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大学受験難関大
ひとことで言うと
漢文の逆接は「雖(〜と雖も)」「而(前の語に送り仮名〜ども)」「然れども」で「〜けれども」を表し、条件は「A則B(Aば則ちB=AならばB)」の形です。「すなはち」と読む字のうち、則は「〜ならば」、即は「すぐに」、乃は「そこで」と意味が違います。
このページのポイント
- 逆接は雖(〜と雖も)・而(〜ども)・然れども
- 而は読まず、前の送り仮名で順接「て」か逆接「ども」かを表す
- 条件はA則B=Aば則ちB(「則」の上に「ば」)
- 則=〜ならば、即=すぐに、乃=そこで・なんと・やっと
- 逆接の確定は已然形+ども、仮定は終止形+とも
はじめて(やさしく)
逆接(ぎゃくせつ)とは、「〜けれども」「〜なのに」のように、前と後ろが予想と逆につながる言い方です。反対に、「〜ので」「〜すると」と予想どおりにつながるのが順接で、その中でも「AならばB」と条件を示すのが条件の形です。漢文では「雖(いへども)」「而」「然(しかれども)」「則(すなはち)」などの字で表します。まず公式の表を見ましょう。
逆接・条件の句形の公式(一覧表)
| 句形 | 読み(書き下し) | 意味 |
|---|---|---|
| 雖 A, B | Aと雖も、B | Aだけれども、B(確定)/たとえAでも、B(仮定) |
| A 而 B | AどもB(而は読まない) | Aだけれども、B(逆接の而) |
| A 而 B | AてB(而は読まない) | Aして、B(順接の而) |
| 然 B | 然れどもB/然るにB | しかし、B/それなのに、B |
| A 則 B | Aば則ちB | AならばB・AするとB(条件) |
| A 即 B | A即ちB | AはとりもなおさずB/すぐにB |
| A 乃 B | A乃ちB | そこでB・なんとB・やっとB |
| 苟 A, B | 苟くもAば、B | かりにもAならば、B(仮定の条件) |
前と後ろのつながり方は、日本語でもおなじみです。「よく学んだので合格した」は順接、「よく学んだけれども落ちた」は逆接ですね。漢文では、このつながりを字で表すことも、送り仮名(ば・て・ども)だけで表すこともあります。
まず、送り仮名「ども」で逆接を表す有名な一節を読みましょう。司馬遷が、口べただった名将・李広の人がらを、ことわざを引いてほめた言葉です。丸の数字が読む順番です。
送り仮名「ども」の逆接
白文桃李不言、下自成蹊。
書き下し文桃李言はざれども、下自ら蹊を成す。
(『史記』李将軍列伝)
現代語訳桃やすももは何も言わないけれども、(花や実を求めて人が集まるので)その木の下には自然に小道ができる。
うかるくん
「而」って置き字だよね? 読まないのに、どうして逆接になるの?
ミスターT先生
「而」は前と後ろをつなぐだけの字なんだ。順接か逆接かは、前の語につける送り仮名で決める。予想どおりなら「〜て」、予想と逆なら「〜ども」。だから前後の意味を考えて送り仮名を選ぶんだよ。
サクラちゃん
字は同じでも、意味しだいで「て」にも「ども」にもなるんですね!
