ネイピアは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|対数の発明・ネイピアの骨・ネイピア数の由来

ネイピアは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|対数の発明・ネイピアの骨・ネイピア数の由来

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ネイピアJohn Napier

ひとことで言うと

大きな数の面倒なかけ算・わり算を足し算・引き算に変える「対数」を発明した、スコットランドの領主。計算道具「ネイピアの骨」でも知られる。

名前ジョン・ネイピア(John Napier)
生没年1550年〜1617年4月4日(67歳)
国スコットランド(エディンバラ近くのマーチストン城)
分野計算・対数・球面三角法(本業は領主)
主な業績対数の発明(1614年)、ネイピアの骨(1617年)、小数点を使う書き方を広める、球面三角法のネイピアの類推
名前がつくものネイピアの骨・ネイピアの対数・ネイピア数 e(あとの時代の人がつけた呼び名)・ネイピアの類推
よばれ方対数の発明者、マーチストン領主(第8代)

このページのポイント

  • 対数は、かけ算を足し算に変えて、大きな数の計算を楽にする道具。ネイピアが1614年に発表した
  • ネイピアの骨は、数字の棒をならべてかけ算をする道具。ただし、ネイピア数 e をネイピアが見つけたわけではない(名前はあとの時代の人がつけた)
  • 底が10の常用対数は、ブリッグスとの話し合いで生まれた。「2の100乗は何けたか」などの大学入試問題につながる

ネイピアは何をした人?(業績をひとことで)

ジョン・ネイピア(1550〜1617年)は、スコットランドの数学者・領主です。対数を発明して、大きな数どうしの面倒なかけ算・わり算を、足し算・引き算に変えた人として知られます。1614年に対数の本を出し、1617年には、棒をならべてかけ算ができる計算道具「ネイピアの骨」も紹介しました。

受験生にとってのネイピアは、まず「対数(log)をつくった人」です。高校数学Ⅱで習う指数法則と対数の公式や指数関数・対数関数のグラフは、ネイピアが400年以上前に考えた道具の子孫です。大学受験では、「2の100乗は何けたか」のような常用対数とけた数・最高位の数の求め方の問題が、国公立大学の2次試験でもよく出ます。

数学の「自然対数の底 e」も、ネイピアの名前とよく結びつけて語られます。ただし、e という文字や数をはっきり使ったのはネイピアではありません(くわしくは、あとの章で説明します)。この点は、まちがえやすいので、ぜひ覚えておいてください。

うかるくん

うかるくん

対数って、なんでこんなにややこしい記号が必要なんですか……。ただの計算の道具ですよね?

合格先生

合格先生

ただの道具じゃなく、「当時の人の苦労を一気に楽にした発明」だったんだ。電卓もコンピュータも無い時代に、星の位置を計算する人は、桁(けた)の多いかけ算を何日も手で続けていた。ネイピアはそれを足し算にして、計算する人の寿命をのばしたとまで言われているよ。

ネイピアの肖像画(1616年)
66歳ごろのネイピア(1616年ごろの肖像画。作者は分かっていません)画像:作者不明(1616年)/Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

ネイピアの生涯と年表

スコットランドの領主の家に生まれる

ネイピアは1550年、スコットランドの首都エディンバラ近くのマーチストン城で生まれました。生まれた月日は、はっきりした記録が少ないため、年だけで書かれることが多いです。家は代々、この土地を治める貴族で、ネイピアはのちに「第8代マーチストン領主」になります。

若いころの学びについては、13歳ごろにセント・アンドルーズ大学へ入ったと伝えられますが、卒業したかどうかなどは、はっきりしません。その後、ヨーロッパへ留学したともいわれますが、これも確かな記録は多くありません。

数学者というより「領主」、そして熱心な信仰者

ネイピアは、大学の先生ではありませんでした。広い領地を管理する領主であり、肥料や農業の改良にも興味を持つ人でした。さらに、とても熱心なプロテスタント(キリスト教の一派)の信者で、1593年に『ヨハネの黙示録の平易な解明』という本を出しています。ネイピア自身は、これを自分のいちばん大切な仕事と考えていたと伝えられます。数学は、領主の仕事のあいまに楽しんでいた、という見方もあります。

20年かけた対数

ネイピアは、約20年のあいだ対数を考え、計算し続けたと伝えられます。1614年、ラテン語で書いた『驚くべき対数法則の記述(Mirifici Logarithmorum Canonis Descriptio)』を出版しました。この本には、角度(sin)に関する対数の表がのっていて、天文学者や航海士に大歓迎されました。1616年には、エドワード・ライトによる英語訳が出ています。

