国公立二次・難関私大の古文文法対策|記述の現代語訳で差がつく文法・識別・敬語の一覧と勉強法・練習問題【大学受験】

国公立二次・難関私大の古文文法対策|記述の現代語訳で差がつく文法・識別・敬語の一覧と勉強法・練習問題【大学受験】

古文文法辞典 › 入試別

難関大

ひとことで言うと

国公立二次・難関私大の古文では、記述の現代語訳・説明と細かい文法問題が多く、助動詞・助詞・敬語・係り結び・反語・仮定・婉曲を訳の言葉としてすべて出す力で差がつきます。まず共通テストの文法を固め、次に敬語と識別の難所、最後に訳の手順と記述の練習へ進むのが近道です。

このページのポイント

  • 二次は記述(現代語訳・理由説明・和歌の解釈)、難関私大は選択+文法問題が多い
  • 記述の訳は、文法の要素を訳の言葉として全部出す(「ましかば〜まし」→もし〜なら〜だろうに)
  • 差がつく難所はもぞ・二方面・最高敬語・下二段「給ふ」・らむ/せ/なの識別・まし・本歌取り
  • 勉強の順番は共通テストの文法→識別・敬語の難所→訳の7ステップ→記述の答案
  • 本番はリード文・注・設問を先に読み、主語に印をつけながら本文へ

はじめて(やさしく)

国公立大学の二次試験(個別学力検査)や難関私立大学の古文は、共通テストより一歩ふみこんだ力が問われます。大きなちがいは、自分の言葉で答えを書く問いが増えることです。国公立二次では、傍線部の現代語訳、「誰が」「何を」を補った訳、理由や心情の説明、和歌の解釈などを、記述で答える形が多く見られます。難関私大では、選択式の読解に加えて、識別・敬語・文法的説明などの文法問題が独立して出ることがあります。

このページは、合格大作戦の古文文法辞典の全ページから、二次・難関私大で差がつく所を選んで並べた入口のページです。文法そのものの説明は各ページにまかせ、ここでは「何を・どの順で・どこまで」と、記述の訳に文法をすべて出す手順をまとめます。受験の段階ごとの入口は、辞典の表紙の「受験別に探す」から選べます。

二次・難関私大の古文は、こう出ることが多い国公立二次記述が中心・傍線部の現代語訳・主語・目的語を補う訳・理由・心情の説明・指示内容の説明・和歌の解釈・説明難関私大選択+文法・識別(ぬ・なり など)・敬語と敬意の方向・傍線部の訳を選ぶ・内容合致・心情・文学史・古文常識どちらも土台は「訳に文法を出す力」
国公立二次は記述が中心、難関私大は選択と文法問題が多い。どちらも「訳に文法を出す力」が土台
うかるくん

うかるくん

共通テストの古文はなんとかなるんですが、二次の「現代語訳しなさい」が苦手です。なんとなく意味はわかるのに、点がもらえなくて……。

合格先生

合格先生

記述の訳は「意味がわかったか」だけでなく、文法がわかっていることが答案に見えるかが大事なんだ。たとえば「寝なまし」の「な」が強意だとわかっていても、訳に「きっと」がなければ、答案からは読みとれないよね。

サクラちゃん

サクラちゃん

わかっていても、書かなければ伝わらないんですね!

合格先生

合格先生

そう。だから二次の勉強は、文法を1つずつ訳の言葉に置きかえる練習が中心になる。その前に、共通テストの文法がゆるがないことが条件だよ。

勉強の順番は、下から1段ずつSTEP 1共通テストの文法STEP 2識別・敬語の難所STEP 3訳の手順7ステップSTEP 4記述の答案練習下の段がゆらぐと、上の段は積めない
勉強の順番は、共通テストの文法→識別・敬語の難所→訳の手順→記述の答案練習の4段

勉強は上の階段のように、下の段から順に積みます。STEP 1 は、共通テストの古文文法のページで扱う範囲(助動詞の意味と接続、敬語の種類、基本の識別)です。ここがあやふやなまま記述の練習をしても、同じ所でまちがえ続けます。

