断定の助動詞「なり・たり」の意味と活用表|接続・存在の意味・「なり」「に」の識別・練習問題【大学受験】

断定の助動詞「なり・たり」の意味と活用表|接続・存在の意味・「なり」「に」の識別・練習問題【大学受験】

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大学受験難関大

ひとことで言うと

断定の「なり」は体言・連体形につき、「〜である」(断定)と「〜にある」(存在)を表す助動詞。断定の「たり」は体言につく漢文調の「〜である」です。終止形につく伝聞・推定の「なり」とは接続で見分けます。

このページのポイント

  • 断定「なり」の接続は体言・連体形、「たり」は体言
  • 意味は断定(〜である)と存在(場所+なる=〜にある)
  • 活用は形容動詞型。連用形は「なり」と「に」(たりは「たり」と「と」)
  • 「に」+(は・も・や)+「あり」の「に」は断定。「にや・にか」は下に「あらむ」が省略
  • 古文の「なり」は4種類:断定/伝聞・推定/形容動詞の語尾/動詞「なる」。すぐ上の形で見分ける

はじめて(やさしく)

現代語で「春だ」「学生である」と言うときの「だ・である」。これにあたる古文のことばが、断定の助動詞「なり」です。「春なり」は「春である」、「月の都の人なり」は「月の都の人である」という意味になります。

もう1つ、「大将たり」(大将である)のように使う断定の「たり」もあります。こちらは漢文を読み下した文や、『平家物語』のような軍記物語に多い、かたい言い方です。

この2つは、もともと「に+あり」「と+あり」がつまってできたことばだと説明されます。「あり」が入っているので、「〜にある」という存在の意味も持っています。

「なり」「たり」は「あり」がつまってできた春+に+あり春なりに+あり → なり = 春である(断定)大将+と+あり大将たりと+あり → たり = 大将である(断定・漢文調)中に「あり」が入っているので、活用も「あり」によく似ている
「に+あり」が「なり」、「と+あり」が「たり」。だから活用も「あり」に似ている
うかるくん

うかるくん

「〜である」なら簡単そう! でも先生、古文の「なり」っていろいろあるって聞いたよ。

合格先生

合格先生

そう、古文の「なり」は4種類ある。断定の「なり」、耳で聞いたことを表す伝聞・推定の「なり」、「静かなり」のような形容動詞の語尾、それに動詞の「なる」だ。

サクラちゃん

サクラちゃん

全部同じ「なり」に見えるのに……。どうやって区別するの?

合格先生

合格先生

「なり」のすぐ上を見るんだ。断定の「なり」は体言(名詞)か連体形の下につく。伝聞・推定は終止形の下。この「上を見る」くせが、識別の出発点だよ。

古文の「なり」は4種類春・人・する体言・連体形+なり断定の助動詞〜である・〜にあるす・あり(あ)終止形+なり伝聞・推定の助動詞〜そうだ・〜ようだ静か・あはれ様子の語+なり形容動詞の語尾「静かなり」で1語〜に・〜と変化+なり動詞「なる」〜になる・〜となる決め手は「なり」のすぐ上の形古文にいちばん多いのは、上の断定の「なり」
古文の「なり」は4種類。断定の「なり」は体言・連体形の下にある

たとえば、次の2つを比べてみましょう。

  • 「この子は翁の子なり」(自作)→ 上が体言「子」なので断定「翁の子である」
  • 「女もしてみむとてするなり」(土佐日記)→ 上がサ変「す」の連体形「する」なので断定「書くのである」

連体形の下の「なり」は「〜のである・〜のだ」と訳すと自然です。理由や事情を説明するときによく使われます。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

断定の「なり」は体言・連体形につく「〜である」。場所の下なら「〜にある」(存在)。まずこの2つの訳を覚えよう!

