古文文法辞典 › 助詞
大学受験
ひとことで言うと
間投助詞は、文の途中や終わりに入れて呼びかけ・詠嘆・調子を整える助詞で、古文では「や・よ・を」が代表です。取り除いても意味が変わらず、結びをとらないことで係助詞と見分けます。
このページのポイント
- 間投助詞はや・よ・を(呼びかけ・詠嘆・語調)
- 取り除いても文の組み立てが変わらない=合いの手
- 「や」は結びと疑問の意味がなければ間投助詞
- 「AをBみ」=「AがBなので」
- 「起きよ」「せよ」の「よ」は命令形の一部
はじめて(やさしく)
間投助詞は、文の途中や終わりに入れて、呼びかけたり、感動をこめたり、調子を整えたりする助詞です。古文の間投助詞は「や・よ・を」の3つが代表です。
現代語でも、「きのうね、駅でさ、友だちに会ったよ」のように、話の途中に「ね」「さ」を入れることがあります。この「ね」「さ」は、取ってしまっても意味は変わりません。でも、あると話し手の気持ちや話しぶりが伝わります。間投助詞は、ちょうどこの「合いの手」のようなことばです。「間投」は「ことばの間に投げ入れる」という意味です。
サクラちゃん
「や」って、係り結びの「や」じゃないの?
合格先生
「や」には3種類あるんだ。疑問の係助詞、文の終わりの終助詞、そして今日の間投助詞。百人一首100番「百敷や古き軒端の……」の「や」は、「宮中よ」としみじみ呼びかける間投助詞だよ。
うかるくん
係助詞だったら、歌の終わりが連体形になるはずだよね。
合格先生
そのとおり! この歌の終わりは「昔なりけり」で、「けり」は終止形。結びがないから、係助詞ではないとわかるんだ。

間投助詞のはたらきは、大きく3つにまとめられます。人やものに呼びかける、しみじみと感動する(詠嘆)、和歌のリズムなどの調子を整える、の3つです。訳すときは「〜よ」「〜なあ」とするか、調子を整えるだけのものは訳さないのがふつうです。
「や」のほかにどんな助詞があるかは、助詞の種類のページで全体を見られます。わからない所は、受験掲示板「100点BBS」の古典文法のお勉強で質問してみましょう。
しっかり(大学受験の基礎〜標準)
間投助詞「や・よ・を」の意味と訳し方(一覧)
| 語 | 主な意味 | つく位置 | 訳し方 | 例 |
|---|---|---|---|---|
| や | 詠嘆・呼びかけ・語調を整える | 文節の切れ目、文末 | 〜よ・〜なあ(語調なら訳さない) | 百敷や(100番)、焼くや藻塩の(97番) |
| よ | 呼びかけ・詠嘆 | 体言など、文末 | 〜よ | 玉の緒よ(89番)、少納言よ(枕草子) |
| を | 詠嘆・強調 | 文節の切れ目、文末 | 〜よ・〜なあ(訳さないことも多い) | 瀬をはやみ(77番) |
間投助詞は、いろいろな語(体言・活用語・助詞など)について、文節の切れ目や文の終わりに入ります。接続のきまりがゆるく、取り除いても文の組み立てがくずれないのが最大の特ちょうです。文末に来る「や」「よ」は、文法書によっては終助詞に分類されることもあります。
例文で確かめる:「や」
百敷や古き軒端のしのぶにもなほあまりある昔なりけり
(百人一首100番・順徳院(百敷や))
現代語訳宮中よ。その古びた軒端に生えているしのぶ草を見るにつけても、しのんでもしのびきれない、(栄えていた)昔であることよ。
来ぬ人をまつほの浦の夕なぎに焼くや藻塩の身もこがれつつ
(百人一首97番・権中納言定家(藤原定家)「来ぬ人を」)
現代語訳いくら待っても来ない人を待つ私は、松帆の浦の夕なぎのころに焼く藻塩のように、身も恋いこがれていることだ。
きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに衣かたしきひとりかも寝む
(百人一首91番・後京極摂政前太政大臣(藤原良経)「きりぎりす」)
現代語訳こおろぎが鳴く、霜のおりる寒い夜の、むしろの上に、衣の片袖を敷いて、ひとりさびしく寝るのだろうか。
例文で確かめる:「よ」
玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする
(百人一首89番・式子内親王(玉の緒よ))
現代語訳わたしの命よ、絶えてしまうのなら絶えてしまえ。このまま生きながらえていると、(恋を)こらえ忍ぶ心が弱ってしまうと困るから。
少納言よ、香炉峰の雪いかならむ。
(枕草子「雪のいと高う降りたるを」の段(中宮定子(藤原定子)のことば))
現代語訳少納言よ、香炉峰の雪はどうでしょう。
ほかに、百人一首83番「世の中よ道こそなけれ」の「よ」は詠嘆(世の中というものはなあ)、74番「憂かりける人を初瀬の山おろしよ」の「よ」は山おろしの風への呼びかけです。
例文で確かめる:「を」と「〜を〜み」の形
間投助詞の「を」は、和歌によく出る「名詞+を+形容詞の語幹+み」の形で覚えるのが近道です。「み」は原因・理由を表す接尾語で、「AをBみ」は「AがBなので」と訳します。この「を」は、間投助詞と説明されることが多い一方、格助詞とする説明もあります。
瀬をはやみ岩にせかるる滝川のわれても末に逢はむとぞ思ふ
(百人一首77番・崇徳院(崇徳天皇)「瀬をはやみ」)
現代語訳川の瀬の流れが速いので、岩にせきとめられる急流が二つに分かれても、また先で一つになるように、(あの人と今は別れても)将来きっと逢おうと思う。

合格先生
「AをBみ」が出たら、「AがBなので」と機械的に訳してOK。百人一首の1番・48番・77番でまとめて覚えよう!
