パスカルは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|パスカルの三角形・確率論・原理

パスカルは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|パスカルの三角形・確率論・原理

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パスカルBlaise Pascal

ひとことで言うと

パスカルの三角形と確率論で知られる、39年の人生を駆けぬけた天才。16歳でパスカルの定理、19歳で計算機、気圧の実験、そして「人間は考える葦である」。

名前ブレーズ・パスカル(Blaise Pascal)
生没年1623年6月19日〜1662年8月19日(39歳)
国フランス(クレルモン生まれ、パリで活躍)
分野確率論・射影幾何・組合せ・物理学・哲学
主な業績パスカルの三角形の研究、確率論(フェルマーとの手紙)、パスカルの定理、パスカルの原理、気圧の実験、計算機パスカリーヌ、『パンセ』
名前がつくものパスカルの三角形・パスカルの定理・パスカルの原理・圧力の単位パスカル(Pa)・パスカルの賭け・プログラミング言語 Pascal
よばれ方「考える葦」の人、確率論の創始者のひとり

このページのポイント

  • パスカルの三角形は、二項定理の係数・組合せの数 nCr_nC_r・碁盤の目の最短経路の数・確率の計算に使える
  • 1654年、フェルマーと手紙で確率の問題を論じ、確率論のはじまりとなった
  • 16歳でパスカルの定理、19歳で計算機、物理ではパスカルの原理と気圧の実験。圧力の単位 Pa は名前に由来する

パスカルは何をした人?(業績をひとことで)

ブレーズ・パスカル(1623〜1662年)は、フランスの数学者・物理学者・哲学者です。わずか39年の人生のあいだに、数学ではパスカルの三角形の研究、確率論の誕生、16歳で見つけたパスカルの定理、物理ではパスカルの原理と気圧の実験、機械では世界初の実用的な計算機(パスカリーヌ)、そして哲学・文学では『パンセ』を残しました。「人間は考える葦である」という言葉でも有名です。

受験生にとってのパスカルは、まずパスカルの三角形です。二項定理で展開式の係数を求めるときや、中学受験の算数で碁盤の目の最短経路の数を求めるときにも使います。二項定理の公式と展開式の係数の求め方、順列・組合せ(nCr)の公式、最短経路の数え方(碁盤の目)は、いずれもパスカルの三角形とつながっています。理科では、圧力の単位パスカル(Pa)やプログラミング言語のPascalにも、パスカルの名前が使われています。

うかるくん

うかるくん

1と1と2と1と……って、あの三角形ですよね。数学のどこで使うんですか?

合格先生

合格先生

(a+b) を何乗かしたときの係数、組合せの数、碁盤の目の道順、コインを投げたときの確率。ぜんぶこの三角形の数なんだ。足し算だけで作れるのに、使いみちが多いのがすごいところだよ。

パスカルの肖像画(ケネルの絵にもとづく)
パスカル(ケネルの肖像にもとづく、1690年ごろの絵)画像:François II Quesnel にもとづく絵(1690年ごろ)/Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

パスカルの生涯と年表

数学者の父に育てられた神童

パスカルは1623年6月19日、フランス中部のクレルモン(今のクレルモン=フェラン)で生まれました。父エティエンヌは税を扱う役人であり、数学にも明るい人でした。母は、パスカルが3歳のころに亡くなっています。一家は1631年にパリへ移り、父が自分で子どもたちの教育をしました。体の弱かったパスカルには、まず語学(ラテン語・ギリシャ語)を教え、数学は「15歳になるまで教えない」と決めたといわれます。

ところが、パスカルは12歳ごろ、ひとりで図形を調べて、「三角形の内角の和は2直角(180°)」という定理にたどり着いたと伝えられます。これは、姉のジルベルトが書いた伝記にある話で、細かい点は誇張されているかもしれませんが、少年時代から数学の才能を見せていたと語られます。

16歳で書いた円錐曲線の論文

父はパリの学者たちの集まり(メルセンヌのサークル)に出入りしていて、パスカルも連れていってもらいました。そこでフェルマーの名前や、デカルトの座標、射影幾何学のデザルグの研究に出会います。1639年、16歳のパスカルは「円錐曲線に内接する六角形の、向かい合う辺の交点は一直線上にある」というパスカルの定理を見つけ、1640年に小さなポスターのような形で発表しました。デカルトは、これを16歳の少年が書いたとは信じなかった、と伝えられています。

