古文文法辞典 › 入門
高校受験大学受験
ひとことで言うと
古文の単語は10品詞に分かれます。自立語が動詞・形容詞・形容動詞・名詞・副詞・連体詞・接続詞・感動詞の8つ、付属語が助動詞・助詞の2つで、活用するのは動詞・形容詞・形容動詞・助動詞の4つです。
このページのポイント
- 10品詞=自立語8+付属語2
- 活用するのは動詞・形容詞・形容動詞・助動詞
- 言い切りの形:動詞はウ段(ラ変は「り」)、形容詞は「し」、形容動詞は「なり」「たり」
- 品詞分解は文節 → 自立語と付属語 → 品詞 → 活用形の順
はじめて(やさしく)
品詞とは? ことばの「グループ分け」
文は、意味をもつ小さなことば(単語)が集まってできています。その単語を、はたらきや形のちがいでグループ分けしたものが品詞(ひんし)です。学校の古典文法では、単語を10のグループ(10品詞)に分けます。
中学校の国語で習う現代語の品詞(口語文法)も、同じ10品詞です。つまり、古文の品詞は、現代語の品詞の知識がそのまま使えます。ちがうのは、「言い切りの形」など一部だけです。
うかるくん
品詞って、名詞とか動詞とかでしょ? 古文でもわざわざ覚えるの?
合格先生
古文を正しく訳すには、どこまでが1つの単語で、それが何の品詞かがわかることが出発点なんだ。助動詞「けり」や「む」の意味も、品詞がわからないと見つけられないよ。
サクラちゃん
じゃあ、まずは文を単語に切るところからですね。
合格先生
そう。そのための道具が「自立語と付属語」の区別だよ。
自立語と付属語
単語は、まず2つに分かれます。
- 自立語(じりつご):それだけで意味がわかる単語。「花」「咲く」「うつくし」など。
- 付属語(ふぞくご):ひとりでは使えず、自立語のあとにくっつく単語。「の」「て」「けり」など。
文を、意味がこわれない範囲でできるだけ短く区切ったまとまりを文節(ぶんせつ)といいます。「ネ」を入れて読めるところが文節の切れ目です。文節の頭には、かならず自立語が1つだけ来ます。
上の図は、百人一首2番・持統天皇の「春過ぎて夏来にけらし」(春が過ぎて、夏が来たらしい)です。「春ネ・過ぎてネ・夏ネ・来にけらしネ」と4つの文節に分かれ、その中で「て」「に」「けらし」が付属語です。
10品詞の一覧
ここだけは覚えよう
- 単語は自立語(8品詞)と付属語(2品詞)に分かれる
- 活用する(形が変わる)のは、動詞・形容詞・形容動詞・助動詞の4つだけ
- 動詞・形容詞・形容動詞をまとめて用言、名詞を体言という
「活用」とは、あとに続くことばによって単語の終わりの形が変わることです。たとえば「書く」は「書か(ず)」「書き(たり)」「書け(ば)」と形が変わります。くわしくは活用とは(6つの活用形)で説明しています。

合格先生
品詞の見分けは、①自立語か付属語か → ②活用するかしないか → ③言い切りの形やはたらきの順。この順番さえ守れば、どんな単語も10品詞のどれかに入るよ!
高校受験でも、現代語の文法と同じ考え方で古文を単語に区切れると、古語の意味の問題が解きやすくなります。
しっかり(大学受験の基礎〜標準)
品詞分類表:10品詞の見分け方
単語の品詞は、次の流れ図(品詞分類表)で決まります。左から右へ、3回の分かれ道を通ると、10品詞のどれかにたどりつきます。
| 品詞 | 自立/付属 | 活用 | はたらき・見分け方 | 古文の例 |
|---|---|---|---|---|
| 動詞 | 自立語 | する | 動作・存在を表す。言い切りがウ段(ラ変は「り」) | 咲く・見る・来・す・あり |
| 形容詞 | 自立語 | する | 性質・状態を表す。言い切りが「し」 | うつくし・をかし・なし |
| 形容動詞 | 自立語 | する | 性質・状態を表す。言い切りが「なり」「たり」 | あはれなり・静かなり・堂々たり |
| 名詞 | 自立語 | しない | 主語になる(体言)。代名詞・数詞もふくむ | 花・月・われ・こ・ひとつ |
| 副詞 | 自立語 | しない | おもに用言をくわしくする | いと・やうやう・え・な・いかで |
| 連体詞 | 自立語 | しない | 体言だけをくわしくする | あらゆる・いはゆる・ある(或る) |
| 接続詞 | 自立語 | しない | 文と文、語と語をつなぐ | されど・しかるに・さて・また |
| 感動詞 | 自立語 | しない | 感動・呼びかけ・応答 | あな・あはれ・いざ・いな |
