この公式のポイント
- e=lim(1+n1)n=2.718⋯
- 傾きがちょうど1になる指数関数の底
- (1+n1)n は増加して3をこえない
- (1+na)bn→eab

うかるくん
1+n1 は1に近づくのに、n 乗すると1にならないの?
![合格先生]()
合格先生
1に近づく数を何回もかけるからだ。増えながら3をこえず、e=2.718⋯ に近づくぞ。
自然対数の底 e の定義
e の定義
e=n→∞lim(1+n1)n=h→0lim(1+h)h1=2.718281828⋯この e を底とする対数 logx(=logex)を自然対数という。
e を底にすると、微分がいちばん簡単になる。
(ex)′=ex,(logx)′=x1,x→0limxex−1=1
(1+n1)n は増えながら、(1+n1)n+1 は減りながら e に近づく
e はネイピア数ともよばれます。対数を考え出したネイピアにちなむ名前です。e は分数で表せない数(無理数)で、2.71828⋯ と限りなく続きます。
イメージ(複利):1年で100%の利息がつく預金で、利息を年に n 回に分けてつけ、そのたびに元金に入れる(複利)と、1年後には (1+n1)n 倍になります。n=1 なら2倍、n=12(毎月)なら約2.613倍。どんなに回数をふやしても、e≒2.718 倍をこえません。
証明:なぜこの極限を e とするのか・極限があること
① 傾き1になる底をさがすと出てくる
y=ax の x=0 での接線の傾きは h→0limhah−1 です。これがちょうど1になる底 a を使うと、(ax)′=ax となって微分がもっとも簡単になります。
傾きが1なら、小さい h で ah≒1+h、つまり a≒(1+h)h1。そこで、h→0 の極限を e と決めるのです。h=n1 とおけば (1+n1)n になります。
点 (0,1) での接線の傾きがちょうど1になる底が e
② (1+1/n)ⁿ は増加し、3 をこえない
an=(1+n1)n を二項定理で展開します。k 番目の項は nCknk1=k!nkn(n−1)⋯(n−k+1) なので
an=k=0∑nk!1(1−n1)(1−n2)⋯(1−nk−1)
増加:n を n+1 にすると、かっこの中 1−nj はどれも大きくなり、さらに正の項が1つふえます。だから an<an+1。
3をこえない:かっこの中はどれも1以下なので、k!≥2k−1(k≥1)を使って
an≤k=0∑nk!1≤1+1+21+221+⋯+2n−11<1+1−211=3
増加し続けるが上限がある数列は収束する(実数の性質。高校では認めて使います)ので、極限 e があり、2<e≤3 です。くわしく計算すると e=2.71828⋯。((1+n1)n+1 は減少して上から e に近づくことも知られています。)
③ (log x)' = 1/x が出る
h→0 のとき、t=xh とおくと
hlog(x+h)−logx=x1⋅t1log(1+t)=x1log(1+t)t1→x1loge=x1
これが微分の公式 (logx)′=x1 の証明で、e の定義がそのまま使われます。
大学受験(数学Ⅲ 極限)での使い方
大学受験例題1(e の2乗になる形)
n→∞lim(1+n2)n を求めなさい。
解き方
h=n2 とおくと、n→∞ で h→0、n=h2。
(1+n2)n=(1+h)h2={(1+h)h1}2→e2。
答え e2
大学受験例題2(1ひく形)
n→∞lim(1−n1)n を求めなさい。
解き方
1−n1=nn−1 なので、(1−n1)n=(1+n−11)n1=(1+n−11)n−1(1+n−11)1。
n→∞ で分母は e⋅1 に近づく。
答え e1
大学受験例題3(基本の極限)
x→0limxex−1=1 を示しなさい。
解き方
t=ex−1 とおくと x=log(1+t)、x→0 で t→0。
xex−1=log(1+t)t=log(1+t)t11→loge1=1。
答え 示せた
高校の範囲をこえる内容と入試での使い方
- 定義は数学Ⅲの範囲:e=lim(1+h)h1 と、(logx)′=x1、(ex)′=ex は数学Ⅲの教科書で学びます。答案で「h→0lim(1+h)h1=e」を使うのは問題ありません。
- 範囲をこえる部分:この極限が本当にあること(増加して上限がある数列は収束すること)は、高校では認めて使います。e=1+1+2!1+3!1+⋯ という表し方も、教科書の範囲外(大学で学ぶマクローリン展開)です。
- 入試での出方:「an が増加することを示せ」「an<3 を示せ」のように、上の証明②そのものが問われることがあります。また、積分を使って 2.7<e<2.8 を示すような評価の問題が、難関大の入試の背景になっていることがあります。
- 検算に使う:(1+na)bn→eab と覚えておくと、答えの見当がすぐにつきます。答案では例題1のように h でおきかえて書きましょう。
よくある間違い
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
(1+n2)n を e にしてはいけない。かっこの中と指数をそろえると e2 だ。
- 1∞=1 と考える:1+n1→1 でも、n 乗するので (1+n1)n→1 にはなりません。極限は e です。
- (1+n2)n を e とする:かっこの中と指数の形がそろっていません。正しくは e2。
- e を 2.7 ちょうど・分数と思う:e は無理数で、2.71828⋯ と続きます。
練習問題
![体で丸を作る合格先生]()
合格先生
h でおきかえて、e の形を作ろう。
- 大学受験 n→∞lim(1+2n1)n を求めなさい。
答えと解説を見る
{(1+2n1)2n}21→e21=e - 大学受験 n→∞lim(1+n3)2n を求めなさい。
答えと解説を見る
h=n3 とおくと (1+h)h6={(1+h)h1}6→e6 - 大学受験 n→∞lim(n+1n)n を求めなさい。
答えと解説を見る
(n+1n)n=(1+n1)n1→e1
関連する公式
よくある質問
自然対数の底 e とは何ですか?
e=lim(1+1/n)^n=2.71828… で定める数で、ネイピア数ともよばれます。y=e^x は点(0,1)での接線の傾きがちょうど1になります。
なぜ e を底にするのですか?
e を底にすると (e^x)′=e^x、(log x)′=1/x となり、微分・積分がいちばん簡単になるからです。
(1+1/n)^n は1に近づくのではないですか?
近づきません。かっこの中は1に近づきますが n 乗するので、極限は e=2.718… です。
lim(1+2/n)^n はいくつですか?
e² です。h=2/n とおくと {(1+h)^(1/h)}² となり、e² に近づきます。
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出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学Ⅲ(極限)・数学Ⅲ(微分法)
最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