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大学受験難関大
ひとことで言うと
古文の「なり」は、断定・伝聞・推定の助動詞、形容動詞の語尾、動詞「なる」の4つ。すぐ上が体言・連体形なら断定、終止形(ラ変型は連体形)なら伝聞・推定と見分けます。
このページのポイント
- 「なり」は4種類:断定/伝聞・推定/形容動詞の語尾/動詞「なる」
- まずすぐ上を見る:体言・連体形→断定、終止形→伝聞・推定
- 「〜に・〜と」+変化なら動詞、「いと」がつく様子の語なら形容動詞
- 四段など終止形=連体形の語の下は、音・声・うわさの文脈で決める
- 「あなり・ざなり」など撥音便の無表記の下は伝聞・推定
はじめて(やさしく)
古文を読んでいると、「なり」ということばに何度も出会います。ところが、この「なり」は見た目が同じでも、正体がちがうものが4つあります。「人なり」は「人である」、「鐘の音すなり」は「鐘の音が聞こえる」、「静かなり」は「静かだ」、「大人になりぬ」は「大人になった」。訳がまったくちがいますね。
このように、同じ形のことばの正体を見分けることを識別(しきべつ)といいます。「なり」の識別は、大学入試の文法問題で最もよく出るテーマの一つです。
うかるくん
えっ、全部同じ「なり」なのに、4つもあるの? どうやって見分けるの?
合格先生
コツは「なり」のすぐ上を見ること。人の名前を聞いても誰かわからないとき、「どこの家の子?」と聞くよね。それと同じで、上にどんな語があるかで、「なり」の正体はほとんど決まるんだ。
サクラちゃん
上が「人」みたいな名詞なら……?
合格先生
そう、名詞(体言)の下なら断定「〜である」。動詞の終止形の下なら伝聞・推定「〜そうだ」。上を見て、次に下を見て、最後に訳で確かめる。この3段で見ていこう。
4つの「なり」を、ひとことずつ紹介します。くわしい説明は、それぞれのページで読めます。
- 断定の助動詞「なり」:「〜である」。名詞や連体形の下につく(断定の「なり・たり」)。
- 伝聞・推定の助動詞「なり」:「〜そうだ・〜が聞こえる」。耳で聞いたことを表し、終止形の下につく(伝聞・推定の「なり」)。
- 形容動詞の語尾:「静かなり」「あはれなり」で1つのことば。「なり」だけを切りはなせない(形容動詞)。
- 動詞「なる」:「〜になる」。「大人になりぬ」のように、下に助動詞がつくと「なり」の形になる(四段活用)。

合格先生
「なり」を見たら、まずすぐ上! 名詞なら断定、終止形なら伝聞・推定。これだけで半分以上の問題が解けるよ。
わからないところは、受験掲示板「100点BBS」の〈古典文法のお勉強〉で質問できます。
ここまでのまとめ
- 古文の「なり」は4種類:断定/伝聞・推定/形容動詞の語尾/動詞「なる」
- 見分けるカギはすぐ上の語。体言・連体形なら断定、終止形なら伝聞・推定
- 上→下→意味の3段で確かめる
しっかり(大学受験の基礎〜標準)
「なり」の識別一覧表(4種類の見分け方)
| 正体 | 品詞 | すぐ上の形 | 訳 | 例 |
|---|---|---|---|---|
| 断定「なり」 | 助動詞 | 体言・連体形(助詞・副詞にも) | 〜である・〜にある(存在) | 月の都の人なり |
| 伝聞・推定「なり」 | 助動詞 | 終止形(ラ変型は連体形) | 〜そうだ・〜ようだ・〜が聞こえる | 衣打つなり |
| 形容動詞の語尾 | 形容動詞の一部 | 様子を表す語幹(静か・あはれ・つれづれ) | 〜だ・〜である(全体で1語) | あはれなり |
| 動詞「なる」 | 動詞(四段) | 「〜に」「〜と」「〜く」 | 〜になる・〜となる | 淵となりぬる |
表の「すぐ上の形」を見るには、活用形の見分けが欠かせません。とくに「終止形か連体形か」で、断定と伝聞・推定が分かれます。助動詞が何形につくかは助動詞の接続で整理できます。
判定の流れ図:上を見る→下を見る→意味で決める
①と②を先に確かめるのは、動詞「なる」と形容動詞は「なり」だけを取り出せないからです。「静かなり」の「なり」を助動詞と答えるのは、よくあるまちがいです。①②に当てはまらなければ、助動詞の「なり」です。あとは上が終止形か体言・連体形かで、伝聞・推定か断定かを決めます。
活用形をくらべると見える決め手
