漢文文法・句法辞典 › 漢詩・思想・文学史
大学受験難関大
ひとことで言うと
漢文の文学史は、先秦(詩経・論語・諸子)→漢(史記=司馬遷・紀伝体)→魏晋南北朝(陶淵明)→唐(李白・杜甫・白居易、韓愈・柳宗元の古文運動)→宋(蘇軾・欧陽脩・朱熹)の順に、時代・作者・作品・ジャンルをセットで覚えるのが基本です。
このページのポイント
- 時代の順:先秦→漢→魏晋南北朝→唐→宋→元・明・清
- 史記=司馬遷(前漢)・紀伝体の通史、漢書=班固・断代史
- 唐詩:李白(詩仙)・杜甫(詩聖)・王維(詩仏)・白居易
- 唐宋八大家=唐の韓愈・柳宗元+宋の6人(欧陽脩・三蘇・曾鞏・王安石)
- 四書=論語・孟子・大学・中庸、五経=詩・書・易・礼・春秋
はじめて(やさしく)
漢文の文学史とは、「いつ・だれが・どんな作品を書いたか」の流れのことです。漢文で読む作品は、紀元前の『詩経』『論語』から、唐の李白・杜甫の詩、宋の蘇軾の文章まで、2000年以上にわたります。時代の順番と代表作を知っておくと、問題文の出典を見ただけで「これは思想の文章だ」「これは唐の詩だ」と見当がつき、読むのがぐっと楽になります。
時代と代表作の一覧(早見表)
| 時代 | ジャンル | 代表的な作品・作者 |
|---|---|---|
| 先秦 | 詩・思想・歴史 | 『詩経』『楚辞』(屈原)、『論語』『孟子』『老子』『荘子』『韓非子』、『春秋左氏伝』『戦国策』 |
| 漢 | 歴史・詩 | 『史記』(司馬遷・紀伝体)、『漢書』(班固)、古詩・楽府 |
| 魏晋南北朝 | 詩・小説・選集 | 陶淵明(桃花源記・飲酒)、『世説新語』(劉義慶)、『文選』(昭明太子) |
| 唐 | 詩・文章・伝奇 | 李白・杜甫・王維・孟浩然・白居易、韓愈・柳宗元(古文運動)、伝奇小説 |
| 宋 | 文章・詩・思想 | 欧陽脩・蘇軾(赤壁賦)・王安石、朱熹(朱子学) |
| 元・明・清 | 歴史・小説 | 『十八史略』(元・曽先之)、『三国志演義』『水滸伝』『西遊記』『紅楼夢』 |
いちばん古い時代の作品の代表が『論語』です。孔子が自分の一生をふり返った言葉は、「十五歳=志学」「三十歳=而立」「四十歳=不惑」という年齢の呼び名のもとになりました。
先秦:論語(年齢の呼び名のもと)
書き下し文子曰はく、吾十有五にして学に志す。三十にして立つ。四十にして惑はず。
(『論語』為政)
現代語訳先生がおっしゃった。「私は十五歳で学問に志した。三十歳で(学問の上で)自立した。四十歳で迷わなくなった。」
うかるくん
人の名前と本の名前がたくさん出てきて、覚えきれません……。
ミスターT先生
全部を一度に覚えなくていい。まずは時代の順番を「先秦→漢→魏晋南北朝→唐→宋」と言えるようにしよう。そこに、先秦=論語、漢=史記、唐=李白・杜甫、宋=蘇軾と、1つずつ「顔」を貼っていくんだ。
サクラちゃん
時代ごとの「代表選手」を1人ずつ決めるんですね!