「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

二次の古文で大切なのは、「訳に文法をすべて出す」こと。助動詞・助詞・敬語・係り結び・反語・仮定・婉曲を、1つも落とさず日本語にするんだ。

ここまでのまとめ

  • 国公立二次は記述(現代語訳・説明・和歌の解釈)が中心のことが多い
  • 難関私大は選択+文法問題(識別・敬語・文法的説明)が多い
  • 土台は共通テストの文法。その上に「訳に文法を出す力」を積む

答案の書き方や文法の疑問は、受験掲示板「100点BBS」の古典の勉強方法や古典文法のお勉強のスレで相談できます。

しっかり(大学受験の基礎〜標準)

二次・難関私大で出る古文文法の一覧表(辞典のページへ)

二次・難関私大の古文で問われやすい項目を、「何が問われるか」と「大事さ(目安)」で並べました。★★★は記述の訳でも文法問題でもよく関わる項目、★★は差がつきやすい項目です(大事さは一般的な目安で、出題の割合を示すものではありません)。右の列から、辞典のくわしいページへ進めます。

項目何が問われるか大事さ辞典のページ
助動詞の意味と接続訳の土台。接続から語を決める★★★助動詞一覧・接続
推量「む」の婉曲・仮定連体形「む」を「〜ような」「〜としたら」と訳し分ける★★★「む」
反実仮想「まし」「ましかば〜まし」「せば〜まし」の訳、ためらいの意志★★★「まし」
強意の「ぬ・つ」「ぬべし」「てむ」「なむ」を「きっと〜」と訳す★★★「つ・ぬ」
「べし」「らむ」「けむ」べしの6つの意味、らむ・けむの原因推量★★「べし」・「らむ」・「けむ」
打消推量「じ・まじ」打消意志・不可能・禁止の訳し分け★★「じ」・「まじ」
「る・らる」「す・さす」可能(打消と)・尊敬・使役の見分け★★★「る・らる」・「す・さす・しむ」
接続助詞「ば」未然形+ば(仮定)と已然形+ば(確定)。理由説明の手がかり★★★「ば」
「ど・ども・に・を・が」逆接・順接・単純接続の訳し分け★★接続助詞
副助詞「だに・さへ」類推「〜さえ」と最小限の希望「せめて〜だけでも」★★副助詞
終助詞「ばや・なむ・もがな」自分の願望・他者への願望・禁止「な〜そ」★★★終助詞
係り結び・反語結びの省略・結びの流れ、「や・か」の反語の訳★★★係り結び
「もぞ・もこそ」「〜したら困る」の危惧の訳★★「もぞ・もこそ」
敬意の方向誰から誰への敬意か、主語の判定★★★敬意の方向・敬語の種類
二方面への敬語「聞こえ給ふ」「奉り給ふ」の2本の敬意★★二方面への敬語
最高敬語・絶対敬語「せ給ふ」「奏す・啓す」から人物を決める★★最高敬語
下二段「給ふ」謙譲(〜ております)と四段の尊敬の見分け★★「給ふ」
識別(基本)なり・に・ぬ・ね・なむ・る・れ・し★★★なり・に・ぬ・ね・なむ・る・れ・し
識別(難所)らむ・せ・なる・な★★らむ・せ・なる・な
主語の補い方「( )を補って訳せ」の答え方★★★主語の補い方
和歌の修辞掛詞・縁語・序詞・本歌取りを生かした解釈★★掛詞・縁語・序詞・本歌取り
古文常識・官職人物関係・場面の読みとり★★古文常識・官職と身分

勉強の順番(ステップ表)

ステップやること使うページ
1 土台を固める助動詞の意味・接続・活用を口で言える。敬語の3種類と主な敬語動詞を覚える助動詞一覧・敬語動詞の一覧・共通テストの古文文法
2 難所をつぶす識別10ページと、敬意の方向・二方面・最高敬語・下二段「給ふ」敬意の方向・「なり」の識別 ほか
3 訳の手順を身につける短い1文を、文法を全部出して訳す(下の7ステップ)「まし」・「もぞ」・「ば」
4 記述の答案を書く主語の補い・理由説明・和歌の解釈を、字数を決めて書く主語の補い方・本歌取り
問いの型 → 辞典のどこで練習するか現代語訳助動詞一覧・識別の各ページ主語を補う訳主語の補い方・敬語の種類敬意の方向敬意の方向・二方面への敬語理由の説明接続助詞「ば」「ど・に・を」和歌の解釈掛詞・縁語・序詞・本歌取り文法的説明識別10ページ・活用形(下の一覧表から、それぞれのページへ進めます)
よく出る問いの型と、辞典で練習するページの対応