4つの「なり」は、活用の形も少しずつちがいます。この差が、形だけで答えが決まる手がかりになります。
- 「ならば」「ならず」の「なら」は、伝聞・推定ではありません(伝聞・推定の「なり」には未然形がない)。
- 文末で言い切る「〜なり。」は、動詞「なる」ではありません(動詞なら「〜なる。」)。
- 「なり」の下に「けり」「き」「ぬ」などの助動詞が来るときは連用形。断定・形容動詞・動詞の3つがありえます。
例文で確かめる
おのが身は、この国の人にもあらず、月の都の人なり。
(竹取物語・かぐや姫の昇天)
現代語訳私の身は、この国の人でもありません。月の都の人です。
み吉野の山の秋風さ夜ふけてふるさと寒く衣打つなり
(百人一首94番・参議雅経(み吉野の))
現代語訳吉野の山の秋風が吹き、夜もふけて、古い都のあった里は寒々として、衣を打つ(砧の)音が聞こえてくる。

つれづれなるままに、日暮らし硯にむかひて、
(徒然草・序段)
現代語訳することもなく退屈なのにまかせて、一日中硯に向かって、
筑波嶺の峰より落つるみなの川恋ぞつもりて淵となりぬる
(百人一首13番・陽成院(筑波嶺の))
現代語訳筑波山の峰から流れ落ちるみなの川が、(しだいに水を集めて)深い淵となるように、私の恋心もつもりつもって淵のように深くなってしまった。

百人一首で4種類を並べる
| 歌 | 「なり」のすぐ上 | 答え |
|---|---|---|
| 錦なりけり(69番) | 体言「錦」 | 断定(連用形) |
| 夢ばかりなる手枕(67番) | 副助詞「ばかり」 | 断定(連体形) |
| 人はいふなり(8番) | 四段「いふ」(世間のうわさ) | 伝聞・推定(伝聞) |
| 鹿ぞ鳴くなる(83番) | 四段「鳴く」(声の場面) | 伝聞・推定(推定) |
| かこち顔なる(86番) | 様子の語「かこち顔」 | 形容動詞の語尾 |
| 久しくなりぬれど(55番) | 形容詞の連用形「久しく」 | 動詞「なる」 |
このほか「〜なりけり」で終わる歌(32番・82番・96番・100番)は、どれも体言+断定「なり」+詠嘆「けり」です。
もっと深く(難関大・上級者)
1. 同じ文に「なり」が2つ:土佐日記の冒頭
入試で最も有名な「なり」の識別は、『土佐日記』の書き出しです。同じサ変動詞「す」の下の「なり」が、終止形か連体形かで正体を変えます。
男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。
(土佐日記・冒頭)
現代語訳男も書くと聞いている日記というものを、女(の私)も書いてみようと思って書くのである。
2. 終止形と連体形が同じ形のとき
四段・上一段・下一段の動詞(いふ・鳴く・見る)は、終止形と連体形が同じ形です。この下の「なり」は形では決まらず、文脈で判断します。
- 音・声(鳴く・打つ・吹く・声す・音す)や、話し手がその場で耳にしている場面 → 推定
- 人のうわさ・話(いふ・聞く)を伝えている → 伝聞
- どちらでもなく、事情を説明する「〜のである」が自然 → 断定
百人一首8番「世をうぢ山と人はいふなり」は、世間のうわさなので伝聞。83番「鹿ぞ鳴くなる」は、山奥で鹿の声を聞いている場面なので推定です。83番は係助詞「ぞ」の結びで連体形「なる」になっています。
3. ラ変型の連体形と撥音便の無表記
伝聞・推定の「なり」は、ラ変型の語(あり・をり・ず・たり・べし・形容詞のカリ活用など)には連体形でつきます。そのため「ある+なり」→「あんなり」→「あなり」のように撥音便が起こり、「ん」が書かれない形がよく出ます(音便)。
| 書かれる形 | もとの形 | 「なり」の正体 |
|---|---|---|
| あなり | あるなり(ラ変「あり」+なり) | 伝聞・推定 |
| ななり | なるなり(断定「なる」+なり) | 上の「な」は断定、下の「なり」は伝聞・推定 |
| ざなり | ざるなり(打消「ず」+なり) | 伝聞・推定 |
| べかなり | べかるなり(「べし」+なり) | 伝聞・推定 |
世の中に物語といふもののあんなるを、いかで見ばやと思ひつつ、
(更級日記・冒頭)
現代語訳世の中に物語というものがあるそうだが、それをなんとかして見たいと思い続けて、
「なるなり」の「な」の側は、「なる」「な」の識別でくわしく扱います。
