
この記事の結論
- 中秋の名月とは、旧暦(太陰太陽暦)の8月15日の夜の月のこと。「十五夜」「芋名月」とも呼びます。2026年は9月25日でした
- 旧暦の15日の月は必ずしも満月ではありません。2026年の満月は9月27日で、名月より2日あとでした(国立天文台)
- 古文では月の名前(十六夜・立待月・居待月など)がよく出ます。秋の月の歌の代表が、百人一首23番 大江千里(おおえのちさと)の「月見れば千々に物こそ悲しけれ」です

「うさぎ うさぎ なに見て はねる 十五夜お月さま 見て はねる」。昔から歌いつがれてきた童謡(わらべうた)にも出てくる「十五夜」は、秋のお月見の夜のことです。この記事では、中秋の名月の意味・日付・満月とずれる理由から、古文に出る月の名前、そして百人一首23番「月見れば」まで、受験生が知っておきたいことをまとめました。
中秋の名月(十五夜)とは
中秋の名月は、旧暦の8月15日の夜に見える月です。旧暦では7月・8月・9月が秋なので、8月15日は秋のちょうど真ん中。この日の月は空気が澄んで美しく見えるとして、平安時代の貴族は月をながめて和歌を詠み、宴(うたげ)を開きました。月見の習わしは中国から伝わったといわれます。
今の暦(新暦)では、中秋の名月は毎年9月上旬から10月上旬のあいだのどこかになります。旧暦は月の満ち欠けで日付を決めるので、新暦では毎年日付が動くのです。
お月見のお供え:月見団子・ススキ・里芋
十五夜には、月見団子・ススキ・その年にとれた作物を供えて、月をながめます。団子の数や形は地域によってちがいます。ススキは稲穂に見立てたものといわれます。里芋を供える地域も多いことから、十五夜の月は「芋名月(いもめいげつ)」とも呼ばれます。秋の収穫に感謝する行事でもあるのです。
中秋の名月はなぜ満月とずれる?
「十五夜=満月」と思われがちですが、名月の日と満月の日は1〜2日ずれることがよくあります。理由は、日付の決め方がちがうからです。
- 旧暦の日付:新月(朔=さく)の瞬間をふくむ日を「1日(ついたち)」として数えます。そこから15日目が十五夜です。
- 満月:地球から見て、月が太陽のちょうど反対側に来る瞬間のことです。
新月から満月までは平均でおよそ15日弱ですが、月の通り道は楕円(だえん)なので、月の進む速さが変わり、毎回少しずつちがいます。また、新月の瞬間がその日の朝なのか夜なのかでも、数え方が変わります。そのため、15日目の夜の月が、まだ満月の少し手前だったり、満月を少し過ぎていたりするのです。国立天文台の暦計算室も「名月必ずしも満月ならず」として、十四夜の月から十七夜の月までが満月になりうると説明しています。
2026年〜2032年の中秋の名月と満月の日付
| 年 | 中秋の名月(十五夜) | 満月の日時 | 満月は名月の |
|---|---|---|---|
| 2026年 | 9月25日(金) | 9月27日 1時49分 | 2日後 |
| 2027年 | 9月15日(水) | 9月16日 8時04分 | 1日後 |
| 2028年 | 10月3日(火) | 10月4日 1時25分 | 1日後 |
| 2029年 | 9月22日(土) | 9月23日 1時29分 | 1日後 |
| 2030年 | 9月12日(木) | 9月12日 6時18分 | 同じ日 |
| 2031年 | 10月1日(水) | 10月1日 3時58分 | 同じ日 |
| 2032年 | 9月19日(日) | 9月19日 18時30分 | 同じ日 |
※日付は国立天文台 暦計算室の表によるものです(日本時間)。2030年〜2032年は名月と満月が同じ日になります。2033年は、旧暦の月の決め方がうまくいかない「旧暦2033年問題」があり、国立天文台の表では9月8日と10月7日の2つが示されています。もっと先の年まで知りたい人は2050年までの中秋の名月と満月の関係表も見てください。