訳に文法をすべて出す:文法の要素→訳の言葉の一覧

記述の現代語訳では、次の要素が訳の言葉として答案に見えるようにします。採点のくわしい基準はわかりませんが、文法の要素を1つずつ確かめられると考えて書くのが安全です。

文法の要素形の例訳に出す言葉くわしいページ
反実仮想〜ましかば〜まし/〜せば〜ましもし〜だったら、〜ただろうに「まし」
強意ぬべし・てむ・なむ(連用形+)きっと〜・〜てしまう「つ・ぬ」
婉曲・仮定の「む」〜む(連体形)+体言・助詞〜ような・〜としたら「む」
仮定と確定未然形+ば/已然形+ばもし〜ならば/〜ので・〜と「ば」
反語や・か(やは・かは)〜連体形〜か、いや〜ない係り結び
こそ〜已然形、〜こそ〜已然形、(文が続く)〜けれども係り結び
危惧もぞ〜連体形/もこそ〜已然形〜したら困る「もぞ・もこそ」
尊敬・謙譲・丁寧給ふ(四段)・申す・侍りお〜になる・〜申し上げる・〜です敬語の種類・「侍り」
謙譲(下二段給ふ)思ひ給ふる・見給へず〜ております・〜させていただく「給ふ」
類推・最小限の希望だに(〜打消/〜命令・願望)〜さえ/せめて〜だけでも副助詞
原因推量(どうして)〜らむどうして〜のだろう「らむ」
詠嘆〜けり(和歌・会話)・〜かな〜だなあ「き・けり」
単語ごとに、訳に出す形を決める形文法訳に出す寝下二段「寝」の連用形寝るな完了「ぬ」未然形(強意)きっと〜まし反実仮想「まし」連体形〜ただろうにものを助詞(逆接・詠嘆)〜のに(あなたが来ないと知っていたら)きっと寝てしまっただろうに
百人一首59番「寝なましものを」を単語に分け、文法を1つずつ訳に出す

例文:問いの型ごとに見る

型1 傍線部の現代語訳(反実仮想)

鏡に色・形あらましかば、映らざらまし。

(徒然草・第二百三十五段)

現代語訳もし鏡に色や形があったなら、(ものの姿は)映らないだろうに。

ここがポイント訳には「もし〜たなら」(ましかば)と「〜ないだろうに」(ざらまし)の2つが必ず要ります。「映らないだろう」で止めると、反実仮想の「〜のに」が消えます。「ざら」は打消「ず」の補助活用(助動詞「ず」)。くわしくは「まし」へ。

型2 主語を補った現代語訳

渡守に問ひければ、「これなむ都鳥」と言ふを聞きて、

(伊勢物語・第九段(東下り))

現代語訳(男が)渡し守にたずねたところ、(渡し守が)「これが都鳥だ」と言うのを(男が)聞いて、

ここがポイント「問ひければ」の已然形+ばで主語が男→渡し守に移り、「聞きて」でまた男にもどります。「主語を補って訳せ」という問いでは、( )に人物を入れる位置が採点の目印になると考えて書きます。手順は主語の補い方と接続助詞「ば」で。

型3 敬意の方向(二方面への敬語)

春宮の御方に渡し奉りたまひてければ、

(大鏡・花山院の出家)

現代語訳(粟田殿が神璽・宝剣を)皇太子の御方にお渡し申し上げなさってしまっていたので、

ここがポイント「奉り」(謙譲)は動作を受ける春宮へ、「たまひ」(尊敬)は動作をする粟田殿への、どちらも語り手(地の文の書き手)からの敬意。順番は謙譲+尊敬です。二方面への敬語・敬意の方向で練習できます。

型4 和歌の解釈(危惧と強意)

玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする

(百人一首89番・式子内親王(玉の緒よ))

