ライプニッツは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|微分積分・∫の記号・2進法

ライプニッツは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|微分積分・∫の記号・2進法

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ライプニッツGottfried Leibniz

ひとことで言うと

微分積分学をニュートンとは別に作り、dx・dy/dx・∫ の記号を考えた万能の学者。0と1だけで数を表す2進法を広めた。

名前ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(Gottfried Wilhelm Leibniz)
生没年1646年7月1日〜1716年11月14日(70歳)
国ドイツ(ライプツィヒ生まれ、ハノーファーで活躍)
分野解析学(微分積分)・論理学・哲学・法学・外交
主な業績微分積分学の創始(ニュートンとは独立)、dx・dy/dx・∫ の記号、2進法、ライプニッツ級数、計算機、記号論理学の構想、行列式の考え
名前がつくものライプニッツ級数・ライプニッツの公式(積の高階微分)・ライプニッツの判定法・ライプニッツの記号・モナド
よばれ方最後の万能人(普遍の天才)

このページのポイント

  • 微分積分学をニュートンとは別に作り、いま教科書で使う dx・dy/dx・∫ の記号を考えた人
  • 0と1だけで数を表す2進法を整理して広め、約250年後のコンピュータの考え方を先取りした(13=1101)
  • 円周率を表すライプニッツ級数 π4=1−13+15−⋯\dfrac{\pi}{4}=1-\dfrac13+\dfrac15-\cdots や、積の高階微分のライプニッツの公式に名前を残す

ライプニッツは何をした人?(業績をひとことで)

ゴットフリート・ヴィルヘルム・ライプニッツ(1646〜1716年)は、ドイツの数学者・哲学者・法律家・外交官です。微分積分学をニュートンとは別に作り上げ、いま教科書で使われているdx・dy/dx・∫(インテグラル)の記号を考えた人として知られます。さらに、0と1だけで数を表す2進法を整理して広め、計算機を設計し、「考えることを計算にできないか」という記号論理学の夢を最初に語った人でもあります。数学だけでなく、哲学・法学・歴史学・物理学・外交と、なんでもこなす「最後の万能人」ともよばれます。

受験生にとってのライプニッツは、まず「∫ と dx と dy/dx の生みの親」です。高校数学Ⅱ・Ⅲで習う微分の公式(xⁿ・積・合成)や積分の公式と微分積分学の基本定理は、ライプニッツの書き方で書かれています。また、情報の授業で習うn進法(2進法・10進法)の意味も、ライプニッツが体系的に論じた分野です。大学に入ると、積の微分を何回もくり返すライプニッツの公式や、ライプニッツ級数にも出会います。

うかるくん

うかるくん

微分積分ってニュートンが作ったんじゃないんですか?ライプニッツって聞いたことはあるけど……。

合格先生

合格先生

ニュートンも作ったし、ライプニッツも別々に作ったんだ。そして、いま私たちが毎日書いている dy/dx や ∫ は、ライプニッツの書き方なんだよ。このページで、その理由を見ていこう。

ライプニッツの肖像画(フランケ作)
長い巻き毛のかつらをつけたライプニッツ(クリストフ・ベルンハルト・フランケ作の肖像画、1700年ごろ)画像:Christoph Bernhard Francke/Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

ライプニッツの生涯と年表

ライプツィヒの大学教授の家に生まれた

ライプニッツは1646年7月1日(現在のグレゴリオ暦)、ドイツ東部の都市ライプツィヒで生まれました。父は大学の道徳哲学の教授でしたが、ライプニッツが6歳のときに亡くなります。その後、父の残した大きな書斎で、少年は本を片っぱしから読みました。ラテン語やギリシャ語の古典、歴史、神学などを独学で身につけたと伝えられます。

