漢文の限定の句法|唯・独・但・直「ただ〜のみ」、耳・而已・爾「のみ」の読み方と書き下し【一覧】

漢文の限定の句法|唯・独・但・直「ただ〜のみ」、耳・而已・爾「のみ」の読み方と書き下し【一覧】

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ひとことで言うと

限定の句法は「ただ〜だけ」と範囲をしぼる言い方で、文頭の唯・惟・只・但・特・徒・直を「ただ」(独は「ひとり」)、文末の耳・已・而已・爾・也已を「のみ」と読みます。両方あるときは「唯だAのみ」と、「のみ」は1回だけ読みます。

このページのポイント

  • 限定=「ただ〜だけ」と範囲をしぼる句法
  • 文頭:唯・惟・只・但・特・徒・直=ただ、独=ひとり
  • 文末:耳・已・而已・爾・也已=のみ(ひらがなで書く)
  • 「唯A耳」は唯だAのみ。「のみ」は1回だけ
  • 已(すでに・やむ)、独(反語・累加)など、別の読みに注意

はじめて(やさしく)

限定(げんてい)の句法とは、「ただ〜だけ」「〜にすぎない」と、話の範囲をせまくしぼる言い方です。漢文では、文の頭に「唯・惟・只・但・特・独・徒・直」を置いて「ただ(独は「ひとり」)」と読み、文の終わりに「耳・已・而已・爾・也已」を置いて「のみ」と読みます。

限定の句形(公式の一覧)

句形読み(書き下し)意味(訳し方)
唯A唯だA(のみ)ただAだけ
A耳AのみAだけだ・Aにすぎない
唯A耳唯だAのみただAだけだ
独A独りA(のみ)ただAだけが(主語をしぼる)
A而已AのみAだけだ(而已の2字で「のみ」)
A而已矣AのみAだけだ(矣は読まない)
不過AAに過ぎずAにすぎない

文頭の字は「唯・惟・只・但・特・徒・直」が「ただ」、「独」だけが「ひとり」です。文末の字は、1字でも2字でも3字でも「のみ」と読み、書き下し文ではひらがなで書きます。

たくさんの中から「それだけ」A唯だAのみ= ただAだけ(A以外はちがう)範囲をせまくしぼる=限定
限定はスポットライト。たくさんの中から「それだけ」を照らす

たとえて言うと、限定はスポットライトです。舞台の上にたくさんの人がいても、ライトが当たるのは1人だけ。「唯だ」はライトのスイッチを入れる合図、「のみ」はライトが当たっている人を指さす合図です。日本語でも「ただきみだけ」のように、「ただ」と「だけ」で前後からはさんで強調しますね。漢文も同じで、文頭と文末ではさむのが基本の形です。

いちばん有名な例は、孟子の「五十歩百歩」の話です。戦いの最中に五十歩逃げた兵士が、百歩逃げた兵士を「臆病だ」と笑ったらどうか、と孟子がたずねると、梁の恵王はこう答えます。

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直A耳(直だAのみ)

白文直不百歩耳。是亦走也。

書き下し文直ただ百歩ならざるのみ。是れも亦また走るなり。

(『孟子』梁恵王上)

現代語訳ただ百歩(逃げたの)ではないというだけだ。これ(五十歩)も逃げたことに変わりはない。

ここがポイント文頭の「直」を「ただ」、文末の「耳」を「のみ」と読み、「直だ〜のみ」とはさむ形です。「不」は「ざる」と連体形にして「のみ」に続けます。「是れも亦〜なり」の「亦」は「〜もまた」。この話は五十歩百歩の意味と由来(孟子の白文・書き下し文)でくわしく読めます。
うかるくん

うかるくん

「直」って「直す」とか「まっすぐ」の字だよね? それが「ただ」なの?

ミスターT先生

ミスターT先生

そう、漢文では「直」も「ただ」と読むことがあるんだ。限定の「ただ」と読む字は、唯・惟・只・但・特・徒・直の7字、それに「ひとり」と読む「独」。文末に「耳」などの「のみ」があれば、文頭の字は「ただ」と読む、と覚えておけば迷わないよ。

サクラちゃん

サクラちゃん

文末の「のみ」が、文頭の「ただ」を見つけるヒントになるんですね!