うかるくん
十五夜って満月のことだと思ってました!ずれることがあるんですね。
合格先生
そう、2026年は2日もずれたよ。旧暦は「新月の日から数える」暦、満月は「月と太陽の位置で決まる瞬間」。ものさしがちがうから、ずれて当然なんだ。
サクラちゃん
じゃあ、昔の人が見ていた「十五夜」も、ちょっと欠けていたかもしれないんですね。
合格先生
その通り。それでも「十五夜の月」として大切にしてきた。古文を読むときは、「日付=月の形」とおおよそ思っておけば大丈夫だよ。
「中秋」と「仲秋」の違い
「ちゅうしゅう」と読む言葉には「中秋」と「仲秋」の2つがあり、意味がちがいます。
| 言葉 | 意味 | 指す期間 |
|---|---|---|
| 仲秋(ちゅうしゅう) | 秋の3か月(孟秋・仲秋・季秋)のうちの真ん中の月 | 旧暦8月のひと月 |
| 中秋(ちゅうしゅう) | 秋(旧暦7〜9月)のちょうど真ん中の日 | 旧暦8月15日の1日 |
「孟(もう)・仲(ちゅう)・季(き)」は、兄弟の順番(長男・次男・末っ子)を表す字でもあり、季節の3か月を「はじめ・なか・おわり」に分けて呼ぶのに使われます。8月15日の月は「秋の真ん中の日」の月なので「中秋の名月」と書くのが本来の形です。「仲秋の名月」と書いても「仲秋(8月)の名月」として意味は通じますが、入試や作文では「中秋の名月」と書いておけば安心です。旧暦8月の別名は葉月(はづき)。月の名前は旧暦の月の名前(睦月〜師走)一覧でまとめて覚えましょう。
古文に出る月の名前(十六夜・立待月・居待月など)
旧暦は月の満ち欠けで日付を決めたので、昔の人は日付を聞けば月の形と出る時刻がわかりました。古文の月の名前は、そのまま日付と時間を表しているのです。
| 旧暦の日 | 名前(読み) | 意味・覚え方 |
|---|---|---|
| 1日 | 新月・朔(さく)、朔日(ついたち) | 月が見えない日。「ついたち」は「月立ち(つきたち)」から |
| 3日 | 三日月(みかづき) | 夕方の西の空に細く見える |
| 15日 | 十五夜・望月(もちづき) | 満月のころの月。「望(ぼう)」も満月の意味 |
| 16日 | 十六夜(いざよい) | 「いさよふ(ためらう)」から。前の晩より月の出がおそく、ためらうように出る |
| 17日 | 立待月(たちまちづき) | 立って待っているうちに出る月 |
| 18日 | 居待月(いまちづき) | 「居」はすわること。すわって待つうちに出る月 |
| 19日 | 寝待月(ねまちづき)・臥待月(ふしまちづき) | 寝ころんで待つほど出がおそい月 |
| 20日 | 更待月(ふけまちづき) | 夜が更けてからやっと出る月 |
| 16日以降 | 有明の月(ありあけのつき) | 夜が明けても空に残っている月 |
| 30日ごろ | 晦(つごもり)・晦日(みそか) | 「月隠り(つきごもり)」から。月が見えなくなる |
ほかに、旧暦9月13日の月を十三夜(じゅうさんや)といい、十五夜と並ぶお月見の日です。栗や豆を供えるので「栗名月」「豆名月」、十五夜のあとの月なので「後(のち)の月」とも呼ばれます。十五夜だけ見て十三夜を見ないことを「片見月(かたみづき)」といってきらう風習もありました。また、旧暦10月10日には十日夜(とおかんや)という収穫を祝う行事が東日本を中心にあり、この夜の月を見る地域もあります。
「望月」といえば、藤原道長の「この世をば我が世とぞ思ふ望月の欠けたることもなしと思へば」も有名です。満月を「欠けたところのない自分の栄華」にたとえた歌として、日本史でもよく出てきます。

合格先生
入試では「十六夜=いざよい」の読みと、「立待→居待→寝待→更待」の順番がよく問われるよ。立つ→すわる→寝る→夜が更けると、待つ人の姿勢がだんだんくずれていくと覚えよう!
