枕詞の一覧と覚え方|あしひきの・ひさかたの・ちはやぶる…かかる語・百人一首の例・序詞との違い・練習問題【中学受験・高校受験・大学受験】

枕詞の一覧と覚え方|あしひきの・ひさかたの・ちはやぶる…かかる語・百人一首の例・序詞との違い・練習問題【中学受験・高校受験・大学受験】

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ひとことで言うと

枕詞は、和歌で決まった語の前に置く、主に5音の飾りのことば。かかる語がほぼ決まっていて(あしひきの→山、ちはやぶる→神)、現代語には訳さないのが原則です。

このページのポイント

  • 枕詞はほぼ5音で、かかる語が決まっている
  • 現代語に訳さないのが原則(白妙の など意味を出す例外もある)
  • まずあしひきの→山・ちはやぶる→神・ひさかたの→光・しろたへの→衣
  • 序詞との違い:長さ(5音/7音以上)・決まり(固定/創作)・訳(しない/する)

はじめて(やさしく)

枕詞(枕詞まくらことば)は、和歌の中で、決まったことばの前に置く飾りのことばです。たとえば「あしびきの」と言ったら、次には「山」が来ます。「ちはやぶる」なら「神」、「久方ひさかたの」なら「光」や「空」です。

現代でも「花の都パリ」「杜の都仙台」のように、決まった飾りをつけて呼ぶ言い方がありますね。枕詞は、それの和歌版だと考えるとわかりやすいでしょう。頭をのせる「枕」のように、ことばの頭に置くので枕詞と呼ぶ、という説明がよくされます。

まなぶくん

まなぶくん

「あしびきの」って、どういう意味なの?

合格先生

合格先生

じつは、もとの意味ははっきりわかっていないんだ。だから和歌を訳すときは、枕詞は訳さなくてよいことになっているよ。

ハルちゃん

ハルちゃん

訳さないのに、どうしてわざわざ入れるの?

合格先生

合格先生

歌の調子を整えたり、次のことばを重々しく、美しく見せたりするためなんだ。声に出して読むと、リズムがよくなるのがわかるよ。

枕詞は、決まったことばの前に置く枕詞(訳さない)かかる語あしびきの山百人一首3番ちはやぶる神百人一首17番久方の光百人一首33番白妙の衣百人一首2番枕詞は訳さない。かかる語は、ほぼ決まっている
枕詞(左)と、それがかかる語(右)。組み合わせはほぼ決まっている

百人一首17番、在原業平の歌は「ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは」です。「ちはやぶる」は「神」にかかる枕詞なので、訳すときは「神々の時代にも聞いたことがない……」と、「ちはやぶる」を飛ばして訳します。

百人一首17番 在原業平朝臣の絵札(ちはやぶる 枕詞 神にかかる)
百人一首17番・在原業平朝臣の絵札。「ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは」。「ちはやぶる」が「神」にかかる枕詞です。画像:絵札「Hyakuninisshu 017」(パブリックドメイン、Wikimedia Commons)

枕詞には、もう一つ大事な特徴があります。それは、ほとんどが5音(5文字)だということです。和歌は「5・7・5・7・7」の31音でできているので、5音の枕詞は、5音の句(1句目か3句目)にぴったり入ります。

① 指で数えると5音あ1し2び3き4の5山② 歌の中では、5音の句に入る(2番)上の句5音春過ぎて7音夏来にけらし5音白妙の下の句7音衣ほすてふ7音天の香具山5音の「白妙の」が、次の句の「衣」にかかる
枕詞はふつう5音。和歌の中では、5音の句に入ることが多い

ここだけは覚えよう

  • 枕詞は、決まったことばの前に置く飾りのことば
  • ほとんどが5音(あしびきの・ちはやぶる・ひさかたの・しろたへの など)
  • 現代語に訳さない
  • まず4つ:あしびきの→山、ちはやぶる→神、ひさかたの→光・天、しろたへの→衣
ひらめいたまなぶくん

まなぶくん

「あしびき・ちはや・ひさかた・しろたへ」→「山・神・光・衣」。セットで声に出すと、すぐ覚えられるね!