14歳で大学へ、20歳で法学の博士に

1661年、ライプニッツは14歳でライプツィヒ大学に入学します。最初に学んだのは哲学と法律で、数学は十分に学んでいませんでした。1666年には、まだ20歳でしたが、法学の博士号を求めます。ところが、年が若すぎることなどを理由に地元の大学では認められず、アルトドルフ大学で博士号を得たと伝えられます。大学に残らないかと誘われても断り、外交官・政治家の道を選びました。

パリでの数学修行

1672年、ライプニッツは外交の仕事でパリに向かいます。そこで出会ったのが、オランダの科学者ホイヘンス(振り子時計の発明者)です。ライプニッツはホイヘンスの教えを受け、はじめて本格的に数学を学びました。わずか数年で、微分積分学の基本を作り上げたというのですから、驚くべき速さです。1673年にはロンドンを訪れ、王立協会(イギリスの学者の集まり)に足し算・引き算・かけ算・割り算ができる計算機の試作品を見せて、会員に選ばれました。

ハノーファーの宮廷で

1676年、ライプニッツはドイツのハノーファー公に仕えるため、パリを去ります。以後、亡くなるまで約40年間、ハノーファーの宮廷で図書館長・顧問・歴史編さん者などをつとめました。1684年には、微分法をはじめて印刷して発表し、1686年には積分法も発表します。1700年にはベルリンに科学アカデミーを作り、初代の総裁になりました。ロシアのピョートル大帝にも会い、学問の集まりを作るように助言したといわれます。

晩年:ニュートンとの争いと孤独

晩年のライプニッツは、ニュートンとの「微分積分の先取権争い」に巻きこまれ、つらい立場に置かれました。仕えていたハノーファー公がイギリス王ジョージ1世になった(1714年)とき、ライプニッツはロンドンへ連れて行ってもらえず、ハノーファーに取り残されたといわれます。1716年11月14日、痛風などの病気で70歳で亡くなりました。葬儀に出た人はごくわずかだった、と伝えられています。

年できごと
1646年7月1日、ドイツのライプツィヒで生まれる
1652年父が亡くなる。父の書斎で独学をはじめたと伝えられる
1661年14歳でライプツィヒ大学に入学
1666年アルトドルフ大学で法学の博士号を得る(20歳)
1672年外交の仕事でパリへ。ホイヘンスに数学を学ぶ
1673年ロンドンで王立協会に計算機の試作品を見せる
1675年秋ごろ、∫ や d の記号をノートに書きはじめる
1676年パリを去り、ハノーファー公の宮廷に仕える
1684年論文「極大・極小のための新しい方法」で微分法を発表
1686年積分法を発表
1700年ベルリン科学アカデミーを作り、初代総裁になる
1703年論文「2進法算術の解説」を発表
1710年『神義論(弁神論)』を出版
1716年11月14日、ハノーファーで亡くなる(70歳)

ライプニッツの主な業績をやさしく解説

業績1 微分法と dy/dx の記号

曲線の上の1点で、ほんの少しだけ右へ進むとき、どれくらい上がる(下がる)か。この「変化の割合」を求める方法が微分です。ライプニッツは、右へ進むほんの少しの長さを dx、そのときの上がりを dy と書き、変化の割合を分数 dy/dx で表しました。

微分 dy/dx の考え方dxdy赤い点線=接線dx を小さくすると dy÷dx は接線の傾きに
曲線の1点から、ほんの少し進んだ小さな直角三角形。dy÷dx が接線の傾きになる

この書き方が便利なのは、「分数のように」計算できることです。たとえば合成関数の微分は dydx=dydu⋅dudx\dfrac{dy}{dx}=\dfrac{dy}{du}\cdot\dfrac{du}{dx} と書けます。右辺で du が約分されるように見えるので、公式を忘れにくくなります。積の微分・商の微分・合成関数の微分の公式も、ライプニッツの記号でスッキリ書けます。積の微分は、ライプニッツが書き残した形では

d(uv)=u dv+v dud(uv)=u\,dv+v\,du

です。いま私たちが使う (uv)′=u′v+uv′(uv)'=u'v+uv' と同じ意味です。なお、ニュートンは微分を「流率」とよび、変数の上に点を打つ書き方(x˙\dot{x})を使いました。この点の記号は物理で今も使われますが、数学では dx の書き方のほうが広まりました。