文学史でもう1つ大事なのが、歴史の本の書き方です。司馬遷の『史記』は、皇帝や人物ごとに記事を立てる紀伝体で書かれています。それに対して、年の順に出来事を書いていく形を編年体と言い、孔子が編んだと伝えられる『春秋』や、宋の司馬光の『資治通鑑』がその代表です。

ミスターT先生
文学史は「時代・作者・作品・ジャンル」の4つをセットで覚える。たとえば「漢・司馬遷・史記・紀伝体の歴史書」。セットで言えれば、選択肢の入れかえ問題に強くなるよ。
ここまでのまとめ
- 時代の順番:先秦→(秦)漢→魏晋南北朝→(隋)唐→宋→元・明・清
- 代表:先秦=論語、漢=史記(司馬遷・紀伝体)、唐=李白・杜甫、宋=蘇軾
- 紀伝体=人物ごと、編年体=年の順
しっかり(共通テスト)
先秦:詩経・楚辞と諸子・歴史の本
先秦とは、秦が中国を統一する(前221年)より前の時代のことです。中国でいちばん古い詩集が『詩経』で、黄河流域の民謡や宮廷の歌など305篇をおさめ、風・雅・頌の3部に分かれます。孔子が編んだという言い伝えがありますが、確かではありません。南の楚の国の歌を集めたのが『楚辞』で、中心は屈原の「離騒」です。『詩経』は北方の現実的な歌、『楚辞』は南方の幻想的な歌と対比されます。
詩経:4字の句の詩
書き下し文桃の夭夭たる、灼灼たる其の華。
(『詩経』周南・桃夭)
現代語訳桃の木の若々しいこと、燃えるように明るいその花。
楚辞:屈原の嘆き
書き下し文世を挙げて皆濁り、我独り清めり。衆人皆酔ひ、我独り醒めたり。
(『楚辞』漁父)
現代語訳世の中はみな濁っているが、私だけが澄んでいる。人々はみな酔っているが、私だけがさめている。
先秦の思想の本(『論語』『孟子』『老子』『荘子』『荀子』『韓非子』など)は諸子百家(儒家・道家・法家)の思想で、くわしく扱います。歴史の本では、『春秋』に注釈をつけた『春秋左氏伝』(左丘明の作と伝えられる)と、戦国時代の遊説家の話を集めた『戦国策』(前漢の劉向が編集)が大事です。『戦国策』は「漁夫の利」「蛇足」「虎の威を借る狐」など、故事成語の宝庫です。
漢:司馬遷の『史記』と班固の『漢書』
前漢の司馬遷は、伝説の黄帝から自分の時代の武帝までの歴史を、紀伝体の『史記』130巻にまとめました。本紀12・表10・書8・世家30・列伝70という構成で、のちの中国の正式な歴史書(正史)の手本になりました。司馬遷は友人の将軍・李陵をかばって武帝の怒りを買い、宮刑という重い刑を受けましたが、それにたえて『史記』を書きあげたと、自分で書き残しています。
司馬遷が『史記』にこめた思い
書き下し文天人の際を究め、古今の変に通じ、一家の言を成す。
(司馬遷「任安に報ずる書」(『漢書』司馬遷伝))
現代語訳天と人とのかかわりをきわめ、昔から今までの移り変わりを見通し、自分だけの独自の考え(を述べる書物)をつくりあげる。
史記:項羽の垓下の歌
書き下し文力は山を抜き気は世を蓋ふ。
(『史記』項羽本紀)
現代語訳私の力は山を引き抜くほど強く、意気は世の中をおおいつくすほどだった。
後漢の班固は、前漢一代の歴史を『漢書』にまとめました。『史記』が何代もの王朝を通して書いた通史なのに対し、『漢書』は1つの王朝だけを書いた断代史で、以後の正史はこの形にならいました。『史記』と『漢書』を合わせて「史漢」と呼ぶこともあります。
魏晋南北朝:陶淵明・世説新語・文選
漢が滅びたあとの分裂の時代には、個人の気持ちをうたう詩が発達しました。東晋の陶淵明(陶潜)は、役人の生活をやめて故郷の田園で暮らし、「帰去来の辞」「飲酒」などの詩と、理想郷をえがいた「桃花源記」を残しました。「田園詩人」と呼ばれます。
陶淵明:田園の詩
書き下し文菊を采る東籬の下、悠然として南山を見る。
(陶淵明「飲酒」其五)
