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大学受験難関大
ひとことで言うと
補助動詞は、もとの意味がうすれて、上の語(おもに連用形)に意味をそえる動詞です。古文では敬語の補助動詞(給ふ・奉る・侍り・候ふ など)と、「〜である・〜ている」をそえるあり・をりが中心で、すぐ上が連用形かどうかで本動詞と見分けます。
このページのポイント
- 補助動詞は上の語に意味をそえる動詞。本動詞はそれだけで意味をもつ
- 見分け方:すぐ上が連用形(+て・に・も・こそ)なら補助動詞
- 敬語の補助動詞:尊敬給ふ(四段)・おはす/謙譲奉る・聞こゆ・給ふ(下二段)/丁寧侍り・候ふ
- 「にあり・くあり・ずあり・てあり」の「あり」は補助動詞(〜である・〜ている)
- 難関大は下二段の給ふ(給ふる・給ふれ)と二方面への敬語(謙譲→尊敬→丁寧の順)
はじめて(やさしく)
補助動詞(ほじょどうし)とは、もとの意味がうすれて、上のことばに意味をそえるはたらきをする動詞です。現代語でも「本を読んでいる」の「いる」、「書いてくださる」の「くださる」は補助動詞です。「いる」は、ここでは「その場にいる」ではなく「〜している」の意味をそえているだけです。
これに対して、それだけで意味をもつふつうの使い方を本動詞といいます。古文の「あり」で比べてみましょう。
うかるくん
同じ「あり」なのに、本動詞と補助動詞で何がちがうの?
合格先生
本動詞の「あり」は「いる・ある」という自分の意味をもっている。補助動詞の「あり」は「〜ている・〜である」と、上の語に意味をつけたすだけなんだ。
サクラちゃん
古文の補助動詞って、ほかにもあるの?
合格先生
いちばん大事なのは敬語の補助動詞。「給ふ」「奉る」「侍り」「候ふ」が、動詞の下について敬意をそえるよ。古文に何百回も出てくるから、ここが読めると一気に楽になる。

サクラちゃん
「泣き給ふ」は「お泣きになる」。動詞の下の「給ふ」は、敬意をそえるだけなのね!
動詞の活用の種類の全体は 動詞の活用の種類と見分け方 へ。補助動詞も動詞なので、「給ふ」は四段(または下二段)、「侍り」「あり」「をり」はラ変、「おはす」はサ変と、ふつうの動詞と同じように活用します。
ここまでのまとめ
- 補助動詞:上の語に意味をそえる動詞(もとの意味はうすい)
- 本動詞:それだけで意味をもつ、ふつうの使い方
- 古文の補助動詞の中心は敬語(給ふ・奉る・侍り・候ふ など)とあり・をり
しっかり(大学受験の基礎〜標準)
補助動詞の一覧(本動詞の意味と比べる)
| 語 | 種類 | 本動詞の意味 | 補助動詞の意味 |
|---|---|---|---|
| 給ふ(四段) | 尊敬 | お与えになる・くださる | 〜なさる・お〜になる |
| 給ふ(下二段) | 謙譲 | (補助動詞として使う) | 〜させていただく・〜ております |
| おはす・おはします | 尊敬 | いらっしゃる(あり・行く・来の尊敬) | 〜ていらっしゃる・〜でいらっしゃる |
| 奉る | 謙譲 | 差し上げる(尊敬で「召し上がる・お召しになる・お乗りになる」も) | 〜申し上げる・お〜する |
| 聞こゆ・申す | 謙譲 | 申し上げる(聞こゆは「聞こえる・評判になる」も) | 〜申し上げる |
| 侍り | 丁寧 | お仕えする(謙譲)/あります・おります(丁寧) | 〜です・〜ます・〜ございます |
| 候ふ(さぶらふ・さうらふ) | 丁寧 | お仕えする(謙譲)/あります・おります(丁寧) | 〜です・〜ます・〜ございます |
| あり | (敬語でない) | ある・いる | 〜である・〜ている |
| をり | (敬語でない) | いる・すわっている | 〜ている |
表は横にスクロールできます。敬語の種類と意味のくわしい説明は、記事「古文の敬語」にまとめてあります。
本動詞と補助動詞の見分け方
- その語のすぐ上を見る。動詞・形容詞・助動詞の連用形(あいだに「て・に・も・こそ」などが入ることもある)があれば補助動詞。
- すぐ上が名詞や「を・に」のついた語で、その語が自分の意味(与える・差し上げる・お仕えする・ある)で訳せれば本動詞。
- 迷ったら、その語を取ってみる。取っても文の中心の意味が残れば補助動詞。