4. 形容動詞か、名詞+断定「なり」か
「静かなり」「あはれなり」は形容動詞ですが、「春なり」「人なり」は名詞+断定「なり」です。境目がわかりにくいときは、次の2つのテストをします。
「〜げなり」「〜やかなり」「〜らかなり」の形(うつくしげなり・さはやかなり・なめらかなり)は、ほぼ形容動詞です。また、形容動詞の連用形「〜に」の下に動詞「なる」が続く「いたづらになりぬべき」(百人一首45番)では、「いたづらに」が形容動詞、「なり」が動詞です。形容動詞のあとに出てくる「なり」まで形容動詞と思いこまないようにしましょう。
5. 「〜なりけり」の3通り
下に「けり」が来る「なり」は連用形で、3通りの正体がありえます。上の語で区別します。
| 例(自作) | 上の語 | 正体と訳 |
|---|---|---|
| 法師なりけり | 体言「法師」 | 断定:法師であった |
| 法師になりにけり | 「法師に」+変化 | 動詞「なる」:法師になってしまった |
| あはれなりけり | 様子の語「あはれ」 | 形容動詞の語尾:しみじみと趣深かった |
動詞「なる」の場合は、「〜に」「〜と」が上にあり、さらに下に完了の「ぬ」が入ることが多い点も手がかりになります。古文にはこのほか、姿・かっこうを表す名詞の「なり」もありますが、入試の識別ではまず上の4つを考えます。
6. 学説の違いと、入試での答え方
終止形につく「なり」を、断定とは別の「伝聞・推定」の助動詞として立てる説明は、国語学の研究の中で整えられてきた説明です。本によって「推定・伝聞」と書く順序や、どちらを中心の意味とするかが少しちがいます。また、形容動詞を一つの品詞として認めず「名詞+なり」と考える立場もあります。入試では、教科書どおり「断定/伝聞・推定/形容動詞の活用語尾/動詞」の4つで答えれば十分です。助動詞全体の識別は、記事「古文の助動詞一覧(識別の節)」でもまとめています。
サクラちゃん
「すなる」と「するなり」で、正体が逆になるなんて!
合格先生
それが識別のおもしろいところ。上の形さえ正確にわかれば、あとは機械的に決まる。だから活用表を正確に覚えることが、いちばんの近道なんだ。「に」の形の識別は「に」の識別でも練習できるよ。

うかるくん
わかった! ①変化なら動詞、②「いと」で形容動詞、③終止形なら伝聞・推定、④体言・連体形なら断定。順番に消していけば迷わない!
よくあるまちがい
まちがい1:「なり」を全部「〜である」と訳す
断定は4つのうちの1つにすぎません。終止形の下は伝聞・推定、「〜に・〜と」の下で変化を表せば動詞です。
まちがい2:「静かなり」の「なり」を断定と答える
「静かなり」「あはれなり」は全体で1語の形容動詞です。「いと」をつけて意味が通るかで確かめます。
まちがい3:四段動詞の下の「なり」を形だけで決める
四段は終止形と連体形が同じ形です。音・声やうわさの場面かを文脈で確かめてから決めます。
まちがい4:「春日なる」を「春日という」と訳す
地名は体言なので、その下の「なる」は断定。場所+なる+体言は存在「春日にある」です(百人一首7番)。
練習問題
やさしい
- 古文の「なり」の正体を4つ答えなさい。
答えと解説を見る
断定の助動詞・伝聞・推定の助動詞・形容動詞の語尾・動詞「なる」(の連用形)の4つ。
- 次の「なり」は、断定か伝聞・推定か答えなさい(自作)。
① これは翁の家なり。 ② 笛の音すなり。答えと解説を見る
① 上が体言「家」なので断定「翁の家である」。② 上がサ変「す」の終止形なので伝聞・推定(笛の音が聞こえる=推定)。
ふつう
- 次の「なり」を、ア 断定/イ 伝聞・推定/ウ 形容動詞の語尾/エ 動詞 に分けなさい(自作)。
① 月いとあかう、空のどかなり。 ② 夜の更けしなり。 ③ 年老いて翁となりにけり。 ④ 外は雪降るなり。音のしづかに聞こゆ。 ⑤ 心あらざなり。答えと解説を見る
① 「いとのどかなり」と言える様子の語なのでウ。② 過去「き」の連体形「し」の下なのでア(夜が更けたのである)。「し」は連体形なので、終止形につく伝聞・推定の「なり」ではない。③ 「翁と」の下で変化を表すのでエ。④ 四段「降る」の下で、音を聞いておしはかっているのでイ(推定「降っているようだ」)。⑤ 「ざなり」は「ざるなり」の撥音便の無表記なのでイ。