わからないところは、受験掲示板「100点BBS」の〈古典文法のお勉強〉で質問できます。

ここまでのまとめ

  • 断定の「なり」=「〜である・〜だ」。体言・連体形につく
  • 断定の「たり」=「〜である」。体言につき、漢文調のかたい文に多い
  • 「に+あり」「と+あり」からできたので、「〜にある」(存在)の意味もある
  • 古文の「なり」は4種類。すぐ上の形で見分ける

しっかり(大学受験の基礎〜標準)

断定「なり・たり」の接続・意味・活用表

断定の「なり」断定の「たり」
接続体言・連体形(副詞や「ばかり」「のみ」などの助詞にもつく)体言
意味断定(〜である・〜だ)・存在(〜にある・〜にいる)断定(〜である)
活用の型形容動詞ナリ活用型形容動詞タリ活用型
でき方格助詞「に」+ラ変「あり」格助詞「と」+ラ変「あり」
よく出る文章物語・日記・随筆・和歌など、ほぼすべて漢文訓読の文・軍記物語・中世以降の文
語未然形連用形終止形連体形已然形命令形活用の型
なり(断定)ならなり/になりなるなれなれ形容動詞型(ナリ活用型)
たり(断定)たらたり/とたりたるたれたれ形容動詞型(タリ活用型)

活用は形容動詞の「静かなり」「堂々たり」の語尾とまったく同じ形です。連用形が2つあることに注意しましょう。「なり」の連用形は「なり」と「に」、「たり」の連用形は「たり」と「と」です。命令形「なれ」「たれ」は例が少なく、ふだんの読解ではほとんど見かけません。活用形の考え方は活用形のページで確かめられます。

連用形「なり」と「に」の使い分け

断定「なり」の連用形のうち、「なり」は下に「けり」「き」などの助動詞が来るときに使います(「紅葉なりけり」)。「に」は下に「あり」(「侍り」「おはす」「候ふ」など、その敬語も)が来るとき、接続助詞「て」が来るとき(「〜にて」)、係助詞をはさんで「あり」に続くとき(「〜にもあらず」「〜にやあらむ」)に使います。この「あり」は「〜である」の「ある」にあたる補助動詞です。

断定「なり」の連用形なり下に助動詞が来るとき(けり・き・つ など)紅葉なりけり(百人一首32番)に+あり・侍り・おはす+て/+係助詞+あり水にあらず人にて御時にか「に」の下には「あり」が来る(省略も)
下に助動詞なら「なり」、下に「あり」「て」や係助詞なら「に」

おのが身は、この国の人にもあらず、月の都の人なり。

(竹取物語・かぐや姫の昇天)

現代語訳私の身は、この国の人でもありません。月の都の人です。

ここがポイント前の「に」は体言「人」の下で、係助詞「も」をはさんで「あら(ず)」に続くので、断定「なり」の連用形「〜で」。文末の「なり」は体言「人」の下なので断定の終止形「〜である」。1文に断定の「に」と「なり」が両方出てくる、よい例です。

ゆく河の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。

(方丈記・冒頭)

現代語訳流れていく川の流れは絶えることがなくて、しかも(そこを流れるのは)もとの水ではない。

ここがポイント「水にあらず」の「に」は、体言「水」の下で「あら(ず)」に続くので断定の連用形。「水の中にない」(場所の格助詞)ではなく「水ではない」と訳します。「絶えずして」の「ず」は打消の助動詞「ず」。

存在の意味(〜にある・〜にいる)

断定の「なり」は「に+あり」からできたので、場所を表す体言につくと「〜にある・〜にいる」という存在の意味になります。多くは「場所+なる+体言」の形です。

場所+「なる」+体言は「〜にある」春日なる三笠の山春日にある三笠の山場所の体言存在の断定下に体言駿河なる宇津の山べ(伊勢物語)/難波なる(20番)×「春日という三笠の山」(伝聞ではない)
「春日なる三笠の山」は「春日にある三笠の山」。伝聞の「〜という」ではない

