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株を守るかぶをまもる
ひとことで言うと
古いやり方にこだわって、融通がきかないこと。切り株にぶつかったうさぎを一度手に入れた宋の農夫が、畑仕事をやめて切り株の番をし続けた話から。
| 読み方 | かぶをまもる(「株」の古い読みは「くいぜ」) |
|---|---|
| 意味 | 古い習慣ややり方にこだわって、融通がきかないこと。また、偶然の幸運をもう一度あてにして待つこと。 |
| 出典 | 『韓非子』五蠹(「其の耒を釈てて株を守り、復た兎を得んことを冀ふ」) |
| お話 | 宋の農夫が、切り株にぶつかって死んだうさぎを手に入れ、それから耒を捨てて切り株の番をしたが、うさぎは二度と得られず、国中の笑いものになった |
| 似た言葉 | 守株待兎・刻舟求剣・柳の下のどじょう |
| 反対の言葉 | 臨機応変・日進月歩 |
| 漢文の句法 | 願望(冀)・不可能(不可)・受身に近い形(為A笑) |
このページのポイント
- 「株を守る」は古いやり方にこだわって、融通がきかないこと。「株」は切り株のことです
- 出典は『韓非子』。切り株の番をしてうさぎを待ち続けた宋の農夫の話を、4こまのイラストで読めます
- 韓非は、昔の聖王のやり方で今の世を治めようとする儒家を、この農夫にたとえて批判しました
「株を守る」の意味と読み方
「株を守る」はかぶをまもると読みます。意味は「古い習慣ややり方にこだわって、時代に合わせて変えることができないこと」「融通がきかないこと」です。また、「たまたまうまくいったことが、またあると思って待ち続けること」のたとえとしても使います。
「株」は、ここでは木を切ったあとに残る根もと=切り株のことで、古い読み方では「くいぜ(歴史的仮名遣いでは「くひぜ」)」と言います。「守株(しゅしゅ)」「株を守りて兎を待つ」とも言い、四字熟語では「守株待兎(しゅしゅたいと)」です。中国の思想家・韓非(かんぴ)の本『韓非子』にある、切り株の番をしてうさぎを待った農夫の話から生まれました。
うかるくん
「株を守る」って、株式の「株」を大事にする、みたいな意味だと思ってました!
ミスターT先生
そう思う人は多いね。でもこの「株」は切り株のこと。切り株にぶつかったうさぎを一度手に入れた農夫が、また来ると思って切り株を見張り続けた話なんだ。お金の株とは関係ないよ。
ふだんの言い方では、たとえば次のように使います。
- ○昔のやり方にこだわって株を守っていては、新しい時代に取り残される。
- ○一度ヤマが当たったからといって、また同じ勉強法で何とかなると思うのは株を守るようなものだ。
- ○時代が変わったのに方針を変えないのは、守株のそしりをまぬかれない。
絵で読む「株を守る」のお話
まずは話の流れを、4つの場面で見てみましょう。登場するのは、宋(そう)の国の農夫と、うさぎだけです。たった一度の「ラッキー」が、農夫の毎日を大きく変えてしまいます。
絵で読む「株を守る」のお話(4こま)
うさぎが切り株にぶつかって死ぬのは、めったにない偶然です。いっぽう、畑を耕して作物を育てるのは、毎日続ければ実りが得られる確かな方法でした。農夫は、確かな方法をやめて、二度と起こらないかもしれない偶然を待ってしまったのです。

ミスターT先生
この話のポイントは、一度うまくいったことを「いつも起こること」だとかんちがいしたところだ。テストでヤマが当たったときほど、「次も同じ」と思わずに、ふだんの勉強を続けることが大切だね。
大正時代につくられた童謡「待ちぼうけ」(作詞・北原白秋、作曲・山田耕筰)は、この話をもとにした歌です。切り株にうさぎがぶつかるのを待ち続ける農夫が歌われていて、日本でも昔から親しまれてきた話であることが分かります。
「株を守る」の原文・書き下し文・現代語訳
中学・高校の教科書や問題集では、次の形で読むことが多いです(書き下し文は代表的な読み方の一例です)。1文ずつ、返り点と送り仮名をつけた訓読文で見ていきましょう。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方でくわしく説明しています。