百人一首23番「月見れば」の意味と現代語訳
十五夜のころの秋の月を詠んだ歌として、ぜひ覚えたいのが百人一首23番です。
月見れば 千々に物こそ 悲しけれ
わが身ひとつの 秋にはあらねど
つきみれば ちぢにものこそ かなしけれ わがみひとつの あきにはあらねど
作者:大江千里(おおえのちさと)/出典:『古今和歌集』秋上/決まり字:つき(2字決まり)
現代語訳:秋の月を眺めていると、あれこれと限りなく物悲しい思いがわいてくることだ。秋は、私一人のためにやって来たわけではないのだけれど。
| 言葉 | 読み | 意味 |
|---|---|---|
| 月見れば | つきみれば | 月を見ると。已然形(いぜんけい)+「ば」で「〜すると」 |
| 千々に | ちぢに | さまざまに。限りなく |
| 物こそ悲しけれ | ものこそかなしけれ | なんとなく悲しいことだ。「こそ」+已然形「悲しけれ」の係り結び |
| わが身ひとつ | わがみひとつ | 私一人 |
| あらねど | あらねど | 〜ではないけれど。打消「ず」の已然形「ね」+逆接の「ど」 |
技法:「千々」と「ひとつ」の対比(対句的な表現)
この歌の一番の工夫は、上の句の「千々(ちぢ)」と下の句の「ひとつ」を、数の上で対にしていることです。「千」と「一」を並べることで、心に浮かぶ悲しみの多さと、ひとりぼっちの自分がくっきり浮かび上がります。漢詩の「対句(ついく)」のように言葉を向かい合わせた、漢詩の教養がある人らしい表現です。「悲しけれ」で意味が切れる三句切れで、下の句が「秋は私一人のものではないのに」と理由をそえる形になっています。
白居易(白楽天)の漢詩「燕子楼」をふまえたとされる
この歌は、唐の詩人白居易(はくきょい)=白楽天(はくらくてん)の詩「燕子楼(えんしろう)」の一句をもとにしたとされます(諸説あり)。
燕子楼中霜月夜 秋来只為一人長
(燕子楼中 霜月の夜、秋来たって 只(ただ)一人の為に長し)
「燕子楼」は、主人を亡くしたあとも一人でその楼(高い建物)に住み続けた女性の思いを詠んだ詩として知られます。漢詩では「秋の夜は、ただ私一人のために長い」と孤独を強く言うのに対して、千里は「秋は私一人のために来たのではないけれど」と、いったん打ち消しています。それでも悲しくなってしまう、と詠むことで、かえって悲しみの深さが伝わるのです。白居易の詩は平安時代の貴族に広く読まれ、『枕草子』や『源氏物語』にも影響をあたえました。
歌の詳しい文法・覚え方は百人一首23番「月見れば」の意味・現代語訳・決まり字のページで確かめましょう。
作者・大江千里(おおえのちさと)はどんな人?
- 時代:平安時代前期の歌人・学者。生まれた年と亡くなった年ははっきりわかっていません(生没年未詳)。
- 家:学者の家として知られる大江氏の出身。父は参議の大江音人(おおえのおとんど)とされます(大江玉淵の子とする説もあります)。
- 学問:大学寮で学んだ漢学の学者でした。
- 『句題和歌(くだいわか)』:宇多天皇の命で、漢詩の句を題にして和歌を詠んだ歌集をまとめ、献上しました。献上の年は寛平6年(894年)とする説明が多い一方、序文の日付は寛平9年(897年)で、年には説があります。『大江千里集』とも呼ばれます。漢詩と和歌をつなぐ試みとして知られます。
- 評価:中古三十六歌仙の一人。『古今和歌集』をはじめ、勅撰和歌集に歌が選ばれています。
23番の歌は、『古今和歌集』の詞書(ことばがき)によると、是貞親王(これさだのみこ)の家の歌合(うたあわせ)で詠まれたものです。この歌合には紀貫之(35番)や文屋朝康(37番)、源宗于(28番)なども加わったとされ、同じ秋の夜に名歌人たちが腕をきそったのかもしれません。
大江氏は、その後もすぐれた学者や歌人を出しました。73番「高砂の」の大江匡房(まさふさ)は大江氏の人で、59番の赤染衛門は大江匡衡(まさひら)の妻です。また、父の音人は平城天皇の皇子・阿保親王の子だったという言い伝えがあり、それに従うと千里は在原行平(16番)・在原業平(17番)の甥(おい)にあたります。ただし、この言い伝えには疑問を示す研究者もいて、諸説ありです。
なお、同じ漢字の「大江千里(おおえせんり)」という現代の音楽家がいますが、別人です。百人一首の作者は「おおえのちさと」と読みます。
サクラちゃん
漢詩をもとに和歌を作るって、なんだか難しそうですね。
合格先生
千里は漢文の専門家だったから、中国の詩を日本の和歌に「訳し直す」ことができたんだ。漢文と古文の両方が出る共通テストの受験生には、いいお手本だね。
うかるくん
「つき」と聞いたら「わがみひ」!決まり字も覚えました!