天の原ふりさけ見れば春日なる三笠の山に出でし月かも

(百人一首7番・阿倍仲麻呂(天の原))

現代語訳大空をはるかに見上げると(月が出ている)。あれは(故郷の)春日にある三笠の山に出た月と同じ月なのだなあ。

ここがポイント「春日」は地名(体言)、下にも体言「三笠の山」。だから「なる」は存在の断定「〜にある」。体言の下なので、接続の点からも伝聞・推定ではありません。「出でし」の「し」は過去「き」の連体形です。

駿河なる宇津の山べのうつつにも夢にも人にあはぬなりけり

(伊勢物語・第九段(東下り))

現代語訳駿河の国にある宇津の山のあたりに来て、(その名のように)うつつ(現実)にも夢にもあなたに会わないのだなあ。

ここがポイント「駿河なる」は地名の下なので存在「駿河にある」。「あはぬなりけり」の「なり」は、打消「ず」の連体形「ぬ」の下なので断定「〜のである」で、下に「けり」が来るので連用形「なり」の形です。「宇津」と「うつつ」は音のくり返し(和歌の修辞)。

「なりけり」は気づきの決まり文句

和歌には「体言+なりけり」で終わる歌がたくさんあります。断定「なり」の連用形+詠嘆の「けり」で、「〜だったのだなあ」と、はっと気づいた気持ちを表します。

百人一首69番 能因法師(橘永愷)の絵札
百人一首69番・能因法師の絵札。「嵐吹く三室の山のもみぢ葉は竜田の川の錦なりけり」。散った紅葉が川面をおおい、まるで錦のように見えます。画像:絵札「Hyakuninisshu 069」(パブリックドメイン、Wikimedia Commons)

嵐吹く三室の山のもみぢ葉は竜田の川の錦なりけり

(百人一首69番・能因法師(嵐吹く))

現代語訳嵐が吹き散らす三室の山の紅葉の葉は、(流れていって)竜田川の(水面をかざる)錦であったのだなあ。

ここがポイント上が体言「錦」なので断定。下に助動詞「けり」が来るので、連用形は「に」ではなく「なり」の形。「けり」は詠嘆(気づき)です。

同じ「〜なりけり」の歌は、百人一首に32番「紅葉なりけり」、82番「涙なりけり」、96番「わが身なりけり」、100番「昔なりけり」があり、98番は係助詞「ぞ」の結びで「しるしなりける」と連体形になっています(係り結び)。

断定の「たり」

断定の「たり」は体言だけにつき、「〜である」と訳します。人の身分・地位・立場を表す語につくことが多く、漢文の読み下しのようなかたい調子になります。

然るに忠盛、未だ備前守たりし時、

(平家物語・巻一「殿上闇討」)

現代語訳ところで(平)忠盛が、まだ備前守であった時、

ここがポイント上が官職を表す体言「備前守」なので断定の「たり」。下の「し」は過去「き」の連体形で、連用形「たり」に続いています。連用形の下につく完了・存続の「たり」とは、上の語で見分けます。

臣たる者は、君の恩を忘るべからず。

(自作)

現代語訳臣下である者は、主君の恩を忘れてはならない。

ここがポイント上が体言「臣」なので断定の「たり」の連体形「たる」。「〜たる者」(〜である者)は、今でも「教師たる者」のように使われる言い方です。

「たり」にも識別があります。上が連用形なら完了・存続の「たり」(咲きたり)、上が体言なら断定(大将たり)、「堂々たり」「漫々たり」のように様子を表す漢語につくなら形容動詞タリ活用の語尾(全体で1語)です。