現代語訳私の命よ、絶えるのなら絶えてしまえ。生きながらえていると、(恋を)秘めてこらえる心が弱って(人に知られて)しまったら困るから。

ここがポイント「絶えなば」の「な」は完了「ぬ」の未然形+ば(仮定)、「絶えね」の「ね」は「ぬ」の命令形。「もぞする」は危惧(「もぞ・もこそ」)。和歌の解釈では、「なぜ命が絶えてもよいと言うのか」という理由まで書けるかが問われます。
百人一首89番 式子内親王の絵札(玉の緒よ 二次試験 古文 記述 和歌の解釈)
百人一首89番・式子内親王の絵札。「絶えなば絶えね」の完了「ぬ」、「弱りもぞする」の危惧と、1首に二次でねらわれる文法がつまっています。画像:絵札「Hyakuninisshu 089」(パブリックドメイン、Wikimedia Commons)

もっと深く(難関大・上級者)

1. 現代語訳の7ステップ(訳に文法をすべて出す手順)

現代語訳の7ステップ(文法を全部出す)1単語に区切る(品詞分解)2用言の活用形を決める3助動詞の意味を決めて、訳に出す4助詞(係・接続・副・終)を訳に出す5敬語を「お〜になる・申し上げる」で出す6主語・目的語・指示内容を( )で補う7自然な日本語に整え、原文と照らす3〜5を1つでも落とすと、答案から文法が消える
現代語訳の7ステップ。3〜5(助動詞・助詞・敬語)を落とすと、答案から文法が消える

記述の現代語訳は、次の順で組み立てると、文法の落としがなくなります。

  1. 単語に区切る:まず品詞分解。区切りをまちがえると、あとの全部がずれます(品詞)。
  2. 用言の活用形を決める:下の助動詞・助詞を決める手がかりになります(活用形・動詞の活用の種類)。
  3. 助動詞の意味を決めて訳に出す:「む」の婉曲、「ぬ」の強意、「けり」の詠嘆など、現代語にない意味ほど落としやすい所です。
  4. 助詞を訳に出す:「ば」の仮定・確定、「だに」の類推、反語の「やは・かは」、終助詞の願望・禁止。
  5. 敬語を出す:尊敬は「お〜になる・〜なさる」、謙譲は「〜申し上げる」、丁寧は「〜です・〜ます」。下二段「給ふ」は「〜ております」。
  6. 補う:主語・目的語・指示内容(「さ」「かく」「それ」が何をさすか)を( )で入れます。
  7. 整えて照らす:日本語として自然にしたあと、原文の単語と1つずつ対応しているかを指でたどって確かめます。

2. 二次・難関私大で差がつく「難所」のページ

共通テストでは選択肢を比べれば答えにたどりつける所でも、記述や細かい文法問題では、知らなければ書けない項目があります。この辞典で難関大の印がついたページのうち、特に差がつきやすいものを挙げます。

サクラちゃん

サクラちゃん

難所って、こんなにあるんですね。どれから手をつければいいですか?

合格先生

合格先生

まずは敬語の3ページ(敬意の方向・二方面・最高敬語)。主語が決まらないと、記述の答案は全部ずれるからね。次に「まし」「もぞ」のような訳に出す言葉が決まっているもの。識別の難所と和歌は最後でいい。

3. 本番での読み方の手順と時間の使い方

入試の古文は、本文の前のリード文(あらすじの説明)と、本文の注に大きなヒントがあることが多いです。次の順で読むと、むだがありません。

  1. リード文と注を先に読む:登場人物・身分・関係を、メモに書き出します(敬語の判定に使います)。
  2. 設問を先に見る:どこを訳すのか、何を説明するのかを知ってから本文に入ります。
  3. 本文は、主語に印をつけながら読む:敬語の有無、接続助詞「ば・て・ど」で主語が変わる所に注意します。
  4. 記述は、文法の要素を先に書き出してから答案にする:傍線部の横に「強意」「婉曲」「謙譲→〇〇へ」などと書いてから、訳をつなげます。
  5. 最後に見直す:答案の訳と原文の単語を1つずつ対応させ、落ちている要素がないか確かめます。

時間配分は大学・学部ごとに問題の量がちがうので、一律には言えません。過去の問題を解くときに、読む時間と書く時間を分けて記録し、自分なりの配分を決めておくのがよい方法です。