1文目:畑を耕す宋の人
書き下し文宋人に田を耕す者有り。田中に株有り。
(『韓非子』五蠹(維基文庫の本文の形))
現代語訳宋の国の人で、畑を耕している者がいた。畑の中に切り株があった。
2文目:うさぎが切り株にぶつかる
書き下し文兎走りて株に触れ、頸を折りて死す。
(『韓非子』五蠹)
現代語訳うさぎが走ってきて切り株にぶつかり、首の骨を折って死んだ。
3文目:耒を捨てて切り株の番をする
書き下し文因りて其の耒を釈てて株を守り、復た兎を得んことを冀ふ。
(『韓非子』五蠹)
現代語訳そこで(農夫は)すきを捨てて切り株を見張り、もう一度うさぎを手に入れたいと願った。
4文目:国中の笑いものになる
書き下し文兎復た得べからずして、身は宋国の笑ひと為る。
(『韓非子』五蠹)
現代語訳うさぎは二度と手に入らず、自分自身は宋の国中の笑いものになった。
5文目:韓非のまとめ
書き下し文今先王の政を以て、当世の民を治めんと欲するは、皆株を守るの類なり。
(『韓非子』五蠹)
現代語訳今、昔の聖王の政治のやり方で、今の世の人々を治めようとするのは、みな切り株を見張ってうさぎを待つのと同じたぐいである。
原典(『韓非子』五蠹)の本文では
維基文庫(中国語のウィキソース)で見られる『韓非子』五蠹の本文では、教科書の形と次のような違いがあります。
- 「耕者」が「耕田者」:維基文庫の本文は「宋人有耕田者(宋人に田を耕す者有り)」です。教科書では「田」を省いた「宋人有耕者」の形もよく見られます。この記事の1文目は、本文の形で読みました。
- 話の前の一文:この話のすぐ前には「是を以て聖人は古を脩(をさ)むるを期せず、常に可なるに法(のつと)らず、世の事を論じて、因りて之が備へを為す」(聖人は昔のやり方を守ろうとせず、いつも正しいとされるものにもしたがわず、今の世の事情を考えて、それに合った備えをする)とあります。
- 字のちがい:本文は「兔」(うさぎ)、「觸」(触)、「釋」(釈)など、昔の字の形で書かれています。
サクラちゃん
原文に「株を守る」っていう言葉は、そのまま出てくるんですか?
ミスターT先生
出てくるよ。「其の耒を釈てて株を守り」と、最後の「皆株を守るの類なり」の2か所だ。中国では、話をまとめた「守株待兎(株を守りて兎を待つ)」という4字の成語が使われているよ。
出典『韓非子』と話の背景
「株を守る」の出典は『韓非子(かんぴし)』の「五蠹(ごと)」という篇です。韓非子は、中国の戦国時代の終わりごろの思想家・韓非の考えをまとめた本で、韓非は法律と賞罰で国を治めるべきだと考える「法家」の代表的な人物です。「矛盾」「逆鱗に触れる」なども、この本から生まれた言葉です。法家と儒家のちがいは諸子百家(儒家・道家・法家)の考え方で図にしています。

「五蠹」とは何か
「蠹(と)」は、木や本を食いあらす虫のことです。「五蠹」は、韓非が国をむしばむ5種類の人々を虫にたとえた言葉で、篇の終わりで、昔の王の道をとなえる学者、弁舌で外国の力を借りる者、剣を持って徒党を組む者、権力者に取り入る者、品質の悪い品物で利益を得る商人・職人の5つを挙げています。
韓非は何を言うために「株を守る」を持ち出したのか
韓非が批判したのは、儒家の人々です。儒家は、堯・舜のような昔の聖王(先王)の政治を理想とし、「昔のやり方にならえば国はよく治まる」と考えました。韓非はこれに反対します。人の数が少なく食べ物が多かった昔と、人が増えて争いが多くなった今とでは、世の中のようすがまるでちがう。それなのに昔のやり方をそのまま使うのは、一度うさぎがぶつかった切り株を、いつまでも見張っている農夫と同じだ、というのです。
五蠹篇には「世異なれば則ち事異なる」(世の中が変われば、やるべきことも変わる)という言葉もあります。時代に合わせてきまり(法)を作り、それで国を治めるべきだ、というのが韓非の考えでした。「株を守る」は、ただの笑い話ではなく、時代の変化に目をつぶることへの批判なのです。
