ニュートンは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|微分積分・万有引力・二項定理

ニュートンは何をした人?業績・生涯・名言をわかりやすく|微分積分・万有引力・二項定理

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ニュートンIsaac Newton

ひとことで言うと

微分積分・万有引力の法則・運動の3法則・二項定理の一般化・光学。数学と物理をひとつにまとめた、歴史上もっとも偉大な科学者のひとり。

名前アイザック・ニュートン(Isaac Newton)
生没年1643年1月4日(当時の英国暦で1642年12月25日)〜1727年3月31日(同3月20日)(84歳)
国イギリス(ウールスソープ生まれ、ケンブリッジとロンドンで活躍)
分野解析学(微分積分)・代数・力学・光学・天文学
主な業績微分積分(流率法)、二項定理の一般化、ニュートン法、運動の3法則、万有引力の法則、『プリンキピア』、光のスペクトルの研究、反射望遠鏡
名前がつくものニュートン法・ニュートンの運動方程式・万有引力の法則・力の単位ニュートン(N)・ニュートン補間・ニュートン算(名前のもと)
よばれ方近代科学の父、古典力学の創始者

このページのポイント

  • 微分積分(流率法)を作り、ライプニッツとは別に発見。物体の動きを数学で表した
  • 運動の3法則と万有引力の法則(F=maF=ma、F=Gm1m2r2F=G\dfrac{m_1m_2}{r^2})を示し、地上と天上の運動を同じ法則で説明した
  • 二項定理を一般化し、接線で解を求めるニュートン法や無限級数も開発。「ニュートン算」の名前のもとにもなった

ニュートンは何をした人?(業績をひとことで)

アイザック・ニュートン(1643〜1727年)は、イギリスの数学者・物理学者・天文学者です。微分積分の方法を作り(流率法)、二項定理を一般の指数に広げ、万有引力の法則と運動の3法則を示した『プリンキピア』を書き、光とプリズムの実験で光学を発展させ、反射望遠鏡も作りました。数学と物理を一つの体系にまとめた人で、歴史上もっとも偉大な科学者の一人とされます。

受験生にとってのニュートンは、まず微分積分と物理の運動の法則です。高校数学IIIで習う微分の公式一覧・積分の公式一覧は、ニュートンとライプニッツが作った方法の完成形です。数学II・Bの二項定理の公式と使い方にも、ニュートンの名前が関わっています。物理では、力の単位ニュートン(N)や、「運動方程式 F=maF=ma」が毎回出ます。

なお、中学受験の算数に出てくる「ニュートン算」(仕事の量が増え続けながら減っていく問題)は、ニュートンの本にのっている「牛と牧草の問題」が名前のもとだといわれます。ただし、ニュートン本人がこの解き方を作ったわけではなく、数学者としてのニュートンの業績とは別の話です。くわしくはニュートン算の解き方で学べます。

うかるくん

うかるくん

ニュートンって、りんごが落ちて万有引力を見つけた人ですよね? 数学も得意だったんですか?

合格先生

合格先生

数学が得意どころか、微分積分を作った人のひとりだよ。物体の動きを数学で説明したくて、そのための道具として微分積分を作ったんだ。数学と物理がひとつにつながったのが、ニュートンの仕事なんだ。

ニュートンの肖像画(1689年、ネラー画)
46歳ごろのニュートン(1689年、ゴドフリー・ネラー画)画像:Godfrey Kneller(1689年)/Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

ニュートンの生涯と年表

父を知らずに生まれた、小さな赤ちゃん

ニュートンは、イギリス東部リンカンシャーのウールスソープという村の農家に生まれました。生まれた日は、当時のイギリスで使われていた暦(ユリウス暦)では1642年12月25日、今の暦(グレゴリオ暦)では1643年1月4日です。父はニュートンが生まれる前に亡くなり、予定より早く生まれた小さな赤ちゃんで、「ビール1杯の入れ物(約1リットル)に入るほど小さかった」と、のちにニュートンの母が語ったと伝えられています。

3歳のころ、母が再婚して家を出たため、ニュートンは祖母に育てられました。この寂しい少年時代が、のちの気むずかしい性格につながったという見方もありますが、確かなことは分かりません。

