ケプラーは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|惑星の3法則・楕円・ケプラー予想

ケプラーは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|惑星の3法則・楕円・ケプラー予想

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ケプラーJohannes Kepler

ひとことで言うと

惑星の軌道が楕円であることを発見し、3法則を示した天文学者。ワイン樽の研究は積分の先がけ、球の詰め込みの予想は約400年後に証明された。

名前ヨハネス・ケプラー(Johannes Kepler)
生没年1571年12月27日〜1630年11月15日(58歳)
国ドイツ(ヴァイル・デア・シュタット生まれ。グラーツ・プラハ・リンツで活やく)
分野天文学・幾何学・光学
主な業績ケプラーの3法則(1609・1619年)、『ルドルフ表』、ワイン樽の体積(積分の先がけ)、ケプラー予想(1611年)
名前がつくものケプラーの法則・ケプラー方程式・ケプラー予想・ケプラー・ポアンソ立体・ケプラー三角形・ケプラー宇宙望遠鏡
著作『宇宙の神秘』(1596)、『新天文学』(1609)、『世界の調和』(1619)、『夢』(死後1634)

このページのポイント

  • 惑星の軌道は楕円(第1法則)、同じ時間に同じ面積(第2法則)、T2∝a3T^2\propto a^3(第3法則)。ケプラーの3法則
  • ワイン樽の体積の研究は積分の先がけ。球の最密つめ込みの予想(ケプラー予想)は1998年に証明が発表された
  • 観測データを信じて円という思いこみを捨てたことが、ニュートンの万有引力の法則につながった

ケプラーは何をした人?(業績をひとことで)

ヨハネス・ケプラー(1571〜1630年)は、ドイツの天文学者・数学者です。惑星の動きを表すケプラーの3法則を発見したことで世界的に知られています。「惑星の軌道は円ではなく楕円である」という発見は、天文学の歴史を大きく変え、のちにニュートンの万有引力の法則を生み出す土台になりました。

ケプラーは、数学の分野でも重要な仕事を残しています。ワインの樽の体積を求める研究は、積分の先がけとなりました。また、同じ大きさの球を最も密に積む方法を考えた1611年の予想は、数学の難問「ケプラー予想」となり、約400年後の1998年にヘールズによって証明が発表されました。ケプラー予想とは(球の詰め込み問題)に、くわしい経緯をまとめています。

受験生にとってのケプラーは、まず楕円と2次曲線(楕円・放物線・双曲線)の公式の人です。高校理科(物理基礎・物理・地学)では、ケプラーの3法則が必ず出ます。また円の方程式から始まって楕円の焦点と標準形に進む流れは、ケプラーの発見が出発点にあります。

うかるくん

うかるくん

惑星の軌道って、円じゃなかったんですか!?

合格先生

合格先生

そうなんだ。それまでの1900年間、天文学者は「天体は完全な円を描く」と信じていた。ケプラーは、観測データと10年近く格闘して、円ではどうしても合わないことに気づき、楕円にたどり着いた。データを信じて、思いこみを捨てたところが、本当にすごいんだよ。

ケプラーの肖像(版画)
ヨハネス・ケプラー(作者不明の肖像)画像:作者不明の肖像/Wikimedia Commons(File:Johannes Kepler1.jpg、パブリックドメイン)

ケプラーの生涯と年表

貧しい家に生まれた、病弱な少年

ケプラーは1571年12月27日、ドイツ南西部の小さな町ヴァイル・デア・シュタットで生まれました。父は傭兵(お金で雇われる兵士)として家を空けがちで、母は薬草を扱う人でした。ケプラーは小さいころから病気がちで、天然痘にかかって視力が弱くなり、手にも後遺症が残ったと伝えられています。それでも成績が優秀で、奨学金を得て名門のテュービンゲン大学に進みました。

大学で、地動説を支持する天文学者メストリンに出会います。当時はほとんどの人が地球を中心にした天動説を信じていましたが、ケプラーは地動説(コペルニクスの説)に強くひかれ、生涯のテーマにしました。