現代語訳東の垣根のもとで菊の花をつみ、ゆったりとした気持ちで南の山をながめる。
南朝宋の劉義慶が編んだ『世説新語』は、後漢から東晋までの人物の逸話を集めた本で、「漱石枕流」「竹馬の友」などの話をふくみます。梁の昭明太子(蕭統)が編んだ『文選』は、すぐれた詩文を集めたアンソロジーで、平安時代の日本でも貴族の教養の本として読まれました。
唐:漢詩の黄金時代
唐は漢詩がもっとも栄えた時代で、絶句・律詩などの近体詩の形もこのころ完成しました。唐詩は、ふつう初唐・盛唐・中唐・晩唐の4つの時期に分けられます。
| 詩人 | 時期 | 呼び名 | 代表作・特徴 |
|---|---|---|---|
| 李白 | 盛唐(701〜762年) | 詩仙 | 自由で豪快。静夜思・早発白帝城・黄鶴楼送孟浩然之広陵。絶句が得意 |
| 杜甫 | 盛唐(712〜770年) | 詩聖 | 社会や人々の苦しみをうたう。春望・登高。律詩が得意 |
| 王維 | 盛唐(生年に諸説〜761年) | 詩仏 | 自然の静けさ。画家としても有名。鹿柴・送元二使安西 |
| 孟浩然 | 盛唐(689〜740年) | — | 自然をうたう。春暁 |
| 白居易 | 中唐(772〜846年) | 字は楽天 | わかりやすい詩。長恨歌・琵琶行。『白氏文集』は平安時代の日本で大人気 |
| 韓愈 | 中唐(768〜824年) | — | 古文運動の中心。雑説(世に伯楽有りて…) |
| 柳宗元 | 中唐(773〜819年) | — | 古文運動。江雪・捕蛇者説 |
| 杜牧 | 晩唐(803〜852年) | — | 江南春・山行(霜葉は二月の花よりも紅なり) |
李白:スピード感のある詩
書き下し文朝に辞す白帝彩雲の間、千里の江陵一日にして還る。
(李白「早発白帝城」(起句・承句))
現代語訳朝早く、朝焼け雲のたなびく白帝城に別れを告げ、千里もはなれた江陵まで、たった1日で帰ってきた。
白居易:長恨歌
書き下し文天に在りては願はくは比翼の鳥と作り、地に在りては願はくは連理の枝と為らん。
(白居易「長恨歌」)
現代語訳天にあっては、翼をならべて飛ぶ比翼の鳥となり、地にあっては、枝がつながった連理の木の枝となろう。
韓愈:古文の名文
書き下し文世に伯楽有りて、然る後に千里の馬有り。
(韓愈「雑説」)
現代語訳世の中に(馬の目ききの)伯楽がいて、はじめて一日に千里を走る名馬が(名馬として)見いだされる。
柳宗元:江雪
書き下し文千山鳥飛ぶこと絶え、万径人蹤滅す。孤舟蓑笠の翁、独り釣る寒江の雪。
(柳宗元「江雪」)
現代語訳どの山にも鳥の飛ぶ姿はなく、どの小道にも人の足あとは消えた。ぽつんと浮かぶ舟に、みのとかさをつけた老人が、ひとり雪の降る寒々とした川で釣り糸をたれている。
宋:唐宋八大家と朱熹
唐の韓愈と柳宗元は、六朝以来の飾りの多い駢文をやめ、先秦・漢のような自由で力強い文章(古文)にもどろうという古文運動を起こしました。これを宋の欧陽脩らが受けつぎ、のちに明の時代に、この8人の名文家が「唐宋八大家」とまとめて呼ばれるようになりました。
蘇軾:春宵一刻値千金
書き下し文春宵一刻直千金。
(蘇軾「春夜」(起句))
現代語訳春の夜のひとときは、千金に値するほどすばらしい。
宋:朱熹と伝えられる詩
書き下し文少年老い易く学成り難し。
(「偶成」(朱熹の作と伝えられるが、作者には諸説ある))
現代語訳若いうちはすぐに年をとってしまい、学問はなかなか完成しない。
作品と作者の一覧表
| 作品 | 作者・編者 | 時代 | ジャンル・ひとこと |
|---|---|---|---|
| 詩経 | (孔子が編んだと伝えられる) | 周〜春秋 | 中国最古の詩集・305篇 |
| 楚辞 | 屈原ほか(前漢の劉向が編集) | 戦国〜漢 | 南方の歌・離騒 |