なお、「助長」の苗を引っぱった農夫も宋の人でした。昔の中国の本では、宋の人が少しまのぬけた話の主人公にされることがよくありました。宋は、昔の殷(商)王朝の子孫が治めた国で、そのことが話に関係しているという見方もありますが、理由ははっきりせず、諸説ありです。
「株を守る」の使い方と例文・似た言葉
「株を守る」は、「〜するのは株を守るようなものだ」「株を守っていては〜」の形で、人のやり方を批判したり、自分をいましめたりするときに使います。「守株」と2字で言うこともあります。
- ○ネットの時代に、昔の売り方だけを続けるのは株を守るようなものだ。
- ○去年うまくいった作戦に、今年もこだわるのは株を守ることになりかねない。
- ○宝くじが一度当たったからといって、働かずに次を待つのは株を守って兎を待つのと同じだ。
- ○伝統を大切にしながらも、株を守ることのないように工夫を続けたい。
- ×おじいさんが大切に育てた庭の木の株を守る。(「切り株を大事にする」というよい意味では使わない)
「伝統を守る」こと自体は悪いことではありません。「株を守る」は、変えるべきなのに変えないこと、偶然をあてにして努力をやめることを批判する言葉です。
似た言葉
- 守株待兎(しゅしゅたいと):「株を守る」を4字にした言い方。「株を守りて兎を待つ」と読みます。
- 刻舟求剣(こくしゅうきゅうけん):舟から剣を落とした人が、舟べりに印をつけ、舟が止まってからその印の下を探した話(『呂氏春秋』)。状況が変わったことに気づかない、という点が「株を守る」とよく似ています。
- 柳の下のどじょう:「いつも柳の下にどじょうはいない」の形で、一度うまくいったからといって、同じ方法でまたうまくいくとはかぎらない、という意味。「株を守る」の②の意味に近い言葉です。
- 杓子定規(しゃくしじょうぎ):一つのきまりにこだわって、場合に応じた対応ができないこと。
反対の言葉
「株を守る」のよくあるまちがい
- 株式の「株」だと思う:「株を守る」の「株」は切り株です。「持っている株(株式)を売らずに守る」という意味ではありません。字は「株」の読み方・書き順・部首・「守」の読み方・書き順・部首で確かめましょう。
- 「伝統を守る」というよい意味だと思う:古いものを大切にすること自体ではなく、変えるべきときに変えられないことを批判する言葉です。
- 「株を待つ」と言う:待っていたのはうさぎで、守った(見張った)のが切り株です。「株を守りて兎を待つ」の形で覚えましょう。
- 農夫がうさぎをつかまえたと思う:農夫は何もしていません。うさぎが自分で切り株にぶつかって死んだのです。だから「偶然の幸運」のたとえになります。
- 「為宋国笑」を「宋の国のために笑う」と訳す:「宋国の笑ひと為る」は「宋の国中の笑いものになる」です。農夫が笑ったのではなく、農夫が笑われたのです。
うかるくん
「株」も「守る」も知ってる字なのに、意味がぜんぜんちがうんですね…。
ミスターT先生
話の絵を思い出せば大丈夫。切り株を見張る農夫と、二度と来ないうさぎ。「株を守る」=一度の幸運にしがみついて、やり方を変えない、とセットで覚えよう。
入試ではこう出る
「株を守る」は、中学受験から大学受験まで、それぞれ形を変えて出てきます。
- 中学受験:故事成語の意味を選ぶ問題、「守株待兎」と組み合わせる問題、話のあらすじから故事成語を答える問題がよく出ます。
- 高校受験:短い漢文なので、返り点をつける・書き下し文に直す・農夫が笑われた理由を書く問題によく使われます。高校受験の漢文の出方は高校受験の漢文(返り点・書き下し文の対策)にまとめています。
- 大学受験:最後の「今欲以先王之政…皆守株之類也」まで読ませて、韓非が何をたとえたのか(儒家の先王の政治への批判)を説明させる問題が考えられます。「不可〜」「為A笑」の訳もよく問われます。共通テストでの漢文の出方は共通テストの漢文(配点・時間配分)へ。

サクラちゃん
「農夫が宋の国中の笑いものになったのはなぜか」は、「一度の偶然を当てにして畑仕事をやめ、二度と来ないうさぎを待ち続けたから」と、偶然と努力の両方を書くのがコツですね!