ケンブリッジ大学へ、そして「驚異の年」

グランサムの学校で学んだ後、1661年にケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジに入りました。最初は学費の安い「奉仕学生」でしたが、勉強に励み、数学や自然科学の本に夢中になります。特にデカルトの『幾何学』を熱心に読み、自分で研究を始めました。

1665年、ロンドンでペスト(伝染病)が流行し、大学が閉鎖されたので、ニュートンは故郷のウールスソープに帰ります。その1665〜1666年の約1年半に、二項定理の一般化・微分積分(流率法)・光とプリズムの研究・重力の考えなどの基本的なアイデアを次々に思いつきました。この時期は、のちに「驚異の年(奇跡の年)」とよばれます。りんごが落ちるのを見て万有引力を思いついた、という有名な逸話も、この時期の話として語られます。

『プリンキピア』で世界を変える

1669年、26歳のニュートンは恩師バローの後をついで、ケンブリッジ大学のルーカス教授(数学の教授職)になりました。1684年、天文学者のハレー(ハレー彗星で有名)がニュートンを訪ね、「惑星の軌道が楕円になるには、どんな力がはたらくべきか」とたずねます。ニュートンは「それは計算したことがある」と答え、ハレーのすすめで本にまとめました。こうして1687年に出版されたのが、『自然哲学の数学的諸原理(プリンキピア)』です。運動の3法則と万有引力の法則から、惑星の動きや潮の満ち引きまでを説明した、科学史上もっとも重要な本のひとつです。

造幣局長官として、そして晩年

1696年、ニュートンはロンドンに移り、王立造幣局(お金を作る役所)の役人になり、1699年に長官になりました。にせ金作りを取りしまり、貨幣の品質を保つ仕事にも力を入れたといわれます。1703年には王立協会(科学者の学会)の会長に就任し、1705年にはイギリス女王からナイト(騎士)の称号を受けました。数学者として初めての叙勲ともいわれます。ライプニッツとの微分積分の先取権争いが激しくなったのもこのころです。

1727年3月(今の暦で31日)、ニュートンはロンドン近くで84歳の生涯を閉じました。葬儀は国葬のように行われ、ウェストミンスター寺院に葬られました。

年できごと
1643年1月4日(当時の英国暦で1642年12月25日)、ウールスソープで生まれる
1661年ケンブリッジ大学トリニティ・カレッジに入学
1665年ペストで大学が閉鎖。故郷で二項定理の一般化などを考える
1666年「驚異の年」。流率法(微分積分)・光の研究・重力の着想
1668年反射望遠鏡を作る
1669年ケンブリッジ大学のルーカス教授になる
1672年王立協会の会員に選ばれる。光の論文を発表
1687年『プリンキピア』を出版(運動の3法則・万有引力)
1696年王立造幣局の役人になる(1699年に長官)
1703年王立協会の会長になる(亡くなるまで務めた)
1704年『光学』を出版。微分積分の方法を付録に公開
1705年アン女王からナイトの称号を受ける
1711〜12年ライプニッツとの微分積分の先取権争い
1727年3月31日(当時の英国暦で3月20日)、ロンドン近郊で亡くなる(84歳)

ニュートンの主な業績をやさしく解説

業績1 微分積分(流率法)

ニュートンは、物体の動きを調べるために、「ある瞬間の速さ」を求める方法を考えました。位置が時間とともに変わるとき、ある瞬間の速さは、位置のグラフの「接線の傾き」です。これが微分です。反対に、速さから走った距離を求めたり、曲線の下の面積を求めたりする方法が積分で、微分とは逆の計算になっています。ニュートンはこれを「流率法(フラックション)」と名づけました。

微分と積分は「逆」の計算20積分:面積=8/3微分:傾き 4y=x²傾きは 2x(微分)、面積は x³/3(積分)
放物線 y=x² で、x=2での接線の傾き(微分)は4、0から2までの面積(積分)は8/3。2つは逆の計算

たとえば y=x2y=x^2 のグラフでは、接線の傾きは 2x2x(微分)、面積は x33\dfrac{x^3}{3}(積分)です。「微分したものを積分すると元にもどる」という関係を、微分積分学の基本定理といいます。ニュートンはこの関係を使って、これまで一つ一つ工夫していた面積や接線の問題を、まとめて計算できるようにしました。微分とは・積分とはの意味から、微分と増減・極値のグラフまで、ぜひ学んでみてください。