例文で確かめる(敬語の補助動詞)
いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。
(源氏物語・桐壺(冒頭))
現代語訳どの帝の御代であったか、女御や更衣が大勢お仕えしていらっしゃった中に、それほど高貴な身分ではない方で、とりわけ帝のご寵愛を受けていらっしゃる方がいた。
中納言参りたまひて、御扇たてまつらせたまふに、「隆家こそいみじき骨は得てはべれ。」
(枕草子「中納言参りたまひて」の段)
現代語訳中納言(隆家)が参上なさって、(中宮様に)御扇を差し上げなさるときに、「私隆家はすばらしい(扇の)骨を手に入れております。」
物その者で候はねども、武蔵国の住人、熊谷次郎直実。
(平家物語・巻九「敦盛最期」)
現代語訳名乗るほどの者ではございませんが、武蔵の国の住人、熊谷次郎直実(です)。
聞きしにも過ぎて、尊くこそおはしけれ。
(徒然草・第五十二段「仁和寺にある法師」)
現代語訳(うわさに)聞いていた以上に、尊くていらっしゃった。
だれへの敬意かは、地の文なら書き手から、会話文なら話し手から考えます。尊敬は動作をする人へ、謙譲は動作を受ける人へ、丁寧は読み手・聞き手へ向かいます。敬語から主語を見つける方法は 主語の補い方 のページで練習できます。
「あり・をり」の補助用法
「あり」は、形容詞の連用形(〜く)、打消の「ず」、断定「なり」の連用形「に」、接続助詞「て」などの下について、「〜である」「〜ている」の意味をそえます。あいだに係助詞「も・こそ・ぞ」や「は」が入ることが多く、百人一首にもよく出ます。

忘らるる身をば思はず誓ひてし人の命の惜しくもあるかな
(百人一首38番・右近(忘らるる))
現代語訳忘れられる私の身のことは何とも思わない。(ただ、心変わりしないと神に)誓ったあなたの命が、(罰を受けて失われるのが)惜しく思われることだよ。
高砂の尾の上の桜咲きにけり外山の霞立たずもあらなむ
(百人一首73番・権中納言匡房(大江匡房)「高砂の」)
現代語訳高い山の峰の桜が咲いたことだ。手前の山の霞よ、どうか立たないでいてほしい(桜が見えなくなるから)。
23番「月見れば千々に物こそ悲しけれ」の結び「わが身ひとつの秋にはあらねど」の「あら」も、「に(断定)+は」の下の補助動詞です。枕草子の「冬はつとめて。雪の降りたるは言ふべきにもあらず」も同じ形で、「〜でもない」と訳します。
「をり」も「〜てをり」の形で「〜ている」の意味をそえることがあります。ただし平安時代の「をり」には、自分や目下の者の動作に使い、ややぞんざいな響きがあるとする説明もあります。

合格先生
「にあり・くあり・ずあり・てあり」の「あり」は補助動詞。この4つの形を見たら、「〜である」「〜ている」と訳そう。
もっと深く(難関大・上級者)
1. 「給ふ」の四段(尊敬)と下二段(謙譲)
入試で最もねらわれるのが「給ふ」の識別です。四段の「給ふ」は尊敬(〜なさる)、下二段の「給ふ」は謙譲(〜させていただく・〜ております)で、意味が正反対です。
下二段の「給ふ」には、次のような特徴があります。
- 会話文や手紙で、話し手(書き手)が自分の動作を言うときに使う。
- つく動詞は「思ふ・見る・聞く・知る・覚ゆ」など、心で感じたり知ったりする語がほとんど。
- 終止形・命令形はほとんど使われず、「給ふる」(連体形)・「給ふれ」(已然形)の形が出たら、ほぼ下二段と決まる。
- 敬意は聞き手(読み手)に向かう。そのため「謙譲」ではなく丁寧語に近いはたらきとする説明もある。
いと心苦しくなむ思ひ給ふる。
(自作)
現代語訳とても気の毒に思っております。
「給へり」の「給へ」は、完了・存続の「り」がサ変の未然形・四段の已然形(命令形とする説明もある)につくことから、四段の尊敬です。「給へず」「給へて」なら下二段です。
2. 二方面への敬語と、補助動詞の並ぶ順番
補助動詞は重ねて使うことができ、そのときは謙譲 → 尊敬 → 丁寧の順に並ぶのがきまりです。たとえば「(大臣が)姫君に文を書き奉り給ふ」(自作)は、謙譲「奉り」で受け手の姫君を、尊敬「給ふ」で動作をする大臣を、同時に敬っています(二方面への敬語)。くわしくは記事「古文の敬語」の敬意の方向の説明へ。
うかるくん
「奉り給ふ」って、へりくだってるのか、うやまってるのか、どっち?