「なり」の識別の手順

入試でいちばんねらわれるのが「なり」の識別です。次の順に確かめると迷いません。

  1. 「〜に」「〜と」「〜く」の下で「〜になる」という変化を表す → 動詞「なる」(「淵となりぬる」)。
  2. 「いと」をつけて意味が通る様子の語の一部 → 形容動詞の語尾(「あはれなり」)。名詞なら「が」をつけて主語にできる(「春が」○、「あはれが」×)。
  3. 上が終止形、または「あ・な・ざ・べか」などの撥音便の無表記 → 伝聞・推定。
  4. 上が体言・連体形、または「ばかり」などの助詞や副詞 → 断定。
  5. そのうち「場所+なる+体言」 → 存在の断定(〜にある)。
「なり」のすぐ上を、順に確かめる①「〜に・〜と・〜く」+変化動詞「なる」②「いと」がつく様子の語形容動詞③終止形・あ・な・ざ+なり伝聞・推定④体言・連体形・助詞+なり断定⑤場所の体言+なる+体言存在の断定四段など、終止形=連体形の語の下は?音・声やうわさの文脈 → 伝聞・推定/ほか → 断定
「なり」の識別は①〜⑤の順に。終止形と連体形が同じ形の語の下は、文脈で決める
例「なり」のすぐ上答え
淵となりぬる(13番)「淵と」(〜と+変化)動詞「なる」の連用形
かこち顔なるわが涙(86番)様子の語「かこち顔」形容動詞「かこち顔なり」の連体形の語尾
人はいふなり(8番)四段「いふ」(うわさ)伝聞・推定(伝聞)
錦なりけり(69番)体言「錦」断定(連用形)
夢ばかりなる手枕(67番)副助詞「ばかり」断定(連体形)
難波なる(20番)地名「難波」存在の断定(〜にある)

もっと深く(難関大・上級者)

1. 「に」の識別:断定の「に」を見抜く

断定「なり」の連用形「に」は、格助詞「に」・接続助詞「に」・完了「ぬ」の連用形「に」・形容動詞の語尾・ナ変動詞(死に・往に)の一部などと同じ形で、入試の識別問題の常連です。断定の「に」の見分け方は次の3つです。

  • 上が体言・連体形で、下に「あり」(侍り・おはす・候ふ)が来る。間に「は・も・や・か・こそ・ぞ」が入ってもよい。
  • 「〜で」と訳せる(「〜にあり」→「〜である」)。
  • 「にや」「にか」「にこそ」で文が切れていたら、下に「あらむ」「あらめ」が省略されている。
「に」と「あり」の間に助詞が入るやむごとなき際にはあらぬが際名詞(身分)に断定「なり」の連用形は係助詞あらラ変「あり」の未然形(補助動詞)ぬ打消「ず」の連体形「に」+(は)+「あり」→ 断定「〜で」訳:それほど重い身分ではない方で
「際にはあらぬ」:「に」と「あら」の間に係助詞「は」が入っても、「に」は断定

いづれの御時にか、女御、更衣あまたさぶらひたまひける中に、いとやむごとなき際にはあらぬが、すぐれて時めきたまふありけり。

(源氏物語・桐壺)

現代語訳どの帝の御代であったか、女御や更衣が大勢お仕えしていらっしゃった中に、たいして重い身分ではない方で、とりわけ帝のご寵愛を受けていらっしゃる方があった。

ここがポイント「御時にか」の「に」は体言の下で、係助詞「か」の下に結びが省略されている断定の連用形。過去のことなので「ありけむ」(〜であったろうか)を補うのがふつうです。「際にはあらぬ」の「に」も、係助詞「は」をはさんで「あら」に続く断定(〜ではない)。一方「あまたさぶらひたまひける中に」の「に」は、場所を表す格助詞です。1文に3つの「に」が並ぶ、識別の練習にぴったりの文です。
「にや」「にか」の下に省かれた言葉形省略された結び訳にや(あらむ)〜であろうかにか(あらむ)〜であろうかにこそ(あらめ)〜であろうにぞ(ある)〜であるいづれの御時にか(ありけむ)(源氏物語)
「にや」「にか」の下には「あらむ」、「にこそ」の下には「あらめ」が省かれている