4. 共通テストとのちがい

共通テストと二次・難関私大のちがい共通テスト二次・難関私大答え方マーク式(選ぶ)記述が中心(私大は選択も)文法選択肢の訳の中で確かめる自分の訳の中にすべて出す差がつく識別・敬語・助動詞の基本もぞ・二方面・下二段給ふ など和歌修辞と心情を選ぶ修辞を生かして解釈を書く共通テストの文法の上に、二次の「書く力」を積む
共通テストは選んで確かめる、二次は自分で書いて出す。文法の知識は同じでも使い方がちがう

共通テストはマーク式なので、文法の知識は選択肢の訳を比べるときに使います。二次・難関私大では、同じ知識を自分の答案の中で使うことになります。知っている文法の量は大きく変わらなくても、「書ける」ところまで仕上げる必要がある、と考えるとよいでしょう。共通テストの範囲と勉強の順番は共通テストの古文文法のページにまとめています。助動詞の全体像は記事「古文の助動詞一覧」、敬語は記事「古文の敬語」でも読めます。

ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

共通テストで覚えた文法を、今度は自分の訳に全部出すんですね。7ステップで、短い文から練習してみます!

よくあるまちがい

まちがい1:意味がわかれば訳は書ける、と思っている

「だいたいこういう意味」という訳では、助動詞・助詞・敬語が答案から消えがちです。単語ごとに訳の言葉を決めてからつなげる習慣をつけましょう。

まちがい2:主語を補わずに訳す

古文は主語が省かれることが多く、訳だけ書くと「誰が」が読みとれない答案になります。敬語と接続助詞を手がかりに、( )で補います(主語の補い方)。

まちがい3:共通テストの文法があやふやなまま記述に進む

識別や敬語の基本がゆらいでいると、記述でも同じ所をまちがえます。まず助動詞一覧と敬語の種類を確かめてから、記述の練習へ。

まちがい4:和歌を訳だけで終わらせる

和歌の解釈では、掛詞の2つの意味や、縁語・本歌のつながりを答案に入れることが求められることがあります(掛詞・本歌取り)。

練習問題

二次・難関私大の問いの型をまねた自作の問題です。本文は定番の古典から短く引きました(入試問題の転載ではありません)。

やさしい

  1. 次の文を、文法の要素がわかるように現代語訳しなさい。
    鏡に色・形あらましかば、映らざらまし。(徒然草・第二百三十五段)
    答えと解説を見る

    訳:もし鏡に色や形があったなら、(ものの姿は)映らないだろうに。

    「ましかば〜まし」は反実仮想。「もし〜たなら、〜だろうに」の両方を訳に出します。「ざら」は打消「ず」の補助活用の未然形なので「〜ない」も必要です。

  2. 次の文を現代語訳しなさい。
    烏などもこそ見つくれ。(源氏物語・若紫)
    答えと解説を見る

    訳:烏などが見つけたら大変だ(困る)。

    「もこそ」は危惧を表し、係り結びで已然形「見つくれ」(下二段「見つく」)で結んでいます。「烏なども見つける」と訳すと、心配の気持ちが消えてしまいます。

ふつう

  1. 百人一首59番「やすらはで寝なましものを」の「寝なまし」を文法的に説明し、補うべき仮定を入れて現代語訳しなさい。
    答えと解説を見る

    説明:下二段動詞「寝」の連用形「寝」+完了(強意)の助動詞「ぬ」の未然形「な」+反実仮想の助動詞「まし」の連体形。

    訳:(あなたが来ないと知っていたら)ためらわずにきっと寝てしまっただろうに。

    反実仮想の「もし〜なら」の部分が歌の中に書かれていないので、( )で補います。「な」の強意を「きっと」「〜てしまう」で出すのがポイントです。

  2. 次の文の「奉り」「たまひ」は、それぞれ誰から誰への敬意か。
    (粟田殿が)春宮の御方に渡し奉りたまひてければ、(大鏡・花山院(花山天皇)の出家)
    答えと解説を見る

    「奉り」=語り手(地の文)から春宮へ(謙譲の補助動詞。動作を受ける人を高める)。「たまひ」=語り手(地の文)から粟田殿へ(尊敬の補助動詞。動作をする人を高める)。

