この記事の結論
- 「杜撰」は「ずさん」と読み、物事のやり方がいいかげんで、誤りや手抜かりが多いことという意味です。「とせん」「とさん」と読むのは間違いです
- 由来は、中国の宋の時代の詩人杜黙(ともく、杜默とも書く)の詩が漢詩のきまり(律)に合わないものが多かったため、「杜(杜黙)の撰(作った詩)」がいいかげんな作品のたとえになった、という故事とされます(『野客叢書』による説。語源には諸説あり)

大学受験で知っておきたい漢字の読み方・由来・語源。今回は「杜撰」です。ニュースで「ずさんな管理」という言葉を聞いたことがある人は多いはずです。でも、漢字で「杜撰」と書かれると、急に読めなくなる人がたくさんいます。この記事では、2012年に書いた元の記事の内容をそのまま残しながら、読み方・意味・由来の故事・「杜」と「撰」の字・例文・似た言葉・ほかの故事成語まで、図を使ってくわしく説明します。
杜撰の読み方は「ずさん」
「杜撰」という漢字は「ずさん」と読みます。
「ぞんざいでいいかげん」という意味です。
「とせん」、「とさん」という間違った読み方をしている人が見受けられますので注意してください。
| 書き方 | 読み | 判定 |
|---|---|---|
| 杜撰 | ずさん | ○ 正しい読み |
| 杜撰 | ずざん | △ 古い読み(国語辞典に「ずざん」とも) |
| 杜撰 | とせん | × 「杜」も「撰」もふつうの音読みで読んだ間違い |
| 杜撰 | とさん | × 「杜」をふつうの音読み「ト」で読んだ間違い |
なぜ「とせん」「とさん」と読み間違えるのか
「杜」のふつうの音読みは「ト」、「撰」のふつうの音読みは「セン」です。どちらも常用漢字にない字なので、学校で読み方を習う機会がほとんどありません。そのため、見たことのある別の熟語の読みから「ト」「セン」と当てて、「とせん」「とさん」と読んでしまうわけです。
「杜撰」は、2字ともふだんとちがう読み方をする言葉です。「杜」を「ズ」と読むのは、国語辞典でも「杜撰(ずさん)」「杜漏(ずろう:いいかげんで手抜かりが多いこと)」などの言葉に限られた読みとして示されています。こういう言葉は、読みのしくみで考えても当てられないので、言葉ごと覚えるしかありません。
読めそうで読めない漢字は、ほかにもたくさんあります。合格大作戦の「読めそうで読めない漢字」シリーズでは、パート9で「杜撰」をクイズとして出しています(読めそうで読めない漢字パート9(方舟・杜撰・言質・雑言・十八番))。シリーズのはじまりは読めそうで読めない漢字(パート1)です。同じように読みと意味を確かめる記事に「祭祀(さいし)の読み方と意味」もあります。
ニュースでは「ずさん」とひらがなで書くことが多い
「杜」と「撰」はどちらも常用漢字表にない字です。そのため、新聞やテレビのニュースでは「ずさんな管理」「ずさんな工事」のようにひらがなで書くことがよくあります。ひらがなの「ずさん」を見なれている人ほど、漢字の「杜撰」を見たときに同じ言葉だと気づけません。
逆にいえば、「ずさん」=「杜撰」と結びつけておくだけで、小説や評論で漢字の「杜撰」が出てきても困りません。評論文では漢字で書かれることも多いので、受験生は漢字で読めるようにしておきましょう。
杜撰の意味
国語辞典の説明をまとめると、「杜撰」には次の2つの意味があります。
| 意味 | 例 | |
|---|---|---|
| ① もとの意味 | 詩や文章に、確かなよりどころ(典拠)のないことを書くこと。また、そういう詩や文章 | 杜撰な説を書き連ねた本 |
| ② 今の意味 | 物事のやり方がいいかげんで、誤りや手抜かりが多いこと | 杜撰な計画/杜撰な管理/杜撰な工事 |
今ふつうに使うのは②です。元の記事では「ぞんざいでいいかげん」と書きました。「ぞんざい」は、物事を大事にあつかわず、いいかげんにすることです。「杜撰」と言ったときは、いいかげんな結果として、誤りや抜けが出ているところに重みがあります。
品詞は名詞・形容動詞なので、「杜撰な+名詞」「杜撰だ」「杜撰に(扱う)」のように形を変えて使います。「杜撰さ」と名詞にして「管理の杜撰さが問題になった」と言うこともできます。
