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大学受験
ひとことで言うと
比況は「AはBのようだ」とたとえる句法で、如・若を「ごとし」、猶・由を再読して「なほ〜のごとし」と読みます。上が名詞なら「の」、連体形なら「が」をつけます(例:上善は水のごとし、過ぎたるは猶ほ及ばざるがごとし)。
このページのポイント
- 比況=「AはBのようだ」とたとえる
- 如・若=ごとし、猶・由=なほ〜ごとし(再読)
- 上が名詞なら「の」、連体形なら「が」
- 「ごとし」はごとく・ごとし・ごときと活用、ひらがなで書く
- 「不如」は比較(しかず)、文頭の「如」は仮定(もし)
はじめて(やさしく)
比況(ひきょう)とは、あるものをほかのものにたとえる言い方です。日本語の「まるで〜のようだ」にあたります。「あの人の心は海のように広い」「時間は矢のように過ぎる」のように、わかりにくいことを身近なものにたとえて伝えます。
漢文では、「如」「若」の字を「ごとし」と読んで比況を表します。「AはBのようだ」なら「A如B(AはBのごとし)」です。「ごとし」は古文の助動詞と同じ語なので、書き下し文ではひらがなで書きます。
比況の句形(公式の一覧)
| 句形 | 読み | 意味(訳し方) |
|---|---|---|
| A如B | AハBノごとシ | AはBのようだ |
| A若B | AハBノごとシ | AはBのようだ |
| A如C(連体形) | AハCスルガごとシ | AはCするようなものだ |
| 猶B・由B | なホBノごとシ | ちょうどBのようだ |
| 如此・若是 | かクノごとシ | このようだ |
| 譬如B | たとヘバBノごとシ | たとえばBのようなものだ |
| A似B | AハBニ似タリ | AはBに似ている |
うかるくん
「如」って、「百聞は一見に如かず」の「しかず」でも見たことがあります。
ミスターT先生
よく覚えていたね。「如」は上に「不」がつくと「しかず(及ばない)」という比較になる。「不」がなく、下のものに「のようだ」とたとえているなら比況の「ごとし」だ。同じ字でも、まわりの字で読みが変わるんだよ。
サクラちゃん
「不如」なら比較、「如」だけなら比況。セットで覚えます!
では、有名な比況の文を読んでみましょう。『老子』の言葉で、故事成語「上善は水の如し」のもとになったものです。
A若B(AはBのごとし)
白文上善若水。
書き下し文上善は水のごとし。
(『老子』第八章)
現代語訳最高の善とは、水のようなものだ。

もう1つ、再読文字の「猶」を使った比況です。論語の言葉で、故事成語「過ぎたるは猶及ばざるが如し」として知られています。
猶(なほ〜のごとし)
書き下し文過ぎたるは猶ほ及ばざるがごとし。
(『論語』先進)
現代語訳やりすぎは、ちょうど足りないのと同じようなものだ(どちらもよくない)。

ミスターT先生
比況は「如・若・猶・由」=「ごとし」。上が名詞なら「の」、連体形なら「が」をつける。これさえ覚えれば、比況の書き下しはまず大丈夫だよ。
ここまでのまとめ
- 比況=「AはBのようだ」とたとえる言い方
- 如・若は「ごとし」、猶・由は「なほ〜ごとし」(再読)
- 「ごとし」の上は名詞なら「の」、連体形なら「が」
- 書き下し文では「ごとし」をひらがなで書く
しっかり(共通テスト)
比況を表す字の一覧
