ラプラスは何をした人?業績・名言をわかりやすく|ラプラスの悪魔・ラプラス変換・確率論

ラプラスは何をした人?業績・名言をわかりやすく|ラプラスの悪魔・ラプラス変換・確率論

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ラプラスPierre-Simon Laplace

ひとことで言うと

確率論を一つの体系にまとめ、ラプラス変換・ラプラス方程式・天体力学で名を残した。「すべてを知る知性」の思考実験がラプラスの悪魔。

名前ピエール=シモン・ラプラス(Pierre-Simon Laplace)
生没年1749年3月23日〜1827年3月5日(77歳)
国フランス(ノルマンディー生まれ、パリで活やく)
分野確率論・解析学・天体力学・物理学
主な業績『天体力学』(1799〜1825)、『確率の解析的理論』(1812)、『確率の哲学的試論』(1814)、星雲説、ラプラス変換・方程式
名前がつくものラプラス変換・ラプラス方程式・ラプラシアン・ラプラス展開・ラプラスの悪魔・継起の法則・ラプラスの定義
よばれ方「フランスのニュートン」とよばれることがある

このページのポイント

  • 確率を「目的の場合の数÷すべての場合の数」と定義し、中心極限定理やベイズ的な考え方で確率論を大成した
  • ラプラス変換・ラプラス方程式・ラプラス展開(余因子展開)など、大学数学・工学の基本の道具に名前が残る
  • 「すべてを知る知性なら未来も予言できる」というラプラスの悪魔は、科学と決定論をめぐる有名な思考実験

ラプラスは何をした人?(業績をひとことで)

ピエール=シモン・ラプラス(1749〜1827年)は、フランスの数学者・天文学者・物理学者です。確率論を大きくまとめあげ、天体の動きを数学で解く天体力学を完成させました。名前のついた数学の道具も多く、ラプラス変換・ラプラス方程式・ラプラス展開(余因子展開)などが知られています。「すべてを知る知性なら未来を予言できる」という考えを語った「ラプラスの悪魔」は、哲学や科学の世界で今も語られています。

ラプラスは、フランス革命とナポレオンの時代をたくみに生きた人でもあります。大臣を務め、伯爵・侯爵という貴族の身分にもなりました。そのため、人物の評価には、数学の業績とは別に、政治での立ち回りが語られることもあります。このページでは、数学の仕事を中心に紹介します。

受験生にとってのラプラスは、まず確率の人です。確率の基本(場合の数と確率)で習う「ある場合の数÷全部の場合の数」という確率の定義は、ラプラスが明確に書いた考え方で、「ラプラスの定義」とよばれます。大学に進むと、ラプラス変換の公式と微分方程式への応用や行列式の求め方(余因子展開)で再び出会います。

うかるくん

うかるくん

ラプラスの悪魔って、なんだか怖い名前ですね……。ほんとうに悪魔がいるんですか?

合格先生

合格先生

いないよ(笑)。これは頭の中で行う実験、思考実験の名前なんだ。「世界の全部の物の位置と速さが分かって、それを計算できる知性がいたら、未来も全部分かるんじゃないか」という問いかけ。悪魔というのは、後世の人がつけたよび名で、ラプラス本人は「知性」と書いたんだよ。

ラプラスの肖像画(ゲラン画)
ピエール=シモン・ラプラス(ゲランがえがいた肖像画)画像:ポーラン・ジャン=バティスト・ゲラン「ラプラス」(1838年ごろ)/Wikimedia Commons(File:Pierre-Simon Laplace.jpg、パブリックドメイン)

ラプラスの生涯と年表

ノルマンディーの農村に生まれて

ラプラスは1749年3月23日、フランス北西部ノルマンディー地方の小さな村ボーモン=アン=オージュで生まれました。家は農業や、りんご酒(シードル)に関わる仕事をしていたと伝えられますが、くわしい家柄は資料により書き方がちがいます。地元の学校で学び、近くのカーン大学に進みました。最初は神学(教会の勉強)を学ぶつもりでしたが、数学の才能に気づいたと伝えられます。

1769年 パリへ。ダランベールとの出会い

19歳のとき、ラプラスは恩師の紹介状を持ってパリに出て、有名な数学者ダランベールを訪ねました。ダランベールは最初、紹介状を相手にしなかったとされますが、ラプラスが力学の論文を書いて送ると、その才能におどろき、自分の弟子として陸軍士官学校(エコール・ミリテール)の数学教師の職を世話しました。