文頭と文末で、はさむ唯A(中身)耳ただのみ文頭・副詞文末・助詞両方ある → 唯だAのみ(のみは1回)文頭だけ → 唯だAのみ(のみを送り仮名で)文末だけ → Aのみ(「ただ」は読まない)
文頭の「唯(ただ)」と文末の「耳(のみ)」で中身をはさむ。「のみ」は1回だけ読む

ここで大切なのは、「のみ」は1回しか読まないことです。文頭に「唯」、文末に「耳」があっても、「唯だAのみのみ」とはなりません。文頭の字は「ただ」、文末の字は「のみ」と、それぞれの持ち場を1回ずつ読みます。

ここまでのまとめ

  • 限定=「ただ〜だけ」と範囲をしぼる言い方
  • 文頭:唯・惟・只・但・特・徒・直=ただ、独=ひとり
  • 文末:耳・已・而已・爾・也已=のみ(ひらがなで書く)
  • 文頭と文末ではさむのが基本。「のみ」は1回だけ

しっかり(共通テスト)

1. 文頭の字:「ただ」「ひとり」

文頭の限定の字は、すべて副詞(下の語をくわしくする語)で、上から順にそのまま読みます。返り点はつきません。送り仮名は「ダ」(独は「リ」)です。字によって少しずつニュアンスが違いますが、訳はどれも「ただ〜だけ」でかまいません。

字読みニュアンス・よく出る形書き下しの例
唯ただいちばん基本。「唯〜耳」の形が多い唯だ上知と下愚とは移らず
惟ただ唯と同じ。古い文章(書経など)に多い惟だ仁者のみ
只ただ唐代以降の文章・詩に多い只だ此の山中に在り
但ただ詩に多い。「ただし」とも読む但だ人語の響きを聞くのみ
特ただ「〜にすぎない」とけなす気持ち此れ特だ匹夫の勇のみ
徒ただ「むだに」の気持ち。「いたづらに」とも徒だ〜のみ
直ただ「〜というだけ」と軽く言う直だ百歩ならざるのみ
独ひとり主語や話題を1つにしぼる我独り醒めたり
文頭の字:「ただ」と読む唯ただ惟ただ只ただ但ただ特ただ徒ただ直ただ独ひとり送り仮名は「ダ」(独は「リ」)。唯だ・但だ・独り
文頭の限定の字。7字は「ただ」、独は「ひとり」
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唯A(唯だA)

書き下し文唯ただ上知と下愚とは移らず。

(『論語』陽貨)

現代語訳ただ最高にかしこい人と、最高におろかな人だけは、(生まれつきが)変わらない。

ここがポイント文末に「のみ」がない形です。「唯だ」が「上知と下愚」にかかり、「この2種類の人だけは」と主語をしぼっています。「与」はここでは「と」(並列)。下愚を読んでから返って「とは」と読みます。
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但A(但だAのみ)

書き下し文空山人を見ず、但ただ人語の響きを聞くのみ。

(王維「鹿柴」)

現代語訳ひっそりとした山には人の姿は見えない。ただ人の話し声が響いてくるのが聞こえるだけだ。

ここがポイント唐の詩人・王維の五言絶句の前半です。文末に「耳」などはありませんが、「但だ」の限定を受けて、送り仮名で「のみ」を補って読むのが一般的です(「聞く」とだけ読む教科書もあります)。詩では「但」が「ただ」の字としてよく使われます。
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独A(独りA)

書き下し文世を挙げて皆濁り、我独ひとり清めり。衆人皆酔ひ、我独ひとり醒めたり。

(『楚辞』漁父)

現代語訳世の中の人はみな濁っているが、私だけが清らかだ。人々はみな酔っているが、私だけが目ざめている。

ここがポイント国を追われた屈原(くつげん)が、川のほとりで漁師に語った言葉です。「独り」は「私だけが」と主語を1人にしぼる限定です。「皆(みな)」と「独り」が対になって、ひとりぼっちの屈原の姿をきわだたせています。
冠をかぶり長い衣を着て、杖を持って立つ屈原を描いた古い絵。右上に文字が書かれている
屈原(くつげん、紀元前4〜3世紀ごろ)の肖像。「衆人皆酔ひ、我独り醒めたり」は、『楚辞』の「漁父」で屈原が語る言葉として伝えられます。画像:陳洪綬の作とされる「屈原像」(明末〜清初、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)

2. 文末の字:「のみ」

文末の限定の字は助詞にあたるので、書き下し文ではひらがなで「のみ」と書きます。「のみ」の上は連体形か体言(名詞)です(「聞くのみ」「ならざるのみ」「勇のみ」)。

字読み注意
耳のみいちばんよく出る。「みみ」と読まない
已のみ文末のときだけ。「すでに」「やむ」とも読む
爾のみ「なんぢ(あなた)」「しかり」とも読む
而已のみ2字で1つの「のみ」
也已のみ2字で1つの「のみ」
而已矣のみ「而已」を「のみ」、矣は置き字
文末の字:「のみ」と読む耳1字で「のみ」已1字で「のみ」爾1字で「のみ」而已2字で「のみ」也已2字で「のみ」而已矣矣は読まない書き下し文ではひらがなで「のみ」
文末の限定の字。何字であっても「のみ」と1回読む
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A而已矣(Aのみ)

書き下し文夫子の道は、忠恕のみ。

(『論語』里仁)

現代語訳先生(孔子)の道は、まごころと思いやりだけである。

ここがポイント孔子が「私の道は1つのもので貫かれている」と言ったあと、弟子の曽子が門人に説明した言葉です。「而已」の2字で「のみ」、最後の「矣」は読まない置き字です。「忠」はまごころ、「恕」は思いやり。
難関大

A也已(Aのみ)

書き下し文学を好むと謂ふべきのみ。

(『論語』学而)

現代語訳学問を好む人と言ってよいだけのことだ(それでこそ学問好きと言える)。

ここがポイントレ点が3つ続き、「学を→好むと→謂ふ→べき」と下から順に返ります。「也已」の2字で「のみ」。「可」は助動詞「べし」にあたるので、ひらがなで「べき」(連体形)と書き、「のみ」に続けます。ここでの「のみ」は、範囲をしぼるというより言い切りを強める働きに近いと説明されます。

3. 読み方の手順

  1. 文末に「耳・已・而已・爾・也已」があるか見る。あれば「のみ」と読み、ひらがなで書く。
  2. 文頭に「唯・惟・只・但・特・徒・直・独」があるか見る。あれば「ただ(ひとり)」と上から読む。
  3. 両方あれば「唯だAのみ」。「のみ」は文末の字で1回だけ読む。
  4. 文頭だけなら、送り仮名で「のみ」を補うことが多い(補わない教科書もある)。
  5. 「のみ」の上を連体形か体言にする(聞く・ならざる・勇)。訳は「ただAだけ」「Aにすぎない」。
限定の読み方フローチャート限定の字はどこにある?文頭と文末唯だAのみ「のみ」は1回だけ文頭だけ唯だA(のみ)のみを送り仮名で補う文末だけAのみ「ただ」は補わない訳はどれも「ただAだけ・Aにすぎない」
限定の読み方の流れ。字がどこにあるかで、「ただ」「のみ」の読み方が決まる
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只A耳(只だAのみ)

書き下し文吾只ただ書を読むを知るのみ。

(自作)

現代語訳私はただ本を読むことだけを知っている(本を読むことしか知らない)。

ここがポイント「読」には「一レ」がついています。「書を」→レ点で「読むを」→一二点で「知る」と返り、最後に文末の「耳(のみ)」を読みます。
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特A耳(特だAのみ)

書き下し文此れ特ただ匹夫の勇のみ。

(自作)