19歳で計算機を発明

パスカルの父は、ノルマンディー地方で税を集める仕事を命じられ、毎日、膨大な計算に追われました。息子のパスカルは、そんな父を助けようと、1642年、19歳のころから歯車を使った計算機の設計を始めます。何度も試作を重ね、50台ほどの試作品を作ったといわれ、のちに「パスカリーヌ」とよばれました。足し算と引き算ができ、桁が上がると自動的に次の桁が1つ進む仕組みを持っていました。値段が高く、あまり売れなかったともいわれます。

真空と気圧の実験、そして確率論

1646年、パスカルはイタリアの科学者トリチェリの「水銀柱の実験」を知り、真空の存在をめぐる議論に加わります。1648年には、義兄のペリエに頼んで、フランス中部の高いピュイ・ド・ドーム山の山頂とふもとで気圧を測らせました。結果は、山頂のほうが水銀柱が低いというもので、「空気の重さ(気圧)が水銀柱を支えている」ことを示した実験として有名です。

1654年には、フェルマーと手紙で確率の問題を論じ、確率論の基礎を作りました。同じ年に『算術三角形論』をまとめ、パスカルの三角形の性質を整理しました。

信仰の道へ、そして39歳で亡くなる

1654年11月23日の夜、パスカルは神秘的な体験をし、その内容を紙に書きとめて、上着の裏地に縫いこみました。これは死後に見つかり、「覚え書き(メモリアル)」とよばれています。その後、パスカルは科学の研究から離れがちになり、信仰についての文章を多く書きました。体の弱さはますますひどくなり、1662年8月19日、パリで39歳で亡くなりました。死因は、胃や頭の病気などが重なったものといわれますが、はっきりとは分かっていません。ノートに書きためた断片は、死後、『パンセ(瞑想録)』として出版されました。

年できごと
1623年6月19日、フランスのクレルモンで生まれる
1631年一家でパリに移る。父が子どもたちを教育する
1639年16歳でパスカルの定理を見つける(円錐曲線に内接する六角形)
1642年19歳で計算機(パスカリーヌ)の設計を始める
1647年パリでデカルトと会う。真空についての論文を出す
1648年ピュイ・ド・ドーム山で気圧の実験(義兄ペリエが実施)
1654年フェルマーと手紙で確率論を作る。『算術三角形論』をまとめる
1654年11月23日、神秘体験(「覚え書き」を上着に縫いこむ)
1656〜57年『プロヴァンシアル(田舎の友への手紙)』を書く
1658年サイクロイド(転がる円の曲線)の研究を発表
1662年8月19日、パリで亡くなる(39歳)
1663年『液体の平衡について』が出版される(パスカルの原理)
1665年『算術三角形論』が出版される
1670年『パンセ』が出版される

パスカルの主な業績をやさしく解説

業績1 パスカルの三角形と二項定理

1を頂点にして、となり合う2つの数を足した数を下の段に書いていくと、三角形のならびができます。これがパスカルの三角形です。

パスカルの三角形111121133114641151010511615201561赤の6=上の黄色の 3+3。となりを足して下の段を作る各段の合計は 1,2,4,8,16,32,64(2の累乗)
パスカルの三角形。となり合う数を足して下の段を作る。各段の合計は2の累乗になる

パスカルは1654年、この三角形の性質を『算術三角形論』にまとめました。この三角形そのものは、パスカルより何百年も前から、中国(楊輝の三角形)、インド、ペルシャ(ウマル・ハイヤーム)などで知られていました。それでもパスカルの名前がついているのは、パスカルがこの三角形を組合せ(nCr)や確率の計算と結びつけ、性質を体系的に証明したからです。証明では「数学的帰納法」にあたる考え方(ドミノ倒しのように次々に成り立つことを示す方法)をはっきりと使いました。

この三角形の第 nn 段の数は、組合せの数 nCk_nC_k にあたります。そして、(a+b)n(a+b)^n を展開したときの係数にもなります。

(a+b)4=a4+4a3b+6a2b2+4ab3+b4(a+b)^4=a^4+4a^3b+6a^2b^2+4ab^3+b^4

これが二項定理です。パスカルの三角形の5段目(1,4,6,4,1)がそのまま係数になっています。各段の合計は 2n2^n になる、という性質もあります。これは (1+1)n=2n(1+1)^n=2^n から分かります。順列・組合せとはを習うときは、この三角形を思い出すと、式の意味が見えてきます。三角形のなかには、1,1,2,3,5,8…のフィボナッチ数列(フィボナッチ)が斜めにかくれています。

業績2 最短経路の数え方(中学受験の算数にも)

