刻舟求剣(こくしゅうきゅうけん)の意味と由来|呂氏春秋の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読むお話【故事成語】

刻舟求剣(こくしゅうきゅうけん)の意味と由来|呂氏春秋の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読むお話【故事成語】

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刻舟求剣こくしゅうきゅうけん

ひとことで言うと

時代や状況の変化に気づかず、古いやり方にこだわる愚かさ。舟から落とした剣を、舟べりに刻んだ印の下で探した楚の人の話から。

読み方こくしゅうきゅうけん(舟に刻みて剣を求む)
意味時代や状況が変わったことに気づかず、古いやり方・考えにこだわる愚かさのたとえ。
出典『呂氏春秋』慎大覧・察今(原文は「契其舟」)
お話楚の人が舟から剣を水に落とし、舟べりに印を刻んだ。舟が止まってから印の所の水に入って探したが、舟は進んでいて剣は見つからなかった
似た言葉株を守る・守株待兎・杓子定規・膠柱鼓瑟
反対の言葉臨機応変・融通無碍
漢文の句法比況(若此)・詠嘆(不亦〜乎)・反語の形(豈不〜哉)

このページのポイント

  • 「刻舟求剣」は状況の変化に気づかず、古いやり方にこだわる愚かさのたとえです
  • 出典は『呂氏春秋』察今。舟べりの印の下で剣を探した楚の人の話を、4こまのイラストで読めます
  • 本当に言いたいのは「時代が変われば法も変えるべきだ」ということ。株を守るとセットで覚えましょう

「刻舟求剣」の意味と読み方

「刻舟求剣」はこくしゅうきゅうけんと読みます。意味は「時代や状況が変わったことに気づかず、古いやり方や考えにこだわる愚かさ」のたとえです。訓読して「舟に刻みて剣を求む」とも言います。

4つの字は、そのまま話の筋になっています。「刻(こく)」はきざむ、「舟(しゅう)」はふね、「求(きゅう)」はもとめる・さがす、「剣(けん)」はつるぎです。つまり「舟に印を刻んで、剣を探す」。川に落とした剣を、動いていく舟につけた印をたよりに探した人の話から生まれました。

舟は動く、剣は動かない① 剣を落としたとき印の真下に剣がある② 舟が止まったとき→ 舟と印は進んだ剣はここのままここを探す印の下を探しても、剣は見つからない
剣は落ちた場所の川底にとどまり、舟と印だけが進みます。だから、印の下を探しても見つかりません
うかるくん

うかるくん

舟に印をつけるのって、そんなにおかしいんですか? 目印をつけるのは大事なことだと思うけど…。

ミスターT先生

ミスターT先生

いいところに目をつけたね。印をつけたこと自体はまちがいじゃないんだ。おかしいのは、舟が動いたのに、印が「剣の場所」を指したままだと思いこんだところ。状況が変わると、前は正しかった目印が役に立たなくなる。そこに気づけない愚かさを笑った話なんだ。

ふだんの言い方では、次のように使います。

  • ○時代が変わったのに昔の売り方を続けるのは、刻舟求剣だ。
  • ○去年の入試の傾向だけで今年の対策を立てるのは、舟に刻みて剣を求むようなものだ。
  • ○前例ばかりにこだわる刻舟求剣の考え方では、新しい問題は解決できない。

「刻舟求剣」は、四字熟語の一覧にも入っています。書きことばや評論文で見かけることが多く、大学入試の漢文・現代文でよく出てくる言葉です。

絵で読む「刻舟求剣」のお話

まずは話の流れを4つの場面で見てみましょう。登場するのは楚(そ)の国の人ひとりだけです。舟の上での、ほんの短い出来事です。

絵で読む「刻舟求剣」のお話(4こま)

1剣を水に落とすあっ、剣が!
1楚の国の人が舟で大きな川を渡っていると、腰の剣が舟から水の中へ落ちてしまいました。
2舟べりに印を刻む↑ 印舟は進むここから落ちたぞ。印をつけておこう
2その人はすぐに舟べりに印を刻み、「ここが、わたしの剣が落ちた所だ」と言いました。
3印の所から水に入る向こう岸印の下に剣があるはずだ!
3舟が止まると、その人は印をつけた所から水に入り、剣を探しました。
4印の下を探すが…ない…剣はここ舟が進んだ分舟已に行けり、而るに剣は行かず
4でも、舟はもう進んでいて、剣は進んでいません。こんな探し方で見つかるはずがありません。

この人は、剣を落とした瞬間に「あとで探せるように、場所を覚えておこう」と考えました。そこまではかしこい判断です。ところが、印をつけたのは川の中の場所ではなく、動いていく舟でした。舟が向こう岸まで進むあいだに、印は剣の真上からどんどん離れていきます。それなのにこの人は、舟が止まってから印の下の水にもぐったのです。

人差し指を立てて説明するミスターT先生

ミスターT先生

ポイントは、原文の「舟は已に行けり、而るに剣は行かず」の一文だ。「行く」ものと「行かない」ものを並べて、印がもう役に立たないことをはっきり見せている。ここは入試でも訳をよく聞かれるところだよ。

楚は、中国の春秋戦国時代に長江(揚子江)の流域にあった大きな国です。長江やそこにそそぐ川が多く、舟で川を渡る場面は身近でした。原文の「江」は、もともと長江を指す字です。この話の「江」が長江そのものか、広く大きな川を指すのかは、本文だけでははっきりしません。

「刻舟求剣」の原文・書き下し文・現代語訳

出典は『呂氏春秋(りょししゅんじゅう)』の察今(さっこん)篇です。維基文庫(中国語のウィキソース)の本文を、日本の教科書でよく使う字(渉・剣・従)にして示します。1文ずつ、返り点と送り仮名をつけた訓読文で読んでいきましょう。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方で説明しています(書き下し文は代表的な読み方の一例です)。

白文(『呂氏春秋』察今)楚人有渉江者。其剣自舟中墜於水。遽契其舟曰、「是吾剣之所従墜。」舟止。従其所契者入水求之。舟已行矣、而剣不行。求剣若此、不亦惑乎。

1文目:江を渡る楚の人

書き下し文楚そ人に江かうを渉わたる者もの有り。

(『呂氏春秋』察今)

現代語訳楚の国の人で、大きな川を(舟で)渡る者がいた。

ここがポイント「AにB有り」で「Aの中にBがいた」という、話の始めによく使う形です。「渉る(わたる)」は川を渡ること。矛盾の「楚人に盾と矛とを鬻ぐ者有り」と同じ形なので、くらべて覚えましょう。

2文目:剣が水に落ちる

書き下し文其その剣舟中より水に墜おつ。

(『呂氏春秋』察今)

現代語訳その人の剣が、舟の中から水に落ちた。

ここがポイント「自(より)」は「〜から」という起点を表す字で、書き下し文ではひらがなで「より」と書きます。「於」はここでは読まない置き字で、送り仮名の「に」がその働きをしています。

3文目:舟べりに印を刻む

書き下し文遽にはかに其その舟に契きざみて曰いはく、「是これ吾わが剣の従よりて墜おちし所ところなり。」

(『呂氏春秋』察今)

現代語訳あわてて舟べりに印を刻んで言うには、「ここが、わたしの剣が落ちた所だ。」

ここがポイント「遽か(にわか)に」は「急いで・あわてて」。「契む(きざむ)」は「刻む」と同じで、ここから「刻舟」という言い方が生まれました。「所(ところ)」は「〜するところ(場所・こと)」を表し、下から返って読みます。

4文目:印の所から水に入る

書き下し文舟止とまる。其その契きざみし所ところの者ものより、水に入いりて之これを求もとむ。

(『呂氏春秋』察今)

現代語訳舟が止まった。(その人は)印を刻んだ所から水に入って、剣を探した。

ここがポイント「従(より)」も「自」と同じく「〜から」。「之(これ)」は落とした剣を指します。「所契(契みし所)」の「所」に返るレ点と、「従」に返る一二点が組み合わさった、返り点の練習にぴったりの文です。

5文目:舟は行き、剣は行かず

書き下し文舟已すでに行ゆけり、而しかるに剣は行ゆかず。剣を求もとむること此かくのごときは、亦また惑まどひならずや。

(『呂氏春秋』察今)

現代語訳舟はもう進んでしまったが、剣は進んでいない。このように剣を探すのは、なんと愚かなことではないか。

ここがポイント「而るに(しかるに)」は「それなのに」という逆接。「若し(ごとし)」は「〜のようだ」で、比況の句法(如・若)の字です。「不亦〜乎(また〜ずや)」は「なんと〜ではないか」と強く感じ入る詠嘆の句法。「矣」は読まない置き字です。
「刻舟求剣」で覚える句法4つ自〜〜より起点例:舟中より若此此くのごとし比況例:剣を求むること此くのごとき不亦〜乎また〜ずや詠嘆例:亦惑ひならずや豈不〜哉あに〜ずや反語の形で詠嘆例:豈に難からずや
「刻舟求剣」の原文に出てくる句法は4つ。起点・比況・詠嘆が1つの話で練習できます

話には続きがある:作者が本当に言いたかったこと

教科書では「亦惑ひならずや」で終わることが多いのですが、原文はこのあと、この話を何のたとえとして出したのかをはっきり書いています。

原文の続き(『呂氏春秋』察今)以此故法為其国与此同。時已徙矣、而法不徙。以此為治、豈不難哉。

話のまとめ:時は移ったのに法は移らない

書き下し文時とき已すでに徙うつれり、而しかるに法はふは徙うつらず。此これを以もつて治ちを為なすは、豈あに難かたからずや。

(『呂氏春秋』察今)

現代語訳時代はもう移り変わったのに、法は変わっていない。このようなやり方で国を治めるのは、なんとむずかしいことではないか。

ここがポイント「舟已に行けり、而るに剣は行かず」とまったく同じ形で「時已に徙れり、而るに法は徙らず」と言っています。舟=時代、剣=法と置きかえたのです。「豈に〜ずや」は反語の句法の形で「なんと〜ではないか」と強く言う言い方です。

その前の「以此故法為其国与此同」は、「古い法でその国を治めるのは、これ(剣の探し方)と同じだ」という意味です。剣を探す人の愚かさは、そのまま昔の王の法をいつまでも守る政治の愚かさだ、と作者は言いたかったのです。

サクラちゃん

サクラちゃん

「舟已に行けり、而るに剣は行かず」と「時已に徙れり、而るに法は徙らず」、文の形がそっくりですね!

ミスターT先生

ミスターT先生

そう、そこに気づけたら上級者だ。同じ形の文を2つ並べることで、「剣の話」と「政治の話」がぴったり重なるようにしてある。入試では「この話は何のたとえか」を聞かれることが多いから、舟=時代、剣=法、印=昔のやり方と対応させて答えられるようにしておこう。

出典『呂氏春秋』と話の背景

「刻舟求剣」の出典は『呂氏春秋(りょししゅんじゅう)』です。戦国時代の終わりに、秦の国の宰相(大臣)だった呂不韋(りょふい)が、おおぜいの学者を集めて作らせた本です。のちに中国を統一する秦の始皇帝が、まだ若い王だったころのことです。

『呂氏春秋』は、儒家・道家・法家・墨家など、いろいろな学派の考えを集めてまとめた本で、「雑家(ざっか)」の代表的な書物とされます。「十二紀・八覧・六論」の26巻からなり、察今篇は八覧のうちの「慎大覧」に入っています。諸子百家それぞれの考え方は諸子百家(儒家・道家・法家)の考え方で図にしています。

呂不韋には、できあがった本を都・咸陽の市場の門にならべ、「一字でも書き足したり削ったりできる者には千金を与える」と言ったという話が『史記』呂不韋列伝に伝わっています。ここから、すぐれた文章や文字をほめる「一字千金」という言葉が生まれました。それほど自信のある本だったのです。