合格先生
両方だよ。謙譲は動作を受ける人、尊敬は動作をする人への敬意だから、向かう先がちがう。だから同時に使えるんだ。
サクラちゃん
じゃあ「奉り」で受け手、「給ふ」で主語がわかるのね。
合格先生
そのとおり。補助動詞の敬語は主語を決める手がかりになる。入試の主語問題はここを使って解くよ。
3. 「あり」がとけこんだ語
補助動詞「あり」は、上の語とくっついて、新しい形をつくりました。断定の「なり」(に+あり)、形容詞のカリ活用(く+あり)などです。これらがみなラ変型に活用するのは、「あり」がラ変だからです。
だから、「とけこむ前の形」で書かれた「惜しくもあり」「静かにこそあれ」は、あいだに係助詞が入ったために、もとの「く+あり」「に+あり」が見えている形だと考えられます。形容詞・形容動詞の活用は 形容詞・形容動詞 のページへ。
4. 補助動詞の範囲(諸説)と時代の違い
- 範囲の説:学校文法では、敬語の補助動詞と「あり・をり」を補助動詞とするのが一般的です。「恋ひわたる」(ずっと〜し続ける)、「思ひそむ」(〜しはじめる)、「〜はつ」(すっかり〜する)なども補助動詞に含める説明がある一方、これらを複合動詞の下の部分として扱う説明もあります。
- 百人一首の例:88番「みをつくしてや恋ひわたるべき」の「わたる」は、「(これから先も)ずっと恋い続ける」の意味をそえています。
- 時代の違い:平安時代の丁寧語の中心は「侍り」、中世(平家物語など)は「候ふ」です。「候ふ」は平安時代には「さぶらふ」、のちに「さうらふ」と読まれました。
- 音便:「給ひて→給うて」「候ひて→候うて」のように、補助動詞も音便の形になります。
よくあるまちがい
まちがい1:「奉る」はいつも「〜申し上げる」と訳す
「御扇奉る」のように名詞を受ける「奉る」は本動詞で「差し上げる」。さらに本動詞には「召し上がる・お召しになる・お乗りになる」という尊敬の用法もあります。「〜申し上げる」は、連用形の下につく補助動詞のときだけです。
まちがい2:「給へ」を見たら全部尊敬にする
下に「ず・む・て・けり」など未然形・連用形接続の語があれば、下二段の謙譲。「思ひ給へて」は「思っておりまして」です。
まちがい3:補助動詞の「侍り」を「お仕えする」と訳す
「お仕えする」は本動詞の謙譲の意味。補助動詞の侍り・候ふは丁寧で、「〜です・〜ます・〜ございます」と訳します。
敬語の補助動詞の訳し分けで迷ったら、受験掲示板「100点BBS」の古典文法のお勉強で質問できます。
練習問題
やさしい
- 次の傍線部「あり」は本動詞か補助動詞か答えなさい。
① 山に寺あり。 ② 花の色白くあり。(ともに自作)答えと解説を見る
① 本動詞(寺がある)。すぐ上が名詞「寺」で、「ある」という自分の意味をもっています。② 補助動詞。形容詞の連用形「白く」の下について「白くある=白い」の意味をそえています。
- 次の補助動詞の敬語の種類(尊敬・謙譲・丁寧)を答えなさい。
① 見給ふ(四段) ② 書き奉る ③ 申し侍り答えと解説を見る
① 尊敬(ご覧になる) ② 謙譲(お書き申し上げる) ③ 丁寧(申します)。
ふつう
- 「中納言参りたまひて、御扇たてまつらせたまふに」(枕草子)の「たてまつら」は本動詞か補助動詞か。理由とともに答え、訳しなさい。
答えと解説を見る
本動詞。すぐ上が名詞「御扇」(を)で、連用形ではないからです。意味は「差し上げる」で、「御扇を差し上げなさるときに」と訳します(「せたまふ」は尊敬)。
- 「京にはあらで、田舎に住みけり。」(自作)の「あら」の文法的説明をしなさい。
答えと解説を見る
断定の助動詞「なり」の連用形「に」+係助詞「は」の下につく、補助動詞「あり」(ラ変)の未然形。下の「で」は打消の接続助詞。「都ではなくて、田舎に住んでいた」と訳します。
むずかしい
- 「かくなむ思ひ給ふる。」「人々、よろこび給へり。」(ともに自作)の「給ふる」「給へ」について、それぞれ活用の種類・活用形・敬語の種類を答えなさい。