「〜にあり」の形でも、いつも断定とは限りません。「京にあり」が「京にいる」という意味なら、「に」は場所を表す格助詞、「あり」は「いる」という本来の動詞です。「〜で(ある)」と訳せるときだけ断定の「に」+補助動詞「あり」です。ただし「京なる人」(京にいる人)は、「に+あり」がつまった存在の断定と考えます。「なる」の形になったら助動詞、「に+あり」と分かれていたら場所なら格助詞、と整理すると混乱しません。

2. 「にて」の識別

「にて」も2通りあります。上が体言・連体形で「〜であって・〜で」と訳せるなら、断定の連用形「に」+接続助詞「て」。「〜で(場所・手段・原因)」なら1語の格助詞「にて」です。

かの人は大納言の娘にて、いとうつくし。

(自作)

現代語訳あの人は大納言の娘であって、たいそうかわいらしい。

ここがポイント「娘にて」は「娘であって」と訳せるので、断定「なり」の連用形「に」+接続助詞「て」。「門にて待つ」(門で待つ)なら場所の格助詞「にて」です。

3. 「ならで」「ならなくに」:断定の未然形

未然形「なら」は、「ならば」(〜であるならば)、「ならず」(〜ではない)、「ならむ」(〜であろう)のほか、和歌によく出る次の形で入試にねらわれます。

形でき方訳百人一首の例
〜ならで断定の未然形「なら」+打消の接続助詞「で」〜ではなくて96番「雪ならで」、63番「人づてならで」
〜ならなくに断定の未然形「なら」+打消「ず」の古い未然形「な」+「く」+助詞「に」〜ではないのに14番「我ならなくに」、34番「友ならなくに」
〜にはあらねど断定の連用形「に」+係助詞「は」+補助動詞「あら」+打消「ね」+「ど」〜ではないけれど23番「秋にはあらねど」
百人一首23番 大江千里の絵札
百人一首23番・大江千里の絵札。「月見れば千々に物こそ悲しけれわが身ひとつの秋にはあらねど」。画像:絵札「Hyakuninisshu 023」(パブリックドメイン、Wikimedia Commons)

月見れば千々に物こそ悲しけれわが身ひとつの秋にはあらねど

(百人一首23番・大江千里(月見れば))

現代語訳月を見ると、あれこれと限りなく物事が悲しく思われる。私ひとりのためにやって来た秋ではないのだけれど。

ここがポイント「秋にはあらねど」の「に」は、体言「秋」の下で係助詞「は」をはさんで「あら」に続くので断定の連用形(〜ではない)。「千々に」の「に」は、名詞「千々」に付いて「さまざまに」と様子を表す格助詞と説明されることが多く、断定ではありません(下に「あり」が続かない)。「物こそ悲しけれ」は係り結び。上の句の「千々(ちぢ)」と下の句の「ひとつ」が対になっています。

4. 「ななり」「なめり」:断定と推定が重なる形

断定「なり」の連体形「なる」に、伝聞・推定の「なり」や推定の「めり」がつくと、「なるなり」「なるめり」が撥音便で「なんなり」「なんめり」となり、さらに「ん」が書かれずに「ななり」「なめり」になります。上の「な」は断定、下の「なり」「めり」は推定(伝聞)です。読むときは「ナンナリ」「ナンメリ」と「ん」を補います。

断定「なる」+なり・めり → ななり・なめりもとの形撥音便書かれる形なるなりなんなりななり訳:〜であるようだ・〜だそうだなるめりなんめりなめり訳:〜であるようだ(目で見て)上の「な」=断定「なる」(「ん」が書かれない)下の「なり」=伝聞・推定、「めり」=推定
「ななり」「なめり」の「な」は断定「なる」。撥音便の「ん」が書かれていない

これは、かの人の書きたる文なめり。

(自作)