中学受験・高校受験では、「( )に入る枕詞を選びなさい」「『ちはやぶる』はどのことばにかかりますか」という問題がよく出ます。百人一首に出てくる枕詞(2番・3番・17番・33番・76番)を覚えておくと安心です。歌そのものは百人一首 全百首のページで読めます。わからないところは、受験掲示板「100点BBS」の百人一首の掲示板で質問することもできます。

しっかり(大学受験の基礎〜標準)

枕詞とは?定義と3つの特徴

枕詞は、特定の語の前に置かれて、その語を修飾したり、歌の調子を整えたりする、主に5音の語です。大学受験で押さえる特徴は次の3つです。

特徴内容例
① 長さほぼ5音(4音・3音などの例外もある)あしひきの(5音)、そらみつ(4音)
② かかる語かかる語がほぼ決まっている(固定的)ちはやぶる → 神
③ 訳現代語に訳さないのが原則「ひさかたの光」→「日の光」

主な枕詞の一覧表(枕詞→かかる語→例)

入試によく出る枕詞を、かかる語といっしょに一覧にしました。上の4つ(あしひきの・ひさかたの・ちはやぶる・しろたへの)は百人一首にも出てくるので最優先、次に「ぬばたまの・あらたまの・たらちねの・くさまくら・あをによし」を覚えましょう。

枕詞(表記ゆれ)かかる語例・覚え方メモ
あしひきの(あしびきの)山・峰(を)・木百人一首3番「あしびきの山鳥の尾の」
ひさかたの(久方の)天・空・光・月・雲・雨33番「久方の光のどけき」、76番「久方の雲居にまがふ」
ちはやぶる神・宇治17番「ちはやぶる神代も聞かず」
しろたへの(白妙の)衣・袖・雪・雲・紐2番「白妙の衣ほすてふ」(4番は下の注意を参照)
ぬばたまの(うばたまの)夜・黒・髪・夢・月黒い実(ひおうぎの実)から「黒」「夜」へ
あらたまの年・月・日・春新年の歌に多い
たらちねの母・親「たらちね」だけで母・親を表すことも
くさまくら(草枕)旅・結ぶ旅先では草を枕に寝ることから
あをによし奈良「あをによし奈良の都は」(万葉集)
いはばしる(石走る)垂水・滝・近江「石走る垂水の上の」(万葉集)
あかねさす日・昼・紫・君「あかねさす紫野行き」(万葉集)
うつせみの世・命・人・身「うつせみ」=この世の人
たまきはる命・内・世「命」にかかることが多い
ももしきの大宮「ももしき」だけで宮中の意味にも
しきしまの大和「しきしまの道」=和歌の道
そらみつ大和4音の枕詞(5音でない例)
とりがなく(鶏が鳴く)東(あづま)東国を表す
あまざかる(天離る)鄙(ひな)・向かふ都から遠い田舎
たまぼこの(玉桙の)道・里「道」にかかる代表
からころも(唐衣)着る・裁つ・袖・紐・裾衣に関係する語にかかる
あづさゆみ(梓弓)引く・張る・射る・春・音弓の動作、「張る」と同じ音の「春」にも
わかくさの(若草の)妻・夫・新(にひ)みずみずしさから
さざなみの(楽浪の)志賀・大津・近江・寄る琵琶湖の西南の地名
もののふの八十(やそ)・宇治「もののふ」=朝廷に仕える人々
やくもたつ(八雲立つ)出雲地名にかかる
しらぬひ(の)筑紫九州の古い呼び名にかかる
たまのをの(玉の緒の)長し・短し・絶ゆ・乱る「玉の緒」=命・ひも
ははそはの母同じ音「はは」でかかる
枕詞マップ:かかる語のなかまで覚える自然(山・空・水)あしひきの → 山・峰ひさかたの → 天・光いはばしる → 垂水・滝色・時(夜・年・日)ぬばたまの → 夜・黒あらたまの → 年・月あかねさす → 日・紫人・神(神・母・妻)ちはやぶる → 神たらちねの → 母わかくさの → 妻地名(奈良・大和)あをによし → 奈良しきしまの → 大和とりがなく → 東物・こと(衣・旅・道)しろたへの → 衣・袖くさまくら → 旅たまぼこの → 道宮中・命・世ももしきの → 大宮うつせみの → 世・命たまきはる → 命右の「かかる語」から、左の枕詞を思い出せるように
かかる語のなかま(自然・時・人・地名・物・宮中)に分けて覚えると忘れにくい
「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