| 助動詞 | 付属語 | する | 用言などについて意味をそえる | けり・き・む・ず・ぬ・なり |
| 助詞 | 付属語 | しない | 語と語の関係を示し、意味をそえる | の・を・ぞ・て・ば・かな |
現代語との違い
10品詞の分け方は現代語と同じですが、言い切りの形(終止形)がちがう語があります。古文の品詞は、古文の言い切りの形で決めます。
- 動詞:言い切りはウ段。ただしラ行変格活用(ラ変)の「あり・をり・はべり・いまそかり」だけは「り」(イ段)で終わります。活用の種類も、現代語の5種類に対して古文は9種類あります(動詞の活用の種類と見分け方)。
- 形容詞:現代語は「〜い」、古文は「〜し」。「うつくし」(ク活用ではなくシク活用)、「なし」(ク活用)のように2種類の活用があります。
- 形容動詞:現代語は「〜だ」、古文は「〜なり」(ナリ活用)と「〜たり」(タリ活用)。タリ活用は「堂々たり」「漫々たり」など漢語につくものが中心です。
- 助動詞・助詞:古文には現代語にない語がたくさんあります(き・けり・つ・ぬ・む・らむ・べし、係助詞の「ぞ・なむ・こそ」など)。助動詞は助動詞「む」のように1語ずつ意味と接続を覚えます。
品詞分解のやり方(手順)
文を単語に分け、1語ずつ品詞(活用する語は活用の種類と活用形も)を示すことを品詞分解といいます。大学入試の文法問題や、授業の予習でいちばん使う作業です。
- 文節に区切る:「ネ」を入れて読めるところで切る。
- 文節を自立語と付属語に分ける:文節の頭の自立語を見つけ、その後ろを付属語に分ける。付属語は「助動詞か助詞か」を一覧と見くらべる。
- 自立語の品詞を決める:品詞分類表で、活用するか、言い切りの形・はたらきは何かを見る。
- 活用する語は活用形を決める:すぐ後ろの語が何形につくか(「て」なら連用形、「ば」なら未然形か已然形)を手がかりにする。
- 意味を確かめる:助動詞・助詞は意味まで書くと、そのまま現代語訳に使える。
百人一首を品詞分解する
田子の浦にうち出でて見れば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ
(百人一首4番・山部赤人(田子の浦に))
現代語訳田子の浦の海辺に出て、はるかに見わたすと、真っ白な富士山の高い峰に、雪がしきりに降り続いていることだよ。

春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山
(百人一首2番・持統天皇(春過ぎて))
現代語訳春が過ぎて、夏が来たらしい。夏になると真っ白な衣を干すと言い伝えられている、あの天の香具山に。
いにしへの奈良の都の八重桜けふ九重ににほひぬるかな
(百人一首61番・伊勢大輔(いにしへの))
現代語訳昔の都・奈良で咲いていた八重桜が、今日はこの九重(宮中)で、いっそう美しく咲きほこっていることだなあ。
久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ
(百人一首33番・紀友則(久方の))
現代語訳日の光がのどかにさしている春の日に、どうして桜の花は、落ち着いた心もなく、あわただしく散っていくのだろうか。
百人一首の全100首に品詞分解があります
合格大作戦の百人一首のページでは、どの歌にも「1語ずつの品詞と活用形」の表がついています。このページで手順を覚えたら、好きな歌で答え合わせをしてみましょう。おすすめは、短くて基本の形がそろった2番 春過ぎて・4番 田子の浦に・33番 久方の・61番 いにしへの、少しむずかしい9番 花の色は(掛詞があります)です。
もっと深く(難関大・上級者)
1. まぎらわしい語:「なり」「に」は品詞が何通りもある
同じ形の語が、品詞のちがう別の語であることがあります。入試の識別問題は、ほとんどがこの「同じ形・ちがう品詞」をねらいます。決め手はすぐ前の語の形(接続)です。
「に」はさらに多く、格助詞(「世にふる」)、接続助詞(連体形+に)、完了の助動詞「ぬ」の連用形(連用形+に、下に「き・けり・たり・けむ」が多い。「移りにけりな」)、断定の助動詞「なり」の連用形(体言・連体形+に、下に「あり」「侍り」など)、形容動詞の連用形の語尾(「いたづらに」)、ナ変動詞の一部(「死に」)、副詞の一部(「げに」「すでに」)などがあります。「なり」の識別・「に」の識別のページは準備中です。