現代語訳これは、あの人が書いた手紙であるようだ。

ここがポイント「な」は体言「文」の下の断定「なり」の連体形「なる」の撥音便「なん」の「ん」が書かれない形。下の「めり」は(目で見ての)推定。「〜であるようだ」と訳します。

5. 連体形+「なり」と、学説の違い

連体形につく断定の「なり」は、「〜のである・〜のだ」と、事情・理由を説明する気持ちを表します。終止形と連体形が同じ形の四段動詞などの下では、伝聞・推定と形で区別できないので、音・声やうわさの文脈でなければ断定と考えるのが一般的です。

また、「存在」を断定とは別の意味として立てるかどうかは本によって少し違います。「断定・存在」の2つを挙げる本が多い一方、存在は断定のもとの意味(に+あり)が残ったものとして、断定の中にふくめて説明する本もあります。また「たり」の連用形「と」は「〜として」の形でわずかに見られるだけで、これを格助詞「と」と見る説明もあります。入試では「断定(〜である)・存在(〜にある)」と答えられれば十分です。

サクラちゃん

サクラちゃん

「秋にはあらねど」の「に」が断定だったなんて! ふつうに「秋には」って読んでたよ。

合格先生

合格先生

そこが難関大のねらい目なんだ。「に」の下に「あり」が見えたら断定を疑う。間に「は・も・や・こそ」が入っても同じだよ。助動詞全体の中での位置は助動詞一覧で、接続のきまりは助動詞の接続で確かめておこう。

ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

わかった! 「に」+(は・も・や)+「あり」なら断定の「に」、「な」+なり・めりなら断定の「なる」の撥音便。どっちも「あり」がかくれているんだね!

よくあるまちがい

まちがい1:「なり」を全部「〜である」と訳す

終止形や撥音便(あ・な・ざ)の下の「なり」は伝聞・推定です。「〜と・〜に」の下で変化を表すなら動詞「なる」。まずすぐ上の形を確かめましょう。

まちがい2:「春日なる」を「春日という」と訳す

場所の体言+「なる」+体言は存在の断定で「〜にある」。「〜という」は伝聞の訳です。地名は体言なので、接続から見ても伝聞・推定にはなりません。

まちがい3:「にあらず」の「に」を格助詞と考える

「水にあらず」は「水の中にない」ではなく「水ではない」。「〜で」と訳せて下に「あり」が来る「に」は断定の連用形です。

まちがい4:「堂々たり」の「たり」を断定と答える

「堂々たり」は全体で1語の形容動詞タリ活用です。断定の「たり」は「大将たり」のように人や身分などの体言につきます。

練習問題

やさしい

  1. 断定の助動詞「なり」の接続と、2つの意味を答えなさい。
    答えと解説を見る

    接続:体言・連体形(助詞や副詞にもつく)。意味:断定(〜である・〜だ)と存在(〜にある・〜にいる)。

  2. 「この花は桜なり。」(自作)の「なり」の意味を答えなさい。
    答えと解説を見る

    上が体言「桜」なので断定「この花は桜である」。

ふつう

  1. 次の「なり」を、断定/伝聞・推定/形容動詞の語尾/動詞のどれか答えなさい(自作)。
    ① 都なる人に文やる。 ② 夜いと静かなり。 ③ 鐘の音すなり。 ④ 法師になりにけり。 ⑤ 人の言ひしなり。
    答えと解説を見る

    ① 場所の体言「都」+なる+体言なので断定(存在)「都にいる人」。② 「いと」がつく様子の語「静かなり」で1語なので形容動詞の語尾。③ サ変「す」の終止形の下なので伝聞・推定(鐘の音が聞こえる=推定)。④ 「〜に」の下で変化を表すので動詞「なる」の連用形。⑤ 過去「き」の連体形「し」の下なので断定「人が言ったのである」。