覚えるときは「枕詞→かかる語」だけでなく、「かかる語→枕詞」の向きでも言えるように。入試では「山」を見て「あしひきの」を思い出す力が問われるよ。

枕詞の見分け方(見つけ方)

  1. 5音のことばに目をつける(とくに第1句・第3句)。
  2. そのすぐ後ろ(または近く)に、一覧表のかかる語(山・神・光・衣・母・旅・夜・年 など)があるかを見る。
  3. そのことばを取り除いても歌の意味が通るか確かめる。通れば枕詞。訳すときは飛ばす。
① ほぼ5音のことばか(あしびきの=5音)いいえ序詞や、ふつうの語はい② 後ろに決まった語があるか(山・神・光・衣・母・旅…)いいえ枕詞ではないはい③ 取っても意味が通るか(訳すと意味が浮いてしまう)いいえふつうの修飾語はい枕詞! 訳さずに読む迷ったら、下の一覧表のかかる語と照らし合わせる
3つの関門を通れば枕詞。訳さずに読む

例文で確かめる(百人一首の枕詞)

あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む

(百人一首3番・柿本人麻呂(あしびきの))

現代語訳山鳥の長く垂れ下がった尾のように、長い長いこの夜を、(恋しい人にも会えず)私はたったひとりで寝るのだろうか。

ここがポイント「あしびきの」は「山」にかかる枕詞で、訳には出てきません。さらに「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の」までが「ながながし」を導く序詞です。枕詞が序詞の中に入っている形で、入試で特によく問われます。

ちはやぶる神代も聞かず竜田川からくれなゐに水くくるとは

(百人一首17番・在原業平朝臣(ちはやぶる))

現代語訳不思議なことが多かったという神々の時代にも、聞いたことがない。竜田川の水を、紅葉が濃い紅色にくくり染めにしているとは。

ここがポイント「ちはやぶる」は「神」にかかる枕詞。勢いが激しい・荒々しいという意味があったとされますが、訳さないのが原則です。

久方の光のどけき春の日にしづ心なく花の散るらむ

(百人一首33番・紀友則(久方の))

現代語訳日の光がのどかにさしている春の日に、どうして桜の花は、落ち着いた心もなく、あわただしく散っていくのだろうか。

ここがポイント「久方の」は「光」にかかる枕詞。「天・空・月・雲」など、空に関係する語にかかります。

春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山

(百人一首2番・持統天皇(春過ぎて))

現代語訳春が過ぎて、夏が来たらしい。夏になると真っ白な衣を干すと言い伝えられている、あの天の香具山に(白い衣が干してあるよ)。

ここがポイント「白妙の」は「衣」にかかる枕詞。白妙は白い布のことで、もとの意味が生きているので、訳に「真っ白な」と出すこともあります(下の「もっと深く」を参照)。

わたの原漕ぎ出でて見れば久方の雲居にまがふ沖つ白波

(百人一首76番・法性寺入道前関白太政大臣(藤原忠通)「わたの原漕ぎ出でて見れば」)

