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建部賢弘Takebe Katahiro
ひとことで言うと
関孝和の弟子で、円周率を小数第40位あたりまで計算し、弧の長さやπ²を無限級数で表した江戸時代の和算家。1722年の『綴術算経』は和算の最高傑作のひとつ。
| 名前 | 建部賢弘(たけべ かたひろ、Takebe Katahiro)。号は不休 |
|---|---|
| 生没年 | 1664年〜1739年8月24日(75歳) |
| 国 | 日本(江戸時代中期、江戸生まれ) |
| 分野 | 和算・円理・円周率・暦学・地図 |
| 主な業績 | 円周率の計算(累遍増約術)、弧背術(無限級数)、π²の級数、零約術、『発微算法演段諺解』『大成算経』『綴術算経』、日本総図の作成 |
| 名前がつくもの | 建部の公式(弧背術)・建部賢弘特別賞(日本数学会の賞) |
| よばれ方 | 関孝和の高弟(弟子)。号は「不休」 |
このページのポイント
- 関孝和の弟子で、12歳ごろに兄の賢明とともに入門。師の仕事を『発微算法演段諺解』で解説し、和算を広めた
- 正1024角形と累遍増約術(誤差を打ち消す加速法)で、円周率を小数第40位あたりまで計算した
- 1722年の『綴術算経』で、弧の長さ・円周率の2乗を無限級数で表した。オイラーが約15年後に同じ結果を得たとされる
建部賢弘は何をした人?(業績をひとことで)
建部賢弘(たけべ かたひろ、1664〜1739年)は、江戸時代中期の数学者(和算家)です。関孝和の弟子として、関孝和の仕事を整理して広める一方で、円周率を小数第40位あたりまで計算し、円の弧の長さを無限級数で表すという、世界でもかなり早い時期の発見をしました。1722年の『綴術算経(てつじゅつさんけい)』は、和算の最高傑作のひとつとされています。のちには、8代将軍・徳川吉宗につかえ、日本全図の作成などでも活やくしました。
受験生にとっての建部賢弘は、「円周率を計算した江戸時代の天才」です。円周率の計算(3.14の計算のくふう)、おうぎ形の弧の長さ(おうぎ形の面積と弧の長さの公式)、数列の和と無限級数(数列の極限・無限等比級数)は、どれも建部の研究とつながっています。円周率そのものの意味は円周率とはで確かめられます。
うかるくん
江戸時代にも、数学者がいたんですね!しかも円周率を40ケタも計算するなんて……。
合格先生
そうなんだ。日本では江戸時代に、「和算」とよばれる独自の数学がとても発展したんだよ。コンピュータも電卓もない時代に、筆算と算木(計算用の棒)で、40ケタの計算をやりとげたんだ。しかも、ただ計算するだけでなく、少ない計算で早く答えに近づく工夫までしているんだよ。
建部賢弘の生涯と年表
旗本の家に生まれ、12歳で関孝和に入門
建部賢弘は1664年、江戸(今の東京)で、旗本(将軍に直接つかえる武士)の建部直恒の三男として生まれました。兄の建部賢明(1661〜1716年)も数学者です。1676年、まだ12歳のとき、兄とともに関孝和に入門したとされます。以後、1708年に関孝和が亡くなるまで、約30年間、師につき従いました。「不休(ふきゅう)」という号(ペンネーム)を使い、「休まない」という意味がこめられていると考えられます。
若くして本を書く
数学史の資料(MacTutor)によれば、建部賢弘は19歳(1683年)のときに『研幾算法』という本を書いています。1685年には、関孝和の『発微算法』(1674年)を、くわしく解説した『発微算法演段諺解』を書きました。関孝和の本は、途中の説明を省略していて読みにくかったため、それを分かりやすく解説したのです。これで、関孝和の数学は、広く理解されるようになりました。
『大成算経』と、集大成の『綴術算経』
関孝和と建部兄弟は、当時の和算の知識を全部まとめた大きな本を作りました。それが『大成算経』(全20巻)です。関孝和と建部賢明・賢弘の3人が著し、1710年ごろに完成したとされます。そして1722年、建部賢弘は、自分の研究の最高傑作『綴術算経』を著します。この本に、円周率の計算と、円の弧の長さを表す無限級数がのっています。
将軍吉宗に仕えて
