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大学受験
ひとことで言うと
「むず(んず)」は未然形につく推量の助動詞で、意味は「む」とほぼ同じ(推量・意志が中心)。「むとす」がつまった形と説明され、サ変型(むず・むずる・むずれ)に活用します。「んず」の「ず」は打消ではありません。
このページのポイント
- 接続は未然形、活用はサ変型(○・○・むず・むずる・むずれ・○)
- 意味は「む」と同じに考える。実際は推量・意志がほとんど
- 成り立ちは「む+と+す」がつまった形と説明されることが多い
- 平安時代は会話文のくだけた言い方。のちの軍記物語では「んず」が多い
- 「んずる・んずれ」を打消「ず」とまちがえない(打消に「ずる・ずれ」はない)
はじめて(やさしく)
「むず」は、「んず」とも書かれる助動詞です。意味は助動詞「む(ん)」とほぼ同じで、「〜だろう」(推量)や「〜しよう」(意志)と訳します。
では、なぜ「む」とは別の助動詞として習うのでしょうか。理由は2つあります。1つ目は形(活用)がちがうこと。2つ目は使われる場面がちがうことです。「む」が和歌にも物語の地の文にも会話にも出てくるのに対し、「むず」はおもに会話の中で使われた、少しくだけた言い方でした。
「むず」は、「む」に助詞「と」とサ変動詞「す」がついた「むとす」(〜しようとする)が、つまってできた形だと説明されることが多いです。「と」が落ちて「むず」。だから、もとになった「す」と同じように変化します。
うかるくん
「むず」って、「む」と意味が同じなんでしょ? じゃあ、覚えなくてもいいんじゃない?
合格先生
意味は「む」と同じに考えてよい。でも、形を知らないと「むず」だと気づけないんだ。たとえば「来むずる」「行かんずれ」。「ずる」「ずれ」を見て打消の「ず」と思うと、意味が反対になってしまうよ。
サクラちゃん
えっ、「んず」の「ず」は打消じゃないの?
合格先生
そう、「行かんず」は「行かない」ではなく「行くだろう・行こう」。ここが「むず」でいちばん大事なところだね。

サクラちゃん
「むず」は「む」と同じ意味で、形はサ変「す」。「む」の意味の見分け方が、そのまま使えるんだね!
わからないところは、受験掲示板「100点BBS」の〈古典文法のお勉強〉で質問できます。
ここまでのまとめ
- 「むず(んず)」=意味は「む」とほぼ同じ(推量・意志が中心)
- 「むとす」がつまった形と説明されることが多く、サ変型に活用する
- おもに会話文で使われた。「んず」の「ず」は打消ではない
しっかり(大学受験の基礎〜標準)
「むず」の接続と活用表
| 語 | 未然形 | 連用形 | 終止形 | 連体形 | 已然形 | 命令形 | 活用の型 |
|---|---|---|---|---|---|---|---|
| むず(んず) | ○ | ○ | むず | むずる | むずれ | ○ | サ変型 |
接続:未然形。「む」と同じです(「行かむず」「見むず」「せむず」「来(こ)むず」)。活用はサ変型で、未然形・連用形・命令形はありません。連体形「むずる」は係助詞「ぞ・なむ・や・か」の結びや下に体言が続くとき、已然形「むずれ」は「こそ」の結びや「ど・ども」の上で使われます。
接続の全体像は助動詞の接続で、「る・らる・す・さす・しむ・ず・じ・む・むず・まし・まほし」のような未然形接続のグループとして覚えるのがふつうです。サ変の活用そのものは変格活用のページで確かめましょう。
「むず」の意味の表
「むず」の意味は「む」と同じと考えます。ただし、実際の例は推量と意志が大部分です。教科書や文法書によって、「推量・意志」だけを挙げるもの、「む」と同じ6つ(推量・意志・適当・勧誘・仮定・婉曲)を挙げるもの、勧誘を除いた5つを挙げるものがあります。
| 意味 | 訳し方 | 見分ける手がかり |
|---|---|---|
| 推量 | 〜だろう | 文末で、主語が三人称(人・物・できごと)。いちばん多い |
| 意志 | 〜しよう・〜するつもりだ | 文末で、主語が一人称(私)。会話文に多い |
| 適当 | 〜するのがよい | 主語が二人称。「こそ〜むずれ」など。例は少ない |
| 仮定・婉曲 | 〜としたら・〜ような | 文の途中の連体形「むずる」。下に体言(婉曲)や「は・も」など |
見分け方の手順
- 「むず・んず・むずる・んずる・むずれ・んずれ」を見つけたら、上が未然形かを確かめる(「行か」「見」「せ」「来(こ)」など)。
- 「ず・ずる・ずれ」だけを見て打消の「ず」と決めない。「ん(む)」があれば助動詞「むず」。
- あとは「む」と同じ手順:文末なら主語の人称(一人称→意志、三人称→推量)、文の途中の「むずる」なら下の語(体言→婉曲など)。
- 訳を当てはめて、文脈に合うかを確かめる。

合格先生
「むず」の問題は、まず「むず」だと気づくことが勝負。「〜んずる」「〜んずれ」の「ん」を見落とさないように!