現代語訳大海原に舟を漕ぎ出して見わたすと、はるか遠くの沖では、白い雲と見分けがつかないほどに、白波が立っていることだ。

ここがポイント同じ「久方の」でも、ここでは「雲居」(空・雲)にかかっています。33番では「光」でした。一つの枕詞がいくつかの語にかかることを確かめましょう。

なお、この歌は「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の」までが序詞で、最後の「しだり尾の」の「の」が「〜のように」と訳す比喩の「の」です。くわしくは格助詞「の」「が」の比喩(連用修飾格)の用法を見てください。

もっと深く(難関大・上級者)

1. 枕詞と序詞の違い

入試の記述でいちばんよく問われるのが、枕詞と序詞の違いです。どちらも「ある語を導き出す前置き」ですが、次の3点で区別します。

くらべる点枕詞序詞
長さほぼ5音(1句)7音以上が多く、2〜3句に及ぶこともある
かかる語ほぼ決まっている(多くの歌で共通)その歌だけの作者の自由な創作
訳訳さないのが原則訳す(「〜のように」「〜ではないが」などとつなぐ)

百人一首3番は、この違いを一首で確かめられる歌です。「あしびきの」(5音)は「山」にかかる枕詞で訳さず、「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の」(17音)は「ながながし」を導く序詞で「山鳥の長く垂れ下がった尾のように」と訳します。

2. かかり方の3つの型と、由来の諸説

① 意味(連想)でかかるくさまくら → 旅旅先では草を枕にして寝るから② 音(同じ音)でかかるははそはの → 母「ははそ」の「はは」と同じ音③ もとの意味がはっきりしないあしひきの → 山ちはやぶる・ひさかたのも諸説どの型でも、入試では「訳さない」が原則
枕詞がかかる理由は、意味・音・不明の3つに分けて説明されることが多い

枕詞がなぜその語にかかるのかは、大きく次のように説明されます。

  • 意味(連想)でかかる:「くさまくら→旅」(旅先では草を枕に寝る)、「しろたへの→衣」(白い布)、「あづさゆみ→引く・張る」(弓の動作)、「ぬばたまの→夜・黒」(黒い実の色)など。
  • 音でかかる:「ははそはの→母」(「ははそ」の「はは」)のように同じ音でつなぐもの。「あづさゆみ→春」も、弓を「張る」と同じ音の「春」にかかる、と説明されます。掛詞に近いしくみです。
  • もとの意味がはっきりしない:「あしひきの」(足を引きずって山を登る、など諸説)、「ちはやぶる」(勢いが激しい意の「ちはや」+「ぶ」とする説など)、「ひさかたの」(久しく遠い天、など諸説)。奈良時代にはすでに意味がわからなくなっていたものもあると考えられています。

枕詞の数は、万葉集を中心に数百あるといわれますが、何を枕詞に数えるかで大きく変わり、決まった数はありません。江戸時代の国学者、賀茂真淵は枕詞を集めて『冠辞考』という本にまとめました(「冠辞」は枕詞の別名)。平安時代以降の和歌では、使われる枕詞がしだいに限られ、型として受けつがれていきました。

あをによし奈良の都は咲く花のにほふがごとく今盛りなり

(万葉集・巻三・小野老)

現代語訳奈良の都は、咲く花が美しく照り映えるように、今がまっ盛りである。

ここがポイント「あをによし」は「奈良」にかかる枕詞。奈良で青丹(あおに。顔料の一種)がとれたから、など由来には諸説があります。「ごとく」は比況の助動詞「ごとし」(→助動詞「ごとし」)。

3. 「訳さない」の例外:白妙の・久方の

枕詞は訳さないのが原則ですが、もとの意味が生きている枕詞では、訳に意味を出すこともあります。百人一首2番の「白妙の衣」は「真っ白な衣」と訳されることが多く、4番「田子の浦にうち出でて見れば白妙の富士の高嶺に雪は降りつつ」(4番)では、「白妙の」は「衣」ではなく「富士の高嶺」の前に置かれ、雪の白さを表しています。この4番の「白妙の」を枕詞とみる説明と、「真っ白な」と訳すふつうの修飾語とみる説明があります。入試では「枕詞を抜き出せ」の答えに4番の「白妙の」を求める出題は少なく、2番の「白妙の」が代表例です。

4. 百人一首の枕詞は、どの句にある?