ブリッグスとの出会い:底が10の対数へ

ロンドンの数学教授ヘンリー・ブリッグスは、この本に感激して、1615年にエディンバラまでネイピアに会いに行きました。2人は話し合って、底が10で、1の対数が0になるように作り直すと便利だと決めました。これが現在の常用対数です。ブリッグスはその後、14けたの対数表を作りました。

骨とともに亡くなる

1617年、ネイピアはかけ算の道具について書いた『Rabdologiae』(ラブドロギア)を出版します。同じ年の4月4日、エディンバラで亡くなりました。67歳でした。対数の作り方をくわしく説明した本は、亡くなったあとの1619年に出版されたと伝えられます。

年できごと
1550年スコットランドのマーチストン城(エディンバラ近く)で生まれる
1563年ごろセント・アンドルーズ大学で学んだと伝えられる(13歳ごろ)
1593年『ヨハネの黙示録の平易な解明』を出版(ネイピアが大切にした本)
1594年ごろ対数の研究を始めたと伝えられる
1608年第8代マーチストン領主になる(父の死後)と伝えられる
1614年『驚くべき対数法則の記述』を出版。対数を世界に発表
1615年ブリッグスがネイピアをたずね、底が10の対数にすることを話し合う
1616年エドワード・ライトによる英語訳が出る
1617年『Rabdologiae』を出版(ネイピアの骨)。4月4日に67歳で亡くなる
1619年対数の作り方をくわしく説明した本が、亡くなったあとに出版される
1624年ブリッグスが『対数算術』を出版(常用対数の大きな表)と伝えられる

ネイピアの主な業績をやさしく解説

業績1 対数の発明:かけ算を足し算に

数の世界には、かけ算が足し算になる不思議なしくみがあります。たとえば、2を何回かかけた数を表にして、「2を何回かけたか」を下に書いてみます。

かけ算が足し算になる表2のべき(かけた結果)何回かけたか(指数)102142831643256464 × 16 を知りたい → 指数 2 + 4 = 6指数が6の数は 64。答えは 64
2のべきの表。4×16を求めるとき、指数を足して 2+4=6、指数6の数は64。かけ算が足し算に変わる

4×16をするには、4は「2を2回かけた数」、16は「2を4回かけた数」だから、あわせて2を6回かけた数(64)です。つまり、「2+4=6」という足し算をすればかけ算の答えにたどり着きます。これが指数法則 am×an=am+na^m\times a^n=a^{m+n} です。

ここで、「何回かけたか」にあたる数を対数とよびます。26=642^6=64 のとき、log⁡264=6\log_2 64=6 と書きます。ネイピアの大発見は、2や4のようなとびとびの数だけでなく、あらゆる数について、この「表」を作ったことでした。そうすれば、桁(けた)の多い数のかけ算も、表で指数を引いて足すだけで終わります。

「logarithm(対数)」という言葉も、ネイピアが作りました。ギリシャ語の logos(比、ことば)と arithmos(数)を合わせたものと説明されます。対数とは(意味と読み方)の意味をもう一度整理しておくと、「かけた回数(指数)を数にしたもの」です。

業績2 ネイピア独自の「動く点」による対数

ネイピアの対数は、いまの教科書の書き方とはちがう形で考えられました。ネイピアが考えたのは、2つの点の動きです。

ネイピアの2つの動く点点P:いつも同じ速さ(足し算で進む)点Q:ゴールに近づくほどおそくなる00122344566788同じ時間に進んだ位置どうしを対応させたのが対数
点Pはいつも同じ速さで進み、点Qは目的地に近づくほど遅くなる。同じ時刻の2点の位置の対応が、ネイピアの対数のもとになった

点Pは、いつも同じ速さで直線を進みます。点Qは、ゴールまでの残りの長さに比例した速さで進みます。つまり、ゴールに近づくほど遅くなるのです。時間が同じだけたつごとに、Pの位置は等しい量だけ増える(足し算)のに対して、Qの残りの長さは同じ割合でちぢむ(かけ算)ことになります。ネイピアは、この「足し算で進む点」と「かけ算で進む点」を対応させて、対数を作りました。