パスカルの三角形は、碁盤の目の道を右か上にだけ進む最短の道順の数を数えるのにも使えます。出発点から、各交点までの行き方の数は、「左の交点の数+下の交点の数」で決まります。パスカルの三角形の作り方と同じです。

最短の道順は何通り?1111123413610141020151535AB各点の数=左の数+下の数。Bまでは 35 通り
各交点の数は「左の数+下の数」。右へ4・上へ3進むAからBまでは、全部で35通り

右へ4回、上へ3回進むと、合計7回のうち3回を「上」にえらぶので、7C3=7×6×53×2×1=35_7C_3=\dfrac{7\times6\times5}{3\times2\times1}=35(通り)と同じ答えになります。最短経路の求め方と通れない場所のある問題は、中学受験の算数でも、高校数学Aの場合の数でも出題される頻出テーマです。

業績3 確率論の誕生(フェルマーとの手紙)

1654年、賭けごとに詳しいメレ騎士が、パスカルに2つの問題を持ちこみました。ひとつは「さいころを4回投げて6の目が1度でも出るか」、もうひとつは「賭けが途中でやめになったとき、賭け金をどう分けるか」(点数問題)です。パスカルはフェルマーに手紙を書き、2人は何通ものやりとりのすえ、同じ結論にたどり着きました。

2人の考え方は、「もし最後までやったら、起こりうるすべての場合は何通りか、そのうち自分が勝つ場合は何通りか」を数えるものです。これが、確率を「場合の数の割合」で考える方法のはじまりです。パスカルはここで、パスカルの三角形を使って、複雑な場合の数を一気に数える方法を考えました。コインを nn 回投げて表が kk 回出る確率が、三角形の数 nCk_nC_k を 2n2^n で割ったものになる、という見方は、二項分布の公式と平均・分散につながります。

この確率論は、のちにホイヘンスの最初の確率の教科書、ヤコブ・ベルヌーイの大数の法則、ラプラスの確率論へと発展しました。確率の直感は意外とむずかしいことは、モンティ・ホール問題をわかりやすくにくわしく書いています。確率の基本の公式もあわせて確認してください。

業績4 パスカルの定理(16歳の発見)

円に内接する六角形の、向かい合う辺(1と4、2と5、3と6)をのばして交点を3つ作ります。すると、その3点は、いつも一直線上にならぶ――これが16歳のパスカルの発見した「神秘の六角形」の定理です。

パスカルの定理(16歳)3つの交点は一直線!円錐曲線に内接する六角形ならいつでも成り立つ
円に内接する六角形の向かい合う辺をのばした3つの交点(赤い点)は、一直線上にならぶ

驚くのは、この定理が円だけでなく、楕円・放物線・双曲線などの円錐曲線ならなんでも成り立つところです(二次曲線(放物線・楕円・双曲線)の公式を参照)。角度や長さではなく、「一直線にならぶ」という図形のかたちの性質だけを扱う点で、射影幾何学の定理のひとつです。この定理は200ページ近くの本にまとめるつもりだったともいわれますが、残っていません。

業績5 パスカルの原理・気圧の実験

密閉された液体の一部に圧力を加えると、その圧力は同じ大きさで、液体のすべての場所に伝わる――これがパスカルの原理です。細い筒のピストンを小さな力で押すと、面積の大きな筒のピストンでは、面積に比例した大きな力が生まれます。自動車のブレーキや、重いものをもち上げる油圧ジャッキは、この原理を使っています。

パスカルの原理(水圧機)重さ 9押す力 1面積 1面積 9圧力はどこも同じ1の力で9のものをもち上げる(力は面積に比例)
細い筒を1の力で押すと、液体の圧力が伝わり、面積が9倍の太い筒は9の力で上に押される

また、1648年のピュイ・ド・ドーム山の実験では、ふもとと山頂で水銀気圧計の高さを比べ、山頂のほうが水銀柱が低いことが確かめられました。「空気にも重さがあり、上に行くほど空気が少なく、気圧が小さくなる」という考えを裏づけました。当時は「自然は真空をきらう」という昔ながらの考え方が強かったため、この実験は科学の歴史でも重要です。

山の上では気圧が小さい(1648年)山頂水銀が低いふもと:水銀が高い空気の重さが上ほど小さい
ふもとでは水銀柱が高く、山頂では低くなる。山の上ほど空気が少なく、気圧が小さい

気圧や圧力の単位パスカル(Pa)は、このパスカルにちなんで名づけられました。天気予報の「ヘクトパスカル(hPa)」も同じです。1気圧は約1013ヘクトパスカルです。