花の色は移りにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに
(百人一首9番・小野小町(花の色は))
現代語訳桜の花の色は、むなしく色あせてしまったなあ。長雨が降り続いていた間に。(そして私の容姿も、この世を過ごしながら物思いにふけっていた間に、衰えてしまった。)
2. 学説によるちがい(10品詞は「学校文法」の分け方)
- 代名詞:学校文法では名詞の一種ですが、「代名詞」を独立させて11品詞とする文法書もあります。百人一首のページの品詞表でも、「わ(が身)」「こ(のたび)」を代名詞と書いています。
- 形容動詞:「あはれなり」を1語の形容動詞とするのが学校文法です。一方、「あはれ」(名詞)+「なり」(断定の助動詞)と2語に分け、形容動詞という品詞を立てない考え方もあります。入試では学校文法にしたがえば十分です。
- 連体詞:古文の連体詞は少なく、「あらゆる」「いはゆる」「ある(或る)」「させる」「さしたる」などです。「さる」「かかる」は、ラ変動詞「さり」「かかり」の連体形と見るのが一般的ですが、連体詞とする説明もあります。
- 連語:「てふ(といふ)」「にけり」のように、2語以上が強く結びついたものを1つの単位として扱うことがあります。品詞分解では、ふつう分けて書きます。
3. 品詞分解で迷いやすい所
- 接頭語・接尾語:「うち出づ」の「うち」、「をとこども」の「ども」のような語は単独の品詞にならず、ついた語と合わせて1語とします(「うち出づ」で1つの動詞)。複数の「ども」「たち」の話は記事「友達」の「たち」と「ども」にもあります。
- 品詞の転成:動詞の連用形が名詞になることがあります。9番の「ながめ」(動詞「ながむ」から)、「思ひ」「なげき」などです。文の中で主語や目的語になっていれば名詞です。
- 補助動詞:「〜給ふ」「〜侍り」のように、本来の意味がうすれて敬意などをそえる動詞も、品詞は動詞です(付属語ではありません)。
- 形容詞・形容動詞の語幹の用法:「あな、かしこ」の「かしこ」のように、語幹だけで感動を表す使い方があります。品詞はもとの形容詞・形容動詞です。
- 副詞の呼応:「え〜打消」(〜できない)、「な〜そ」(〜するな)、「つゆ〜打消」(少しも〜ない)など、下の語と組になる副詞は、主語の補いや訳の大事な手がかりです(主語の補い方、現代語と意味がちがう古語も参照)。
サクラちゃん
「に」だけで7種類もあるんですか……。
うかるくん
でも全部「すぐ前の語の形」と「下に何が来るか」で見分けるんだね。
合格先生
その通り。だから品詞分解では、活用形まで書くことが大事なんだ。活用形がわかれば、次の付属語の正体も決まるよ。
よくあるまちがい
まちがい1:現代語訳の品詞で決める
「のどけき」は訳すと「のどかな」(形容動詞)ですが、古文の言い切りは「のどけし」なので形容詞です。品詞は古文の終止形で決めます。
まちがい2:「あり」を形容詞や助動詞とまちがえる
「あり・をり・はべり・いまそかり」は「り」で終わりますが、ラ変動詞(自立語)です。動詞は「ウ段で終わる」の例外として覚えます。
まちがい3:「枕詞」「掛詞」を品詞の名前だと思う
枕詞・掛詞は和歌の修辞(表現のくふう)の名前で、品詞ではありません。「白妙の」は名詞+格助詞です。修辞は記事和歌の修辞でまとめています。
まちがい4:「なり」「に」を形だけで決める
同じ「なり」でも、断定・伝聞推定・形容動詞の一部・動詞の4通りがあります。すぐ前の語の活用形を確かめてから決めます。わからなければ受験掲示板「100点BBS」の〈古典文法のお勉強〉で質問できます。
練習問題
やさしい
- 次の語の品詞を答えなさい。(自作)
① 咲く ② うつくし ③ あはれなり ④ 花答えと解説を見る
① 動詞(ウ段で終わる) ② 形容詞(「し」で終わる) ③ 形容動詞(「なり」で終わる) ④ 名詞(活用せず、主語になる)。
- 10品詞のうち、活用する品詞を4つ答えなさい。
答えと解説を見る
動詞・形容詞・形容動詞・助動詞。このうち助動詞だけが付属語です。
ふつう
- 百人一首2番の上の句「春過ぎて夏来にけらし」を品詞分解しなさい。活用する語は活用形も答えること。
答えと解説を見る
春(名詞)/過ぎ(動詞・ガ行上二段「過ぐ」連用形)/て(接続助詞)/夏(名詞)/来(動詞・カ行変格活用「来」連用形)/に(助動詞「ぬ」連用形・完了)/けらし(助動詞「けらし」終止形・過去の推定)。
