食指が動くの意味と由来|春秋左氏伝の原文・書き下し文・現代語訳、使い方と例文・まちがい(触手)をイラストで【故事成語】

食指が動くの意味と由来|春秋左氏伝の原文・書き下し文・現代語訳、使い方と例文・まちがい(触手)をイラストで【故事成語】

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食指が動くしょくしがうごく

ひとことで言うと

食べたい気持ちが起こること。また、物事に興味がわいて、やってみたい・手に入れたいと思うこと。人さし指(食指)が動くとごちそうにありつけた、という話から。

読み方しょくしがうごく
意味食べたいという気持ちが起こること。また、物事に興味がわき、やってみたい・手に入れたいと思うこと。
出典『春秋左氏伝』宣公四年「子公之食指動、以示子家」
「食指」とは人さし指のこと
似た言葉興味津々・垂涎の的・喉から手が出る
反対の言葉食指が動かない・食傷
漢文の句法再読文字(将)・否定(弗)・抑揚(況んや)

このページのポイント

  • 「食指が動く」は、食べたい気持ちや、やってみたい気持ちが起こること。「食指」は人さし指です
  • もとは『春秋左氏伝』。鄭の公子宋(子公)の人さし指が動くと、必ずごちそうにありつけたという話
  • 「触手を伸ばす」「食欲をそそる」とまざった形に注意。原文の再読文字・抑揚と入試での出方まで分かります

「食指が動く」の意味と読み方

「食指が動く」はしょくしがうごくと読みます。意味は「食べたいという気持ちが起こること。また、物事に興味がわいて、やってみたい・手に入れたいと思うこと」です。

「食指(しょくし)」とは、人さし指のことです。昔の中国で、ある人の人さし指がぴくぴく動くと、きまってごちそうにありつけた、という話から生まれました。はじめは「おいしいものを食べたくなる」という意味でしたが、今では食べ物にかぎらず、「その仕事に食指が動く」「新しい企画に食指が動く」のように、心がひかれる、手を出したくなる、という意味でもよく使われます。

「食指」は人さし指のこと人さし指=食指(しょくし)中指=中指(ちゅうし)薬指=無名指(むめいし)小指=小指(しょうし)親指=拇指(ぼし)=のあとは漢語の名前
5本の指には、漢語の呼び名もあります。「食指」は人さし指のことです
うかるくん

うかるくん

「食指」って、食べる指? そんな指、ありましたっけ?

ミスターT先生

ミスターT先生

人さし指のことだよ。親指は「拇指(ぼし)」、薬指は「無名指(むめいし)」とも言うんだ。人さし指を「食指」と呼ぶのは、食べ物の味をみるときに使う指だから、という説明がよくされるけれど、はっきりしたことは分からない。言葉のもとは、中国の歴史書『春秋左氏伝(しゅんじゅうさしでん)』にある、鄭(てい)の国の公子宋(こうしそう)という人の話なんだ。

ふだんの言い方では、たとえば次のように使います。

  • ○焼きたてのパンのにおいに、思わず食指が動いた。
  • ○あまり興味がなかったが、先輩の話を聞いて、その部活に食指が動いた。
  • ○好条件の話だったが、どうも食指が動かない。

「食」は「食」の読み方・書き順・部首、「指」は「指」の読み方・書き順・部首、「動」は「動」の読み方・書き順・部首で、書き順と読み方を確かめておきましょう。

絵で読む「食指が動く」のお話

お話の舞台は、今から2600年ほど前の春秋時代の中国です。黄河の南にあった鄭(てい)という国で起きた出来事が、『春秋左氏伝』の宣公(せんこう)四年のところに書かれています。4つの場面で見てみましょう。

絵で読む「食指が動く」(『春秋左氏伝』の4こま)