  2. 「これは翁の家にこそあらめ。」(自作)の「に」を文法的に説明し、全体を訳しなさい。
    答えと解説を見る

    体言「家」の下で、係助詞「こそ」をはさんで「あら(め)」に続くので、断定の助動詞「なり」の連用形。「め」は推量「む」の已然形(「こそ」の結び)。訳「これは翁の家であろう」。

むずかしい

  1. 「いづれの御時にか」(源氏物語・桐壺)の「に」の文法的説明をし、省略されている語を補って訳しなさい。
    答えと解説を見る

    体言「御時」の下の断定の助動詞「なり」の連用形。係助詞「か」の結びが省略されている。過去のことなので「ありけむ」(補助動詞「あり」の連用形+過去推量「けむ」の連体形)を補うのがふつう(「あらむ」を補う説明もある)。訳「どの帝の御代であったろうか」。

  2. 「京にあなる人」(自作)と「京なる人」(自作)の違いを文法的に説明しなさい。
    答えと解説を見る

    前者の「あなる」は、ラ変「あり」の連体形「ある」+伝聞・推定の「なり」の連体形「なる」が撥音便「あんなる」となり、「ん」が書かれない形。「京にいるという人」(伝聞)。後者の「なる」は場所の体言「京」につく断定(存在)の「なり」の連体形で、「京にいる人」。「あ+なる」か「体言+なる」かで、伝聞か存在かが決まる。

関連ページ

助動詞全体の流れは、記事「古文の助動詞一覧」でも読めます。

読みもの(合格大作戦の記事)

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よくある質問

断定の「なり」と伝聞・推定の「なり」の見分け方は?

接続で見分けます。体言・連体形の下なら断定、終止形(ラ変型は連体形)や「あ・な・ざ」などの撥音便の無表記の下なら伝聞・推定です。四段動詞など終止形と連体形が同じ形の語の下は、音・声やうわさの文脈なら伝聞・推定、そうでなければ断定と考えます。

断定の「なり」の存在の意味とは?

場所を表す体言について「〜にある・〜にいる」と訳す意味です。「春日なる三笠の山」(春日にある三笠の山)のように、多くは「場所+なる+体言」の形になります。

断定の「なり」の連用形「に」はどう見分けますか?

上が体言・連体形で、下に「あり(侍り・おはす)」が続き、「〜で」と訳せる「に」です。「にもあらず」「にやあらむ」のように間に係助詞が入ることもあり、「にや」「にか」の下の「あらむ」は省略されることが多くあります。

断定の「たり」と完了の「たり」の違いは?

断定の「たり」は体言につき「〜である」と訳します。完了・存続の「たり」は連用形につき「〜た・〜ている」と訳します。「堂々たり」のように様子を表す漢語につくものは形容動詞タリ活用の語尾です。

「ななり」「なめり」とは何ですか?

断定「なり」の連体形「なる」に伝聞・推定の「なり」や推定の「めり」がつき、撥音便「なん」の「ん」が書かれない形です。「〜であるようだ・〜であるそうだ」と訳し、「ナンナリ」「ナンメリ」と読みます。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
  • 例文の本文:竹取物語(かぐや姫の昇天)、方丈記(冒頭)、伊勢物語(第九段)、源氏物語(桐壺)、平家物語(巻一「殿上闇討」)、土佐日記(冒頭)、百人一首(7・8・13・14・20・23・32・34・63・67・69・82・86・96・98・100番)。表記は読みやすいように一部改めています
  • 高校の古典文法の標準的な説明(断定の「なり・たり」の接続・活用・意味、「なり」「に」の識別、撥音便の無表記)にもとづいて作成。存在の意味の扱い、「たり」の連用形「と」など説明が分かれる所は本文に両方を記しました
  • 画像:百人一首の絵札(69番・23番、パブリックドメイン、Wikimedia Commons)

最終更新:2026年10月21日/作成:大学受験合格大作戦