ロピタルの定理の公式|0/0・∞/∞の極限の求め方とコーシーの平均値の定理による証明・入試で使えるか【大学数学・東大京大レベル】

ロピタルの定理の公式|0/0・∞/∞の極限の求め方とコーシーの平均値の定理による証明・入試で使えるか【大学数学・東大京大レベル】

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大学受験大学院入試

lim⁡x→af(x)g(x)=lim⁡x→af′(x)g′(x)\lim_{x\to a}\frac{f(x)}{g(x)}=\lim_{x\to a}\frac{f'(x)}{g'(x)}

00\dfrac00 または ∞∞\dfrac{\infty}{\infty} の形で、右辺の極限が存在するとき

この公式のポイント

  • 使えるのは00\dfrac00 か ∞∞\dfrac{\infty}{\infty} の形だけ
  • 分子と分母を別々に微分(商の微分ではない)
  • 証明はコーシーの平均値の定理(ロルの定理から)
  • 高校の範囲外。入試では見当づけ・検算に使う
うかるくん

うかるくん

分子と分母を別々に微分するだけで、本当に極限が出るの?

合格先生

合格先生

00\dfrac00 の形なら、0の近くでは分子も分母も接線に近い。だから比は傾きの比 f′g′\dfrac{f'}{g'} に近づくんだ。

ロピタルの定理

00\dfrac00 や ∞∞\dfrac{\infty}{\infty} の形の極限(不定形)を、分子と分母をそれぞれ微分した比の極限に置きかえて求める定理です。

ロピタルの定理

x→ax\to a のとき f(x)→0, g(x)→0f(x)\to0,\ g(x)\to0(または f(x),g(x)→±∞f(x),g(x)\to\pm\infty)で、aa の近くで g′(x)≠0g'(x)\neq0 とする。このとき

lim⁡x→af′(x)g′(x)=L が存在すればlim⁡x→af(x)g(x)=L\lim_{x\to a}\frac{f'(x)}{g'(x)}=L\ \text{が存在すれば}\quad\lim_{x\to a}\frac{f(x)}{g(x)}=L

aa は ±∞\pm\infty でもよく、右側・左側からの極限でも成り立つ。f′g′\dfrac{f'}{g'} がまた不定形なら、もう一度使える。

xyOf(x)=e²ˣ−1g(x)=sin xy=2xy=x0 の近くでは f(x)≒2x、g(x)≒x なのでf(x)÷g(x) → 2÷1=2(傾きの比)
0 の近くでは、分子も分母も接線(直線)に近い。比は傾きの比 f′(0)÷g′(0)=2÷1f^{\prime}(0)\div g^{\prime}(0)=2\div1 に近づく

図1の例では、e2x−1sin⁡x\dfrac{e^{2x}-1}{\sin x} は x=0.3x=0.3 で 2.78⋯2.78\cdots、x=0.1x=0.1 で 2.21⋯2.21\cdots、x=0.01x=0.01 で 2.02⋯2.02\cdots と、22 に近づいていきます。

証明

① いちばん簡単な場合(微分係数の定義だけで示せる)

f(a)=g(a)=0f(a)=g(a)=0 で、f′(a), g′(a)f'(a),\ g'(a) があり g′(a)≠0g'(a)\neq0 のとき、x≠ax\neq a で

f(x)g(x)=f(x)−f(a)x−ag(x)−g(a)x−a ⟶ f′(a)g′(a)(x→a)\frac{f(x)}{g(x)}=\frac{\dfrac{f(x)-f(a)}{x-a}}{\dfrac{g(x)-g(a)}{x-a}}\ \longrightarrow\ \frac{f'(a)}{g'(a)}\quad(x\to a)

分子と分母がそれぞれ微分係数(接線の傾き)に近づくので、比は傾きの比に近づきます。図1の見方そのものです。

② 一般の場合(00\frac00 形):コーシーの平均値の定理

f(a)=g(a)=0f(a)=g(a)=0 と決めておくと、f, gf,\ g は aa で連続です。x>ax>a をとり、

h(t)=f(t)g(x)−g(t)f(x)h(t)=f(t)g(x)-g(t)f(x)