建部賢弘は、徳川家宣・家継・吉宗の3人の将軍に仕えました。1716年に8代将軍になった徳川吉宗は、日本の暦や地図に関心があり、賢弘にたびたび命じました。賢弘は1719年に日本総図(享保日本図)を作り、暦や天体の研究にも協力しました。また、洋書(外国の本)の輸入のきまりをゆるめることを吉宗にすすめたとも伝えられます。1739年8月24日、江戸で亡くなりました(75歳)。
| 年 | できごと |
|---|---|
| 1664年 | 江戸で、旗本建部直恒の三男として生まれる |
| 1676年 | 兄の賢明とともに、関孝和に入門(12歳ごろ) |
| 1683年 | 『研幾算法』を書く(19歳。数学史の資料による) |
| 1685年 | 関孝和の『発微算法』を解説した『発微算法演段諺解』を書く |
| 1708年 | 師の関孝和が亡くなる |
| 1710年ごろ | 『大成算経』(全20巻)が完成。和算の集大成 |
| 1716年 | 徳川吉宗が8代将軍になる。このころ兄の賢明が亡くなる |
| 1719年 | 吉宗の命で日本総図(享保日本図)を作る |
| 1720年ごろ | 日本ではじめてとされる三角関数表『弧率(算歴雑考)』を書く |
| 1722年 | 『綴術算経』を書く。円周率・弧背の無限級数などをのせた最高傑作 |
| 1739年 | 8月24日、江戸で亡くなる(75歳) |
建部賢弘の主な業績をやさしく解説
業績1 円周率を小数第40位あたりまで計算した
円周率は、円周の長さを直径でわった値です。古くは、円に内接する正多角形を作り、辺の数をふやしていくことで円周の長さに近づける方法が使われてきました(アルキメデスの円周率の計算(正96角形)、劉徽の円周率の計算)。建部賢弘も、この方法を使いました。正4角形から始めて、辺の数を2倍・2倍…とふやし、正1024角形まで計算したとされます。
建部のすごいところは、ここから先です。表のように、辺の数をふやすたびに近似値は本物のπに近づきますが、近づき方はゆっくりです。一方で、近づき方には規則があります。辺の数を2倍にすると、誤差はだいたい4分の1になるのです。そこで、「今回の値」と「前回の値」から、誤差の分を打ち消す計算(上の表の「加速後」)を行うと、同じ多角形の数で、はるかに本物に近い値が得られます。この方法は、現代ではリチャードソン加速(外挿法)という名前でよばれる考え方と同じだと説明されます。建部は、この方法を「累遍増約術(るいへんぞうやくじゅつ)」とよんだとされます。
こうして建部賢弘は、小数第40位あたりまで円周率を求めました(MacTutor は小数第40位まで、日本語版ウィキペディアは「41桁まで正しく求めた」とするなど、桁数の数え方で資料により差があります)。いずれにしても、江戸時代に筆算で行われた計算としては驚くべき精度です。計算の工夫を使う、という点では、関孝和の円周率の計算と円理の仕事の発展でもあります。
業績2 弧の長さを無限級数で表した(弧背術)
円の一部分(弧)の長さを、弧背(こはい)といいます。円の直径を径d、弦の中点から弧の頂点までの長さを矢(や)c とすると、弧背 s は、径と矢から計算できるはずです。建部は、『綴術算経』で、それを無限に続く式で表しました。
現代の記号に書きなおすと、次の式になります。
これは、数学の言葉でいう逆正弦関数(アークサイン)の2乗のテイラー展開(べき級数展開)にあたります。つまり建部は、現代の微分積分学が生まれる前に、数値の計算を重ねて、べき級数の係数を見つけたのです。数学史の資料では、「和算ではじめてのべき級数展開」と説明され、のちの「円理」(円に関する研究)の土台になったとされます。べき級数の考え方は、高校の発展内容や大学で習うテイラー展開とテイラーの定理・マクローリン展開・べき級数と収束半径につながっています。
この結果と同じ式を、ヨーロッパでは約15年後に、あのオイラーの無限級数の研究が得たといわれます。同じ発見が、ヨーロッパと日本でほぼ同じ時期に、独立に行われたことになります。ただし、建部の本は日本の外には知られていなかったため、世界の数学に直接の影響をあたえたわけではありません。
業績3 円周率の2乗を、無限級数で表した
上の式で、円の弧がちょうど3分の1周(中心角120度)になる場合を考えます。このとき、矢と径の比は 、弧背は です。式に入れると、円周率の2乗 を表す、次のような無限級数が出てきます。
項の値は、9、0.75、0.1、0.0161、0.0029、…と、みるみる小さくなります。そのため、少ない項を足しただけで、 にとても早く近づきます。建部は、この式から円周率を計算する方法も示したとされます(和算では「建部の公式」とよばれます)。