業績2 積分法と ∫ の記号

曲線の下の面積を求めるには、面積をたくさんの細い長方形に分けて足し合わせ、長方形の幅を限りなく細くしていきます。ライプニッツは、この「和」を表すために、ラテン語の summa(和)の頭文字 S をたてに細長くのばした記号 ∫ を作りました。長方形の幅が dx、高さが f(x)f(x) なので、全体の面積は ∫f(x) dx\displaystyle\int f(x)\,dx と書きます。

積分 ∫ = 細い長方形の和dx長方形を足す(Σ)→ 幅を細く → ∫∫Summa(和)の S
細い長方形(幅 dx)をたくさん足して、曲線の下の面積を求める。これが積分 ∫

ライプニッツは、「微分と積分は逆の計算である」ことを、はっきりした形で示しました。これが微分積分学の基本定理です。こう考えると、面積を求める計算が、微分の逆をたどるだけで済みます。それまで何千年もの間、面積の計算は1つの図形ごとに特別な工夫が必要でした。アルキメデスが放物線の面積を求めた方法も、いまなら数行の積分で済みます。定積分と面積の求め方は、まさにライプニッツの道具です。

業績3 2進法(0と1だけで数を表す)

ふつうの数は0〜9の10個の数字で書く「10進法」です。ライプニッツは、0と1の2つだけで、どんな数も書けることを整理して論文にしました(1703年)。2進法では、右から順に 1・2・4・8・16……の「カード」があり、使うカードを1、使わないカードを0と書きます。たとえば13は 8+4+1 なので 1101 です。

2進法:使う=1、使わない=081(使う)41(使う)20(使わない)11(使う)13 = 8+4+0+1 → 11010 と 1 だけで、どんな数も書ける(コンピュータの言葉)
13=8+4+1 を、使うカード=1、使わないカード=0 と書くと 1101

ライプニッツは、2進法の足し算・かけ算のやり方も書き残しています。この考えは約250年後、コンピュータの中の計算(電気がある=1、ない=0)としてよみがえりました。いまのスマートフォンもゲームも、すべて0と1の並びでできています。n進法のしくみは、情報の授業でも数学でも出てくる大切な考え方です。理系時計のように2進数の時計もあります。理系時計(GeekClock)の数式の意味も読んでみてください。

また、ライプニッツは宣教師から送られてきた中国の易(えき)の図を見て、「これは2進法だ」と気づいたと伝えられます。つながった線を1、切れた線を0とみなすと、八卦(はっけ)の8つの形が、0から7までの数にぴったり重なるのです。

易の八卦と2進法坤=0000艮=1001坎=2010巽=3011震=4100離=5101兌=6110乾=7111つながった線=1、切れた線=0(下の線が1の位)
易の八卦(坤〜乾)を、つながった線=1、切れた線=0 とみなすと、0〜7の2進数になる

ただし、易の図が本当に2進法の考えで作られたのかは、はっきりしません。ライプニッツがそう「読みとった」というのが正確な言い方です。ライプニッツ自身は、「1は神、0は無で、すべては1と0から作られた」という意味を2進法に重ねて、メダルのデザインまで考えたといわれます。

業績4 ライプニッツ級数(円周率を分数の和で)

ライプニッツは、円周率を足し算と引き算だけで表せることも示しました。

π4=1−13+15−17+19−⋯\frac{\pi}{4}=1-\frac13+\frac15-\frac17+\frac19-\cdots

分母を「1、3、5、7……」と奇数にして、プラスとマイナスを交互にくり返すだけです。円周率が整数の分数の和で表される、という美しい式なので、ライプニッツ級数(またはグレゴリー・ライプニッツ級数)とよばれます。この式は、スコットランドのグレゴリーや、インドのマーダヴァ(14世紀ごろ)が先に見つけていたともいわれます。