ニュートンは1660年代にはこの方法を考えていましたが、論文として出版するのは遅く、『光学』の付録(1704年)が最初でした。一方、ドイツのライプニッツは、ニュートンとは別に自分の方法を考え、dx や ∫ の記号とともに1684年に発表しました。のちにどちらが先かをめぐる争いになりますが、現在は、2人がそれぞれ独立に発見したと考えられています。使いやすい記号 dx、∫ はライプニッツのもので、今の教科書にはそちらが使われています。数学でよく使う記号の意味一覧(∫・Σ・dx)で記号の読み方を確認できます。

業績2 二項定理の一般化と無限級数

パスカルの三角形が教えてくれる二項定理は、(a+b)n(a+b)^n の nn が自然数のときの展開式です。ニュートンは、nn が分数や負の数のときにも、次のように項がどこまでも続く展開ができることを見つけました(∣x∣<1|x|<1 のとき)。

(1+x)α=1+αx+α(α−1)2!x2+α(α−1)(α−2)3!x3+⋯(1+x)^{\alpha}=1+\alpha x+\frac{\alpha(\alpha-1)}{2!}x^2+\frac{\alpha(\alpha-1)(\alpha-2)}{3!}x^3+\cdots

これを使うと、たとえば 1+x=(1+x)1/2=1+x2−x28+⋯\sqrt{1+x}=(1+x)^{1/2}=1+\dfrac{x}{2}-\dfrac{x^2}{8}+\cdots となり、1.02\sqrt{1.02} は約 1+0.01=1.011+0.01=1.01 と、手計算でも素早く近似できます。ニュートンは同じ考えで、sin⁡x\sin x や log⁡(1+x)\log(1+x) などの無限級数(終わりのない足し算)も求め、テイラー展開の公式・マクローリン展開の公式につながる流れを作りました。ニュートンは円周率も級数の方法で計算し、小数点以下十数桁を出したと語っています。

業績3 ニュートン法(方程式の解を近づけて求める)

方程式 f(x)=0f(x)=0 の解を、接線を使って少しずつ近づけて求めるのがニュートン法です。最初の予想 x0x_0 から、曲線の接線を引いて xx 軸との交点 x1x_1 を求めます。その点でまた接線を引くと、 x2x_2 が求まり、これをくり返すと、解にどんどん近づきます。式にすると次の通りです。

xn+1=xn−f(xn)f′(xn)x_{n+1}=x_n-\frac{f(x_n)}{f'(x_n)}
ニュートン法(√2 をさがす)x₀=2x₁=1.5x₂≈1.4167y=x²−2接線を引く → x軸との交点 → また接線…数回で √2=1.41421… にぴったり近づく
接線を引いて x軸との交点を求める作業をくり返すと、2→1.5→1.4167… と √2 に近づく

f(x)=x2−2f(x)=x^2-2(解は 2\sqrt2)で、x0=2x_0=2 から始めると、x1=2−24=1.5x_1=2-\dfrac{2}{4}=1.5、x2=1.5−0.253≈1.4167x_2=1.5-\dfrac{0.25}{3}\approx1.4167 となり、たった2回で 2=1.41421⋯\sqrt2=1.41421\cdots にほぼ一致します。いまの電卓やコンピューターが平方根を求めるときにも、このような方法が使われています。大学入試では、「2\sqrt2 の近似値を接線を使って求めなさい」という問題で出ることがあります(実際にはイギリスのラフソンも同じ方法を研究したため、ニュートン・ラフソン法ともよばれます)。平方根の計算の工夫もあわせてどうぞ。

業績4 運動の3法則と万有引力の法則

『プリンキピア』の中心は、次の運動の3法則です。

  • 第1法則(慣性の法則):力がはたらかなければ、止まっているものは止まり続け、動いているものは同じ速さでまっすぐ進み続ける。
  • 第2法則(運動方程式):力が大きいほど、質量が小さいほど、加速度は大きい。式で書くと F=maF=ma。
  • 第3法則(作用・反作用の法則):物体Aが物体Bに力を加えると、BもAに、同じ大きさで逆向きの力を加える。

