マクローリン展開の公式|e^x・sinx・cosx・log(1+x)の展開と証明・極限の見当づけの例題【大学数学・東大京大レベル】

マクローリン展開の公式|e^x・sinx・cosx・log(1+x)の展開と証明・極限の見当づけの例題【大学数学・東大京大レベル】

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大学受験大学院入試

f(x)=∑n=0∞f(n)(0)n!xnf(x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{f^{(n)}(0)}{n!}x^n

ex=1+x+x22!+⋯e^x=1+x+\dfrac{x^2}{2!}+\cdots、sin⁡x=x−x33!+⋯\sin x=x-\dfrac{x^3}{3!}+\cdots、log⁡(1+x)=x−x22+⋯\log(1+x)=x-\dfrac{x^2}{2}+\cdots

この公式のポイント

  • 係数はf(n)(0)n!\dfrac{f^{(n)}(0)}{n!}(nn 回微分して x=0x=0)
  • sin⁡x\sin x は奇数次、cos⁡x\cos x は偶数次だけ
  • log⁡(1+x)\log(1+x) は −1<x≤1-1<x\le1 でだけ成り立つ
  • 入試では見当づけ・検算に使い、答案は微分・積分で示す
うかるくん

うかるくん

マクローリン展開の係数って、なんで n!n! で割るの?

合格先生

合格先生

xnx^n を nn 回微分すると n!n! になるからだ。nn 回微分して x=0x=0 を入れると、係数×n!n! が f(n)(0)f^{(n)}(0) に等しくなるぞ。

マクローリン展開の公式

関数 f(x)f(x) を、x=0x=0 での微分係数を使って多項式(べき級数)で表したものがマクローリン展開です。x=0x=0 の近くで、関数を「無限に長い多項式」とみる考え方です。

マクローリン展開(x=0 でのテイラー展開)

f(x)=∑n=0∞f(n)(0)n!xn=f(0)+f′(0)x+f′′(0)2!x2+f′′′(0)3!x3+⋯f(x)=\sum_{n=0}^{\infty}\frac{f^{(n)}(0)}{n!}x^n=f(0)+f'(0)x+\frac{f''(0)}{2!}x^2+\frac{f'''(0)}{3!}x^3+\cdots

代表的な4つ

ex=1+x+x22!+x33!+⋯(すべての x)sin⁡x=x−x33!+x55!−⋯(すべての x)cos⁡x=1−x22!+x44!−⋯(すべての x)log⁡(1+x)=x−x22+x33−⋯(−1<x≤1)\begin{aligned}e^x&=1+x+\frac{x^2}{2!}+\frac{x^3}{3!}+\cdots\quad(\text{すべての }x)\\\sin x&=x-\frac{x^3}{3!}+\frac{x^5}{5!}-\cdots\quad(\text{すべての }x)\\\cos x&=1-\frac{x^2}{2!}+\frac{x^4}{4!}-\cdots\quad(\text{すべての }x)\\\log(1+x)&=x-\frac{x^2}{2}+\frac{x^3}{3}-\cdots\quad(-1<x\le1)\end{aligned}
xy−ππOy=sin x1次:x3次:x−x³/65次:x−x³/6+x⁵/120
sin⁡x\sin x と、展開を1次・3次・5次で打ち切った多項式。次数を上げるほど広い範囲で重なる

sin⁡x\sin x は奇関数なので奇数次の項だけ、cos⁡x\cos x は偶関数なので偶数次の項だけが出てきます。exe^x で x=1x=1 とおくと e=1+1+12!+13!+⋯e=1+1+\dfrac1{2!}+\dfrac1{3!}+\cdots で、16!\dfrac1{6!} の項までの和は 2.71805⋯2.71805\cdots(e=2.71828⋯e=2.71828\cdots)です。

証明:係数の決まり方と、展開が成り立つ理由

① 係数は f(n)(0)n!\dfrac{f^{(n)}(0)}{n!} になる

f(x)=a0+a1x+a2x2+a3x3+⋯f(x)=a_0+a_1x+a_2x^2+a_3x^3+\cdots と書けたとします。x=0x=0 を代入すると a0=f(0)a_0=f(0)。1回微分して x=0x=0 を代入すると a1=f′(0)a_1=f'(0)。2回微分すると x2x^2 の項は 2⋅1⋅a22\cdot1\cdot a_2 になるので a2=f′′(0)2!a_2=\dfrac{f''(0)}{2!}。同じように nn 回微分すると xnx^n の項は n! ann!\,a_n になり、an=f(n)(0)n!a_n=\dfrac{f^{(n)}(0)}{n!} です。

たとえば f(x)=exf(x)=e^x は何回微分しても exe^x で、f(n)(0)=1f^{(n)}(0)=1。だから an=1n!a_n=\dfrac1{n!}。sin⁡x\sin x は微分するたびに cos⁡x, −sin⁡x, −cos⁡x, sin⁡x\cos x,\ -\sin x,\ -\cos x,\ \sin x とくり返すので、x=0x=0 での値は 0,1,0,−10,1,0,-1 のくり返しです。