π/4 = 1−1/3+1/5−1/7+…点線=π÷4(約0.785)12345678和はπ÷4をはさんで近づく(横軸=たす個数)
途中までの和は上下にジグザグしながら、π÷4(約0.785)に少しずつ近づく

図のとおり、和は大きくなったり小さくなったりしながら、少しずつ近づいていきます。ただし、近づくのはとてもゆっくりで、小数点以下の数桁を出すだけでも、何百項も足す必要があります。数列の極限・無限級数の和の求め方やべき級数と収束半径の話につながる、大学入試のはじめの一歩となる式です。

業績5 記号論理学の夢と、計算機、そして行列式

ライプニッツは、「考えることも計算にできないだろうか」と考えました。人類が使う考えをアルファベットのような記号に分けて、文を計算で正しいかどうか判定する――それが彼の夢の言語「普遍記号法(普遍的な記号体系)」です。完成はしませんでしたが、この考えは約200年後のブールやフレーゲを経て、現代の論理学とコンピュータの理論につながりました。論争が起きたら、「さあ、計算してみよう(Calculemus)」と言えばいい、という趣旨のことを書き残しています。

また、計算を機械にやらせる夢も実現しようとしました。パスカルの足し算機械(パスカルの計算機)を改良し、かけ算・割り算もできる計算機(階段状円筒を使うので「ステップド・レコナー」とよばれます)を設計しました。当時の技術では完全には動かなかったともいわれますが、ライプニッツの考え方は、のちの機械式計算機に受けつがれました。

さらに、1693年にフランスのロピタルにあてた手紙で、連立方程式を解くときの係数の並べ方を整理し、行列式の考え方を書いています。日本では関孝和(行列式の発見)がこれより10年ほど前(1683年)に行列式を発表しており、世界で最初に行列式を考えたのは関孝和だともいわれます。行列式の計算と性質は、2人の発見が出会う場所です。

ライプニッツの名前がつく公式・定理・用語

ライプニッツの名前がつく公式や、ライプニッツが作った記号をまとめました。

  • ライプニッツの記号:dx、dy/dx、∫ など。→ 微分の公式(xⁿ・三角関数・指数関数)と積分の公式一覧
  • ライプニッツ級数:π4=1−13+15−⋯\dfrac{\pi}{4}=1-\dfrac13+\dfrac15-\cdots。円周率を表す無限の和。
  • ライプニッツの公式(積の高階微分):2つの関数の積を nn 回微分する公式。(fg)(n)=∑k=0n(nk)f(k)g(n−k)(fg)^{(n)}=\displaystyle\sum_{k=0}^{n}\binom{n}{k}f^{(k)}g^{(n-k)}。二項定理にそっくりの形です。たとえば2回微分なら (fg)′′=f′′g+2f′g′+fg′′(fg)''=f''g+2f'g'+fg''。→ 順列・組合せの公式(二項係数)
  • ライプニッツの判定法:プラスとマイナスが交互にならぶ級数が、項の大きさが小さくなっていくとき収束する、という定理。
  • ライプニッツの調和三角形:パスカルの三角形に似た、分数の三角形。
  • 関数(function)・座標(coordinate)という言葉も、ライプニッツが数学に持ちこんだと言われます。→ 関数とは
  • 哲学ではモナド(単子)・充足理由律・予定調和などが有名です。
「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

数学の記号は、人間が考えやすいように作った道具なんだ。dy/dx や ∫ は、ライプニッツが「どう書けば、あとの人が楽に計算できるか」を考え抜いて作った記号だよ。