さらにニュートンは、「質量をもつすべての物体は、たがいに引き合っている」という万有引力の法則を示しました。2つの物体の間の力は、質量の積に比例し、距離の2乗に反比例します。

F=Gm1m2r2F=G\frac{m_1m_2}{r^2}
万有引力は距離の2乗に反比例地球りんご月地球の半径の約60倍りんごの位置重力 1月の位置1/60² = 1/3600万有引力の式 F = G·m₁m₂ / r²
月は地球の半径の約60倍の距離にあるので、重力はりんごの位置の 1/60²=1/3600 になる

ニュートンは、「りんごを地面に落とす力」と「月を地球のまわりに回らせる力」が同じ力ではないかと考えました。月までの距離は地球の半径の約60倍なので、重力が距離の2乗に反比例するなら、月の位置での重力はりんごの位置の 1602=13600\dfrac{1}{60^2}=\dfrac{1}{3600} になるはずです。この計算が、実際の月の運動とよく合ったのです。

ニュートンの大砲山の上の大砲遅いもっと速いとても速いと落ちずに一周落ち続けながら、地面が丸いので落ちきらない
山の上から大砲を撃つ。速さを上げていくと遠くに落ち、ある速さを超えると地面に落ちずに地球をまわる

ニュートンは『プリンキピア』のなかで、高い山の上から大砲で弾を水平に撃つという想像の実験も示しました(ニュートンの大砲)。速さを上げれば遠くに落ち、ある速さを超えると、弾は地面に落ちずに地球のまわりをまわり続けます。これは、今の人工衛星や宇宙ステーションが地球を回る原理と同じです。さらにニュートンはこの法則から、ケプラーの惑星運動の3法則を、数学的に導きました。

業績5 光学とプリズム、反射望遠鏡

ニュートンは、暗い部屋に細い光を入れ、プリズム(三角形のガラス)で光を分ける実験を行いました。すると、白い太陽の光は、赤・橙・黄・緑・青・藍・紫の虹の7色に分かれました。さらに、分かれた色の光を別のプリズムに通しても、もう色が分かれないことから、「白い光は、いろいろな色の光の混ざったものだ」と結論しました。

プリズムで太陽の光を分ける赤橙黄緑青緑青紫太陽の光(白)白い光は、いろいろな色の光が混ざったもの
太陽の白い光がプリズムで赤から紫の7色に分かれる。白い光は色の光の集まり

当時の望遠鏡はレンズを使ったもので、色にじみが出るのが悩みでした。ニュートンは、レンズの代わりに曲がった鏡で光を集める反射望遠鏡を1668年に作りました。現代の大きな天文台の望遠鏡も、多くは反射式です。こうした実験の成果は、1704年の『光学(オプティクス)』にまとめられました。

業績6 代数・曲線・補間法

ニュートンは、方程式の解と係数の関係(ニュートンの恒等式)、3次曲線の分類(『3次曲線の枚挙』1704年)、点をなめらかに結ぶ式を作るニュートン補間など、代数・幾何でも多くの結果を残しました。授業の講義ノートをもとにした『普遍算術』(1707年)には、方程式の本が収められ、牛と牧草の問題もこの本にのっているとされます。

また、ニュートンは古代ギリシャのアルキメデスの「取りつくし法」の発想や、ウォリスの無限小の研究を学び、それを「極限」の考え方に発展させました。のちにコーシーが、ニュートンの方法を、厳密な「極限」の理論で書き直しました。

ニュートンの名前がつく公式・定理・用語

  • ニュートンの運動の法則:慣性の法則・運動方程式 F=maF=ma・作用反作用の法則(物理)。
  • 万有引力の法則:F=Gm1m2r2F=G\dfrac{m_1m_2}{r^2}(物理)。
  • ニュートン法(ニュートン・ラフソン法):xn+1=xn−f(xn)f′(xn)x_{n+1}=x_n-\dfrac{f(x_n)}{f'(x_n)}。方程式の近似解。
  • 二項定理(一般二項定理):指数が自然数でないときにも成り立つ展開。→ 二項定理の公式と問題
  • ニュートンの恒等式:方程式の解のべき乗の和と、係数との関係式。
  • ニュートン補間:与えられた点を通る多項式を作る方法。
  • ニュートン(N):力の単位。1Nは、質量1kgの物体に1m/s²の加速度を生む力。→ 速度と加速度
  • ニュートンのリング・ニュートンの冷却法則:光学・熱学の用語。
  • ニュートン算:中学受験の特殊算。牧草の問題が名前のもと(ニュートンの数学とは別)。→ ニュートン算の解き方
「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

「ニュートン算」は、ニュートンの本にのっていた問題がもとと言われているけれど、算数の特殊算の名前だよ。数学者のニュートンの業績(微分積分・二項定理・万有引力)とはちがうから、まぎらわしいけれど、区別して覚えておこうね!

