漢文文法・句法辞典 › 重要語の読みと識別
大学受験難関大
ひとことで言うと
漢文の重要漢字は、嘗(かつて)・遂(つひに)・頗(すこぶる)・具(つぶさに)・蓋(けだし)のように、音読みではなく送り仮名つきの訓で読む副詞・接続詞の字です。意味のグループと「同じ読みの仲間」でまとめて覚え、答えは歴史的仮名遣いで書きます。
このページのポイント
- 読みが問われるのは副詞・接続詞の字(嘗・遂・頗・具・蓋・是以 など)
- 時・回数・程度・判断・仮定・つなぐ語の6グループで覚える
- 同じ読みの仲間:つひに=遂・竟・卒・終、たまたま=会・偶・適
- 殆・数・卒・会・適は読みが複数。位置と返り点で決める
- 答えは送り仮名をふくめ歴史的仮名遣い(つひに・やうやく)
重要漢字の読み一覧(76語)
共通テストや国公立二次の漢文で「読み」を問われやすい副詞・接続詞などの漢字を、意味のグループごとに並べました。読みは歴史的仮名遣いで書いています(送り仮名をふくめた読み方)。まずこの表で全体を見て、わからない字は下の「はじめて」「しっかり」で例文といっしょに確かめてください。
| 分類 | 漢字 | 読み | 意味 | 例(書き下し文) |
|---|---|---|---|---|
| 時(以前・すでに) | 嘗 | かつて | 以前に・これまでに(「なむ」=なめる、とも) | 嘗て終日食らはず |
| 曾 | かつて | 以前に/「曾て〜ず」で、少しも〜ない | 曾て見ず | |
| 既 | すでに | もう・〜してしまった | 日既に暮る | |
| 已 | すでに | もう(文末は「のみ」、動詞は「やむ」) | 漢皆已に楚を得たるか | |
| 向 | さきに | 以前・さっき | 向に誌せし所 | |
| 嚮 | さきに | 以前(「向」と同じ) | 嚮に言ふ所 | |
| 曩 | さきに | 以前・むかし | 曩に見る所 | |
| 素 | もとより | ふだんから・以前から | 素より之を知る | |
| 固 | もとより | もともと・もちろん(「かたし」とも) | 固より然り | |
| 時(とうとう) | 遂 | つひに | そのまま・その結果・とうとう | 遂に迷ひて |
| 竟 | つひに | 結局・最後まで | 竟に帰らず | |
| 卒 | つひに | 最後に・結局(「にはかに」=急に、とも) | 卒に之を許す | |
| 終 | つひに | 最後には・とうとう | 終に成らず | |
| 時(すぐ・急に・だんだん) | 俄 | にはかに | 急に・突然 | 俄かに雨降る |
| 忽 | たちまち | すぐに・急に・ふと | 忽ち桃花の林に逢ふ | |
| 輒 | すなはち | そのたびにすぐ・いつも | 読む毎に輒ち笑ふ | |
| 便 | すなはち | すぐに・そこで | 便ち要へて家に還る | |
| 即 | すなはち | すぐに・つまり | 即ち去る | |
| 稍 | やうやく/やや | しだいに/少し | 稍く進む | |
| 漸 | やうやく | しだいに・だんだん | 漸く寒し | |
| 方 | まさに | ちょうど今(〜しているところ) | 方に食らふ | |
| 少焉 | しばらくして | 少したって(赤壁の賦など) | 少焉にして月出づ | |
| 回数・偶然 | 会 | たまたま | ちょうどそのとき(「あふ」とも) | 会たま雨降る |
| 偶 | たまたま | 偶然に・思いがけず | 偶たま之に遇ふ | |
| 適 | たまたま | ちょうど・偶然(「ゆく」「かなふ」とも) | 適たま至る | |
| 数 | しばしば | 何度も(「かず」「せむ」とも) | 数諫む | |
| 屢 | しばしば | 何度も | 屢空し | |
| 毎 | つねに/ごとに | いつも/〜するたびに | 毎に言ふ | |
| 復 | また | ふたたび・もう一度 | 復た路を得ず | |
