この公式のポイント
- 標準化 Z=σX−m で平均0・標準偏差1にそろえる
- 正規分布表は p(u)=P(0≤Z≤u)。右半分は0.5、左右対称
- ±1 に約68.3%、±2 に約95.4%、±3 に約99.7%
- n が大きい二項分布は N(np, np(1−p)) で近似

うかるくん
標準化するとき、分散 σ2 と標準偏差 σ のどっちで割るの?
![合格先生]()
合格先生
標準偏差 σ で割るんだ。N(60, 225) なら σ=15 だぞ。
正規分布と標準化の公式
身長やテストの点数のように、平均のまわりに多く集まり、左右対称な山形になる分布の代表が正規分布です(ガウス分布ともいいます)。平均 m・標準偏差 σ の正規分布を N(m, σ2) と書きます。
正規分布と標準化
X が正規分布 N(m, σ2) にしたがうとき、確率密度関数は
f(x)=2πσ1e−2σ2(x−m)2標準化:Z=σX−m とおくと、Z は標準正規分布 N(0, 1) にしたがう。
P(a≤X≤b)=P(σa−m≤Z≤σb−m)二項分布の正規近似:n が大きいとき、B(n, p) は N(np, np(1−p)) で近似できる。
標準正規分布 N(0, 1)。平均から ±1 の範囲に約 68.3%、±2 に約 95.4%、±3 に約 99.7% が入る
確率は曲線の下の面積で表されます。曲線と横軸の間の面積の合計は 1 です。正規分布はどんな m, σ でも、標準化すれば同じ N(0, 1) になるので、1つの表(正規分布表)だけで確率が求められます。
正規分布表の使い方
正規分布表には、p(u)=P(0≤Z≤u)(0から u までの面積)がのっています。よく使う値は次のとおりです。
正規分布表の p(u) は、0 から u までの面積。曲線は左右対称で、右半分の面積は 0.5
- P(Z≥u)=0.5−p(u)(右のはし)
- P(Z≤−u)=P(Z≥u)=0.5−p(u)(左右対称)
- P(−u≤Z≤u)=2p(u)(例:P(−1.96≤Z≤1.96)=0.95)
- P(Z≤u)=0.5+p(u)(u>0 のとき)
証明(なぜ標準化で N(0, 1) になるのか)
平均0・標準偏差1になること
確率変数の1次式について E(aX+b)=aE(X)+b、V(aX+b)=a2V(X) が成り立ちます(期待値の性質)。Z=σ1X−σm なので、
E(Z)=σE(X)−m=σm−m=0,V(Z)=σ2V(X)=σ2σ2=1
確率が Z の範囲で求まること(置換積分)
σ>0 なので、a≤X≤b と σa−m≤Z≤σb−m は同じ条件です。さらに、正規分布の確率を置換積分で z=σx−m(dx=σdz)とおきかえると、
∫ab2πσ1e−2σ2(x−m)2dx=∫σa−mσb−m2πσ1e−2z2σdz=∫σa−mσb−m2π1e−2z2dz
右辺は N(0, 1) の確率密度関数 2π1e−2z2 の積分です。つまり Z は確かに標準正規分布にしたがいます。
標準化:平均 60・標準偏差 15 の X の目もり(青)を、Z=15X−60 の目もり(赤)に読みかえる。X≥90 は Z≥2 と同じ
二項分布の正規近似
B(n, p) の平均は np、分散は np(1−p) です(二項分布)。n を大きくすると、二項分布の棒グラフの形は、同じ平均・分散の正規分布の曲線に近づくことが知られています(ド・モアブル=ラプラスの定理)。高校では、この事実を使って確率を近似します。
二項分布 B(100, 21)(棒)と正規分布 N(50, 52)(曲線)。n が大きいとほぼ重なる
大学受験(数学B)での使い方
大学受験例題1(標準化して表を引く)
ある試験の得点
X は、平均
60 点・標準偏差
15 点の正規分布にしたがうとする。
90 点以上の人の割合を求めなさい。
解き方
Z=15X−60 とおくと、X≥90 は Z≥1590−60=2。