杜撰の由来・語源:宋の詩人・杜黙の故事
この「杜撰」の「杜」は中国の杜黙(ともく)という詩人をあらわします。「杜撰」の「撰」は詩文を作ることを意味します。杜黙が作った詩は律(詩の様式)に合わないものが多かったという故事に由来して「ぞんざいでいいかげん」という意味で使われています。
辞書の説明に沿って、もう少しくわしく見てみましょう。
- 杜黙(杜默):中国の宋の時代の詩人です。「黙」は「默」と書くこともあります。
- 律に合わない詩:漢詩には、句の数・韻のふみ方・音の高低などに細かいきまり(律)があります。杜黙の詩はそのきまりに合わないものが多かったとされます。
- 「杜撰」の誕生:「杜(杜黙)が撰(作った)もの」から、きまりに合わない作品、よりどころの確かでない詩文を「杜撰」と言うようになりました。
- 意味の広がり:詩や文章の話から広がって、物事のやり方がいいかげんで誤りが多いこと全体を指すようになりました。
この話は、中国の南宋の時代の王楙(おうぼう)が書いた随筆『野客叢書(やかくそうしょ)』に出てくる、と国語辞典で説明されています。ただし、語源の説明は辞書によって細かいところがちがい、ほかの説を挙げる本もあります。「杜黙の故事が由来とされる(諸説あり)」と覚えておくのが安全です。
「杜」は杜甫の「杜」ではない
漢詩で「杜」といえば、多くの人が唐の時代の杜甫(とほ)を思いうかべるでしょう。「詩聖」とよばれる大詩人で、きまりの厳しい律詩の名人として知られています。同じ唐の杜牧(とぼく)も有名な詩人です。
「杜撰」の「杜」は、この杜甫や杜牧ではなく、宋の時代の杜黙です。同じ「杜」の名字でも、律詩の名人の杜甫と、律に合わない詩で名を残した杜黙では正反対。まちがえないようにしましょう。
「律に合わない」とは?漢詩のきまり
元の記事にある「律(詩の様式)」とは、漢詩を作るときのきまりのことです。高校の漢文で習う近体詩には、句(行)の数と1句の字数で次のような形があります。
| 形 | 句の数 | 1句の字数 | 例 |
|---|---|---|---|
| 五言絶句 | 4句 | 5字 | 孟浩然「春暁」 |
| 七言絶句 | 4句 | 7字 | 李白「早発白帝城」 |
| 五言律詩 | 8句 | 5字 | 杜甫「春望」 |
| 七言律詩 | 8句 | 7字 | 杜甫「登高」 |
律詩の8句は、2句ずつ「首聯(しゅれん)・頷聯(がんれん)・頸聯(けいれん)・尾聯(びれん)」とよびます。下の図は、杜甫の「春望」で律詩のきまりを見たものです。
- 押韻(おういん):偶数の句の終わりの字で、ひびきの似た字(韻)をそろえます。「春望」では「深・心・金・簪」。七言の詩では、ふつう第1句の終わりもそろえます。
- 対句(ついく):律詩では、3句と4句、5句と6句を対句にするのがきまりです。「感時花濺涙/恨別鳥驚心」は、「時に感じては」と「別れを恨んでは」、「花」と「鳥」が組になっています。
- 平仄(ひょうそく):漢字の音の高低(平らな音と、そうでない音)を、決まった型で並べるきまりもあります。
このように漢詩のきまりはとても細かく、守るのは大変です。杜黙の詩はこれに合わないものが多かったので、「きまりどおりでない、いいかげんな作品」の代名詞になってしまった、というのが故事の中身です。
漢詩の形や押韻・対句は、共通テストや2次試験の漢文で問われることがあります。漢文・古文の全体像は「古典と古文の違いとは?漢文との関係」、国語の勉強の入口は国語まとめにまとめています。
「杜」と「撰」の読み方と意味
| 字 | 音読み | 訓読み・意味 | 言葉の例 |
|---|---|---|---|
| 杜 | ト(杜撰ではズ) | もり(神社などの森)。人の名字 | 杜の都(仙台)/杜甫・杜牧 |
| 撰 | セン(杜撰ではサン) | 詩や文章を作る。えらんで集める | 撰者(せんじゃ)/勅撰(ちょくせん) |
「杜」は「もり」と読み、神社などの木がしげった森を表します。仙台市は「杜の都」とよばれています。「杜」も「撰」も常用漢字表にない字(常用漢字外)なので、合格大作戦の「漢字合格大作戦」(常用漢字2136字)には1字のページがありません。