練習問題
やさしい
- 「株を守る」の意味として正しいものを選びましょう。
ア 持っている株式を売らずに大切にすること イ 古いやり方にこだわって、融通がきかないこと ウ 伝統を大切に受けつぐこと エ 木を切らずに守ること答えと解説を見る
イ。切り株の番をしてうさぎを待ち続けた農夫の話から、古いやり方にこだわって融通がきかないことを言います。 - 「株を守る」と同じ意味の四字熟語を答えましょう。
答えと解説を見る
守株待兎(しゅしゅたいと)。「株を守りて兎を待つ」と読みます。
ふつう
- 「兎走触株、折頸而死。」を書き下し文に直しましょう。
答えと解説を見る
兎走りて株に触れ、頸を折りて死す。「而」は読まない置き字です。 - 「身為宋国笑」とありますが、農夫はなぜ笑われたのですか。
答えと解説を見る
一度うさぎが切り株にぶつかったという偶然を当てにして、畑仕事をやめ、二度と来ないうさぎを待ち続けたから。
むずかしい
- 「兎不可復得」を書き下し文に直し、「不可」の意味を答えましょう。
答えと解説を見る
兎復た得べからず。「不可(べからず)」はここでは「〜できない」という不可能の意味で、「うさぎは二度と手に入らなかった」と訳します。 - 『韓非子』五蠹で、韓非はこの話を何のたとえとして使っていますか。
答えと解説を見る
昔の聖王(先王)の政治のやり方で、今の世の人々を治めようとすることのたとえです。世の中が変わったのに昔のやり方にこだわる儒家を、偶然を当てにして切り株を見張る農夫にたとえて批判しました。
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「復た得べからず」の読み方 - 漢文の受身の句法(見・被・為〜所〜)
「宋国の笑ひと為る」の読み方 - 漢文の願望の句法(願・請・冀)
「兎を得んことを冀ふ」の読み方 - 守株待兎の意味(四字熟語の一覧)
「株を守る」の4字の言い方
『韓非子』から生まれた故事成語(絵で読む)
- 矛盾の意味と由来
つじつまが合わないこと。前後で言うことが食い違うこと。 - 逆鱗に触れるの意味と由来
目上の人を、ひどく怒らせてしまうこと。
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よくある質問
株を守るの意味を簡単に言うと何ですか?
古い習慣ややり方にこだわって、時代に合わせて変えられないこと、融通がきかないことです。また、偶然うまくいったことが、またあると思って待ち続けることのたとえにも使います。
株を守るの由来となった話はどんな話ですか?
『韓非子』五蠹にある話です。宋の農夫の畑で、走ってきたうさぎが切り株にぶつかって死にました。農夫は耒(すき)を捨てて切り株の番をし、またうさぎを手に入れようとしましたが、二度と得られず、国中の笑いものになりました。
株を守るの「株」は何のことですか?
木を切ったあとに残る根もと、つまり切り株のことです。古い読み方では「くいぜ」と言います。株式の「株」とは関係ありません。
株を守るの書き下し文はどう読みますか?
中心の部分「因釈其耒而守株、冀復得兎」は「因りて其の耒を釈てて株を守り、復た兎を得んことを冀ふ」と読みます。「そこで、すきを捨てて切り株を見張り、もう一度うさぎを手に入れたいと願った」という意味です。
株を守ると同じ意味の言葉は何ですか?
四字熟語の守株待兎(しゅしゅたいと)が同じ意味です。似た故事成語に刻舟求剣(舟に刻みて剣を求む)があります。反対の意味の言葉には臨機応変などがあります。
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出典・参考
- 原文:『韓非子』五蠹(維基文庫の本文で確認。教科書で多い形は、読みやすいように字や句読点を整えたもの)
- 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(教科書で多い読み方をもとにした一例)
- 写真:Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
- お話の絵・図:合格大作戦
最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦



