牛耳を執る(ぎゅうじをとる)の意味と由来|春秋左氏伝の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読むお話【故事成語】

牛耳を執る(ぎゅうじをとる)の意味と由来|春秋左氏伝の原文・書き下し文・現代語訳とイラストで読むお話【故事成語】

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牛耳を執るぎゅうじをとる

ひとことで言うと

団体や組織の中心になって、思いのままに動かすこと。春秋時代の同盟の儀式で、いけにえの牛の耳を執る役目から。

読み方ぎゅうじをとる(「牛耳を取る」とも書く)
意味団体や組織の中心になって、思いのままに動かすこと。主導権を握ること。
出典『春秋左氏伝』定公八年・哀公十七年(原文は「執牛耳」)
お話諸侯が盟(ちかい)を結ぶとき、いけにえの牛の耳を取り、その血をすすって誓った。この牛の耳を執る役目から。だれが執るかは注釈で説が分かれる
似た言葉牛耳る・主導権を握る・采配を振る・音頭を取る
反対の言葉人の言いなりになる・付和雷同
漢文の句法疑問(誰)・反語(焉)・願望(請)

このページのポイント

  • 「牛耳を執る」は団体の中心になって思いのままに動かすこと。日本語の「牛耳る」はここから
  • 出典は『春秋左氏伝』。同盟の儀式でいけにえの牛の耳を執る役目から生まれた言葉です
  • だれが牛の耳を執ったか(盟主か、身分の低い者か)は説が分かれる点も知っておきましょう

「牛耳を執る」の意味と読み方

「牛耳を執る」はぎゅうじをとると読みます。意味は「団体や組織の中心になって、思いのままに動かすこと」「主導権を握ること」です。「牛耳を取る」と書くこともあります。

「牛耳(ぎゅうじ)」は、文字どおり牛の耳のことです。中国の春秋時代、国どうしが同盟を結ぶ「盟(めい)」の儀式では、いけにえの牛の耳を取り、その血をすすって誓いを立てました。この牛の耳を執る役目が、盟のなかで大事な役とされたことから、「牛耳を執る」が集まりの中心になって取りしきるという意味になったと言われます。

盟(めい)の儀式の流れ1いけにえの牛を用意する盟を結ぶ国々が集まる2牛の耳を執る役目の人が牛の耳を手に取る3その血を器に受ける器に受けて誓いに使う4血をすすって誓う「歃血(そうけつ)」という※絵や図は、血を描かずに表しています
盟の儀式では、いけにえの牛の耳を執り、その血をすすって誓いを立てました
うかるくん

うかるくん

「牛耳る(ぎゅうじる)」っていう言葉、聞いたことあります! あれって「牛」と「耳」だったんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

そうなんだ。「牛耳る」は、「牛耳を執る」の「牛耳」を、日本で動詞にした言い方なんだよ。「サボる」「メモる」みたいに、名詞に「る」をつけて動詞にしたわけだね。もとをたどると、二千五百年ほど前の中国の、同盟の儀式にたどり着くんだ。

ふだんの言い方では、次のように使います。

  • ○この町の商店会は、昔から老舗の店主が牛耳を執っている。
  • ○新しい会長が牛耳を執るようになってから、会議の進め方が変わった。
  • ○文化祭の実行委員会は、三年生が牛耳っている。(「牛耳る」の形)

「牛耳を執る」は、ほめるときにも、批判するときにも使えます。いっぽう「牛耳る」は、「自分の思いどおりに、ほかの人を動かす」という少し強い感じが出やすく、批判的な場面で使われることが多い言葉です。

絵で読む「牛耳を執る」のお話

「牛耳を執る」は、だれか一人の失敗やかしこさを描いた話ではありません。春秋時代の同盟の儀式の一場面から生まれた言葉です。出典の『春秋左氏伝』から、この言葉が出てくる2つの場面を4こまで見てみましょう。

絵で読む「牛耳を執る」のお話(4こま)

1盟(めい)の儀式晋衛牛の耳を執るいけにえの牛の耳を取って誓いを立てる
1春秋時代、国どうしが盟(ちかい)を結ぶときは、いけにえの牛の耳を取り、その血で誓いを立てました。この役目が「牛耳を執る」です。
2衛の人の申し出晋衛牛耳を執らんことを請ふ晋の大夫衛の人
2強国の晋が小国の衛と盟を結んだとき、衛の人が「牛耳を執らんことを請ふ」と申し出ました。
3成何の答えむっ衛は、わが晋の温や原と同じだ。諸侯と同じには扱えぬ!成何(晋)衛侯
3すると晋の成何は「衛など、わが国の温や原のような町と同じだ。諸侯と同じには扱えぬ」と言い、衛侯は怒りました。
4のちの盟で(哀公十七年)武伯:牛耳はだれが執る?高柴:前は呉の公子や衛の大夫でした武伯「然らば則ち彘なり」
4のちの別の盟では、魯の武伯が「牛耳はだれが執るのか」とたずね、前の例を聞いて「それなら、わたしだ」と言いました。

1つ目の場面(2・3こま目)は、強い国と弱い国が盟を結ぶむずかしさを表しています。強国の晋は、自分の国の君主ではなく、家来の大夫を出して、小国・衛の君主と盟を結ばせようとしました。そのうえ成何は、衛の国そのものを「わが国の温や原(晋の中の町の名)と同じだ」と見下したのです。衛侯は腹を立て、このあと衛は晋からはなれていきます。

人差し指を立てて説明するミスターT先生

ミスターT先生

盟の儀式では、だれがどの役をするかが、そのまま国どうしの力関係を表していたんだ。「牛耳を執る」という言葉が「中心になって取りしきる」意味になったのも、この役目が盟のなかでの立場と結びついていたからだと考えられているよ。

2つ目の場面(4こま目)は、それから二十年あまりのち、魯の国の孟武伯(もうぶはく)が、斉の君主との盟の場で高柴(こうさい)にたずねたものです。「諸侯が盟を結ぶとき、牛耳はだれが執るのか」。高柴が前の盟の例をあげると、武伯は「然らば則ち彘なり(それなら、わたし彘だ)」と答えました。「彘(てい)」は武伯の名前です。

「牛耳を執る」の原文・書き下し文・現代語訳

出典は『春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)』です。「執牛耳」という言い方は、定公八年と哀公十七年の記事に出てきます。維基文庫(中国語のウィキソース)の本文を、日本の教科書でよく使う字にして示します。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方で説明しています(書き下し文は読み方の一例です)。

『春秋左氏伝』定公八年(句読点を補ったもの)晋師将盟衛侯于鄟沢。趙簡子曰、「群臣誰敢盟衛君者。」渉佗・成何曰、「我能盟之。」衛人請執牛耳。成何曰、「衛、吾温・原也。焉得視諸侯。」

1文目:衛の君と盟を結ぶのはだれか

書き下し文趙簡子曰いはく、「群臣誰たれか敢あへて衛君に盟ちかふ者ものぞ。」

(『春秋左氏伝』定公八年)

現代語訳(晋の)趙簡子が言った、「家来たちのうち、だれが進んで衛の君主と盟を結ぶか。」

ここがポイント「誰か(たれか)」は「だれが」とたずねる疑問の句法の字。「敢へて(あへて)」は「進んで・思い切って」。晋は君主ではなく家来(大夫)を出そうとしています。このあと渉佗と成何が「我能く之に盟はん(わたしたちが盟を結びましょう)」と名乗り出ます。「能く」は可能の句法の字です。

2文目:衛の人の申し出

書き下し文衛人牛耳ぎうじを執とらんことを請こふ。

(『春秋左氏伝』定公八年)

現代語訳衛の人が、牛の耳を執ることを願い出た。

ここがポイント「請ふ(こふ)」は「〜させてください・〜してください」とお願いする願望の句法の字で、「〜んことを請ふ」の形で下から返って読みます。レ点が2つ続くので「牛耳→執→請」の順に読みます。だれに牛耳を執らせようとしたのかは、注釈によって読み方が分かれます(下の「出典と背景」で説明します)。

3文目:成何のことば

書き下し文成何曰いはく、「衛ゑいは吾わが温をん、原げんなり。焉いづくんぞ諸侯に視なぞらふるを得えん。」

(『春秋左氏伝』定公八年)

現代語訳成何が言った、「衛など、わが晋の温や原(のような町)と同じだ。どうして諸侯と同じに扱うことができようか(いや、できない)。」

ここがポイント「焉くんぞ〜ん(いづくんぞ〜ん)」は「どうして〜か、いや〜ない」と強く打ち消す反語の句法。「視ふ(なぞらふ)」は「同じ程度とみなす」。温と原は、晋の国の中の町(邑)の名前です。
『春秋左氏伝』哀公十七年(句読点を補ったもの)武伯問於高柴曰、「諸侯盟、誰執牛耳。」季羔曰、「鄫衍之役、呉公子姑曹。発陽之役、衛石魋。」武伯曰、「然則彘也。」

4文目:牛耳はだれが執るのか

書き下し文武伯高柴に問とひて曰いはく、「諸侯盟ちかふに、誰たれか牛耳ぎうじを執とる。」

(『春秋左氏伝』哀公十七年)

現代語訳孟武伯が高柴にたずねた、「諸侯が盟を結ぶとき、だれが牛の耳を執るのか。」

ここがポイント「於」は読まない置き字で、「高柴に」の「に」がその働きをしています。高柴(字は季羔)は孔子の弟子の一人です。

5文目:それなら、わたしだ

書き下し文武伯曰いはく、「然しからば則すなはち彘ていなり。」

(『春秋左氏伝』哀公十七年)

現代語訳武伯が言った、「それなら、わたし彘(が執るの)だ。」

ここがポイント高柴(季羔)が「鄫衍の盟では呉の公子姑曹、発陽の盟では衛の石魋でした」と前の例をあげたのを受けて、武伯がこう答えました。「然らば則ち」は「それならば」。「彘」は武伯自身の名前です。前の例の二人が、どちらも君主ではなく、公子や大夫だったことに注目しましょう。
「牛耳を執る」の原文で覚える句法4つ誰たれか疑問(だれが)例:誰か牛耳を執る焉いづくんぞ〜ん反語例:焉くんぞ諸侯に視ふるを得ん請こふ願望(お願いする)例:牛耳を執らんことを請ふ能よく可能(できる)例:我能く之に盟はん
「牛耳を執る」の原文には、疑問・反語・願望・可能の句法が出てきます

出典『春秋左氏伝』と話の背景

「牛耳を執る」の出典は『春秋左氏伝』です。孔子が手を入れたとされる魯の国の年代記『春秋』に、くわしい説明(伝)をつけた本で、略して『左伝』とも言います。作者は左丘明(さきゅうめい)と伝えられますが、本当の作者や成立の時期には諸説あります。

春秋時代(紀元前8世紀〜紀元前5世紀ごろ)の中国には、周の王の下に、たくさんの国(諸侯)がありました。周の王の力が弱まると、強い国の君主が諸侯を集めて「会盟(かいめい)」を開き、同盟のまとめ役である「盟主」になりました。斉の桓公や晋の文公のように、盟主として諸侯をまとめた君主は「覇者」と呼ばれます。管鮑の交わりの管仲が仕えたのが、この斉の桓公です。

盟(めい)の儀式と「牛耳」

盟の儀式では、いけにえの動物(牛など)を用意し、その血をすすって神々に誓いを立てました。これを「歃血(そうけつ)」と言います。誓いを破った者には神のばつが下る、という考えです。「牛耳を執る」の「牛耳」は、このいけにえの牛の耳のことです。

だれが牛の耳を執ったのか:説が分かれる

ここが、この言葉のいちばん面白いところです。だれが牛の耳を執るのかについて、昔の注釈の説明は一つではありません。

だれが牛の耳を執るのか?説A盟主が自分で牛の耳を執る今の意味に近い説B身分の低い者が執り盟主は立ち会う昔の注釈にある説哀公十七年の話では…前に執ったのは呉の公子・衛の大夫→ 魯の大夫の武伯「然らば則ち彘なり」どちらが正しいかは説が分かれる
牛の耳を執るのが盟主なのか、身分の低い者なのかは、注釈によって説が分かれます
  • 盟主が執るとする説:盟を取りしきる中心人物が牛の耳を執る、という説明です。今の「牛耳を執る=中心になって動かす」という意味は、この考え方につながります。
  • 身分の低い者が執るとする説:牛の耳を手に取るのは身分の低い者の役目で、身分の高い者(盟主)はそれに立ち会う、という説明です。昔の注釈にこの説があると紹介されます。

哀公十七年の話で、前に牛耳を執ったのが「呉の公子」や「衛の大夫」で、それを聞いた魯の大夫の武伯が「それなら、わたしだ」と言ったのは、後の説(君主どうしの盟で、君主ではない者が執る)に合うようにも読めます。定公八年の「衛人請執牛耳」も、だれに執らせようとしたのかで読み方が分かれます。どちらが正しいかは、はっきりしません。ただ、時代が下るにつれて「執牛耳」は盟の中心・同盟のリーダーを表す言葉として使われるようになり、日本語の「牛耳を執る」もその意味で使われています。

意味の移りかわり盟の儀式で牛の耳を執る春秋時代の会盟盟の中心になる・盟主になる「執牛耳」が中心人物のたとえに牛耳を執る団体を思いのままに動かす牛耳る(ぎゅうじる)日本で動詞にした言い方
儀式の役目から「盟の中心」へ、そして日本語の「牛耳る」へ。意味が少しずつ広がりました

晋と衛:大国と小国

定公八年の場面に出てくる晋(しん)は、春秋時代の最も強い国の一つで、長く諸侯の盟主の立場にありました。衛(えい)は、黄河の流域にあった小さな国です。晋の趙簡子は、自分の国の君主ではなく家来を衛の君主と盟を結ばせ、その家来の成何は衛を見下すことを言いました。さらに儀式のとき、渉佗は衛侯の手を乱暴に押しのけたと書かれています。怒った衛侯は、このあと晋にそむく道を選びます。盟の儀式での役目や態度は、国の面目そのものだったのです。

サクラちゃん

サクラちゃん

牛の耳を執るのが「いちばんえらい人」とは限らなかったかもしれないんですね。なんだか意外です。

ミスターT先生

ミスターT先生

そうなんだ。言葉の意味は、使われるうちに変わっていくことがある。今の「牛耳を執る」は「中心になって動かす」意味で使えばいいけれど、原文を読むときは「だれが執るかは説が分かれる」と知っておくと、注釈を読み比べる面白さが分かるよ。

「牛耳を執る」の使い方と例文・似た言葉

「牛耳を執る」は、団体・組織・集まりの中心になり、物事を自分の考えで進めていくときに使います。「〜の牛耳を執る」の形も多く、動詞の「牛耳る」は「〜を牛耳る」の形で使います。

  • ○彼は若くして業界団体の牛耳を執るようになった。
  • ○生徒会の牛耳を執っているのは、実は書記の彼女だ。
  • ○一部の人が会議を牛耳り、ほかの人は意見を言えなかった。(「牛耳る」、批判的な使い方)
  • ○この国の政治は、長いあいだ一つの政党が牛耳ってきた。
  • ×牧場で、子どもが子牛の牛耳を執ってなでている。(ほんとうに牛の耳を持つ意味では使わない。組織の中心になって動かすたとえ)
牛耳を執る似た言葉牛耳る主導権を握る采配を振る音頭を取る旗を振る反対の言葉人の言いなり付和雷同尻馬に乗る
似た言葉・反対の言葉。「中心になって動かすか、人について行くか」がポイントです

似た言葉

  • 牛耳る(ぎゅうじる):「牛耳を執る」を動詞にした言い方。思いのままに動かす、という強い感じが出やすい言葉です。
  • 主導権を握る:物事の進め方を決める力を持つこと。
  • 采配を振る:指図して、人々を動かすこと。「采配」は昔、大将が兵に合図するのに使った道具です。
  • 音頭を取る:先に立って、みんなをまとめて物事を進めること。
  • 鶏口牛後:大きな集団の後ろにつくより、小さな集団でも頭(中心)になれ、という教え。同じく「牛」が出てくる、中心に立つことの言葉です。

「牛耳を執る」と「牛耳る」の使い分け

2つはほとんど同じ意味ですが、感じ方が少しちがいます。「牛耳を執る」は故事成語らしい、かための言い方で、「会の牛耳を執る=会の中心になる」のように、よい意味にもふつうの意味にも使えます。いっぽう「牛耳る」は話しことばでもよく使われ、「一部の人が会を牛耳っている」のように、ほかの人の意見を聞かずに思いどおりにしているという批判の感じが出やすい言葉です。

たとえば、新しい部長をほめたいときに「部長がクラブを牛耳っている」と言うと、悪口のように聞こえることがあります。「部長がクラブの牛耳を執っている」「部長が中心になってクラブをまとめている」と言うほうが、気持ちが正しく伝わります。作文で使うときは、ほめたいのか、批判したいのかを先に考えて選びましょう。

反対の言葉

  • 人の言いなりになる・尻馬に乗る:自分で決めず、ほかの人について行くこと。
  • 付和雷同(ふわらいどう):自分の考えを持たず、ほかの人の意見にすぐ同調すること。

「牛耳を執る」のよくあるまちがい

「牛耳をとる」の「とる」はどの字?執しつ・とるしっかり持つ○ 多い取しゅ・とる手に取る△ あり採さい・とるえらんで取る×捕ほ・とるつかまえる×読みは「ぎゅうじをとる」。「うしみみ」とは読みません
「とる」は「執る」と書くのが多く、「取る」も使われます。「採る」「捕る」は使いません
  • 「うしみみをとる」と読む:正しくは「ぎゅうじをとる」。「牛」は音読みで「ぎゅう」、「耳」は音読みで「じ」です。「牛」の読み方・書き順・部首、「耳」の読み方・書き順・部首で音読みを確かめましょう。
  • 「牛耳を採る」「牛耳を捕る」と書く:「とる」は「執」の読み方・書き順・部首(しっかり手に持つ・取りしきる)と書くのが多く、「取る」と書くこともあります。「採る」「捕る」とは書きません。
  • 「牛耳る」を「ぎゅうみみる」「うしじる」と読む:「ぎゅうじる」です。
  • 「人に動かされる」意味だと思う:牛が引っぱられるイメージから「人に操られる」と思う人がいますが、逆です。中心になって人を動かす側の言葉です。
  • どんな場面でもほめ言葉だと思う:「牛耳る」は「自分の思いどおりに支配する」という批判的な感じが出やすい言葉です。目上の人をほめたいときには「中心になって会をまとめる」などと言いかえましょう。
うかるくん

うかるくん

「牛耳を執る」って、牛を引っぱって歩く人のことかと思ってました…。

ミスターT先生

ミスターT先生

その覚え方だと意味が逆になっちゃうね。「盟の儀式の牛の耳を執る役=集まりの中心」と覚えよう。「鶏口牛後」の「牛後(牛のしり)」は人について行く側、「牛耳」は中心に立つ側、と牛の体の場所で覚えると、ごちゃごちゃにならないよ。

入試ではこう出る

「牛耳を執る」は、漢文の本文として出るより、現代文や語彙の問題で意味を問われることの多い言葉です。

  • 高校受験:慣用句・故事成語の意味を選ぶ問題で、「牛耳る」「牛耳を執る」の意味(中心になって動かす)が問われることがあります。高校受験の漢文対策は高校受験の漢文(返り点・書き下し文の対策)へ。
  • 大学受験(現代文):評論文や小説の中の「牛耳る」「牛耳を執る」の意味を選ぶ問題。「操られる」「従う」など、意味を逆にした選択肢がよく混ざります。
  • 大学受験(漢文):『春秋左氏伝』の会盟の場面で、「誰」「焉〜」「請〜」などの句法や、「執牛耳」が盟の中心を表すことを問う問題が考えられます。共通テストの漢文の出方は共通テストの漢文(配点・時間配分)へ。
ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

選択肢に「人の言いなりになる」があったら、それは逆の意味のひっかけですね!「牛耳を執る」は中心になって動かす側です!

練習問題

やさしい

  1. 「牛耳を執る」の意味として正しいものを選びましょう。
    ア 人の言いなりになる イ 団体の中心になって思いのままに動かす ウ 牛を上手に育てる エ 人の話をよく聞く
    答えと解説を見るイ。春秋時代の盟の儀式で、いけにえの牛の耳を執る役目から、集まりの中心になって取りしきる意味になりました。
  2. 「牛耳を執る」の正しい読み方を、ひらがなで書きましょう。
    答えと解説を見るぎゅうじをとる。「うしみみ」とは読みません。動詞の形は「牛耳る(ぎゅうじる)」です。

ふつう

  1. 「衛人請執牛耳」を書き下し文に直しましょう。
    答えと解説を見る衛人牛耳を執らんことを請ふ。「請ふ」は「〜んことを請ふ」の形で、下から返って読みます。
  2. 「焉得視諸侯」の「焉〜」は何という句法ですか。また、文全体を現代語に訳しましょう。
    答えと解説を見る反語(いづくんぞ〜ん)。訳は「どうして諸侯と同じに扱うことができようか(いや、できない)」。

むずかしい

  1. 哀公十七年で、孟武伯が「然らば則ち彘なり」と言ったのはなぜですか。前の盟で牛耳を執った人物に注目して説明しましょう。
    答えと解説を見る高柴が、前の盟で牛耳を執ったのは呉の公子姑曹や衛の大夫石魋だと答えたからです。どちらも君主ではない立場の人だったので、魯の大夫である自分(彘)が執る番だと考えました。
  2. だれが牛耳を執るかについて、昔の注釈にはどのような説がありますか。2つ答えましょう。
    答えと解説を見る①盟主(盟の中心人物)が自分で牛の耳を執るという説、②身分の低い者が牛の耳を執り、身分の高い者はそれに立ち会うという説。どちらが正しいかは説が分かれます。

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よくある質問

牛耳を執るの意味を簡単に言うと何ですか?

団体や組織の中心になって、思いのままに動かすことです。主導権を握るとも言いかえられます。「牛耳を取る」と書くこともあります。

「牛耳る」と「牛耳を執る」は同じ意味ですか?

ほぼ同じ意味です。「牛耳る」は「牛耳を執る」の「牛耳」を日本で動詞にした言い方で、思いのままに支配するという批判的な感じが出やすい言葉です。

牛耳を執るの由来は何ですか?

中国の春秋時代、諸侯が盟(同盟)を結ぶ儀式で、いけにえの牛の耳を取り、その血をすすって誓いを立てたことに由来します。出典は『春秋左氏伝』の定公八年・哀公十七年です。

「牛耳を執る」は「牛耳を取る」と書いてもよいですか?

「取る」と書くこともあります。故事成語としては、しっかり手に持つ・取りしきるという意味の「執る」と書くことが多いです。「採る」「捕る」とは書きません。

牛の耳を執ったのは盟主ですか?

説が分かれます。盟主が執るとする説と、身分の低い者が執って身分の高い者は立ち会うとする説があります。哀公十七年には、前の盟で牛耳を執ったのが呉の公子や衛の大夫だったという話が出てきます。

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出典・参考

  • 原文:『春秋左氏伝』定公八年・哀公十七年(維基文庫の本文で確認。字は日本の教科書でよく使う形に改めた)
  • 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(読み方の一例)
  • だれが牛耳を執るかの説:昔の注釈の説として紹介されるもの(注釈の本文そのものは未確認のため、説の紹介にとどめた)
  • お話の絵・図:合格大作戦

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