【百人一首88番】難波江の葦のかりねのひとよゆゑ|意味・現代語訳・品詞分解(皇嘉門院別当)

【百人一首88番】難波江の葦のかりねのひとよゆゑ|意味・現代語訳・品詞分解(皇嘉門院別当)
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この歌の要点
歌
難波江の 葦のかりねの ひとよゆゑ みをつくしてや 恋ひわたるべき
意味
難波の入り江に生える葦の、刈り根の一節(ひとよ)のように短い、旅先でのたった一夜の仮寝(逢瀬)のために、私はこれから、澪標(みおつくし)のように身を尽くして、あの人を恋し続けなければならないのでしょうか。
作者
皇嘉門院別当(こうかもんいんのべっとう)
出典
『千載和歌集』恋三・806番
決まり字
「なにはえ」(4字決まり)
百人一首88番 皇嘉門院別当の絵札
皇嘉門院別当(江戸時代のかるた)

難波江の 葦のかりねの ひとよゆゑ

みをつくしてや 恋ひわたるべき

読みなにわえの あしのかりねの ひとよゆえ
みをつくしてや こいわたるべき

歴史的仮名遣いなにはえの あしのかりねの ひとよゆゑ
みをつくしてや こひわたるべき

難波の入り江の葦の刈り根の一節ほどの、短い一夜の旅の宿の逢瀬のために、私はこれから身を尽くして恋し続けるのでしょうか——掛詞を三つ重ねた皇嘉門院別当の歌です。

現代語訳(意味)

難波の入り江に生える葦の、刈り根の一節(ひとよ)のように短い、旅先でのたった一夜の仮寝(逢瀬)のために、私はこれから、澪標(みおつくし)のように身を尽くして、あの人を恋し続けなければならないのでしょうか。

語句の意味

語句読み意味・ポイント
難波江なにわえ難波(今の大阪)の入り江。葦や澪標で知られます。
かりねかりね「刈り根(刈った葦の根)」と「仮寝(旅先での仮の宿り)」の掛詞です。
ひとよひとよ「一節(ひとよ=葦の節と節の間)」と「一夜」の掛詞です。
みをつくしみおつくし「澪標(船の水路を示す杭)」と「身を尽くし(命をかける)」の掛詞です。
恋ひわたるべきこいわたるべき「恋し続けなければならないのだろうか」。「や」を受けて「べき」が連体形で結んでいます。

品詞分解

歌を単語に分けて、品詞と意味を示しています。色の付いた行が入試で特に問われる部分です。

単語品詞・活用意味・用法
難波江名詞
の格助詞
葦名詞
の格助詞
かりね名詞掛詞(刈り根/仮寝)
の格助詞
ひとよ名詞掛詞(一節/一夜)
ゆゑ名詞原因
みをつくし名詞「澪標」/連語「身を尽くし」掛詞
て接続助詞
や係助詞疑問
恋ひわたる動詞・ラ行四段「恋ひわたる」終止形
べき助動詞「べし」連体形当然(係り結び)

表現技法・文法のポイント

掛詞(三つ)

「かりね(刈り根/仮寝)」「ひとよ(一節/一夜)」「みをつくし(澪標/身を尽くし)」。

縁語

「難波江」「葦」「刈り根」「一節」「澪標」は、難波江に関係する言葉でつながっています。

係り結び

「や」を受けて「べき」が連体形になっています。

歌の背景・鑑賞

『千載和歌集』恋三に入っています。詞書によると、九条兼実の家の歌合で「旅宿逢恋(旅の宿で逢う恋)」という題で詠まれた歌です。旅先でのたった一夜の出会いが、一生続く恋になってしまうのか――という切なさを、難波江の景物に託して詠んでいます。20番「わびぬれば」と同じく「みをつくし」の掛詞が使われています。

諸説・伝説――想像をふくらませてみよう

昔のことなので、はっきりしないことも多くあります。ここでは、言い伝えやいろいろな説を紹介します。

主人の家の歌合で

この歌は、作者が仕えた皇嘉門院の弟・九条兼実の家の歌合で詠まれました。兼実は、のちに源頼朝と結んで朝廷の実権をにぎる政治家です。華やかな貴族の家の歌合で、旅の一夜の恋という題に挑んだのです。

崇徳院の悲劇を見た女性

作者が仕えた皇嘉門院は、崇徳院(77番)の中宮です。保元の乱で夫の崇徳院が讃岐に流されたあとも、皇嘉門院は都で暮らしました。作者はその悲しみをそばで見ていたのかもしれません。

作者:皇嘉門院別当

平安時代末期の女性歌人です。崇徳天皇(77番)の中宮・皇嘉門院(藤原聖子)に仕えたので、この名で呼ばれます。皇嘉門院は、76番の藤原忠通の娘です。主人の弟・九条兼実の家の歌合などで活躍しました。

決まり字と覚え方

百人一首88番の取り札(下の句)
取り札
なにはえ4字決まり

上の句が「なにはえ」まで読まれたら、取り札が決まります。「な」で始まる歌は8首あります。

覚え方:「なにはえ」と聞いたら「みをつくしてや」。難波江(なにはえ)で身を尽くして(みをつくして)、と覚えます。19番「なにはが」と4字目で分かれます。取り札は20番「みをつくしても」と最後の1字で見分けます。

入試で問われるポイント

  • 掛詞3つ(かりね・ひとよ・みをつくし)
  • 縁語
  • 係り結び(や→べき)
  • 20番との取り札の見分け

よくある質問

この歌の掛詞はいくつありますか?

三つです。「かりね(刈り根/仮寝)」「ひとよ(一節/一夜)」「みをつくし(澪標/身を尽くし)」です。

皇嘉門院とは誰ですか?

崇徳天皇の中宮・藤原聖子で、76番の藤原忠通の娘です。

20番の取り札との見分け方は?

88番は「みをつくしてや」、20番は「みをつくしても」です。最後の「や」と「も」で見分けます。

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画像:絵札「Hyakuninisshu 088」(パブリックドメイン)、取り札「Torifuda 088」(Cookai1205・CC0)/いずれも Wikimedia Commons。歌の本文・出典は『千載和歌集』ほか複数の資料で確認しています。
大学受験合格大作戦 最終更新:2026-10-04