| 論語 | 孔子の弟子たち | 春秋〜戦国 | 孔子の言行録 |
| 春秋左氏伝 | 左丘明と伝えられる | 戦国 | 春秋の注釈・編年体 |
| 戦国策 | 前漢の劉向が編集 | 漢 | 遊説家の話 |
| 史記 | 司馬遷 | 前漢 | 紀伝体の通史・130巻 |
| 漢書 | 班固 | 後漢 | 紀伝体の断代史 |
| 三国志 | 陳寿 | 西晋 | 魏・呉・蜀の正史 |
| 世説新語 | 劉義慶(編) | 南朝宋 | 人物の逸話集 |
| 文選 | 昭明太子(蕭統) | 南朝梁 | 詩文の選集 |
| 白氏文集 | 白居易 | 唐 | 白居易の詩文集 |
| 資治通鑑 | 司馬光 | 北宋 | 編年体の歴史書 |
| 十八史略 | 曽先之 | 元 | 歴史の入門書(日本で愛読) |
| 唐詩選 | 李攀竜の編とされる(諸説) | 明 | 唐詩の選集(江戸時代に流行) |
文学史の問題の解き方の手順
- 時代を決める:選択肢の作者・作品を、先秦・漢・魏晋南北朝・唐・宋のどこかに置く。
- ジャンルを確かめる:詩か、思想か、歴史か、小説(逸話)か。
- セットの入れかえを疑う:「史記=班固」「漢書=司馬遷」のように、作者と作品を入れかえたわなが多い。
- 形式の言葉を確かめる:紀伝体/編年体、通史/断代史、古詩/近体詩。
- 問題文の出典を手がかりにする:出典が『史記』なら人物の行動、『荘子』ならたとえ話、と読み方を決める。
サクラちゃん
「司馬遷」と「司馬光」、名前がにていて、まちがえそうです。
ミスターT先生
よく出るわなだね。司馬遷=漢=史記=紀伝体、司馬光=北宋=資治通鑑=編年体。1000年以上ちがう人だよ。「遷」は「うつる」、時代が古い方と覚えておこう。
うかるくん
「史記」と「資治通鑑」、紀伝体と編年体。セットで覚えます!
もっと深く(難関大・上級者)
1. 四書五経と朱子学
儒学の基本の本を四書五経と言います。五経は『詩経』『書経』『易経』『礼記』『春秋』で、漢の時代から国の学問の中心とされました(もとは『楽経』を加えて六経とも言いますが、『楽経』は伝わっていません)。四書は『論語』『孟子』『大学』『中庸』で、宋の朱熹が『礼記』の中から「大学」「中庸」の2篇を取り出し、『論語』『孟子』と合わせて、儒学の入門としてもっとも重んじました。朱熹の注釈『四書集注』は、元以後の科挙(役人の試験)の基準となり、江戸時代の日本でも盛んに読まれました。
2. 駢文と古文運動
六朝時代には、4字と6字の句を交互に重ね、対句と古い言葉の引用(典故)で飾った駢文(四六駢儷文)が流行しました。美しい反面、形にしばられて内容がうすくなりがちだったため、中唐の韓愈は「文は道を載せるもの」として、先秦・漢の自由な散文(古文)を手本にすべきだと主張しました。これが古文運動です。入試で読む「雑説」「師説」(韓愈)、「捕蛇者説」(柳宗元)、「赤壁賦」(蘇軾)などは、この流れの名文です。なお、漢文の「古文」は、日本の古典文法でいう「古文(平安時代などの和文)」とは別の意味なので注意しましょう(古典と古文と漢文の違い)。

宋の名文:赤壁賦の書き出し
書き下し文壬戌の秋、七月既望、蘇子客と舟を泛べて、赤壁の下に遊ぶ。
(蘇軾「赤壁賦」(前赤壁賦))
現代語訳壬戌の年(1082年)の秋、七月十六日、私(蘇子)は客と舟を浮かべて、赤壁のふもとで遊んだ。
3. 唐代伝奇から『山月記』へ
唐の時代には、作者が意識して作った短い物語である伝奇が生まれました。人生のはかなさをえがいた沈既済の「枕中記」は「邯鄲の夢(黄粱一炊の夢)」の話のもとです。また、詩人になりそこねた男が虎になる「人虎伝」は、中島敦の小説『山月記』(高校の現代文の定番教材)のもとになりました。漢文と現代文の教材は、こんなところでもつながっています。