ライプニッツの逸話と名言

ニュートンとの「先取権争い」

微分積分学を先に思いついたのはどちらか。この問題は、18世紀のヨーロッパを二つに割りました。ニュートンは1660年代の半ばに「流率法」を考えていましたが、論文を出さずにしまっておきました。ライプニッツは1675年ごろに独自に考えをまとめ、1684年に先に印刷して発表しました。のちに、ニュートンの支持者が「ライプニッツはニュートンの原稿を見て盗んだのでは」と言い出し、イギリスの王立協会の委員会(ニュートン自身が会長)が1713年に「ライプニッツが悪い」という報告を出しました。

ところが、いまの数学史では、2人は別々に、ほぼ同じ時期に考えついたと見るのが主流です。ニュートンのほうが考え自体は早く、ライプニッツのほうが発表と記号が早く、また使いやすかったといわれます。争いの結果、イギリスの数学者はニュートンの点の記号にこだわり、大陸のほうが微分積分学の発展で先に進みました。イギリスが dx の記号に切り替えたのは、1800年代に入ってからです。

「可能な世界のうちで最善の世界」

ライプニッツは哲学者としても有名で、1710年の本『神義論(弁神論)』で、次のような考えを述べました。

われわれの世界は、可能なすべての世界のうちで最善のものである。

ライプニッツの考えとして有名な言葉(『神義論(弁神論)』(1710年)などで述べられた考えの要約。原文の文言そのままではありません)

世界に悪いことがあるのに、なぜ「最善」なのか。この考えは当時から批判を受け、のちにフランスの作家ヴォルテールが小説『カンディード』(1759年)で笑い話にしたことでも知られます。ただ、ライプニッツ自身は、本気で理由を考え抜いたとされます。

数学の外でも大活躍

ライプニッツは、鉱山の水をくみ出す風車の工夫に取り組んだり、法律の本を書いたり、ドイツの国同士の外交に走り回ったりと、実にたくさんの仕事をしました。何通もの手紙(残っているものだけで1万5000通以上ともいわれます)をヨーロッパ中の学者に送り、考えを交換していました。ハノーファーでは、ひとつの椅子に座ったまま、何日もほとんど動かずに書いていた、と伝えられています。

計算してみよう(Calculemus)。

ライプニッツが理想としたことば(論争は計算で決着をつけられる、という趣旨でライプニッツが書いた内容として知られる)

ハノーファーでの最期

最期のようすは悲しいものだったと伝えられます。仕えていた宮廷からは「歴史の本がまだできていない」と冷たく見られていました。葬儀にはほとんど人が参列しなかったという話が有名ですが、どこまで正確なのかは、はっきりしない部分もあります。いずれにせよ、死後に評価が大きく高まった人物であることは確かです。

サクラちゃん

サクラちゃん

数学も、哲学も、外交も、計算機も……やることが多すぎます!

合格先生

合格先生

そうだね。ライプニッツは「すべてをつなげて考える」人だった。数学の記号を工夫したのも、考えを正しく伝えるためだったんだ。受験でも、図や式の書き方を工夫すると、考えがぐっと見えやすくなるよ。

受験・勉強とライプニッツのつながり

中学受験:2進法・n進法

中学受験の算数では、2進法そのものを問う問題がときどき出ます。「重さをはかるおもり(1g・2g・4g・8g……)の組み合わせ」「ランプのつくパターン」などは、ライプニッツの2進法の考え方です。「何gのおもりを使えば1〜15gが全部はかれるか」は、1・2・4・8の4個で足りる、という答えになります。

高校受験:規則性・文字式の「見える化」

高校受験で直接ライプニッツの名前は出ませんが、1次関数の「変化の割合」は微分の考えそのものです。y=ax+by=ax+b の aa は、xx が1増えたときの yy の増えかたで、まさに「dy÷dx」のかんたんな場合です。変化の割合をきちんと言えるようにしておくと、高校の微分がすっと入ります。