例文で確かめる

この月の十五日に、かのもとの国より、迎へに人々まうで来むず。
(竹取物語・かぐや姫の昇天の前の場面)
現代語訳今月の十五日に、あのもとの国(月の都)から、迎えに人々がやって来るでしょう。
さる所へまからむずるも、いみじくも侍らず。
(竹取物語・かぐや姫の昇天の前の場面(教科書に多い本文による))
現代語訳そのような所(月の都)へ参りますようなことも、うれしくもございません。
さだめておどろかさむずらむと待ちゐたるに、
(宇治拾遺物語・巻一「児のかいもちひするに空寝したる事」(児のそら寝))
現代語訳(僧たちが)きっと(自分を)起こしてくれるだろうと待っていると、
われこそ先に参らむずれ。
(自作)
現代語訳私こそ先に参上しよう。
百人一首には「むず」がない
百人一首の100首を調べると、「む」は何首にも出てきますが、「むず」は1首もありません。「むず」が会話のくだけた言い方で、和歌のような改まったことばには使われにくかったことと合っています。和歌での推量・意志は「む」で表されます。
- 百人一首77番「瀬をはやみ……われても末に逢はむとぞ思ふ」:「逢はむ」は意志(逢おう)。
- 百人一首3番「あしびきの……ながながし夜をひとりかも寝む」:一人称でも自分でどうにもならないことなので推量。
- 百人一首29番「心あてに折らばや折らむ」:「折らむ」は意志(折ってみようか)。
同じ内容を会話で言えば「逢はむずる」「折らんず」のようにもなりうる、と考えると、「む」と「むず」の関係がつかめます。和歌にどの助動詞が出やすいかは、百人一首 全百首で確かめてみましょう。
もっと深く(難関大・上級者)
1. 清少納言は「むず」をきらった?
枕草子の「ふと心劣りとかするものは」の段には、ことばづかいについての有名な記述があります。何かを言うときに「〜せむとす」「言はむとす」と言うべきところを、「と」の字を落として「言はむずる」「里へ出でむずる」などと言うと、それだけでひどく見劣りがする、という趣旨です。
ただ「言はむずる」「里へ出でむずる」など言へば、やがていとわろし。
(枕草子「ふと心劣りとかするものは」の段(教科書・注釈書に多い本文による))
現代語訳ただ「言はむずる」「里へ出でむずる」などと言うと、すぐにひどくみっともない(と感じられる)。
この記述から、次の2つが読み取れます。(1) 平安時代の人にも「むず」と「むとす」はつながったものと感じられていた。(2) 「むず」は上品な書きことばではなく、話しことばの言い方だった。入試の説明問題で「むず」の性格を問われたら、この2点が答えの柱になります。
2. 「むとす」と「むず」は同じ意味か
成り立ちは「むとす」でも、意味は同じとは限りません。「むとす」は「〜しようとする」「今にも〜しそうだ」と、ことがらが始まる直前を表すことがあります(「日暮れむとす」=日が暮れようとしている。自作)。一方「むず」は、ふつう「む」と同じ推量・意志で訳します。「むず」を見て「〜しようとする」と訳すと、不自然になることが多いので注意しましょう。
また、「むず」は「む」より見こみが強い(「きっと〜だろう」に近い)と説明する本もあります。宇治拾遺物語の「さだめておどろかさむずらむ」は、「さだめて(きっと)」とともに使われています。ただし、これは決まったちがいとまでは言えず、入試では「む」と同じように訳して問題ありません。
3. 「むず」の移り変わり
「むず」は平安時代の物語の会話文にあらわれ、鎌倉時代以降の軍記物語や説話では「んず」の形で多く使われるようになります。平家物語などを読むと、「〜んずる」「〜んずれ」がたくさん出てきます。室町時代の話しことばでは「うず」という形も現れたと説明されます。その後はしだいに使われなくなりました。なお、現代語の「〜しよう」の「う」は「む」が変わったもので、「むず」から来たものではありません(助動詞「む」のページの図を参照)。