1596年 『宇宙の神秘』

ケプラーはグラーツ(今のオーストリア)の学校で数学を教えていた1595年、授業中に土星と木星の軌道の間に正三角形がぴったり入ることにひらめきました。そこから、惑星の軌道の間に5つの正多面体をはめ込む考えにたどりつき、1596年に『宇宙の神秘(Mysterium Cosmographicum)』を出版します。この考えそのものは正しくありませんでしたが、「宇宙は数学の規則でできている」というケプラーの信念を示す本として、大きな反響を呼びました。

円と多角形の入れ子土星の軌道正三角形木星の軌道正方形火星の軌道…1595年のひらめき → 立体版が『宇宙の神秘』
土星と木星の軌道の間に正三角形がぴったり入る。ケプラーのひらめきの出発点

『宇宙の神秘』の考えは、水星・金星・地球・火星・木星・土星の6つの惑星の軌道の間に、正多面体が5つ(正四面体・立方体・正八面体・正十二面体・正二十面体)ちょうど入る、というものでした。正多面体が5種類しかないことはユークリッド『原論』の最終巻で証明されており、ケプラーは「惑星が6つだから、すき間が5つ。神は5つの正多面体で宇宙を設計した」と考えたのです。実際には、のちに天王星などの惑星が見つかり、この考えは成り立たなくなりますが、数値のずれが小さいことにケプラー自身は強く心をひかれていました。

1600年 ブラーエとの出会い

ケプラーは、当時ヨーロッパ最高の観測天文学者ティコ・ブラーエの助手になるため、1600年にプラハ近郊を訪れ、翌1601年に正式に助手となります。ティコは望遠鏡のない時代にもっとも正確な惑星の観測記録を持っていましたが、データは見せたがりませんでした。1601年にティコが亡くなると、ケプラーはその後を継いで神聖ローマ皇帝ルドルフ2世の宮廷数学者になり、膨大な観測記録を手に入れました。

火星との10年戦争

ケプラーが取り組んだのは、火星の軌道でした。火星の軌道は円から少しずれているため、円の軌道モデルで計算すると、ティコの観測とわずか8分(1度の7.5分の1ほど)ずれました。ケプラーは、ティコの観測の精度は2分ほどだから、8分のずれは計算のまちがいではないと確信し、「この8分のずれが、天文学のすべてを作りなおす手がかりになった」という意味のことを書いたと伝えられます。計算は何百回も繰り返され、ついに楕円が正解だと見つかりました。

1609年と1619年 3法則の発表

1609年の『新天文学』で、第1法則(楕円)と第2法則(面積)が発表されました。第3法則は、1619年の『世界の調和』に書かれています。この間、ケプラーはリンツ(オーストリア)に移り、結婚や家族の死、母がかけられた魔女裁判など、苦しい出来事が続きました。

晩年と最期

1627年、惑星の位置を予測する『ルドルフ表』を完成させます。この表は、ネイピアの対数を使って計算が簡単になった、当時最高の天文表でした。晩年は軍隊に払われなかった給料の取り立てのため旅をしており、1630年11月15日、レーゲンスブルクで病気のため亡くなりました。58歳でした。

年できごと
1571年12月27日、ドイツのヴァイル・デア・シュタットで生まれる
1589年テュービンゲン大学に入学。地動説に出会う
1595年授業中に、土星と木星の軌道と正三角形の関係をひらめく
1596年『宇宙の神秘』を出版(正多面体による惑星の配置)
1600年ティコ・ブラーエの助手となるため訪れる(正式な助手は翌年)
1601年ブラーエが亡くなり、宮廷数学者の仕事と観測記録を引き継ぐ
1609年『新天文学』で第1法則・第2法則を発表
1611年『六角形の雪の結晶について』で球の最密つめ込みを予想(ケプラー予想)
1615年『ワイン樽の新しい立体幾何学』(積分の先がけ)
1619年『世界の調和』で第3法則を発表
1621年母カタリーナが魔女裁判で証拠不十分として釈放される
1627年『ルドルフ表』(惑星の位置の表)を完成
1630年11月15日、レーゲンスブルクで亡くなる(58歳)

ケプラーの主な業績をやさしく解説

業績1 第1法則「楕円軌道の法則」

惑星は、太陽を1つの焦点とする楕円の軌道を描いて動く。これがケプラーの第1法則です。楕円とは、2つの焦点からの距離の和が一定である点の集まりで、アポロニウスの円錐曲線論が詳しく調べた曲線でした。ケプラーは、1800年前の本に書かれた楕円が、実際の天体の軌道そのものだと見抜いたのです。

