この公式のポイント
- 黄金比は正方形を切り取っても同じ形
- x2−x−1=0 から φ=21+5
- 白銀比 1:2 は半分に折っても同じ形(A4の紙)
- 正五角形の対角線:辺=φ:1

うかるくん
黄金比の 1.618… って、どうしてそんな半端な数になるの?
![合格先生]()
合格先生
正方形を切り取っても同じ形になる条件 1:x=(x−1):1 から、x2−x−1=0 を解いた答えだからだ。
黄金比と白銀比
黄金比と白銀比は、長方形の「縦:横」などに出てくる特別な比です。どちらも「切ったり折ったりしても同じ形のまま」という性質から決まります。
2つの比
黄金比 1:φ(ファイ)
φ=21+5=1.6180⋯,φ2=φ+1,φ1=φ−1=0.6180⋯白銀比 1:2(2=1.4142⋯)
- 黄金長方形:正方形を切り取ると、残りが同じ形
- 白銀長方形:半分に折ると、同じ形(A判・B判の紙)
黄金長方形から正方形を切り取ると、残りの長方形ももとと同じ形(相似)
呼び名の注意:日本では 1:2 を「白銀比」(大和比)とよぶことが多いですが、1:(1+2) を白銀比とよぶ本もあります。問題文でどちらの意味か確かめましょう。このページでは 1:2 を白銀比とします。
証明(なぜこの値になるのか)
黄金比:正方形を切り取っても同じ形
縦 1、横 x(x>1)の長方形から、1辺1の正方形を切り取ると、残りは縦 1、横 x−1 の長方形です。残りの長方形は向きを変えると「短い辺 x−1、長い辺 1」。これがもとの長方形(短い辺 1、長い辺 x)と同じ形になる条件は
1:x=(x−1):1⟹x(x−1)=1⟹x2−x−1=0
解の公式で x=21±5。x>0 なので x=21+5=φ。この式から φ2=φ+1、両辺を φ でわって φ=1+φ1、つまり φ1=φ−1 も出てきます。
白銀比:半分に折っても同じ形
短い辺 1、長い辺 x の長方形を、長い辺の真ん中で半分に折ると、短い辺 2x、長い辺 1 の長方形になります。もとと同じ形になる条件は
1:x=2x:1⟹2x2=1⟹x=2
だから A4 を半分にした A5 も、さらに半分の A6 も、みな 1:2 です。半分に折ると面積は 21、相似比は 1:2(面積比 1:2)になっています。
A判の紙は、半分に折っても縦:横=1:√2 のまま
正五角形と黄金比
頂角が 36° の二等辺三角形 ABC(AB=AC=1)で、∠B(72°)の二等分線 BD を引くと、△BCD も頂角 36° の二等辺三角形になり、△ABC∽△BCD です。BC=x とすると、AD=BD=BC=x、DC=1−x なので
1:x=x:(1−x)⟹x2+x−1=0⟹x=25−1=φ1
この三角形は正五角形の「対角線2本と辺1本」でできる三角形です。だから正五角形の対角線と辺の比は φ:1(黄金比)になります(トレミーの定理でも確かめられます)。
頂角36°の二等辺三角形。底角の二等分線で相似な三角形ができ、黄金比が出てくる
フィボナッチ数とのつながり:1, 1, 2, 3, 5, 8, 13, 21, 34, 55, …(フィボナッチ数)のとなりどうしの比は 813=1.625、1321=1.615⋯、2134=1.619⋯、3455=1.617⋯ と、φ=1.618⋯ に近づいていきます。
黄金比は「美しい比」として紹介されることが多いですが、有名な建物や絵画に使われているという話には、根拠のはっきりしないものもあります。数学として確かなのは、上の性質です。
高校受験(中学数学)での使い方
中学3年の平方根・二次方程式・相似を組み合わせた問題で出てきます。「同じ形になる」を比の式にして、二次方程式を解くのが基本です。
高校受験例題1(白銀比とA4の紙)
縦:横=1:
2 の長方形で、短い辺が 210mm のとき、長い辺は何 mm ですか。
2=1.414 として、小数第1位まで求めなさい。
解き方
