もあります。「不能A」は「Aする能はず」「Aすること能はず」の両方があります。この一覧表は高校の教科書で一般的な読みを採り、くわしいページで別の読みも紹介しています。入試では、意味が正しく伝わる読みであれば、どちらの流派の読みでも正解とされるのがふつうです。

難関大

再読文字+比況(猶ほ〜のごとし)

書き下し文過ぎたるは猶なほ及ばざるがごとし。

(『論語』先進)

現代語訳やりすぎは、足りないのと同じようなものだ。

ここがポイント再読文字「猶」は「なほ〜のごとし(ちょうど〜のようだ)」と読み、比況の句法の1つでもあります。再読文字と句法が重なる代表例です。故事成語「過ぎたるは猶及ばざるが如し」(再読文字(未・将・当・応・宜・須・猶・盍)・比況の句法(如・若・猶))。
ひらめいたうかるくん

うかるくん

文末の読み(か・んや・かな・をや・のみ)と、否定の字の位置(不常・常不)。この2つを一覧表で確かめれば、白文の訓読もこわくない!

よくあるまちがい

まちがい1:反語を疑問のまま訳す

「豈に〜んや」を「どうして〜か」で終わらせると減点。反語は「いや、〜ない」まで書きます。

まちがい2:「不亦〜乎」を反語と取る

「亦た説ばしからずや」は詠嘆(なんと〜ではないか)。「うれしくないことがあろうか」は不自然な訳です。

まちがい3:部分否定と全部否定を取りちがえる

「不常A(常にはAず)」は「いつも〜とはかぎらない」。「常不A(常にAず)=いつも〜しない」と区別します。

まちがい4:「A不如B」でAの方を上にする

「百聞は一見に如かず」は一見(B)の方が上。不如の下の語が勝ちです。

まちがい5:句形の表だけを丸暗記する

公式だけでは、白文で目印の字を見つけられません。くわしいページの例文を声に出して読み、形を体で覚えましょう。

練習問題

やさしい

  1. 次の句形の読みと意味を答えなさい。
    ①不可不A ②為A所B ③使AB
    答えと解説を見る

    ①Aざるべからず:Aしなければならない(二重否定) ②AのBする所と為る:AにBされる(受身) ③AをしてBしむ:AにBさせる(使役)

  2. 次の訓読文を書き下し文にし、句法の名前を答えなさい。(自作)
    答えと解説を見る

    人に言ふこと勿かれ。(人に言ふこと勿かれ。)禁止の句法。訳は「人に言ってはならない」。「於」は読まない置き字です。

ふつう

  1. 「如」を、①仮定 ②比較 ③比況 の句法で読むときの読み方を、それぞれ答えなさい。
    答えと解説を見る

    ①もし(如し〜ば) ②しく(〜に如かず・〜に如くは莫し) ③ごとし(〜の如し)。上に「不・莫」があれば比較、文頭で下に「〜ば」が続けば仮定、文末で受ければ比況です。

  2. 次の文を書き下し文にし、現代語に訳しなさい。(自作)
    答えと解説を見る

    書き下し文:人喜ばざるは莫し。 訳:喜ばない人はいない(だれもが喜ぶ)。「莫不A(Aざるは莫し)」の二重否定で、肯定に言いかえて訳します。

むずかしい

  1. 文末の「乎」は、句法によって読み方が変わる。①疑問 ②反語 ③詠嘆(不亦〜乎) ④抑揚(況〜乎) のときの文末の読みを答えなさい。
    答えと解説を見る

    ①か・や ②(未然形+)んや ③ずや(亦た〜ずや) ④をや(況んや〜をや)。文末の読みがそのまま句法の答えになります。

  2. 次の白文を書き下し文にし、現代語に訳しなさい。(自作)
    「智者不必賢」
    答えと解説を見る

    書き下し文:智者は必ずしも賢ならず。 訳:知恵のある人が必ずしもすぐれた人格の持ち主だとはかぎらない。「不必A(必ずしもAず)」は部分否定。「必ず賢ならず(決してすぐれていない)」と全部否定に訳すのは誤りです。

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句法の例文に出てくる「虎の威を借る狐」「先んずれば人を制す」「隗より始めよ」などの話は、故事成語の一覧(意味・由来・出典)で読めます。

読みもの(合格大作戦の記事)

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よくある質問

漢文の句法にはどんなものがありますか?

否定・二重否定・部分否定・疑問・反語・使役・受身・仮定・比較・選択・限定・累加・抑揚・願望・詠嘆・禁止・比況・可能・逆接と条件などがあります。土台として再読文字・置き字・返読文字も覚えます。

句法の一覧は印刷できますか?

できます。表の上のボタンかブラウザの印刷を使うと、サイトのメニューや図・練習問題を除いて、一覧表だけがA4で印刷されます。

句法はどの順番で覚えればいいですか?

再読文字・置き字・返読文字を先に押さえ、否定・疑問・反語・使役・受身の5つ、次に仮定・比較・限定・抑揚、最後に累加・選択・願望・詠嘆などの順がおすすめです。

句形の「A」「B」とは何ですか?

公式の中で語句が入る場所です。たとえば「使AB」のAはさせる相手、Bはさせる動作で、「AをしてBしむ(AにBさせる)」と読みます。

同じ字が別の句法に出てくるときはどう見分けますか?

前後の字と位置で見分けます。たとえば「如」は、上に不・莫があれば比較(しく)、文頭で下に「〜ば」が続けば仮定(もし)、文末で受ければ比況(ごとし)です。

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出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
  • 一覧表は、この辞典の句法19ページ・再読文字・置き字・返読文字のページの「句形の公式の表」をまとめたもの。読みは高校の教科書で一般的な読み方による
  • 例文の本文:『論語』(衛霊公・学而・先進)、『戦国策』楚策、『史記』(陳渉世家・項羽本紀)、『漢書』趙充国伝、『後漢書』班超伝、『十八史略』春秋戦国、韓愈「雑説」
  • 画像:仇英の作と伝える「観榜図」部分(明代・16世紀、台北・国立故宮博物院蔵、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)

最終更新:2026年10月28日/作成:大学受験合格大作戦