而(逆接)
書き下し文人知らずして慍みず、亦た君子ならずや。
(『論語』学而)
現代語訳人が(自分の学問や力を)わかってくれなくても、不満に思わない。なんと君子らしいことではないか。

ミスターT先生
逆接は「ども・雖も・然れども」、条件は「ば則ち」。まずこの2つを覚えよう。どちらも前と後ろの関係を表すものだから、訳すときは前半と後半をはっきり分けて書くことが大切だよ。
ここまでのまとめ
- 逆接=予想と逆(〜けれども)。雖・而・然、送り仮名「ども」
- 条件=「AならばB」。則(すなはち)、送り仮名「ば」
- 「而」は読まず、前の送り仮名(て・ども)で順接か逆接かを表す
しっかり(共通テスト)
逆接を表す字と読み
| 字 | 読み | 位置 | 意味 |
|---|---|---|---|
| 雖 | 〜と雖(いへど)も | 下から返る | 〜だけれども(確定)・たとえ〜でも(仮定) |
| 而 | (読まない)〜ども・〜に | 語と語の間 | 〜けれども・〜なのに |
| 然 | 然(しか)れども・然るに | 文のはじめ | しかし・それなのに |
| 然而 | 然り而(しかう)して・然れども | 文のはじめ | そうであるのに・しかし |
| 却 | かへつて | 述語の前 | 反対に・逆に |
| 顧 | かへりみて・かへつて | 文のはじめ | ところが・それなのに |
「雖」は下から返って読む返読文字で、上に「と」をつけて「〜と雖も」と読みます。用言(動詞・形容詞)につくときは終止形+「と雖も」(貧しと雖も・有りと雖も)、名詞につくときは名詞+「と雖も」(千万人と雖も)です。
雖(確定の逆接)
書き下し文家貧しと雖も、志甚だ高し。
(自作)
現代語訳家は貧しいけれども、志はとても高い。
雖(〜と雖も)
書き下し文智慧有りと雖も、勢ひに乗ずるに如かず。
(『孟子』公孫丑上)
現代語訳知恵があっても、時の勢いに乗ることにはおよばない。
然れども(文のはじめの逆接)
書き下し文吾往かんと欲す。然れども能はず。
(自作)
現代語訳私は行こうと思う。しかし、(行くことが)できない。
然而(しかりしかうして)
書き下し文然り而して王たらざる者は、未だ之有らざるなり。
(『孟子』梁恵王上)
現代語訳(民の暮らしをこのように安定させて)それでいて天下の王とならなかった者は、これまでいたためしがない。
条件の「則」:「AならばすなわちB」
「則」は「すなはち」と読み、「AならばB」「AするとB」という条件と結果を結びます。「則」の上の語には、送り仮名で「ば」をつけます。すでに起きたことや、いつもそうなることなら已然形+ば(窮すれば)、まだ起きていない仮定なら未然形+ば(窮せば)です。
- 「則」を見つけ、その前(A)と後ろ(B)に分ける。Aが条件、Bが結果。
- Aの終わりに「ば」をつける。いつもそうなる・すでに起きたことなら已然形+ば、仮定なら未然形+ば。
- 「則」を「則ち」と読み、Bを続ける。書き下し文では「則ち」と漢字で書く。
- 訳は「AならばB」「AするとB」。「則」自体は「そのときは」くらいの軽い意味で、訳さないことも多い。
則(〜ば則ち)
書き下し文倉廩実つれば則ち礼節を知り、衣食足れば則ち栄辱を知る。
(『管子』牧民)
現代語訳米倉がいっぱいになると(人々は)礼儀を知り、衣服と食べ物が足りると名誉と恥を知る。
則(窮すれば則ち変ず)
書き下し文窮すれば則ち変じ、変ずれば則ち通ず。
(『易経』繋辞下伝)
現代語訳行きづまれば変化が起こり、変化すれば道が通じる。
「すなはち」と読む5字の違い
| 字 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 則 | 〜ならば(条件)・〜のときは・AはBだが(対比) | 窮すれば則ち変ず |
| 即 | すぐに・とりもなおさず(=つまり) | 先んずれば即ち人を制す |
| 乃 | そこで・なんと・やっと | 項王乃ち東して烏江を渡らんと欲す |
| 便 | すぐに・たやすく | 便ち去る(すぐに立ち去る) |
| 輒 | そのたびごとに・いつも | 輒ち酔ふ(そのたびに酔う) |
即と則(1つの文で比べる)
書き下し文先んずれば即ち人を制し、後るれば則ち人の制する所と為る。
(『史記』項羽本紀)
現代語訳先手を取ればすぐに人をおさえられるが、おくれをとれば人におさえられることになる。
乃(そこで)
書き下し文是に於いて項王乃ち東して烏江を渡らんと欲す。
(『史記』項羽本紀)
現代語訳そこで項王は、東へ向かって烏江を渡ろうとした。
サクラちゃん
「則」「即」「乃」……全部「すなはち」で、どれがどれだか……。
ミスターT先生
則は「ば」とセット(〜ならば)。即は「即座に」の即(すぐに)。乃は物語の「そこで」。この3つを押さえれば共通テストは大丈夫。「乃」は「なんと」「やっと」の意味もあるから、前後の流れを見てね。
うかるくん
則=ば、即=即座、乃=そこで!