業績6 計算機「パスカリーヌ」とサイクロイド

パスカルが19歳から作りはじめたパスカリーヌは、歯車を組み合わせた計算機です。10の位への「くり上がり」を歯車が自動で行う仕組みが、当時としては画期的でした。コンピューターの歴史では、最初期の機械式計算機のひとつとして紹介されます。後に作られたプログラミング言語「Pascal」も、パスカルの名前にちなんで名づけられました。

1658年、パスカルは歯痛をまぎらわすために、サイクロイド(車輪の1点がえがく曲線)の研究を始めたと伝えられます。面積・重心・回転体の体積などを求め、ほかの数学者に向けて懸賞問題を出しました。ここで使われた「微小な三角形」の考え方は、のちにライプニッツが微分積分を考えるときのヒントになったと、ライプニッツ本人が語っています。

パスカルの名前がつく公式・定理・用語

  • パスカルの三角形:となり合う数を足してできる数の三角形。→ 二項定理とパスカルの三角形
  • パスカルの原理:密閉した液体の圧力は、どこにも同じように伝わる(理科)。
  • パスカルの定理:円錐曲線に内接する六角形の、向かい合う辺の交点は一直線上にある(射影幾何)。
  • パスカル(Pa):圧力の単位。1Paは、1平方メートルに1ニュートンの力がかかるときの圧力。
  • パスカルの賭け:『パンセ』にある、「神を信じるほうが得だ」という議論。期待値の考えを使った最初期の例のひとつ。
  • パスカルのリマソン(蝸牛線):父エティエンヌ・パスカルが研究した曲線。
  • プログラミング言語 Pascal:パスカルにちなんで名づけられた言語。
「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

入試でパスカルの名前が出ることは少ないけれど、二項定理の係数・組合せの数・最短経路の数は、ぜんぶパスカルの三角形の数だよ。「足して作る」と覚えておくと、計算ミスに気づけるんだ!

パスカルの逸話と名言

「人間は考える葦である」

『パンセ』でもっとも有名な言葉です。人間は自然の中で、葦(あし)のようにか弱い存在だが、考えることができるから、宇宙よりも偉大なのだ、という意味です。

人間は考える葦である。

パスカル(『パンセ』(死後の1670年に出版))

「クレオパトラの鼻」

『パンセ』には、「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら、世界の歴史は変わっていただろう」という意味の一節もあります。ささいな出来事が、大きな歴史を動かすことがあるという、皮肉の効いた観察です。

「手紙が長くなって、すみません」

『プロヴァンシアル(田舎の友への手紙)』の中に、「この手紙が長くなったのは、短くまとめる時間がなかったからです」という意味の有名な一節があります。短く書くほうがむずかしい、という言葉として、文章や論文のコツとしてよく引用されます。のちに他人の言葉として語られることも多いのですが、パスカルの手紙に出てくる言葉とされます。

私は、この手紙をいつもより長く書いてしまった。それは、短く書く時間がなかったからである。

パスカル(『プロヴァンシアル』第16の手紙(1656年12月))

デカルトとの会見

1647年、パスカルは病気の体で、パリでデカルトと会ったと伝えられます。真空の存在をめぐって、ふたりの考えは正反対でした。デカルトは「真空はない」と考えていて、パスカルとは意見が合わなかったとされます。デカルトがパスカルについて「頭の中に真空が多すぎる」と皮肉を言った、という話も伝えられていますが、本当に言ったのかは確かめられません。

覚え書き(メモリアル)の夜

1654年11月23日の夜、パスカルは「火」という言葉からはじまる覚え書きを書き、上着の裏地に縫いこんで、死ぬまで身につけていたと伝えられます。使用人が死後に偶然見つけたといわれます。数学者から信仰者へ、人生の方向が大きく変わった夜として語られています。

サクラちゃん

サクラちゃん

16歳で定理、19歳で計算機、39歳で亡くなる……。人生がぎゅっと詰まってますね。

合格先生

合格先生

そうだね。でも、パスカルはずっと体が弱くて、痛みをかかえながら研究した人でもあるんだ。大切なのは、体調が悪くても、手を止めずに「今できること」を積み重ねることだよ。

受験・勉強とパスカルのつながり

中学受験:場合の数・最短経路

中学受験の算数では、碁盤の目の最短経路を「足し算で数える」問題が必ず出ます。パスカルの三角形のやり方で、左の数と下の数を足していけば、迷わず答えが出ます。サイコロやコインの場合の数、カードの並べ方も、整理して数える練習が基本です。インド式かけ算のやり方一覧のような暗算の工夫とあわせて、計算力を鍛えておきましょう。