この学校で、ラプラスは、のちに皇帝となる若いナポレオンの試験官を務めたと伝えられています。

天体力学の完成

ラプラスは、太陽系が安定しているか、という大問題に取り組みました。木星と土星の動きが、長い年月の間にずれていく現象を、万有引力の計算で説明し、太陽系が崩れないことを数学で示しました。この研究は、大著『天体力学』(全5巻、1799〜1825年)にまとまり、ニュートン以来の天文学を完成させた本と評価されています。

確率論の大成

ラプラスは、若いころから確率の問題にも取り組み、1774年ごろには、のちに「ベイズの定理」とよばれる考え方(原因の確率)を独自に発見しました。1812年に『確率の解析的理論』、1814年に一般向けの『確率の哲学的試論』を出版します。確率の考え方と道具を、はじめて一つの体系にまとめた本でした。

政治家として、そして晩年

フランス革命のあと、ラプラスはメートル法(長さの単位を決める国際的な改革)を決める委員会などで活やくしました。1799年、ナポレオンのもとで内務大臣になりましたが、わずか6週間でやめさせられます。ナポレオンは自分の回想録で、「ラプラスは無限小の精神(細かいことへのこだわり)を政治に持ちこんだ」と評したとされています。その後は元老院の議員となり、1806年に伯爵に、1817年に(ブルボン家の王政が復活したあと)侯爵になりました。1827年3月5日、パリで亡くなりました。77歳でした。

年できごと
1749年3月23日、フランスのボーモン=アン=オージュで生まれる
1769年19歳でパリに出て、ダランベールに才能を認められる
1773年パリの科学アカデミーの会員になる(木星・土星の動きの研究)
1774年原因の確率(ベイズ的な考え方)の論文を発表
1785年木星と土星の動きのずれを万有引力で説明する(1785〜88年)
1796年『世界体系解説』で星雲説を発表
1799年『天体力学』第1・2巻。ナポレオンのもとで内務大臣になるが6週間でやめる
1806年伯爵(帝国伯)になる
1812年『確率の解析的理論』を出版(ラプラス変換などを使う)
1814年『確率の哲学的試論』を出版(ラプラスの悪魔)
1817年ブルボン家の王政のもとで侯爵になる
1827年3月5日、パリで亡くなる(77歳)

ラプラスの主な業績をやさしく解説

業績1 確率の定義とあらゆる分野への応用

ラプラスは『確率の哲学的試論』で、確率を次のように定義しました。

確率=目的の場合の数起こりうるすべての場合の数\text{確率}=\frac{\text{目的の場合の数}}{\text{起こりうるすべての場合の数}}

ただし、「どの場合も同じ程度に起こりやすい」ことが前提です。これは、今の中学・高校の教科書にのっている確率の定義そのものです。コインを投げたら表と裏の2通り、サイコロなら6通り――同じように起こりやすいときに、こう計算します。カルダノのさいころ遊びの研究やパスカルの確率論の延長線上で、ラプラスはこれを明確な言葉でまとめました。

ラプラスはさらに、確率を人の死亡率、裁判の判決の正しさ、天文観測の誤差、人口調査などに応用しました。たとえば「パリの男の赤ちゃんの数が女の赤ちゃんより多いのは偶然か」を確率計算で調べ、偶然ではないと結論づけています。確率が「遊び」ではなく「社会を理解する道具」になった瞬間でした。確率の考え方のおもしろさはモンティ・ホール問題をわかりやすくも読んでみてください。

業績2 継起の法則(あすも太陽はのぼる?)

ラプラスは、「ずっと起きてきたことは、あすも起きるだろうか」という問いを確率で考えました。たとえば、太陽が毎日のぼる、という事実を何日確かめたかで、あすものぼる確率を表せるでしょうか。

ラプラスが示した答え(継起の法則)は、「n日続けてのぼったとき、あすものぼる確率は n+1n+2\dfrac{n+1}{n+2}」です。まだ1日も見ていない(n=0n=0)ときは 12\dfrac{1}{2}、1日見たら 23\dfrac{2}{3}、10日見たら 1112\dfrac{11}{12} と、日数が増えるほど1に近づきます。

あすも太陽はのぼる?(継起の法則)11/20日10日p=(n+1)/(n+2)のぼった日数 n が増えるほど、1に近づく
n日続けて太陽がのぼったとき、あすものぼる確率。日数が増えるほど1に近づく