察今篇は「今を察せよ」という意味

篇の名前の「察今(さっこん)」は、「今をよく見きわめよ」という意味です。この篇はまず、「昔の王(先王)の法をそのまま手本にしてはいけない。昔と今では時代がちがうからだ」と主張します。そして、手本にすべきなのは昔の法そのものではなく、昔の王が法を作ったときの考え方だと続けます。

その主張を分かりやすくするために、察今篇は3つのたとえ話を出しています。

言いたいこと:時代が変わったら法(やり方)も変えるべきだたとえ話を3つ1澭水(ようすい)の目印前に立てた目印どおりに増水した川を渡り、大勢おぼれる2舟に刻みて剣を求む舟べりの印の下で動かない剣を探す(刻舟求剣)3泳ぎのうまい父の子父が泳げるからと赤ちゃんを川に投げこもうとする
察今篇は「時代が変われば法も変えるべきだ」と言うために、3つのたとえ話を並べています
  • 澭水(ようすい)の目印:楚(原文では「荊」)の軍が宋をおそおうとして、前もって川の浅い所に目印を立てた。ところが川の水が急に増えたのに気づかず、目印のとおりに夜に渡ったので、千人あまりがおぼれた。
  • 舟に刻みて剣を求む:このページの話。
  • 泳ぎのうまい父の子:赤ちゃんを川に投げこもうとする人がいて、わけを聞くと「この子の父親は泳ぎがうまいから」と答えた。父が泳げても、子どもがすぐ泳げるわけはない。

3つとも、前は正しかったこと・ほかの人には当てはまったことを、状況がちがうのにそのまま使って失敗する話です。察今篇はこのあと「世の中が変われば、法を変えるのは当然だ。病気が変われば薬も変えるように」と、良い医者のたとえでまとめます。

同じ考え方の「株を守る」

同じころの法家の本『韓非子』には、株を守る(守株)の話があります。うさぎが切り株にぶつかって死んだのを見た宋の農夫が、畑仕事をやめて毎日切り株の番をした、という話です。韓非子もこの話を、昔の王の政治をそのまま今に使おうとする人へのたとえとして使っています。

「株を守る」と「刻舟求剣」株を守る『韓非子』五蠹宋の農夫が切り株の番をする一度の幸運を待つ刻舟求剣『呂氏春秋』察今楚の人が舟の印の下で剣を探す動いた印をたよる共通点状況が変わったのに前のやり方にこだわる昔の法をそのまま使う政治への批判
「株を守る」と「刻舟求剣」は、どちらも「昔のやり方にこだわる政治」を批判するたとえ話です

二つの話は、古いやり方にこだわる愚かさという点でよく似ています。ちがいは、株を守るが「一度うまくいったことを、また起こると思いこむ」話なのに対し、刻舟求剣は「状況が動いたのに、目印が動いていないと思いこむ」話だという点です。セットで覚えると、入試の選択肢を見分けやすくなります。

なお、「刻舟求剣」という4字の形がいつごろから使われるようになったかは、はっきりした資料が見つかりませんでした。原文には「刻舟」という言い方はなく、「契其舟」(其の舟に契む)と書かれています。

「刻舟求剣」の使い方と例文・似た言葉

「刻舟求剣」は、状況が変わったのに、前のやり方や考えをそのまま当てはめようとする人や態度を、批判的に言うときに使います。「刻舟求剣だ」「刻舟求剣のたぐい」「舟に刻みて剣を求むような〜」の形が多いです。

  • ○スマホの時代に、昔の宣伝のやり方だけを続けるのは刻舟求剣だ。(時代の変化に合わない)
  • ○十年前の地図をたよりに新しい町を歩くのは、舟に刻みて剣を求むようなものだ。(目印が古い)
  • ○教科書が変わったのに、古い問題集だけで勉強するのは刻舟求剣のおそれがある。
  • ○前例どおりに決めればよいという刻舟求剣の発想を改めよう。
  • ×なくし物を見つけるために、落とした場所に印をつけておくのは刻舟求剣だ。(動かない場所に印をつけるのは正しい方法。状況の変化に気づかない愚かさを言うときに使う)
刻舟求剣似た言葉株を守る(守株)杓子定規旧態依然時代遅れ膠柱鼓瑟反対の言葉臨機応変融通無碍時代に合わせる
似た言葉・反対の言葉。どれも「変化に合わせられるかどうか」がポイントです

