- 歌
- これやこの 行くも帰るも 別れては 知るも知らぬも 逢坂の関
- 意味
- これがあの、(都から東国へ)行く人も、(都へ)帰ってくる人も、ここで別れてはまた会い、知っている人も知らない人も出会うという、逢坂の関なのだなあ。
- 作者
- 蝉丸(せみまる)
- 出典
- 『後撰和歌集』雑一・1089番
- 決まり字
- 「これ」(2字決まり)

これやこの 行くも帰るも 別れては
知るも知らぬも 逢坂の関
読みこれやこの ゆくもかえるも わかれては
しるもしらぬも おうさかのせき
歴史的仮名遣いこれやこの ゆくもかへるも わかれては
しるもしらぬも あふさかのせき
都から出ていく人も帰る人も、知っている人も知らない人も、別れてはまた会う——人の出会いと別れを詠んだ、蝉丸のリズムのよい歌です。
現代語訳(意味)
語句の意味
| 語句 | 読み | 意味・ポイント |
|---|---|---|
| これやこの | これやこの | 「これがあの(有名な)」。「や」は詠嘆を含む疑問の係助詞です。 |
| 行くも帰るも | ゆくもかえるも | (都から)出ていく人も、帰ってくる人も。 |
| 知るも知らぬも | しるもしらぬも | 知っている人も、知らない人も。 |
| 逢坂の関 | おうさかのせき | 山城国(京都府)と近江国(滋賀県)の境にあった関所。「逢ふ(会う)」が掛けられています。 |
品詞分解
歌を単語に分けて、品詞と意味を示しています。色の付いた行が入試で特に問われる部分です。
| 単語 | 品詞・活用 | 意味・用法 |
|---|---|---|
| これ | 代名詞 | |
| や | 係助詞 | 疑問(詠嘆) |
| こ | 代名詞 | |
| の | 格助詞 | |
| 行く | 動詞・カ行四段「行く」連体形 | 準体法(行く人) |
| も | 係助詞 | |
| 帰る | 動詞・ラ行四段「帰る」連体形 | 準体法 |
| も | 係助詞 | |
| 別れ | 動詞・ラ行下二段「別る」連用形 | |
| て | 接続助詞 | |
| は | 係助詞 | |
| 知る | 動詞・ラ行四段「知る」連体形 | 準体法 |
| も | 係助詞 | |
| 知ら | 動詞・ラ行四段「知る」未然形 | |
| ぬ | 助動詞「ず」連体形 | 打消 |
| も | 係助詞 | |
| 逢坂 | 名詞 | 掛詞(逢ふ) |
| の | 格助詞 | |
| 関 | 名詞 | 体言止め |
表現技法・文法のポイント
「行くも帰るも」「知るも知らぬも」と、似た形を並べてリズムを生んでいます。
「逢坂」に「逢ふ(会う)」を掛けています。
「逢坂の関」で終わり、関所のにぎわいを印象づけています。
歌の背景・鑑賞
『後撰和歌集』の雑の部に入っています。逢坂の関は、都と東国を結ぶ交通の要所でした。多くの人が行き交い、出会いと別れが繰り返される様子を、軽やかな調子で詠んでいます。
諸説・伝説――想像をふくらませてみよう
昔のことなので、はっきりしないことも多くあります。ここでは、言い伝えやいろいろな説を紹介します。
蝉丸については、盲目の琵琶の名人だった、天皇の皇子だった、身分の低い人だったなど、さまざまな伝説があります。逢坂の関には今も蝉丸をまつる神社があり、音曲(音楽)の神様として信仰されています。
逢坂の関は、都から東国へ向かう人、都へ帰る人が必ず通る場所でした。旅立つ人を見送る家族、久しぶりに再会する友人……。歌のリズムに乗って、千年前の駅のホームのようなにぎわいを想像してみましょう。
作者:蝉丸
平安時代前期の歌人とされますが、経歴はほとんどわかっていません。逢坂の関のあたりに住んだ、琵琶の名人だったなど、多くの伝説が残っています。
決まり字と覚え方
上の句が「これ」まで読まれたら、取り札が決まります。「こ」で始まる歌は6首あります。
覚え方:「これ」と聞いたら「しる」。これ(これ)知る(しる)?と問いかける形で覚えます。
入試で問われるポイント
- 対句
- 掛詞(逢坂=逢ふ)
- 準体法(行く=行く人)
よくある質問
逢坂の関はどこにありましたか?
今の京都府と滋賀県の境、滋賀県大津市のあたりにありました。都と東国を結ぶ大切な関所でした。
「行くも帰るも」の「行く」は何を指しますか?
「行く人」のことです。連体形が名詞のように使われる準体法です。
この歌の技法は何ですか?
対句(行くも帰るも・知るも知らぬも)、掛詞(逢坂=逢ふ)、体言止めです。
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大学受験合格大作戦 最終更新:2026-10-04