第1法則:軌道は楕円太陽もう1つの焦点近日点遠日点惑星実際の惑星の楕円はほとんど円に近い
惑星の軌道は楕円で、太陽は焦点の1つにある。近日点(いちばん近い点)と遠日点(いちばん遠い点)がある

実際の惑星の楕円は、円にとても近い形です。たとえば地球の軌道は、太陽に最も近いときと遠いときで、距離の差が約3%しかありません。ケプラーが火星で楕円を見つけられたのは、火星の軌道が地球などと比べてやや楕円ぎみで、しかもティコの観測がとても精密だったからです。

業績2 第2法則「面積速度一定の法則」

太陽と惑星を結ぶ線が、同じ時間に通過する面積は、いつも等しい。これが第2法則です。太陽に近いところでは線が短いので、同じ面積をはき出すには長く動かねばならず、惑星は速く動きます。遠いところではゆっくり動きます。

第2法則:同じ時間に、同じ面積太陽近い:長く動く(速い)遠い:短く動く(おそい)赤と緑の面積は同じ(かかる時間も同じ)
赤と緑のおうぎ形の面積は同じ。同じ時間で動いた分なので、近いほど速く、遠いほどおそい

つまり、惑星は太陽に近づくと加速し、遠ざかると減速します。この法則は、のちにニュートンが角運動量保存の法則として説明しました。ケプラーは、おうぎ形の面積を求めるために、小さな三角形を無数に足し合わせる、今の積分に似た計算をしています。

業績3 第3法則「調和の法則」

惑星の公転周期 TT の2乗は、軌道の長半径 aa の3乗に比例する。式で書くと次のようになります。

T2a3=一定\frac{T^2}{a^3}=\text{一定}

太陽からの距離を地球の軌道(1天文単位)、周期を年で測ると、地球は a=1a=1、T=1T=1 なので比例定数は1になり、T2=a3T^2=a^3 という簡単な式になります。たとえば火星は a=1.524a=1.524 で a3≈3.54a^3\approx3.54、T=1.881T=1.881 で T2≈3.54T^2\approx3.54 と、ぴったり合います。

第3法則:T²=a³(年と天文単位)惑星a(AU)T(年)a³T²水星0.3870.2410.0580.058金星0.7230.6150.3780.378地球111.01.0火星1.5241.8813.53.5木星5.20311.862140.9140.7土星9.53729.457867.4867.7青と赤の数字がほぼ同じ → T² ÷ a³ は一定
6つの惑星で、aの3乗とTの2乗がほぼ同じ値になる

この法則は、ケプラーが長年の計算の中で見つけたもので、ケプラー自身は「宇宙の調和」の発見として大変よろこびました。のちにニュートンが万有引力の法則から数学的に導き、放物線と直線の問題と同じように、物体の運動と曲線が結びつくことを示しました。

業績4 ワイン樽の体積と積分の先がけ

ケプラーは1613年に再婚し、その結婚式のためにワインを買ったとき、ワイン樽の大きさを測る商人のやり方に疑問を持ちました。樽の中に細い棒を斜めに差し込み、ぬれた長さだけで体積を決めていたのです。この疑問がきっかけで、1615年に『ワイン樽の新しい立体幾何学』を書きました。

この本でケプラーは、回転体を無数の薄い断面に分けて、その体積を足し合わせる方法を使いました。アルキメデスの取りつくし法の考えを大胆にした方法で、のちにカヴァリエリの不可分量の方法、さらにニュートンとライプニッツの微分積分につながります。回転体の体積は回転体の体積の求め方で習う内容です。

ケプラーはまた、ユークリッドの『原論』の正多面体の議論をもとに、星型の多面体(小星型十二面体・大星型十二面体)を発見したことでも知られます。→ 正多面体の性質と体積

業績5 ケプラー予想(球の詰め込み問題)

1611年、ケプラーは友人への新年の贈りものとして『六角形の雪の結晶について』を書き、その中で「同じ大きさの球を、すき間をできるだけ小さくして積むには、八百屋がみかんを積むやり方がいちばんよい」と書きました。このとき球がしめる割合は π18≈0.7405\dfrac{\pi}{\sqrt{18}}\approx0.7405 です。これ以上密に詰める方法はない、というのがケプラー予想です。