もっと深く(難関大・上級者)
1. 「や」の識別:係助詞・終助詞・間投助詞
入試で間投助詞が問われるのは、ほとんどが「や」の識別です。手順は次のとおりです。
- 文末にあれば、終助詞(疑問・詠嘆)。伊勢物語第九段「わが思ふ人はありやなしやと」は、終止形について文を言い切る疑問の「や」です(引用の「と」の上で問いかけが言い切られている。係助詞で結びが省略された形とする説明もある)。
- 文中にあって、文末が連体形で結ばれ、疑問・反語の意味(〜か)があれば係助詞。百人一首40番「ものや思ふと」は、「もの思いをしているのか」と問う係助詞で、結びは連体形「思ふ」(係り結び)。
- どちらでもなく、結びがなく、疑問の意味もなく、取り除いても意味が変わらないなら間投助詞。
とくに注意したいのは、「連体形+や+体言」の形です。97番「焼くや藻塩の」、91番「鳴くや霜夜の」は、どちらも連体形が下の体言にかかる途中に「や」が入っているだけで、疑問の意味も結びもありません。これを係助詞と答えるのが、いちばん多いまちがいです。
2. 説が分かれる「や」
百人一首10番「これやこの行くも帰るも別れては知るも知らぬも逢坂の関」の「や」は、詠嘆の間投助詞(「これがあの……なのだなあ」)と説明されることが多い一方、疑問の係助詞(結びの省略)とみる説明もあります。どちらの説でも、訳は「これがあの有名な逢坂の関なのか(なのだなあ)」となり、感動をこめた言い方であることは変わりません。このように、詠嘆と疑問の境目にある「や」は、文法書によって分類が違うことがあります。
3. 「よ」の識別:助詞か、命令形の一部か
「よ」で終わる語を見たら、上の語を確かめます。体言(名詞)や文についていれば間投助詞ですが、上一段・上二段・下二段・サ変動詞の命令形「見よ・起きよ・受けよ・せよ」の「よ」は、命令形の活用語尾の一部で、助詞ではありません(上二段活用・変格活用)。品詞分解で「起き/よ」と切ってしまうのは誤りです。
4. 「を」の識別:格助詞・接続助詞・間投助詞
- 格助詞:体言について動作の対象を示す(「竹を取る」)。現代語の「を」とほぼ同じ。
- 接続助詞:連体形について「〜のに・〜ので・〜ところ」と前後をつなぐ(接続助詞)。
- 間投助詞:「〜を〜み」の「を」や、詠嘆・強調の「を」。取り除くか「が」に置きかえても文が通ります。
- 文末の「ものを」は、「〜のになあ」と詠嘆する終助詞とする説明が多く、逆接の接続助詞とみることもあります。百人一首74番「はげしかれとは祈らぬものを」がその例です(終助詞)。
5. 間投助詞と終助詞の境目(分類の違い)
学校文法では、間投助詞を「文節の切れ目に自由に入るもの」、終助詞を「文末にだけつくもの」と分けます。ただ、「や」「よ」は文中にも文末にも出るため、文末の詠嘆の「や」「よ」を終助詞とする文法書もあれば、間投助詞を終助詞にまとめて扱う文法書もあります。入試の選択肢で「間投助詞」が無いときは、文末の詠嘆・呼びかけは「終助詞」を選ぶ、と考えてよいでしょう。
うかるくん
間投助詞って、取っても意味が変わらないなら、覚えなくてもいい気がしてきた……。
合格先生
ところが入試では「係助詞と区別できるか」が問われるんだ。結びがあるか、疑問の意味があるかの2点を確かめるくせをつけよう。
サクラちゃん
「焼くや藻塩」「鳴くや霜夜」は、連体形+や+体言で間投助詞。これでもうまちがえない!