ラプラスは『試論』で、人類の歴史にあたる約182万日(5000年ほど)を考え、あすも太陽がのぼる確率を約182万6215分の182万6214と計算しました。これは「ほとんど確実」という意味です。ただし、この計算には「最初は何も知らない(確率は一様)」という仮定があり、ラプラス自身もこの数字を単純に信用しすぎないよう注意しています。「証拠を集めるたびに確率を更新する」というこの考え方は、現在のAIにも使われるベイズ推定の原型です。

業績3 中心極限定理と正規分布(ド・モアブル=ラプラスの定理)

コインを10回投げたとき、表が出る回数は、0回から10回までばらつきます。その確率を棒グラフにすると、5回を中心にしたつりがね形になります。

コイン10回の「表の回数」012345678910252/1024棒=二項分布 赤い曲線=正規分布(横軸は表の出た回数。回数を増やすと重なる)
二項分布(棒)は、回数を増やすと正規分布(赤い曲線)に近づく

回数が100回、1000回と増えると、このつりがね形は正規分布の曲線にぴったり重なります。これを最初に示したのがド・モアブルの二項分布の近似で、ラプラスはそれを一般化して、さらに「いろいろな誤差が足し合わさると正規分布に近づく」という中心極限定理に発展させました(1810年)。この定理があるから、テストの点数、身長、測定誤差などが正規分布に近くなるのです。二項分布の平均と分散の公式と正規分布と標準化は、数学Bの統計的な推測で習います。偏差値も、この考え方にもとづいています。→ 偏差値とは

なお、正規分布はガウスの最小二乗法と正規分布の名前でもよばれます。ガウスとラプラスは別々のやり方でこの分布にたどり着き、のちに2人の仕事が結びつけられました。

業績4 ラプラス変換とラプラス方程式

ラプラス変換は、時間 tt の関数 f(t)f(t) を、次のように別の関数 F(s)F(s) に変えるしくみです。

F(s)=∫0∞e−stf(t) dtF(s)=\int_0^{\infty}e^{-st}f(t)\,dt

これを使うと、微分が ss のかけ算になるので、むずかしい微分方程式が、簡単な代数方程式に変わります。方程式を解いたあと、逆変換でもとの関数にもどせば、答えが得られます。→ ラプラス変換の公式と例題

ラプラス変換で微分方程式を解く微分方程式y′+2y=0 など代数方程式sY−3+2Y=0Y を解くY=3/(s+2)答え y(t)y=3e⁻²ᵗ変換 ▶▼◀ 逆変換微分が s のかけ算になる → 計算が楽になる
ラプラス変換で、微分方程式を代数方程式に変えて解く流れ

たとえば L{eat}=1s−a\mathcal{L}\{e^{at}\}=\dfrac{1}{s-a}、L{1}=1s\mathcal{L}\{1\}=\dfrac{1}{s}、L{t}=1s2\mathcal{L}\{t\}=\dfrac{1}{s^2} などが基本です。ラプラス変換は、電気回路・制御工学・信号処理など、工学のあらゆる分野の基本の道具として、今も毎日使われています。ただし、現在の形は、ラプラスのあと、イギリスの技術者ヘヴィサイドなどの研究を経て整えられたものです。ラプラス自身は、確率の計算で使われる「母関数」の研究の中で、似た積分を使っていました。

ラプラス方程式は ∂2φ∂x2+∂2φ∂y2+∂2φ∂z2=0\dfrac{\partial^2\varphi}{\partial x^2}+\dfrac{\partial^2\varphi}{\partial y^2}+\dfrac{\partial^2\varphi}{\partial z^2}=0 と書かれる方程式で、重力・静電気・流体の流れ・温度の分布など、「つりあった状態」を表します。この方程式は『天体力学』にものっていますが、ラプラスより前から知られていた式でもあります。

業績5 天体力学と星雲説

ラプラスは、太陽系がどうやってできたのかも考えました。1796年の『世界体系解説』に書かれた星雲説では、「太陽系は、回転するガスの雲が冷えて縮む中で、輪を作り、その輪が惑星になった」と説明しています。細かい点は現在の理論とは異なりますが、太陽系は回転する雲からできたという大きな考え方は、現在の太陽系形成理論につながっています。