4. 「むず」の識別:まぎらわしい「ず」
| 形 | 正体 | 見分けの手がかり |
|---|---|---|
| 行かむず・行かんず | 助動詞「むず」の終止形 | 「む(ん)」がある。訳は「行くだろう・行こう」 |
| 行かず | 打消「ず」の終止形 | 「む(ん)」がない。訳は「行かない」 |
| 行かむずる・行かんずる | 助動詞「むず」の連体形 | 「ずる」は打消にはない形。係り結びの結びや体言の上 |
| 行かざる | 打消「ず」の連体形(補助活用) | 「ざる」。「ずる」とは別 |
| 行かむずれ・行かんずれ | 助動詞「むず」の已然形 | 「こそ」の結び・「ど・ども」の上 |
| 行かざれ・行かね | 打消「ず」の已然形 | 「ざれ」「ね」。「ずれ」とは別 |
打消「ず」には「ずる」「ずれ」という形はありません。だから「〜ずる」「〜ずれ」を見たら、上に「む(ん)」がないか確かめましょう。また、平家物語などの「〜んずらん(むずらむ)」は、「むず」の終止形+現在推量「らむ」です。「らむ」は終止形につくので、「むず」の終止形と相性がよく、「むずらむ」はよく出る組み合わせです。
うかるくん
「んずらん」って、「ん」が2回も出てきてややこしい!
合格先生
分けて読めば大丈夫。「んず」+「らん」=「むず」+「らむ」。推量が2つ重なって「〜だろう、と思う」くらいの気持ちだよ。「らむ」のページもいっしょに見ておこう。
5. 推量の仲間との位置関係
「むず」は、未然形接続の推量の助動詞のグループ(む・むず・じ・まし)に入ります。終止形接続の「べし」「らむ」、連用形接続の「けむ」と比べると、接続から語を決める問題に強くなります。全体の地図は助動詞一覧と、記事「古文の助動詞一覧」で確かめましょう。
よくあるまちがい
まちがい1:「んず」「んずる」の「ず」を打消と考える
「行かんず」は「行かない」ではなく「行くだろう・行こう」です。打消「ず」には「ずる」「ずれ」の形がありません。「ん(む)+ず」はひとまとまりで助動詞「むず」です。
まちがい2:「むず」を「〜しようとする」と訳す
成り立ちは「むとす」と説明されますが、意味は「む」と同じ推量・意志で訳すのが基本です。「〜しようとする」と訳すと文脈に合わないことが多い。
まちがい3:「むず」の接続を終止形と考える
「むず」は「む」と同じく未然形接続です。「来むず」は「こむず」と読みます(「くむず」ではない)。
練習問題
やさしい
- 助動詞「むず」の接続と、活用の型を答えなさい。
答えと解説を見る
接続は未然形、活用はサ変型(○・○・むず・むずる・むずれ・○)。
- 「明日は都へ帰らんず。」(自作・会話文。話し手が自分のことを言っている)の「んず」の意味を答え、訳しなさい。
答えと解説を見る
「んず」は助動詞「むず」。主語は話し手(一人称)なので意志。「明日は都へ帰ろう」。打消ではないので「帰らない」は誤り。
ふつう
- 次の傍線部を文法的に説明しなさい(自作)。
① 人々来むずる日なり。 ② 人々来ざる日なり。答えと解説を見る
① カ変「来」の未然形「こ」+推量「むず」の連体形(下に体言「日」があるので婉曲。「人々が来るような日である」)。② 打消「ず」の連体形(補助活用)「人々が来ない日である」。「ずる」は打消にない形なので①は「むず」と決まる。
- 「むず」の成り立ちとして一般的に説明される形と、そこから活用の型がどう説明できるかを答えなさい。
答えと解説を見る