百人一首の枕詞は、どの句にある?一二三四五枕詞 → かかる語2番白妙の → 衣3番あしびきの → 山4番白妙の → 富士17番ちはやぶる → 神33番久方の → 光76番久方の → 雲居5音の句(第一句・第三句)に置かれている
百人一首の枕詞は、どれも5音の句(第一句・第三句)に置かれている

百人一首で枕詞とされる歌は、2・3・4・17・33・76番です(4番は上の注意のとおり)。どれも第一句か第三句、つまり5音の句に入っています。逆に言えば、第二・第四・第五句(7音)に枕詞がまるごと入ることはまずないので、探す場所をしぼれます。

5. 枕詞から生まれた名詞:「ももしき」

枕詞「ももしきの」は「大宮」にかかりますが、やがて「ももしき」だけで宮中を表す名詞として使われるようになりました。百人一首100番、順徳院(順徳天皇)の「百敷や古き軒端のしのぶにもなほあまりある昔なりけり」の「百敷」は、この名詞(宮中)で、「や」は詠嘆・呼びかけの間投助詞です。ここでの「百敷や」は枕詞ではないので、「宮中よ」「宮中の」と訳します。「たらちね」(母・親)、「うつせみ」(この世の人)なども、枕詞から名詞として使われるようになった語です。

6. 枕詞は句切れ・係り結びとは別に考える

枕詞は飾りなので、歌の文法上の切れ目(句切れ)や係り結びとは関係しません。2番「夏来にけらし」の「けらし」で文が切れる二句切れのあとに、枕詞「白妙の」が来て下へ続きます。品詞分解では、「あしびきの」を「あしびき(名詞)+の(格助詞)」と分ける説明と、まとめて「枕詞」とする説明があります。表記は本によって「あしひきの」とも「あしびきの」とも書かれますが、どちらも同じ枕詞です(→歴史的仮名遣い)。

うかるくん

うかるくん

枕詞って、昔の人もみんな意味がわからずに使っていたの?

サクラちゃん

サクラちゃん

意味がわからなくても、「ちはやぶる」と聞けば「神さまの話だ」って伝わるのはおもしろいね。

合格先生

合格先生

そのとおり。決まり文句だからこそ、聞いた人がすぐに次のことばを思い浮かべられる。短い和歌の中で世界を一気に広げる仕掛けなんだ。

よくあるまちがい

まちがい1:枕詞を一生けんめい訳してしまう

「ちはやぶる神代」を「勢いの激しい神代」と訳すと、ふつうは減点されます。枕詞は訳さないのが原則です。「白妙の」のように意味を出してよい例は、むしろ少数です。

まちがい2:序詞と区別できない

5音で、かかる語が決まっていれば枕詞。7音以上で、その歌だけの工夫なら序詞です。3番の「あしびきの」は枕詞、「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の」は序詞と、重なっていることもあります。

まちがい3:「百敷や」を枕詞と答える

100番の「百敷や」は、名詞「百敷(宮中)」+間投助詞「や」です。枕詞の「ももしきの」とは形も働きも違います。

まちがい4:かかる語を一つだけ覚える

「ひさかたの」は光だけでなく、天・空・月・雲にもかかります。33番は「光」、76番は「雲居」。かかる語は「なかま」で覚えるのがコツです。

練習問題

やさしい

  1. ( )に入る枕詞を選びなさい。
    「( )山鳥の尾のしだり尾の」(百人一首3番)
    ア ちはやぶる イ あしびきの ウ 白妙の エ 久方の
    答えと解説を見る