1楚から黿がとどく楚から大きなすっぽんをさしあげますおお、りっぱなものだ楚の使者黿(すっぽん)霊公
1南の大国・楚から、鄭(てい)の霊公(れいこう)に、大きなすっぽん(黿=げん)が贈られてきました。
2人さし指が動いた!指が動いた! きっとめずらしい物が食べられる本当かね?子公(公子宋)子家
2宮殿に向かう途中、公子宋(子公)の人さし指がぴくぴく動きます。「こうなると、必ずめずらしい物が食べられるんだ」と、子家に見せました。
3本当にすっぽんが!やっぱり!本当だすっぽんを料理しますよ子公子家料理人
3宮殿に入ると、料理番がちょうどすっぽんを料理しようとしていました。二人は顔を見合わせて笑います。わけを聞かれた子家が、指の話をしました。
4指を鼎に入れてなめる子公にはやらぬ!ならば、なめてやる!指を鼎に染めて嘗めて出づ
4ところが霊公は、すっぽん料理を家来たちにふるまうとき、子公を呼んでおきながら、子公にだけ食べさせません。怒った子公は鼎(かなえ)に指を入れ、汁をなめて出ていきました。

2こま目の公子宋(子公)は、「指が動くとごちそうが食べられる」という自分だけの「前ぶれ」を持っていました。3こま目では、それが本当に当たります。ところが4こま目で、君主の霊公は、わざと子公にだけ食べさせませんでした。指の話を聞いて、からかってやろうと思ったのかもしれません。「食べられるはずだったのに」と面目をつぶされた子公は、鼎(かなえ)という三本足のなべに指をつっこみ、汁をなめて出ていきます。

お話の人物(春秋時代の鄭の国)楚の国南の大国鄭の霊公鄭の君主黿を贈る公子宋(子公)指が動いた人子家(公子帰生)子公の仲間仲間子公にだけ与えない怒って鼎の汁をなめる一皿の料理から、君主と家来の大きな争いに
お話の人物の関係。楚から届いた1ぴきのすっぽんが、君主と家来の争いのきっかけになりました
人差し指を立てて説明するミスターT先生

ミスターT先生

「食指が動く」は、もとの話では「ごちそうの前ぶれ」だった。ところが話の結末は、ちっとも楽しくない。おいしい物の話から、国をゆるがす争いが始まってしまったんだ。言葉の明るさと、話の結末のちがいも覚えておこう。

このあと話は思わぬ方へ進みます。子公の失礼なふるまいに霊公は怒り、子公を罰しようと考えました。それを知った子公は、子家と相談して先に動こうとします。子家ははじめ反対しましたが、子公に追いつめられて、とうとう従ってしまいます。そしてこの年の夏、霊公は家来たちによって命をうばわれました。ひと皿の料理をめぐる意地の張り合いが、国の大事件になってしまったのです。

「食指が動く」の原文・書き下し文・現代語訳

もとになった文章は、『春秋左氏伝』宣公四年にあります。大事な所を1文ずつ、返り点と送り仮名をつけた訓読文で見ていきましょう(書き下し文は代表的な読み方の一例です)。返り点の読み方は返り点(レ点・一二点・上下点)の読み方、書き下し文のきまりは書き下し文の書き方とルールでくわしく説明しています。

白文(『春秋左氏伝』宣公四年、一部)楚人献黿於鄭霊公。公子宋与子家将見。子公之食指動、以示子家、曰、他日我如此、必嘗異味。及入、宰夫将解黿、相視而笑。公問之、子家以告。及食大夫黿、召子公而弗与也。子公怒、染指於鼎、嘗之而出。

1文目:子公の人さし指が動いた

書き下し文子し公こうの食しよく指し動うごき、以もつて子し家かに示しめす。

(『春秋左氏伝』宣公四年)

現代語訳子公の人さし指が動いたので、それを子家に見せた。

ここがポイントここに「食指」の2字が出てきます。「以て」は「それを使って・そうして」。「示す」は、子家に指を「見せた」ということです。一二点で「子家に」を先に読んでから「示す」に返ります。

2文目:指が動けば、必ずごちそうが食べられる

書き下し文他た日じつ我われ此かくのごとくなれば、必かならず異い味みを嘗なむ。

(『春秋左氏伝』宣公四年)

現代語訳これまで、わたしの指がこのように動いたときは、必ずめずらしいごちそうを味わってきたのだ。

ここがポイント「他日」は「これまでのある日・以前」。「如此(かくのごとし)」は「このようだ」で、比況の句法(如・若・猶)でまとめています。「異味」は「ふつうでない味」、つまりめずらしいごちそうです。「嘗む(なむ)」は「味わう」。

3文目:料理番がすっぽんをさばこうとしていた

書き下し文宰さい夫ふ将まさに黿げんを解とかんとす、相あひ視みて笑わらふ。

(『春秋左氏伝』宣公四年)