答えと解説を見る
「給ふる」:ハ行下二段・連体形・謙譲(係助詞「なむ」の結び)。「このように思っております」。「給へ」:完了・存続の「り」が下にあるのでハ行四段・已然形(命令形とする説明もある)・尊敬。「人々がお喜びになっている」。
- 「姫君に文を書き奉り給ふ。」(自作)は、だれからだれへの敬意を表しているか。地の文であるとして説明しなさい。
答えと解説を見る
謙譲の補助動詞「奉り」は、書き手(作者)から、動作を受ける姫君への敬意。尊敬の補助動詞「給ふ」は、作者から、書く動作をする人(主語)への敬意。二方面への敬語で、補助動詞は「謙譲→尊敬」の順に並んでいます。
関連ページ
- 動詞の活用の種類と見分け方:補助動詞も動詞と同じように活用する
- 変格活用(カ変・サ変・ナ変・ラ変):あり・をり・侍り(ラ変)、おはす(サ変)
- 下二段活用:謙譲の「給ふ」(下二段)
- 主語の補い方:敬語の補助動詞から主語を決める
- 音便:「給うて」「候うて」
- 形容詞:カリ活用は「く+あり」
- 敬語の種類(尊敬・謙譲・丁寧):尊敬・謙譲・丁寧の三つの区別
- 主な敬語動詞の一覧:本動詞の敬語と補助動詞の対応
- 「給ふ」(四段と下二段):尊敬と謙譲の見分け
- 「侍り」「候ふ」:丁寧語の補助動詞
- 古文文法辞典の目次
読みもの(合格大作戦の記事)
- 古文の敬語
尊敬・謙譲・丁寧と、敬意の方向 - 古文の助動詞一覧
接続・意味・活用をまとめて見る地図 - 枕草子「春はあけぼの」
冒頭の段を品詞から読む - 古文単語の覚え方
入試に出る古文単語を、意味のつながりで覚える - 百人一首 全百首
全首の現代語訳・品詞・修辞
受験掲示板「100点BBS」で質問・相談しよう
- 古典文法のお勉強(スレ)(文法のわからない所を質問・答え合わせ)
- 古典の勉強方法(スレ)(古典の勉強の進め方)
- 共通テスト掲示板(共通テストの国語(古文)の対策)
- 国語の勉強掲示板(古文・漢文・現代文の勉強の相談)
よくある質問
補助動詞とは何ですか?
本来の意味がうすれ、上の語(おもに用言・助動詞の連用形)について意味をそえる動詞です。古文では給ふ・奉る・侍り・候ふなどの敬語の補助動詞と、あり・をりが代表です。
本動詞と補助動詞はどう見分けますか?
すぐ上に動詞・形容詞・助動詞の連用形(あいだに「て・に・も・こそ」などが入ることもある)があれば補助動詞、名詞などを受けて自分の意味で訳せれば本動詞です。
補助動詞の「侍り」「候ふ」はどう訳しますか?
丁寧の意味で「〜です・〜ます・〜ございます」と訳します。本動詞の「お仕えする」(謙譲)とは区別します。
「給ふ」の四段と下二段の違いは何ですか?
四段の給ふは尊敬(〜なさる)、下二段の給ふは謙譲(〜させていただく・〜ております)です。「給ふる」「給ふれ」や、「給へ」+ず・む・て・けりなら下二段です。
「にあり」の「あり」は補助動詞ですか?
はい。断定の「なり」の連用形「に」の下の「あり」は補助動詞で、「〜である」の意味をそえます。「京にはあらず」は「都ではない」と訳します。
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出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
- 例文の本文:源氏物語(桐壺)、枕草子(「中納言参りたまひて」の段・第一段)、平家物語(巻九「敦盛最期」)、徒然草(第五十二段)、百人一首(23・38・73・88番)。表記は読みやすいように一部改めています
- 高校の古典文法の標準的な説明(補助動詞・敬語の種類・下二段の「給ふ」・二方面への敬語)にもとづいて作成
- 画像:絵札「Hyakuninisshu 038.jpg」(パブリックドメイン、Wikimedia Commons)
最終更新:2026年10月21日/作成:大学受験合格大作戦



