- 歌
- 瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ
- 意味
- 川の浅瀬の流れが速いので、岩にせき止められた急流が二つに分かれても、また下流で一つになるように、たとえ今は(あなたと)引き離されても、将来はきっと会おうと思う。
- 作者
- 崇徳院(すとくいん)
- 出典
- 『詞花和歌集』恋上・228番
- 決まり字
- 「せ」(1字決まり)

瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の
われても末に 逢はむとぞ思ふ
読みせをはやみ いわにせかるる たきがわの
われてもすえに あわんとぞおもう
歴史的仮名遣いせをはやみ いはにせかるる たきがはの
われてもすゑに あはむとぞおもふ
流れの速い川の水が岩にせき止められて二つに分かれても、また一つになるように、今は離れても将来きっとあなたと結ばれたい——悲運の天皇・崇徳院の一字決まり「せ」の歌です。
現代語訳(意味)
語句の意味
| 語句 | 読み | 意味・ポイント |
|---|---|---|
| 瀬をはやみ | せをはやみ | 「川の浅瀬の流れが速いので」。〈を+形容詞の語幹+み〉のミ語法です。 |
| せかるる | せかるる | 「せき止められる」。「るる」は受身の助動詞「る」の連体形です。 |
| 滝川 | たきがわ | 激しく流れる川、急流。 |
| われても | われても | 「(水が)分かれても」と「(二人が)別れても」の両方を表します。 |
| 末に逢はむ | すえにあわん | 「将来はきっと会おう」。「む」は意志です。 |
品詞分解
歌を単語に分けて、品詞と意味を示しています。色の付いた行が入試で特に問われる部分です。
| 単語 | 品詞・活用 | 意味・用法 |
|---|---|---|
| 瀬 | 名詞 | |
| を | 間投助詞 | ミ語法の「を」 |
| はや | 形容詞「はやし」の語幹 | |
| み | 接尾語 | 原因・理由 |
| 岩 | 名詞 | |
| に | 格助詞 | |
| せか | 動詞・カ行四段「せく」未然形 | |
| るる | 助動詞「る」連体形 | 受身 |
| 滝川 | 名詞 | |
| の | 格助詞 | 比喩 |
| われ | 動詞・ラ行下二段「わる」連用形 | |
| て | 接続助詞 | |
| も | 係助詞 | |
| 末 | 名詞 | |
| に | 格助詞 | |
| 逢は | 動詞・ハ行四段「逢ふ」未然形 | |
| む | 助動詞「む」終止形 | 意志 |
| と | 格助詞 | |
| ぞ | 係助詞 | 強意 |
| 思ふ | 動詞・ハ行四段「思ふ」連体形 | 係り結び |
表現技法・文法のポイント
「瀬をはやみ」は「流れが速いので」。1番・48番と同じ形です。
「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の」が、「われても末に逢ふ」を導く序詞です。
「ぞ」を受けて「思ふ」が連体形になっています。
歌の背景・鑑賞
『詞花和歌集』恋上に入っています。崇徳院が企画した『久安百首』の中の一首です。岩で二つに分かれた急流が、下流で再び一つになるように、引き離された恋人とも必ずまた会いたい――という、情熱的で力強い恋の歌です。
諸説・伝説――想像をふくらませてみよう
昔のことなので、はっきりしないことも多くあります。ここでは、言い伝えやいろいろな説を紹介します。
崇徳院は保元の乱に敗れて讃岐に流され、都へ帰ることを願い続けながら亡くなりました。その後、都で災いが続いたため、人々は崇徳院の怨霊を恐れ、菅原道真(24番)、平将門と並ぶ「日本三大怨霊」の一人に数えられるようになりました。
落語には、若旦那が茶店で出会ったお嬢さんに「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の」と上の句だけを書いた紙を渡され、下の句「われても末に逢はむとぞ思ふ」を手がかりに、二人が再会する「崇徳院」という噺があります。恋の歌として、江戸時代の人々にも愛されていたのです。
この歌は恋の歌として読むのがふつうですが、流罪となった崇徳院の人生を知ると、「いつか都に帰りたい」「引き離された人たちとまた会いたい」という願いが込められているようにも感じられます。
作者:崇徳院
第75代の天皇・崇徳天皇です。5歳で即位しましたが、父・鳥羽上皇に疎まれ、23歳で退位させられました。のちに弟の後白河天皇と争った保元の乱(1156年)に敗れて讃岐(香川県)に流され、その地で亡くなりました。和歌を深く愛し、『詞花和歌集』を作らせ、『久安百首』を企画しました。
決まり字と覚え方
上の句が「せ」まで読まれたら、取り札が決まります。「せ」で始まる歌は1首あります。
覚え方:「せ」と聞いたら「われてもすゑに」。一字決まり「むすめふさほせ」の「せ」です。瀬(せ)で割れても(われても)、と覚えます。
入試で問われるポイント
- ミ語法(瀬をはやみ)
- 受身「る」
- 序詞
- 係り結び(ぞ→思ふ)
- 保元の乱(日本史)
よくある質問
「瀬をはやみ」とはどういう意味ですか?
「川の浅瀬の流れが速いので」という意味です。ミ語法で理由を表しています。
一字決まりはどれですか?
77番は「せ」の一字決まりです。「むすめふさほせ」の「せ」にあたります。
崇徳院はどんな天皇ですか?
保元の乱で弟の後白河天皇に敗れ、讃岐に流された悲運の天皇です。和歌を深く愛しました。
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大学受験合格大作戦 最終更新:2026-10-04