現代語訳料理番がちょうどすっぽんをさばこうとしていた。(子公と子家は)顔を見合わせて笑った。

ここがポイント「将」は再読文字で、1回目は「まさに」、2回目は「〜(せ)んとす」と読み、「いまにも〜しようとする」という意味です。再読文字(未・将・当・応・宜・須・猶・盍)で練習できます。「而」は読まない置き字(而・於・于・乎・矣・焉)です。

4文目:子公を呼んでおきながら与えなかった

書き下し文大たい夫ふに黿げんを食くらはしむるに及および、子し公こうを召めして与あたへざるなり。

(『春秋左氏伝』宣公四年)

現代語訳(霊公は)家来たちにすっぽんを食べさせるときになって、子公を呼んでおきながら、子公には与えなかった。

ここがポイント「食はしむ(くらはしむ)」は「食べさせる」。「弗」は「不」と同じ打ち消しの字で、「ず」と読みます。否定の字は否定の句法(不・無・非・莫・弗)にまとめています。一二三点で、「大夫に→黿を→食はしむるに→及び」と返ります。

5文目:怒った子公は鼎に指を入れた

書き下し文子し公こう怒いかり、指ゆびを鼎かなへに染そめ、之これを嘗なめて出いづ。

(『春秋左氏伝』宣公四年)

現代語訳子公は怒って、鼎に指をつっこみ、(汁を)なめて出ていった。

ここがポイント「於」は場所を表す置き字で、読みませんが、すぐ下の「鼎」に送り仮名「に」をつけて読みます。この場面から「染指(せんし)」という言葉も生まれました。中国では「染指」が「分け前に手を出す・自分のものでない利益を得ようとする」という意味で使われます。
原文で覚える句法4つ将解将に解かんとすいまにも〜しようとする再読文字弗与与へず与えない否定(弗)於鼎鼎に「於」は読まない置き字而況〜乎而るを況んや〜をやまして〜はなおさらだ抑揚
「食指が動く」の原文には、再読文字・否定・置き字・抑揚の句法が入っています

原典(『春秋左氏伝』宣公四年)の本文では

維基文庫(中国語のウィキソース)の『春秋左氏伝』宣公四年の本文では、次のようになっています(句読点は維基文庫の本文のとおり)。

『春秋左氏伝』宣公四年の本文(一部)楚人獻黿於鄭靈公,公子宋與子家將見,子公之食指動,以示子家,曰:「他日我如此,必嘗異味。」及入,宰夫將解黿,相視而笑,公問之,子家以告。及食大夫黿,召子公而弗與也。子公怒,染指於鼎,嘗之而出。
  • 「與」「將」「獻」「靈」:昔の字体(旧字体)で書かれています。今の字では「与」「将」「献」「霊」です。
  • 「子公」と「公子宋」:同じ人です。「公子宋」は「君主の一族の宋という人」、「子公」は字(あざな)による呼び名です。
  • 「子家」:公子帰生(こうしきせい)という人の字(あざな)です。

このあとの場面に出てくる抑揚の句法

霊公の怒りを知った子公が「先に動こう」と相談したとき、子家は次のように言って反対しました。ここには入試によく出る抑揚(よくよう)の形が入っています。

子家のことば:まして君主ならなおさらだ

書き下し文畜ちくの老おいたるすら猶なほ之これを殺ころすを憚はばかる、而しかるを況いはんや君きみをや。

(『春秋左氏伝』宣公四年)

現代語訳年老いた家畜でさえ、殺すのはためらうものだ。まして君主となれば、なおさらだ。

ここがポイント「AすらB、況んやCをや」で、「AでさえBだ。ましてCならなおさらBだ」という抑揚の句法です。軽いもの(年老いた家畜)を先に出して、重いもの(君主)を強調しています。くわしくは抑揚の句法(況んや〜をや・且つ〜況んや)へ。
サクラちゃん

サクラちゃん

指が動いたって話だけなのに、どうして歴史書にのっているんですか?