似た言葉

  • 株を守る・守株待兎(しゅしゅたいと):古い習慣にこだわって、融通がきかないこと。いちばん近い言葉です。
  • 膠柱鼓瑟(こうちゅうこしつ):「柱(ことじ)に膠(にかわ)して瑟(しつ)を鼓す」。琴の音を調える柱をにかわで固めてしまえば、曲に合わせて音を変えられない。規則にこだわって融通がきかないたとえで、『史記』廉頗藺相如列伝に出てきます。
  • 杓子定規(しゃくしじょうぎ):一つの決まりや形式を、どんな場合にも当てはめようとして融通がきかないこと。
  • 旧態依然(きゅうたいいぜん):昔のままで、少しも進歩や変化がないこと。

反対の言葉

  • 臨機応変(りんきおうへん):その場その時の状況に合わせて、ふさわしいやり方をとること。
  • 融通無碍(ゆうずうむげ):考えや行動が何ものにもとらわれず、自由であること。
  • 時代に合わせる・時宜にかなう:察今篇の「時代が変われば法を変える」という考え方そのものです。

なお、温故知新(故きを温めて新しきを知る)は、「昔を学ぶこと」を大切にする言葉です。刻舟求剣は「昔のやり方にこだわること」を批判する言葉なので、昔を学ぶこと自体を否定しているわけではありません。昔を学び、今に合わせて生かすのが理想、と考えると、二つの言葉はぶつかりません。

「刻舟求剣」のよくあるまちがい

「剣」と形の似た字に注意剣りっとうつるぎ○ これ険こざとへんけわしい×検きへんしらべる×倹にんべんつつましい×剣も刻も、刃物の「りっとう(刂)」と覚えると、まちがえません
「剣」と形の似た字は多いので注意。刻も剣も「りっとう(刂)」です
  • 「剣」を「険」「検」「倹」と書く:つるぎの「剣」は、刃物を表す「りっとう(刂)」がつきます。「剣」の読み方・書き順・部首、「刻」の読み方・書き順・部首で部首を確かめましょう。
  • 「舟」を「船」と書く:意味は同じですが、この四字熟語は「舟」と書きます。「舟」の読み方・書き順・部首は、小さなふねの形からできた字です。
  • 「こくふね」「こくしゅうぐけん」と読む:正しくは「こくしゅうきゅうけん」。「求」は「求」の読み方・書き順・部首のとおり音読みで「きゅう」です。
  • 「用意周到」「念には念を」のよい意味だと思う:印をつける用心深さをほめる言葉ではありません。状況の変化に気づかない愚かさを言う言葉です。
  • 「一度決めたことをやりとおす」意味だと思う:意志の強さをほめる意味はありません。ほめるなら「初志貫徹」などを使います。
うかるくん

うかるくん

「刻舟求剣」と「株を守る」、どっちがどっちの本だったか、ごちゃごちゃになりそうです…。

ミスターT先生

ミスターT先生

株を守るは『韓非子』、刻舟求剣は『呂氏春秋』。覚え方は、「株は韓(かん)、舟は呂(りょ)」と声に出すこと。どちらも「昔のやり方にこだわる政治」へのたとえで、時代もほとんど同じ戦国時代の終わりなんだ。

入試ではこう出る

「刻舟求剣」は、とくに大学受験の漢文でよく取り上げられる話です。短くて句法が多く、話の意味(何のたとえか)も問いやすいからです。

  • 高校受験:故事成語の意味を選ぶ問題で出ることがあります。「株を守る」と同じ意味のグループとして覚えておきましょう。漢文の入門は高校受験の漢文(返り点・書き下し文の対策)へ。
  • 大学受験(共通テスト・私大):「自舟中」の「自」の読み(より)、「若此」の読み(かくのごとし)、「不亦惑乎」の訳(なんと愚かではないか)、「舟已行矣、而剣不行」の訳がよく問われます。共通テストの漢文の出方は共通テストの漢文(配点・時間配分)へ。
  • 国公立二次・難関大:続きの「時已徙矣、而法不徙」まで出して、筆者の主張(時代に合わせて法を変えるべきだ)を説明させる問題が多いです。「舟=時代、剣=法」の対応を自分の言葉で書けるようにしましょう。
ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

「この話は何をたとえているか」と聞かれたら、「時代が変わったのに、昔の法をそのまま使って国を治めようとすること」と書けばいいんですね!