現代語訳これはただの、つまらない男の勇気にすぎない。

ここがポイント「特だ〜のみ」は、「〜にすぎない」と軽く見る・けなす気持ちがこもることが多い形です。「匹夫」は身分の低い男、教養のない男。「のみ」の上は体言「勇」です。
難関大

不過A爾(Aに過ぎざるのみ)

書き下し文数日に過ぎざるのみ。

(自作)

現代語訳ほんの数日にすぎない。

ここがポイント「不過A(Aに過ぎず)」も「Aにすぎない」と範囲をしぼる言い方で、限定の仲間として扱われます。ここでは文末の「爾」が「のみ」なので、「不」を連体形「ざる」にしてつなげます。
サクラちゃん

サクラちゃん

文頭に「唯」しかないとき、「のみ」をつけるかどうかで迷います……。

ミスターT先生

ミスターT先生

試験では、問題文の送り仮名にしたがうのがいちばん確実だ。送り仮名に「ノミ」があれば読む、なければ読まない。白文の書き下しを自分で作るときは、「唯だAのみ」と補っておけば、意味の上ではまちがいにならないよ。

うかるくん

うかるくん

文末の「耳」を「みみ」って読んだら笑われちゃうね。文末の耳はのみ!

もっと深く(難関大・上級者)

1. 「已」「爾」「耳」の読み分け

文末の限定の字は、ほかの読み方を持つ字ばかりです。白文の読み問題では、位置と文脈で読みを決めます。とくに「已」は、文末なら「のみ」、動詞の上なら「すでに」、述語なら「やむ」です。形の似た「己(おのれ)」「巳(み)」と見まちがえないことも大切です。

「已」は位置で読む已のみ文末〜だけだ(限定)已すでに動詞の上もう〜した已やむ述語としてやめる・終わる已はなはだ形容詞の上(まれ)たいへん形の似た字:己(おのれ)・巳(み)
「已」は位置で読みが変わる。文末なら「のみ」
字限定以外の読み例
已すでに/やむ/はなはだ已に去る(もう去った)・死して後已む(死ぬまでやめない)
爾なんぢ/しかり/(形容の語尾)爾の志(あなたの志)・莞爾(にっこりと)
耳みみ(名詞)耳目(見聞き)
而已而して已む(まれ)文末の「而已」はほぼ「のみ」

2. 文末の「のみ」は限定か、強調か

文末の「耳・而已・也已」は、いつも「〜だけ」と範囲をしぼるわけではありません。「〜なのだ」「〜にほかならない」と、言い切りを強める働きとして説明されることもあります。論語の「忠恕のみ」は、「ほかのものは何もない」というより「孔子の道をひと言でいえば忠恕だ」と言い切る気持ちが強い、と読む注釈もあります。記述問題では、文脈に合わせて「〜だけだ」「〜にほかならない」を選ぶとよいでしょう。

難関大

文末の耳=のみ

書き下し文賢者は能よく喪ふこと勿なきのみ。

(『孟子』告子上)

現代語訳賢い人は、(その心を)なくさずにいられるというだけのことだ。

ここがポイント直前で孟子は「命よりも正義を大切にする心は、賢い人だけが持っているのではない。だれもが持っている」と述べています。「のみ」は、「賢者が特別なのは、その心を失わないという点だけだ」とちがいを1点にしぼる働きです。前の文の「独り賢者のみ是の心有るに非ざるなり」は累加(不唯・非独・豈唯)の句法の例として有名です。

3. 限定の字の「もう1つの顔」

文頭の限定の字にも、限定以外の読みがあります。とくに「独」は、文末が「乎・哉」の反語になると「独り〜んや(どうして〜だけであろうか)」となり、限定とは逆の方向の意味になります。これが累加の句法や反語の句法につながっていきます。

限定の字の「もう1つの顔」限定の読み別の読み独ひとり〜(のみ)独り〜んや=反語徒ただ〜のみいたづらに=むだに直ただ〜のみただちに・なほし特ただ〜のみとくに・ひとり但ただ〜のみただし(逆接)下に「のみ」で結ぶ形があるかで判断する
限定の字の別の読み。文末が「のみ」で結ばれているかで判断する
難関大

独〜哉(独り〜んや)=反語

書き下し文相如駑なりと雖いへども、独ひとり廉将軍を畏れんや。

(『史記』廉頗藺相如列伝)

現代語訳私(相如)はおろかではあるが、どうして廉将軍だけをおそれたりしようか(いや、おそれはしない)。

ここがポイント秦王をしかりつけたほどの藺相如が、廉頗を避けるわけを家来に語る場面です(刎頸の交わりの話)。文末が反語の「哉(や)」なので、「独り」は「ただ〜だけ」の限定ではなく、「どうして〜だけを…しようか」という反語の中で使われています。「雖」は「〜と雖も」と読む返読文字です。
難関大

徒(いたづらに)=限定ではない

書き下し文徒いたづらに歳月を費やす。

(自作)

現代語訳むだに年月を使ってしまう。

ここがポイント下に「のみ」で結ぶ形がなく、「むだに」と読むと意味が通るので、「徒」は「いたづらに」と読みます。「徒だ〜のみ」の限定と区別しましょう。

4. 限定と累加・抑揚とのつながり

限定は、句法の地図の中で出発点のような位置にあります。限定「唯だAのみ」に否定の「不・非」をかぶせると、「唯だにAのみならず(ただAだけではない)」という累加になります。さらに反語の「豈」をかぶせると、「豈に唯だにAのみならんや」(どうしてAだけであろうか)という反語の累加になります。限定の「ただ」「のみ」の読み方がしっかりしていると、これらの形は自然に読めるようになります。

句法形書き下し意味
限定唯A唯だAのみただAだけ
累加不唯A唯だにAのみならずただAだけではない
累加(反語)豈唯A豈に唯だにAのみならんやどうしてAだけであろうか
累加非独A独りAのみに非ずAだけではない

累加では「唯」に「ダニ」と送るのが一般的で、限定の「ダ」と区別されます。この違いは累加の句法(不唯・豈唯)のページでくわしく扱います。

5. 訓読の歴史から見た「のみ」

中国語の「耳」「而已」は、もとは「〜するだけだ」という文末の語気を表す言葉です。日本の訓読では、これに古い日本語の副助詞「のみ」をあてて読んできました。「のみ」は奈良・平安時代の和文や漢文訓読の両方で使われた語で、古文の「のみ」(限定・強調)と同じものです。古文の副助詞については古文の副助詞(だに・すら・さへ・のみ・ばかり・など)もあわせて読むと、「のみ」の働きがよくわかります。

親指を立てるミスターT先生

ミスターT先生

限定は短い句法だけど、累加・反語・抑揚の土台になる大事な形だ。「ただ」と「のみ」の読み方、文末の字の読み分けを、ここでしっかり固めておこう。

よくあるまちがい

まちがい1:「のみ」を2回読む

「唯A耳」を「唯だAのみのみ」と読むのは誤り。文頭の「唯」は「ただ」、文末の「耳」は「のみ」。「のみ」は1回です。

まちがい2:文末の「耳」「已」を別の読みで読む

文末の「耳」は「みみ」ではなく「のみ」、文末の「已」は「すでに」ではなく「のみ」です。

まちがい3:「而已」の「而」を置き字にして、「已」だけを「のみ」と読む

結果の読みは同じ「のみ」ですが、文法的には「而已」の2字で1つの「のみ」と考えるのが一般的です。「而已矣」は「而已」が「のみ」、「矣」が置き字です。

まちがい4:「のみ」を漢字のまま書き下す

「夫子の道は、忠恕而已」のように漢字を残すのは誤り。文末の限定は助詞にあたるので、ひらがなで「のみ」と書きます。

まちがい5:「独」をいつも「ただ〜だけ」と訳す

文末が「乎・哉」の反語なら「独り〜んや(どうして〜だけであろうか)」、「不独・非独」なら累加です。文末と否定の字を確かめましょう。

練習問題

やさしい

  1. 文末で「のみ」と読む字を、次から3つ選びなさい。
    ア 耳 イ 唯 ウ 而已 エ 独 オ 爾
    答えと解説を見る

    ア・ウ・オ。耳・而已・爾は文末で「のみ」と読みます。唯は文頭で「ただ」、独は「ひとり」と読みます。

  2. 次の訓読文を書き下し文にしなさい。(自作)
    答えと解説を見る

    唯ただ仁者のみ能く人を好む。(唯だ仁者のみ能く人を好む。)訳は「ただ仁のある人だけが、本当に人を好むことができる」。文末に「耳」がなくても、送り仮名の「ノミ」で範囲をしぼっています。