高校受験:確率と規則性

高校受験では、さいころやコインの確率、樹形図、規則性の問題が出ます。パスカルとフェルマーが考えた「すべての場合を数える」方法が基本です。樹形図を丁寧に書けば、ほとんどの確率の問題は解けます。

大学受験:二項定理・組合せ・確率・数学的帰納法

  • 二項定理:(a+b)n(a+b)^n の展開式で、特定の項の係数を求める。二項定理の公式と問題
  • 組合せの数 nCr_nC_r:順列・組合せの公式の性質 nCr=n−1Cr−1+n−1Cr_nC_r={}_{n-1}C_{r-1}+{}_{n-1}C_r は、パスカルの三角形そのもの。
  • 反復試行の確率:コインを nn 回投げて表が rr 回出る確率を求める。反復試行の確率の公式。
  • 数学的帰納法:数学的帰納法の書き方で証明する問題。
  • 圧力・気圧:物理・化学では、圧力の単位パスカルが毎回出ます。

京大や東大では、確率や場合の数が毎年のように出ています。京大理系数学の出題分析(確率分野の出題頻度)で傾向を確かめておくと、対策が立てやすくなります。

勉強法として:パスカルに学ぶ「パターンを見つける」

パスカルの三角形は、足し算だけで作れるのに、組合せ・確率・展開式・フィボナッチ数列・2の累乗など、多くの数学が隠れています。簡単なルールの中に深い規則があることに気づくのが、数学のおもしろさです。まず手で書いてみる、そして規則を見つける。この勉強の進め方は数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)にも書いています。

パスカルがその後の数学にあたえた影響

  • 確率論:フェルマーとの手紙から始まり、ホイヘンス・ベルヌーイ・ラプラス・コルモゴロフへ発展し、現代の統計学・保険・AIの基礎になりました。
  • 微分積分:サイクロイドや不可分量の研究は、ライプニッツを刺激し、ニュートンの二項定理の拡張(一般の指数への二項定理)にもつながりました。
  • 射影幾何学:パスカルの定理は、19世紀に射影幾何学が発展するときの基礎のひとつになりました。
  • コンピューター:パスカリーヌは、機械式計算機の歴史の出発点とされ、その後ライプニッツも計算機を作りました。
  • 物理学:パスカルの原理は油圧機器に、気圧の実験は気象学に生かされています。
  • 哲学・文学:『パンセ』は、フランス文学を代表する古典として今も読まれています。

パスカルの名前は、数学・物理・コンピューターの世界で、今も毎日のように使われているのです。

パスカルに挑戦!練習問題

やさしい

  1. パスカルの三角形で、上から順に(1)、(1,1)、(1,2,1)、(1,3,3,1)、(1,4,6,4,1)とならんでいます。次の段(6段目)の数を書きなさい。また、その合計を求めなさい。
    答えと解説を見る足し算で作ります。1,5,10,10,5,1。合計は 1+5+10+10+5+1=1+5+10+10+5+1= 32(=25=2^5)。
  2. (x+1)4(x+1)^4 を展開したときの x2x^2 の係数を求めなさい。
    答えと解説を見る二項定理より (x+1)4=x4+4x3+6x2+4x+1(x+1)^4=x^4+4x^3+6x^2+4x+1。x2x^2 の係数は6(パスカルの三角形の5段目:1,4,6,4,1)。

ふつう

  1. 碁盤の目の道で、A地点から右へ4、上へ3進んだB地点まで、最短で行く道順は何通りありますか。
    答えと解説を見る合計7回のうち、上へ進む3回をえらぶので 7C3=7×6×53×2×1=_7C_3=\dfrac{7\times6\times5}{3\times2\times1}= 35通り。(交点ごとに「左の数+下の数」を足しても同じ)
  2. コインを3回投げて、ちょうど2回表が出る確率を求めなさい。
    答えと解説を見る全部で 23=82^3=8 通り。表が2回出るのは 3C2=3_3C_2=3 通り(表表裏・表裏表・裏表表)。確率は38\dfrac38。

