- 歌
- 淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に 幾夜寝覚めぬ 須磨の関守
- 意味
- 淡路島から飛び通ってくる千鳥の、もの悲しく鳴く声のために、須磨の関所の番人は、いったい幾晩、目を覚ましたことだろうか。
- 作者
- 源兼昌(みなもとのかねまさ)
- 出典
- 『金葉和歌集』冬・288番
- 決まり字
- 「あはぢ」(3字決まり)

淡路島 かよふ千鳥の 鳴く声に
幾夜寝覚めぬ 須磨の関守
読みあわじしま かようちどりの なくこえに
いくよねざめぬ すまのせきもり
歴史的仮名遣いあはぢしま かよふちどりの なくこゑに
いくよねざめぬ すまのせきもり
淡路島から通ってくる千鳥の鳴く声に、須磨の関所の番人は、いったい幾夜目を覚ましたことだろう——『源氏物語』の須磨の巻を思わせる、源兼昌の冬の歌です。
現代語訳(意味)
語句の意味
| 語句 | 読み | 意味・ポイント |
|---|---|---|
| 淡路島 | あわじしま | 兵庫県の淡路島。須磨の向かい側にあります。 |
| かよふ千鳥 | かようちどり | 飛び通ってくる千鳥。千鳥は冬の水辺の鳥で、寂しい鳴き声が和歌に詠まれました。 |
| 幾夜寝覚めぬ | いくよねざめぬ | 「幾晩目を覚ましたことだろう」。「ぬ」は完了の助動詞「ぬ」の終止形です。 |
| 須磨の関守 | すまのせきもり | 須磨(今の神戸市須磨区)の関所の番人。 |
品詞分解
歌を単語に分けて、品詞と意味を示しています。色の付いた行が入試で特に問われる部分です。
| 単語 | 品詞・活用 | 意味・用法 |
|---|---|---|
| 淡路島 | 名詞 | |
| かよふ | 動詞・ハ行四段「かよふ」連体形 | |
| 千鳥 | 名詞 | |
| の | 格助詞 | 主格 |
| 鳴く | 動詞・カ行四段「鳴く」連体形 | |
| 声 | 名詞 | |
| に | 格助詞 | 原因 |
| 幾夜 | 名詞 | |
| 寝覚め | 動詞・マ行下二段「寝覚む」連用形 | |
| ぬ | 助動詞「ぬ」終止形 | 完了 |
| 須磨 | 名詞 | |
| の | 格助詞 | |
| 関守 | 名詞 | 体言止め・呼びかけ |
表現技法・文法のポイント
「須磨の関守」を最後に置き、関守の寂しさを想像させています。
連用形「寝覚め」に付く「ぬ」は完了の助動詞です。打消の「ず」の連体形「ぬ」と区別しましょう。
光源氏が須磨に流された場面を思わせる、物語的な歌です。
歌の背景・鑑賞
『金葉和歌集』冬の部に入っています。詞書には「関路千鳥(関所の道の千鳥)」という題で詠んだとあります。須磨は、『源氏物語』で光源氏が都を離れてわび住まいをした場所として知られていました。冬の夜、千鳥の声で目を覚ます関守の孤独を想像した、物語的な歌です。
諸説・伝説――想像をふくらませてみよう
昔のことなので、はっきりしないことも多くあります。ここでは、言い伝えやいろいろな説を紹介します。
須磨は、『源氏物語』で光源氏が都を追われて暮らした場所です。源氏も、夜に千鳥の声を聞いて眠れない夜を過ごしました。兼昌は、源氏の気持ちになりきって、この歌を詠んだのかもしれません。
昭和の名女優・淡島千景の芸名は、この歌の「淡路島かよふ千鳥」から付けられたといわれています。千年前の歌が、昭和の映画スターの名前になったのです。
作者:源兼昌
平安時代後期の貴族・歌人、源兼昌(みなもとのかねまさ)です。官位には恵まれず、のちに出家しました。藤原忠通(76番)の家の歌合などで活躍した歌人です。
決まり字と覚え方
上の句が「あはぢ」まで読まれたら、取り札が決まります。「あ」で始まる歌は16首あります。
覚え方:「あはぢ」と聞いたら「いくよねざめぬ」。淡路(あはぢ)で幾夜(いくよ)、と覚えます。「あ」で始まる歌は多いので、3字目の「ぢ」まで聞きます。
入試で問われるポイント
- 「ぬ」の識別(完了)
- 倒置・体言止め
- 『源氏物語』須磨の巻との関係
よくある質問
須磨はどこですか?
今の兵庫県神戸市須磨区です。『源氏物語』で光源氏が都を離れて暮らした場所として知られます。
「寝覚めぬ」の「ぬ」は打消ですか?
連用形「寝覚め」に付いているので、完了の助動詞「ぬ」の終止形です。
なぜ千鳥の声で目を覚ますのですか?
冬の夜、千鳥のもの悲しい鳴き声が、寂しさをかき立てるからです。
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大学受験合格大作戦 最終更新:2026-10-04