大学受験:微分・積分・数列の極限

  • 微分:接線の傾き、増減表、極値。微分と増減・極値の問題は、毎年のように出る基本問題です。
  • 積分:面積・体積。置換積分や部分積分の問題では、dx の書き方がそのまま計算のヒントになります。
  • 2進法・n進法:整数問題や情報で出題されます。
  • 無限級数:数学Ⅲの「数列の極限」「無限級数」。

京都大学・東京大学などの難関大の微積分の問題は、京大理系数学の出題分析(積分・微分の出題頻度)を見ると、毎年のように出題されることが分かります。

勉強法として:記号の意味を言葉にする

ライプニッツの記号の便利さは、意味が見えることです。dx は「ほんの少しの x」、∫ は「足し合わせ」、dy/dx は「変化の割合」。微分や積分の公式を、式の形だけで暗記すると忘れやすくなります。「何をしている計算か」を図や言葉にしておくと、応用問題でも手が止まりません。数学の勉強の進め方は数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)も読んでください。数学の記号の読み方は数学でよく使う記号の意味一覧(∫・Σ・∞)にまとめてあります。

ライプニッツがその後の数学にあたえた影響

  • 微分積分学:ライプニッツの記号と書き方は、ベルヌーイ兄弟(ヤコブ・ベルヌーイ)、ロピタル、オイラーなどに受けつがれ、18世紀の数学を大きく発展させました。いまの教科書もライプニッツの記号を使っています。
  • 解析学の厳密化:「dx は本当は何なのか」という疑問が、19世紀のコーシーやワイエルシュトラスによる極限の厳密な定義につながりました。
  • 情報科学:2進法と記号論理の考え方は、ブールの論理代数(ブールの論理代数)、チューリング、フォン・ノイマンを経て、コンピュータの設計につながりました。
  • 記号の工夫:かけ算の点(・)や、割り算のコロン(:)を提案したのもライプニッツです(1698年ごろの手紙)。
  • 哲学:モナドや「充足理由律(すべてのものには理由がある)」は、のちの哲学者カントなどに大きな影響をあたえました。

現在、世界の数学者が使う記号の多くは、ライプニッツが「あとの人のために」と考えて決めたものです。ドイツのハノーファーには、ライプニッツの名前をとった大学(ライプニッツ大学ハノーファー)があります。

ライプニッツに挑戦!練習問題

やさしい

  1. 10進数の13を、2進法で表しなさい。
    答えと解説を見る13=8+4+1 なので、8のカード・4のカード・1のカードを使い、2のカードは使いません。1101。
  2. 2進数の1011を、10進数で表しなさい。
    答えと解説を見る右から1・2・4・8のカードに対応します。1011=8+0+2+1=11。

ふつう

  1. y=x2y=x^2 の x=3x=3 での接線の傾き(dy/dxdy/dx の値)を求めなさい。
    答えと解説を見るdydx=2x\dfrac{dy}{dx}=2x なので、x=3x=3 のとき 6。
  2. 2進数の101と11を足して、2進数で答えなさい。
    答えと解説を見る101は5、11は3なので 5+3=8。8=1000。(2進法で桁をそろえて足しても求まります)

むずかしい

  1. ライプニッツ級数 1−13+15−171-\dfrac13+\dfrac15-\dfrac17 の値を4倍した数を、分数で答えなさい。
    答えと解説を見る1−13+15−17=105−35+21−15105=761051-\dfrac13+\dfrac15-\dfrac17=\dfrac{105-35+21-15}{105}=\dfrac{76}{105}。4倍して 304105\dfrac{304}{105}(約2.895)。円周率の約3.14には、まだ遠いことが分かります。
  2. y=x3(x+1)y=x^3(x+1) を、積の微分で微分しなさい。
    答えと解説を見る(uv)′=u′v+uv′(uv)'=u'v+uv' より、3x2(x+1)+x3⋅1=3x3+3x2+x3=3x^2(x+1)+x^3\cdot1=3x^3+3x^2+x^3= 4x3+3x24x^3+3x^2。(先に展開して x4+x3x^4+x^3 を微分しても同じ)

ライプニッツと関係する数学者

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16〜17世紀の数学者

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読みもの(合格大作戦の数学の記事)

よくある質問

ライプニッツは何をした人ですか?