② 本当に等しくなること(剰余項が0に近づく)

①は「書けたとすれば」の話です。本当に等しいことは、テイラーの定理(部分積分のくり返し)で示します。exe^x では

ex=∑k=0nxkk!+Rn,Rn=∫0x(x−t)nn!et dte^x=\sum_{k=0}^{n}\frac{x^k}{k!}+R_n,\qquad R_n=\int_0^x\frac{(x-t)^n}{n!}e^t\,dt

x>0x>0 なら 0≤Rn≤ex∫0x(x−t)nn!dt=exxn+1(n+1)!0\le R_n\le e^x\displaystyle\int_0^x\frac{(x-t)^n}{n!}dt=e^x\frac{x^{n+1}}{(n+1)!}。xn+1(n+1)!→0\dfrac{x^{n+1}}{(n+1)!}\to0(n→∞n\to\infty)なので Rn→0R_n\to0(x<0x<0 も同様)。sin⁡x, cos⁡x\sin x,\ \cos x も、∣f(n+1)(t)∣≤1|f^{(n+1)}(t)|\le1 から同じように Rn→0R_n\to0 です。

③ log⁡(1+x)\log(1+x) は積分で示せる

等比数列の和の公式から、t≠−1t\neq-1 で

11+t=1−t+t2−⋯+(−1)n−1tn−1+(−1)ntn1+t\frac1{1+t}=1-t+t^2-\cdots+(-1)^{n-1}t^{n-1}+\frac{(-1)^nt^n}{1+t}

両辺を 00 から xx まで積分すると(0≤x≤10\le x\le1)

log⁡(1+x)=x−x22+⋯+(−1)n−1xnn+(−1)n∫0xtn1+tdt\log(1+x)=x-\frac{x^2}{2}+\cdots+(-1)^{n-1}\frac{x^n}{n}+(-1)^n\int_0^x\frac{t^n}{1+t}dt

最後の積分は 0≤∫0xtn1+tdt≤∫0xtn dt=xn+1n+1→00\le\displaystyle\int_0^x\frac{t^n}{1+t}dt\le\int_0^xt^n\,dt=\frac{x^{n+1}}{n+1}\to0。x=1x=1 とおくと log⁡2=1−12+13−14+⋯\log2=1-\dfrac12+\dfrac13-\dfrac14+\cdots が得られます。

xyO2−11e²≒7.396.3353y=eˣ1+x1+x+x²/21+x+x²/2+x³/6
exe^x と、展開を1次・2次・3次で打ち切った多項式。x>0x>0 ではどれも exe^x より下にある(剰余項が正)

大学受験での使い方

入試では、極限の値の見当づけと、不等式 ex>1+x+x22e^x>1+x+\dfrac{x^2}{2} などの背景として出てきます。答案では展開そのものではなく、微分や積分で示すのが安全です。

大学受験

例題1(極限の見当づけと、答案での示し方)

lim⁡x→0ex−1−xx2\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{e^x-1-x}{x^2} を求めなさい。

解き方

見当:ex=1+x+x22+x36+⋯e^x=1+x+\dfrac{x^2}{2}+\dfrac{x^3}{6}+\cdots より ex−1−xx2=12+x6+⋯→12\dfrac{e^x-1-x}{x^2}=\dfrac12+\dfrac{x}{6}+\cdots\to\dfrac12。

答案:剰余項を使うと、x>0x>0 で 0<ex−1−x−x22<x36ex0<e^x-1-x-\dfrac{x^2}{2}<\dfrac{x^3}{6}e^x。x2x^2 で割ると 0<ex−1−xx2−12<x6ex→00<\dfrac{e^x-1-x}{x^2}-\dfrac12<\dfrac{x}{6}e^x\to0。x<0x<0 も同様に示せて、はさみうちで 12\dfrac12。

答え 12\dfrac12

大学受験

例題2(sin x の展開)

lim⁡x→0x−sin⁡xx3\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{x-\sin x}{x^3} の値を、マクローリン展開で求めなさい。

解き方

sin⁡x=x−x36+x5120−⋯\sin x=x-\dfrac{x^3}{6}+\dfrac{x^5}{120}-\cdots より x−sin⁡x=x36−x5120+⋯x-\sin x=\dfrac{x^3}{6}-\dfrac{x^5}{120}+\cdots。

x3x^3 で割ると 16−x2120+⋯→16\dfrac16-\dfrac{x^2}{120}+\cdots\to\dfrac16。

答え 16\dfrac16

大学受験

例題3(展開が背景の不等式)

x>0x>0 のとき、ex>1+x+x22e^x>1+x+\dfrac{x^2}{2} を証明しなさい。

解き方

f(x)=ex−1−x−x22f(x)=e^x-1-x-\dfrac{x^2}{2} とおく。f′(x)=ex−1−xf^{\prime}(x)=e^x-1-x、f′′(x)=ex−1f^{\prime\prime}(x)=e^x-1。

x>0x>0 で f′′(x)>0f^{\prime\prime}(x)>0 なので f′(x)f^{\prime}(x) は増加し、f′(0)=0f^{\prime}(0)=0 より f′(x)>0f^{\prime}(x)>0。よって f(x)f(x) も増加し、f(0)=0f(0)=0 より f(x)>0f(x)>0。