いちばん密な球の積み方球がしめる割合 π÷√18 ≈ 0.7405八百屋のみかんの積み方(1611年の予想)
八百屋のみかんの積み方。球が空間の約74%をしめる

1831年にはガウスの球の詰め込みの研究が、規則正しく並べる場合ではこれが最良であることを示しました。しかし、不規則に並べる場合も含めたすべての詰め方で最良だと証明するのは、ずっとむずかしい問題でした。1900年にはヒルベルトの23の問題にも入れられ、1998年に数学者トーマス・ヘールズがコンピューターを使った証明を発表しました。2014年には、証明をコンピューターで検証するプロジェクトが完了したと発表されました。→ ケプラー予想(球の詰め込み問題)のくわしい経緯

ケプラーの名前がつく公式・定理・用語

  • ケプラーの3法則(楕円の法則・面積速度一定の法則・調和の法則):高校物理・地学の必須事項。
  • ケプラー方程式:M=E−esin⁡EM=E-e\sin E。惑星の位置を時刻から求めるための方程式で、天文学で今も使われます。
  • ケプラー予想:球の最密つめ込みは約74%。→ ケプラー予想とは
  • ケプラー・ポアンソ立体:ケプラーが見つけた星型の正多面体(2種類)と、ポアンソが見つけた2種類をあわせた4種類。
  • ケプラー三角形:辺の比が 1:φ:φ1:\sqrt{\varphi}:\varphi の直角三角形(φ\varphi は黄金比)。→ 黄金比と白銀比の求め方
  • 楕円:2つの焦点からの距離の和が一定。→ 楕円・放物線・双曲線の公式
「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

物理のケプラーの第3法則は、T2∝a3T^2\propto a^3(周期の2乗は長半径の3乗に比例)。「地球と同じ軌道のa=1a=1、T=1T=1」を基準にすると、問題が一気に解きやすくなるよ。

ケプラーの逸話と名言

「幾何学の2つの宝」

ケプラーは、幾何学の宝物について次のような意味のことを書いたと伝えられています。出典は『宇宙の神秘』などとされることが多いのですが、正確な原文の場所までは確かめられていないため、内容の紹介としてお読みください。

幾何学には2つの大きな宝がある。一つは三平方の定理、もう一つは線分を黄金比に分けることである。前者は黄金の山、後者は宝石にたとえられる。

ケプラーの言葉として伝えられるもの(『宇宙の神秘』などで述べたと紹介される内容の要約。逐語訳ではありません)

「物質のあるところに幾何学がある」

ケプラーの言葉として、ラテン語の Ubi materia, ibi geometria(物質のあるところに、幾何学がある)がよく引用されます。自然は数学の規則にしたがっているというケプラーの信念を、短くあらわした言葉です。

雪の結晶はなぜ六角形?

1611年の新年の贈りもの『六角形の雪の結晶について』は、「なぜ雪の結晶はいつも6つの角をもつのか」という問いから始まります。ケプラーは、小さな球が平面にすき間なく並ぶと、1つの球のまわりに6個の球が集まって六角形になることに注目し、雪の結晶やミツバチの巣(六角形)、ザクロの実の形を、すべて「同じ大きさのものを詰める」という考えで説明しようとしました。現代の物理学の説明とは違いますが、身近なふしぎを幾何学で考えるという姿勢は、とても現代的です。

母の魔女裁判

1615年から、ケプラーの母カタリーナが、近所の女性から魔女だと訴えられました。1620年には逮捕され、1621年には拷問の道具を見せられたと伝えられます。ケプラーは何年もかけて弁護の準備をし、裁判所に出向いて母を弁護しました。1621年10月、母は証拠不十分で釈放されましたが、翌1622年に亡くなっています。ケプラーは、この間も研究をやめず、第3法則を含む『世界の調和』を書き上げていました。

自分で書いた墓碑銘

ケプラーは自分の墓碑銘を作っていたと伝えられます。内容は「私は天の広さをはかった。今は地の影をはかる。心は天にあったが、体は地に休む」という意味のラテン語の詩です。ただし、ケプラーの墓は三十年戦争のあいだに失われ、今は残っていません。

最古のSF小説?

ケプラーが書いた『夢』(Somnium)は、月に旅行する物語で、月から見た天文現象が地動説の証明として描かれています。死後の1634年に出版され、世界最初のSF小説の一つとされることもあります。数学者であり、物語作者でもあったのです。

サクラちゃん

サクラちゃん

ケプラーさんは、占いもしていたって聞きました。それでも科学者なんですか?

合格先生

合格先生

いい質問だね。ケプラーは宮廷の仕事として、占星術(星占い)の暦もつくっていたと伝えられているんだ。当時は天文学と占星術は近い関係だった。でも、観測データが理論と合わなければ自分の説を捨てたところが、ケプラーを「近代科学の人」にしている。時代の中で、できるかぎり事実を重視したんだね。

受験・勉強とケプラーのつながり

中学受験:円の面積・立体の体積

中学受験の算数で習う円柱・円すい・球の体積は、ケプラーの樽の研究の遠い子孫です。「薄く切って足す」という考え方は、立体の体積の問題で何度も出てきます。→ 球の体積と表面積の公式

高校受験:理科(天体)

理科の天体の分野で、惑星の動きや地動説の歴史を学びます。ケプラーの3法則は、高校の物理・地学で必ず登場します。

大学受験:2次曲線・物理

  • 数学C:楕円の標準形 x2a2+y2b2=1\dfrac{x^2}{a^2}+\dfrac{y^2}{b^2}=1、焦点 (±c,0)(\pm c,0)(c=a2−b2c=\sqrt{a^2-b^2})、離心率 e=cae=\dfrac{c}{a}。→ 2次曲線の基本と例題
  • 物理:ケプラーの3法則と万有引力。円運動からの導き方。
  • 数学II:定積分で回転体の体積を求める。→ 回転体の体積

京都大学・東京大学の入試では、楕円の問題や回転体の体積が毎年のように出ます。→ 京大理系数学の出題分析(頻出分野)

勉強法として:データを信じて、思いこみを捨てる

ケプラーは、自分が最初に作った円のモデルを、データのわずかなずれを理由に捨てました。これは受験勉強にも大切な姿勢です。同じ解き方で何度も間違えるなら、やり方そのものを疑うことが必要です。数学の勉強法は数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)も参考にしてください。

ケプラーがその後の数学にあたえた影響

  • 万有引力の法則:ニュートンは、ケプラーの3法則を使って、万有引力が距離の2乗に反比例することを導きました。ケプラーの3法則は、近代物理学の出発点です。
  • 微分積分学:樽の体積の研究は、カヴァリエリ、フェルマー、パスカルの積分の先がけの研究に影響を与えました。
  • 対数の活用:ケプラーはネイピアの対数の価値をいち早く認めて、ルドルフ表の計算に使いました。対数が広まるきっかけの一つです。
  • 最密充填とコンピューターによる証明:ケプラー予想の証明は、数学の証明にコンピューターを使う議論をうながしました。2014年には証明を形式的に検証する大きなプロジェクトが完了しています。
  • 宇宙探査:ケプラーの名前は、2009年に打ち上げられた系外惑星探査衛星「ケプラー宇宙望遠鏡」にもつけられました。ケプラーの法則は、人工衛星や探査機の軌道計算に今も使われています。

ケプラーに挑戦!練習問題

やさしい

  1. 地球の公転周期は1年、太陽からの平均距離は1天文単位です。ある小惑星の太陽からの平均距離が4天文単位のとき、公転周期は何年ですか。(第3法則 T²=a³)
    答えと解説を見るT²=4³=64 なので T=8年。
  2. 楕円の2つの焦点からの距離の和が一定であることを、ひとことで答えるとき、ケプラーの第1法則は「惑星は…」で始まる文を完成させなさい。
    答えと解説を見る「惑星は、太陽を1つの焦点とする楕円の軌道を動く」。

ふつう

  1. 楕円の長半径が10、短半径が6のとき、焦点の位置の中心からの距離 c を求め、近日点と遠日点の太陽からの距離を求めなさい。
    答えと解説を見るc=√(10²−6²)=√64=8。近日点の距離=a−c=2、遠日点の距離=a+c=18。
  2. 上の楕円で、近日点と遠日点での惑星の速さの比を求めなさい。(面積速度一定より、速さは太陽からの距離に反比例する)
    答えと解説を見る距離の比が 2:18=1:9 なので、速さの比は逆に 9:1。近日点の速さは遠日点の9倍。