とおくと、h(a)=0h(a)=0、h(x)=f(x)g(x)−g(x)f(x)=0h(x)=f(x)g(x)-g(x)f(x)=0。ロルの定理(平均値の定理の特別な場合)より、h′(c)=0h'(c)=0 となる cc(a<c<xa<c<x)があります。h′(c)=f′(c)g(x)−g′(c)f(x)=0h'(c)=f'(c)g(x)-g'(c)f(x)=0 なので

f(x)g(x)=f′(c)g′(c)(a<c<x)\frac{f(x)}{g(x)}=\frac{f'(c)}{g'(c)}\qquad(a<c<x)

(g(x)≠0g(x)\neq0 です。もし g(x)=0g(x)=0 ならロルの定理で g′=0g'=0 となる点があり、仮定に反します。)これがコーシーの平均値の定理です。x→ax\to a のとき、間にある cc も aa に近づくので、右辺は LL に近づきます。x<ax<a も同じです。

∞∞\dfrac{\infty}{\infty} 形の証明は同じ定理を使いますが、もう少し長くなるのでここでは省略します(考え方は同じで、「比=ある点での微分の比」から極限を押さえます)。

横:g縦:fPQC弦 PQ の傾き=f(x)÷g(x)C での接線(PQ と平行)傾き=f′(c)÷g′(c)
コーシーの平均値の定理。弦 PQ の傾き f(x)−f(a)g(x)−g(a)\dfrac{f(x)-f(a)}{g(x)-g(a)} と、C での接線の傾き f′(c)g′(c)\dfrac{f^{\prime}(c)}{g^{\prime}(c)} が等しい

大学受験での使い方

入試では答えの見当づけ・検算に使い、答案は高校の方法(既知の極限・微分係数の定義・はさみうち)で書くのが基本です(下の「高校の範囲をこえる内容と入試での使い方」を参照)。

大学受験

例題1(0/0 形)

lim⁡x→0x−log⁡(1+x)x2\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{x-\log(1+x)}{x^2} を求めなさい。

解き方

x→0x\to0 で分子も分母も 00。分子と分母を微分すると 1−11+x2x=x1+x2x=12(1+x)→12\dfrac{1-\dfrac{1}{1+x}}{2x}=\dfrac{\dfrac{x}{1+x}}{2x}=\dfrac{1}{2(1+x)}\to\dfrac12。

答え 12\dfrac12

大学受験

例題2(∞/∞ 形を2回)

lim⁡x→∞x2ex\displaystyle\lim_{x\to\infty}\frac{x^2}{e^x} を求めなさい。

解き方

分子も分母も ∞\infty。微分すると 2xex\dfrac{2x}{e^x}(まだ ∞∞\dfrac{\infty}{\infty})。もう一度微分すると 2ex→0\dfrac{2}{e^x}\to0。

答え 00(指数関数は、どんな多項式よりも速く大きくなる)

大学受験

例題3(0×∞ 形は分数に直す)

lim⁡x→+0xlog⁡x\displaystyle\lim_{x\to+0}x\log x を求めなさい。

解き方

xlog⁡x=log⁡x1xx\log x=\dfrac{\log x}{\dfrac1x} と書くと −∞∞\dfrac{-\infty}{\infty} 形。微分すると 1x−1x2=−x→0\dfrac{\dfrac1x}{-\dfrac1{x^2}}=-x\to0。

なお、これから xx=exlog⁡x→e0=1x^x=e^{x\log x}\to e^0=1(x→+0x\to+0)も分かります。

答え 00

高校の範囲をこえる内容と入試での使い方

  • 範囲:ロピタルの定理(とコーシーの平均値の定理)は高校の教科書の本文の範囲外です。大学の微分積分学で学びます。
  • 答案での扱い:答案に使ってよいかどうかの採点基準は、大学ごとに公表されているわけではないので、ここでは分かりません。安全なのは、答案では高校の方法で示し、ロピタルの定理は答えの見当づけ・検算に使うことです。証明①の形(f(a)=g(a)=0f(a)=g(a)=0、g′(a)≠0g'(a)\neq0)なら、微分係数の定義を使って答案の中で示すこともできます。
  • 循環論法に注意:lim⁡x→0sin⁡xx=1\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{\sin x}{x}=1 をロピタルの定理で「cos⁡x1→1\dfrac{\cos x}{1}\to1」と求めるのは、高校の流れでは循環論法です。(sin⁡x)′=cos⁡x(\sin x)'=\cos x を導くときに、この極限を使っているからです。
  • 入試の背景:難関大の入試では、log⁡xx→0\dfrac{\log x}{x}\to0 や xlog⁡x→0x\log x\to0 のような極限を、はさみうちなどで示させる問題があります。ロピタルの定理で答えを先に知っておくと方針が立てやすくなります。