    地の文なので「誰から」はどちらも作者。二方面への敬語で、順番は謙譲+尊敬です。

むずかしい

  1. 次の文(自作)の「給へ」の活用の種類・活用形・敬語の種類を答え、全文を現代語訳しなさい。
    (女房が中宮に)「その御文は、まだ見給へず。」
    答えと解説を見る

    答え:下二段活用の「給ふ」の未然形(打消「ず」に接続)。謙譲の補助動詞(丁重語とする説明もある)。

    訳:「そのお手紙は、まだ拝見しておりません。」

    四段の「給ふ」の未然形は「給は」なので、「給へず」となるのは下二段だけです。会話文で「見る」についている点も、下二段の目印です。尊敬と取って「ご覧にならない」と訳すと、見ていない人が中宮になり、話がずれてしまいます。

  2. 百人一首89番「玉の緒よ絶えなば絶えねながらへば忍ぶることの弱りもぞする」について、「絶えなば絶えね」と言う理由を、文法の要素を生かして説明しなさい(60字程度)。
    答えと解説を見る

    解答例:生きながらえていると、恋を秘めて耐える心が弱って、人に知られてしまったら困るので、いっそ命が絶えてしまえと願っている。(59字)

    「ながらへば」は未然形+ば=仮定(もし生きながらえるなら)、「もぞする」は危惧(〜したら困る)。この2つが理由の中身です。「絶えなば」は完了「ぬ」の未然形+ば(仮定)、「絶えね」は「ぬ」の命令形です。

関連ページ

百人一首は、二次でねらわれる文法の宝庫です。このページで扱った89番・59番・94番のほか、危惧「もこそ」の72番「音に聞く」、反実仮想の44番「逢ふことの」、原因推量「らむ」の33番「久方の」も、文法を全部出して訳す練習にちょうどよい長さです。全首の訳と品詞は百人一首 全百首で確かめられ、覚え方やクイズもあります。

読みもの(合格大作戦の記事)

受験掲示板「100点BBS」で質問・相談しよう

よくある質問

国公立二次の古文の現代語訳は、どう書けば点になりますか?

単語に区切って、助動詞・助詞・敬語の意味を1つずつ訳の言葉にし、省かれた主語や目的語を( )で補ってから、自然な日本語に整えます。意味がわかっていても、強意・婉曲・反実仮想などが訳に出ていないと、文法がわかっていることが答案から読みとれません。

二次・難関私大の古文文法は何から勉強すればよいですか?

まず共通テストの範囲の文法(助動詞の意味と接続、敬語の種類、基本の識別)を固めます。次に敬意の方向・二方面への敬語・最高敬語・下二段「給ふ」、識別の難所へ進み、最後に記述の答案練習をします。

難関私大の古文の文法問題では、何が問われますか?

同じ形の語を見分ける識別、敬語の種類と誰から誰への敬意か、傍線部の文法的説明(品詞・活用形・意味)などが見られます。出方は大学・学部ごとにちがうので、過去の問題で形を確かめましょう。

共通テストと二次の古文は何がちがいますか?

共通テストはマーク式で、文法の知識を選択肢の訳を比べるときに使います。二次は記述が中心のことが多く、同じ知識を自分の答案の中ですべて出す必要があります。

和歌の解釈の記述では何を書けばよいですか?

歌の訳だけでなく、掛詞の2つの意味、縁語のつながり、本歌取りなら本歌の内容など、修辞が生む意味を入れるとよいとされます。問いの指示(理由・心情・字数)に合わせてまとめます。

あわせて読みたい

出典・参考

  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
  • 例文の本文:徒然草(第二百三十五段)、伊勢物語(第九段)、大鏡(花山院の出家)、源氏物語(若紫)、百人一首(59・89番)。いずれも辞典の各ページで用いた本文と同じ表記。表記は読みやすいように一部改めています
  • 下二段「給ふ」の練習問題の文は自作
  • 出題の形は「〜ことが多い」という一般的な傾向として記述。特定の大学の入試問題は転載していません
  • 高校の古典文法の標準的な説明にもとづいて作成
  • 画像:百人一首89番 式子内親王の絵札「Hyakuninisshu 089」(パブリックドメイン、Wikimedia Commons)

最終更新:2026年10月21日/作成:大学受験合格大作戦