むずかしい

  1. 公転周期が27年の天体の、軌道の長半径を天文単位で求めなさい。
    答えと解説を見るa³=T²=27²=729 なので a=9天文単位。(9³=729)
  2. 辺の長さ1の立方体の各頂点に球の1/8、各面の中心に球の1/2を置いた積み方(面心立方格子)では、立方体の中に球が合計4個分入り、球の半径は √2/4 です。球が立方体にしめる割合を求めなさい。
    答えと解説を見る球4個の体積=4×(4/3)π(√2/4)³=(16π/3)×(2√2/64)=√2π/6。立方体の体積は1なので、割合は √2π/6 ≈ 0.7405(約74%)。これがケプラー予想の値です。

ケプラーと関係する数学者

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16〜17世紀の数学者

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ケプラーがかかわった数学の難問

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読みもの(合格大作戦の数学の記事)

よくある質問

ケプラーは何をした人ですか?

ケプラーは、16〜17世紀ドイツの天文学者・数学者です。惑星の運動に関する3つの法則を発見し、惑星の軌道が楕円であることを示しました。ワイン樽の体積の研究や、球の詰め込みに関するケプラー予想でも知られています。

ケプラーの3法則とは何ですか?

第1法則は「惑星は太陽を焦点の1つとする楕円軌道を描く」、第2法則は「太陽と惑星を結ぶ線が同じ時間に描く面積は等しい」、第3法則は「公転周期の2乗は軌道の長半径の3乗に比例する」です。

ケプラーの第3法則の式はどう表しますか?

T²/a³が惑星によらず一定、つまりT²∝a³です。周期Tを年、長半径aを天文単位で表すと、T²=a³となります。たとえば火星はa=1.524、T=1.881で、どちらも約3.54になります。

ケプラーはなぜ楕円軌道を発見できたのですか?

ティコ・ブラーエの精密な観測データをもとに、火星の軌道を何年も計算しました。円の軌道では観測と約8分のずれが残ることから、円ではないと確信し、楕円にたどり着いたとされます。

ケプラー予想とは何ですか?

同じ大きさの球を空間にできるだけ密に詰めるには、八百屋のみかんの積み方が最良で、球が空間の約74%(π/√18)をしめるという予想です。1611年にケプラーが述べ、1998年にヘールズが証明を発表し、2014年に検証が完了しました。

ケプラーとニュートンの関係は?

ケプラーが発見した3法則を、ニュートンが万有引力の法則から数学的に導きました。ケプラーが「どう動くか」を見つけ、ニュートンが「なぜそう動くか」を説明したという関係です。

ケプラーの名言は何ですか?

「物質のあるところに幾何学がある」というラテン語の言葉が有名です。また、自分で作ったとされる墓碑銘「私は天の広さをはかった。今は地の影をはかる」も知られています。

ケプラーは占星術師だったのですか?

宮廷の仕事として占星術の暦や星占いを作っていたと伝えられます。当時は天文学と占星術が近い関係にありました。ケプラーは、観測データを重視する姿勢で、近代天文学の道を開きました。

ケプラーの母の魔女裁判とは何ですか?

1615年から、ケプラーの母カタリーナが魔女だと訴えられた事件です。ケプラーが弁護に努め、1621年に証拠不十分で釈放されました。母は翌年に亡くなっています。

ケプラーは受験とどう関係しますか?

数学Cの楕円(標準形・焦点・離心率)、数学IIの回転体の体積、物理のケプラーの3法則と万有引力が、ケプラーの業績にもとづく単元です。中学受験の立体の体積にも、考え方がつながっています。

あわせて読みたい

出典・参考

  • J. Kepler, “Astronomia Nova”(1609年)
  • J. Kepler, “Harmonices Mundi”(1619年)
  • J. Kepler, “Strena seu de Nive Sexangula”(1611年)
  • MacTutor History of Mathematics, “Johannes Kepler”(セント・アンドリュース大学)
  • 肖像:作者不明「Johannes Kepler」、Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
  • T. C. Hales, “A proof of the Kepler conjecture”, Annals of Mathematics(2005年)

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