【百人一首77番】瀬をはやみ岩にせかるる滝川の|意味・現代語訳・品詞分解(崇徳院)

【百人一首77番】瀬をはやみ岩にせかるる滝川の|意味・現代語訳・品詞分解(崇徳院)
Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
この歌の要点
歌
瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の われても末に 逢はむとぞ思ふ
意味
川の浅瀬の流れが速いので、岩にせき止められた急流が二つに分かれても、また下流で一つになるように、たとえ今は(あなたと)引き離されても、将来はきっと会おうと思う。
作者
崇徳院(すとくいん)
出典
『詞花和歌集』恋上・228番
決まり字
「せ」(1字決まり)
百人一首77番 崇徳院の絵札
崇徳院(江戸時代のかるた)

瀬をはやみ 岩にせかるる 滝川の

われても末に 逢はむとぞ思ふ

読みせをはやみ いわにせかるる たきがわの
われてもすえに あわんとぞおもう

歴史的仮名遣いせをはやみ いはにせかるる たきがはの
われてもすゑに あはむとぞおもふ

流れの速い川の水が岩にせき止められて二つに分かれても、また一つになるように、今は離れても将来きっとあなたと結ばれたい——悲運の天皇・崇徳院の一字決まり「せ」の歌です。

現代語訳(意味)

川の浅瀬の流れが速いので、岩にせき止められた急流が二つに分かれても、また下流で一つになるように、たとえ今は(あなたと)引き離されても、将来はきっと会おうと思う。

語句の意味

語句読み意味・ポイント
瀬をはやみせをはやみ「川の浅瀬の流れが速いので」。〈を+形容詞の語幹+み〉のミ語法です。
せかるるせかるる「せき止められる」。「るる」は受身の助動詞「る」の連体形です。
滝川たきがわ激しく流れる川、急流。
われてもわれても「(水が)分かれても」と「(二人が)別れても」の両方を表します。
末に逢はむすえにあわん「将来はきっと会おう」。「む」は意志です。

品詞分解

歌を単語に分けて、品詞と意味を示しています。色の付いた行が入試で特に問われる部分です。

単語品詞・活用意味・用法
瀬名詞
を間投助詞ミ語法の「を」
はや形容詞「はやし」の語幹
み接尾語原因・理由
岩名詞
に格助詞
せか動詞・カ行四段「せく」未然形
るる助動詞「る」連体形受身
滝川名詞
の格助詞比喩
われ動詞・ラ行下二段「わる」連用形
て接続助詞
も係助詞
末名詞
に格助詞
逢は動詞・ハ行四段「逢ふ」未然形
む助動詞「む」終止形意志
と格助詞
ぞ係助詞強意
思ふ動詞・ハ行四段「思ふ」連体形係り結び

表現技法・文法のポイント

ミ語法

「瀬をはやみ」は「流れが速いので」。1番・48番と同じ形です。

序詞

「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の」が、「われても末に逢ふ」を導く序詞です。

係り結び

「ぞ」を受けて「思ふ」が連体形になっています。

歌の背景・鑑賞

『詞花和歌集』恋上に入っています。崇徳院が企画した『久安百首』の中の一首です。岩で二つに分かれた急流が、下流で再び一つになるように、引き離された恋人とも必ずまた会いたい――という、情熱的で力強い恋の歌です。

諸説・伝説――想像をふくらませてみよう

昔のことなので、はっきりしないことも多くあります。ここでは、言い伝えやいろいろな説を紹介します。

日本三大怨霊

崇徳院は保元の乱に敗れて讃岐に流され、都へ帰ることを願い続けながら亡くなりました。その後、都で災いが続いたため、人々は崇徳院の怨霊を恐れ、菅原道真(24番)、平将門と並ぶ「日本三大怨霊」の一人に数えられるようになりました。

落語「崇徳院」

落語には、若旦那が茶店で出会ったお嬢さんに「瀬をはやみ岩にせかるる滝川の」と上の句だけを書いた紙を渡され、下の句「われても末に逢はむとぞ思ふ」を手がかりに、二人が再会する「崇徳院」という噺があります。恋の歌として、江戸時代の人々にも愛されていたのです。

本当は誰への思い?

この歌は恋の歌として読むのがふつうですが、流罪となった崇徳院の人生を知ると、「いつか都に帰りたい」「引き離された人たちとまた会いたい」という願いが込められているようにも感じられます。

作者:崇徳院

第75代の天皇・崇徳天皇です。5歳で即位しましたが、父・鳥羽上皇に疎まれ、23歳で退位させられました。のちに弟の後白河天皇と争った保元の乱(1156年)に敗れて讃岐(香川県)に流され、その地で亡くなりました。和歌を深く愛し、『詞花和歌集』を作らせ、『久安百首』を企画しました。

決まり字と覚え方

百人一首77番の取り札(下の句)
取り札
せ1字決まり

上の句が「せ」まで読まれたら、取り札が決まります。「せ」で始まる歌は1首あります。

覚え方:「せ」と聞いたら「われてもすゑに」。一字決まり「むすめふさほせ」の「せ」です。瀬(せ)で割れても(われても)、と覚えます。

入試で問われるポイント

  • ミ語法(瀬をはやみ)
  • 受身「る」
  • 序詞
  • 係り結び(ぞ→思ふ)
  • 保元の乱(日本史)

よくある質問

「瀬をはやみ」とはどういう意味ですか?

「川の浅瀬の流れが速いので」という意味です。ミ語法で理由を表しています。

一字決まりはどれですか?

77番は「せ」の一字決まりです。「むすめふさほせ」の「せ」にあたります。

崇徳院はどんな天皇ですか?

保元の乱で弟の後白河天皇に敗れ、讃岐に流された悲運の天皇です。和歌を深く愛しました。

あわせて読みたい

画像:絵札「Hyakuninisshu 077」(パブリックドメイン)、取り札「Torifuda 077」(Cookai1205・CC0)/いずれも Wikimedia Commons。歌の本文・出典は『詞花和歌集』ほか複数の資料で確認しています。
大学受験合格大作戦 最終更新:2026-10-04