ミスターT先生

ミスターT先生

いいところに気がついたね。『春秋左氏伝』がこの話を書いたのは、小さな意地の張り合いが、君主の死という大事件につながったことを伝えるためなんだ。本文のあとで、「君子」の言葉として「仁にして武ならざれば、能く達すること無し(思いやりがあっても、強さがなければ、何もやりとげられない)」と、反対しきれなかった子家のことを批評しているよ。

出典『春秋左氏伝』と話の背景

『春秋左氏伝』(『左伝』とも言います)は、魯(ろ)の国の年代記『春秋』にくわしい説明をつけた本で、左丘明(さきゅうめい)が書いたと伝えられています(作者については諸説あります)。『春秋』の本文はとても短いので、『左伝』がその出来事のいきさつを物語のように書き足しています。この話も、『春秋』に「鄭の公子帰生、其の君夷を弑す」とたった一行で書かれている事件の、いきさつを説明した部分です。

『左伝』からは、ほかにもたくさんの故事成語が生まれています。唇亡びて歯寒し(虞と虢の話)、宋襄の仁(いらない情け)、病膏肓に入る(晋の景公の夢)、牛耳を執る(同盟の中心になる)、臍を噛む(後悔しても間に合わない)、鼎の軽重を問う(楚の荘王の話)などです。とくに「鼎の軽重を問う」は、この話の1年前、宣公三年に出てくる話で、どちらも「鼎」が出てきます。

鄭の国と霊公

鄭は、今の中国の河南省のあたりにあった国です。北の大国・晋(しん)と南の大国・楚(そ)にはさまれ、両方の顔色をうかがいながら生きのびていました。この話で楚がわざわざ黿を贈ってきたのも、鄭を味方につけておきたいという、国どうしのつきあいの一つと考えられます。

霊公(れいこう、名は夷)は、父の穆公(ぼくこう)のあとをついで君主になったばかりでした。家来をからかうような霊公のふるまいと、それに意地で応じた子公のふるまい。どちらも、上に立つ人とそれを支える人のあるべき姿からはずれていた、というのが『左伝』の見方です。

「鼎」とは

鼎(かなえ)は、三本の足がついた青銅のなべです。もとは肉などを煮るための道具でしたが、のちには祭りや儀式で使う大切な器になり、国の力や君主の位のしるしとされました。だから、君主の前で鼎に指をつっこむのは、とても無礼なふるまいだったのです。三人で向かい合うことを「鼎談(ていだん)」、三つの勢力が並び立つことを「鼎立(ていりつ)」と言うのも、鼎の三本足から来ています。

「食指が動く」の使い方と例文・似た言葉

「食指が動く」は、食べ物を見て食べたくなるときと、物事に心がひかれて、やってみたい・手に入れたいと思うときの両方に使います。打ち消しの「食指が動かない」は、「興味がわかない・気が進まない」という意味です。また、「食指を動かす」の形で、「手に入れようと動き出す」という意味でも使われます。

意味はこう広がったもとの話(『春秋左氏伝』)人さし指が動く=ごちそうの前ぶれ公子宋の指が動くと、めずらしい物が食べられた意味1:食べたい気持ちが起こるおいしそうな料理を見て、食指が動く食欲がわく意味2:物事をしてみたくなるもうかりそうな話に、食指が動く興味がわく・手に入れたくなる今は、意味2の使い方もとても多い
「ごちそうの前ぶれ」の話から、「食べたい」、さらに「やってみたい・手に入れたい」へと意味が広がりました
  • ○ずらりと並んだ屋台の料理に、食指が動く。
  • ○大手の会社も、この新しい分野には食指を動かしている。
  • ○いろいろな習い事を勧められたが、どれにも食指が動かなかった。
  • ○図書館で見つけた歴史の本に食指が動き、一気に読み終えた。
  • ×おいしそうなにおいに食指をそそられた。(「食欲をそそられた」か「食指が動いた」が正しい)
  • ×あの会社は海外の市場にも食指を伸ばしている。(「触手を伸ばしている」が正しい)

似た言葉

  • 興味津々(きょうみしんしん)の意味:興味がつきないようす。物事に心がひかれる点が似ています。
  • 垂涎(すいぜん)の的:よだれをたらすほど、ほしくてたまらない物。食べ物から生まれた点も似ています。
  • 喉から手が出る:ほしくてたまらないようす。「食指が動く」よりも、ほしい気持ちがずっと強い言い方です。
  • 触手を伸ばす:ほしい物を手に入れようと、働きかけること。「食指を動かす」と近い意味ですが、もとはイソギンチャクなどの「触手」で、まったく別の言葉です。