この式と同じ形は、「ヨーロッパではオイラーが再発見した」といわれます。オイラーの有名なバーゼル問題(、バーゼル問題(Σ1/n²=π²/6))も、円周率の2乗を無限の足し算で表すという点で、建部の式と共通しています。無限に足すとどうなるかを調べる考え方は、収束と発散とはで確かめられます。
業績4 零約術(よい近似分数のさがし方)
円周率を分数で近似する工夫も、建部兄弟の仕事として知られます。小数をできるだけ分母の小さな分数にする方法を、和算では零約術(れいやくじゅつ)とよび、日本語版ウィキペディアでは兄の賢明が発見したとされています。現代の数学でいう連分数の考え方と同じです。
円周率の近似分数として有名なのは、22/7(3.142857…)と355/113(3.1415929…)です。355/113は、祖沖之の円周率の計算(355/113)が5世紀に求めたことで知られ、「分母が3けた以内で、これ以上よい分数はない」といわれるほどの精度です。分数や小数の関係は分数とは・循環小数とは・無理数とはで確かめられます。円周率がわりきれない数(無理数)だからこそ、分数による近似が大切になるのです。
業績5 関孝和の仕事を整理し、日本の数学を広めた
建部賢弘は、数学の方法そのものも考えました。『綴術算経』のはじめには、「数学とは何か」「無限とは何か」といった、方法論についての文章があるとされます。さらに、日本ではじめてとされる三角関数の表(『弧率』、1720年ごろ)を書きました。関孝和の『発微算法』を解説した本は、関孝和の数学を理解する最初の教科書となりました。関孝和が「和算の大成者」とされるのは、建部賢弘のような優れた弟子が、その仕事を整理して受けついだおかげでもあるのです。
建部賢弘の名前がつく公式・定理・用語
- 建部の公式(弧背術):径と矢から、弧背(弧の長さ)を無限級数で求める式。
- 建部の円周率の公式:π²を表す無限級数(x=1/2 を代入した形)。
- 累遍増約術:円周率の計算に使った、誤差を打ち消す加速法(現代のリチャードソン加速に近い考え方)。
- 零約術:よい近似分数を求める方法(連分数)。
- 『綴術算経』『大成算経』『発微算法演段諺解』:建部賢弘の主な著作。
- 日本数学会の「建部賢弘特別賞・奨励賞」:建部賢弘の名前をおくった、若手の数学者に贈られる賞。
関連する、おうぎ形の弧の長さ・面積の公式はおうぎ形の面積と弧の長さの公式や扇形とはで、弧と弦とはや弧度法とはも確かめられます。

合格先生
「弧の長さ=半径×中心角(ラジアン)」の考え方は、建部の弧背術にもつながっているよ。円周率が出てくる問題は、弧度法で一度考えてみよう。
建部賢弘の逸話と名言
「不休」という号
建部賢弘の号は「不休」です。号とは、学者や芸術家が使う、本名とは別の呼び名のことです。「不休」には「休まず努力する」という意味がこめられていると考えられますが、本人がどんな気持ちでこの号を選んだのかは、はっきりしていません。数学の計算を何年もかけて続けた賢弘にふさわしい号です。
兄とともに学び、兄と本を書いた
建部賢弘は、兄の賢明とともに関孝和の弟子となり、兄弟で『大成算経』などの共同作業を行ったといわれます。数学史の資料では、『大成算経』の前半12巻を弟の賢弘が、後半8巻を兄の賢明が書いたとも伝えられます(資料により説明がちがいます)。兄弟が力を合わせて、和算の集大成をつくった、ということです。
「円理」は、建部兄弟から
円や球を調べる和算の分野を円理とよびます。のちの江戸時代の和算家は、この円理を発展させて、積分に近い計算までたどりつきました。円理の始まりには、関孝和と、建部賢弘の円周率・弧背の研究があったと考えられています。建部が見つけた無限級数が、のちの積分の考え方に影響したという点は、研究者のあいだでも意見が分かれる部分もあります。
将軍吉宗とのやりとり
建部賢弘は、将軍吉宗の依頼で、暦の計算や、北極星の位置の計算などにも協力したとされます(記録の多くは未発表で、一部は失われているとされます)。また、吉宗が大きな地球儀を作らせたり、オランダ製の望遠鏡を持っていたりしたと伝えられていて、賢弘はその西洋科学への関心を助けたと考えられています。数学者の賢弘が、国の政治や科学技術にも関わった例です。
サクラちゃん
関孝和さんと建部さんって、どっちがすごいんですか?