よくある間違い

腕でバツを作る合格先生

合格先生

x+1x+2\dfrac{x+1}{x+2} のように不定形でない極限に使ってはいけない。まず 00\dfrac00 か ∞∞\dfrac{\infty}{\infty} かを確かめよう。

  • 不定形でないのに使う:lim⁡x→0x+1x+2=12\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{x+1}{x+2}=\frac12 です。ここで分子・分母を微分して 11=1\dfrac11=1 とするのは誤り。00\dfrac00 か ∞∞\dfrac{\infty}{\infty} かを必ず確かめます。
  • 商の微分と混同する:使うのは (fg)′\left(\dfrac fg\right)' ではなく、分子と分母を別々に微分した f′g′\dfrac{f'}{g'} です。
  • f′g′\dfrac{f'}{g'} の極限がないから「極限なし」とする:lim⁡x→∞x+sin⁡xx\displaystyle\lim_{x\to\infty}\frac{x+\sin x}{x} は、1+cos⁡x1\dfrac{1+\cos x}{1} の極限はありませんが、1+sin⁡xx→11+\dfrac{\sin x}{x}\to1 です。定理は「f′g′\dfrac{f'}{g'} の極限があれば」という一方向だけです。

練習問題

指さして説明するサクラちゃん

サクラちゃん

使う前に、不定形かどうかをチェック!

  1. 大学受験 lim⁡x→0tan⁡x−xx3\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{\tan x-x}{x^3} を求めなさい。
    答えと解説を見る微分すると 1cos⁡2x−13x2=tan⁡2x3x2=13(tan⁡xx)2→13\dfrac{\dfrac{1}{\cos^2x}-1}{3x^2}=\dfrac{\tan^2x}{3x^2}=\dfrac13\left(\dfrac{\tan x}{x}\right)^2\to\dfrac13。答え 13\dfrac13
  2. 大学受験 lim⁡x→∞log⁡xx\displaystyle\lim_{x\to\infty}\frac{\log x}{\sqrt x} を求めなさい。
    答えと解説を見る∞∞\dfrac{\infty}{\infty} 形。微分すると 1x12x=2x→0\dfrac{\dfrac1x}{\dfrac{1}{2\sqrt x}}=\dfrac{2}{\sqrt x}\to0。答え 00
  3. 大学受験 lim⁡x→02x−1x\displaystyle\lim_{x\to0}\frac{2^x-1}{x} を求めなさい。
    答えと解説を見る00\dfrac00 形。(2x)′=2xlog⁡2(2^x)^{\prime}=2^x\log2 なので 2xlog⁡21→log⁡2\dfrac{2^x\log2}{1}\to\log2。答え log⁡2\log2(f(x)=2xf(x)=2^x の x=0x=0 での微分係数そのもの)

関連する公式

よくある質問

ロピタルの定理とは?

0/0 や ∞/∞ の形の極限で、分子と分母をそれぞれ微分した比の極限が存在すれば、もとの極限もそれと等しいという定理です。

ロピタルの定理は入試で使ってもいいですか?

高校の範囲外で、答案での扱いの基準は大学ごとに公表されていません。答案は高校の方法で書き、ロピタルの定理は答えの見当づけや検算に使うのが安全です。

ロピタルの定理はどうやって証明しますか?

h(t)=f(t)g(x)−g(t)f(x) にロルの定理を使うと、f(x)/g(x)=f′(c)/g′(c)(cはaとxの間)というコーシーの平均値の定理が出ます。x→a で c→a となることから示せます。

ロピタルの定理が使えないのはどんなときですか?

0/0 や ∞/∞ の形でないとき、また分子・分母を微分した比の極限が存在しないときです。後者では、もとの極限が存在することもあります。

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出典・参考

  • 大学初年級の微分積分学(範囲外の発展内容)
  • 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学Ⅲ(極限・微分法)

最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