このため、ネイピアの対数は、いまの log⁡10\log_{10} とも、自然対数 ln⁡\ln とも少しちがいます。ネイピアの対数は、10710^7 という大きな数を使って、sinの値を整数で表した形で作られていました。現代の言葉で言えば、「底が 1/e1/e に近い対数」と説明されることもありますが、これは正確とは言えない、という見方もあります。

業績3 常用対数とけた数:ブリッグスとの共同作業

ネイピアとブリッグスが決めた底が10の対数が、いまの常用対数です。10を何回かけたかを表すので、10なら1、100なら2、1000なら3です。

常用対数 y=log₁₀x のグラフ(1, 0)(2, 0.301)(10, 1)xyxが10倍になるごとに、yは1ずつ増える
常用対数 y=log10 x のグラフ。x=1でy=0、x=10でy=1。x が増えるほどゆるやかに増える

常用対数を使うと、「2の100乗は何けたの数か」のような問題が、電卓なしで解けます。log⁡102≈0.3010\log_{10}2\approx0.3010 を使うと、

log⁡102100=100log⁡102≈30.10\log_{10}2^{100}=100\log_{10}2\approx30.10

となります。常用対数の整数部分が30なら、103010^{30} 以上 103110^{31} 未満なので、31けたの数です。くわしい解き方は、常用対数とけた数の問題の解き方を見てください。最高位の数字の求め方まで合わせて練習すると、国公立大学の2次試験のけた数問題に対応できます。

業績4 ネイピアの骨:棒でかけ算をする道具

1617年に紹介された「ネイピアの骨」は、数字を書いた棒(もとは象牙などで作られ、骨のように見えたのでこの名がつきました)をならべて、かけ算をする道具です。各棒には、ある数の1倍〜9倍が、十の位と一の位に分けて、ななめの線で区切られて書かれています。

ネイピアの骨(7×46)462842← 7の段7×4=287×6=42一の位:2十の位:8+4=12 → 2(1くり上がる)百の位:2+くり上がり1=37 × 46 = 322
ネイピアの骨で 7×46 を計算する。4と6の棒をならべて7の段を読み、ななめに足すと322

たとえば、46に7をかけたいときは、4と6の棒をとなりどうしに置き、7の段を読みます。ななめ方向に数字を足していくと、そのまま答え(322)が出ます。これは、筆算の「ななめの足し算」と同じしくみです。かけ算の九九の表を、持ち運べる形にしたものとも言えます。

ネイピアの骨は、除法(わり算)や、平方根・立方根を求めるためにも使えると説明されています。日本でも江戸時代に、これとよく似た計算道具が伝わり、研究されたといわれます。算盤(そろばん)と並んで、手を使って計算する文化の仲間といえます。かけ算の九九や暗算に興味がある人は、インド式かけ算のやり方一覧やくれない算(11〜19のかけ算の暗算)も読んでみてください。

業績5 小数点の使い方を広めた

いま私たちが当たり前に使っている「3.14」のような小数の書き方も、ネイピアが広めたものの1つです。ネイピアは、対数や骨の本の中で、小数を点で区切って書く方法を使いました。それまでの数学では、分数で書くことが多く、小数をどう書くかは、人によってばらばらでした。

小数点を使う書き方は、ネイピアが最初に思いついたとは限らない、という見方もあります。ただ、ネイピアの影響で、英語圏を中心に使われる書き方が広まっていったと説明されることが多いです。ちなみに、日本の学校では小数点は「.」ですが、国によっては「,」を使います。

業績6 自然対数の底 e との関係(ここがまちがえやすい)

ネイピアの名前は、「ネイピア数」という言葉に残っています。これは、自然対数の底 e(約2.71828)のことです。ただ、これはあとの時代の人が、敬意を込めてそうよんだ名前で、ネイピアがこの数を見つけた、ということではありません。

e が数学ではっきり現れたのは、ヤコブ・ベルヌーイが複利の計算を調べた1683年ごろだといわれます。e という文字を使いはじめたのは、オイラーの業績と生涯(1727年ごろ)だと説明されることが多いです。ネイピアが作った対数が、結果として「e を底にした対数」とよく似た性質を持っていたため、名前が結びつけられました。数学史では、「ネイピア数=ネイピアが見つけた数」とは言えない、ということがよく指摘されます。