よくあるまちがい
まちがい1:文中の「や」をすべて係助詞にする
「焼くや藻塩の」「百敷や」の「や」は間投助詞。結び(文末の連体形)がなく、疑問の意味もありません。文末の形を必ず確かめましょう。
まちがい2:「瀬をはやみ」を「瀬を速くして」と訳す
「AをBみ」は「AがBなので」。「を」は「が」、「み」は「〜ので」と訳します。
まちがい3:「起きよ」の「よ」を間投助詞とする
上二段動詞「起く」の命令形「起きよ」の一部です。上が体言なら助詞、動詞の命令形なら活用語尾、と覚えましょう。
練習問題
やさしい
- 古文の間投助詞を3つ答えなさい。
答えと解説を見る
や・よ・を。呼びかけ・詠嘆・語調を整えるはたらきをします。
- 「瀬をはやみ」(百人一首77番)を現代語に訳しなさい。
答えと解説を見る
瀬(川の流れ)が速いので。「AをBみ」=「AがBなので」の形です。
ふつう
- 次の「よ」のうち、間投助詞はどれですか。(自作をふくむ)
ア 玉の緒よ絶えなば絶えね イ とく起きよ ウ これを見よ答えと解説を見る
ア。体言「玉の緒」への呼びかけです。イは上二段「起く」の命令形「起きよ」、ウは上一段「見る」の命令形「見よ」の一部です。
- 百人一首91番「きりぎりす鳴くや霜夜のさむしろに」の「や」の種類を答え、そう判断できる理由を説明しなさい。
答えと解説を見る
間投助詞(詠嘆・語調)。連体形「鳴く」が体言「霜夜」にかかる途中に入っているだけで、疑問の意味も、「や」に対応する結びもありません。
むずかしい
- 次の「や」を、係助詞・終助詞・間投助詞に分けなさい。
① 百敷や古き軒端の(百人一首100番) ② ものや思ふと人の問ふまで(百人一首40番) ③ わが思ふ人はありやなしやと(伊勢物語)答えと解説を見る
① 間投助詞(呼びかけ・詠嘆。文末は終止形「けり」)。② 係助詞(疑問。結びは連体形「思ふ」)。③ 終助詞(疑問。終止形「あり」「なし」について、引用の「と」の上で問いかけを言い切っている)。係助詞で結びが省略された形とする説明もあります。
関連ページ
- 助詞の種類:6種類の見分け方と一覧
- 係り結び:係助詞「や」と結び
- 終助詞「ばや・なむ・もがな・な・そ」:文末の「や」「かな」「ものを」
- 接続助詞「ど・ども・に・を・が」:接続助詞の「を」
- 形容詞:「〜を〜み」の語幹
- 枕詞:和歌のことばをととのえる枕詞
- 古文文法辞典の目次
百人一首の歌で間投助詞を味わうなら、百人一首 全百首の各首のページ(品詞と修辞の説明つき)もどうぞ。
読みもの(合格大作戦の記事)
- 百人一首 全百首
全首の現代語訳・品詞・修辞 - 和歌の修辞
枕詞・序詞・掛詞・縁語・本歌取り - 枕草子「春はあけぼの」
冒頭の段を品詞から読む - 古文の助動詞一覧
接続・意味・活用をまとめて見る地図 - 国語のまとめ
現代文・古文・漢文の入口
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- 古典文法のお勉強(スレ)(文法のわからない所を質問・答え合わせ)
- 古典の勉強方法(スレ)(古典の勉強の進め方)
- 【国語】百人一首のことなら何でもOKな掲示板(覚え方・好きな歌・かるたの話)
- 国語の勉強掲示板(古文・漢文・現代文の勉強の相談)
よくある質問
古文の間投助詞にはどんな語がありますか?
「や・よ・を」が代表です。呼びかけ・詠嘆を表したり、語調を整えたりします。
間投助詞の「や」と係助詞の「や」の違いは?
係助詞の「や」は疑問・反語の意味があり、文末が連体形で結ばれます。間投助詞の「や」は疑問の意味も結びもなく、取り除いても文の意味が変わりません。
「瀬をはやみ」の「を」は何ですか?
間投助詞と説明されることが多いです(格助詞とする説明もあります)。「AをBみ」で「AがBなので」と訳し、「瀬をはやみ」は「瀬が速いので」です。
「百敷や」の「や」の意味は?
詠嘆・呼びかけの間投助詞で、「宮中よ」としみじみ呼びかける気持ちを表します。歌の終わりは終止形「けり」で、係り結びにはなっていません。
間投助詞と終助詞の違いは?
終助詞は文末にだけつき、間投助詞は文節の切れ目にも文末にも入ります。文末の詠嘆の「や」「よ」を終助詞に分類する文法書もあります。
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出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
- 例文の本文:百人一首(1・10・40・48・74・77・83・89・91・97・100番)、枕草子(「雪のいと高う降りたるを」の段)、伊勢物語(第九段)。表記は読みやすいように一部改めています
- 高校の古典文法の標準的な説明(間投助詞)にもとづいて作成。「AをBみ」の「を」の扱い、文末の「や」「よ」を終助詞とするか間投助詞とするか、「これやこの」の「や」の扱いは文法書によって説明が異なります
- 画像:百人一首の絵札「Hyakuninisshu 100」(パブリックドメイン、Wikimedia Commons)
最終更新:2026年10月21日/作成:大学受験合格大作戦