「撰」は、詩や文章を作ること、また、よい作品をえらんで集めることを表す字です。古文でおなじみの言葉にも出てきます。
- 勅撰和歌集(ちょくせんわかしゅう):天皇・上皇の命令で作られた和歌集。最初の勅撰和歌集は『古今和歌集』です。
- 撰者(せんじゃ):和歌集などで、作品をえらんで集めた人。『百人一首』は藤原定家がえらんだとされます。
- 撰集(せんしゅう・せんじゅう):作品をえらんで集めた本。
百人一首の歌の多くは勅撰和歌集からえらばれています。和歌の世界と「撰」の字のつながりは、百人一首 全百首で一首ずつ確かめられます。古文の文法は古文文法辞典へ。
「撰」と「選」は、どちらも「えらぶ」意味を持つ字です。「撰」は特に詩や文章をえらんで作品集にまとめるときに使われます。「杜撰」の「撰」は「えらぶ」より「作る」の意味で、「杜黙が作った詩」ということになります。
日本へは禅を通じて入ったともいわれる
元の記事では「日本には禅を通じて入ったとされています」と書きました。中国の言葉が日本に入るとき、お寺のお坊さん、とくに禅宗の僧が持ち帰った書物や言葉が大きな役わりを果たしました。「杜撰」もその道すじで日本に入った、という説明です。
ただし、今回あらためて調べたかぎりでは、このことを確かめられる辞書の記述は見つかりませんでした。そのため、ここでは「禅を通じて入ったともいわれる」という説として紹介しておきます。
禅の言葉から日本語になったとされる言葉には、「挨拶(あいさつ)」「玄関(げんかん)」などがよく知られています。お寺の言葉が毎日の言葉になった例は、合格大作戦の「醍醐味(だいごみ)の意味と語源」(仏教の涅槃経に出てくる言葉)でも紹介しています。
日本語と中国語で意味がちがう「杜撰」
「杜撰」は中国から来た言葉ですが、今の中国語では、日本語とは少しちがう意味で使われています。中国語の辞書では「根拠なしに作り上げる、でっち上げる」という意味が中心です。「作り話」「捏造(ねつぞう)」に近い意味ですね。
どちらも、もとの「詩や文章に、よりどころのないことを書く」という意味から広がったものです。日本語は「いいかげん」のほうへ、中国語は「作り上げる」のほうへ、それぞれ意味がのびていきました。同じ漢字の言葉でも、国によって意味がずれることがあるのはおもしろいですね。中国語を勉強している人は、「杜撰」を日本語の感覚で使うと誤解されるので気をつけましょう。
杜撰の使い方・例文
元の記事で紹介した使い方の例です。
「杜撰な使い方のおかげでもうめちゃくちゃだ!」
読み方さえ解れば意味は知っているという人も多いのではないでしょうか。
ほかの例文も見てみましょう。
- 杜撰な計画のせいで、文化祭の準備が間に合わなかった。
- データの管理が杜撰だと、大きな事故につながる。
- 点検が杜撰だったことが、事故の原因だと分かった。
- この本は出典の書き方が杜撰で、どこまでが本当の話か分からない。
- 問題集の答え合わせを杜撰にしていたら、同じまちがいをくり返した。
①〜③は「計画・管理・点検」のような仕事のやり方、④はもとの意味に近い文章の書き方、⑤は勉強のやり方に使った例です。「杜撰な管理」「杜撰な工事」「杜撰な調査」は、ニュースで特によく出る組み合わせです。
使うときの注意
- 悪い意味の言葉:「杜撰」は、やり方を批判するときの言葉です。ほめるときには使いません。
- 何が杜撰なのかを言う:「杜撰な管理」「計画が杜撰だ」のように、仕事・計画・管理などのやり方について使うのがふつうです。「あの人は杜撰だ」と人がらそのものを言うより、「あの人の仕事は杜撰だ」と言うほうが自然です。
- 目上の人には使わない:相手のやり方を強く批判する言葉なので、目上の人に面と向かって使うのは失礼です。
よくある間違い
- ×「とせん」「とさん」と読む:正しくは「ずさん」。2字ともふだんとちがう読み方です。
- ×「杜選」と書く:「えらぶ」の意味から「選」と書きたくなりますが、正しくは「撰」です。手へん(扌)の字です。
- ×「杜」を「社」と見まちがえる:「杜」は木へん、「社」はしめすへんです。「社撰」という言葉はありません。
