【百人一首20番】わびぬれば今はた同じ難波なる|意味・現代語訳・品詞分解(元良親王)

【百人一首20番】わびぬれば今はた同じ難波なる|意味・現代語訳・品詞分解(元良親王)
Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
この歌の要点
歌
わびぬれば 今はた同じ 難波なる 身をつくしても 逢はむとぞ思ふ
意味
(二人の仲が知られて)こんなに思い悩んでいるのだから、今となってはもう、身を滅ぼしたのと同じことだ。難波にある澪標(みおつくし)のように、この身を尽くしても(命をかけても)、あなたに会おうと思う。
作者
元良親王(もとよししんのう)
出典
『後撰和歌集』恋五・961番
決まり字
「わび」(2字決まり)
百人一首20番 元良親王の絵札
元良親王(江戸時代のかるた)

わびぬれば 今はた同じ 難波なる

身をつくしても 逢はむとぞ思ふ

読みわびぬれば いまはたおなじ なにわなる
みをつくしても あわんとぞおもう

歴史的仮名遣いわびぬれば いまはたおなじ なにはなる
みをつくしても あはむとぞおもふ

こんなにつらいのなら、もう身を滅ぼしたのと同じこと。難波の澪標のように、命をかけてもあなたに会おう——許されない恋を詠んだ元良親王の歌です。

現代語訳(意味)

(二人の仲が知られて)こんなに思い悩んでいるのだから、今となってはもう、身を滅ぼしたのと同じことだ。難波にある澪標(みおつくし)のように、この身を尽くしても(命をかけても)、あなたに会おうと思う。

語句の意味

語句読み意味・ポイント
わびぬればわびぬれば「思い悩んでいるので」。已然形+ば で確定条件(原因・理由)です。
今はた同じいまはたおなじ「今となってはもう同じことだ」。「はた」は「また・やはり」。
難波なるなにわなる「難波にある」。「なる」は存在の「なり」です。
みをつくしみおつくし「澪標(船の通り道を示す杭)」と「身を尽くし(命をかける)」の掛詞です。
逢はむとぞ思ふあわんとぞおもう「会おうと思う」。「む」は意志、「ぞ」を受けて「思ふ」が連体形で結んでいます。

品詞分解

歌を単語に分けて、品詞と意味を示しています。色の付いた行が入試で特に問われる部分です。

単語品詞・活用意味・用法
わび動詞・バ行上二段「わぶ」連用形
ぬれ助動詞「ぬ」已然形完了
ば接続助詞確定条件(原因)
今名詞
はた副詞
同じ形容詞・シク活用「同じ」終止形
難波名詞
なる助動詞「なり」連体形存在
みをつくし名詞「澪標」/連語「身を尽くし」掛詞
て接続助詞
も係助詞
逢は動詞・ハ行四段「逢ふ」未然形
む助動詞「む」終止形意志
と格助詞
ぞ係助詞強意
思ふ動詞・ハ行四段「思ふ」連体形係り結び

表現技法・文法のポイント

掛詞

「みをつくし」に「澪標」と「身を尽くし」を掛けています。

係り結び

「ぞ」を受けて「思ふ」が連体形になっています。

存在の「なり」

「難波なる」は「難波にある」。7番「春日なる」と同じ用法です。

歌の背景・鑑賞

『後撰和歌集』恋五に入っています。詞書によると、宇多上皇の妃・京極御息所(藤原褒子)との恋が世間に知られてしまった後に、御息所に贈った歌です。許されない恋が明るみに出ても、なお会いたいという激しい思いが込められています。

諸説・伝説――想像をふくらませてみよう

昔のことなので、はっきりしないことも多くあります。ここでは、言い伝えやいろいろな説を紹介します。

親子で百人一首

元良親王は、13番の陽成院の子です。父は「恋ぞつもりて淵となりぬる」と恋の深さを詠み、子は「身を尽くしても逢はむ」と命がけの恋を詠みました。親子そろって情熱的な恋の歌が選ばれているのは、偶然でしょうか。

恋多き皇子

元良親王は、たくさんの女性に恋の歌を贈った色好みの風流人として知られ、その恋の歌を集めた『元良親王集』も作られました。その中でも、この歌の相手・京極御息所への思いは特に激しいものだったようです。

作者:元良親王

陽成天皇(13番)の第一皇子です。恋多き風流人として知られ、『大和物語』などに多くの恋の話が残っています。声がとても美しく、元日の儀式で読み上げる声が遠くまで響いたという話も伝わっています。

決まり字と覚え方

百人一首20番の取り札(下の句)
取り札
わび2字決まり

上の句が「わび」まで読まれたら、取り札が決まります。「わ」で始まる歌は7首あります。

覚え方:「わび」と聞いたら「みをつくしても」。わび(侘び)しくて身(み)を尽くす、と覚えます。88番の取り札「みをつくしてや」と最後で区別します。

入試で問われるポイント

  • 掛詞(澪標/身を尽くし)
  • 已然形+ば(確定条件)
  • 係り結び(ぞ→思ふ)
  • 存在の「なり」

よくある質問

「澪標(みおつくし)」とは何ですか?

海や川で、船が安全に通れる水路を示すために立てた杭です。今も大阪市の市章のデザインになっています。

誰に贈った歌ですか?

宇多上皇の妃・京極御息所(藤原褒子)に贈った歌とされます。

88番の「みをつくしてや」との違いは?

20番は「身を尽くしても 逢はむとぞ思ふ」、88番は「身を尽くしてや 恋ひわたるべき」です。取り札は最後の「も」と「や」で見分けます。

あわせて読みたい

画像:絵札「Hyakuninisshu 020」(パブリックドメイン)、取り札「Torifuda 020」(Cookai1205・CC0)/いずれも Wikimedia Commons。歌の本文・出典は『後撰和歌集』ほか複数の資料で確認しています。
大学受験合格大作戦 最終更新:2026-10-04