もっと深く(難関大・上級者)
1. 「然」の読み分け
「然」は「しか(そのように)」という意味の字で、送り仮名によって順接にも逆接にもなります。難関大の白文では、前の文とのつながりを考えて読みを決めます。
「然而」は、「然り而して(そうであって、それでいて)」と2字に分けて読む場合と、「然れども(しかし)」と1語の接続詞として読む場合があります。孟子の「然而不王者、未之有也」は、教科書によって両方の読みが見られます。どちらで読んでも、前の内容を受けて「それなのに王とならない者は」と続くことに変わりはありません。
2. 逆接の確定と逆接の仮定
逆接には、実際にそうであることを受ける確定(〜けれども)と、まだ起きていないことを受ける仮定(たとえ〜でも)があります。送り仮名では、確定は已然形+「ども」、仮定は終止形+「とも」です。これは古文の接続助詞と同じしくみです(古文の接続助詞(ば・ども・とも・て・で))。
3. 「而」の順接と逆接を見分ける
「而」は置き字なので、白文では前後の意味関係だけで順接か逆接かを決めることになります。記述問題で書き下しを求められたとき、送り仮名「て」と「ども」を取りちがえると、文の意味が逆になってしまいます。
而(順接)
書き下し文故きを温めて新しきを知る。
(『論語』為政)
現代語訳古いことをよく学び直して、そこから新しいことを知る。
而(逆接)が3回続く
書き下し文心焉に在らざれば、視れども見えず、聴けども聞こえず、食らへども其の味を知らず。
(『大学』)
現代語訳心がそこになければ、目を向けていても見えず、耳をかたむけていても聞こえず、食べていてもその味がわからない。

4. 「則」の対比の用法と、「乃」の意外の用法
「則」は条件だけでなく、2つのものを並べて比べるときにも使われます。「AはBなり、Cは則ちD」のように、「Cの方はというと」と主題を取り出す働きです。このときは「ならば」と訳さず、「〜は」と訳します。また「乃」は、「なんと(意外にも)」「やっと(ようやく)」の意味にもなります。「乃ち」が予想外の結果を示しているときは「なんと」、長い時間のあとなら「やっと」と訳し分けます。「乃」は「なんぢ(おまえ)」と読む代名詞の用法もあるので、白文では位置(主語や所有の位置か)にも注意しましょう。
5. 「AなればすなわちB」:已然形の「なれば」
名詞や形容動詞にあたる語が「則」の上に来ると、「Aなれば則ちB」と、断定「なり」の已然形「なれ」+「ば」の形になります。たとえば「貧なれば則ち〜(貧しいと〜)」「富なれば則ち〜(豊かだと〜)」のように、身分や状態を条件にして、そのときにどうなるかを述べる文です。思想書では、「窮すれば則ち独り其の身を善くし、達すれば則ち兼ねて天下を善くす」(『孟子』尽心上)のように、2つの条件を対にして並べる形がよく見られます。

サクラちゃん
「而」は前後の意味で「て」か「ども」か、「則」は「ば」とセット、「然」は送り仮名で順接にも逆接にもなる! つなぎの字は前後の関係を考えるのがコツなんですね。
よくあるまちがい
まちがい1:「而」を「しかして」と毎回読む
文中の「而」は、ふつう読まない置き字です。前の語に送り仮名「て」「ども」をつけて表します。「しかして」「しかるに」と読むのは、文のはじめに来たときなどに限られます。
まちがい2:「則」の上に「ば」をつけ忘れる
「窮す則ち変ず」は誤り。「則」の上には必ず「ば」をつけて「窮すれば則ち変ず」とします。
まちがい3:「即」と「則」を同じ意味で訳す
「即」はすぐに・つまり、「則」は〜ならば。読みは同じ「すなはち」でも、意味が違います。
まちがい4:逆接の「ども」と仮定の「とも」を混ぜる
事実なら已然形+「ども」(言はざれども)、まだ起きていないなら終止形+「とも」(死すとも)。送り仮名1字で確定と仮定が入れかわります。
まちがい5:「然り」と「然れども」を取りちがえる
「然り」は「そのとおりだ」と前を認める言葉、「然れども」は「しかし」と前と逆を言う言葉です。送り仮名を見落とさないようにしましょう。
練習問題
やさしい
- 次の文の「而」は順接・逆接のどちらか答えなさい。(自作)
「学而不倦(学びて倦まず)」と「見而不知(見れども知らず)」答えと解説を見る
「学びて倦まず」は順接(学んで、あきない)。「見れども知らず」は逆接(見ているのに、わからない)。「而」は読まず、前の送り仮名「て」「ども」で表す。