| 字 | 読み | 意味 | 注意 |
|---|---|---|---|
| 如 | ごとし | 〜のようだ | 「不如」は比較(しかず)、文頭は仮定(もし) |
| 若 | ごとし | 〜のようだ | 「なんぢ」「もし」とも読む |
| 猶 | なほ〜ごとし | ちょうど〜のようだ | 再読文字。1回だけなら「なほ(やはり)」 |
| 由 | なほ〜ごとし | ちょうど〜のようだ | 「猶」と同じ。ふつうは「よる」 |
| 如此・若是 | かくのごとし | このようだ | 「此・是」を「かく」と読む |
| 譬如 | たとへば〜のごとし | たとえば〜のようだ | 「譬へば」で始まる |
| 似 | 〜に似たり | 〜に似ている | 「ごとし」ではなく動詞 |
「ごとし」の活用
「ごとし」は形容詞と同じように活用します。下に続く語に合わせて形を変えましょう。
| 形 | 使い方 | 例 |
|---|---|---|
| ごとく | 連用形(下に用言や「、」が続く) | 芙蓉は面のごとく、柳は眉のごとし |
| ごとし | 終止形(文の終わり) | 上善は水のごとし |
| ごとき | 連体形(下に名詞・「なり」が続く) | 木に縁りて魚を求むるがごときなり |
比況の文を読む手順
- 如・若・猶・由をさがす。下の語から返って読む字なら比況の可能性が高い。
- たとえるもの(B)を決める。返り点で「ごとし」へ返るまでの部分がB。
- 「の」か「が」をつける。Bの最後が名詞なら「の」、動詞などの連体形なら「が」。
- 「ごとし」を活用させる。下に続く語に合わせて「ごとく・ごとし・ごとき」。
例文で確かめる
若(ごとし)
書き下し文君子の交はりは淡きこと水のごとし。
(『荘子』山木)
現代語訳君子(りっぱな人)のつきあいは、水のようにあっさりしている。
如(ごとし)
書き下し文不義にして富み且つ貴きは、我に於いて浮雲のごとし。
(『論語』述而)
現代語訳正しくない方法で金持ちになり身分が高くなることは、私にとっては空に浮かぶ雲のように(はかなく無縁な)ものだ。
猶〜也(なほ〜がごときなり)
書き下し文猶ほ木に縁りて魚を求むるがごときなり。
(『孟子』梁恵王上)
現代語訳(武力で天下を取ろうとするのは)ちょうど木に登って魚をとろうとするようなものだ(方法がまちがっていて、目的はかなわない)。
若(ごとし)+疑問
書き下し文浮生は夢のごとし、歓を為すこと幾何ぞ。
(李白「春夜宴桃李園序」)
現代語訳はかない人生は夢のようなものだ。楽しみをつくすのも、いったいどれほどの間だろうか。
譬如(たとへば〜のごとし)
書き下し文譬へば朝露のごとし、去日苦だ多し。
(曹操「短歌行」)
現代語訳(人生は)たとえば朝の露のようにはかないものだ。過ぎ去った日々は、とても多い(残りは少ない)。
若是(かくのごとし)
書き下し文天下の事皆是くのごとし。
(自作)
現代語訳世の中のことは、みなこのようなものだ。
サクラちゃん
「猶」は再読文字で、「如」は再読しないんですよね。どうちがうんですか?
ミスターT先生
意味はほとんど同じ。「猶」には「ちょうど」「まるで」という気持ちが加わる。「猶」は「なほ(やはり)」という副詞の意味も持っているから、副詞と助動詞の2回読むんだ。「如」「若」には副詞の意味がないから1回だけだよ。
うかるくん
「猶」は「なほ」+「ごとし」の2つ分の意味!