反対の意味の言葉

  • 食指が動かない:興味がわかない、気が進まない。
  • 食傷(しょくしょう):同じ物を食べすぎてあきること。同じことのくり返しにうんざりすることにも使います。

英語では、食べ物なら "make one's mouth water"(よだれが出る)や "whet one's appetite"(食欲をそそる)、物事なら "be tempted"(心がひかれる)や "take an interest in 〜" などで言い表します。

受験勉強への生かし方

勉強がはかどるのは、「食指が動く」状態のときです。「おもしろそう」「もっと知りたい」と思えた分野は、言われなくても手が伸びます。反対に、どうしても食指が動かない科目は、教科書を開くまでが一番つらいものです。

論語の「之を知る者は之を好む者に如かず、之を好む者は之を楽しむ者に如かず」と、そこから勉強を好きになるコツは「好きこそものの上手なれ」の意味と論語「楽しむ者に如かず」(勉強を好きになるコツ)で紹介しています。好きな分野から入って、少しずつほかの科目に食指を広げていく進め方は、大学受験の勉強法まとめ(目的別の記事一覧)も参考にしてください。故事成語なら、この話のようにおもしろいお話から入るのが、漢文に食指を動かす一番の近道です。

「食指が動く」のよくあるまちがい

  • 「食指」を「しょくゆび」「たべゆび」と読む:正しくは「しょくし」です。
  • 「触手が動く」と書く:「触手(しょくしゅ)」はイソギンチャクやクラゲの手のような部分で、別の言葉です。「食指」と「触手」は読みも似ていて、まざりやすいので注意しましょう。
  • 「食指を伸ばす」と言う:「伸ばす」のは「触手」です。「食指」なら「動く」「動かす」と言います。
  • 「食指をそそられる」と言う:「そそる」のは「食欲」や「興味」です。「食欲をそそる」と「食指が動く」がまざった形です。
  • 人に使うときに失礼になることがある:「あの人に食指が動く」のように人に使うと、「手に入れたい物」のように聞こえて、品のない言い方になることがあります。
  • 「食指」を「食べる前に指を動かすこと」だと思う:「食指」は人さし指そのものの名前です。
正しい形・まざりやすい形○ 正しい形食指が動く / 食指を動かす「食指」=人さし指× まざった形食指が伸びる←「触手を伸ばす」食指をそそられる←「食欲をそそる」触手が動く←「食指」と「触手」別の言葉:触手を伸ばすほしい物を手に入れようと働きかけること
「食指」は「動く・動かす」。「伸ばす」のは「触手」、「そそる」のは「食欲」です
うかるくん

うかるくん

「食指が動く」と「触手を伸ばす」、どっちを使えばいいか迷います……。

ミスターT先生

ミスターT先生

覚え方は簡単だ。「食指」は自分の気持ち、「触手」は相手への働きかけ。「ほしいな、やってみたいな」と心が動いたら「食指が動く」。実際に手に入れようと手をのばしたら「触手を伸ばす」。もとの話でも、子公の指は勝手に「動いた」んだったね。

入試ではこう出る

「食指が動く」は、中学受験・高校受験・大学受験のどれにも出てくる言葉です。

  • 中学受験:「体の一部を使った慣用句」の問題で、「指」のつく言葉(指をくわえる・後ろ指をさされる・食指が動く など)として出ます。意味を選ぶ問題や、「( )が動く」の空欄に入る言葉を答える問題がよく見られます。
  • 高校受験:慣用句・故事成語の意味の問題のほか、小説や随筆の中で使われた「食指が動く」の意味を答える問題が出ます。漢文の資料として「子公之食指動」の書き下しを問われることもあります。高校受験の漢文の出方は高校受験の漢文(返り点・書き下し文の対策)にまとめています。
  • 大学受験:『左伝』の文章で、「将」の再読文字、「弗」の否定、「而況〜乎」の抑揚の訳が問われることがあります。評論文や小説では「食指が動かない」などの形で出て、文脈に合う意味を選ばせる問題になります。
ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