e の定義や性質は、自然対数の底 e の定義 lim(1+1/n)ⁿで学べます。

ネイピアの名前がつく公式・定理・用語

ネイピアの名前がついたものは、数学の中でも、あまり多くありません。それでも、受験生が一度は目にする言葉があります。

  • ネイピアの骨:数字の棒をならべてかけ算をする道具(上で説明しました)。
  • ネイピア数(e):自然対数の底、e=2.71828⋯e=2.71828\cdots。→ ネイピア数 e の定義と極限の公式(名前の由来は、ネイピア本人とは直接関係しない、という点に注意)
  • ネイピアの対数(ナピエリアン対数):ネイピアが作った元の対数。現在の対数とは、底や使い方がちがいます。
  • ネイピアの類推(Napier's analogies):球面三角法で使う、4つの公式の組。航海や天文学で使う、球の上の三角形の計算に役立ちます。
  • 対数:「かけた回数」を数にしたもの。→ 指数と対数の公式まとめ・対数関数とは
「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

ネイピア数 e = ネイピアが見つけた数、と覚えると、数学史ではまちがいになるよ。入試では e の値や性質が問われるから、名前の話より「e の定義」をまず覚えておこう。

ネイピアの逸話と名言

黒いにわとりで召使いをためした?

ネイピアには、風変わりな逸話がたくさん残っています。たとえば、召使いの中に物を盗む者がいると考えたネイピアは、黒く煤(すす)をぬったにわとりを暗い部屋に入れ、「このにわとりは、犯人の手に触れると鳴く」と言い、召使いたちを一人ずつ部屋に入れた、という話です。犯人は、鳴かれるのを恐れて、にわとりにさわらなかったため、手が煤で黒くなっていなかった、といわれます。ネイピアの伝記に書かれた話ですが、本当にあったことかどうかは、確かめられていません。

「魔法使い」といううわさ

ネイピアは、夜に寝間着(ねまき)姿で、帽子をかぶったまま、考えごとをしながら歩きまわることがあったと伝えられます。このため、地元の人々は、ネイピアを「悪魔と取引している魔法使い」だと思ったといわれます。宗教の本を書き、世界の終わりまで予想した人が、魔法使いとよばれた、というのは、おもしろい話です。

水車の音を止めた領主

考えごとのじゃまになる水車の音を、粉ひき(ミラー)に止めさせたという話もあります。そのころのネイピアは、対数の計算にとても集中していたのだと思われます。

世界の終わりを計算した?

ネイピアは、聖書の『ヨハネの黙示録』を数学的な方法で調べ、世界の終わりが来る年を予想しました。いまの数学者としては考えにくい仕事ですが、ネイピアが数学を使って、神の言葉をより正確に理解しようとしたことを示す話です。予想された年は、外れました。

計算をする人にとって、大きな数のかけ算・わり算・平方根・立方根ほど、やっかいで、仕事のじゃまになるものはない。

ネイピアの『驚くべき対数法則の記述』の序文の趣旨(数学を学ぶ人たちへのよびかけとして、多くの伝記で紹介される内容。言い回しは翻訳によって異なる)

対数は、計算の労力をへらすことで、天文学者の寿命を2倍にのばした。

ラプラスの言葉として広く知られるもの(出典の細かい言い回しは資料によって異なる)

ケプラーが対数に感謝した

ドイツの天文学者ケプラーは、惑星の動きを計算するために、対数をいち早く取り入れた一人です。ケプラーはネイピアの業績を高く評価した、と伝えられます。対数のおかげで、天体の位置を計算する表が、短い期間でできるようになりました。ネイピアが亡くなったあとも、対数表は何百年も天文学や航海術の基本でした。

サクラちゃん

サクラちゃん

領主さまなのに、数学で20年も……! しかも世界の終わりまで計算していたなんて、ふしぎな人です。

合格先生

合格先生

だね。ネイピアにとって数学は「みんなの計算の苦労を減らすための道具」だった。だから発明が、天文学者や船乗りにすぐ受け入れられたんだ。道具は使う人の役に立ってはじめて広まる、という見本だよ。

受験・勉強とネイピアのつながり

中学受験:べきの考え方と大きな数

中学受験では、対数そのものは出ませんが、「2を何回かけたか」を数える考え方は、よく使います。たとえば、紙を何回折ったら何枚に重なるか、細胞が何分で何個に増えるか、といった問題です。2、4、8、16……と並べて、かけた回数を数える考え方が、のちの指数・対数の入口になります。くれない算やインド式の暗算でも、かけ算の工夫を学べます。

高校受験:べきと大きな数の表し方

高校受験では、累乗(るいじょう)や指数の計算、大きな数を 3×1083\times10^8 のように表す方法が出ます。「10310^3 は1000、10−210^{-2} は0.01」のように、指数は「かけた回数」を表します。この考え方は、対数の入口です。