ラプラスは、重力が強すぎて光さえ出られない星(のちのブラックホール)の可能性にも言及しました。これは同じころのイギリスの学者ミッチェルも考えており、ラプラスだけの発見ではありません。

業績6 行列式のラプラス展開

大学の線形代数で必ず習う行列式の余因子展開は、「ラプラス展開」ともよばれます。3×3の行列式を、1つの行にそって、小さな2×2の行列式の和に分ける方法です。

余因子展開(ラプラス展開)の符号+-+-+-+-+第1行で展開するとa₁₁M₁₁−a₁₂M₁₂+a₁₃M₁₃(Mは、その行と列を除いた2×2の行列式)符号は、市松もようの+-+
余因子展開では、市松もようの符号(+-+)をつけて、小さな行列式の和にする

3×3の行列 AA の行列式は、第1行で展開すると detA=a11M11−a12M12+a13M13det A=a_{11}M_{11}-a_{12}M_{12}+a_{13}M_{13} となります(MijM_{ij} は第 ii 行と第 jj 列を除いた2×2の行列式)。ラプラスは1772年の研究で、この方法を一般的な形で示しました。→ 行列式の計算方法と余因子展開

ラプラスの名前がつく公式・定理・用語

  • ラプラス変換:F(s)=∫0∞e−stf(t)dtF(s)=\int_0^\infty e^{-st}f(t)dt。→ ラプラス変換の公式一覧
  • ラプラス方程式・ラプラシアン(ラプラス作用素):∇2\nabla^2 や Δ\Delta と書かれる、2階微分の和。
  • ラプラス展開(余因子展開):行列式を1つの行または列で展開する方法。→ 行列式の公式
  • ラプラスの定義:確率=目的の場合の数÷すべての場合の数。→ 確率とは
  • 継起の法則:n回続けて起きたとき、次も起きる確率は n+1n+2\dfrac{n+1}{n+2}。
  • ド・モアブル=ラプラスの定理:二項分布が正規分布に近づく。→ 正規分布と二項分布の近似
  • ラプラスの悪魔:すべてを知る知性の思考実験。
「ここが大事!」と説明する合格先生

合格先生

確率は「同じ程度に起こりやすい」ときだけ、場合の数の割り算で求められるよ。ラプラスの定義の大前提を、問題ごとにまず確かめよう。さいころでも、A、Bを区別するかどうかで答えが変わるからね。

ラプラスの逸話と名言

ラプラスの悪魔

『確率の哲学的試論』(1814年)には、有名な一節があります。内容は次のとおりです(意味をとった訳です)。

ある時刻に、自然を動かすすべての力と、自然を作るすべてのものの位置を知っている知性がいて、さらにそれらのデータを解析できるほど大きいなら、宇宙の最も大きな天体から最も軽い原子までの動きを、1つの式で表すだろう。その知性にとって不確かなことは何もなく、未来も過去も目の前にあるだろう。

ラプラス『確率の哲学的試論』(1814年)より(フランス語原文の意味をとった訳。ラプラス自身は「知性」と書いており、「悪魔」は後の人がつけたよび名です)

ラプラスがこの文章を書いたのは、「世界は決まった法則で動いている」ということを強調するためでした。確率を使うのは、人間の知識が足りないからだ、という考えです。しかし、20世紀には量子力学やカオス理論が登場し、現実の世界ではこの考えがそのままでは成り立たないことが分かってきました。ラプラスの悪魔は、「科学は世界をどこまで予測できるか」を考えるときの出発点として、今も語られています。

ラプラスの悪魔(思考実験)今の状態位置と速さ自然の法則運動の方程式未来と過去計算で分かる+→現代の見方・カオス:ごくわずかな差が大きな差になる・量子力学:位置と速さを同時に決められない→ 完全な予言は、原理的にもむずかしい
ラプラスの悪魔。今の状態と法則が分かれば未来も計算できる、という思考実験と、現代の見方

ラプラスの悪魔への反論は、大きく2つあります。1つはカオスです。天気のように、ごくわずかな出発点のちがいが、時間がたつと大きなちがいになる現象では、測定の誤差が少しでもあれば、遠い未来は予測できません。もう1つは量子力学で、電子のような小さな粒の位置と速さを、同時に正確に決めることはできないとされています。それでもラプラスの考え方は、「法則を見つけて計算すれば、多くのことが予測できる」という科学の力強さを示す言葉として、いまも引用されます。