P(Z≥2)=0.5−p(2)=0.5−0.4772=0.0228。
答え 約 2.28%
大学受験例題2(範囲の確率)
例題1で、
45 点以上
75 点以下の人の割合を求めなさい。
解き方
45≤X≤75 は −1≤Z≤1。P(−1≤Z≤1)=2p(1)=2×0.3413=0.6826。
答え 約 68.26%
大学受験例題3(二項分布の正規近似)
1枚の硬貨を
400 回投げるとき、表が
220 回以上出る確率を、正規分布で近似して求めなさい。
解き方
表の回数 X は B(400, 21)。平均 400⋅21=200、標準偏差 400⋅21⋅21=10。
X は近似的に N(200, 102) にしたがうので、Z=10X−200 とすると X≥220 は Z≥2。
P(Z≥2)=0.5−0.4772=0.0228。
答え 約 0.0228
例題3を二項分布のまま正確に計算すると約 0.0255 です。近似には少し誤差があります(大学では、はしを 0.5 ずらす「半整数補正」で誤差を小さくする方法も学びます)。
よくある間違い
![腕でバツを作る合格先生]()
合格先生
表の p(u) をそのまま答えない。「u 以上」なら 0.5−p(u) だ。
- 分散 σ2 で割ってしまう:標準化は標準偏差 σ で割る。N(60, 225) なら σ=15。
- 表の値をそのまま答える:p(u) は 0 から u までの面積。「u 以上」なら 0.5−p(u)、「−u から u」なら 2p(u)。
- 正規近似で分散と標準偏差を取りちがえる:B(n, p) を N(np, np(1−p)) で近似し、標準化では np(1−p) で割る。
練習問題
![ひらめいたサクラちゃん]()
サクラちゃん
標準化すれば、表は1つだけで足りるんだね。
- 大学受験 X が N(50, 102) にしたがうとき、P(X≤65) を求めなさい。
答えと解説を見る
Z=10X−50 で X≤65 は Z≤1.5。P=0.5+p(1.5)=0.5+0.4332=0.9332 - 大学受験 1000人の身長が平均 170 cm・標準偏差 6 cm の正規分布にしたがうとする。182 cm 以上の人はおよそ何人か。
答えと解説を見る
Z=6182−170=2。P(Z≥2)=0.0228 なので 1000×0.0228=22.8、およそ 23 人 - 大学受験 1個のさいころを 720 回投げるとき、1の目が 100 回以下になる確率を正規分布で近似して求めなさい。
答えと解説を見る
B(720, 61):平均 120、分散 720⋅61⋅65=100、標準偏差 10。X≤100 は Z≤−2。P(Z≤−2)=0.5−0.4772=0.0228
関連する公式
よくある質問
標準化とは?
平均 m・標準偏差 σ の確率変数 X を Z=(X−m)/σ に変えることです。Z は平均0・標準偏差1になり、正規分布なら標準正規分布 N(0,1) にしたがいます。
正規分布表の使い方は?
表の p(u) は 0 から u までの確率(面積)です。Z≧u の確率は 0.5−p(u)、−u≦Z≦u の確率は 2p(u) のように、左右対称と右半分が 0.5 であることを使って求めます。
二項分布の正規近似とは?
試行の回数 n が大きいとき、二項分布 B(n,p) を平均 np・分散 np(1−p) の正規分布で近似して確率を求める方法です。
何年生で習いますか?
高校の数学B「統計的な推測」で、二項分布・正規分布・統計的な推定や仮説検定とあわせて学びます。
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出典・参考
- 文部科学省「高等学校学習指導要領(平成30年告示)」数学B(統計的な推測)
最終更新:2026年10月11日/作成:大学受験合格大作戦