| 亦 | また | 〜もまた・やはり | 亦た楽しからずや | |
| 又 | また | そのうえ・さらに | 又之を問ふ | |
| 程度・数量 | 頗 | すこぶる | かなり・たいそう(少し、の意もある) | 頗る理有り |
| 殆 | ほとんど | もう少しで・おおかた(「あやふし」とも) | 殆ど死せんとす | |
| 幾 | ほとんど | もう少しで(「いくばく」とも) | 幾ど亡ぶ | |
| 甚 | はなはだ | 非常に・ひどく | 甚だ之を異とす | |
| 尤 | もつとも | とりわけ・特に(「とがむ」とも) | 尤も善し | |
| 寡 | すくなし | 少ない(「寡人」は王の自称) | 徳寡し | |
| 鮮 | すくなし | 少ない | 仁鮮し | |
| 益 | ますます | いっそう | 益す甚だし | |
| 愈 | いよいよ | ますます(「まさる」とも) | 愈いよ急なり | |
| 全部・くわしく・自分で | 具 | つぶさに | くわしく・もれなく(「そなふ」とも) | 具に之に答ふ |
| 悉 | ことごとく | すべて・残らず | 悉く之を取る | |
| 尽 | ことごとく | すべて(「つくす」「つく」とも) | 尽く之を知る | |
| 咸 | みな | すべて・全員 | 咸来たる | |
| 凡 | およそ | だいたい・すべて(話の始めに) | 凡そ人の情は | |
| 審 | つまびらかに | くわしく・はっきりと | 審らかに之を察す | |
| 窃 | ひそかに | こっそり・心の中で(へりくだり) | 窃かに以為らく | |
| 徐 | おもむろに | ゆっくりと・静かに | 徐ろに行く | |
| 親 | みづから | 自分で・じきじきに | 親ら之を見る | |
| 自 | みづから/おのづから | 自分で/自然に(「より」とも) | 自ら知る | |
| 敢 | あへて | 進んで・思い切って(「敢へて〜ず」=決して〜しない) | 敢へて言はず | |
| 判断・反語・強調 | 蓋 | けだし | 思うに・おそらく(「なんぞ〜ざる」とも) | 蓋し天の命ならん |
| 豈 | あに | どうして〜か(反語) | 豈に遠しと為さんや | |
| 寧 | むしろ/いづくんぞ | いっそ〜のほうがよい/どうして〜か | 寧くんぞ種有らんや | |
| 況 | いはんや | まして(〜はなおさらだ) | 況んや人をや | |
| 宜 | よろしく〜べし | 〜するのがよい(再読文字) | 宜しく学ぶべし | |
| 須 | すべからく〜べし | ぜひ〜する必要がある(再読文字) | 須らく読むべし | |
| 誠 | まことに | 本当に・心から | 誠に然り | |
| 信 | まことに | 本当に(「しんず」とも) | 信に美なり | |
| 仮定・逆接 | 縦 | たとひ | たとえ〜でも | 縦ひ死すとも |
| 仮令 | たとひ | たとえ〜でも(縦と同じ) | 仮令敗るとも | |
| 苟 | いやしくも | かりにも・もしも | 苟くも志有らば | |
| 雖 | いへども | 〜けれども・たとえ〜でも | 小なりと雖も | |
| 微 | なかりせば | もし〜がなかったら | 管仲微かりせば | |
| 文と文をつなぐ | 然 | しかり/しかれども/しかるに | そうだ/しかし/それなのに | 然れども |
| 雖然 | しかりといへども | そうではあるが・しかし | 然りと雖も | |
| 然則 | しからばすなはち | そうだとすると(しかればすなはち、とも) | 然らば則ち | |
| 然後 | しかるのち | そうしてはじめて | 然る後に知る | |
| 於是 | ここにおいて | そこで・こうして | 是に於いて | |