ニュートンの逸話と名言

りんごは頭に落ちた?

ニュートンがりんごの木から落ちる実を見て、万有引力を思いついたという話はとても有名です。ニュートン自身が晩年に友人に話したことがもとになっているといわれ、1726年の記録に残っています。ただし、りんごが頭に当たって気づいた、というのは後から作られた話のようです。実際は、りんごが落ちるのを見て、「月も同じように地球に引かれて落ちているのではないか」と考えた、という程度の話だったとされます。

「巨人の肩の上に立って」

1676年、ニュートンはライバルのフックへの手紙に、次の言葉を書きました。

もし私がより遠くを見ることができたとすれば、それは巨人たちの肩の上に立っていたからです。

ニュートン(フックへの手紙(1676年2月5日)。似た表現は、もっと古くからあることでも知られる)

これは、先人の研究に感謝を示す言葉として有名ですが、背が低かったフックへの皮肉だった、という見方もあります。どちらなのかは確かめられません。

「浜辺で遊ぶ少年のようだ」

晩年のニュートンは、自分のことを次のように語ったと伝えられています。

私は、世間から見ればどう見えるか分からないが、自分では、真理の大海を前にして、浜辺で遊び、ときどきなめらかな小石やきれいな貝がらを見つけて喜んでいる少年のようなものだと思う。

ニュートンの言葉として伝えられるもの(後世の伝記に引用された言葉で、細かい言いまわしは版によって異なる)

「私は仮説をつくらない」

『プリンキピア』の終わりには、「重力がなぜ生じるのか」を説明できるか、と問われたニュートンが書いた有名な一文があります。「Hypotheses non fingo(私は仮説をつくらない)」。確かめられる法則だけを示し、理由が分からないことは、想像で埋めない――という科学者の態度を示した言葉として知られます。

ライプニッツとの激しい争い

微分積分をめぐる争いは、科学史に残る有名な論争です。1712年、王立協会は調査委員会を作り、「ニュートンが先に発見した」と結論づけましたが、委員会の報告書を実際に書いたのは、会長のニュートン本人だったといわれます。2人の対立は、ライプニッツの死後もしばらく続き、イギリスの数学が大陸(ヨーロッパ本土)より遅れる一因になったとも言われます。

サクラちゃん

サクラちゃん

自分の争いの報告書を、自分で書いちゃったんですか!?

合格先生

合格先生

そう伝えられているよ。ニュートンは天才だったけれど、気むずかしい面もあったんだ。数学の結果は、できるだけ早く、はっきり発表すること。これが先取権争いの教訓だね。

受験・勉強とニュートンのつながり

中学受験:ニュートン算

中学受験の算数で「ニュートン算」を習います。牧草が毎日生え、牛が食べる、水が流れこみ、ポンプでくみ出す、行列に新しい人が加わって窓口でさばく――など、増える量と減る量が同時に動く問題です。名前のもとはニュートンの牛の問題だといわれますが、数学者ニュートンの業績とは別に考えて大丈夫です。解き方はニュートン算の解き方(線分図と比)で学べます。

高校受験:運動と関数

高校受験では、直線上を動く点の位置と時間の関係や、二次関数 y=ax2y=ax^2 のグラフがよく出ます。これはニュートンが調べた「落ちる物体の運動」に近い題材です。理科では、力の単位ニュートン(N)、慣性の法則、作用・反作用の法則も出ます。

大学受験:微分積分・二項定理・近似・物理

  • 微分積分(数学III):微分の公式・接線・増減・面積・体積。微分の公式・積分の公式。
  • 二項定理(数学II):展開式の係数、二項定理。
  • 近似式・テイラー展開:1+x≈1+x2\sqrt{1+x}\approx1+\dfrac{x}{2} のような一次近似、テイラー展開。
  • ニュートン法:接線を使った近似解。ときどき出題されます。
  • 物理:運動方程式 F=maF=ma、万有引力、円運動、人工衛星。