4. 日本の漢文:懐風藻から頼山陽まで
日本人も、昔から漢文で歴史を書き、漢詩を作ってきました。最初の正史『日本書紀』(720年)は漢文で書かれ、『懐風藻』(751年)は現存する最古の日本人の漢詩集です。平安時代には菅原道真が漢詩人としても名を残し、白居易の『白氏文集』が貴族のあいだで愛読されました。鎌倉・室町時代には禅僧たちの五山文学が栄え、江戸時代には儒学とともに漢詩文が広く学ばれ、頼山陽の歴史書『日本外史』は幕末の人々に広く読まれました。
日本の漢詩:菅原道真
書き下し文去年の今夜清涼に待す、秋思の詩篇独り腸を断つ。
(菅原道真「九月十日」)
現代語訳去年の今夜は、清涼殿で(醍醐天皇の宴に)おそばに仕えていた。(そのとき作った)「秋思」の詩は、(今思い出すと)ひとり断腸の思いがする。
日本の漢詩:頼山陽
書き下し文鞭声粛粛夜河を過る。
(頼山陽「題不識庵撃機山図」(起句))
現代語訳(上杉謙信の軍は)馬にあてるむちの音もひっそりと、夜のうちに川をわたった。
5. 正史と「二十四史」
『史記』『漢書』に続いて、王朝ごとに紀伝体の歴史書が作られ、清の時代に公認された24の歴史書を「二十四史」と呼びます。入試の漢文では、『史記』『漢書』のほか、『後漢書』(范曄)、『三国志』(陳寿)、『晋書』、『新唐書』などからも出題されます。出典の書名を見て「人物の伝記だな」とわかれば、だれが・何をして・どうなったかに注目して読めばよいのです。なお、小説の『三国志演義』(明、羅貫中の作とされる)は、正史の『三国志』とは別の本です。

サクラちゃん
史記=司馬遷=紀伝体、資治通鑑=司馬光=編年体。唐宋八大家は唐が韓愈・柳宗元の2人、宋が欧陽脩・王安石・曾鞏と三蘇の6人。四書は論語・孟子・大学・中庸ですね!
よくあるまちがい
まちがい1:『史記』の作者を班固、『漢書』を司馬遷とする
史記=司馬遷(前漢)、漢書=班固(後漢)。どちらも紀伝体ですが、史記は通史、漢書は断代史です。
まちがい2:司馬遷と司馬光を取りちがえる
司馬遷は漢の『史記』(紀伝体)、司馬光は北宋の『資治通鑑』(編年体)です。
まちがい3:唐宋八大家に李白・杜甫を入れる
唐宋八大家は文章(古文)の名人です。詩人の李白・杜甫・白居易は入りません。唐からは韓愈・柳宗元の2人だけです。
まちがい4:四書に『詩経』『春秋』を入れる
四書=論語・孟子・大学・中庸、五経=詩経・書経・易経・礼記・春秋。大学・中庸はもと礼記の一篇です。
まちがい5:『十八史略』を唐や宋の本とする
『十八史略』は元の曽先之がまとめた歴史の入門書です。日本では江戸時代から漢文の教科書として広く読まれました。
練習問題
やさしい
- 次の作品の作者を答えなさい。
①史記 ②漢書 ③長恨歌答えと解説を見る
①司馬遷(前漢) ②班固(後漢) ③白居易(唐)
- 次の訓読文を書き下し文にしなさい。(『論語』為政)四十ニシテ而不レ惑ハ
答えと解説を見る
四十にして惑はず(四十にして惑はず)。「而」は置き字で読まず、レ点で「惑は→ず」と返ります。四十歳を「不惑」と言うもとです。
ふつう
- 紀伝体と編年体のちがいを説明し、それぞれの代表的な歴史書を1つずつ答えなさい。
答えと解説を見る
紀伝体は、皇帝の本紀や人物の列伝など、人物ごとに記事を立てて書く形式(例:『史記』『漢書』)。編年体は、出来事を年の順に書く形式(例:『春秋』『資治通鑑』)。
- 次の人物を時代の古い順に並べなさい。
蘇軾・司馬遷・陶淵明・李白・孔子答えと解説を見る
孔子(春秋)→司馬遷(前漢)→陶淵明(東晋)→李白(唐)→蘇軾(宋)。先秦→漢→魏晋南北朝→唐→宋の順です。
むずかしい
- 唐の韓愈・柳宗元が起こした古文運動とは何か。それ以前に流行した文体の名前を使って説明しなさい。