答え 証明終わり(微分を2回くり返す。図2の緑の曲線が exe^x より下にあることの証明)

高校の範囲をこえる内容と入試での使い方

  • 範囲:数学Ⅲでは微分・積分・極限を学びますが、関数を無限の和(べき級数)で表すマクローリン展開は、高校の教科書の本文の範囲外です。大学の微分積分学で学びます。
  • 答案にそのまま使うのは危険:「マクローリン展開より」と書くだけでは、証明なしの結果の引用になります。極限は例題1のように剰余項の評価とはさみうち、不等式は例題3のように微分のくり返しで示しましょう。
  • 見当づけ・検算には強い:答えが 12\dfrac12 や 16\dfrac16 になりそうだと先に分かれば、計算ミスに気づけます。
  • 入試の背景:難関大の入試では、「ex≥1+x+x22!+⋯+xnn!e^x\ge1+x+\dfrac{x^2}{2!}+\cdots+\dfrac{x^n}{n!}(x≥0x\ge0)を数学的帰納法で示す」「log⁡2=1−12+13−⋯\log2=1-\dfrac12+\dfrac13-\cdots を積分で示す」のように、マクローリン展開が背景になっている問題があります。

よくある間違い

腕でバツを作る合格先生

合格先生

log⁡(1+x)\log(1+x) の展開は −1<x≤1-1<x\le1 だけだ。x=2x=2 を入れても和は決まらないぞ。

  • log⁡(1+x)\log(1+x) の展開をどんな xx でも使う:成り立つのは −1<x≤1-1<x\le1 だけです。x=2x=2 を入れると 2−2+83−4+⋯2-2+\dfrac83-4+\cdots となり、和は決まりません。
  • 階乗を忘れる:sin⁡x=x−x33+⋯\sin x=x-\dfrac{x^3}{3}+\cdots は誤り。正しくは x33!=x36\dfrac{x^3}{3!}=\dfrac{x^3}{6} です。
  • xx が大きいところで近似に使う:打ち切った多項式は x=0x=0 の近くでよく合う近似です。図1のように、0から離れるとずれが大きくなります。

練習問題

ひらめいたサクラちゃん

サクラちゃん

展開で答えの見当をつけてから解こうね!

  1. 大学受験 e−xe^{-x} のマクローリン展開を、x3x^3 の項まで書きなさい。
    答えと解説を見るete^t の展開の tt に −x-x を代入して 1−x+x22−x36+⋯1-x+\dfrac{x^2}{2}-\dfrac{x^3}{6}+\cdots
  2. 大学受験 lim⁡x→01−cos⁡xx2\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{1-\cos x}{x^2} の値を、マクローリン展開で求めなさい。
    答えと解説を見るcos⁡x=1−x22+x424−⋯\cos x=1-\dfrac{x^2}{2}+\dfrac{x^4}{24}-\cdots より 1−cos⁡xx2=12−x224+⋯→12\dfrac{1-\cos x}{x^2}=\dfrac12-\dfrac{x^2}{24}+\cdots\to\dfrac12
  3. 大学受験 lim⁡x→0log⁡(1+x)−xx2\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{\log(1+x)-x}{x^2} の値を、マクローリン展開で求めなさい。
    答えと解説を見るlog⁡(1+x)−x=−x22+x33−⋯\log(1+x)-x=-\dfrac{x^2}{2}+\dfrac{x^3}{3}-\cdots より x2x^2 で割って −12+x3−⋯→−12-\dfrac12+\dfrac{x}{3}-\cdots\to-\dfrac12

関連する公式

よくある質問

マクローリン展開とは?

関数をx=0での微分係数を使って、1、x、x²、x³…の無限の和(べき級数)で表したものです。x=0でのテイラー展開ともいいます。

マクローリン展開の係数はなぜn!で割るのですか?

xのn乗をn回微分するとn!になるからです。f(x)をn回微分してx=0を代入すると、n!×(係数) が f^(n)(0) と等しくなります。

log(1+x)のマクローリン展開はどんなxで使えますか?

−1<x≦1 の範囲だけです。x=1 では log2=1−1/2+1/3−… になります。

マクローリン展開は入試の答案で使ってよいですか?

高校の範囲外なので、答えの見当づけや検算に使い、答案でははさみうちや微分による不等式など高校の方法で示すのが安全です。

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出典・参考

  • 大学初年級の微分積分学(範囲外の発展内容)
  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学Ⅲ(微分法・積分法)

最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