| 是以 | ここをもつて | こういうわけで・だから | 是を以て | |
| 以是 | これをもつて | このことによって | 是を以て | |
| 是故 | このゆゑに | だから | 是の故に | |
| 何則 | なんとなれば | なぜかというと | 何となれば | |
| 所謂 | いはゆる | 世間でいう・いわゆる | 所謂君子 | |
| 以為 | おもへらく | 思うことには(「以て〜と為す」とも) | 以為らく | |
| 加之 | しかのみならず | そればかりでなく | 加之家貧し |
「宜・須・豈・況・縦・苟・雖」などは、それぞれ再読文字(未・将・当・応・宜・須・猶・盍)・反語の句法(豈・安・何・誰)・抑揚の句法(且〜況〜乎)・仮定の句法(如・若・苟・縦・雖)のページでくわしく扱っています。
はじめて(やさしく)
漢文の問題には、「傍線部の漢字の読みを、送り仮名をふくめてひらがなで書きなさい」という形がよく出ます。ねらわれるのは、「遂(つひに)」「嘗(かつて)」「頗(すこぶる)」のような、副詞(ようすや程度を表すことば)や接続詞(文と文をつなぐことば)の字です。
これらの字は、ふだんの熟語では音読みで使います。「遂行(すいこう)」「臥薪嘗胆(がしんしょうたん)」のようにです。ところが漢文では、日本語の訓(意味をあてた読み)で、しかも送り仮名をつけて読みます。だから、音読みを知っていても答えられません。読みと意味をセットで覚えることが大切です。
うかるくん
「遂」は「すい」としか読めないよ……。「つひに」なんて、見ただけじゃわからない!
ミスターT先生
だからこそ点数の差がつくんだ。英単語と同じで、覚えた人だけが答えられる問題だよ。ただし数は多くない。表の70語ほどで、入試の読みの問題はほとんどカバーできる。
サクラちゃん
70語……。全部ばらばらに覚えるのは大変そうです。
ミスターT先生
意味のグループと同じ読みの仲間でまとめれば、ぐっと楽になるよ。「つひに」と読む字は遂・竟・卒・終の4つ、という具合にね。
まず、意味で6つのグループに分けてみましょう。「時を表す字」「回数や偶然を表す字」「程度や全部を表す字」「判断や反語を表す字」「仮定や逆接を表す字」「文と文をつなぐ字」です。どのグループの字かがわかれば、訳すときに「いつ?」「どのくらい?」「どうつながる?」と意味の方向がすぐに見えます。
では、有名な文章で読みを確かめましょう。陶淵明(とうえんめい)の「桃花源記(とうかげんき)」は、漁師が谷川をさかのぼって、外の世界から隔てられた村(桃源郷)にたどりつく話です。教科書によく載っていて、重要漢字の読みがたくさん出てきます。丸の数字が読む順番です。
忽(たちまち)
白文縁渓行、忘路之遠近。忽逢桃花林。
書き下し文渓に縁りて行き、路の遠近を忘る。忽ち桃花の林に逢ふ。
(陶淵明「桃花源記」)
現代語訳谷川にそって進んでいくうちに、どれほどの道のりを来たのかわからなくなった。すると急に、桃の花の林に出会った。
具(つぶさに)・便(すなはち)
書き下し文具に之に答ふ。便ち要へて家に還り、酒を設け鶏を殺して食を作る。
(陶淵明「桃花源記」)
現代語訳(漁師は)くわしく村人の問いに答えた。(村人は)すぐに(漁師を)招いて家に帰り、酒を用意し鶏をしめて、食事を作った。

ここまでのまとめ
- 読みが問われるのは副詞・接続詞の字。音読みではなく訓+送り仮名で読む
- 忽=たちまち、具=つぶさに、便=すなはち
- 意味の6グループと、同じ読みの仲間でまとめて覚える
しっかり(共通テスト)
同じ読みの仲間でまとめる
重要漢字には、違う字なのに同じ読みのものがたくさんあります。たとえば「つひに」と読む字は「遂・竟・卒・終」。どれも「とうとう・結局」の意味です。このような仲間をまとめておくと、覚える量が半分ほどになります。また、選択肢に「遂に」「竟に」のような別の字が出てきても、意味の見当がつくようになります。