長い辺は短い辺の 2 倍。210×1.414=296.94 なので、約 296.9mm。
実際の A4 の紙は 210mm×297mm で、ほぼ 1:2 になっています。
答え 約 296.9mm
高校受験例題2(黄金長方形)
短い辺が 2cm、長い辺が
(1+5)cm の長方形から、1辺 2cm の正方形を切り取ります。残った長方形の短い辺の長さを求め、残りの長方形の「長い辺÷短い辺」がもとと同じになることを確かめなさい。
解き方
残りの短い辺は (1+5)−2=5−1(cm)、長い辺は 2cm。
5−12=(5−1)(5+1)2(5+1)=42(5+1)=21+5。もとの 21+5 と同じです。
答え (5−1)cm(比はどちらも 21+5)
大学受験での使い方
大学受験例題3(cos36°を求める)
頂角
A=36∘、
AB=AC=1 の二等辺三角形 ABC を使って、
cos36∘ の値を求めなさい。
解き方
上の証明より BC=x=25−1、AD=BD=x。
△ABD は AD=BD の二等辺三角形で、∠BAD=∠ABD=36∘。D から AB に垂線をおろすと、その足は AB の中点なので cos36∘=x1/2=2x1=5−11=45+1。
答え cos36∘=41+5(=2φ)
よくある間違い
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
x2−x−1=0 の負の解 21−5 を残してはだめだ。長さは正の数だぞ。
- 黄金比を 1:1.6 ちょうどとする:φ=21+5 は無理数で、1.618⋯ と続きます。計算は φ2=φ+1 を使うと正確です。
- 二次方程式の負の解を残す:x2−x−1=0 の解 21−5 は負なので、長さとしては使えません。
- 白銀比の意味の取りちがえ:1:2 と 1:(1+2) の両方の使い方があります。問題文の定義に合わせましょう。
練習問題
![ひらめいたうかるくん]()
うかるくん
φ2=φ+1 を使えば計算が楽になるね!
- 高校受験 φ=21+5 のとき、φ2=φ+1 が成り立つことを確かめなさい。
答えと解説を見る
φ2=41+25+5=23+5、φ+1=21+5+1=23+5。等しい - 高校受験 A4 の紙(210mm×297mm)を2枚、長い辺どうしをくっつけて並べると、何 mm×何 mm の紙になりますか。
答えと解説を見る
短い辺が2倍になるので 420mm×297mm(これが A3 の大きさ 297mm×420mm) - 大学受験 φ2=φ+1 をくり返し使って、φ5 を a+b5 の形で表しなさい。
答えと解説を見る
φ3=φ2+φ=2φ+1、φ4=3φ+2、φ5=5φ+3=25+55+3=211+55
関連する公式
よくある質問
黄金比とはいくつですか?
1:(1+√5)/2 で、およそ 1:1.618 です。長方形から正方形を切り取ったとき、残りの長方形がもとと同じ形になる比です。
白銀比とは何ですか?
日本ではふつう 1:√2(約1:1.414)のことで、半分に折っても同じ形になる比です。A判・B判の紙の縦横の比です。1:(1+√2) を白銀比とよぶこともあります。
黄金比はどうやって求めますか?
縦1・横xの長方形から正方形を切り取った残りが同じ形になる条件 1:x=(x−1):1 から x²−x−1=0 を解き、正の解 x=(1+√5)/2 を求めます。
A4の紙が1:√2なのはなぜですか?
半分に折っても同じ形になるようにするためです。1:x=(x/2):1 を解くと x=√2 になります。
あわせて読みたい
出典・参考
- 文部科学省「中学校学習指導要領(平成29年告示)」数学 第3学年(平方根・二次方程式・図形の相似)
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学Ⅰ(図形と計量)
最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