助動詞「む」+助詞「と」+サ変動詞「す」の「むとす」がつまり、「と」が落ちた形と説明されることが多い。もとがサ変「す」なので、「す・する・すれ」と同じように「むず・むずる・むずれ」とサ変型に活用する。
むずかしい
- 「さだめて雨降らんずらん。」(自作)を品詞に分け、各助動詞の意味を答えて訳しなさい。
答えと解説を見る
さだめて(副詞)/降ら(四段「降る」未然形)/んず(推量「むず」終止形)/らん(現在推量「らむ」終止形)。「むず」は主語が「雨」(三人称)なので推量。「らむ」は終止形接続で、ここでは推量を重ねて「〜だろう」の気持ちを表す。訳は「きっと雨が降るだろう」。「んずらん」を打消と考えないこと。
関連ページ
- 助動詞「む(ん)」:意味の見分け方(スイカテカエ)はここで
- 変格活用:サ変「す」の活用(むずの活用のもと)
- 助動詞「らむ(らん)」:「むずらむ」の「らむ」
- 助動詞「ず」:打消の「ず・ざる・ざれ」との区別
- 助動詞の接続:未然形接続のグループ
- 助動詞一覧:推量の仲間の地図
- 古文文法辞典の目次
助動詞全体の流れは、記事「古文の助動詞一覧」でも読めます。
読みもの(合格大作戦の記事)
- 古文の助動詞一覧
接続・意味・活用をまとめて見る地図 - 百人一首 全百首
全首の現代語訳・品詞・修辞 - 枕草子「春はあけぼの」
冒頭の段を品詞から読む - 古文単語の覚え方
入試に出る古文単語を、意味のつながりで覚える
受験掲示板「100点BBS」で質問・相談しよう
- 古典文法のお勉強(スレ)(文法のわからない所を質問・答え合わせ)
- 古典の勉強方法(スレ)(古典の勉強の進め方)
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よくある質問
助動詞「むず」の意味は何ですか?
助動詞「む」とほぼ同じで、推量(〜だろう)と意志(〜しよう)が中心です。「む」と同じ6つの意味を挙げる本もありますが、実際の例は推量・意志がほとんどです。
「むず」と「む」の違いは?
意味はほぼ同じです。ちがうのは活用(む=四段型、むず=サ変型)と使われる場面で、「むず」は平安時代には会話文で使われるくだけた言い方でした。
「むず」の接続と活用は?
接続は未然形です。活用はサ変型で、○・○・むず・むずる・むずれ・○ です。
「んず」の「ず」は打消ですか?
打消ではありません。「行かんず」は「行くだろう・行こう」という意味の助動詞「むず」です。打消「ず」には「ずる」「ずれ」という形もありません。
「むず」はどうしてできたのですか?
助動詞「む」+助詞「と」+サ変動詞「す」の「むとす」から「と」が落ちてできたと説明されることが多いです。枕草子にも「と」を落として「むずる」と言うのを聞き苦しいとする記述があります。
あわせて読みたい
出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」国語(言語文化・古典探究)
- 例文の本文:竹取物語(かぐや姫の昇天の前の場面)、宇治拾遺物語(巻一「児のかいもちひするに空寝したる事」)、枕草子(「ふと心劣りとかするものは」の段)、百人一首(3・29・77番)。表記は読みやすいように一部改めています
- 高校の古典文法の標準的な説明(「むず」の接続・活用・意味、「むとす」からの成り立ち)にもとづいて作成。意味の数え方など本によって違う点は本文に記した
- 画像:「Taketori Monogatari 2.jpg」(竹取物語絵巻より かぐや姫の昇天、土佐広通・土佐広澄 筆、1650年ごろ、パブリックドメイン〈PD-Art/PD-old-100-expired〉、Wikimedia Commons)
最終更新:2026年10月21日/作成:大学受験合格大作戦