「食指」が人さし指だと分かれば、「食指が伸びる」がおかしいことにもすぐ気づけますね! 指は動かすものです。

練習問題

やさしい

  1. 「食指が動く」の意味として正しいものを選びましょう。
    ア 手先が器用である イ 食べたい気持ちや、やってみたい気持ちが起こる ウ 人に指図ばかりする エ 食べ物をむだにする
    答えと解説を見るイ。「食指」は人さし指で、指が動くとごちそうにありつけた、という話から生まれた言葉です。
  2. 「食指」とは、どの指のことですか。
    答えと解説を見る人さし指です。親指は「拇指」、薬指は「無名指」とも言います。

ふつう

  1. 次の文のうち、使い方が正しいものを選びましょう。
    ア 新しい事業に食指を伸ばす イ おいしそうな料理に食指が動く ウ においに食指をそそられる
    答えと解説を見るイ。アは「触手を伸ばす」、ウは「食欲をそそられる」が正しい形です。
  2. 「染指於鼎、嘗之而出。」を書き下し文に直し、現代語訳しましょう。
    答えと解説を見る指を鼎に染め、之を嘗めて出づ。訳:鼎に指をつっこみ、(汁を)なめて出ていった。「於」「而」は置き字です。

むずかしい

  1. 「宰夫将解黿」を書き下し文に直し、「将」の読み方を説明しましょう。
    答えと解説を見る宰夫将に黿を解かんとす。「将」は再読文字で、1回目は「まさに」、2回目は「〜(せ)んとす」と読み、「いまにも〜しようとする」という意味です。
  2. 「畜老猶憚殺之、而況君乎。」の句法の名前を答え、現代語訳しましょう。
    答えと解説を見る抑揚。訳:年老いた家畜でさえ殺すのをためらう。まして君主ならなおさらだ。「AすらB、況んやCをや」の形です。

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よくある質問

食指が動くとはどういう意味ですか?

食指が動くとは、食べたいという気持ちが起こること、また、物事に興味がわいてやってみたい・手に入れたいと思うことです。今は食べ物以外の物事にもよく使います。

食指が動くの読み方と「食指」の意味は?

「しょくしがうごく」と読みます。「食指(しょくし)」は人さし指のことで、「しょくゆび」とは読みません。

食指が動くの由来・出典は何ですか?

中国の歴史書『春秋左氏伝』宣公四年の話が由来です。鄭の公子宋(子公)の人さし指が動くと必ずめずらしいごちそうが食べられたので、楚から大きなすっぽんが届いた日にも指が動いた、という話から生まれました。

食指が動くの原文と書き下し文は?

原文は「子公之食指動、以示子家」で、書き下し文は「子公の食指動き、以て子家に示す」です。続けて「他日我如此、必嘗異味(他日我此くのごとくなれば、必ず異味を嘗む)」と言っています。

食指が動くの例文を教えてください。

「焼きたてのパンのにおいに食指が動いた」「好条件の話だったが、どうも食指が動かない」のように使います。打ち消しの「食指が動かない」は、興味がわかないという意味です。

食指が動くはビジネスで使えますか?

はい、使えます。「新しい分野に大手企業も食指を動かしている」のように、関心を持って手に入れようとする意味で、ニュースやビジネスの文章でもよく使われます。

「食指が動く」と「触手を伸ばす」のちがいは?

「食指が動く」は興味がわく・やってみたくなるという気持ちのこと、「触手を伸ばす」はほしい物を手に入れようと働きかけることです。「食指を伸ばす」はこの2つがまざった誤用です。

食指が動くの似た言葉・反対の言葉は?

似た言葉は「興味津々」「垂涎の的」「喉から手が出る」などです。反対の言葉は「食指が動かない」や、あきてうんざりする意味の「食傷」です。

食指が動くは英語で何と言いますか?

食べ物なら "make one's mouth water" や "whet one's appetite"、物事なら "be tempted" や "take an interest in" で言い表せます。

食指が動くは入試でどう出ますか?

中学受験では「指」のつく慣用句として意味や空欄補充がよく出ます。高校・大学受験では文章中の意味を問う問題のほか、『左伝』の原文で再読文字「将」や抑揚「而況〜乎」の読みが問われます。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 原文:『春秋左氏伝』宣公四年(維基文庫の本文で確認)
  • 書き下し文・現代語訳:合格大作戦(教科書で多い読み方をもとにした一例)
  • お話の絵・図:合格大作戦

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