合格先生
比べるのはむずかしいけれど、関孝和が新しい道をひらき、建部賢弘がその道を整えて、先へ進めた、というのが多くの人の見方だよ。師匠と弟子がそろっていたから、和算はここまで育ったんだ。
受験・勉強と建部賢弘のつながり
中学受験:円周率・円の周と面積
中学受験の算数では、円周率3.14を使った計算が大切です。建部が円周率を40ケタも求めたのは、円周の長さ・円の面積を正確に求めたいからでした。円の面積と円周の長さの公式、おうぎ形の面積と弧の長さ、3.14の計算のくふうを、しっかり身につけましょう。正多角形の辺を使った円周の見積もりは、多角形の内角の和・外角の和の考え方とつながります。
高校受験:円・おうぎ形の計算
高校受験では、おうぎ形の弧の長さや、円の接線・円周角の問題が出ます。弧の長さは、半径×中心角(ラジアン)、または 2πr×(中心角/360°) で求めます。おうぎ形の面積と弧の長さの公式を使いこなしましょう。
大学受験:数列の和・無限級数・近似
大学受験では、建部の仕事とつながるテーマが多くあります。
- 数列の極限・無限級数(数学III):無限に足していくと、どんな値に近づくか。→ 数列の極限とは・数列の極限・無限等比級数
- 区分求積法:細かく分けて足し合わせることで、面積を求める。→ 区分求積法の公式(建部の円周率の計算の、現代版ともいえます)
- 弧度法と三角関数の微分:弧の長さと角度の関係。→ 弧度法とは
- テイラー展開・マクローリン展開(大学):関数を無限級数で表す。→ テイラー展開とテイラーの定理
- 円周率の評価:不等式でπの値の範囲をはさむ問題。→ 積分による不等式の評価
とくに「円周率が3.05より大きいことを示せ」といった、円周率の評価の問題は、東京大学(2003年)などでも出題され、正多角形の周を使った考え方が役立ちます。京都大学・東京大学の傾向は京大理系数学の出題分析(積分・極限の出方)で確かめられます。
勉強法として:まず「規則」をさがす
建部の加速のコツは、「近づき方に規則がある」ことに気づくことでした。数列の問題では、まず最初の数項を実際に計算して、規則をさがします。そして、見つけた規則を式で表して証明する。これは、数列・漸化式の問題の基本の流れです(漸化式の解き方)。勉強の進め方は数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)にまとめています。数学でよく使う記号は数学でよく使う記号の意味一覧(∞・Σ・∫)で確かめられます。
建部賢弘がその後の数学にあたえた影響
- 和算の円理:建部の弧背術は、のちの和算家(松永良弼・安島直円・和田寧など)が、円に関する計算を発展させる土台となりました。
- 無限級数の考え方:ヨーロッパでの無限級数・微積分(ニュートンの二項定理と微積分、ライプニッツの円周率の級数)とは別の道で、日本でも同じような発見がされていたことを示します。
- 数値計算の加速法:建部の累遍増約術は、のちの数値計算でも使われる加速法の早い例とされます。
- 日本の科学・技術:吉宗のもとで、暦・地図・天文の仕事にあたった経験は、江戸時代の科学の発展を支えたと考えられます。
- 数学教育・賞:現在の日本数学会に、建部賢弘の名前がついた賞があり、若手の数学者をはげましています。
建部賢弘は、世界の数学史の中でも、独自の高い水準に達した和算の代表者です。日本の数学の歴史を学ぶことは、「数学は世界のどこでも、人間が考えて発展させてきた」ことを知るよい機会になります。
建部賢弘に挑戦!練習問題
やさしい
- 直径1の円に内接する正方形の周の長さを求め、これを直径でわった値を、円周率の近似値として小数第2位まで求めなさい。
答えと解説を見る
正方形の対角線が直径1なので、1辺は 1/√2=√2/2。周は 4×√2/2=2√2≒2.828。直径1でわっても同じで、近似値は約2.83(本物の3.14より小さい)。 - 直径10の円に内接する正六角形の周の長さを求め、周÷直径を計算しなさい。
答えと解説を見る
正六角形の1辺は半径に等しいので5。周は 5×6=30。周÷直径=30÷10=3。(円周率3.14に近い値で、多角形の辺をふやすと3.14に近づいていきます)
ふつう
- 径 d=4、矢 c=1 の弧の弧背 s を、建部の式の最初の2項((s/2)²≒cd+c²/3)を使って、小数第2位まで求めなさい。(√(13/3)≒2.0817)
答えと解説を見る
(s/2)²≒1×4+1²/3=4+1/3=13/3。s/2≒√(13/3)≒2.0817。s≒約4.16。(本当の値は、この弧が円周の3分の1なので s=4π/3≒4.19。近いことが分かります) - 建部の式で c:d=1:4 のとき π²=9+3/4+1/10+… となります。第3項まで足した値から、π の近似値を小数第2位まで求めなさい。(√9.85≒3.1385)