- ×「ずざん」を間違いと決めつける:「ずざん」は古い読みとして国語辞典に載っています。ただし、今は「ずさん」と読むのがふつうです。
読み問題では「とせん」「とさん」が定番のひっかけです。「杜」の字を見たら、「杜の都」の「もり」、「杜甫」の「ト」、そして「杜撰」の「ず」の3つの読みを思い出しましょう。
うかるくん
「杜撰」と「いいかげん」って、同じ意味ですか? 「いいかげん」で十分な気がします。
合格先生
近い意味だね。でも「杜撰」は、計画・管理・工事のような仕事のやり方が雑で、誤りや抜けが出ているときに使うことが多いんだ。ニュースや評論文で「杜撰な管理」とあったら、「やるべき確認をしていなかった」という批判だと読み取ろう。
うかるくん
答え合わせを杜撰にしていたら、ぼくの点数もいいかげんになりますね……。
杜撰の類語・対義語・英語
| 言葉 | 読み | ひとこと | |
|---|---|---|---|
| 類語 | いいかげん | いいかげん | きちんとしていない。いちばん広く使える |
| 類語 | 粗雑 | そざつ | あらっぽく、細かい所まで気をつかわない |
| 類語 | ぞんざい | ぞんざい | 物事を大事にあつかわない。言葉づかいにも使う |
| 類語 | おざなり | おざなり | その場しのぎで、いちおうはする |
| 類語 | なおざり | なおざり | いいかげんにして放っておく(やらない) |
| 類語 | 杜漏 | ずろう | いいかげんで手抜かりが多い(「杜」をズと読む仲間) |
| 対義語 | 綿密・緻密 | めんみつ・ちみつ | 細かいところまで行きとどいている |
| 対義語 | 周到・入念 | しゅうとう・にゅうねん | 前もってよく考え、念入りにする |
「おざなり」と「なおざり」のちがいは入試に出やすい
「杜撰」の類語で、特に読み分け・書き分けに注意したいのが「おざなり」と「なおざり」です。
- おざなり(御座なり):その場をしのぐために、いちおうはするけれど、いいかげん。「おざなりな返事」「おざなりの掃除」。
- なおざり(等閑):いいかげんにして、ほうっておく(やらない)。「勉強をなおざりにする」「安全対策がなおざりにされた」。
「掃除はしたけれど、すみはほこりだらけ」ならおざなり、「掃除をそもそもしない」ならなおざりです。「杜撰」は、やってはいるけれど誤りや抜けが多いという点で、「おざなり」に近い使い方になります。「等閑」は「とうかん」と音読みもし、「等閑視(とうかんし:いいかげんに見すごすこと)」という言葉もあります。
杜撰を英語で言うと
| 英語 | 意味の中心 | 例 |
|---|---|---|
| careless | 不注意な | a careless mistake(不注意なミス) |
| sloppy | だらしない、雑な | sloppy management(杜撰な管理) |
| slipshod | いいかげんな、ぞんざいな | a slipshod piece of work(杜撰な仕事) |
| haphazard | 行き当たりばったりの | a haphazard plan(杜撰な計画) |
英作文で「杜撰な管理」と書くなら、sloppy management や careless management が分かりやすい表現です。英語の勉強法は「英作文で使ってはいけない和製英語 一覧」もあわせてどうぞ。
杜撰と同じ「故事成語」:推敲・蛇足・矛盾など
「杜撰」のように、中国の昔の出来事(故事)から生まれた言葉を「故事成語」と言います。漢文の授業や国語の入試で出やすい、よく知られたものを集めました。
| 故事成語 | 読み | もとのお話 | 今の意味 | 出典 |
|---|---|---|---|---|
| 推敲 | すいこう | 唐の詩人・賈島(かとう)が「僧は推す月下の門」の「推す」を「敲く(たたく)」にするか迷い、韓愈(かんゆ)に相談した | 詩や文章の言葉を何度も練り直すこと | 唐の話として伝わる |
| 蛇足 | だそく | 蛇の絵を早くかく競争で、先にかき終えた人が足までかき足して負けた | よけいなつけ足し | 『戦国策』 |