ただし、仲間の字でも意味が少しずつ違うことがあります。「遂」は「そのまま・その結果」と、前のできごとから自然に続く感じが強い字です。一方、「竟」「卒」は「結局・最後には」と、長い時間のあとの結末を表すことが多い字です。共通テストの訳の選択肢では、この違いまでは問われにくいので、まずは読みと大まかな意味を確実にしましょう。
読みの問題の解き方
- 字の位置を見る:述語(動詞・形容詞)の前にあれば副詞、文の頭にあれば接続詞のことが多い。
- 下に返る語があるかを見る:「数」「適」「会」などは、下に名詞があって返るなら動詞(せむ・ゆく・あふ)、返らなければ副詞(しばしば・たまたま)。
- 前後の文のつながりを考える:「然」「是以」「何則」などは、前の文と逆接・結果・理由のどれでつながるかで意味を確かめる。
- 送り仮名をふくめて、歴史的仮名遣いで答える:「つひに」「やうやく」「いはんや」のように書く。
嘗(かつて)
書き下し文吾嘗て終日食らはず、終夜寝ねず、以て思ふ。益無し。学ぶに如かざるなり。
(『論語』衛霊公)
現代語訳私は以前、一日中食事もせず、一晩中寝ないで考えたことがある。しかし得るものはなかった。(先人の教えを)学ぶほうがよい。
已(すでに)
書き下し文漢皆已に楚を得たるか。是れ何ぞ楚人の多きや。
(『史記』項羽本紀)
現代語訳漢はもう楚の地をすっかり手に入れてしまったのか。なんと楚の人の多いことよ。
向(さきに)・遂(つひに)・復(また)
書き下し文向に誌せし所を尋ぬるに、遂に迷ひて復た路を得ず。
(陶淵明「桃花源記」)
現代語訳以前に目印をつけておいた所をさがしたが、そのまま迷ってしまい、二度と道を見つけられなかった。
サクラちゃん
「向」が「さきに」なんて意外です。「向かう」しか知りませんでした。
ミスターT先生
「向」は「以前・さっき」という時の意味で使うことがあって、「向者(さきには)」という言い方もあるよ。動詞の前にあって、下から返らないなら副詞と考えるのがコツだ。
うかるくん
位置で読みが変わるんだね。「已」も文末だと「のみ」だったし!
文と文をつなぐ語
「然」「於是」「是以」「何則」などは、前の文と後ろの文がどうつながるかを示します。共通テストでは、本文の流れ(筆者の主張と理由など)をつかむ問題で、これらの語がヒントになります。読みと同時に、逆接・順接・結果・理由のどれかを押さえましょう。
是以(ここをもつて)
書き下し文其の人賢なり。是を以て人皆之を敬ふ。
(自作)
現代語訳その人はかしこい。だから人々はみなその人を尊敬する。
雖然(しかりといへども)
書き下し文学ぶは難し。然りと雖も、已むべからず。
(自作)
現代語訳学ぶことはむずかしい。そうではあるが、やめてはならない。
以為(おもへらく)
書き下し文王以為らく、民皆富めりと。
(自作)
現代語訳王が思うことには、人民はみな豊かだと。

ミスターT先生
読みの問題は、字の位置と下に返るかどうかで読みを決めるのがコツ。答えは送り仮名をふくめて歴史的仮名遣いで書こう。
もっと深く(難関大・上級者)
1. 1字に読みがいくつもある字
難関大の読みの問題は、ふだんの読みとは違う読みをねらってきます。たとえば「殆」は「ほとんど」と覚えている人が多いのですが、「あやふし(危ない)」と読む場合があります。「数」は「しばしば」のほか、「かず」「せむ(責める)」とも読みます。白文では、品詞(副詞か動詞か形容詞か)を見きわめてから読みを決めましょう。
殆(あやふし)
書き下し文彼を知り己を知れば、百戦殆ふからず。
(『孫子』謀攻)
現代語訳敵を知り、自分を知っていれば、百回戦っても危険なことはない。
寧(いづくんぞ)
書き下し文王侯将相寧くんぞ種有らんや。
(『史記』陳渉世家)
現代語訳王・諸侯・将軍・大臣に、どうして生まれつきの家柄などあるものか(いや、ない)。
2. 「復」と「又」と「亦」:3つの「また」