京都大学・東京大学などの理系数学では、微分積分は毎年のように出ます。京大理系数学の出題分析(微積分の出題頻度)で、どのくらい出るのかを確かめられます。

勉強法として:ニュートンに学ぶ「手を動かして、考え続ける」

ニュートンは、「どうやって、こんな発見をしたのですか」と聞かれて、「いつもそのことを考え続けているからです」と答えた、と伝えられています。難しい問題を、1回で理解しようとせず、何度も、時間をかけて考え続ける。この態度は、受験勉強にも大切です。数学の勉強の進め方は数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)にも書いています。

ニュートンがその後の数学にあたえた影響

  • 微分積分学の発展:ニュートンとライプニッツの方法は、ベルヌーイ兄弟、オイラー、ラグランジュらによって広がり、18世紀の数学の中心になりました。19世紀にはコーシー、ワイエルシュトラスによって厳密な基礎ができました。
  • 解析力学・天体力学:ニュートン力学は、ラグランジュやラプラスの天体力学へと発展しました。
  • 数理物理学:自然の法則を数学の式で表す、という方法は、現代の物理学・工学の基本です。
  • 技術:人工衛星・ロケット・橋の設計・天気予報など、あらゆる技術がニュートン力学の上に立っています。
  • 相対性理論との関係:20世紀にアインシュタインの相対性理論が登場しましたが、ふだんの速さの世界では、ニュートン力学は今も十分に正確です。

詩人ポープは、ニュートンの墓碑銘として、「自然と自然の法則は闇に隠れていた。神は言われた、ニュートンあれと。すべては光になった」という意味の詩を作ったと伝えられます。ニュートンの仕事は、数学・物理・技術のすべての土台です。

ニュートンに挑戦!練習問題

やさしい

  1. 質量2kgの物体に6Nの力を加えたとき、物体の加速度は何m/s²ですか。(運動方程式 F=maF=ma)
    答えと解説を見るF=maF=ma より a=F÷m=6÷2=a=F\div m=6\div2= 3 m/s²。
  2. 関数 f(x)=x3f(x)=x^3 の、x=2x=2 における接線の傾き(微分係数)を求めなさい。
    答えと解説を見るf′(x)=3x2f'(x)=3x^2 なので、f′(2)=3×4=f'(2)=3\times4= 12。

ふつう

  1. ニュートンの二項定理(一次近似)1+x≈1+x2\sqrt{1+x}\approx1+\dfrac{x}{2} を使って、1.02\sqrt{1.02} の近似値を求めなさい。
    答えと解説を見るx=0.02x=0.02 とすると 1+0.022=1+\dfrac{0.02}{2}= 1.01。(実際の値は約1.00995)
  2. ∫02x2 dx\displaystyle\int_0^2 x^2\,dx を求めなさい。
    答えと解説を見る[x33]02=83−0=\left[\dfrac{x^3}{3}\right]_0^2=\dfrac{8}{3}-0= 83\dfrac83。(曲線 y=x2y=x^2 と x軸、x=2x=2 で囲まれた面積)

むずかしい

  1. ニュートン法で、f(x)=x2−3f(x)=x^2-3 の解 3\sqrt3 の近似値を求めます。x0=2x_0=2 として、x1x_1 と x2x_2 を分数で求めなさい。
    答えと解説を見るxn+1=xn−xn2−32xnx_{n+1}=x_n-\dfrac{x_n^2-3}{2x_n}。x1=2−14=74x_1=2-\dfrac{1}{4}=\dfrac74。x2=74−4916−372=74−156=x_2=\dfrac74-\dfrac{\frac{49}{16}-3}{\frac72}=\dfrac74-\dfrac{1}{56}= 9756\dfrac{97}{56}(約1.7321。3=1.7320⋯\sqrt3=1.7320\cdots によく合う)。
  2. 地表で物体が受ける重力加速度を 9.8 m/s29.8\ \text{m/s}^2 とします。月は地球の中心から地球の半径の60倍の距離にあります。万有引力が距離の2乗に反比例するとして、月の位置での地球の重力による加速度を求めなさい。
    答えと解説を見る距離が60倍なので、加速度は 1602=13600\dfrac{1}{60^2}=\dfrac{1}{3600} 倍。9.8÷3600≈9.8\div3600\approx 0.0027 m/s²。