- 「京には見えぬ鳥なれば、みな人見知らず。」(伊勢物語・第九段)の「なれ」を文法的に説明しなさい。
答えと解説を見る
上が体言「鳥」なので断定の助動詞「なり」の已然形。已然形+「ば」で原因・理由「都では見かけない鳥なので」。
むずかしい
- 「男もすなる日記といふものを、女もしてみむとてするなり。」(土佐日記)の2つの「なる・なり」を、それぞれ文法的に説明しなさい。
答えと解説を見る
「すなる」の「なる」は、サ変「す」の終止形につく伝聞の助動詞「なり」の連体形(下の体言「日記」に続く)。「するなり」の「なり」は、サ変「す」の連体形につく断定の助動詞「なり」の終止形。
- 次の「なり」の違いを説明しなさい(自作)。
A 身のいたづらになりぬ。 B 身はいたづらなり。答えと解説を見る
A は「いたづらに」(形容動詞「いたづらなり」の連用形)の下で「むなしくなる」と変化を表すので、動詞「なる」の連用形(下の「ぬ」は完了)。B は「いたづらなり」で1語の形容動詞の終止形の語尾。文末の「なり」なので動詞ではない(動詞の終止形は「なる」)点も手がかり。
関連ページ
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- 形容動詞(ナリ活用・タリ活用):「静かなり」の活用
- 「なる」「な」の識別:ななり・なめり、完了「ぬ」の「な」
- 音便:あなり・ざなりの撥音便
- 助動詞の接続:終止形接続と連体形接続
- 「に」の識別:断定「なり」の連用形「に」
- 共通テストの古文文法:共通テストで問われやすい文法の一覧
- 国公立二次・難関私大の古文文法:記述の訳に文法を出す手順
- 古文文法辞典の目次
助動詞全体の流れは、記事「古文の助動詞一覧」でも読めます。
読みもの(合格大作戦の記事)
- 古文の助動詞一覧
接続・意味・活用をまとめて見る地図 - 百人一首 全百首
全首の現代語訳・品詞・修辞 - 和歌の修辞
枕詞・序詞・掛詞・縁語・本歌取り - 古文単語の覚え方
入試に出る古文単語を、意味のつながりで覚える - 「はなむけ」の意味
土佐日記にも出てくる古語
受験掲示板「100点BBS」で質問・相談しよう
- 古典文法のお勉強(スレ)(文法のわからない所を質問・答え合わせ)
- 古典の勉強方法(スレ)(古典の勉強の進め方)
- 共通テスト掲示板(共通テストの国語(古文)の対策)
- 国語の勉強掲示板(古文・漢文・現代文の勉強の相談)
よくある質問
古文の「なり」は何種類ありますか?
4種類です。断定の助動詞「なり」、伝聞・推定の助動詞「なり」、形容動詞の語尾(静かなり)、動詞「なる」の連用形です。
断定の「なり」と伝聞・推定の「なり」の見分け方は?
すぐ上の形で見分けます。体言・連体形の下なら断定、終止形(ラ変型の語は連体形)や「あ・な・ざ」などの撥音便の無表記の下なら伝聞・推定です。
四段動詞の下の「なり」はどう見分けますか?
四段は終止形と連体形が同じ形なので、文脈で決めます。音・声を聞いている場面なら推定、うわさなら伝聞、事情の説明なら断定です。
形容動詞の「なり」と断定の「なり」の違いは?
「いと」をつけて意味が通れば形容動詞(いとあはれなり)、「が」をつけて主語にできれば名詞+断定(春が)です。
「すなる」と「するなり」の違いは?
「すなる」は終止形「す」の下なので伝聞(〜という)、「するなり」は連体形「する」の下なので断定(〜のである)です。土佐日記の冒頭の例です。
あわせて読みたい
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
- 例文の本文:竹取物語(かぐや姫の昇天)、徒然草(序段)、土佐日記(冒頭)、更級日記(冒頭)、伊勢物語(第九段)、百人一首(7・8・13・32・45・55・67・69・82・83・86・94・96・100番)。表記は読みやすいように一部改めています
- 高校の古典文法の標準的な説明(「なり」の識別、助動詞の接続、撥音便の無表記)にもとづいて作成。伝聞・推定の扱い、形容動詞を認めるかなど説明が分かれる所は本文に記しました
- 画像:百人一首の絵札(94番・13番、パブリックドメイン、Wikimedia Commons)
最終更新:2026年10月21日/作成:大学受験合格大作戦