「また」と読む字は「復・又・亦」の3つです。復は「ふたたび(もう一度)」、又は「そのうえ・さらに」、亦は「〜もまた(同じように)・やはり」と、意味が違います。難関大の記述では、この違いを訳に出せるかが問われます。「不亦説乎(亦た説ばしからずや)」の「亦」は「なんと」と詠嘆を強める働きで、ここでは「も」とは訳しません(詠嘆の句法(嗚呼・哉・不亦〜乎))。
復(また)
書き下し文因りて其の耒を釈てて株を守り、復た兎を得んことを冀ふ。兎復た得べからずして、身は宋国の笑ひと為る。
(『韓非子』五蠹)
現代語訳そこで(農夫は)すきを捨てて切り株を見張り、もう一度兎を手に入れたいと願った。しかし兎は二度と手に入らず、その身は宋の国じゅうの笑い者になった。
3. 「蓋」と「盍」、「已」と「己」と「巳」:形の似た字
白文の読みでは、形の似た字の取り違えにも注意が必要です。「蓋(けだし=思うに)」と再読文字の「盍(なんぞ〜ざる)」は、上の部分が違うだけです。ただし「蓋」にも「なんぞ〜ざる」と読む用法があり、これは「盍」の代わりに使われたものと説明されます。また「已(すでに・やむ・のみ)」「己(おのれ)」「巳(み=十二支)」は、線の閉じ方で区別します。版本や入試の白文では字がつぶれて見えることもあるので、文脈で読める読みを選びましょう。
蓋(けだし)
書き下し文此れ蓋し天の命ならん。
(自作)
現代語訳これはおそらく天の定めであろう。
4. 答案での書き方:歴史的仮名遣い
読みの問題は、ふつう「送り仮名をふくめて、ひらがな(現代仮名遣いでもよい/歴史的仮名遣いで)」のように指示があります。指示がなければ、古典なので歴史的仮名遣いで書くのが安全です。「つひに」「やうやく」「いはんや」など、現代仮名遣いと違う語は特に注意しましょう。
また、読み方そのものに流派の違いがある字もあります。たとえば「稍」は「やや(少し)」と「やうやく(しだいに)」のどちらで読むかが文脈と教科書で分かれます。「然則」は「しからばすなはち」とも「しかればすなはち」とも読みます。「頗」は「かなり」の意味が中心ですが、古い用法では「少し」の意味もあると説明されます。入試では、文脈に合う意味の読みであれば正解とされるのがふつうです。

サクラちゃん
「殆」は「ほとんど」だけじゃなくて「あやふし」! 読みが2つ以上ある字は、下に返るかどうかと文脈で決めるんですね。
よくあるまちがい
まちがい1:音読みで答える
「遂」を「すい」、「嘗」を「しょう」と答えるのは誤り。読みの問題は訓+送り仮名(つひに・かつて)で答えます。
まちがい2:「已」をいつも「すでに」と読む
「已」は、述語の前なら「すでに」、文末なら「のみ」(限定)、動詞なら「やむ」。位置で読み分けます。
まちがい3:「殆」をいつも「ほとんど」と読む
「百戦殆ふからず」のように、述語の位置で否定がかかるときは「あやふし(危ない)」です。
まちがい4:「是以」と「以是」を同じ意味に訳す
「是以(ここをもつて)」は「だから」、「以是(これをもつて)」は「このことによって」。書き下し文はどちらも「是を以て」ですが、読み(ルビ)と働きが違います。
まちがい5:歴史的仮名遣いで書かない
「ついに」「ようやく」と書くと、指示によっては減点されます。「つひに」「やうやく」と書く練習をしておきましょう。
練習問題
やさしい
- 次の漢字の読みを、送り仮名をふくめて歴史的仮名遣いのひらがなで答えなさい。
①嘗 ②遂 ③忽 ④具答えと解説を見る
①かつて(以前に) ②つひに(とうとう) ③たちまち(急に) ④つぶさに(くわしく)
- 次の訓読文を書き下し文にしなさい。(自作)其ノ家頗ル富メリ。
答えと解説を見る
其の家頗る富めり。(其の家頗る富めり。)「頗」は「すこぶる」で、「かなり・たいそう」。訳は「その家はたいそう豊かだ」。
ふつう
- 「然則」と「雖然」の読みと意味を答えなさい。
答えと解説を見る