- 次の傍線部の品詞を答えなさい。(自作)
① いとをかし。 ② あらゆる人。 ③ されど、なほ行かず。 ④ あな、うれし。答えと解説を見る
① 副詞(用言「をかし」をくわしくする) ② 連体詞(体言「人」だけをくわしくする) ③ 接続詞 ④ 感動詞。
むずかしい
- 百人一首9番「花の色は移りにけりな」の「に」の品詞と活用形を答え、そう判断できる理由を2つ書きなさい。
答えと解説を見る
完了の助動詞「ぬ」の連用形。理由:①直前の「移り」がラ行四段動詞「移る」の連用形で、「ぬ」は連用形につく。②下に過去(ここでは詠嘆)の助動詞「けり」が続き、「けり」は連用形につく。
- 「京なる人」と「秋も過ぐなり」(ともに自作)の「なる」「なり」は、それぞれ何か。接続にふれて説明しなさい。
答えと解説を見る
「京なる」は体言「京」についているので断定の助動詞「なり」の連体形(存在「〜にある」の意味)。「過ぐなり」は上二段動詞「過ぐ」の終止形(連体形なら「過ぐる」)についているので伝聞・推定の助動詞「なり」の終止形(「秋も過ぎるようだ」)。※四段動詞のように終止形と連体形が同じ形の語につく場合は、形では決まらず、文脈(音・うわさを根拠にしているか)で判断します。
関連ページ
- 活用とは(6つの活用形):品詞分解で活用形を決めるために
- 動詞の活用の種類と見分け方:古文の動詞9種類
- 助動詞「む(ん)」:助動詞を1語ずつ見る例
- 係り結び:係助詞「ぞ・なむ・や・か・こそ」と文末の形
- 歴史的仮名遣い:単語を正しく読むために
- 主語の補い方・現代語と意味がちがう古語
- 「なり」の識別・「に」の識別・助詞の種類(準備中)
- 古文文法辞典の目次
読みもの(合格大作戦の記事)
- 百人一首 全百首
全首の現代語訳・品詞・修辞 - 古文の助動詞一覧
接続・意味・活用をまとめて見る地図 - 和歌の修辞
枕詞・序詞・掛詞・縁語・本歌取り - 枕草子「春はあけぼの」
冒頭の段を品詞から読む - 古文単語の覚え方
入試に出る古文単語を、意味のつながりで覚える - 古典と古文のちがい
ことばの意味の整理
受験掲示板「100点BBS」で質問・相談しよう
- 古典文法のお勉強(スレ)(文法のわからない所を質問・答え合わせ)
- 【国語】百人一首のことなら何でもOKな掲示板(覚え方・好きな歌・かるたの話)
- 共通テスト掲示板(共通テストの国語(古文)の対策)
- 高校受験掲示板(高校受験の国語・古文の相談)
- 国語の勉強掲示板(古文・漢文・現代文の勉強の相談)
よくある質問
古文の品詞はいくつありますか?
学校文法では10品詞です。自立語が動詞・形容詞・形容動詞・名詞・副詞・連体詞・接続詞・感動詞の8つ、付属語が助動詞・助詞の2つです。代名詞を独立させて11品詞とする文法書もあります。
古文で活用する品詞はどれですか?
動詞・形容詞・形容動詞・助動詞の4つです。ほかの6品詞は活用しません。
古文の形容詞と形容動詞はどう見分けますか?
言い切りの形(終止形)で見分けます。「し」で終われば形容詞(うつくし)、「なり」「たり」で終われば形容動詞(あはれなり・堂々たり)です。
品詞分解とは何ですか?
文を単語に分け、1語ずつ品詞を示すことです。活用する語は活用の種類と活用形、助動詞・助詞は意味も書くのがふつうです。
現代語の品詞と古文の品詞は同じですか?
10品詞の分け方は同じです。ちがうのは言い切りの形などで、古文では形容詞が「し」、形容動詞が「なり」「たり」で終わり、動詞のラ変は「り」で終わります。
あわせて読みたい
出典・参考
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」国語、「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
- 例文の本文:百人一首(2・4・7・9・33・61番)、土佐日記(冒頭)。表記は読みやすいように一部改めています
- 品詞分解は高校の古典文法の標準的な説明(学校文法の10品詞)にもとづいて作成。百人一首の品詞は合格大作戦「百人一首」各首ページの品詞表と同じ
- 画像:百人一首の絵札「Hyakuninisshu 004」(作者不明、パブリックドメイン、Wikimedia Commons)
最終更新:2026年10月15日/作成:大学受験合格大作戦