「神という仮説は必要ありません」

ラプラスがナポレオンに『天体力学』を献上したとき、こんなやりとりがあったと伝えられます。ナポレオンが「ニュートンは神について書いたが、あなたの本には神が出てこない」と言うと、ラプラスは「陛下、私にはその仮説は必要ありませんでした」と答えた、という話です。ただし、これはいろいろな形で語られている逸話で、事実かどうかは確かめられていません。ラプラスは「神を否定した」のではなく、「天体の動きの計算に、神の介入という仮定を足す必要はなかった」という意味だったとされています。

「オイラーを読め」

ラプラスは、若い数学者に「オイラーを読め、オイラーを読め、彼こそ私たちみんなの師だ」と言ったと伝えられます。オイラーの業績と生涯の論文を学ぶことが、解析学を学ぶ最良の道だと考えていたようです。ラプラスの時代の数学者たちが、オイラーの仕事を土台にしていたことを物語っています。

弟子の功績を自分の論文に?

ラプラスについては、他の学者のアイデアを自分の論文に取り込みながら、出典を十分に書かなかったと批判されることもありました。「あきらかなことだが(Il est aisé de voir)」と省略した計算を、弟子たちが何時間もかけて再構築した、という話も語られます。ただし、これらは後世に語られた逸話で、すべてが確かな事実とは限りません。

サクラちゃん

サクラちゃん

確率が当たるかどうかは「知っていることが少ないから」ってことですか?

合格先生

合格先生

ラプラスはそう考えたんだ。「サイコロの目も、力の入れ方や空気の流れが全部わかれば決まる。私たちが知らないから確率で考える」とね。今の科学では少し違う見方もあるけれど、不確かなことを数字で扱うという発想は、統計やAIの土台になっているよ。

受験・勉強とラプラスのつながり

中学受験:場合の数

中学受験の算数で習う「場合の数」は、ラプラスの確率の定義の分母・分子にあたります。「全部で何通りか」「そのうち条件に合うのは何通りか」を数えるのが基本です。→ 順列・組合せの公式と使い分け

高校受験:確率の基本

サイコロ、コイン、くじ引き、カードの確率は、ラプラスの定義そのものです。表やかっこで、場合を漏れなく数えましょう。

大学受験:確率と統計

京都大学・東京大学では、確率・期待値の問題が定番です。京大理系数学の出題分析(確率は頻出)と京大文系数学の出題分析を見ると、確率がいかによく出るかが分かります。

勉強法として:まず小さな場合で試す

ラプラスの継起の法則は、n=0,1,2n=0,1,2 と小さな場合から確かめると、答えが分かります。確率の問題は、まず小さな数字で表をつくるのがいちばんの近道です。数学の勉強の進め方は数学の勉強法(解法の暗記→演習→過去問)も参考にしてください。

ラプラスがその後の数学にあたえた影響

  • 統計学・データサイエンス:中心極限定理は、現代の統計学(検定・推定)の基礎です。ベイズ推定は、迷惑メールの判定や医療診断、AIの機械学習に使われています。
  • 工学:ラプラス変換は、電気回路・制御・信号処理で毎日のように使われます。
  • 物理学:ラプラス方程式は、電磁気学・流体力学・熱の伝わり方の基本方程式です。
  • 天体力学:太陽系の安定性の研究は、のちにラグランジュの解析力学、ポアンカレのカオスの発見(1890年代)へ発展しました。
  • 決定論の哲学:「世界は決まっているのか」という問いは、量子力学・カオス理論・AIの議論へ続いています。
  • フーリエ解析との関係:ラプラス変換は、フーリエ級数・フーリエ変換の兄弟のような道具で、2つをあわせて使います。

ラプラスに挑戦!練習問題

やさしい

  1. 赤玉3個、白玉2個が入った袋から1個取り出すとき、赤玉が出る確率を、ラプラスの定義で求めなさい。
    答えと解説を見る全部で5通り、赤玉は3通りなので3/5。
  2. 4日続けて太陽がのぼったことが分かっているとき、あすものぼる確率を、継起の法則 (n+1)/(n+2) で求めなさい。
    答えと解説を見るn=4 なので (4+1)/(4+2)=5/6。