もっと深く(難関大・上級者)
1. 「如」の読み分け(ごとし・しかず・もし・いかん・ゆく)
「如」は漢文でとても多く出る字で、読み方が5つほどあります。白文では、位置と、上下の字から読みを決めます。
| 形 | 読み | 働き | 例 |
|---|---|---|---|
| A如B | ごとし | 比況 | 上善は水のごとし |
| 不如B | しかず | 比較(〜に及ばない) | 百聞は一見に如かず |
| 如〜 | もし | 仮定(もし〜ならば) | 如し過ち有らば |
| 如何・何如 | いかん | 疑問・反語 | 如何ぞ涙垂れざらん |
| 如+場所 | ゆく | 動詞(行く) | 斉に如く |
次は、白居易の「長恨歌」の一節です。同じ2句の中に、比況の「如」と疑問・反語の「如何」が並んでいます。玄宗皇帝が、楊貴妃を失ったあと宮殿にもどり、池のハスや柳を見て悲しむ場面です。
如(ごとし)と如何(いかんぞ)
書き下し文芙蓉は面のごとく柳は眉のごとし、此に対して如何ぞ涙垂れざらん。
(白居易「長恨歌」)
現代語訳ハスの花は(楊貴妃の)顔のようで、柳の葉はまゆのようだ。これを前にして、どうして涙を流さずにいられようか(いや、涙が流れる)。
如(もし)=仮定
書き下し文如し過ち有らば、之を改めよ。
(自作)
現代語訳もしあやまちがあるならば、それを改めなさい。
2. 「若」の読み分け
「若」も「如」と同じく、ごとし・しかず・もしと読むほか、「なんぢ(おまえ)」という二人称の代名詞にもなります。「垓下の歌」の「虞や虞や若を奈何せん」の「若」は「なんぢ」です。
3. 「由」と「猶」:通じて使う字
「由」はふつう「よる(〜による)」「よし(理由)」と読む字ですが、古い文章では「猶」と同じ意味で使われ、「なほ〜のごとし」と再読することがあります。このように、音が近い字を同じ意味で使うことを「通用(つうよう)」といいます。『孟子』などに例があり、難関大の白文で出ることがあります。
由(なほ〜ごとし)
書き下し文学ぶは由ほ山に登るがごとし。
(自作)
現代語訳学ぶことは、ちょうど山に登るようなものだ。
4. 比況の「ごとし」と、古文の「ごとし」
書き下し文の「ごとし」は、古文の比況の助動詞「ごとし」と同じ語です。古文でも「体言+の+ごとし」「連体形+が+ごとし」と接続し、「ごとく・ごとし・ごとき」と活用します。もともと「ごとし」は、漢文訓読で「如・若」を読むときに多く使われた語で、和文(ひらがなの物語)では「やうなり」のほうがよく使われた、と説明されます。古文の助動詞「ごとし」の意味と接続とあわせて読むと、比況の表現がまとめて身につきます。
5. 比況と比較・仮定の見分け(白文)
白文では、「如・若」が比況か、比較か、仮定かを自分で決めます。手がかりは次の3つです。
- 上に「不・莫」があるか:「不如」「莫若」なら比較(しかず・しくはなし)。比較(於・不如・莫若)の句法で扱います。
- 文頭にあって、下の文が「〜ば」で受けられるか:仮定の「もし」。
- 下の名詞・連体形から返って「〜のようだ」と読めるか:比況の「ごとし」。

サクラちゃん
「如・若」を見たら、まず上に「不」がないか、次に文頭かどうかをチェック! どちらでもなく、下のものにたとえていたら比況の「ごとし」なんですね。
よくあるまちがい
まちがい1:「ごとし」を漢字で書く
書き下し文では、「如・若・猶・由」の「ごとし」は助動詞にあたるのでひらがなで書くのが一般的です(「水の如し」と漢字で書く本もありますが、試験ではひらがなが無難です)。
まちがい2:「の」と「が」をまちがえる
「及ばざるのごとし」「水がごとし」は誤り。名詞(体言)なら「の」、連体形なら「が」です。
まちがい3:「猶」を1回しか読まない
比況の「猶」は再読文字なので、「猶ほ〜ごとし」と二度目まで読みます。ただし下に返る語がなく「やはり・まだ」の意味なら、1回だけ「なほ」と読みます。
まちがい4:「不如」を比況と読む
「百聞は一見に如かず」の「不如」は比較(〜に及ばない)。「一見のごとくならず」と読むのは誤りです。
まちがい5:「ごとし」の活用を忘れる
「芙蓉は面のごとし柳は眉のごとし」のように、文が続くのに終止形にするのは不自然です。下に続くなら連用形「ごとく」、名詞や「なり」が続くなら連体形「ごとき」にします。
練習問題
やさしい