練習問題

やさしい

  1. 「刻舟求剣」の意味として正しいものを選びましょう。
    ア 用心深く準備すること イ 時代の変化に気づかず古いやり方にこだわること ウ なくした物をあきらめないこと エ 一度決めたことをやりとおすこと
    答えと解説を見るイ。舟が動いたのに、舟べりの印の下で剣を探した話から、状況の変化に気づかない愚かさのたとえになりました。
  2. 「刻舟求剣」と似た意味の故事成語を、次から選びましょう。
    ア 蛍雪の功 イ 株を守る ウ 五十歩百歩 エ 漁夫の利
    答えと解説を見るイ。株を守る(守株)も、古い習慣にこだわって融通がきかないことのたとえです。

ふつう

  1. 「其剣自舟中墜於水」を書き下し文に直しましょう。
    答えと解説を見る其の剣舟中より水に墜つ。「自」は「より」と読み、ひらがなで書きます。「於」は置き字で読みません。
  2. 「舟已行矣、而剣不行」を現代語に訳しましょう。
    答えと解説を見る舟はもう進んでしまったが、剣は進んでいない。「已に」は「もう」、「而るに」は「それなのに」という逆接です。

むずかしい

  1. 原文の続き「時已徙矣、而法不徙」で、筆者は剣の話を何のたとえとして使っていますか。舟・剣がそれぞれ何に当たるかも答えましょう。
    答えと解説を見る時代が変わったのに昔の法をそのまま使って国を治めようとすることのたとえです。舟=時代(時)、剣=法に当たり、「舟は進んだが剣は進まない」と「時は移ったが法は移らない」が同じ形の文になっています。
  2. 「求剣若此、不亦惑乎」の「不亦〜乎」は何という句法ですか。句法の名前と、文全体の現代語訳を答えましょう。
    答えと解説を見る詠嘆(また〜ずや=なんと〜ではないか)。訳は「このように剣を探すのは、なんと愚かなことではないか」。

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よくある質問

刻舟求剣の意味を簡単に言うと何ですか?

時代や状況が変わったことに気づかず、古いやり方や考えにこだわる愚かさのたとえです。「舟に刻みて剣を求む」とも言います。

刻舟求剣の由来となった話はどんな話ですか?

『呂氏春秋』察今篇にある話です。楚の人が舟で川を渡るとき剣を水に落とし、舟べりに印を刻みました。舟が止まってから印の所の水に入って探しましたが、舟は進んでいたので剣は見つかりませんでした。

刻舟求剣の出典は何ですか?

戦国時代の終わりに秦の宰相・呂不韋が学者を集めて作らせた『呂氏春秋』の察今篇です。原文では「其の舟に契む」と書かれています。

刻舟求剣と株を守るのちがいは何ですか?

どちらも古いやり方にこだわる愚かさのたとえで、昔の法をそのまま使う政治への批判に使われています。株を守るは『韓非子』で一度の幸運がまた来ると思いこむ話、刻舟求剣は『呂氏春秋』で状況が動いたのに目印が動いていないと思いこむ話です。

「舟已行矣、而剣不行」はどう訳しますか?

「舟は已に行けり、而るに剣は行かず」と読み、「舟はもう進んでしまったが、剣は進んでいない」と訳します。原文はこのあと「時已に徙れり、而るに法は徙らず」と同じ形で、時代と法の話につなげています。

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出典・参考

  • 原文:『呂氏春秋』慎大覧・察今(維基文庫の本文で確認。字は日本の教科書でよく使う形に改めた)
  • 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(教科書で多い読み方をもとにした一例)
  • 一字千金の話:『史記』呂不韋列伝による
  • お話の絵・図:合格大作戦

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