ニュートンと関係する数学者

公式の一覧は算数・数学の公式一覧(公式辞典)、ギリシャ文字(π・α・θ など)の読み方はギリシャ文字の読み方一覧もどうぞ。

16〜17世紀の数学者

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有名な数学者一覧(年代順・国別・分野別)で、ほかの数学者も見られます。数学者たちが挑んだ問題は数学の難問・未解決問題の一覧にまとめています。

読みもの(合格大作戦の数学の記事)

よくある質問

ニュートンは何をした人ですか?

ニュートンは、17世紀から18世紀のイギリスの科学者・数学者です。微分積分(流率法)を作り、二項定理を一般化し、万有引力の法則と運動の3法則を『プリンキピア』で示しました。光の研究や反射望遠鏡の発明でも知られます。

ニュートンは数学でどんな業績がありますか?

微分積分の方法(流率法)、二項定理の一般の指数への拡張、無限級数の展開、方程式の近似解を求めるニュートン法、3次曲線の分類、ニュートン補間などです。ライプニッツとは別に微分積分を発見したとされます。

ニュートンの運動の3法則とは何ですか?

第1法則は慣性の法則、第2法則は運動方程式 F=ma、第3法則は作用・反作用の法則です。力がはたらかなければ速さは変わらず、力が大きいほど加速度が大きくなり、力は必ず対になって逆向きにはたらきます。

万有引力の法則とは何ですか?

質量をもつすべての物体は引き合い、その力は2つの質量の積に比例し、距離の2乗に反比例するという法則です。F=G・m₁m₂/r² と書きます。りんごが落ちる力も、月が地球をまわる力も同じ力だと説明しました。

りんごが落ちて万有引力を発見したのは本当ですか?

ニュートンが晩年に語った話として記録されており、りんごが落ちるのを見たことが着想のきっかけになったとは考えられます。ただ、頭に当たって気づいたという話は後に広まった脚色とされ、細部は確かめられません。

ニュートンとライプニッツはどちらが先に微分積分を発見しましたか?

発見の時期はニュートンのほうが早い(1660年代)とされますが、先に発表したのはライプニッツ(1684年)です。現在は、2人がそれぞれ独立に発見したと考えられています。今の教科書の記号 dx や ∫ はライプニッツのものです。

ニュートン法とは何ですか?

方程式 f(x)=0 の解を、接線を使って少しずつ近づけて求める方法です。x_{n+1}=x_n−f(x_n)/f′(x_n) とくり返し計算します。x²−2=0 なら、x₀=2 から 1.5、1.4167… と、√2 に急速に近づきます。

ニュートン算はニュートンが作ったのですか?

ニュートン本人が作った解き方ではありません。名前のもとは、ニュートンの『普遍算術』にのっている牛と牧草の問題だといわれますが、中学受験の特殊算としての「ニュートン算」は、日本での呼び方です。数学者の業績とは別に考えて大丈夫です。

ニュートンの有名な名言は何ですか?

「もし私がより遠くを見たとすれば、それは巨人たちの肩の上に立っていたからです」が最も有名です。1676年のフックへの手紙にあるとされます。晩年に「浜辺で遊ぶ少年のようだ」と語ったという話も伝えられています。

ニュートンは何歳で亡くなりましたか?

1727年3月(今の暦で31日)に、ロンドン近郊で84歳で亡くなりました。葬儀は盛大に行われ、イギリスの偉人が眠るウェストミンスター寺院に葬られました。晩年まで王立協会の会長や造幣局長官を務めました。

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出典・参考

  • Isaac Newton, “Philosophiæ Naturalis Principia Mathematica”(1687年)
  • Isaac Newton, “Opticks”(1704年)
  • J. J. O’Connor and E. F. Robertson, “Isaac Newton”, MacTutor History of Mathematics Archive
  • Richard S. Westfall, “Never at Rest: A Biography of Isaac Newton”(1980年)
  • 肖像画:Godfrey Kneller「Portrait of Sir Isaac Newton, 1689」、Wikimedia Commons(パブリックドメイン)

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