答えと解説を見る
9+0.75+0.1=9.85。π≒√9.85≒3.1385。小数第2位まで求めると約3.14。(わずか3つの項で、π≒3.14 が得られます)
むずかしい
- 22/7 と 355/113 は、どちらが円周率 3.14159265… に近いですか。それぞれの小数(22/7≒3.142857、355/113≒3.1415929)と本物との差を使って答えなさい。
答えと解説を見る
22/7 との差は約 3.142857−3.141593≒0.00126。355/113 との差は約 3.1415929−3.1415927≒0.00000027。差が小さいのは355/113で、22/7 よりおよそ4700倍近い値です。 - π²=Σ 18/(n²×C(2n,n)) の第4項(n=4、C(8,4)=70)の値を分数で求め、第4項まで足した π² の近似値から π を小数第3位まで求めなさい。(第3項までの和は9.85、√9.866≒3.1410)
答えと解説を見る
第4項=18/(16×70)=18/1120=9/560≒0.01607。和は 9.85+0.01607=9.86607。π≒√9.86607≒3.141。(本物の π=3.14159… と小数第3位まで一致)
建部賢弘と関係する数学者
- 関孝和(建部賢弘の師・和算の大成者):建部賢弘は、関孝和の弟子として、その仕事を整理し、発展させました。
- アルキメデス(正96角形で円周率を求めた人)・劉徽(割円術で円周率を求めた人):建部と同じ「正多角形で円周率に近づく」方法の先輩です。
- 祖沖之(355/113を求めた人):近似分数の名人で、建部兄弟の零約術と同じ考え方のもとです。
- オイラー(同じ級数を約15年後に得た人):ヨーロッパでの無限級数・バーゼル問題で知られます。
- ニュートン(二項定理・微積分の発見者)・ライプニッツ(円周率の級数を見つけた人):ヨーロッパでの微積分と無限級数の先駆者です。
- テイラー(テイラー展開の人):建部の弧背の式は、現代ではテイラー展開の一例です。
数学の公式を1つずつ学ぶなら算数・数学の公式一覧(公式辞典)、数学で使うギリシャ文字はギリシャ文字の読み方一覧(θ・Σ・π・λ)で確かめられます。
16〜17世紀の数学者
- タルタリアの業績と生涯
3次方程式の解き方を見つけた(カルダノの公式のもと) - カルダノの業績と生涯
『アルス・マグナ』で3次・4次方程式の解の公式を発表。確率の研究の先がけ - ヴィエトの業績と生涯
文字を使った式(記号代数)を広めた。解と係数の関係 - ネイピアの業績と生涯
対数を発明し、大きな数のかけ算を足し算に変えた。ネイピアの骨 - ケプラーの業績と生涯
惑星の運動の3法則。たる(樽)の体積の研究は積分の先がけ - デカルトの業績と生涯
座標(x軸・y軸)で図形を式に。「我思う、ゆえに我あり」 - フェルマーの業績と生涯
フェルマーの最終定理・フェルマーの小定理。本業は法律家のアマチュア数学者 - ウォリスの業績と生涯
無限大の記号 ∞ を使い始めた。ウォリスの公式(ウォリス積分) - パスカルの業績と生涯
パスカルの三角形・確率論。計算機(パスカリーヌ)。「人間は考える葦である」 - ホイヘンスの業績と生涯
確率論の最初の本。振り子時計・光の波の性質 - 関孝和の業績と生涯
行列式の考え・ベルヌーイ数を西洋とほぼ同じころ発見。「算聖」とよばれる - ニュートンの業績と生涯
微分積分(流率法)・二項定理の一般化・万有引力
← 前の時代:ロピタルの業績と生涯 | 次の時代:ド・モアブルの業績と生涯 →
有名な数学者一覧(年代順・国別・分野別)で、ほかの数学者も見られます。数学者たちが挑んだ問題は数学の難問・未解決問題の一覧にまとめています。
読みもの(合格大作戦の数学の記事)
- 算額とは?江戸時代の数学の絵馬と和算の問題
神社に奉納された図形の問題を解く - 算数・数学の公式一覧(公式辞典)
公式・証明・例題を1つずつ - 数学用語辞典(用語の意味を1語1ページ)
素数・漸近線など200語 - ギリシャ文字の読み方一覧(24文字)
θ・Σ・π・λ は数学で何に使う? - 京大理系数学の出題分析(1999〜2026年度)
大問別一覧と頻出分野ランキング - 数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)
青・黄・赤チャートの使い分け - 算数・数学 公式と用語の一覧(学年別・分野別)
公式辞典と用語辞典の入口
よくある質問
建部賢弘は何をした人ですか?