「然則」=しからばすなはち(しかればすなはち):そうだとすると。「雖然」=しかりといへども:そうではあるが。前者は前の内容を受けた仮定・帰結、後者は逆接です。
- 次の文を書き下し文にし、現代語に訳しなさい。(自作)友数諫ムレ之ヲ。
答えと解説を見る
書き下し文:友数之を諫む。 訳:友人が何度もその人をいさめた。「数」は動詞「諫む」の前にある副詞なので「しばしば(何度も)」と読みます。
むずかしい
- 次の白文を書き下し文にし、現代語に訳しなさい。(自作)
「病殆不可救」答えと解説を見る
書き下し文:病殆ど救ふべからず。 訳:病気はもう少しで救えないところだ(ほとんど助からない状態だ)。「殆」は述語「不可救」の前にある副詞なので「ほとんど」。「百戦殆ふからず」の「あやふし」との違いを、位置で区別します。
- 「卒」の読みを3つあげ、それぞれの意味を答えなさい。
答えと解説を見る
①つひに:最後に・結局(副詞) ②にはかに:急に(副詞。「猝」と同じ) ③そつ:兵士(名詞。「士卒」)。ほかに「をはる(終わる)」「しす(死ぬ)」の意味もあります。
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- 反語の句法(豈・安・何・寧):豈・寧の読み
- 抑揚の句法(且〜況〜乎):況の読み
- 仮定の句法(如・若・苟・縦・雖):縦・苟・雖・微の読み
- 部分否定と全部否定(不復・不常):復・常・必の位置
- 「而・則・乃・即」の読みと用法:「すなはち」の読み分け
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「四面楚歌」「株を守る」「臥薪嘗胆」などの話は故事成語の一覧(意味・由来・出典)で、熟語の読み方は漢字合格大作戦(常用漢字の読み・書き順)で確かめられます。
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よくある質問
漢文でよく出る重要漢字の読みは?
嘗(かつて)・遂(つひに)・頗(すこぶる)・具(つぶさに)・悉(ことごとく)・殆(ほとんど)・蓋(けだし)・寧(むしろ)・数(しばしば)・是以(ここをもつて)・雖然(しかりといへども)・所謂(いはゆる)・以為(おもへらく)などです。
重要漢字の読みはどう覚えればいいですか?
時・回数や偶然・程度や全部・判断や反語・仮定や逆接・文をつなぐ語の6グループに分け、「つひに=遂・竟・卒・終」のように同じ読みの仲間をまとめると、覚える量が減ります。
読みの答えは歴史的仮名遣いで書くべきですか?
問題の指示に従います。指示がなければ、古典なので歴史的仮名遣い(つひに・やうやく・いはんや)で書くのが安全です。
「是以」と「以是」の違いは?
是以は「ここをもつて」と読み「だから」、以是は「これをもつて」と読み「このことによって」の意味です。書き下し文はどちらも「是を以て」と書きます。
「殆」は「ほとんど」以外にどう読みますか?
述語として「危ない」の意味のときは「あやふし」と読みます。『孫子』の「百戦殆ふからず」が有名です。
あわせて読みたい
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
- 例文の本文:陶淵明「桃花源記」、『論語』衛霊公、『史記』(項羽本紀・陳渉世家)、『孫子』謀攻、『韓非子』五蠹。訓読は高校の教科書で一般的な読み方による
- 高校の漢文の重要語の読みの標準的な説明にもとづいて作成。読みが分かれる所(稍・然則・頗など)は本文中に記した
- 画像:張宏「桃花源図(Peach Blossom Spring)」(1638年、メトロポリタン美術館蔵、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)
最終更新:2026年10月28日/作成:大学受験合格大作戦