百人一首のほかの月の歌
百人一首には、月を詠んだ歌がたくさんあります。23番と合わせて覚えると、古文の「月」のイメージがつかめます。
| 番号 | 歌(上の句) | 作者 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 7番 | 天の原 ふりさけ見れば 春日なる | 阿倍仲麻呂 | 唐の国で故郷の月を思う |
| 21番 | 今来むと いひしばかりに 長月の | 素性法師 | 長月(9月)の有明の月 |
| 57番 | めぐり逢ひて 見しやそれとも 分かぬ間に | 紫式部 | 雲に隠れた夜半の月に友をたとえる |
| 59番 | やすらはで 寝なましものを さ夜更けて | 赤染衛門 | 西に傾くまで月を見て待つ |
| 68番 | 心にも あらで憂き世に ながらへば | 三条院 | 恋しく思い出すであろう夜半の月 |
| 79番 | 秋風に たなびく雲の 絶え間より | 左京大夫顕輔 | 雲間からもれる秋の月の光 |
| 86番 | 嘆けとて 月やはものを 思はする | 西行法師 | 涙を月のせいにする |
全百首は百人一首 全百首の一覧、腕だめしは百人一首クイズでどうぞ。
二十四節気とのつながり:白露・秋分・寒露のころ
中秋の名月は、二十四節気でいうと白露(はくろ、9月8日ごろ)から秋分(しゅうぶん、9月23日ごろ)をはさんで、寒露(かんろ、10月8日ごろ)までのあいだにやってきます。旧暦では、秋分をふくむ月を8月とする決まりがあるため、十五夜はかならず秋分の前後になるのです。
英語では harvest moon(ハーベストムーン)
英語には harvest moon(収穫の月)という言葉があります。英語圏では一般に、秋分(autumnal equinox)にいちばん近い満月のことと説明されます。アメリカ航空宇宙局(NASA)も同じように説明していて、明るい月の光のおかげで、農家が日が暮れてからも収穫を続けられたことが名前の由来とされます。
中秋の名月が「旧暦の8月15日」という日付で決まるのに対し、harvest moon は「秋分に近い満月」で決まります。どちらも秋分のころの月なので重なることが多いのですが、決め方はちがいます。英作文で「中秋の名月」を説明するなら、the harvest moon や the mid-autumn moon を使い、「旧暦8月15日の月」とひとこと補うとよいでしょう。
入試で問われるポイント
- 旧暦の季節:8月は秋(仲秋)。中秋の名月は秋の季語。
- 月の名前の読み:十六夜(いざよい)、立待月・居待月・寝待月(臥待月)・更待月、有明の月。
- 日付と月の形:「十五夜」「望月」は満月のころ。「有明の月」は夜明けに残る月。
- 23番の文法:「こそ→悲しけれ」の係り結び、「あらねど」の分解、「千々」と「ひとつ」の対比。
- 漢詩との関係:白居易「燕子楼」をふまえた表現(句題和歌)。
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よくある質問
中秋の名月とはいつのことですか?
旧暦(太陰太陽暦)の8月15日の夜の月です。今の暦では毎年9月上旬から10月上旬のあいだになり、2026年は9月25日でした。
中秋の名月は必ず満月ですか?
いいえ。旧暦の15日と満月の瞬間は決め方がちがうため、1〜2日ずれることがよくあります。2026年は名月が9月25日、満月が9月27日でした(国立天文台)。
「中秋」と「仲秋」はどう違いますか?
仲秋は秋の3か月の真ん中の月で、旧暦8月のひと月を指します。中秋は秋のちょうど真ん中の日で、旧暦8月15日を指します。
十六夜はなんと読みますか?
「いざよい」と読みます。旧暦16日の月のことで、ためらう意味の古語「いさよふ」が由来です。
百人一首23番「月見れば」の作者は誰ですか?
平安時代前期の歌人・学者の大江千里(おおえのちさと)です。大江音人の子とされ、漢詩の句を題にした『句題和歌』をまとめました。
「月見れば」の歌のもとになった漢詩は何ですか?
唐の白居易(白楽天)の詩「燕子楼」の一句「燕子楼中霜月夜 秋来只為一人長」をふまえたものとされます。
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出典・参考
- 国立天文台 暦計算室「暦Wiki:名月必ずしも満月ならず」(2024〜2035年の中秋の名月と満月の日時)
- 国立天文台「ほしぞら情報:中秋の名月(2026年9月)」
- NASA Science「Harvest Moon」
- 『古今和歌集』秋上(詞書「是貞のみこの家の歌合によめる」)
- 白居易「燕子楼」
- 大江千里の系譜・伝承には諸説あり、代表的な説を掲載しています
最終更新:2026年10月14日/作成:大学受験合格大作戦