建部賢弘は、江戸時代中期の和算家で、関孝和の弟子です。円周率を小数第40位あたりまで計算し、1722年の『綴術算経』で弧の長さや円周率の2乗を無限級数で表したことで知られます。8代将軍・徳川吉宗にもつかえました。
建部賢弘の生没年はいつですか?
建部賢弘は1664年に江戸で生まれ、1739年8月24日に江戸で亡くなりました。75歳でした。旗本・建部直恒の三男で、兄の建部賢明も数学者です。1676年ごろに兄とともに関孝和に入門したとされます。
建部賢弘と関孝和の関係は何ですか?
建部賢弘は関孝和の弟子です。関孝和の『発微算法』を解説した『発微算法演段諺解』を書き、関孝和の数学を広めました。関孝和の計画した和算の集大成『大成算経』(全20巻)も、建部兄弟が中心になってまとめたとされます。
建部賢弘は円周率をどこまで計算しましたか?
小数第40位あたりまでで、資料によって40桁・41桁と書き方が分かれます。正4角形から辺の数を2倍にしていき、正1024角形まで計算し、誤差を打ち消す加速法(累遍増約術)を使ったとされます。
累遍増約術とは何ですか?
建部賢弘が円周率の計算に使った加速法です。多角形の辺をふやしたときの近似値の誤差が一定の割合で小さくなることを使い、今回と前回の値から誤差を打ち消します。現代のリチャードソン加速に近い考え方と説明されます。
建部賢弘の無限級数とは何ですか?
『綴術算経』で、円の弧の長さ(弧背)を径と矢から表す無限級数です。現代の記号では、逆正弦関数の2乗のテイラー展開にあたります。これに特別な値を入れると、円周率の2乗を表す級数が出ます。
建部賢弘はオイラーと関係がありますか?
建部とオイラーの間に交流はありませんが、同じ内容の級数をオイラーが建部の約15年後に得たとされます。日本とヨーロッパで、ほぼ同じ時期に独立に似た発見がされたことになります。
建部賢弘は受験に関係がありますか?
関係があります。中学受験の円周率の計算、おうぎ形の弧の長さ、大学入試の数列の極限・無限級数・区分求積法・円周率の評価問題は、建部の研究につながっています。
建部賢弘は徳川吉宗とどんな関係がありましたか?
建部賢弘は、徳川家宣・家継・吉宗に仕え、吉宗の命で1719年に日本総図(享保日本図)を作りました。暦や天体の研究にも協力し、洋書の輸入のきまりをゆるめることを勧めたとも伝えられます。
零約術とは何ですか?
小数や分数を、分母の小さな分数でよく近似する和算の方法で、現代の連分数の考え方と同じです。円周率なら22/7や355/113などが代表的な近似分数です。
あわせて読みたい
出典・参考
- MacTutor History of Mathematics「Takebe Katahiro」(セント・アンドルーズ大学)
- 日本語版ウィキペディア「建部賢弘」
- 建部賢弘『綴術算経』(1722年)、『発微算法演段諺解』(1685年)
- 京都大学数理解析研究所 数学史の研究会の講究録(建部賢弘の円周率と弧背術についての解説)
最終更新:2026年11月3日/作成:大学受験合格大作戦