答えと解説を見る
六朝時代に流行した、4字・6字の対句と典故で飾る駢文(四六駢儷文)は、形にしばられて内容がうすくなりがちだった。そこで韓愈・柳宗元は、先秦・漢の自由で内容のある散文(古文)を手本にして書こうと主張した。これが古文運動で、宋の欧陽脩・蘇軾らに受けつがれた。
- 唐宋八大家8人の名前をすべて答え、唐と宋に分けなさい。
答えと解説を見る
唐:韓愈・柳宗元/宋:欧陽脩・蘇洵・蘇軾・蘇轍・曾鞏・王安石。蘇洵(父)と蘇軾・蘇轍(子)は「三蘇」と呼ばれます。
関連ページ
- 漢詩のきまり(絶句・律詩・押韻・対句・平仄):李白・杜甫の詩の形
- 諸子百家(儒家・道家・法家)の思想:論語・孟子・老子・荘子・韓非子
- 漢文の勉強法(何を・どの順で)
- 漢文とは(白文・訓読文・書き下し文):日本の漢文訓読の伝統
- 漢文の重要単語(意味が現代とちがう語)
- 高校受験の漢文・共通テストの漢文の対策・国公立二次・難関私大の漢文
- 漢文文法・句法辞典の目次
白居易の詩と日本の古典のつながりは枕草子「香炉峰の雪」の原文と現代語訳で、漢文の作品年表と古文との関係は古典と古文と漢文の違い(作品年表)で読めます。宋の詩人にまつわる言葉は杜撰(ずさん)の意味と由来、『史記』『戦国策』の話は故事成語の一覧(意味・由来・出典)へ。日本の古典では徒然草にも漢文の影響が見られます。
読みもの(合格大作戦の記事)
- 古典と古文と漢文の違い
作品年表と共通テストの配点 - 枕草子「香炉峰の雪」の原文と現代語訳
白居易の漢詩をふまえた場面 - 故事成語の一覧(意味・由来・出典)
矛盾・蛇足・漁夫の利など150語 - 杜撰(ずさん)の意味と由来
宋の詩人・杜黙の故事 - 国語のまとめ(漢字・古文・漢文)
国語の記事の入口 - 孫子の兵法の原文・書き下し・意味
「彼を知り己を知れば百戦殆うからず」と風林火山
受験掲示板「100点BBS」で質問・相談しよう
よくある質問
漢文の文学史で最低限覚えることは?
時代の順(先秦→漢→魏晋南北朝→唐→宋)と、各時代の代表(論語・史記と司馬遷・陶淵明・李白と杜甫と白居易・韓愈と柳宗元・蘇軾)、紀伝体と編年体の区別です。
紀伝体と編年体のちがいは?
紀伝体は皇帝の本紀や人物の列伝など人物ごとに書く形式(史記・漢書)、編年体は出来事を年の順に書く形式(春秋・資治通鑑)です。
唐宋八大家はだれですか?
唐の韓愈・柳宗元と、宋の欧陽脩・蘇洵・蘇軾・蘇轍・曾鞏・王安石の8人の文章家です。蘇洵・蘇軾・蘇轍は父と子で「三蘇」と呼ばれます。
四書五経とは何ですか?
儒学の基本の本で、四書は論語・孟子・大学・中庸、五経は詩経・書経・易経・礼記・春秋です。四書は宋の朱熹が重んじました。
李白・杜甫・王維の呼び名は?
李白は「詩仙」、杜甫は「詩聖」、王維は「詩仏」と呼ばれます。3人とも盛唐の詩人です。
あわせて読みたい
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
- 例文の本文:『論語』為政、『詩経』周南・桃夭、『楚辞』漁父、司馬遷「任安に報ずる書」(『漢書』司馬遷伝)、『史記』項羽本紀、陶淵明「飲酒」、李白「早発白帝城」、白居易「長恨歌」、韓愈「雑説」、柳宗元「江雪」、蘇軾「春夜」「赤壁賦」、「偶成」(朱熹の作と伝えられる)、菅原道真「九月十日」、頼山陽「題不識庵撃機山図」。訓読は高校の教科書で一般的な読み方による
- 人物の生没年は一般的な説により、諸説ある所は本文中に記した
- 画像:趙孟頫「蘇軾像」(元代、『赤壁二賦冊』の巻頭、国立故宮博物院蔵、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)
最終更新:2026年10月28日/作成:大学受験合格大作戦