ライプニッツは、17〜18世紀のドイツの数学者・哲学者です。微分積分学をニュートンとは別に作り上げ、dx・dy/dx・∫ の記号を考えました。また、2進法の整理、計算機の設計、記号論理学の構想、ライプニッツ級数の発見など、数学と学問の多くの分野で活やくしました。

ライプニッツとニュートンはどちらが微分積分を先に作ったのですか?

ニュートンのほうが、考えついたのは早かったとされます(1660年代)。ただし、先に論文を印刷して発表したのはライプニッツ(1684年)です。いまの数学史では、2人は別々に独立して考えついたと見るのが主流です。当時は「盗んだのでは」という争いになり、のちに先取権争いとして有名になりました。

ライプニッツが作った記号は何ですか?

微分の dx・dy/dx、積分の ∫(インテグラル)などです。∫ はラテン語の summa(和)の頭文字 S を細長くした形とされます。かけ算の点(・)や割り算のコロン(:)、「関数」「座標」などの言葉もライプニッツが提案したと言われます。

2進法とは何ですか?ライプニッツとどんな関係がありますか?

2進法は、0と1の2つの数字だけで数を表す方法です。たとえば13は1101と書きます。ライプニッツは1703年の論文で2進法の計算を体系的に説明しました。この考えは、のちにコンピュータの内部で使われるようになりました。

ライプニッツ級数とは何ですか?

π/4=1−1/3+1/5−1/7+… という、円周率を足し算と引き算だけで表した無限の和です。分母を奇数にして、プラスとマイナスを交互にくり返します。近づき方はとてもゆっくりなので、実際の円周率の計算にはあまり向きません。

ライプニッツの有名な名言は何ですか?

「われわれの世界は、可能なすべての世界のうちで最善のものである」という考えがよく知られています(原文の言葉そのままではなく、『神義論』の主張の要約です)。また、論争が起きたら「計算してみよう(Calculemus)」と言えばよい、という趣旨のことばも有名です。

ライプニッツは何歳で亡くなりましたか?どこの国の人ですか?

ライプニッツは1646年にドイツのライプツィヒで生まれ、1716年11月14日にハノーファーで70歳で亡くなりました。晩年はハノーファーの宮廷に仕えました。

ライプニッツと日本の関孝和には関係がありますか?

直接の交流はありません。ただし、同じ時代に、ライプニッツは1693年に手紙で行列式の考え方を書き、関孝和は1683年に行列式を発表していました。そのため、世界で最初に行列式を考えたのは関孝和だともいわれます。

ライプニッツは入試に出ますか?

ライプニッツの名前そのものはあまり出ませんが、業績はよく出ます。中学受験では2進法・n進法、大学受験では微分・積分・数列の極限・無限級数が毎年のように出題されます。ライプニッツの記号がそのまま教科書で使われています。

ライプニッツの公式(積の高階微分)とは何ですか?

2つの関数の積 fg を n 回微分する公式で、(fg)⁽ⁿ⁾=Σ nCk f⁽ᵏ⁾ g⁽ⁿ⁻ᵏ⁾ と書きます。二項定理にそっくりの形です。たとえば2回微分なら (fg)″=f″g+2f′g′+fg″ となります。

あわせて読みたい

出典・参考

  • E. J. Aiton, “Leibniz: A Biography”(1985年)
  • Maria Rosa Antognazza, “Leibniz: An Intellectual Biography”(2009年)
  • MacTutor History of Mathematics, “Gottfried Wilhelm von Leibniz”
  • G. W. Leibniz, “Nova methodus pro maximis et minimis”(Acta Eruditorum、1684年)
  • 肖像画:Christoph Bernhard Francke「Gottfried Wilhelm Leibniz」、Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