| 矛盾 | むじゅん | 「どんな盾も突き通す矛」と「どんな矛も防ぐ盾」を売る人が、「その矛でその盾を突いたら?」と聞かれて答えられなかった | つじつまが合わないこと | 『韓非子』 |
| 杞憂 | きゆう | 杞の国の人が、天が落ちてこないかと心配した | いらない心配 | 『列子』 |
| 五十歩百歩 | ごじっぽひゃっぽ | 戦場で五十歩にげた兵士が、百歩にげた兵士を笑った | 少しのちがいはあっても、本質は同じ | 『孟子』 |
| 漁夫の利 | ぎょふのり | シギとハマグリが争っている間に、漁師が両方ともつかまえた | 争っている間に、第三者が得をすること | 『戦国策』 |
| 完璧 | かんぺき | 趙の藺相如(りんしょうじょ)が、宝の玉「和氏の璧」を傷つけずに持ち帰った | 欠点がまったくないこと | 『史記』 |
「五十歩百歩」は孟子の言葉です。孟子の考え方は「王道と覇道の意味と違い(孟子の言葉)」でくわしく紹介しています。四字の故事成語なら「数字が入った四字熟語クイズ(四面楚歌など)」、英語から生まれた「一石二鳥」の話は「一石二鳥を英語で言うと?」へ。
「人」から生まれた言葉の仲間
「杜撰」は、杜黙という人の名前が言葉の中に入っているのが特ちょうです。同じように、人にまつわる故事から生まれた言葉に「白眉(はくび)」があります。三国時代の蜀の馬良(ばりょう)は、兄弟の中でいちばんすぐれていて、眉に白い毛があったことから、大勢の中でいちばんすぐれたものを「白眉」と言うようになりました(『三国志』)。
「杜撰」は人の悪いところ、「白眉」は人のよいところから生まれた言葉です。セットで覚えておくと、反対の意味の故事成語として使えます。

合格先生
故事成語は「お話」と「今の意味」をセットで覚えよう。杜撰なら「律に合わない詩を作った杜黙」の顔を思いうかべるといい。お話がわかれば、意味は自然に出てくるよ。
古文・漢文で出題されるかも
書けなくてもいいので読み方と意味、できれば由来も覚えておきたいところです。
古文・漢文で出題されるかも知れませんね。
実際、「杜撰」は次のような場面で出てきます。
- 漢字の読み問題:私立大学の国語や、高校入試・漢字検定の読み問題で、「杜撰」の読みが問われることがあります。
- 現代文の評論:「杜撰な調査」「杜撰な議論」のように、筆者がだれかのやり方を批判するときに出てきます。意味がとれないと、筆者の立場を読みちがえます。
- 漢文:故事成語の由来になったお話そのものが、漢文の文章として出ることがあります。
現代文の記述問題では、「杜撰」をそのまま書き写すのではなく、「何のやり方が、どういいかげんなのか」を本文の言葉で言いかえるのがコツです(現代文の記述問題の対策・勉強法)。京大のように古文・漢文の力が問われる大学をめざす人は、「京大の国語(文語文)の勉強法」も読んでおきましょう。
練習問題:杜撰・粗雑・おざなり・なおざり
( )に入るいちばん自然な言葉を、「杜撰」「おざなり」「なおざり」から選んでください。答えは押すと開きます。
- 在庫の数を確かめないまま注文するという( )な管理が、品切れの原因だった。
- 部活に夢中になって、宿題を( )にしてしまった。
- 先生に声をかけられたが、( )な返事しかしなかった。
- 出典がいいかげんで、まちがった数字ばかりの( )なレポート。
答えと解説を見る
- 杜撰:やるべき確認をせず、誤りが出ている管理。「杜撰な管理」。
- なおざり:宿題に手をつけず、ほうっておいた。「〜をなおざりにする」。
- おざなり:返事はしたけれど、その場しのぎ。「おざなりな返事」。
- 杜撰:よりどころが確かでなく、誤りが多い文章。もとの意味に近い使い方です。
杜撰の覚え方
「杜撰」を確実に覚えるには、次の3つをセットにするのがおすすめです。
- 読み:「杜撰」は「ずさん」。「とせん」「とさん」ではない。ニュースの「ずさんな管理」と同じ言葉。
- お話:宋の詩人・杜黙の詩は律(漢詩のきまり)に合わなかった → 「杜の撰」。
- 例文:「杜撰な計画」「管理が杜撰だ」と、自分で1つ文を作って声に出す。
サクラちゃん
難しい漢字の読みって、覚えてもすぐ忘れちゃいます。どうしたらいいですか?