むずかしい

  1. (2x−1)5(2x-1)^5 を展開したときの x3x^3 の係数を求めなさい。
    答えと解説を見る二項定理より、x3x^3 の項は 5C3(2x)3(−1)2=10×8x3×1=80x3_5C_3(2x)^3(-1)^2=10\times8x^3\times1=80x^3。係数は80。
  2. 二項定理を使って、nC0+nC1+nC2+⋯+nCn=2n_nC_0+{}_nC_1+{}_nC_2+\cdots+{}_nC_n=2^n を示しなさい。
    答えと解説を見る(a+b)n=∑k=0nnCk an−kbk(a+b)^n=\sum_{k=0}^{n}{}_nC_k\,a^{n-k}b^k に a=1a=1,b=1b=1 を代入します。左辺は (1+1)n=2n(1+1)^n=2^n、右辺は nC0+nC1+⋯+nCn_nC_0+{}_nC_1+\cdots+{}_nC_n。よって等式が成り立ちます。(パスカルの三角形の各段の合計が2の累乗になる理由)

パスカルと関係する数学者

公式の一覧は算数・数学の公式一覧(公式辞典)、組合せの記号 nCr_nC_r や Σ などの意味は数学でよく使う記号の意味一覧もどうぞ。

16〜17世紀の数学者

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読みもの(合格大作戦の数学の記事)

よくある質問

パスカルは何をした人ですか?

パスカルは、17世紀フランスの数学者・物理学者・哲学者です。パスカルの三角形と確率論の研究、16歳のパスカルの定理、パスカルの原理と気圧の実験、計算機パスカリーヌの発明、そして『パンセ』の執筆で知られます。

パスカルの三角形とは何ですか?

1を頂点に、となり合う2つの数を足して下の段を作ってできる三角形の数のならびです。第n段の数は組合せの数 nCr になり、(a+b)^n の展開式の係数にもなります。パスカルの前にも中国やペルシャで知られていました。

パスカルの三角形はパスカルが発見したのですか?

発見したのはパスカルではありません。中国の楊輝やペルシャのハイヤームなど、何百年も前から知られていました。パスカルは1654年の『算術三角形論』で性質をまとめて証明し、確率に結びつけたので、名前がつきました。

確率論はどのように始まりましたか?

1654年、賭けごとの問題を相談されたパスカルが、フェルマーと手紙を交わしたことから始まったとされます。起こりうるすべての場合を数え、勝つ場合の割合で賭け金を分けるという考え方に、2人が同じ答えで至りました。

パスカルの原理とは何ですか?

密閉された液体の一部に加えた圧力は、液体のすべての場所に同じ大きさで伝わる、という原理です。断面積のちがう筒をつなぐと、小さな力で大きな力を生み出せます。油圧ジャッキや自動車のブレーキに使われています。

パスカルの有名な名言は何ですか?

「人間は考える葦である」が最も有名です。人間は自然の中で最も弱い存在だが、考えることができる点で偉大だ、という意味で、死後に出版された『パンセ』にあります。「クレオパトラの鼻」の話も有名です。

パスカルは何歳で亡くなりましたか?

1662年8月19日にパリで、39歳で亡くなりました。子どものころから体が弱く、晩年は病気と痛みに苦しんだと伝えられます。死因は、胃や頭の病気などが重なったものといわれますが、はっきりとは分かっていません。

パスカルの単位とは何ですか?

パスカル(Pa)は圧力の単位で、1平方メートルあたり1ニュートンの力がかかるときの圧力が1Paです。天気予報でよく聞くヘクトパスカル(hPa)は100Paで、1気圧は約1013hPaです。パスカルの原理や気圧の実験にちなんで名づけられました。

パスカルとデカルト、フェルマーの関係は?

フェルマーとは確率論を手紙で一緒に作った仲です。デカルトとは1647年にパリで会ったと伝えられ、真空をめぐって意見が対立しました。3人とも17世紀フランスの数学者で、同じ学者の集まりに関わっていました。

パスカルは受験とどう関係しますか?

中学受験では碁盤の目の最短経路の数、高校受験では確率の樹形図、大学受験では二項定理・組合せ・反復試行の確率・数学的帰納法など、パスカルの三角形に関わる単元が多く出ます。物理や化学では圧力の単位としてもよく使います。

あわせて読みたい

出典・参考

  • Blaise Pascal, “Traité du triangle arithmétique”(1654年執筆、1665年出版)
  • Blaise Pascal, “Pensées”(1670年)
  • J. J. O’Connor and E. F. Robertson, “Blaise Pascal”, MacTutor History of Mathematics Archive
  • Carl B. Boyer, “A History of Mathematics”
  • 肖像画:François II Quesnel にもとづく「Blaise Pascal」(1690年ごろ)、Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