- 歌
- 秋風に たなびく雲の 絶え間より もれ出づる月の 影のさやけさ
- 意味
- 秋風に吹かれて、横に長く引いている雲の切れ間から、もれ出てくる月の光の、なんと澄みきって明るいことよ。
- 作者
- 左京大夫顕輔(藤原顕輔)(さきょうのだいぶあきすけ(ふじわらのあきすけ))
- 出典
- 『新古今和歌集』秋上・413番
- 決まり字
- 「あきか」(3字決まり)

秋風に たなびく雲の 絶え間より
もれ出づる月の 影のさやけさ
読みあきかぜに たなびくくもの たえまより
もれいずるつきの かげのさやけさ
歴史的仮名遣いあきかぜに たなびくくもの たえまより
もれいづるつきの かげのさやけさ
秋風に吹かれてたなびく雲の切れ間から、もれ出てくる月の光の、なんとくっきりと澄んで明るいことよ——藤原顕輔の、秋の月の名歌です。
現代語訳(意味)
語句の意味
| 語句 | 読み | 意味・ポイント |
|---|---|---|
| たなびく | たなびく | 雲や霞が横に長く引くこと。 |
| 絶え間 | たえま | とぎれた間、切れ間。 |
| もれ出づる | もれいずる | もれ出てくる。 |
| 影 | かげ | ここでは「光」のこと。古文の「影」は光を指すことが多い語です。 |
| さやけさ | さやけさ | くっきりと澄んで明るいこと。形容詞「さやけし」が名詞になった形です。 |
品詞分解
歌を単語に分けて、品詞と意味を示しています。色の付いた行が入試で特に問われる部分です。
| 単語 | 品詞・活用 | 意味・用法 |
|---|---|---|
| 秋風 | 名詞 | |
| に | 格助詞 | |
| たなびく | 動詞・カ行四段「たなびく」連体形 | |
| 雲 | 名詞 | |
| の | 格助詞 | |
| 絶え間 | 名詞 | |
| より | 格助詞 | 起点 |
| もれ出づる | 動詞・ダ行下二段「もれ出づ」連体形 | |
| 月 | 名詞 | |
| の | 格助詞 | |
| 影 | 名詞 | 光 |
| の | 格助詞 | |
| さやけさ | 名詞 | 体言止め |
表現技法・文法のポイント
「さやけさ」で終わり、月の光の美しさへの感動を余韻として残しています。
秋風→雲→切れ間→月の光と、視線が上へ、光のほうへと動いていきます。
古文の「影」は光を意味することが多い、入試頻出の語です。
歌の背景・鑑賞
『新古今和歌集』秋上に入っています。崇徳院(77番)が企画した『久安百首』の中の一首です。雲の切れ間から月の光が差す一瞬を、くっきりと描いた叙景歌で、秋の月を詠んだ歌の代表作の一つです。
諸説・伝説――想像をふくらませてみよう
昔のことなので、はっきりしないことも多くあります。ここでは、言い伝えやいろいろな説を紹介します。
顕輔の家は「六条藤家」と呼ばれる歌の名門で、柿本人麻呂(3番)の肖像画を祭る「人麻呂影供」という儀式を受け継いでいました。子の清輔(84番)もすぐれた歌人です。
顕輔は、崇徳院(77番)の命を受けて『詞花和歌集』を編集しました。この歌も、崇徳院の『久安百首』のために詠まれたものです。崇徳院と顕輔は、歌を通じて深く結ばれた主従だったのです。
作者:左京大夫顕輔(藤原顕輔)
平安時代後期の公卿・歌人、藤原顕輔(ふじわらのあきすけ)です。歌の家「六条藤家」の二代目で、崇徳院の命で『詞花和歌集』を編集しました。84番の藤原清輔は顕輔の子です。
決まり字と覚え方
上の句が「あきか」まで読まれたら、取り札が決まります。「あ」で始まる歌は16首あります。
覚え方:「あきか」と聞いたら「もれいづるつきの」。秋風(あきかぜ)で月がもれ(もれ)る、と覚えます。1番「あきの」と3字目で分かれます。
入試で問われるポイント
- 「影」=光
- 「さやけし」の意味
- 体言止め
- 『詞花和歌集』の撰者
よくある質問
「月の影」とは何ですか?
月の光のことです。古文の「影」は、光を意味することが多いので注意しましょう。
「さやけさ」とはどういう意味ですか?
「くっきりと澄んで明るいこと」です。形容詞「さやけし」が名詞になった形です。
1番「あきの」との見分け方は?
79番は「秋風に」、1番は「秋の田の」です。3字目の「か」と「の」で決まります。
あわせて読みたい
- 84番「ながらへば」(藤原清輔朝臣・雑)
- 77番「瀬をはやみ」(崇徳院・恋)
- 1番「秋の田の」(天智天皇・秋)
- 23番「月見れば」(大江千里・秋)
- 57番「めぐり逢ひて」(紫式部・雑)
大学受験合格大作戦 最終更新:2026-10-04