合格先生
まちがえた言葉だけをノートやカードに集めて、読み・意味・由来の3つを書いておくといいよ。「杜撰」みたいにお話がある言葉は、由来まで書いておくと忘れにくい。読めない言葉に出会ったら、すぐに辞書を引くくせもつけよう。
サクラちゃん
まちがえた言葉だけなら続けられそうです。「杜撰な答え合わせ」はもうやめます!
辞書の使い分けは「電子辞書と紙の辞書の使い分け」で紹介しています。語源から言葉を覚える方法は「いびつ(歪)の意味と語源」でもくわしく説明しています。ほかにも、語源に面白い話がある言葉として「はなむけ(餞)の意味と語源」「ちんぷんかんぷんの意味と語源」「こけら落としの「杮」と「柿」」もおすすめです。

サクラちゃん
「杜撰」は杜黙さんの詩だったんだ! 杜甫とは別の人、っていうのもセットで覚えよう。
動詞の読みを集めた「読めそうで読めない漢字パート10【動詞編】」で、続けて読みの練習をしてみましょう。わからない漢字や勉強の悩みがあれば「受験の質問・相談」でどうぞ。
このページに出た漢字を1字ずつ確かめよう
「杜」「撰」はどちらも常用漢字外の字ですが、この記事に出てくる「詩」「律」「禅」「誤」「粗」「雑」などの書き順・音読み・訓読み・漢検の級は「漢字合格大作戦」(常用漢字2136字)で1字ずつ確かめられます。高校で習う読みは高校で習う読みへ。
漢文の文法をくわしく(漢文文法・句法辞典)
故事成語のもとになった中国の文章(漢文)の読み方は、漢文文法・句法辞典で学べます。
よくある質問
「杜撰」の読み方は?
「ずさん」と読みます。古くは「ずざん」とも読みました。「とせん」「とさん」は間違いです。
「杜撰」の意味は?
物事のやり方がいいかげんで、誤りや手抜かりが多いことです。もとは、詩や文章に確かなよりどころのないことを書くことを言いました。
「杜撰」の由来・語源は?
中国の宋の時代の詩人・杜黙(杜默)の詩が、漢詩のきまり(律)に合わないものが多かったため、「杜(杜黙)の撰(作った詩)」がいいかげんな作品のたとえになったとされます。『野客叢書』の故事による説で、語源には諸説あります。
「杜」と「撰」は常用漢字ですか?
どちらも常用漢字表にない字です。そのため新聞などでは「ずさん」とひらがなで書くことが多いです。
「杜撰」の類語・対義語は?
類語は、いいかげん・粗雑・ぞんざい・おざなり・なおざりなどです。対義語は、綿密・緻密・周到・入念などです。
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- 醍醐味(だいごみ)の意味と語源
- 国語まとめ(漢字・古文・漢文・現代文)
出典・参考
- 元の本文(読み方・意味・誤読・例文・杜黙の故事・禅を通じて入ったという説・「書けなくてもいいので」):2012年8月の元の記事(大学受験合格大作戦)
- 「杜撰」の読み(ずさん、「ずざん」とも)・意味・語源(宋の杜黙、『野客叢書』の故事):デジタル大辞泉ほか国語辞典の説明の範囲(語源には諸説ある)
- 「杜」「撰」が常用漢字外であること:常用漢字表(2010年)による
- 「日本へは禅を通じて入った」:元の記事の説明。今回、辞書で確かめられなかったため説として紹介
- 今の中国語の「杜撰」の意味(根拠なしに作り上げる):中国語の辞書の説明の範囲
- 杜甫「春望」の本文と律詩のきまり、故事成語の出典:高校の漢文の教科書などで広く知られる範囲
最終更新:2026年10月27日/作成:大学受験合格大作戦