大学受験:対数関数・常用対数・けた数問題

対数は、数学Ⅱの大きなテーマです。

  • 対数の計算:log⁡aMN=log⁡aM+log⁡aN\log_a MN=\log_a M+\log_a N などの公式(指数法則と対数の公式)。
  • 対数関数のグラフ:増加・減少、漸近線、指数関数との関係(指数・対数関数のグラフの描き方)。
  • 常用対数:けた数・最高位の数字・小数第何位に初めて0でない数字が現れるか。
  • 自然対数と微分:数学Ⅲで、(log⁡x)′=1/x(\log x)'=1/x、ee の極限など。

常用対数とけた数の問題の解き方では、国公立大学の2次試験での出題パターンを整理しています。京都大学の入試でも、整数や対数にかかわる問題がよく出ます。京大理系数学の出題分析(頻出分野ランキング)で、どの分野が出やすいか確かめておきましょう。

勉強法として:「大きな数は、桁(けた)で考える」

ネイピアの発明は、「大きな数のかけ算が大変なら、別の見方に変えて足し算にしよう」という考え方でした。数学が苦手な人にも使えるコツです。むずかしい計算が出てきたら、①対応する別の形がないか、②表にできないか、③大きさの目安だけ先に知ることはできないか、を考えてみましょう。数学の勉強の進め方は数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)も参考になります。

ネイピアがその後の数学にあたえた影響

  • 天文学・航海術:対数表は、惑星の動きの計算や、船の位置を決める計算を、大きく楽にしました。ケプラーの惑星の表(ルドルフ表)の作成にも、対数が使われたと説明されます。
  • 計算尺(けいさんじゃく):1620年代、イギリスのガンターやオートレッドが、対数の目もりのものさしを工夫しました。これが、のちの計算尺です。1970年代に電卓が広まるまで、技術者や科学者が使い続けました。
  • 指数関数・対数関数の理論:ニュートンの業績と生涯やライプニッツの微積分の発明が微分積分を作ったとき、対数は積分の重要な例になりました。∫dxx=log⁡x\int\frac{dx}{x}=\log x の関係は、双曲線の面積の研究から見つかったとされています。
  • オイラーによる完成:18世紀にオイラーが、指数関数・対数関数・三角関数を結びつけ、現代の対数の形を整えたと説明されます。
  • デジタル時代の対数:音の大きさ(デシベル)、地震のマグニチュード、酸性の強さ(pH)、情報量(ビット)など、いまも対数のものさしが使われています。ネイピアの発想は、日常にも残っています。

対数の本質は、「とても大きい数やとても小さい数を、扱いやすい大きさにちぢめる」ことです。大きな数の世界では、足し算とかけ算の関係が、まるで入れ替わります。

対数ものさし(計算尺のしくみ)123456789102の長さ3の長さ2 × 3 → 長さを足す → 6かけ算を「長さの足し算」にしたものさし
対数のものさし。1から2までの長さと、2から6までの長さ(3にあたる長さ)をつなぐと、2×3の答え6に着く

ネイピアに挑戦!練習問題

やさしい

  1. log⁡28\log_2 8 と log⁡214\log_2\dfrac14 の値を求めなさい。
    答えと解説を見る23=82^3=8 なので log⁡28=\log_2 8= 3。14=2−2\dfrac14=2^{-2} なので log⁡214=\log_2\dfrac14= −2。
  2. log⁡102=0.3010\log_{10}2=0.3010 として、log⁡102000\log_{10}2000 の値を求めなさい。
    答えと解説を見る2000=2×1032000=2\times10^3 なので、log⁡102000=log⁡102+3=\log_{10}2000=\log_{10}2+3= 3.3010。

ふつう

  1. log⁡102=0.3010\log_{10}2=0.3010 として、2502^{50} は何けたの数か答えなさい。
    答えと解説を見るlog⁡10250=50×0.3010=15.05\log_{10}2^{50}=50\times0.3010=15.05。1015≤250<101610^{15}\le2^{50}<10^{16} なので、16けた。
  2. log⁡103=0.4771\log_{10}3=0.4771 として、3203^{20} は何けたの数か答えなさい。
    答えと解説を見るlog⁡10320=20×0.4771=9.542\log_{10}3^{20}=20\times0.4771=9.542。109≤320<101010^{9}\le3^{20}<10^{10} なので、10けた。

むずかしい

  1. ネイピアの骨の考え方で、7×467\times46 を計算しなさい(4と6の棒の7の段は、4→2/8、6→4/2)。
    答えと解説を見る一の位は2。十の位は 8+4=12 で2が残り、1くり上がる。百の位は 2+1=3。答えは322(確かめ:7×46=322)。
  2. log⁡102=0.3010\log_{10}2=0.3010 として、(12)30\left(\dfrac12\right)^{30} を小数で表したとき、小数第何位ではじめて0でない数字が現れるか答えなさい。
    答えと解説を見るlog⁡10(12)30=−30×0.3010=−9.03\log_{10}\left(\dfrac12\right)^{30}=-30\times0.3010=-9.03。10−10<(12)30<10−910^{-10}<\left(\frac12\right)^{30}<10^{-9} なので、小数第10位。(実際の値は約 9.3×10−109.3\times10^{-10})

ネイピアと関係する数学者

数学の公式を1つずつ学ぶなら算数・数学の公式一覧(公式辞典)、ギリシャ文字の読み方はギリシャ文字の読み方一覧(24文字)もどうぞ。

16〜17世紀の数学者

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有名な数学者一覧(年代順・国別・分野別)で、ほかの数学者も見られます。数学者たちが挑んだ問題は数学の難問・未解決問題の一覧にまとめています。

読みもの(合格大作戦の数学の記事)

よくある質問

ネイピアは何をした人ですか?

ネイピアは、16〜17世紀のスコットランドの領主で、数学者です。大きな数のかけ算・わり算を足し算・引き算に変える「対数」を発明して、1614年に発表しました。数字の棒でかけ算をする「ネイピアの骨」でも知られています。

ネイピアはなぜ有名なのですか?

対数の発明によって、天文学者や航海士の計算が大きく楽になったからです。電卓のない時代に、何日もかかっていた計算が短くなり、「天文学者の寿命を2倍にのばした」と言われました。

対数とは何ですか?

対数は、ある数を作るのに、底を何回かけるかを表す数です。たとえば 2を3回かけると8になるので、log₂8=3 です。かけ算を足し算に、わり算を引き算に変える性質があります。

ネイピアの骨とは何ですか?

数字を書いた棒をならべて、かけ算を手早く行う計算道具です。1617年の本で紹介されました。九九の表を棒に分け、ななめに数字を足すと、答えが読み取れます。わり算や平方根にも使えると説明されています。

ネイピア数 e は、ネイピアが見つけた数ですか?

いいえ。ネイピア数 e(約2.71828)は、あとの時代の数学者が研究した数で、ネイピアが見つけたわけではありません。ネイピアの対数が e を底とする対数と近い性質を持っていたため、名前が結びつけられたと説明されます。

ネイピアの生まれた年と亡くなった年は?

ネイピアは1550年にスコットランドのマーチストン城(エディンバラ近く)で生まれ、1617年4月4日にエディンバラで亡くなりました。67歳でした。生まれた月日は、はっきりしないため、年だけで書かれることが多いです。

ネイピアの逸話で有名なものは何ですか?

黒く煤をぬったにわとりで、盗みを働く召使いをさがした話や、寝間着姿で歩きまわり「魔法使い」とうわさされた話が伝えられています。ただし、どれも伝記に書かれた話で、本当にあったことかどうかは確かめられていません。

常用対数はだれが作ったのですか?

底が10の常用対数は、ネイピアとイギリスの数学者ブリッグスの話し合いから生まれたと伝えられます。1615年にブリッグスがネイピアをたずね、底を10にすると便利だと決めました。ブリッグスが大きな対数表を作りました。

ネイピアは受験とどう関係しますか?

高校数学Ⅱの対数関数、常用対数とけた数の問題は、国公立大学2次試験の定番です。数学Ⅲでは自然対数や e の極限も出ます。中学受験でも、2を何回かける、という考え方が出てきます。

ネイピアは数学以外に何をしましたか?

ネイピアは、領地を治める領主として、農業の改良にも関心を持ちました。また、熱心なプロテスタントとして、聖書の「黙示録」の解説書を書き、これを自分の最も大切な仕事と考えていたと伝えられます。

あわせて読みたい

出典・参考

  • MacTutor History of Mathematics, “John Napier”(セント・アンドルーズ大学)
  • John Napier, “Mirifici Logarithmorum Canonis Descriptio”(1614年)
  • 肖像画:作者不明「John Napier」(1616年)、Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