    イ(あしびきの)。「あしびきの」は「山」にかかる枕詞です。ア「ちはやぶる」は神、ウ「白妙の」は衣、エ「久方の」は光・天にかかります。

  2. 次の枕詞がかかる語を、下から選びなさい。
    ① ちはやぶる ② たらちねの ③ くさまくら
    ア 旅 イ 神 ウ 母
    答えと解説を見る

    ① イ(神) ② ウ(母) ③ ア(旅)。

ふつう

  1. 百人一首2番「春過ぎて夏来にけらし白妙の衣ほすてふ天の香具山」から枕詞を抜き出し、それがかかる語を答えなさい。
    答えと解説を見る

    枕詞は「白妙の」、かかる語は「衣」です。5音の第三句にあります。「白妙」は白い布のことで、訳では「真っ白な衣」とすることもあります。

  2. 次のうち、枕詞とかかる語の組み合わせとして誤っているものを一つ選びなさい。
    ア あをによし―奈良 イ ぬばたまの―夜 ウ あらたまの―山 エ たまぼこの―道
    答えと解説を見る

    ウ。「あらたまの」は年・月・春などにかかります。「山」にかかるのは「あしひきの」です。

むずかしい

  1. 百人一首3番「あしびきの山鳥の尾のしだり尾のながながし夜をひとりかも寝む」について、枕詞と序詞をそれぞれ指摘し、両者の違いを2点説明しなさい。
    答えと解説を見る

    枕詞は「あしびきの」(「山」にかかる)、序詞は「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の」(「ながながし」を導く)。違いは、①枕詞はほぼ5音で、かかる語が決まっているのに対し、序詞は長さが自由で作者の創作であること、②枕詞は訳さないが、序詞は「〜のように」と訳すこと。

  2. 百人一首100番「百敷や古き軒端のしのぶにもなほあまりある昔なりけり」の「百敷や」は枕詞か。理由とともに答えなさい。
    答えと解説を見る

    枕詞ではない。「百敷」は、枕詞「ももしきの」(大宮にかかる)から生まれた宮中を表す名詞で、「や」は詠嘆・呼びかけの間投助詞。かかる語もなく、「宮中よ」「宮中の」と意味を訳す必要があるので、枕詞とは言えません。

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枕詞・序詞・掛詞・縁語・本歌取りをひとまとめに読みたい人は、記事「和歌の修辞」もどうぞ。

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よくある質問

枕詞とは何ですか?

和歌で特定の語の前に置かれ、その語を飾ったり歌の調子を整えたりする、主に5音の語です。かかる語がほぼ決まっていて、現代語には訳さないのが原則です。

枕詞は訳すのですか?

原則として訳しません。ただし「白妙の(真っ白な)」のように、もとの意味が生きている枕詞は、訳に意味を出すこともあります。

枕詞はいくつありますか?

万葉集を中心に数百あるといわれますが、何を枕詞に数えるかで変わり、決まった数はありません。入試では20〜30語を覚えておけば十分です。

枕詞と序詞の違いは何ですか?

枕詞はほぼ5音でかかる語が決まっていて訳さないのに対し、序詞は7音以上の長さが多く、その歌だけの作者の創作で、訳します。

百人一首にはどんな枕詞がありますか?

2番「白妙の」(衣)、3番「あしびきの」(山)、17番「ちはやぶる」(神)、33番・76番「久方の」(光・雲居)が代表です。4番の「白妙の」を枕詞に数える説明もあります。

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出典・参考

  • 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」国語、「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
  • 例文の本文:百人一首(2・3・4・17・33・76・100番)、万葉集(巻三・小野老)。表記は読みやすいように一部改めています
  • 高校の古典の標準的な説明(和歌の修辞・枕詞)にもとづいて作成。枕詞の由来・数には諸説があります
  • 画像:百人一首の絵札「Hyakuninisshu 017」(パブリックドメイン、Wikimedia Commons)

最終更新:2026年10月21日/作成:大学受験合格大作戦