ふつう

  1. コインを10回投げるとき、ちょうど5回表が出る確率を求めなさい。
    答えと解説を見る10C5=252、全部で2¹⁰=1024通り。確率は 252/1024=63/256(約0.246)。
  2. 行列式 |1 2 3; 0 1 4; 5 6 0| の値を、第1行で余因子展開して求めなさい。
    答えと解説を見る1×(1×0−4×6)−2×(0×0−4×5)+3×(0×6−1×5)=−24+40−15=1。

むずかしい

  1. ラプラス変換を使って、y′+2y=0、y(0)=3 を解きなさい。(L{y′}=sY−y(0))
    答えと解説を見るsY−3+2Y=0 より Y=3/(s+2)。逆変換して y=3e^(−2t)。(L{e^(at)}=1/(s−a) より)
  2. コインを10000回投げるとき、表の回数がおよそ何回から何回までの間に、約68%の確率で入りますか。(平均は5000、標準偏差は50)
    答えと解説を見る正規分布で、平均±標準偏差(1σ)に約68%が入ります。5000−50=4950回から5000+50=5050回までの間。

ラプラスと関係する数学者

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18世紀の数学者

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読みもの(合格大作戦の数学の記事)

よくある質問

ラプラスは何をした人ですか?

ラプラスは、18〜19世紀フランスの数学者・天文学者です。確率論を体系的にまとめ、天体の動きを数学で解く天体力学を完成させました。ラプラス変換、ラプラス方程式、ラプラス展開など、名前がついた数学の道具が多数あります。

ラプラスの悪魔とは何ですか?

「ある時刻の全ての物の位置と力を知り、それを解析できる知性がいれば、未来も過去も計算で分かる」という思考実験です。ラプラスが1814年の『確率の哲学的試論』に書いたもので、「悪魔」は後世の人がつけたよび名です。

ラプラス変換とは何ですか?

時間の関数f(t)を、F(s)=∫₀^∞ e^(−st) f(t) dt という積分で別の関数に変える方法です。微分が s のかけ算になるため、微分方程式が代数方程式として解け、電気回路や制御工学で広く使われます。

ラプラスの確率の定義とは何ですか?

確率を「目的の場合の数÷起こりうるすべての場合の数」とする定義で、すべての場合が同じ程度に起こりやすいことが前提です。今の中学・高校の確率の考え方は、この定義にもとづいています。

継起の法則とは何ですか?

「n回続けて起きたことが、次にも起きる確率は (n+1)/(n+2)」とするラプラスの考え方です。最初は何も知らない状態から、証拠が増えるたびに確率が1に近づきます。ベイズ推定の原型と言われます。

ラプラスとナポレオンの関係は?

ラプラスは陸軍士官学校の試験官としてナポレオンを試験したと伝えられ、ナポレオンのもとで1799年に内務大臣になりましたが6週間でやめました。のち伯爵・侯爵になり、政治の変化の中を生き抜きました。

「神という仮説は必要ない」は本当にラプラスの言葉ですか?

ナポレオンに対して「陛下、私にはその仮説は必要ありませんでした」と答えたという逸話が有名ですが、語られ方に差があり、事実かどうか確かめられていません。天体の計算に神の介入を足す必要はない、という意味とされます。

ラプラスとガウスの関係は?

ガウスの最小二乗法と正規分布に、ラプラスは中心極限定理という別の角度から理由を与えました。2人は別々の道で正規分布にたどり着き、のちの統計学で2つの仕事が結びつけられました。

ラプラス展開(余因子展開)とは何ですか?

行列式を、ある行(または列)にそって、小さな行列式の和に分けて計算する方法です。符号は市松もようの+・-の順につけます。大学の線形代数で必ず習います。

ラプラスは受験とどう関係しますか?

中学・高校の場合の数と確率、数学Bの二項分布と正規分布が直接つながります。大学の理工系では、ラプラス変換、ラプラス方程式、行列式の余因子展開として再び出会います。

あわせて読みたい

出典・参考

  • P.-S. Laplace, “Théorie analytique des probabilités”(1812年)
  • P.-S. Laplace, “Essai philosophique sur les probabilités”(1814年)
  • P.-S. Laplace, “Traité de mécanique céleste”(1799〜1825年)
  • 肖像画:ポーラン・ジャン=バティスト・ゲラン「ラプラス」、Wikimedia Commons(パブリックドメイン)
  • MacTutor History of Mathematics, “Pierre-Simon Laplace”(セント・アンドリュース大学)

最終更新:2026年10月29日/作成:大学受験合格大作戦