- 歌
- あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の ながながし夜を ひとりかも寝む
- 意味
- 山鳥の長く垂れ下がった尾のように、長い長いこの夜を、(恋しい人にも会えず)私はたったひとりで寝るのだろうか。
- 作者
- 柿本人麻呂(かきのもとのひとまろ)
- 出典
- 『拾遺和歌集』恋三・778番
- 決まり字
- 「あし」(2字決まり)

あしびきの 山鳥の尾の しだり尾の
ながながし夜を ひとりかも寝む
読みあしびきの やまどりのおの しだりおの
ながながしよを ひとりかもねん
歴史的仮名遣いあしびきの やまどりのをの しだりをの
ながながしよを ひとりかもねむ
山鳥の長く垂れた尾のように長い秋の夜を、ひとりさびしく寝るのだろうか、という歌。長さを重ねる「の」の調べが特徴の柿本人麻呂の歌です。
現代語訳(意味)
語句の意味
| 語句 | 読み | 意味・ポイント |
|---|---|---|
| あしびきの | あしびきの | 「山」にかかる枕詞です。 |
| 山鳥 | やまどり | キジの仲間の鳥。雄の尾がとても長いのが特徴です。昼は雌雄一緒にいても、夜は谷を隔てて別々に寝ると考えられていました。 |
| しだり尾 | しだりお | 長く垂れ下がった尾。 |
| ながながし | ながながし | とても長い。 |
| ひとりかも寝む | ひとりかもねん | 「ひとりで寝るのだろうか」。「か」は疑問、「も」は詠嘆の係助詞で、「寝む」の「む」が連体形で結んでいます。 |
品詞分解
歌を単語に分けて、品詞と意味を示しています。色の付いた行が入試で特に問われる部分です。
| 単語 | 品詞・活用 | 意味・用法 |
|---|---|---|
| あしびきの | 枕詞 | 「山」にかかる |
| 山鳥 | 名詞 | |
| の | 格助詞 | |
| 尾 | 名詞 | |
| の | 格助詞 | |
| しだり尾 | 名詞 | |
| の | 格助詞 | 比喩「〜のように」 |
| ながながし | 形容詞・シク活用「ながながし」連体形 | |
| 夜 | 名詞 | |
| を | 格助詞 | |
| ひとり | 名詞(副詞的用法) | |
| か | 係助詞 | 疑問 |
| も | 係助詞 | 詠嘆 |
| 寝 | 動詞・ナ行下二段「寝」未然形 | |
| む | 助動詞「む」連体形 | 推量(係り結び) |
表現技法・文法のポイント
「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の」までが、「ながながし」を導く序詞です。
「山」にかかります。
「か」「も」を受けて、文末の「む」が連体形になっています。
「の」を4回重ねて、夜の長さを音の流れでも感じさせています。
歌の背景・鑑賞
『拾遺和歌集』に柿本人麻呂の歌として載っています。『万葉集』には、作者のわからない歌の別の形として似た歌があり、人麻呂の作かどうかは確かではないとされます。山鳥の雌雄が夜は離れて寝るという言い伝えを踏まえ、ひとり寝のさびしさを表しています。
諸説・伝説――想像をふくらませてみよう
昔のことなので、はっきりしないことも多くあります。ここでは、言い伝えやいろいろな説を紹介します。
この歌は『万葉集』では作者のわからない歌の別の形として出てきます。のちに「歌聖」人麻呂の名で広まりました。名歌は有名な歌人の作とされやすい、という昔の文化の表れだと考える説もあります。
柿本人麻呂は、身分や亡くなり方さえはっきりしない人物です。地方の役人として石見国(今の島根県)で亡くなったとする説が有名ですが、ほかにもさまざまな伝説があります。各地に人麻呂をまつる神社があり、学問や安産の神様としてあがめられてきました。
作者:柿本人麻呂
飛鳥時代の歌人で、『万葉集』を代表する歌人の一人です。のちに山部赤人(4番)とともに「歌聖(かせい)」とたたえられました。三十六歌仙の一人です。
決まり字と覚え方
上の句が「あし」まで読まれたら、取り札が決まります。「あ」で始まる歌は16首あります。
覚え方:「あし」と聞いたら「ながながし」。足(あし)が長々(ながなが)しい、と覚えます。「あ」で始まる歌は16首もある大山札なので、2字目の「し」まで聞くのが大切です。
入試で問われるポイント
- 序詞の範囲(「しだり尾の」まで)
- 係り結び(か・も→む連体形)
- 枕詞「あしびきの」→山
よくある質問
この歌の序詞はどこまでですか?
「あしびきの山鳥の尾のしだり尾の」までです。「ながながし」を導いています。
なぜ山鳥が出てくるのですか?
山鳥は尾が長いうえ、雌雄が夜は谷を隔てて別々に寝ると考えられていたためです。長い夜とひとり寝の両方を表しています。
「ひとりかも寝む」の文法は?
「か(疑問)」「も(詠嘆)」の係助詞を受けて、推量の助動詞「む」が連体形で結ぶ係り結びです。
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大学受験合格大作戦 最終更新:2026-10-04