- 次の訓読文を書き下し文にしなさい。(自作)光陰ハ如シレ矢ノ。
答えと解説を見る
光陰は矢のごとし。(光陰は矢のごとし。)意味は「月日は矢のように速く過ぎる」。「矢」は名詞なので「矢のごとし」。
- 「猶」の一度目と二度目の読みを答えなさい。
答えと解説を見る
一度目「なほ」、二度目「ごとし」。書き下し文は「猶ほ〜のごとし」で、二度目はひらがなで書く。
ふつう
- 次の白文を書き下し文にし、現代語に訳しなさい。(自作)
「人生如朝露」答えと解説を見る
書き下し文:人生は朝露のごとし。訳:人生は朝の露のように(はかない)ものだ。「朝露」は名詞なので「の」をつけ、「如」は「ごとし」とひらがなで書く。
- 次の2つの「如」の読みと意味を答えなさい。
(1)百聞不如一見 (2)其色如血(自作)答えと解説を見る
(1)しかず(〜に及ばない):上に「不」があるので比較。「百聞は一見に如かず」。(2)ごとし(〜のようだ):比況。「其の色血のごとし」(その色は血のようだ)。
むずかしい
- 次の文の「ごとし」を正しい形に直して、全体を書き下し文にしなさい。(自作)其ノ言ハ猶ホゴトキ二春風ノ一也。
答えと解説を見る
其の言は猶ほ春風のごときなり。(其の言は猶ほ春風のごときなり。)下に断定の「なり(也)」が続くので、「ごとし」は連体形「ごとき」にする。訳:その言葉はちょうど春風のよう(にあたたかい)ものだ。
- 白文で「如」を見たとき、比況・比較・仮定のどれかを決める手がかりを3つ説明しなさい。
答えと解説を見る
(1)上に「不・莫」があれば比較(不如=しかず、莫如=しくはなし)。(2)文頭にあって、下の文が「〜ば」で受けられていれば仮定(もし)。(3)下の名詞や連体形から返って「〜のようだ」と読めれば比況(ごとし)。ほかに「如何」なら疑問・反語の「いかん」、下に場所があれば「ゆく」。
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「上善は水の如し」「過ぎたるは猶及ばざるが如し」「木に縁りて魚を求む」「白駒の隙を過ぐるが若し」「禍福は糾える縄の如し」など、比況を使った故事成語は故事成語の一覧(意味・由来・出典)でまとめて読めます。古文の比況は古文の助動詞「ごとし」と漢文の「如し」へ。
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国語をふくむ教科のバランス
受験掲示板「100点BBS」で質問・相談しよう
よくある質問
比況とは何ですか?
あるものをほかのものにたとえる言い方で、「〜のようだ」と訳します。漢文では如・若・猶・由を「ごとし」と読んで表します。
「のごとし」と「がごとし」はどう使い分けますか?
たとえるものが名詞(体言)なら「の」、動詞などの連体形なら「が」をつけます。例:水のごとし、及ばざるがごとし。
「猶」はどう読みますか?
再読文字で、一度目「なほ」、二度目「ごとし」と読み、「ちょうど〜のようだ」と訳します。下に返る語がなければ「なほ(やはり・まだ)」と1回だけ読みます。
「如」には比況以外にどんな読みがありますか?
「不如」で比較の「しかず」、文頭で仮定の「もし」、「如何」で「いかん」、下に場所があれば「ゆく」と読みます。
「ごとし」は書き下し文で漢字とひらがなのどちらで書きますか?
助動詞にあたるので、ひらがなで書くのが一般的です。漢字で「如し」と書く本もあります。
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出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
- 例文の本文:『老子』第八章、『論語』(先進・述而)、『孟子』梁恵王上、『荘子』山木、李白「春夜宴桃李園序」、曹操「短歌行」、白居易「長恨歌」。訓読は高校の教科書で一般的な読み方による
- 高校の漢文句法の標準的な説明(比況の字の読み・接続・活用)にもとづいて作成。「ごとし」を漢字で書くかひらがなで書くかなど、本によって違う所は本文中に記した
- 画像:張路「老子騎牛図」(明代、国立故宮博物院蔵、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)
最終更新:2026年10月28日/作成:大学受験合格大作戦