- 次の訓読文を書き下し文にしなさい。(自作)春至レバ則チ花開ク。
答えと解説を見る
春至れば則ち花開く。(春至れば則ち花開く。)意味は「春になると花が咲く」。「則」の上には已然形+「ば」をつける。
ふつう
- 次の文を書き下し文にし、現代語に訳しなさい。(自作)身雖モレ老イタリト、心猶ホ若シ。
答えと解説を見る
書き下し文:身老いたりと雖も、心猶ほ若し。 訳:体は年をとったけれども、心はまだ若い。年をとったのは事実なので、確定の逆接「〜けれども」で訳す。
- 「先即制人、後則為人所制」(『史記』)の「即」と「則」の意味の違いを説明しなさい。
答えと解説を見る
どちらも「すなはち」と読むが、「即」は「すぐに・ただちに」で時間の近さを表し、「先んずれば即ち人を制す」は「先手を取ればすぐに人をおさえられる」。「則」は「〜ならば・そのときは」で条件と結果を結び、「後るれば則ち人の制する所と為る」は「おくれると人におさえられる」。
むずかしい
- 次の白文に送り仮名をつけて書き下し文にし、「而」の働きを説明しなさい。(自作)
「富而不驕」答えと解説を見る
書き下し文:富めども驕らず。(富んでいるのに、おごり高ぶらない)。「富む」と「ふつうはおごる」のに「おごらない」ので、「而」は逆接。前の語に已然形+「ども」をつける。「富みて驕らず」と順接で読む本もあるが、意味の上では逆接のつながりである。
- 「然」の読み方を3つあげ、それぞれの意味を答えなさい。
答えと解説を見る
(例)「然り(しかり)」=そのとおりだ、「然れども(しかれども)」=しかし(逆接)、「然らば(しからば)」=それならば(順接)。ほかに「然るに」(それなのに)、「然して」(そうして)、「然り而して」(そうであって・それでいて)など。
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順接・逆接の送り仮名は古文の接続助詞と同じです。古文の接続助詞(ば・ども・とも・て)や古文の「ば」(未然形+ばと已然形+ば)もあわせて読むと理解が深まります。「温故知新」「衣食足りて礼節を知る」などは故事成語の一覧(意味・由来・出典)で読めます。
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受験掲示板「100点BBS」で質問・相談しよう
よくある質問
漢文の逆接の字にはどんなものがありますか?
雖(〜と雖も)、而(前の語に送り仮名「ども」をつける)、然(然れども・然るに)、然而(然り而して・然れども)などです。送り仮名の「ども」だけで逆接を表すこともあります。
「則」はどう読み、どう訳しますか?
「すなはち」と読み、「A則B」で「Aば則ちB(AならばB・AするとB)」と訳します。則の上の語には送り仮名「ば」をつけます。
「則」と「即」の違いは?
則は「〜ならば・そのときは」で条件と結果を結び、即は「すぐに・とりもなおさず」で時間の近さや言いかえを表します。どちらも「すなはち」と読みます。
「而」は順接ですか、逆接ですか?
どちらにもなります。而は読まない置き字で、前後が予想どおりなら前の語に「て」(順接)、予想と逆なら「ども」(逆接)をつけて表します。
「雖」は仮定ですか、確定ですか?
どちらにもなります。下の内容が事実なら「〜だけれども」(確定)、まだ起きていないことなら「たとえ〜でも」(仮定)と訳します。
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出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
- 例文の本文:『史記』(李将軍列伝・項羽本紀)、『論語』(学而・為政)、『孟子』(公孫丑上・梁恵王上)、『管子』牧民、『易経』繋辞下伝、『大学』。訓読は高校の教科書で一般的な読み方による
- 高校の漢文句法の標準的な説明(逆接・条件の句形、すなはちと読む字の区別)にもとづいて作成。読みが分かれる所は本文中に記した
- 画像:『至聖先賢半身像』より「孟軻」(元代、作者不明、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)
最終更新:2026年10月28日/作成:大学受験合格大作戦