ふつう

  1. 「唯A耳」「唯A」「A耳」の3つの形の書き下し方の違いを説明しなさい。
    答えと解説を見る

    「唯A耳」は唯だAのみ(のみは文末の耳で1回)。「唯A」は唯だAで、送り仮名で「のみ」を補うことが多い。「A耳」はAのみで、「ただ」は補わない。訳はどれも「ただAだけ」です。

  2. 次の白文を書き下し文にし、訳しなさい。(自作)
    「吾所知、唯此而已」(所知=知る所)
    答えと解説を見る

    書き下し文:吾が知る所は、唯だ此れのみ。 訳:私が知っていることは、ただこれだけだ。文頭「唯」=ただ、文末「而已」=のみ(2字で1つ)。

むずかしい

  1. 次の二文の「已」の読みと意味を答えなさい。
    ア「死而後已」 イ「仁義而已矣」
    答えと解説を見る

    アは「やむ」:死して後已む(死ぬまでやめない)。述語として使われています。イは「のみ」:仁義のみ(仁義だけだ)。「而已」の2字で「のみ」、矣は置き字です。

  2. 「独」を使った次の二文の意味の違いを説明しなさい。
    ア「我独醒」 イ「独畏廉将軍哉」
    答えと解説を見る

    アは限定「我独り醒めたり(私だけが目ざめている)」。イは文末が反語の「哉」なので「独り廉将軍を畏れんや(どうして廉将軍だけをおそれようか、いやおそれない)」となり、限定をうち消す反語の意味になります。

関連ページ

例文に出てきた孟子の話は五十歩百歩の意味と由来で、ほかの故事成語は故事成語の一覧(意味・由来・出典)で読めます。古文の「のみ」は古文の副助詞(のみ・ばかり・だに・すら)へ。

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よくある質問

漢文の限定の句法とは何ですか?

「ただ〜だけ」と範囲をしぼる言い方です。文頭の唯・但などを「ただ」、文末の耳・而已などを「のみ」と読み、「唯だAのみ」の形になります。

限定で「ただ」と読む字は?

唯・惟・只・但・特・徒・直の7字です。独は「ひとり」と読み、主語などを1つにしぼります。

限定で「のみ」と読む字は?

文末の耳・已・爾(1字)、而已・也已(2字)です。而已矣は而已を「のみ」と読み、矣は置き字です。書き下し文ではひらがなで「のみ」と書きます。

「唯〜耳」は「のみ」を2回読みますか?

読みません。文頭の唯は「ただ」、文末の耳は「のみ」と読み、「唯だAのみ」と1回だけです。

文頭に「唯」だけがあるとき、「のみ」はつけますか?

送り仮名で「のみ」を補って「唯だAのみ」と読むことが多いですが、教科書や問題によっては補いません。試験では問題文の送り仮名にしたがいます。

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出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
  • 例文の本文:『孟子』(梁恵王上・告子上)、『論語』(陽貨・里仁・学而)、王維「鹿柴」、『楚辞』漁父、『史記』廉頗藺相如列伝。訓読は高校の教科書で一般的な読み方による
  • 高校の漢文句法の標準的な説明(限定の句形)にもとづいて作成。「唯」だけの文で「のみ」を補うかどうかは教科書によって違いがある
  • 画像:陳洪綬の作とされる「屈原像」(明末〜清初、Wikimedia Commons・パブリックドメイン)

最終更新:2026年10月28日/作成:大学受験合格大作戦